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明細書 :エステルの製法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5920889号 (P5920889)
登録日 平成28年4月22日(2016.4.22)
発行日 平成28年5月18日(2016.5.18)
発明の名称または考案の名称 エステルの製法
国際特許分類 C07C  67/42        (2006.01)
C07C  69/24        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07F   7/18        (2006.01)
C07D 309/30        (2006.01)
C07D 323/04        (2006.01)
C07D 313/04        (2006.01)
C07D 307/32        (2006.01)
C07D 307/83        (2006.01)
C07D 493/08        (2006.01)
C07D 307/33        (2006.01)
C07D 307/935       (2006.01)
B01J  31/14        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI C07C 67/42
C07C 69/24
C07F 7/08 S
C07F 7/18 S
C07D 309/30 D
C07D 323/04
C07D 313/04
C07D 307/32
C07D 307/83
C07D 493/08 B
C07D 307/32 Q
C07D 307/935
B01J 31/14 Z
C07B 61/00 300
請求項の数または発明の数 9
全頁数 24
出願番号 特願2012-541793 (P2012-541793)
出願日 平成23年10月11日(2011.10.11)
国際出願番号 PCT/JP2011/073340
国際公開番号 WO2012/060185
国際公開日 平成24年5月10日(2012.5.10)
優先権出願番号 2010245944
優先日 平成22年11月2日(2010.11.2)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年9月8日(2014.9.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
発明者または考案者 【氏名】石原 一彰
【氏名】ウヤヌク ムハメット
個別代理人の代理人 【識別番号】110000017、【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
審査官 【審査官】瀬下 浩一
参考文献・文献 特開2004-352636(JP,A)
特開平09-104681(JP,A)
調査した分野 C07C 67/42
C07C 69/24
C07D 307/32
C07D 307/33
C07D 307/83
C07D 307/935
C07D 309/30
C07D 313/04
C07D 323/04
C07D 493/08
C07F 7/08
C07F 7/18
C07B 61/00
B01J 31/14
B01J 31/14
CAplus(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて反応基質であるケトン又はアルデヒドからエステルを製造する方法であって、
触媒として、ボレート塩であるM(BAr4n(Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はトリアリールメチルであり、4つのArは電子吸引性基を有するアリールであって4つとも同じであっても異なっていてもよく、nはMの価数と同じ数である)を用いる、
エステルの製法。
【請求項2】
前記ボレート塩のArは、ペンタフルオロフェニル又は3,5-ビストリフルオロメチルフェニルである、
請求項1に記載のエステルの製法。
【請求項3】
前記触媒は、前記反応基質に対して0.1~5mol%使用する、
請求項1又は2に記載のエステルの製法。
【請求項4】
前記反応基質は、炭素-炭素二重結合、炭素-炭素三重結合、ハロゲン基、ヒドロキシル基、シリル基又はシロキシ基を有している、
請求項1~3のいずれか1項に記載のエステルの製法。
【請求項5】
前記反応基質は、環状ケトン、鎖状ケトン、クロマノン又は芳香族アルデヒドである、
請求項1~4のいずれか1項に記載のエステルの製法。
【請求項6】
助触媒として、ブレンステッド酸を用いる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のエステルの製法。
