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明細書 :スルホ基含有ラダー型ポリシルセスキオキサン及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6057378号 (P6057378)
公開番号 特開2015-042709 (P2015-042709A)
登録日 平成28年12月16日(2016.12.16)
発行日 平成29年1月11日(2017.1.11)
公開日 平成27年3月5日(2015.3.5)
発明の名称または考案の名称 スルホ基含有ラダー型ポリシルセスキオキサン及びその製造方法
国際特許分類 C08G  77/28        (2006.01)
C08G  77/06        (2006.01)
FI C08G 77/28
C08G 77/06
請求項の数または発明の数 3
全頁数 11
出願番号 特願2013-174575 (P2013-174575)
出願日 平成25年8月26日(2013.8.26)
審査請求日 平成28年4月22日(2016.4.22)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
発明者または考案者 【氏名】金子 芳郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100090273、【弁理士】、【氏名又は名称】國分 孝悦
審査官 【審査官】小森 勇
参考文献・文献 特開平5-271243(JP,A)
調査した分野 C08G 77/28
C08G 77/06
特許請求の範囲 【請求項1】
構造式が下記の化学式1で表されることを特徴とするラダー型ポリシルセスキオキサン。
【化1】
JP0006057378B2_000005t.gif

【請求項2】
前記化学式1におけるn個の繰り返し単位の構造が、主鎖がねじれたロッド構造となっていることを特徴とする請求項1に記載のラダー型ポリシルセスキオキサン。
【請求項3】
構造式が下記の化学式2で表される3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランをアルカリ性水溶液に混合して下記の化学式3で表される化合物を生成する工程と、
前記化合物を加熱して重縮合させる工程と、
前記重縮合後の化合物の金属イオンを水素イオンと交換する工程と、
を有することを特徴とするラダー型ポリシルセスキオキサンの製造方法。
【化2】
JP0006057378B2_000006t.gif
【化3】
JP0006057378B2_000007t.gif
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホ基含有ラダー型ポリシルセスキオキサン及びその製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
ナフィオン等のスルホ基含有ポリマーは、固体高分子形燃料電池(PEFC)の固体電解質(プロトン伝導体)等に利用されており、非常に重要な材料である。このPEFCは、燃料電池の中でも低温での動作が可能、起動が早い、小型化等の理由により、携帯端末や燃料電池自動車用のバッテリー等への応用が期待され、近年非常に注目されている。
【0003】
しかし、PEFCに用いられる代表的なプロトン伝導体のナフィオンは、100℃付近にガラス転移点が存在するため、この温度以上ではポリマー自体が軟化するため作動できない。このことから、高温にすることである程度抑制できる一酸化炭素(燃料中に残存している)による白金触媒の劣化も問題となる。すなわち、ある程度の高温下(約100℃~200℃)での効率的なプロトン伝導を示す固体電解質の開発は、クリーンで安全な燃料電池を様々な用途で利用するために重要である。
【0004】
以上の研究背景より、耐熱性に優れるプロトン伝導体の開発が検討されている。例えば、ポリベンズイミダゾールにリン酸がドープされた膜が知られている(非特許文献1)。しかし、この膜の形成には煩雑な処理が必要とされ、またリン酸のドープ量を増やすと膜の力学的強度が低下するなどの問題がある。
【0005】
耐熱性等に優れる有機-無機ハイブリッド材料をベースとしたプロトン伝導体の簡便な合成も報告されている。例として、多孔質錯体(金属有機構造体:MOF)の細孔中にイミダゾール分子を含む材料(非特許文献2)、及び硫酸イオンを対イオンとする1級アミン含有ポリシルセスキオキサン(PSQ)(非特許文献3)等が挙げられる。しかし、これらの材料は一度合成した後では溶媒に不溶となるため、合成する課程で成膜する必要があり、成形加工性においては有機ポリマー系のプロトン伝導体に劣る。また、不溶材料であることから、溶媒に溶出させて分離精製し再利用することが困難なため、リサイクル性においても課題がある。固体電解質のリサイクル利用は、燃料電池自動車の普及を考えた場合、低コスト化という観点から重要である。
【0006】
一方で、三官能性有機シランモノマー(シランカップリング剤)を用いて合成されるラダー型(はしご型)PSQが様々な分野で期待されている。ラダー型PSQは、主鎖構造が結合エネルギーの高いSi-O結合からなることに加えて、二重鎖構造であるため、熱的、力学的及び化学的に安定した耐久性に優れる材料である。また、シリカゲルなどの無機骨格材料とは異なり、このラダー型PSQは一次元ポリマーであることから可溶性であり、溶液での利用も可能であることから成形加工性にも優れる。
【0007】
しかしながら、可溶性ラダー型PSQの合成は難しく、その報告例は非常に少ない。これは、PSQは三官能性有機シランモノマーの重縮合によって合成されることから、通常は、不規則な三次元網目構造を持つ不溶性の材料となりやすいからである。このように、従来の手法では可溶性ラダー型PSQを容易に製造することができない。従って、前述の問題を解決できるようなプロトン伝導体へと応用することも困難である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許第4555962号公報
【0009】

