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明細書 :下水汚泥焼却灰を主原料とするリサイクルリン酸肥料の製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-098150 (P2016-098150A)
公開日 平成28年5月30日(2016.5.30)
発明の名称または考案の名称 下水汚泥焼却灰を主原料とするリサイクルリン酸肥料の製造方法
国際特許分類 C05B  17/00        (2006.01)
FI C05B 17/00
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2014-237339 (P2014-237339)
出願日 平成26年11月25日(2014.11.25)
発明者または考案者 【氏名】後藤 逸男
出願人 【識別番号】598096991
【氏名又は名称】学校法人東京農業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100122574、【弁理士】、【氏名又は名称】吉永 貴大
審査請求 未請求
テーマコード 4H061
Fターム 4H061AA01
4H061AA02
4H061BB41
4H061BB44
4H061EE27
4H061EE43
4H061EE44
4H061EE45
4H061FF12
4H061GG25
4H061GG28
4H061GG41
4H061KK02
4H061LL15
要約 【課題】大型プラントを設置することなく、また、大量の試薬や水を使用することなく、下水汚泥焼却灰を主原料として簡易にかつ安価にリン酸肥料を製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】陽イオン交換体と有機酸とを混合することにより固体酸を調製する工程と、該固体酸と下水汚泥焼却灰とを混合することにより下水汚泥焼却灰と固体酸との混合物を調製する工程と、を有するリサイクルリン酸肥料の製造方法により解決する。
【選択図】図3
特許請求の範囲 【請求項1】
陽イオン交換体と有機酸とを混合することにより固体酸を調製する工程と、
該固体酸と下水汚泥焼却灰とを混合することにより下水汚泥焼却灰と固体酸との混合物を調製する工程と、
を有するリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項2】
さらに、前記混合物をペレット状に成型する工程を有する、請求項1に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項3】
前記陽イオン交換体が、天然ゼオライト、人工ゼオライト、珪藻土、酸性白土、ベントナイトからなる群から選択された少なくとも1種類である、請求項1又は2に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項4】
前記有機酸が、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、イタコン酸、およびこれらの塩からなる群から選択された少なくとも1種類である、請求項1~3のいずれか1項に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項5】
前記有機酸の添加量が、前記陽イオン交換体に対して10~40重量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項6】
前記固体酸と前記下水汚泥焼却灰との割合が、質量比で1:3~3:1である、請求項1~5のいずれか1項に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
【請求項7】
前記ペレットが直径1~10mm、長さ3~20mmに成型されたものである、請求項2~6のいずれか1項に記載のリサイクルリン酸肥料の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、下水処理場において大量に発生する下水汚泥焼却灰を主な原料として、安価で簡易にリン酸肥料を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下水汚泥焼却灰中には20~30%のリン酸が含まれているが、アルミニウムや鉄型リン酸の形態で存在するため植物には吸収利用できない。従来からこの下水汚泥焼却灰からリン酸肥料を製造する技術開発が進められ、すでに様々な手法が開発されている。ただし、いずれも化学処理あるいは加熱などの物理的処理を施すため、プラント製造およびプラントのランニングに多大な経費を要する。そのため、現状で実用化されている技術は、国交省の大型プロジェクト(ロータスプロジェクト)により開発され、岐阜市と鳥取市で稼働しているアルカリ溶出法に限られる。しかし、黒字化事業には至っていない。
【0003】
