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明細書 :水中の微生物及び有機物の除去方法、並びに除去装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-029968 (P2015-029968A)
公開日 平成27年2月16日(2015.2.16)
発明の名称または考案の名称 水中の微生物及び有機物の除去方法、並びに除去装置
国際特許分類 C02F   1/24        (2006.01)
B03D   1/02        (2006.01)
B03D   1/14        (2006.01)
B03D   1/001       (2006.01)
C02F   1/40        (2006.01)
FI C02F 1/24 B
B03D 1/02 A
B03D 1/14 A
B03D 1/02 C
C02F 1/24 A
C02F 1/40 C
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 22
出願番号 特願2013-162515 (P2013-162515)
出願日 平成25年8月5日(2013.8.5)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り 発表会名:平成24年度京都大学工学部地球工学科資源工学コース特別研究発表会 発表日:平成25年2月6日
発明者または考案者 【氏名】日下 英史
【氏名】奈良崎 則雄
出願人 【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
【識別番号】511228492
【氏名又は名称】株式会社湘南数理研究会
【識別番号】000131810
【氏名又は名称】株式会社ジェイエスピー
【識別番号】596049670
【氏名又は名称】菱江化学株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100120570、【弁理士】、【氏名又は名称】中 敦士
【識別番号】100161322、【弁理士】、【氏名又は名称】白坂 一
審査請求 未請求
テーマコード 4D037
4D051
Fターム 4D037AA01
4D037AB03
4D037AB18
4D037BA03
4D037BB08
4D037BB09
4D037CA14
4D051AB01
4D051DB00
要約 【課題】 農業用水、食品系事業用水等の用水に含まれる有害な微生物等を簡便な操作で分離して除去する方法を提供する。
【解決手段】 微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、浮選機(FM)の上方部から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する、ことを特徴とする、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、浮選機(FM)の上方部から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する、
ことを特徴とする、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項2】
前記捕収剤が陽イオン性界面活性剤、又は陰イオン性界面活性剤であることを特徴とする、請求項1に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項3】
前記陽イオン性界面活性剤がアミン塩型、及び第4級アンモニウム塩から選択される1種、または2種以上であることを特徴とする、請求項2に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項4】
前記陰イオン性界面活性剤がカルボン酸塩、及び硫酸エステル塩から選択される1種、または2種以上であることを特徴とする、請求項2に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項5】
前記添加剤(C)が、捕収剤と、起泡剤、凝集剤、及びpH調整剤から選択された1種又は2種以上とであることを特徴とする、請求項1から4のいずれかに記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項6】
前記浮選機(FM)に供給するマイクロバブルの平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項7】
前記被処理水(W1)中の微生物の直径又は長径が10μm以下であることを特徴とする、請求項1から6のいずれかに記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【請求項8】
少なくとも、浮選機(FM)と、該浮選機(FM)の下方部に設けられたマイクロバブル発生手段と、浮上物回収手段と、アンダーフロー水(W2)回収手段とから構成された、微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物を除去するための装置であって、
被処理水(W1)と添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、前記マイクロバブル発生手段から発生させたマイクロバブルに前記微生物及び有機物を付着、浮上させた浮上物(U)を回収するための浮上物回収手段が浮選機(FM)の上方部に配置され、
被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)回収手段が浮選機(FM)に配置されていることを特徴とする、
水中の微生物及び有機物の除去装置。
【請求項9】
前記マイクロバブル発生手段が、細孔方式、又は気液混合・せん断方式を利用したマイクロバブル発生手段であることを特徴とする、請求項8に記載の、水中の微生物及び有機物の除去装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理水中の藻類、細菌(バクテリア)、ウィルス等の微生物及び有機物の除去方法、並びに除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、水中の藻類、細菌(バクテリア)等の微生物を殺菌等する方法は数多く存在している。また、近年、太陽光又は人口光を利用して、作物の生育に必要な養分を水に溶かした液状肥料(培養液)として与えて栽培する水耕栽培の事業化が積極的に行われているが、培養液の循環使用で病害である青枯病、かいよう病等の細菌、糸状菌病、土壌伝染性ウィルス病等が発生する場合にはそれを除菌・除去する必要がある(「養液栽培のすべて-植物工場を支える基本技術」、成文堂新光社、発行者:小川雄一、2012年7月31日発行、181~186頁)。
しかし、水中の細菌(バクテリア)等の化学的除菌・殺菌法によりある程度の除菌・殺菌を行うことは可能ではあるが、添加した化学薬品を含む処理水の処理、処分に費用がかかりコストアップにつながることになる。
【0003】
従って、水耕栽培等に使用する農業用水の除菌・殺菌や食品系事業用水の除菌・殺菌には化学的薬剤の使用を極力控えざるを得ないのが実情である。また、ウィルスに対しては直作用する薬剤がないためにウィルス病の予防には早期発見による防除が重要である(「太陽光植物工場の新展開」、養賢堂発行、編集者:野口伸他、2012年4月20日発行、324~326頁)。また、限外ろ過膜(U/F膜)など薬剤を用いない膜分離法を主体とした水の浄化方法が提案されて研究開発も行われているが、この場合、サブミクロンから数マイクロメートルの大きさの微生物をろ過するためには膜の逆洗浄が頻繁に必要になって処理速度が低下し、しかも微生物は、ソフトな粒子のため目詰まり・膜交換頻度が高く、その操業維持・管理に多大なコストを負担せざるを得ない問題点がある。
【0004】
特許文献1には、人体または動物の皮膚の除菌対象物が浸漬される水槽に供給する気泡発生器を備え、マイクロバブルを発生させて液体中で除菌するためのマイクロバブル除菌装置が開示されている。
特許文献2には、上部が建屋によって覆われると共に、水耕液の水面に植物を栽培するための水耕ベッドが浮設された水耕栽培槽と、導入された上記水耕液にマイクロナノバブルを含有させるためのマイクロナノバブル水槽と、導入された上記水耕液中の有機物および植物の老廃物を活性炭に付着して繁殖している微生物によって分解するための活性炭塔とを配置して、上記水耕栽培槽、上記マイクロナノバブル水槽および上記活性炭塔の間でこの順序に循環させる除菌可能な水耕栽培装置が開示されている。
マイクロナノバブルは、酸化作用を有するため除菌作用をも有しているので、培槽からの水耕液をマイクロナノバブル発生機が設置されたマイクロナノバブル水槽に導入することにより、水耕液中の病原菌をマイクロナノバブルによって除菌できることが記載されている。
【0005】
特許文献3には、貝類の身が密着していない貝殻部分に穴を穿設し、この穴から強制的にオゾンを含むマイクロバブルを加えた無菌塩水を送り込む、貝類の除菌浄化方法が開示されている。無菌塩水に、オゾンを含む高濃度酸素のマイクロバブルを加えることにより、ノロウイルスの不活性化を図ることができると記載されている。
特許文献4には、業務用洗濯機で使用された水のうち、前すすぎ工程で使用された水を処理するために溜める処理槽にアルミ電極ユニットを設け、マイクロバブルを発生させて不純物の凝集、沈殿を促進することが開示されている。
特許文献5には、洗濯槽内に貯められている洗剤を含む水中にマイクロバブル発生ノズルを導入し、マイクロバブルを発生させることにより、微細なクリーム状の泡(洗剤泡)を生成し、このようにして生成された洗剤泡およびマイクロバブルを含む水(マイクロバブル混入水)を、水導出路を介して洗濯槽内に供給して洗濯に用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2009-195440号公報
【特許文献2】特開2008-206448号公報
【特許文献3】特開2008-199946号公報
【特許文献4】特開2006-328762号公報