【非特許文献1】L. Xiao et al., Chemistry of Materials, vol.17, pp.5328-5333, 2005年
【非特許文献2】S. Bureekaew et al., Nature Materials, vol.8, pp.831-836, 2009年
【非特許文献3】T. Tezuka et al., Journal of the American Chemical Society, vol.128, pp.16470-16471, 2006年
【非特許文献4】Y. Kaneko et al., Chemistry of Materials, vol.16, p.3417-3423, 2004年
【非特許文献5】Y. Kaneko et al., Polymer, vol.46, p.1828-1833, 2005年
【非特許文献6】Y. Kaneko et al., International Journal of Polymer Science, Article ID 684278, 2012年
【非特許文献7】Y. Kaneko et al., Polymer, vol.53, p.6021-6026, 2012年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、容易に製造することができる可溶性のスルホ基含有ラダー型PSQ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るラダー型ポリシルセスキオキサンは、構造式が下記の化学式1で表されることを特徴とする。
【0012】
【化1】
JP0006057378B2_000002t.gif

【0013】
本発明に係るラダー型ポリシルセスキオキサンの製造方法は、構造式が下記の化学式2で表される3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランをアルカリ性水溶液に混合して下記の化学式3で表される化合物を生成する工程と、前記化合物を加熱して重縮合させる工程と、前記重縮合後の化合物の金属イオンを水素イオンと交換する工程と、を有することを特徴とする。
【0014】
【化2】
JP0006057378B2_000003t.gif

【0015】
【化3】
JP0006057378B2_000004t.gif

【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、PEFCの固体電解質(プロトン伝導体)など、様々な分野に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】PSQ-SO3Hの1H NMR分光測定の結果を示す図である。
【図2】PSQ-SO3HのEDXの結果を示す図である。
【図3】PSQ-SO3HのXPSの結果を示す図である。
【図4】PSQ-SO3Hの赤外分光測定の結果を示す図である。
【図5】PSQ-SO3Hの29Si NMR分光測定の結果を示す図である。
【図6】PSQ-SO3HのXRD測定の結果を示す図である。
【図7】相対湿度(RH)を異ならせた場合のXRD測定の結果を示す図である。
【図8】PSQ-SO3HのTEM観察の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明者はこれまでに、アミノ基含有有機トリアルコキシシランモノマーの酸水溶液を触媒とするゾル-ゲル反応により、ヘキサゴナル相に積層する分子量が1.2×104程度の水溶性アンモニウムカチオン含有ロッド状PSQが得られることを見出してきた(特許文献1、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6)。水溶性アンモニウムカチオン含有ロッド状PSQが得られるのは、はしご(ラダー)構造のPSQが、側鎖に存在するアンモニウムカチオン同士の電荷の反発により、側鎖間距離が最も離れるコンフォメーションであるねじれた構造(剛直ロッド構造)を形成したためと推察している。