【請求項7】
前記助触媒は、芳香環上に1以上のOH基を持つフェノール、カルボン酸、オキソカーボン酸、リン酸モノエステル又はリン酸ジエステルである、
請求項6に記載のエステルの製法。
【請求項8】
前記助触媒は、テトラフルオロカテコール又はシュウ酸である、
請求項6又は7に記載のエステルの製法。
【請求項9】
前記助触媒は、前記触媒に対して1~5倍モル使用する、
請求項6~8のいずれか1項に記載のエステルの製法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、エステルの製法に関し、特にバイヤー・ビリガー酸化反応によるエステルの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
バイヤー・ビリガー酸化反応は、ケトンやアルデヒドを利用価値のあるエステル(環状エステルであるラクトンを含む)に変換する方法として有機合成において広く用いられてきた。例えば、シクロヘキサノンから得られるε-カプロラクトンはポリエステルやポリアミドの原料として有用であり、その効率的な合成法の開発は重要である。シクロヘキサノンのバイヤー・ビリガー酸化反応は、環ひずみが小さく安定な6員環から、環ひずみが大きく不安定な7員環への環拡大反応であるため、反応性が低く一般的に難しいとされている。そのため酸化力の強い有機過酸がよく使われている。しかし、有機過酸の爆発性や化学選択性、酸化反応にかかるコスト、廃液の処理方法等、様々な課題が残されている。それに対して、過酸化水素水は安全・安価な酸化剤であり、副生成物として水が出るだけで理想的な酸化剤とされている。過酸化水素水を酸化剤に用いる触媒的方法も報告されている。代表的な4つの方法を以下に示す。
【0003】
第1に、HFIP(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-プロパノール)溶媒中、TsOHを触媒とする方法が挙げられる(例えば非特許文献1,2)。第2に、有機セレン試薬を触媒とする方法が挙げられる(例えば非特許文献4,5)。第3に、フルオラス2層系でスズのパーフルオロアルカンスルホン酸コンプレックスをルイス酸触媒とする方法が挙げられる(例えば非特許文献6,特許文献1)。第4に、Mg、Mg-Al、Sn等系のハイドロタルサイトの固体触媒を用いる不均一酸化方法が挙げられる(例えば非特許文献7~10)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2003-190804号公報
【0005】

【非特許文献1】Organic Letters,2000, vol.2,p2861
【非特許文献2】Tetrahedron Letters, 2001, vol. 42, p2293
【非特許文献3】Angew. Chem.Int. Ed.,2002, vol.41,p4481
【非特許文献4】J. Org.Chem., 2001,vol.66, p2429
【非特許文献5】Tetrahedron Letters,2005, vol.46,p8665
【非特許文献6】Green Chem.,2003, vol.5,p524
【非特許文献7】J. Mol.Catal. A:Chem., 2003,vol.191. p93
【非特許文献8】Tetrahedron, 2007,vol.63, p1435
【非特許文献9】App. Catal.B: Environ.,2007, vol.72,p18
【非特許文献10】Catal. Lett.,2009, vol.131,p618
【発明の開示】
【0006】
しかしながら、第1の方法では、オレフィンのエポキシ化も促進されるため、反応基質としてオレフィンを含む環状ケトンを用いた場合の官能基選択性がよくないという問題があった。また、第2の方法では、触媒である有機セレン試薬の毒性が高いという問題があり、第3の方法では、シクロヘキサノンからε-カプロラクトンを得る収率が低いという問題があり、第4の方法では、基質一般性に欠けるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、低毒性の触媒を用いて高収率でケトンやアルデヒドからエステル(ラクトンを含む)を得ることを主目的とする。
【0008】
上述した目的を達成するために、本発明者らは、低毒性又は無毒のアルカリ金属やアルカリ土類金属のボレート塩(M(BAr4n;M=Li,Na,Ca,Sr等)が、過酸化水素によるケトン又はアルデヒドのバイヤー・ビリガー酸化反応において優れた触媒活性を示すことを初めて見いだし、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明のエステルの製法は、バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて反応基質であるケトン又はアルデヒドからエステルを製造する方法であって、触媒として、ボレート塩であるM(BAr4n(Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はトリアリールメチルであり、4つのArは電子吸引性基を有するアリールであって4つとも同じであっても異なっていてもよく、nはMの価数と同じ数である)を用いるものである。