【特許文献5】特開2006-167185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の液体中でのマイクロバブルによる除菌では、除菌率が十分でなく、また該液体から菌を系外に除く手段については言及されていない。特許文献2に開示のマイクロナノバブルによる水耕液中の病原菌の除菌では除菌の効果が十分ではない。
用水の処理において、オゾンを含むマイクロバブルを供給する場合には殺菌効果が得られることは知られているが、単にマイクロバブルを用水に供給しただけでは殆どの場合に十分な殺菌効果は得られないことが知られている(「水浄化技術の最新動向」、シーエムシー出版、菅原正孝監修、2011年6月30日発行、140頁)。
特許文献3に開示のオゾンを含む高濃度酸素のマイクロバブルによる、無菌海水中での貝類の除菌浄化方法では、オゾンそのものは植物に有害であるので濃度管理や大気拡散防止などに注意が必要である。
特許文献4に開示の洗濯水の再利用装置では、発生させたマイクロバブルが不純物の凝集、沈殿を促進させていることが開示されているが微生物の除去法については言及されていない。特許文献5に開示の洗濯機において、洗剤を含む水にマイクロバブルを発生させることにより、微細なクリーム状の泡(洗剤泡)を洗濯槽内に供給して洗濯に用いることが開示されているにすぎない。
【0008】
従って、農業用水、食品系事業用水等の用水に含まれる有害な微生物等を、簡便な操作で分離して除去する方法の開発が求められているが、上記特許文献1~5のいずれにおいても、これらの用水から有害微生物を分離して除去する方法については記載されていない。本発明は、上記課題を解決して、農業用水、食品系事業用水等の被処理水に含まれる有害な微生物等を簡便な操作で分離して除去する方法、及び除去装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記実情に鑑み鋭意検討した結果、農業用水、食品系事業用水等の被処理水に含まれる有害な微生物等、及び有機物等の分離・除去に、少量の添加剤を添加し(省資源)、かつ、少ない動力源(省エネルギー)で稼働可能な泡沫浮上分離法(浮選法)を適用することにより、該微生物と有機物の分離・除去が効率よく行えることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)~(9)に記載の発明を要旨とする。
【0010】
(1)微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、
浮選機(FM)の上方部から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する、
ことを特徴とする、水中の微生物及び有機物の除去方法(以下、第1の実施形態ということがある)。
(2)前記捕収剤が陽イオン性界面活性剤、又は陰イオン性界面活性剤であることを特徴とする、前記(1)に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
(3)前記陽イオン性界面活性剤がアミン塩型、及び第4級アンモニウム塩から選択される1種、または2種以上であることを特徴とする、前記(2)に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
(4)前記陰イオン性界面活性剤がカルボン酸塩、及び硫酸エステル塩から選択される1種、または2種以上であることを特徴とする、前記(2)に記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
【0011】
(5)前記添加剤(C)が、捕収剤と、起泡剤、凝集剤、及びpH調整剤から選択された1種又は2種以上とであることを特徴とする、前記(1)から(4)のいずれかに記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
(6)前記浮選機(FM)に供給するマイクロバブルの平均気泡径が100μm以下であることを特徴とする前記(1)から(5)のいずれかに記載の、水中の微生物及び有機物の除去方法。
(7)前記被処理水(W1)中の微生物の直径又は長径が10μm以下であることを特徴とする前記(1)から(6)のいずれかに記載の水中の微生物及び有機物の除去方法。
【0012】
(8)少なくとも、浮選機(FM)と、該浮選機(FM)の下方部に設けられたマイクロバブル発生手段と、浮上物回収手段と、アンダーフロー水(W2)回収手段とから構成された、微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物を除去するための装置であって、
被処理水(W1)と添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、前記マイクロバブル発生手段から発生させたマイクロバブルに前記微生物及び有機物を付着、浮上させた浮上物(U)を回収するための浮上物(U)回収手段が浮選機(FM)の上方部に配置され、
被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)回収手段が浮選機(FM)に配置されていることを特徴とする、
水中の微生物及び有機物の除去装置(以下、第2の実施形態ということがある)。
(9)前記マイクロバブル発生手段が、細孔方式、又は気液混合・せん断方式を利用したマイクロバブル発生手段であることを特徴とする、前記(8)に記載の、水中の微生物及び有機物の除去装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明の「被処理水(W1)の微生物及び有機物の除去方法」の採用により、藻類、細菌(バクテリア)、ウィルス等の微生物が存在する農業用水、事業用水等の被処理水(W1)に、少なくとも捕収剤を添加したマイクロバブル浮選法を適用することにより、上記微生物を系外に除去することが可能になり、更に、被処理水(W1)中に含まれる可溶性・不溶性の有機物も除去することが可能になる。
微生物は水溶液中で正負いずれかに帯電しており、そのような微生物を含む被処理水(W1)に少なくとも捕収剤を添加して、微生物表面の疎水性化を行うことにより、微生物をマイクロバブルに付着させて浮上分離を行うことが可能になる。被処理水(W1)中に存在している微生物と有機物の除去のために添加した捕収剤は、マイクロバブル導入により発生した膨大な気液界面面積を利用することで、気液界面に濃縮させ、マイクロバブルと共に浮上分離して系外排出が可能となる。マイクロバブル浮選法で用いられる添加剤(C)は添加量も少なく、かつ安価で残留性も少ない。
また、本発明の「水中の微生物及び有機物の除去装置」の採用により、装置自体の動力源も最低限、マイクロバブルを発生させるためのエアコンプレッサーと水中ポンプ程度で稼働できるので、省資源-省エネルギー排水処理システムとして画期的な方法である。
本発明の水中の微生物、又は微生物及び有機物の除去方法、並びに除去装置は、水を使用するすべての用水分野への適用が可能であり、特に農業系用水の循環使用における、被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1で得られた、アンダーフロー水中の残留コロニー形成単位数(以下、残留CFUということがある)の残留割合(残留CFU)と、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図2】実施例1で得られた、アンダーフロー水中の残留全有機炭素の割合(残留TOC)と、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図3】実施例2で得られた、アンダーフロー水中の残留CFUと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図4】実施例2で得られた、アンダーフロー水中の残留TOCと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図5】実施例3で得られた、アンダーフロー水中の残留CFUと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図6】実施例3で得られた、アンダーフロー水中の残留TOCと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図7】実施例4で得られた、アンダーフロー水中の残留CFUと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図8】実施例4で得られた、アンダーフロー水中の残留TOCと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図9】実施例5で得られた、アンダーフロー水中の残留CFUと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【図10】実施例6で得られた、アンダーフロー水中の残留CFUと、マイクロバブル浮選時間との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の〔1〕被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法(第1の実施形態)、及び〔2〕被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去装置(第2の実施形態)について説明する。
尚、本明細書において、単位「ppm」は、質量基準での濃度を示す単位である。
〔1〕被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法(第1の実施形態)
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法(第1の実施形態)は、
微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、
浮選機(FM)の上方部から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する、ことを特徴とする。