つい最近まで、世界的規模でのリン鉱石枯渇が危惧されてきたことで、下水汚泥焼却灰などの未利用廃棄物資源からリン酸を資源化する機運が大いに高まった。ところが、最近になって中近東で大量の新規リン鉱石鉱脈が発見され、今後数百年のリン酸資源が確保された。ただし、わが国には資源としてのリン鉱石は皆無で、リン酸資源の全てを輸入に依存している。リン酸は肥料としての農業利用を始め、工業用用途として不可欠な資源であるが、環境に放出されると湖沼や海域の富栄養化の原因物質となる。従って、国内で発生する下水汚泥焼却灰などからリン酸を資源化し、海外からのリン酸輸入量の削減を図ることがわが国の環境保全上、極めて重要な課題である。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2014-114190号公報
【特許文献2】特開2013-253000号公報
【特許文献3】特開2013-237588号公報
【特許文献4】特開2013-014492号公報
【特許文献5】特開2007-308322号公報
【特許文献6】特開2007-246361号公報
【特許文献7】特開2007-246360号公報
【特許文献8】特開2006-001819号公報
【特許文献9】特開2005-255485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~4では、下水汚泥焼却灰と石灰を添加混合し、1000℃前後のロータリーキルン内で焼成するため、大量の熱エネルギーを必要とする。また、特許文献5では水熱処理を施す必要がある。特許文献6及び7では、下水汚泥焼却灰から化学的にリン酸を溶出・沈殿させるため大型プラントの設置が必要なだけではなく試薬や多量の水の使用を必要とする。特許文献8及び9では、下水汚泥焼却灰に酸化カルシウムや酸化マグネシウムを添加混合して1600℃程度の還元溶融炉内で処理するため、大量の電力を必要とする。
【0006】
以上のように、従来技術のリン酸肥料の製造方法では、下水汚泥焼却灰からリン酸肥料を製造するために大量の試薬やエネルギーが必要で、製造経費が嵩むという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、大型プラントを設置することなく、また、大量の試薬や水を使用することなく、下水汚泥焼却灰を主原料として簡易にかつ安価にリン酸肥料を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、ゼオライト等の陽イオン交換体に特定の有機酸を添加、混合して得られた固体酸に下水汚泥焼却灰を混合したところ、優れたリン酸肥料として利用することができるとの知見を得た。
【0009】
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、陽イオン交換体と有機酸とを混合することにより固体酸を調製する工程と、該固体酸と下水汚泥焼却灰とを混合することにより下水汚泥焼却灰と固体酸との混合物を調製する工程と、を有するリサイクルリン酸肥料の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、大型プラントを設置することなく、また、大量の試薬や水を使用することなく、下水汚泥焼却灰を主原料として簡易にかつ安価にリン酸肥料を製造することが可能となる。
【0011】
また、本発明の方法で製造される下水汚泥焼却灰を主原料とするリサイクルリン酸肥料は、下水処理場から大量に発生する下水汚泥焼却灰とわが国に大量に埋蔵される天然ゼオライトなどの陽イオン交換体、それにクエン酸製造工場等から排出される発酵廃液等の有機酸を原料として製造されるリサイクルリン酸肥料として農業や緑化事業に利用できる。
【0012】
リン酸資源の大部分を輸入に依存するわが国にとって、国内産リサイクルリン酸肥料を活用することにより、リン酸輸入量を削減することができれば、環境負荷物質でもあるリン酸の国内持ち込み量の削減に繋がる。
【0013】
また、本発明により製造されたリサイクルリン酸肥料をリン酸肥料として利用することで、植物に吸収されるカドミウム量を軽減することができる。
【0014】
本発明を実施するために必須の機器は混合器のみであり(ペレット化する場合は成型機)、既存技術に比較して飛躍的に製造コストを削減できる。また、製造に伴う残渣などの副産物が発生しないことも本発明の利点のひとつでもある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】チンゲンサイに対するリン酸肥効を検討した結果を示す図である。
【図2】チンゲンサイに対するリン酸肥効を検討した結果を示す図である。
【図3】ソルゴーに対するリン酸肥効を検討した結果を示す図である。
【図4】チンゲンサイに対するリン酸肥効を検討した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の実施形態に係るリサイクルリン酸肥料の製造方法について説明する。本実施形態により製造されるリサイクルリン酸肥料は、野菜や畑作物などに対するリン酸肥料として利用することができる。そのメカニズムは次のとおりである。