【0010】
本発明のエステルの製法によれば、低毒性の触媒を用いて高収率で反応基質であるケトン又はアルデヒドからエステルを得ることができる。また、有機過酸ではなく過酸化水素を用いるため、過酸化物由来の副生成物は水のみであり、環境に優しいバイヤー・ビリガー酸化反応といえる。更に、反応基質として環状ケトンを用いた場合、温和な条件下で酸化反応が効率よく進行し、ラクトンを高収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明のエステルの製法は、バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて反応基質であるケトン又はアルデヒドからエステルを製造する方法であって、触媒として、ボレート塩であるM(BAr4n(Mはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はトリアリールメチルであり、4つのArは電子吸引性基を有するアリールであって4つとも同じであっても異なっていてもよく、nはMの価数と同じ数である)を用いるものである。
【0012】
本発明のエステルの製法において、ボレート塩であるM(BAr4nのMはアルカリ金属、アルカリ土類金属又はトリアリールメチルである。アルカリ金属としては、Li,Na,Kなどが挙げられ、アルカリ土類金属としては、Mg,Ca,Sr,Baなどが挙げられる。トリアリールメチルのアリールは、3つとも同じであってもよいし異なっていてもよい。異なっている場合には、すべて別々でもよいし、2つが同じで残りは別でもよい。トリアリールメチルとしては、トリフェニルメチル(トリチル)やトリス(ペンタフルオロフェニル)メチルなどが挙げられる。なお、Mがアルカリ金属やトリアリールメチルの場合にはnは1であり、Mがアルカリ土類金属の場合にはnは2である。4つのArは、電子吸引性基を有するアリールであって、4つとも同じであってもよいし異なっていてもよい。異なっている場合には、すべて別々でもよいし、2つが同じで残りは別々でもよいし、2つが同じで残り2つも同じでもよいし、3つが同じであってもよい。電子吸引性基としては、例えばハロゲン原子やトリハロメチル基、ニトロ基、ニトリル基などが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましく、トリハロメチル基としてはトリフルオロメチル基が好ましい。また、電子吸引性基を有するアリールとしては、ペンタフルオロフェニルや3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニルなどが好ましい。
【0013】
本発明のエステルの製法において、ボレート塩であるM(BAr4nの使用量は、触媒量であれば特に限定するものではないが、例えば、反応基質に対して0.01~20mol%が好ましい。0.01mol%を下回ると、反応速度が遅くなるとか副生成物の比率が高くなる等の不具合が生じることがあるため好ましくなく、20mol%を上回ったとしても、それによって収率が大きく向上することがないため経済的見地から好ましくない。反応速度の促進効果を考慮すると、反応基質に対して0.1mol%を加減とすることが好ましい。また、経済的見地からすると、反応基質に対して5mol%を上限とすることがより好ましい。
【0014】
本発明のエステルの製法において、反応基質に用いられるケトンとしては、特に限定するものではないが、環状ケトンや鎖状ケトン、クロマノン類などが挙げられる。環状ケトンとしては、例えば、シクロプロパノン類、シクロブタノン類、シクロペンタノン類、シクロヘキサノン類、シクロヘプタノン類のほか、縮合環ケトン類などが挙げられる。こうした環状ケトンを反応基質として用いた場合には、反応生成物としてラクトンが得られる。一般的に、シクロヘキサノン類は、環ひずみが小さく安定であるため、環ひずみが大きく不安定な7員環のε-カプロラクトンへのバイヤー・ビリガー酸化反応は進行しにくいとされるが、本発明のエステルの製法によれば、高収率で反応が進行する。なお、環状ケトンとしては、その他にも、例えば天然物の合成中間体や医薬、農薬の合成中間体、重合体のモノマーなどが部分構造として環状ケトン骨格を有している場合、その合成中間体やモノマーを反応基質として使用することもできる。