【0016】
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法は、処理対象の被処理水(W1)と捕収剤等の添加剤(C)を浮選機(FM)に供給する前に、予め調合しておくことができる。
該調合された被処理水(W1)を浮選機(FM)に供給すると共に、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、浮選機(FM)の上方部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を掻きだし等の手段で回収すると共に、浮選機(FM)から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)が回収される。
以下に、(1)被処理水(W1)中の微生物及び有機物、(2)添加剤、(3)マイクロバブル、(4)浮選機(FM)、(5)被処理水(W1)中の微生物及び有機物の浮選による除去方法、について説明する。

【0017】
(1)被処理水(W1)中の微生物及び有機物
以下、微生物、又は微生物及び有機物の除去の対象となる被処理水(W1)を用水ということがある。
(1-1)被処理水(W1)中の微生物
本発明の除去対象となる被処理水(W1)中の微生物には、藻類、細菌(バクテリア)、ウィルス等が含まれる。微生物は厳密な定義付けはされていないが、一般に顕微鏡で拡大しなければよく見えない微細な生物をいうが、本発明における微生物には、藻類や原生動物など、単細胞・多細胞生物で細胞の機能や組織分化がほとんどみられない生物の他に、細菌(バクテリア)、自己増殖できないウィルスも含まれる。上記微生物の表面は、負に帯電している場合が多いので、捕収剤の存在下に上記微生物の種類によらずマイクロバブルを用いた浮選手段により、浮選機(FM)の上部に濃縮することができる。
上記微生物の直径又は長径は10μm程度以下のものが殆どであり、後述する捕収剤の作用により、マイクロバブルが付着して浮上する。また、これらの微生物は被処理水(W1)中で複数のものが集合してコロニーを形成している場合には捕収剤の作用により、複数のマイクロバブルが付着して浮上することになる。
尚、微生物には種々の形状のものがあるが、上記直径は球状のもので、長径は楕円球状、直方体状、糸状等では直線状で得られる最も長い寸法をいう。
尚、本発明における被処理水(W1)とは、浮選機(FM)を用いて浮選処理される前のものをいい、単なるろ過等の前処理をされたものも被処理水(W1)に含まれる。

【0018】
(イ)藻類
藻類とは、酸素発生型光合成を行う生物のうち、主に地上に生息するコケ植物、シダ植物、種子植物を除いたものの総称であり、通常の河川には緑藻と珪藻等が存在しているが直径又は長径は通常10~50μm程度のものが多い。
(ロ)細菌(バクテリア)
細菌(バクテリア)は、原核細胞を持つ単細胞の微生物で、原形質に明瞭な核をもたない生物の一群であり、主に分裂によって繁殖して地球上の至る所に存在する。また、細菌は、バクテリアとも呼ばれていて、直径又は長径は0.2~10μm程度で、ウィルスより大きく、固い細胞壁を持つ単細胞生物である。その種類は非常に多く確認されるが、形態により、球菌、桿菌、らせん菌に分けられ、グラム染色性(細菌染色法)によってグラム陽性菌とグラム陰性菌に大別される。細菌は、食品加工や有機物の分解に利用されるが、病原体となるものも多い。本発明での除去対象の細菌には、上記水耕栽培での循環使用で病害である青枯病、かいよう病等の細菌、糸状菌病も含まれる。

【0019】
(ハ)ウィルス
ウィルスは、他の生物の細胞を利用して、自己を複製させることのできる微小な構造体で、上記細菌よりは小さくタンパク質の殻とその内部に入っている核酸からなる。 生命の最小単位である細胞をもたないので、非生物とされることもある。その大きさは小さいものでは数十nmから、大きいものでは数百nm程度のものまで存在し、他の一般的な生物の細胞(数μm~数十μm)の100~1000分の1程度の大きさである。

【0020】
(1-2)被処理水(W1)中の有機物
水中の有機物の濃度は、全有機炭素(total organic carbon:TOC)で表示される。
全有機炭素(TOC)とは、水中に存在する有機物質の炭素をmg/lで表したものである。TOCは、懸濁性の有機炭素と溶解性の有機炭素からなる。一般に、懸濁性の有機炭素の除去法として、急速ろ過、凝集沈殿法等が知られ、溶解性有機炭素の除去法としてオゾン酸化法、活性炭の吸着法等が知られている。
本発明の被処理水(W1)中の微生物、又は微生物及び有機物の除去において、捕収剤、起泡剤等の添加剤(C)は被処理水(W1)中の全有機炭素(TOC)を高めることになるので、浮選によりある程度の有機物は除去されるものの、これらの添加剤(C)の添加量は少ない方が望ましい。

【0021】
(2)添加剤(C)
本発明の微生物、又は微生物及び有機物の除去方法において、微生物に添加する添加剤(C)として、捕収剤は必須の成分であり、起泡剤、凝集剤、pH調整剤は、被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去率を間接的に向上させるために任意に添加できる成分である。

【0022】
(2-1)捕収剤
浮選機(FM)内で、例えば、微生物表面は通常、負に帯電しているので、負に帯電しているマイクロバブル表面に付着しづらいことから、水溶性の捕収剤(collector)を添加することにより、捕収剤が微生物表面に付着して疎水性を付与する結果、微生物がマイクロバブル表面に付着し易くなり浮上させることが可能になる。
本発明のマイクロバブル浮選において、使用される捕収剤は、上記性質を有するものであれば制限なく使用できるが、実用的には上記疎水性の付与、微生物表面への付着性等から陽イオン性界面活性剤、又は陰イオン性界面活性剤から選択することが望ましい。本発明に使用する、捕収剤としてのイオン性界面活性剤は陽イオン性界面活性剤のみでなく、陰イオン性界面活性剤も微生物の表面を疎水化してマイクロバブルへの付着を促進する作用を発揮する。陽イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤(以下、陽イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤を併せてイオン性界面活性剤ということがある)を以下に例示するが、本発明に使用するイオン性界面活性剤は、以下の例示に限定されるものではない。