【0017】
本来、下水汚泥焼却灰中のリン酸はアルミニウムあるいは鉄と結合した形態であるため、作物には利用しにくい。そこで、先ず本実施形態では陽イオン交換体に有機酸を添加・混合し、固体酸を製造する。特に加熱や加圧は必要なく、常温、常圧で混合すればよい。

【0018】
本実施形態において「固体酸」とは、表面に吸着した水素イオンに対して酸の作用をする物質をいい、多価カチオンでイオン交換された陽イオン交換体がこの固体酸機能を発揮する。

【0019】
本実施形態で使用される陽イオン交換体としては、陽イオン交換能を有するものであれば特に制限はないが、陽イオン交換容量(Cation Excange Capacity:C.E.C)の大きな陽イオン交換体であるものが好ましく、例えば、天然ゼオライト、人工ゼオライト、珪藻土、酸性白土、ベントナイト(モンモリロナイト)などを挙げることができ、特にゼオライトを用いることが好ましい。ゼオライトは150meq/100g程度の陽イオン交換容量を持ち、その陰イオン基にはカルシウム、マグネシウム、カリウムなどの塩基が交換吸着されている。それにクエン酸等の有機酸が添加されると交換性塩基が有機酸と陽イオン交換反応を起こして、交換基に水素イオンが吸着されて酸性ゼオライト(固体酸)となる。なお、陽イオン交換体は1種類のみならず、2種類以上を併用することもできる。

【0020】
ゼオライト等の陽イオン交換体からなる担体を使用せず、下水汚泥焼却灰とクエン酸等の有機酸とを直接混合すると下水汚泥焼却灰に含まれる硫化物と酸が反応して有毒な硫化水素が発生する。ところが、予め陽イオン交換体と有機酸とを混合して固体酸としておけば、下水汚泥焼却灰と混合しても硫化水素ガスは発生しない。

【0021】
本実施形態で使用される有機酸としては、クエン酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、プロピオン酸、酪酸、ギ酸、乳酸、酒石酸、イタコン酸、およびこれらの塩等を挙げることができるが、肥料としての適性を考慮した場合はクエン酸を使用することが特に好ましい。有機酸の形態についても特に限定はなく、固体、水溶液、発酵液、他の物質との混合液等を挙げることができ、有機酸生産工場から排出される有機酸含有廃液でもよい。なお、固体(粉状物、粒状物、固形物)の有機酸を用いる場合は、水等を添加し液状にして使用する。また、有機酸は1種類のみならず、2種類以上を併用することもできる。

【0022】
有機酸の添加量は、その中に含まれている有機酸含有量により異なるが、例えば、クエン酸を使用した場合、前述した陽イオン交換体に対して少なくとも5重量%以上、さらには10重量%以上とすることが好ましく、40重量%程度とすることがより好ましい。有機酸添加量が5重量%未満の場合には、陽イオン交換体の酸としての性質が弱まり、所望のリン酸肥料効果が得られない。また、40重量%を超えると効果が頭打ちになる。

【0023】
陽イオン交換体に有機酸(固形物の場合には有機酸と水)を添加・混合し、固体酸を製造した後、これを乾燥させることが好ましい。乾燥方法は特に制限されることはなく、風乾、通風乾燥、加熱乾燥等、一般的な乾燥方法を採用することができる。

【0024】
次に、この固体酸と下水汚泥焼却灰を混合し、下水汚泥焼却灰と固体酸との混合物を調製する。特に加熱や加圧は必要なく、常温、常圧で混合すればよい。固体酸と下水汚泥焼却灰との混合割合は、質量比(重量比)で1:3~3:1であることが好ましく、1:2~2:1であることがより好ましく、1:1であることがさらに好ましい。

【0025】
本実施形態においては、このようにして製造された粉末状の混合物をリサイクル肥料として利用することもできるが、肥料に遅効性を付与し長期間の施用に耐えられる形態とするとともに、ハンドリング性を向上させるために、前記混合物をペレット状に成型することが好ましい。

【0026】
混合物をペレットに成型する方法は特に限定されず、例えば、ディスクペレッターなど一般にペレット成型機として知られている装置により、前記混合物にバインダーを添加、混合してペレットを製造することができる。ペレットの大きさは、直径1~10mm、長さ3~20mmが好ましく、特に直径3mm、長さ5mm程度が最適であるが、製造効率を高めるにはそれより大きくしてもよい。また、ペレットの成型強度は30~150 Nとするのが好ましく、90N前後の成型強度が最適である。なお、ここで「成型強度」はぺレットを押圧して圧壊するときの荷重で表わされる。

【0027】
前記バインダーとしては、例えば、水溶性炭水化物であるデンプン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、糖類等の他に、廃糖蜜、各種粘土類、石膏、リグニンスルホン酸、乳酸カルシウム、セルロース、PVA、ガム類、イースト菌やアミノ酸等の発酵廃液、大豆油、菜種油、亜麻仁油、ヤシ油などの植物油等が挙げられる。