【0019】
このような規則的な分子構造やナノ構造を形成するための駆動力は、モノマー中のアミノ基と酸触媒から形成される"塩(イオン)"の自己組織化能である。このことから、さらに本発明者は、シアノ基含有有機トリアルコキシシランモノマーの塩基水溶液を触媒とするゾル-ゲル反応においても、ヘキサゴナル相に積層する水溶性カルボキシレートアニオン含有ロッド状(ラダー型)PSQが得られることを見出してきた(非特許文献7)。水溶性カルボキシレートアニオン含有ロッド状(ラダー型)PSQの生成では、モノマー中のシアノ基が加水分解されて生成したカルボキシル基と塩基触媒からなるイオンが、規則構造形成のための駆動力となっている。

【0020】
すなわち、本発明者は、PSQ側鎖に存在するイオンの種類がカチオン・アニオンのいずれにおいても、イオンを形成させながらゾル-ゲル反応を行うことにより、ヘキサゴナル相に積層するような可溶性ロッド状(ラダー型)PSQが合成できることを明らかにしてきた。

【0021】
ラダー型PSQは、耐熱性や耐久性に優れる可溶性ポリマーとして様々な用途に応用することができるが、スルホ基を側鎖に持つラダー型PSQの合成については報告されていない。このようなスルホ基含有ラダー型PSQは、前述の比較的高温下での効率的なプロトン伝導を示す固体電解質の素材としての利用が期待される。

【0022】
そして、本発明者は、スルホ基含有ラダー型PSQを生成するため、鋭意に研究した結果、モノマーとして3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランを用いてアルカリ性の条件下で過酸化水素によるメルカプト基の酸化反応を行いながら、重合反応させることにより、ヘキサゴナル相のような規則的な配列構造を持った可溶性のスルホ基含有ラダー型PSQを得ることができることを見出した。

【0023】
以下、本発明の実施形態について添付の図面を参照して具体的に説明する。本発明の実施形態に係るラダー型PSQの構造式は上記の化学式1で表される。つまり、このラダー型PSQは、スルホ基を側鎖に有している。

【0024】
このラダー型PSQは、次のようにして製造することができる。

【0025】
先ず、構造式が上記の化学式2で表される3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランを準備する。3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランとしては、例えば3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPTMS)を用いる。3-メルカプトプロピルトリアルコキシシランとして3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等を用いてもよい。次いで、MPTMSをアルカリ性水溶液と混合し、撹拌する。アルカリ性水溶液としては、例えば濃度が2.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いる。アルカリ性水溶液として、水酸化リチウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化ルビジウム水溶液、又は水酸化セシウム水溶液等を用いてもよいが、水酸化ナトリウムはこれらよりも容易に入手しやすい。水酸化ナトリウム水溶液を用いる場合、例えば、水酸化ナトリウム:MPTMSのモル比を12:1とする。撹拌は、例えば1時間行う。その後、この混合物を過酸化水素水溶液と混合し、撹拌する。例えば、過酸化水素水溶液の濃度は30%とし、過酸化水素:MPTMSのモル比を6:1とする。撹拌は、例えばアルゴンガス雰囲気等の不活性ガス雰囲気下で14時間行う。この結果、メルカプト基の酸化反応及びアルコキシ基の加水分解が起こり、構造式が上記の化学式3で表される化合物が得られる。

【0026】
続いて、この化合物を、例えば開放系で約60℃で加熱して重縮合させる。この重縮合の際に溶媒が蒸発し、粉末状の粗生成物が得られる。一般的にモノマーから重縮合によりPSQを得る場合、不規則な三次元網目構造を形成し、不溶性の材料となりやすい。これに対して本実施形態では、構造式が上記の化学式3で表される化合物が酸と塩基とからなる塩(イオン)を形成しているため、三次元的な重合が抑制され、可溶性の規則的な配列のラダー構造の化合物が得られる。

【0027】
次いで、陽イオン交換樹脂を用いて、重縮合後の化合物(粉末状の粗生成物)のナトリウムイオン等の金属イオンを水素イオンと交換する。陽イオン交換樹脂としては、交換基としてスルホン酸基を有するものが挙げられる。このイオン交換の際には、例えば粉末状の粗生成物を陽イオン交換樹脂が入っている水に加えて室温で3時間撹拌する。