【0023】
(イ)陽イオン性界面活性剤
親水基がプラスイオンになるものを陽イオン性界面活性剤といい、アミン塩型、第4級アンモニウム塩、ピリジニウム塩等に分類される。
アミン塩型は、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、有機酸等で中和されたものがあり、第4級アンモニウム塩型とピリジニウム塩は、広いpH領域でプラスイオンとして存在し、水溶性が高い。陽イオン性界面活性剤は通常生体組織やその成分との相互作用が強く、第4級アンモニウム塩型の塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等は殺菌効果を有していて、それ自体生分解性も高い。

【0024】
アミン塩型には、1級アミン(RNH・H)、2級アミン(R,R’NH・H)、及び3級アミン(R,R’,R”N・H)の3種類に分類される。
1級アミンとしては、オクチルアミン塩酸塩、ドデシルアミン酢酸塩等、2級アミンとしては、ジステアリルアミン等、3級アミンとしては、N,N-ジメチルドデシルアミン酢酸塩、ジメチルラウリルアミン塩酸塩等が挙げられるが、これらのアミン塩型の界面活性剤として炭素原子数は、6~15程度が好ましい。
第4級アンモニウム塩型には、オクチルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(塩化ベンザルコニウム)等が挙げられる。

【0025】
(ロ)陰イオン性界面活性剤
親水基がマイナスイオンになるものを陰イオン性界面活性剤といい、カルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エステル塩等に分類される。
カルボン酸塩としてはラウリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム等が挙げられ、炭素原子数は、6~22程度が好ましい。
硫酸エステル塩としては、デシル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等が挙げられ、炭素原子数は6~20程度が好ましい。

【0026】
被処理水(W1)中の捕収剤としてイオン性界面活性剤の添加濃度は、そのイオン性界面活性剤の種類、及び除去対象の微生物と有機物の種類、及びこれらの被処理水(W1)中における濃度にもよるが、その機能を発揮させるために、1~10,000ppmの濃度範囲になるように、添加することができる。
尚、イオン性界面活性剤の被処理水(W1)水中への添加により、被処理水(W1)水中の有機物の濃度を高めることにもなるが本発明のマイクロバブル浮選により、添加したイオン性界面活性剤は浮遊物(U)中に濃縮されるので、アンダーフロー水(W2)中のイオン性界面活性剤の濃度は低下する。イオン性界面活性剤は生分解性が高いものの、被処理水(W1)中の全有機炭素濃度(TOC)を低下させるためにはイオン性界面活性剤の添加量は少ない方が望ましい。かかる事情を考慮すると、被処理水(W1)中への捕収剤としてイオン性界面活性剤の添加濃度は、5~1,000ppmがより好ましく、5~500ppmが更に好ましく、10~100ppm程度が特に好ましい。

【0027】
(2-2)起泡剤
被処理水(W1)に捕収剤として添加するイオン性界面活性剤等の種類により、マイクロバブルを被処理水(W1)中に吹き込む際に泡立ち性が十分でない場合には、泡立ち性を適度に高めるために起泡剤を被処理水(W1)中で1~10,000ppmの濃度になるように添加することができる。
好ましい起泡剤としては、非イオン性界面活性剤(ノニオン系界面活性剤)を挙げることができる。非イオン性界面活性剤は、水に溶解したときに、イオン化しない親水基を有する界面活性剤であり、その代表例としては、グリセリン脂肪酸エステル等のエステル型、脂肪アルコールエトキシレート等のエーテル型が挙げられる。低級アルコール系、及び低級ケトン系の非イオン性界面活性剤としては炭素原子数6~8の非イオン性界面活性剤が好ましい。
代表的な非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの一種で、ポリエチレングリコール p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)-フェニルエーテルなどの化合物を含む、商品名:トリトンX-100(Triton X-100)が挙げられる。

【0028】
(2-3)凝集剤
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法において、処理対象の被処理水(W1)中に凝集剤を添加することができる。
凝集剤は、通常、工業用排水等を活性汚泥で処理する場合、有機物の分解で生じた活性汚泥の沈殿を促進するために添加されるが、本発明において、被処理水(W1)に無機凝集剤の塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム等の凝集剤を添加することができる。
本発明において、凝集剤の添加効果として、残存コロニー形成単位数(CFU)を低下させる作用は見出されていないが、被処理水(W1)系により残留全有機炭素濃度(TOC)を低下させる作用を発揮させる場合がある。添加する無機凝集剤として、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)、硫酸アルミニウム(硫酸バンド)等を挙げることができる。凝集剤は、被処理水(W1)中で1~10,000ppmとなる範囲で添加することができる。

【0029】
(2-4)pH調整剤
被処理水(W1)中の微生物は、pHは2~12の範囲でその表面がほぼ一定の電位に保たれると想定されるので、pH調整剤を添加してpH調整を行うことができる。使用可能なpH調整剤としては特に限定されず、経済性を考慮すると硫酸、塩酸、生石灰、消石灰、苛性カリ、苛性ソーダ等を使用することができる。

【0030】
(3)マイクロバブル
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法において、浮選機の下方部にマイクロバブルを供給して、捕収剤の存在下に除去対象の微生物と有機物を浮上回収する。マイクロバブルの平均気泡径は100μm以下、更に10~50μmが好ましい。該平均気泡径が上記範囲であることにより、気泡の消滅速度と浮上速度が遅くなること、微生物の大きさなどの観点から、被処理水(W1)中の微生物の除去率を向上させることができる。浮選機(FM)の下方部から供給するマイクロバブルは、経済性の点から空気が好ましい。例えば、下記非特許文献a)~b)に記載されているように、低濃度型気泡は、気泡径が30μm付近に分布のピークがあり、気泡濃度としては数百個/ミリリットル(mL)程度であり、外見は水が少し曇った状態となる。本発明において、該気泡濃度は、1個/ml~10億個/mlが好ましく、100個/ml~10万個/mlが更に好ましい。

【0031】
気泡サイズがマイクロバブルサイズより大きい、通常の気泡は、水溶液中での上昇速度が比較的早く、最終的に液面で破裂する。しかし、マイクロバブルは気泡体積が微細であるため、上昇速度が遅く長い間、水中に滞在し続ける。マイクロバブルの上昇速度は、蒸留水中で内部対流が無い状態での実測から、水中における剛体球の動きを特徴づける公式である、ストークスの法則にほぼ従うことが知られている(下記非特許文献a~b参照)。
非特許文献a):「 Effect of shrinking microbubble on gashydrate formation.」 Takahashi, M. et al. J. Phys.Chem. B 107, 2003, p2171-2173
非特許文献b): 「ζ potential of microbubbles in aqueoussolutions:electrical properties of the gas-water interface.」 Takahashi, M.J. Phys. Chem. B 109, 2005, p21858-21864
尚、マイクロバブルの気泡径の測定は、青紫色半導体レーザ光源を水溶液中のマイクロバブルに照射し、高感度受光素子を利用した測定装置(例えば、(株)島津製作所性、型式:ALD-7500nano)を用いて測定することができる。また、マイクロバブルの気泡濃度は従来公知の方法で測定することができる。