鎖状ケトンとしては、例えば、ジペンチルケトンのようなジアルキルケトンや、アセトフェノンのようなアリールアルキルケトン、またはベンゾフェノンのようなジアリールケトンなどが挙げられる。クロマノン類としては、例えば、4-クロマノン、3-クロマノンなどが挙げられる。また、反応基質に用いられるアルデヒドとしては、ベンズアルデヒド、4-クロロベンズアルデヒド、1-ナフチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドなどが挙げられる。こうした反応基質は、炭素-炭素二重結合(すなわちオレフィン結合)や炭素-炭素三重結合、ハロゲン基、ヒドロキシ基、シリル基又はシロキシ基を有していてもよい。オレフィンは過酸化水素によってエポキシに変換される可能性があるが、本発明のエステルの製法ではその可能性が小さく、エステルが選択的に生成する。オレフィン結合を有する反応基質としては、例えば、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基などを有するケトン又はアルデヒドが挙げられる。炭素-炭素三重結合を有する反応基質としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などを有するケトン又はアルデヒドが挙げられる。シリル基を有する反応基質としては、例えば、トリメチルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、ジメチルt-ブチルシリル基などを有するケトン又はアルデヒドが挙げられる。シロキシ基を有する反応基質としては、例えば、トリメチルシロキシ基、ジメチルフェニルシロキシ基、ジメチルt-ブチルシロキシ基などを有するケトン又はアルデヒドが挙げられる。
【0015】
本発明のエステルの製法において、反応溶媒は、反応基質や触媒に応じて適宜選択すればよいが、例えば、ハロゲン化炭化水素、芳香族炭化水素、ニトリル系溶媒、エステル系溶媒及びこれらのうちの2種以上を混合した溶媒などが挙げられる。また、反応基質や触媒によっては、先に例示列挙した反応溶媒と水との混合溶媒を用いてもよい。ハロゲン化炭化水素としては、1,2-ジクロロエタン(DCE)や1,4-ジクロロブタン(DCB)などが挙げられ、芳香族炭化水素としてはトルエンやキシレン、ベンゼンなどが挙げられ、ニトリル系溶媒としてはアセトニトリルやプロピオニトリル、ブチロニトリルなどが挙げられ、エステル系溶媒としては酢酸メチルや酢酸エチルなどが挙げられる。
【0016】
本発明のエステルの製法において、反応温度は、反応基質や触媒に応じて適宜設定すればよい。反応温度が低すぎると、反応速度が遅くなり反応が終了するまでに長期間を要することがあるため好ましくなく、反応温度が高すぎると、反応基質が分解したり副反応が支配的になったりすることがあるため好ましくないが、適正な反応温度は反応基質や触媒によって異なる。そのため、一概に反応温度の好適な範囲を定めることはできないが、一つの目安として、0℃から100℃の間、好ましくは25℃(室温)から70℃の間で適宜設定してもよい。
【0017】
本発明のエステルの製法において、助触媒として、ブレンステッド酸を用いてもよい。ボレート塩触媒と共に助触媒としてブレンステッド酸を用いると、反応活性が更に向上する。こうした助触媒としては、例えば、芳香環上に1以上のOH基を持つフェノール類、カルボン酸、オキソカーボン酸、リン酸モノ又はジエステルなどが挙げられる。フェノール類としては、ペンタフルオロフェノール、カテコール、3-フルオロカテコール、テトラフルオロカテコール、テトラクロロカテコール、レゾルシノール、4-フルオロレゾルシノール、テトラフルオロレゾルシノール、テトラクロロレゾルシノールなどが挙げられる。カルボン酸としては、酢酸、マンデル酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、サリチル酸、フタル酸などが挙げられる。オキソカーボン酸としては、デルタ酸、スクアリン酸、クロコン酸、ロジゾン酸、ヘプタゴン酸などが挙げられる。リン酸モノ又はジエステルとしては、ビナフチルハイドロゲンホスフェート(BP)などが挙げられる。これらの中で、テトラフルオロカテコール及びシュウ酸が反応促進効果が高いため好ましい。更に、安価な点を考慮すると、シュウ酸が好ましい。
【0018】
本発明のエステルの製法において、助触媒は、例えば、反応基質に対して0.01~100mol%が好ましい。また、ボレート塩に対して1~10倍モルが好ましく、1~5倍モルがより好ましい。
【0019】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【実施例】
【0020】