【0028】
このような方法により、上記の化学式1で表されるスルホ基含有ラダー型PSQを製造することができる。

【0029】
本実施形態に係るスルホ基含有ラダー型PSQでは、ねじれてロッド構造が形成されており、その結果、ヘキサゴナル積層構造が構築されている。また、ラダー型PSQの主鎖部分の両端には、Si-OH結合が形成されている。更に、重量平均分子量は特に限定さえるものではないが、上述のような条件下で重縮合させた場合、7000程度である。

【0030】
このように、本実施形態に係るスルホ基含有ラダー型PSQは、Si-O結合由来の耐熱性及び耐久性を備えている。また、このスルホ基含有ラダー型PSQは可溶性も備えている。従って、このスルホ基含有ラダー型PSQは、良好な成形加工性を呈する。このため、比較的高温下での効率的なプロトン伝導を示すPEFCの固体電解質等への応用が期待できる。

【0031】
更に、上述のように、本実施形態に係るスルホ基含有ラダー型PSQは、比較的容易に製造することができる。
【実施例】
【0032】
次に、本発明者が行った実験について説明する。なお、この実験における条件等は、本発明の実施可能性等を確認するために採用した例であり、本発明は、これらの例に限定されるものではない。
【実施例】
【0033】
この実験では、先ず、0.614g(3.0mmol)のMPTMSを濃度が8%(2.0mol/L)の水酸化ナトリウム水溶液18mL(36.0mmol)に混合して1時間撹拌した。次いで、2.041g(18.0mmol)の30%過酸化水素水溶液を加えてアルゴン雰囲気下において室温で14時間撹拌して、上記の化学式3で表される化合物を生成した。その後、この化合物を開放系で約60℃で加熱し、溶媒を蒸発させて重縮合を進行させ、粉末状の粗生成物を生成した。なお、化学式3で表される化合物は単離することが困難である。続いて、粉末状の粗生成物を約400cm3のH+タイプ強酸性陽イオン交換樹脂が入っている500mLの水に加えて室温で3時間撹拌した。次いで、陽イオン交換樹脂をろ別し、得られた水溶液をロータリーエバポレーターで10mLまで濃縮した。その後、濃縮液の凍結乾燥を行い、生成物を得た。続いて、この生成物を約30mLのアセトン中で12時間撹拌し、メノウ乳鉢を用いて細かく粉砕した。次いで、ろ過による単離及び減圧乾燥を行った。この結果、構造式が上記の化学式1で表されるスルホ基含有ラダー型PSQ(PSQ-SO3H)が0.504g(収率91%)得られた。
【実施例】
【0034】
そして、PSQ-SO3Hの一部を採取し、
JEOL製のECX-400 spectrometerを用いたプロトン及びシリコン核磁気共鳴(1H NMR及び29Si NMR)分光測定、
日本FEI製のXL30を用いたエネルギー分散型X線分光測定(EDX)、
Shimadzu製のAXIS ULTRA-DLDを用いたX線光電子分光測定(XPS)、
JASCO製のFT/IR-4200 spectrometerを用いた赤外分光測定、
大塚電子製のDLS-8000 spectrophotometerを用いた静的光散乱(SLS)によるジムプロット法を用いた重量平均分子量測定、
PANalytical製のX’Pert Pro diffractometerを用いたX線回折(XRD)測定、
Rigaku製のRINT1200を用いた湿度変化XRD測定、及び
JEOL製のJEM-2100を用いた透過型電子顕微鏡(TEM)観察
を行った。
【実施例】
【0035】
図1に、PSQ-SO3Hの1H NMR分光測定の結果を示す。図1に示すように、a、b、cの位置におけるメチレン鎖(-CH2-)由来の3本のピークのみが観測され、原料であるMPTMSのメトキシ基やSHに隣接しているCH2由来のピークは現れなかった。この結果から、原料が完全に消失していることが確認された。
【実施例】
【0036】
図2に、PSQ-SO3HのEDXの結果を示す。図2に示すように、ナトリウム(Na)由来のピーク(1.0keV~1.1keV)は観測されなかった。この結果から、陽イオン交換樹脂でナトリウムイオンが完全に除去されていることが確認された。
【実施例】
【0037】