【0032】
マイクロバブルはコロイドとしての側面があり、通常、負に帯電をしている。このため、マイクロバブル同士は反発し合って、マイクロバブル同士は結合しづらく、気泡濃度の減少も少ない。また、マイクロバブルは、上昇速度が遅い上に、表面積が大きいために捕収剤等を表面に付着させ易くなる。
一方、マイクロバブルより気泡径の大きい通常の気泡は、通常、気泡表面が荷電しないので気泡同士が結合して、次第に大きくなっていく。
マイクロバブルの生成方法として、(イ)細孔方式、(ロ)気液混合・せん断方式、(ハ)加圧溶解方式等が知られている(「マイクロバブルのすべて」、大成博文著、日本実業出版社、2006年10月20日発行、144~149頁)。

【0033】
(イ)細孔方式
細孔方式は、ナノミクロンレベルの貫通細孔の存在するセラミックス材等によるマイクロバブルを発生させる方式である。該方式に用いられる装置として、ナノミクロンレベルの貫通細孔の存在するセラミックス材を使用した装置が挙げられる。例えばSPG(Shirasu Porous Glass)膜に圧縮空気透過させることにより平均気泡径30~50μmマイクロバブルを容易に発生させることができ、本発明における浮選に好適である。この場合、貫通細孔の平均細孔径として、0.1~6μm程度のものが使用可能である。
(ロ)気液混合・せん断方式
気液混合・せん断方式は、水と空気など、気液二相の流体を混合・せん断することで気泡を発生させる方式である。一般的に利用されているマイクロバブルの発生手法であり、水流を起こして渦を発生させ、渦内に気体(大きな気泡)を巻き込み、この渦を崩壊させたときに気泡がバラバラに細分化する現象を利用している。二相流旋回方式の場合、発生するマイクロバブルは低濃度である場合が多い。気泡分布としては30μm付近に中心粒径を持つ単一のピークが認められる。尚、ノズル部で加圧条件を作る方式では高濃度のマイクロバブルを発生させることが可能である。

【0034】
(ハ)加圧溶解方式
加圧溶解方式は、加圧された液体中に、気体を過飽和状態で効率よく溶解させ、その後に、減圧解放してマイクロバブルを発生させる方式である。
酸素、窒素等の気体の水中への溶解量は、それぞれ圧力に比例して溶解量も増加する。加圧溶解型のマイクロバブル生成方法はこの特性を利用したものであり、ある程度の高圧で十分な量の気体を水中に溶解させた後、その圧力を解放してやることで溶解した気体の過飽和条件を作り出す。これにより過剰に溶解した気体は不安定な状態となり、過飽和分の気体分子は水から飛び出そうとする。その結果、水中に大量の気泡を発生させる。そのタイミングが整えばマイクロバブルとなる。
(ニ)その他
マイクロバブルを発生させる方式としては、その他超音波方式、超高速旋回方式等が知られている。
本発明の浮選手段を用いることにより、マイクロバブルは液面で消滅するので、浮上物から水分を除去する固液分離を容易に行うこともできる。

【0035】
(4)浮選機(FM)
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法において使用する浮選機(FM)は、被処理水(W1)中の微生物、又は被処理水(W1)中の微生物と有機物を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給し、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給する一方、浮選機(FM)の上方部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する、構造であり、例えば、特開2013-64690号公報の図2に示される汚染土の除染に使用可能な浮選機とほぼ同様の構造のものも使用することができる。
捕収剤等の添加剤(C)は、浮選機(FM)内で被処理水(W1)と混合することができ、又は予め調合タンク、ラインミキサー等で該添加剤(C)を被処理水(W1)中に添加、混合したものを浮選機(FM)に供給することができる。

【0036】
前記浮選機(FM)には、被処理水(W1)がその胴部又は上部に連続的に供給され、下方部からマイクロバブルが供給される。浮選機(FM)の下方部に供給されたマイクロバブルは水平方向に均一に分散した状態で上昇していくことが好ましいので、浮選機(FM)の外形形状は円筒形状又は多角柱状が好ましく、円筒形状がより好ましい。浮選機内においてマイクロバブルが水平方向で偏在しないように供給することが望ましい。

【0037】
また、前記浮選機(FM)のマイクロバブル供給位置から液面までの高さ(L)、及び高さ(L)と円筒部の内径(D)の比率(L/D)は特に制限されることはなく、後述する、浮選機(FM)内での浮選時間が確保できる構造であればよい。
尚、浮選機(FM)の浮選部分の水平方向の断面は、マイクロバブルが水平方向で偏在するのを避けるために、円形または正多角形が望ましく、内径(D)が大きくなる場合には、
内部が正六角や正4角柱形状に分割されるような仕切板を設けることもできる。
被処理水(W1)水の浮選機(FM)への供給位置は、被処理水(W1)中の微生物と有機物の濃度、浮選機の液面高さ、及びマイクロバブルの供給量等にもよるが、浮選機(FM)の胴部又は上方部とすることができるが、浮選機(FM)胴部の液面の中間部から上部の間がより好ましい。
浮選機(FM)の上方部には、浮上物を回収するためのレシーバを設けることができる。

【0038】
(5)被処理水(W1)中の微生物及び有機物の浮選による除去方法
上記の通り、微生物(又は微生物と有機物)を含む被処理水(W1)と添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを、又は添加剤(C)として少なくとも捕収剤が添加された、微生物(又は微生物と有機物)を含む被処理水(W1)を浮選機(FM)に供給し、浮選機(FM)の下方部からマイクロバブルを供給し、
浮選機(FM)の上方部から微生物、又は微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収し、浮選機(FM)から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する。添加剤(C)として、少なくとも捕収剤を使用することにより、除去する微生物の表面は疎水性になり、また有機物も疎水性を有しているので、マイクロバブル表面に付着し被処理水(W1)から浮上分離される。
また、例えば、被処理水(W1)中の微生物及び有機物の浮選による除去方法が回分方式(バッチ方式)により行われる場合などにおいて、
微生物、又は前記微生物及び有機物を含む被処理水(W1)と、添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給する工程、
浮選機(FM)の下方部から被処理水(W1)中にマイクロバブルを供給する工程、
浮選機(FM)の上方部から前記微生物及び有機物が濃縮された浮上物(U)を浮上回収する工程、
浮選機(FM)から前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)を回収する工程を含む、
被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法を採用することができる。

【0039】
浮選により、浮選機(FM)内を浮上回収される浮上物(U)は、捕収剤であるイオン性界面活性剤等によりマイクロバブル表面の電荷と微生物表面の電荷が電気的に中和されるとファンデルワールス力により比較的水分濃度の低い凝集物を形成するので、掻き取り等の操作により容易に回収できる。
このようにして、被処理水(W1)に含まれていた微生物と有機物を浮上して得られる浮上物(U)を脱水して得られた固形物は取り扱いが容易となる。
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去方法の採用により、被処理水(W1)中に含まれていた微生物濃度を極めて低くすることができ、更に被処理水(W1)中に含まれる有機物も浮上物(U)として除去することが可能である。