以下の実施例及び比較例においては、1H NMRスペクトルをJEOL ECS-400 (400 MHz)スペクトロメータで、13C NMRスペクトルをJEOL ECS-400(100MHz)スペクトロメータで測定した。反応の進行は、薄層クロマトグラフィー(TLC)で、Merck precoated TLCプレート(シリカゲル60 GF254,0.25mm)を用いてモニタリングした。溶媒や試薬は市販のものをそのまま反応に用いた。
【0021】
[参考例]
以下の実施例及び比較例で触媒として使用したボレート塩について説明する。NaB(3,5-CF3634,LiB(C654とPh3CB(C654は市販品をそのまま反応に用いた。LiB(3,5-CF3634とKB(3,5-CF3634は文献(Organomet., 1992, vol.11, p3920)に記載された方法に従って合成した。
【0022】
Sr[B(3,5-CF36342・10H2Oは、以下のようにして合成した。すなわち、LiB(3,5-CF3634・4H2O(470mg,0.5mmol)のEtO(5mL)と純水(5mL)の混合液にSrCl2・6H2O(1.33g,5mmol)を加え、室温で2日間撹拌した。反応終了後、水層をEtOで抽出し、得られた有機層を純水で5回洗った。溶媒をエバポレーターで除いた後、得られた固体を純水とヘキサンで良く洗い、Sr[B(3,5-CF36342・10H2Oを得た(435mg,0.22mmol,収率87%(ボレートに基づいて算出))。
【0023】
また、Ca[B(3,5-CF36342・8H2O及びBa[B(3,5-CF36342・7H2Oは、SrCl2の代わりにそれぞれCaCl2及びBaCl2を用いた以外は、Sr[B(3,5-CF36342・10H2Oと同様にして合成した。更に、Sr[B(C6542 は、LiB(3,5-CF3634・4H2Oの代わりにLiB(C654 を用いた以外は、Sr[B(3,5-CF36342・10H2Oと同様にして合成した。
【0024】
合成したボレート塩の性状及びスペクトルデータは以下の通り。
【0025】
・LiB(3,5-CF3634
白色粉末。1H NMR (CD3CN, 400 MHz)δ 7.65-7.70 (m, 12H); 13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ118.7, 125.5 (q, JC-F = 270 Hz), 129.9 (q, JC-F = 31.5 Hz), 135.7, 162.6 (q, JB-C = 49.6 Hz); 19F NMR (CD3CN) δ-63.1. Anal. Calcd. for C32H20BF24LiO4: C, 40.79; H, 2.14. Found: C, 41.00; H, 1.88.
【0026】
・KB(3,5-CF3634
白色粉末。 1H NMR (CD3CN, 400 MHz)δ 7.65-7.70 (m, 12H); 13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ118.7, 125.5 (q, JC-F = 271 Hz), 130.0 (q, JC-F = 32.4 Hz), 135.7, 162.7 (q, JB-C = 49.6 Hz); 19F NMR (CD3CN) δ-63.1. Anal. Calcd. for C32H16BF24LiO2: C, 40.96; H, 1.72. Found: C, 41.01; H, 1.70.
【0027】
・Sr[B(3,5-CF36342・10H2
白色粉末。 1H NMR (CD3CN, 400 MHz)δ7.65-7.70 (m, 24H); 13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ118.7, 125.5 (q, JC-F = 271 Hz), 129.9 (q, JC-F = 31.5 Hz), 135.7, 162.7 (q, JB-C = 49.6 Hz); 19F NMR (CD3CN) δ-63.1. Anal. Calcd. For C64H44BF48O10Sr: C, 38.55; H, 2.22. Found: C, 38.56; H, 2.13.
【0028】
・Ca[B(3,5-CF36342・8H2
白色粉末。1H NMR (CD3CN, 400 MHz)δ7.65-7.70 (m, 24H); 13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ118.6, 125.4 (q, JC-F = 271 Hz), 129.9 (q, JC-F = 31.5 Hz), 135.6, 162.6 (q, JB-C = 48.6 Hz); 19F NMR (CD3CN) δ-63.1. Anal. Calcd. for C64H40BCaF48O8: C,40.23; H, 2.11. Found: C, 40.23; H, 2.30.