図3に、PSQ-SO3HのXPSの結果を示す。図3に示すように、メルカプト基やスルフィド結合由来のピーク(163eV~164eV)は観測されず、168.0eVにスルホ基由来のピークのみが観測された。この結果から、メルカプト基からスルホ基への変換反応が進行したことが確認された。
【実施例】
【0038】
図4に、PSQ-SO3Hの赤外分光測定の結果を示す。図4に示すように、メルカプト基由来の吸収ピーク(2550cm-1付近)は完全に消失し、1194cm-1にスルホ基が水和することで得られるスルホン酸ヒドロニウム塩(-SO3-・H3+)由来の吸収ピークが観測された。この結果からも、メルカプト基からスルホ基への変換反応が進行したことが確認された。更に、1153cm-1、1041cm-1付近にSi-O-Si結合由来の吸収ピークが観測され、重縮合が進行したことが確認された。
【実施例】
【0039】
図5に、PSQ-SO3Hの29Si NMR分光測定の結果を示す。図5に示すように、T3ピークが主に観測された。この結果からも、重縮合が進行したことが確認された。また、わずかにT2ピークが存在した。この結果から、PSQ-SO3Hの主鎖部分の両端にSi-OH結合が存在していることが確認された。
【実施例】
【0040】
PSQ-SO3HのSLSによるジムプロット法により重量平均分子量を算出したところ、6.8×103と見積もられた。この結果からも、重縮合が進行したことが確認された。
【実施例】
【0041】
図6に、PSQ-SO3HのXRD測定の結果を示す。図6に示すように、(100)面、(110)面及び(200)面の回折ピークが検出された。この結果から、図6に示すように、複数のPSQ-SO3Hがヘキサゴナル相に積層された構造であることが確認された。また、X線回折測定中に湿度を変化させたところ、図7に示すように、これら3つの回折ピークのd値の比が変化することなく、つまりヘキサゴナル相が維持されたまま、各回折ピークの位置がシフトした。これは、ロッド状ポリマーが水分子を挟んで積層し、その水分子の量によってロッド状ポリマー同士が近づいたり離れたりしていることを表している。すなわち、PSQ-SO3Hが異方性のあるロッド状ポリマーであることの証明となる。なお、図7中の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)、(h)、(i)は、それぞれ、PSQ-SO3Hの相対湿度(RH)が10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%の場合の結果を示している。
【実施例】
【0042】
図8に、PSQ-SO3HのTEM観察の結果を示す。図8に示すように、約2nm間隔の縞模様が観察された。この結果から、複数のPSQ-SO3Hが平行に配列された構造であることが確認された。
【実施例】
【0043】
PSQがラダー構造を形成していれば以下の5つの条件を同時に満たすことになる。
i) 溶媒に可溶である。
ii) 高分子量体である。
iii) 一次元構造である。
iv) 分子の幅が狭い。
v) 29Si NMRスペクトルにおいてT3ピークの割合が高い。
【実施例】
【0044】
この実験で合成したPSQ-SO3Hは、水及びジメチルスルホキシド等の溶媒に溶解したので、i)の条件は満たされた。重量平均分子量が6.8×103であり、高分子量のポリマーであるため、ii)の条件も満たされた。XRD測定により、ヘキサゴナル相に積層するような一次元ロッド構造を有し、(100)の回折ピークのd値より、このロッドの直径(分子の幅)は約1.92nmであり比較的細いロッド構造であることが確認されたため、iii)の条件及びiv)の条件も満たされた。29Si NMRスペクトルからT3ピークの積分比が全体の84%であり、高い割合でT3ピークが存在していたため、v)の条件も満たされた。すなわち、分子の幅が2nm以下の限られた空間の中で、重量平均分子量が6.8×103程度のPSQが高い割合でT3構造を有していることを考慮すると、合成されたPSQ-SO3Hはシロキサン結合からなる8員環が一次元方向につながったラダー状構造を有していたと推察される。
図面
【図8】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3
【図4】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
7