【0040】
〔2〕被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去装置(第2の実施形態)
本発明の被処理水(W1)中の微生物及び有機物の除去装置(第2の実施形態)は、
少なくとも、浮選機(FM)と、該浮選機(FM)の下方部に設けられたマイクロバブル発生手段と、浮上物回収手段と、アンダーフロー水(W2)回収手段とから構成された、微生物(ウィルスを含む。以下同じ。)、又は微生物と有機物(微生物とウィルスを除く。以下同じ。)を含む被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物を除去するための装置であって、
被処理水(W1)と添加剤(C)として少なくとも捕収剤とを浮選機(FM)に供給すると共に、前記マイクロバブル発生手段から発生させたマイクロバブルに前記微生物及び有機物を付着、浮上させた浮上物(U)を回収するための浮上物(U)回収手段が浮選機(FM)の上方部に配置され、
被処理水(W1)から前記微生物、又は前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)回収手段が浮選機(FM)に配置されていることを特徴とする。

【0041】
(1)浮選機(FM)
第2の実施形態における浮選機(FM)は第1の実施形態で記載した浮選機(FM)と同様である。なお、捕収剤等の添加剤(C)は、浮選機(FM)内で被処理水(W1)と混合することができるが、予めラインミキサー又は予め調合タンク等で該添加剤(C)を被処理水(W1)中に添加、混合したものを浮選機(FM)に供給することができる。

【0042】
(2)マイクロバブル発生手段
第2の実施形態におけるマイクロバブル発生手段は第1の実施形態で記載したマイクロバブルの発生手段と同様である。マイクロバブル発生手段としては、細孔方式、気液混合・せん断方式、加圧溶解方式、他超音波方式、超高速旋回方式等が知られているが、実用的には、平均気泡径が100μm以下のマイクロバブルを安定的かつ高濃度に発生させ易い点から、細孔方式、又は気液混合・せん断方式の使用が好ましい。

【0043】
(3)浮上物回収手段
添加剤(C)として、少なくとも捕収剤を使用することにより、除去する微生物の表面は疎水性になり、また有機物も疎水性を有しているので、マイクロバブル表面に付着し被処理水(W1)から比較的容易に浮上分離することが可能である。
浮選機(FM)の上部には、浮上物を回収するためのレシーバを設けることができる。
浮選機から浮上物を上記レシーバ等で回収した後、脱水ろ過機を配置して浮遊物中の水分を除去することができる。脱水ろ過機として、フィルタープレスを使用することができる。このような操作により、ろ過手段を用いる場合のフィルターの閉塞トラブル等を回避して連続運転が容易になるばかりでなく、浮上物(U)を固体として確実に分離することが可能になる。上記脱水ろ過器の種類としては、特に限定されず、オリバーフィルター、フィルタープレス、ロ布材で作製されたバッグによるろ過器等が使用できる。