【0029】
・Ba[B(3,5-CF36342・7H2
淡茶色粉末。1H NMR (CD3CN, 400 MHz)δ77.65-7.70 (m, 24H); 19F NMR (CD3CN) δ-63.1. Anal. Calcd. For C64H38BBaF24O7: C, 38.63; H, 1.92. Found: C, 38.65; H, 2.08.
【0030】
・Sr[B(C6542
白色粉末。 19F NMR (CD3CN) δ-168.3, -163.8 (t, J = 24.6 Hz), -133.7.
【0031】
[実施例1~11、比較例1,2]
表1に示すように、実施例1~11では、各種のボレート塩を触媒とし、バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて市販のシクロヘキサノンからε-カプロラクトンを製造した。比較例1,2では、それぞれTsOH及びSc(OTf)3を触媒とし、同様にしてε-カプロラクトンを製造した。各実施例、各比較例で用いた触媒及び反応条件の詳細は表1に示したとおりである。また、この反応では、ε-カプロラクトンのほか、このラクトンが加水分解したヒドロキシカルボン酸やバイヤー・ビリガー酸化反応の反応中間体であるCriegee中間体(表1の欄外の※4参照)が二量化したスピロビスペルオキシドが生成した。表1には、シクロヘキサノンから反応生成物への転換率及び各反応生成物の収率を示した。なお、表1のシクロヘキサノンの転換率や各生成物の収率は、反応溶液から少量をサンプリングし、1H NMR解析により算出した。
【0032】
代表例として実施例4について詳細な実験手順を以下に説明する。シクロヘキサノン(50mg,0.5mmol)とSr[B(3,5-CF36342・10H2O(10mg,0.005mmol)の1,2-ジクロロエタン(10mL)溶液に30%過酸化水素水(57μL,0.55mmol)を入れ、反応容器を70℃のオイルバスに入れた。この反応では、生成するε-カプロラクトンの加水分解によるヒドロキシカルボン酸の副生が大きな課題であるため、反応溶媒として1,2-ジクロロエタンと水との混合溶媒ではなく、1,2-ジクロロエタンのみを使用した(系内には過酸化水素水に含まれる水のみ存在する)。反応開始から2時間後に、反応容器をオイルバスから出して0℃に冷やし、NaHSO3水溶液でクエンチした。水層はEt2Oで2回抽出し、得られた有機層を水と食塩水で洗った。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、溶媒はエバポレーターで除いた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:Hexane-Et2O)によって生成物(47mg,0.41mmol,単離収率82%)を得た。この生成物の物性、TLCの保持時間及び1H NMRの化学シフトは市販のε-カプロラクトンと一致した。なお、他の実施例、比較例についても、実施例4に準じて反応を行った。
【0033】
【表1】
JP0005920889B2_000002t.gif

【0034】
表1の実施例1~6から明らかなように、触媒として用いたボレート塩の金属種は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のいずれにおいても良好な結果を与えた。中でも、特にCaやSrの反応活性及びラクトン選択性が良かった。また、実施例5に示すように、触媒量を1mol%から0.1mol%に下げても反応は効率よく進行した。一方、実施例7~9に示すように、触媒のカウンターアニオンをテトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートからテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートに変更したところ、反応活性は大幅に改善した。更に、実施例10,11に示すように、溶媒を検討したところ、1,4-ジクロロブタンは1,2-ジクロロエタンと同様に良好な結果を与えたが、トルエンでは反応活性がやや低下した。なお、表1には示していないが、実施例4の反応温度を50℃や室温(25℃)に下げたところ、反応の進行が遅くなると共にスピロビスペルオキシドの生成量が増加する傾向が見られた。一方、比較例1では、触媒としてプロトン酸であるトシル酸を使用し、比較例2では、触媒としてルイス酸であるSc(OTf)3を使用したが、いずれも反応活性が低く、ラクトンの収率も満足する値は得られなかった。
【0035】
なお、各生成物の性状及びスペクトルデータは以下のとおり。
【0036】
・ラクトン(ε-カプロラクトン)
無色液体。 TLC, Rf = 0.11 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.76-1.87 (m, 6H), 2.63-2.66 (m, 2H), 4.23-4.26 (m, 2H).