【0028】
本実施形態により製造されたリサイクルリン酸肥料を畑に施用すると、土壌中の水分を吸収して、ペレット内で下水汚泥焼却灰と固体酸が反応する。その結果、下水汚泥焼却灰中から溶出したリン酸と有機酸のカルシウム塩やマグネシウム塩などの有機酸塩が反応してリン酸カルシウムやリン酸マグネシウムなどを生成する。リン酸カルシウムやリン酸マグネシウムなどは下水汚泥焼却灰中のリン酸アルミニウムやリン酸鉄より溶解しやすい可給態リン酸であるので、作物に吸収利用されて作物生育を増進させる。

【0029】
また、ゼオライトや珪藻土等には金属イオンを吸着する機能があるので、カドミウムイオンの作物への吸収を抑制することができる。
【実施例1】
【0030】
粉末の山形県米沢市板谷鉱山産天然ゼオライト(クリノプチロライトを主成分とし、CEC 150meq/100g)にクエン酸製造工場から排出されたクエン酸発酵廃液を、クエン酸としてゼオライトの重量に対し8.5、17.0、34.0重量%添加混合して乾燥後、同量の下水汚泥焼却灰を添加混合し、バインダーを添加後ディスクペレッターで直径3mm、長さ5mmに成型加工した(試料3~5)。なお、各サンプルの成型強度は約90Nであった。
【実施例1】
【0031】
試作したサンプルの他に、原料として供試した下水汚泥焼却灰単独(試料1)、クエン酸発酵廃液を添加せずゼオライトのみと下水汚泥焼却灰を添加混合した成型資材(試料2)を製造した。
【実施例1】
【0032】
製造したサンプルについて、肥料取締法に基づいた分析法により水溶性リン酸量を測定したところ、表1のとおりであった。
【実施例1】
【0033】
【表1】
JP2016098150A_000003t.gif
【実施例1】
【0034】
下水汚泥焼却灰単独(試料1)では、水溶性リン酸量が0.1重量%に過ぎなかったが、本発明のリサイクルリン酸肥料添加区(試料3~5)ではクエン酸添加量が増えるほど水溶性リン酸量が増加した。なお、クエン酸発酵廃液を添加していないゼオライトを用いたクエン酸無添加区(試料2)でも水溶性リン酸が若干増加したが、その原因は下水汚泥焼却灰中のリン酸アルミニウムの一部がゼオライト中のカルシウムイオンと反応してリン酸カルシウムに変化したためと思われる。
【実施例2】
【0035】
実施例1で試作した3種類のリサイクルリン酸肥料(試料3~5)のリン酸肥料としての効果をチンゲンサイによるポット栽培試験により判定した。本試験では、3種類のサンプルの他に対照肥料として粉末状の過リン酸石灰(過石:試料6)、比較肥料として下水汚泥焼却灰から製造した粉末状のリン酸カルシウム(試料7)を供試した。なおその他に、試作したサンプルの原料として供試した下水汚泥焼却灰単独(下水灰:試料1)、クエン酸発酵廃液を添加せず、ゼオライトのみと下水汚泥焼却灰を添加混合した成型資材(クエン酸なし:試料2)も供試した。さらに、リン酸肥料を施用しない区(無リン酸)についても実施した。
【実施例2】
【0036】
供試土壌には栃木県鹿沼市の山林から採取した多腐植質黒ボク土を用い、各試験区にはリン酸をP2O5として0.7g施用した(無リン酸区を除く)。1/5000aワグネルポットを用いてガラス温室内でチンゲンサイを栽培した。そして、栽培終了後にチンゲンサイを地際から切り取り、試験区毎のチンゲンサイの重さを測定して生育量とした。その後、乾燥・粉砕したチンゲンサイを濃硝酸で加熱分解し、ICP発光分光分析法によりリンとカドミウム含有量を測定した。なお、リン酸吸収量はチンゲンサイ中のリン酸含有量に生育量を乗じて算出した(生育量、リン酸吸収量及びカドミウム含有量の測定は後述する実施例でも同様の方法で実施した)。チンゲンサイの収穫前の生育状況を図1に、生育量とリン酸吸収量を表2に示す。
【実施例2】
【0037】
【表2】
JP2016098150A_000004t.gif
【実施例2】
【0038】
供試土壌がリン酸欠乏土壌であったため、無リン酸区ではほとんど生育しなかった。下水汚泥焼却灰単独区(試料1)に比べて、本発明のリサイクルリン酸肥料添加区(試料3~5)では生育量、リン酸吸収量のいずれも顕著に増加した。特に、試料5のクエン酸34重量%添加区では既存肥料の過石区と同等のリン酸肥効を示し、既存技術により製造されたやリン酸カルシウムより優った。さらに、試料3~5区におけるチンゲンサイ中のカドミウム含有量は下水汚泥焼却灰単独区の1/4程度に軽減され、過石区やリン酸カルシウム区より低かった。