【0044】
(4)アンダーフロー水(W2)回収手段
被処理水(W1)から前記微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水(W2)回収手段は浮選機(FM)の下方部に配置されることが望ましい。また、浮選機(FM)が連続運転される場合には排出液中にマイクロバブルが同伴されないように、マイクロバブル供給口より下方部が好ましく、浮選機(FM)の底部からアンダーフロー水(W2)として回収することがより好ましい。
連続運転される場合に、浮選機(FM)への被処理水(W1)の単位時間当たりの供給量に比例して、アンダーフロー水(W2)を排出する。この場合、浮選機(FM)の液面を一定に保つために、サイフォン現象を利用してアンダーフロー水(W2)を抜き出すこともできる。
【実施例】
【0045】
以下に実施例により本発明を具体的に説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。実施例で使用した試料、添加剤、浮選機、分析機器等を以下に記載する。
(1)試料
(イ)除去対象微生物
(i)市販ヨーグルト(明治製菓(株)製、LG21乳酸菌が配合されたヨーグルト(商品名:明治プロビオヨーグルトLG21(登録商標))
模擬被処理水用試料として、上記市販の明治プロビオヨーグルトLG21 3mLを蒸留水1Lに希釈後、ホモジナイザーを用いて分散させた水溶液(用水サンプル1)に後述する添加剤を配合した用水を調製して浮選に供した。
尚、このようにして調製した模擬菌体中の菌体数濃度は、4×10-5CFU/mLであることを後述するCFU測定法で確認した。
また、以下の実験では、この菌体数の濃度を100%として除去率のベースにした。
(ii)人間の皮膚表面の大腸菌
手に付着した菌を採取し、グルコース5g/Lの溶液中で所定温度(36℃)、所定時間(50時間)培養し、被処理水として浮選に供した。上記と同様に測定した菌体数濃度は、9.7×10-5CFU/mLである。
(iii)排水溝に棲息する雑菌
家庭の流し台排水溝から採取した菌をグルコース0.5g/Lの溶液中で所定温度、所定時間培養し、被処理水として浮選に供した。上記と同様に測定した菌体数濃度は、7.9×10-5CFU/mLである。
【実施例】
【0046】
(ロ)捕収剤
(i)陽イオン性界面活性剤
N,N-ジメチルドデシルアミン酢酸塩(N,N-DAA)
塩化ベンザルコニウム(BKC)
ドデシルアミン酢酸塩(DAA)
(ii)陰イオン性界面活性剤
オレイン酸ナトリウム(NaOl)
ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)
(ハ)起泡剤
非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(商品名:Triton X-100(以下、Triと記載することがある。))
(ニ)凝集剤
塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)
【実施例】
【0047】
(2)カラム型マイクロバブル浮選試験機
被処理水中から微生物及び有機物を除去するために、下部にマイクロバブル発生部を有するカラム型マイクロバブル浮選試験機(以下、浮選試験機という)を使用した。
(イ)浮選部分
カラム部は、内径50mm、高さ500mmの円筒型浮選セルである。
尚、浮選時間は、回分式を採用してマイクロバブルを導入している時間により制御した。
(ロ)マイクロバブルの発生装置
小型コンプレッサーを使用して、マイクロバブルの発生部である、貫通細孔(平均細孔径約0.8μm)を有するSPG膜に圧縮空気を供給し、被処理水中でマイクロバブルを発生させた。
マイクロバブルの発生装置は、円筒形状で上部蓋部は、シール構造で形成され、その銅部は、SPGテクノ(株)製、SPG(Shirasu Porous Glass(シラス多孔質ガラス))膜(サイズ:長さ20mm、外径8mm)で形成され、円筒形状の下部中空部に上記小型コンプレッサーからの圧縮空気を導入する接続部が設けられている。
上記蓋部は、円筒型浮選セル底部から5cm程度の位置に設けられている。
上記SPG膜に3.2~3.5Kg/cmの圧縮空気導入して被処理水中でマイクロバブル(気泡径50μm以下)を発生させた。
浮選機上部には、浮上物を回収するためのレシーバを設けた。
【実施例】
【0048】
(3)使用分析機器
(イ)コロニー形成単位数(CFU(Colony Forming Units per mililiter))
キッコーマンバイオケミファ(株)製、清浄度測定器(商品名:ルミスターC-110)を用い、プレート法によりATP濃度を測定し、該ATP濃度を用水中の残留CFUに換算した。
(ロ)全有機炭素濃度(TOC)
(株)島津製作所製、全有機炭素濃度測定装置(型式:TOC-V)を用いて、被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)を測定した。
【実施例】
【0049】
[実施例1]
(1)被処理水試料の調製
前記用水サンプル1に捕収剤として下記の3種類の陽イオン性界面活性剤をそれぞれ100(ppm)、起泡剤として中性イオン性界面活性剤(Triton X-100)をそれぞれに100(ppm)の濃度になるように添加して、被処理水として下記用水試料1-1~3を調製した。
用水1-1:捕収剤として、N,N-ジメチルドデシルアミン酢酸塩(N,N-DAA)を使用した。
用水1-2:捕収剤として、塩化ベンザルコニウム(BKC)を使用した。
用水1-3:捕収剤として、ドデシルアミン酢酸塩(DAA)を使用した。
【実施例】
【0050】
(2)浮選方法
浮選試験機の上部から用水1-1~3をそれぞれ供給すると共に、浮選試験機の下部に設置されたマイクロバブルの発生装置から、空気のマイクロバブルを発生させ、浮選試験機の上部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物をレシーバに回収し、浮選機から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水を回収した。
各用水のマイクロバブル浮選(以下、MBFということがある。)時間を10分間ずつ増加して60分間までとなるように調整した。
【実施例】
【0051】
(3)評価方法と、評価結果
上記用水1-1~3を使用して得られた、各マイクロバブル浮選時間における用水中の残留コロニー形成単位数(以下、コロニー形成単位数をCFUということがある。)の残留割合と、残留全有機炭素濃度(以下、残留TOCということがある。)を測定した。
残留CFU割合(%)(図1中「水中の残留CFU(%)」と記載する。以下、同じ。)とマイクロバブル浮選(MBF)時間の関係を図1に、残留全有機炭素の割合(%)(図2中、「水中の残留TOC(%)」と記載する。以下、同じ。))とMBF時間との関係を図2に示す。
【実施例】
【0052】
図1に示されるように、N,N-DAAを添加した用水1-1では、MBF開始60分後、残留CFUが0.5%程度であり、すなわち生菌の99.5%が除去されたことがわかる。
尚、該残留CFUで示される除去には、生菌、不活性化菌、及び死菌の系外への除去の他に、生菌の不活化、生菌の死菌化も含まれる(以下、同じ)。
捕収剤として、BKC、DAAの100ppm濃度溶液の用水1-2、3をそれぞれ用いることにより、生菌の除去がより顕著になり、MBF開始60分後に、用水1-2で残留CFUが0.2%以下、用水1-3で残留CFUが0.1%程度であることから、生菌の99.8~99.9%が除去されたことが分かる。
これは捕収剤の作用で生菌の不活性化と生菌の系外への排出が同時に起こったためである。また、一般に菌表面は平均して負に帯電しているため、陽イオン性界面活性剤からなる捕収剤が迅速かつ効果的に作用したと考えられる。
図2に示されるように、用水1-2でMBF60分後には残留TOCが63%程度、用水1-1で残留TOCが72%程度と用水の有機物も除去できていることが分かるが、用水1-3ではMBF開始前残留TOC170%(浮選開始前に添加剤の添加により残留TOCが100%から170%に上昇している)が60分後には残留TOCが101%程度と用水1-3の添加剤の添加前と同程度の残留TOCであった。
【実施例】
【0053】
[実施例2]
(1)被処理水試料の調製
前記用水サンプル1に捕収剤として下記の2種類の陰イオン性界面活性剤をそれぞれ100(ppm)、起泡剤として中性イオン性界面活性剤(Triton X-100)をそれぞれに100(ppm)の濃度になるように添加して、被処理水として下記用水試料2-1~2を調製した。
用水2-1:捕収剤として、オレイン酸ナトリウム(NaOl)を使用した。
用水2-2:捕収剤として、ドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)を使用した。
【実施例】
【0054】
(2)浮選方法
実施例1に記載したと同様に、浮選試験機の上部から用水2-1~2をそれぞれ供給すると共に、浮選試験機の下部に設置されたマイクロバブルの発生装置から、空気のマイクロバブルを発生させ、浮選試験機の上部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物を浮上回収し、浮選機から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水を回収した。