【実施例3】
【0039】
実施例1と同様の原料と方法で成型強度の異なる5種類(30、60、90、120、150N)のサンプル(ゼオライトに対するクエン酸添加量は34重量%とした。)を試作した(試料8~12)。これらのサンプルを用いて、実施例2と同じ方法でチンゲンサイのポット栽培試験を行い、リン酸肥料として最適の成型強度について検討した。
【実施例3】
【0040】
なお、対照リン酸肥料として粉末状の過リン酸石灰(過石:試料13)と熔成リン肥(熔リン:試料14)を供試し、比較肥料として、実施例1で使用した下水汚泥焼却灰単独(試料1)、下水汚泥焼却灰から製造した熔成汚泥灰複合肥料(エコリン:試料15)及びリン酸カルシウム(試料16)を供試した。さらに、リン酸肥料を施用しない区(無リン酸)についても実施した。チンゲンサイの収穫前の生育状況を図2に、生育量とリン酸吸収量を表3に示す。
【実施例3】
【0041】
【表3】
JP2016098150A_000005t.gif
【実施例3】
【0042】
図2及び表3に示すように、本発明のリサイクルリン酸肥料添加区(試料8~12)では成型強度が低下するほどリン酸肥効が高まり、120N以下では熔リン区(試料14)と、60N以下では過石区(試料13)と同等のリン酸肥効を示した。また、既存技術で製造された熔成汚泥灰複合肥料(エコリン(商標):試料15)やリン酸カルシウム区(試料16)と比較して、全ての試料8~12区のリン酸肥効が優った。
【実施例3】
【0043】
ペレットは成型強度が低いと圧密を受けて変形しやすいので、90N前後のペレットに成型することが最も実用的と判断された。
【実施例4】
【0044】
実施例1と同様の方法でゼオライトに対するクエン酸添加量を34重量%、成型強度を90Nとしたサンプル(試料17)を試作し、ソルゴーに対するリン酸肥効を検討した。なお対照肥料として、実施例1で使用した下水汚泥焼却灰単独(試料1)、過石(試料18)及び熔リン(試料19)を供試し、ポット栽培試験を行った。さらに、リン酸肥料を施用しない区(無リン酸)についても実施した。なお、供試土壌には実施例2、3と同じ土壌を用い、リン酸施用量をP2O5として2g/potとした(無リン酸区を除く)。ソルゴーの収穫前の生育状況を図3に、生育量とリン酸吸収量を表4に示す。
【実施例4】
【0045】
【表4】
JP2016098150A_000006t.gif
【実施例4】
【0046】
図3及び表4に示すように、下水灰単独区(試料1)に比べて本発明のリサイクルリン酸肥料添加区(試料17)では、生育量がほぼ10倍に増加した。また、その生育とリン酸吸収量は過石区(試料18)・熔リン区(試料19)と比較しても同等以上であった。
【実施例5】
【0047】
担体としてゼオライトと珪藻土を用いて2種類のサンプルを試作した(試料20、試料21)。なお、このサンプル2種類のクエン酸発酵廃液添加量は担体の34重量%とし、成型強度は90Nとした。これらのサンプルを用いて、実施例2と同じ方法でチンゲンサイのポット栽培試験を行い、固体酸の製造に用いる担体について検討した。なお、対照リン酸肥料として、実施例1で使用した下水汚泥焼却灰単独(試料1)、過リン酸石灰(過石:試料22)、熔成リン肥(熔リン:試料23)、比較肥料として、熔成汚泥灰複合肥料(エコリン(商標):試料24)及び下水汚泥焼却灰から製造したリン酸カルシウム(試料25)を供試した。さらに、リン酸肥料を施用しない区(無リン酸)についても実施した。チンゲンサイの収穫前の生育状況を図4に、生育量とリン酸吸収量を表5に示す。
【実施例5】
【0048】
【表5】
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【実施例5】
【0049】
図4及び表5に示すように、担体として珪藻土を用いても、ゼオライトと同等のリン酸肥効を示した。また、2種類のサンプル(試料20、試料21)共に、対照肥料や比較肥料と同等あるいはそれ以上のリン酸肥効を示した。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3