各用水のマイクロバブル浮選時間(MBF)を10分間ずつ増加して60分間までとなるように調整した。尚、実施例2において用水2-1についてはMBF5分後のアンダーフロー水の残留CFUと、残留TOCを測定した。
該浮選時間の制御は実施例1に記載したと同様の方法により行った。
【実施例】
【0055】
(3)評価方法と、評価結果
陰イオン性捕収剤として、NaOl、SDSをそれぞれ100ppmの濃度になるように添加した場合の用水2-1、2中の残留CFUとMBFとの関係を図3に、また残留TOCとMBFとの関係を図4に示す。
図3に示されるように、NaOlを添加した用水2-1では、MBF開始60分後、残留CFUが10%前後になり、90%が除去されたことが分かる。一方、SDSを添加した用水2-2では、除去効果はより顕著になり、MBF開始60分後に残留CFUが0.04%以下、すなわち生菌の99.96%以上が除去されたことが分かる。
これは用水中あるいは菌表面に存在し正イオンに解離するアミノ基(-NH)の存在により会合が促進されたことによるものと推察される。添加剤の添加により用水中の残留TOCが153%付近にまで増加したが、MBF60分後にはNaOl添加系では残留TOCが90%付近、SDS添加系では残留TOCが60%付近と用水中の有機物も除去でされていることが分かる。
【実施例】
【0056】
[実施例3]
(1)被処理水試料の調製
前記用水サンプル1に捕収剤として陽イオン性界面活性剤である塩化ベンザルコニウム(BKC)をそれぞれ下記濃度になるように添加して用水3-1~4、及びBKCと起泡剤の双方を下記濃度になるように添加して用水3-5をそれぞれ調製した。
用水3-1:塩化ベンザルコニウム(BKC)濃度が10ppmの用水
用水3-2:塩化ベンザルコニウム(BKC)濃度が25ppmの用水
用水3-3:塩化ベンザルコニウム(BKC)濃度が50ppmの用水
用水3-4:塩化ベンザルコニウム(BKC)濃度が100ppmの用水
用水3-5:塩化ベンザルコニウム(BKC)濃度が100ppm、及び起泡剤として中性イオン性界面活性剤(Triton X-100)濃度が100ppmの用水
【実施例】
【0057】
(2)浮選方法
実施例1に記載したと同様に、浮選試験機の上部から用水3-1~5それぞれ供給すると共に、浮選試験機の下部に設置されたマイクロバブルの発生装置から、空気のマイクロバブルを発生させ、浮選試験機の上部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物を浮上回収し、浮選機から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水を回収した。
各用水のマイクロバブル浮選時間(MBF)を5分間、その後はMBFを10分間ずつ増加して60分間までとなるように調整した。
該浮選時間の制御は実施例1に記載したと同様の方法により行った。
【実施例】
【0058】
(3)評価方法と、評価結果
実施例3において、捕収剤として効果が確認された、陽イオン性界面活性剤のBKCを用い、被処理水中の添加剤の添加濃度を種々変化させて得られた、残留CFUとMBFとの関係を図5に、及び残留TOCとMBFとの関係を図6に示す。
尚、被処理水中のBKC濃度は10~100ppmの濃度範囲で検討を行ったが、起泡剤(Tri)の添加は、比較のため用水3-5中のBKC濃度100ppmの場合のみである。図5から、用水中の捕収剤BKCの添加濃度が増加すると速やかに残留CFUが低下し、BKC50ppmでは60分後に残留CFUが0.1%以下、すなわち生菌の99.9%以上が除去されたことが分かる。
一方、用水中のBKCの濃度を50ppmよりも更に増加させると、生菌の除去率は99.8~99.9%程にやや低下したことから、用水中のBKC濃度には最適な濃度範囲が存在する可能性があると思われる。
また、用水中のBKC濃度100ppmにおいて、Tri添加系(用水3-5)とTri無添加系(用水3-4)を比較したところ、両者の間には残留CFU曲線には殆ど差が認められなかったが、図6に示すように残留TOC除去曲線には速度的な差が認められる。
【実施例】
【0059】
[実施例4]
実施例4において、捕収剤として陰イオン性界面活性剤SDSを用いて、被処理水中に凝集剤を添加した場合の残留CFU、及び残留TOCに及ぼす影響を調べた。
尚、実施例2と同様に陰イオン性界面活性剤SDSには起泡剤を添加した用水も調製した。
【実施例】
【0060】
(1)被処理水試料の調製
前記用水サンプル1に捕収剤として陰イオン性界面活性剤SDS、起泡剤として中性イオン性界面活性剤(Tri)、及び凝集剤として塩化アルミニウムとPACをそれぞれ下記の濃度になるように添加して、被処理水として下記用水試料4-1~4を調製した。
用水4-1:陰イオン性界面活性剤(SDS)濃度100ppm、及び起泡剤(Tri)濃度100ppmの用水
用水4-2:陰イオン性界面活性剤(SDS)濃度100ppm、起泡剤(Tri)濃度100ppm、及び凝集剤(塩化アルミニウム)50ppmの用水
用水4-3:陰イオン性界面活性剤(SDS)濃度100ppm、起泡剤(Tri)濃度100ppm、及び凝集剤(塩化アルミニウム)100ppmの用水
用水4-4:凝集剤(PAC)濃度100ppmの用水
【実施例】
【0061】
(2)浮選方法
実施例1に記載したと同様に、浮選試験機の上部から用水4-1~4それぞれ供給すると共に、浮選試験機の下部に設置されたマイクロバブルの発生装置から、空気のマイクロバブルを発生させ、浮選試験機の上部から微生物及び有機物が濃縮された浮上物を浮上回収し、浮選機の下部から微生物及び有機物が除去されたアンダーフロー水を回収した。
各用水のマイクロバブル浮選時間(MBF)を10分間ずつ増加して60分間までとなるように調整した。該浮選時間の制御は実施例1に記載したと同様の方法により行った。
【実施例】
【0062】
(3)評価方法と、評価結果
用水4-1~3を使用して、陰イオン性界面活性剤(SDS)濃度を一定とし(100ppm)、各種添加剤を上記量添加した場合の残存CFUと浮選時間の関係を図7に、残存TOCと浮選時間の関係を図8に示す。
図7から、凝集剤の塩化アルミニウムを用いた場合の生菌の除去率は添加しない場合よりもやや劣る傾向が認められる。特に、塩化アルミニウム濃度を50ppmとした場合では、MBF開始直後から残留CFU率が20%(除去率80%)とほぼ一定で、あまり除去が進んでいないことが分かる。この原因は陰イオン性界面活性剤(SDS)と、塩化アルミニウムのAl3+間で電価が丁度中和され、不活性化に寄与しない沈殿物が形成された可能性が示唆される。一方、図8に示すように凝集剤として、塩化アルミニウム系化合物を添加するとTOC除去速度と60分後のTOC除去率双方共に向上していることから、凝集剤の効果がある程度確認できた。
以上、適切な捕収剤、起泡剤及び凝集剤等の薬剤を添加したマイクロバブル浮選により、乳酸菌のような水棲菌類を極めて低濃度になるまで除去でき、更に有機物も除去可能である可能性が確認できた。
【実施例】
【0063】
[実施例5]
蒸留水が貯蔵された容器中の該水中に人間の手を浸漬させ、その液をグルコースで培養して被処理水を調製し、容器下部でマイクロバブルを発生させて、水中の菌の除去を試みた。
手に付着した菌を採取し、グルコース5g/Lの溶液中で所定温度(36℃)、所定時間(50時間)培養し、被処理水として浮選に供した。ATP法で測定した菌体数濃度は、9.7×10-5CFU/mLである。
捕収剤として、実施例1でも用いた塩化ベンザルコニウム(BKC)を用水中に100ppmの濃度になるように添加した。
実施例1に記載したと同様の方法で浮選を行った。
図9は、残留している生菌の割合(水中の残留CFU(%))と浮選時間(MBF)の関係を示す。MBFの経過と共に生菌の割合が低下し、10分間で90%以上、20分間以上で97%以上の菌が水から除去されたことが分かる。
従って、実施例5により、本発明の「水中の微生物及び有機物の除去方法」は、手に付着する雑菌類の除去にも効果があることが確認された。
【実施例】
【0064】
[実施例6]
実施例6において、微生物として排水溝に棲息する雑菌を培養して用いた以外は実施例1と同様に、微生物の除去を行った。
家庭の流し台排水溝から採取した菌をグルコース0.5g/Lの溶液中で所定温度(36℃)、所定時間(50時間)培養し、被処理水として浮選に供した。同様して測定した菌体数濃度は、7.9×10-5CFU/mLである。
図10は、水中に残留している生菌の割合(水中の残留CFU(%))と浮選時間(MBF)との関係を示す。この場合もMBFが増加すると生菌の割合が低下し、20分間で95%以上、30分間以上で98%以上の菌が水から除去されたことが確認された。
従って、実施例6により、本発明の「水中の微生物及び有機物の除去方法」は、排水溝に棲息する雑菌類の除去にも効果があることが確認された。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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