【0037】
・ヒドロキシカルボン酸(6-ヒドロキシカプロン酸)
無色固体。1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.41 (m, 2H), 1.63 (m, 4H), 2.36 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 3.65 (t, J= 6.5 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ24.4, 25.1, 31.9,33.9, 62.3, 178.8.
【0038】
・スピロビスペルオキシド(7,8,15,16-テトラオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン
白色固体。TLC, Rf = 0.67 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.47 (bs, 4H), 1.57 (bs, 12H), 2.28 (bs, 4H).
【0039】
[実施例12~23、比較例3~6]
表2に示すように、実施例12~23では、各種のボレート塩を触媒とし、バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて市販の4-tert-ブチルシクロヘキサノンから対応するε-カプロラクトンを製造した。比較例3では無触媒、比較例4~6ではそれぞれNaBF4、NaBPh4、LiNTf2を触媒とし、同様のε-カプロラクトンを製造した。各実施例、各比較例では、表2に示した触媒及び反応条件を採用し、上述した実施例4に準じて反応を行った。また、この反応では、ε-カプロラクトンのほか、スピロビスペルオキシドが生成した。表2には、シクロヘキサノンから反応生成物への転換率及び各反応生成物の収率を示した。なお、表2の転換率や各生成物の収率は、反応溶液から少量をサンプリングし、1H NMR解析により算出した。
【0040】
【表2】
JP0005920889B2_000003t.gif

【0041】
表2の比較例3から明らかなように、この反応は無触媒では進行しなかった。実施例12では、1,2-ジクロロエタン中、2モル当量の過酸化水素を使用し、反応基質に対して5mol%のNaB(3,5-CF3634 を触媒として反応を行ったところ、ラクトンが収率73%、副生成物であるスピロビスペルオキシドが収率27%で得られた。実施例13では、反応溶媒として、1,2-ジクロロエタンと水とを体積比で2:1となるように混合した溶媒を用いたところ、ラクトンの収率が89%に向上した。実施例14及び実施例15では、実施例13の1,2-ジクロロエタンの代わりに、それぞれトルエン及びアセトニトリルを用いたところ、反応活性は低下したが、ラクトンが選択的に得られた。この実施例14及び実施例15では、反応の進行は遅いものの、ラクトン以外の化合物は生成していないため、反応時間を長くすればラクトンの収率が向上すると予測される。実施例16では、反応溶媒として、1,2-ジクロロエタンと水とを体積比で10:1となるように混合した溶媒を用いたところ、実施例13よりも反応活性が大幅に改善され、ラクトンの収率も向上した。
【0042】
実施例17~20では、実施例16と同様の反応溶媒中、2モル当量の過酸化水素を使用し、反応基質に対して1mol%の金属ボレート(金属種はそれぞれLi,Na,K,Ca)を触媒として反応を行ったところ、いずれも反応活性が高く、転換率が90%以上、ラクトンの収率も84%以上という良好な結果が得られた。金属種によって反応結果に大きな差はみられなかったが、強いていえば反応活性の順は高い方からCa,Li,Na,Kとなった。
【0043】
実施例21~23では、実施例16と同様の反応溶媒中、1.1モル当量の過酸化水素を使用し、反応基質に対して1mol%のボレート塩を触媒として反応を行ったところ、いずれも反応活性が高く、転換率が89%以上、ラクトンの収率も85%以上という良好な結果が得られた。実施例23で使用したボレート塩は、カチオンがトリチルカチオンであったが、良好な結果が得られた。
【0044】
なお、各生成物の性状及びスペクトルデータは以下のとおり。
【0045】
・ラクトン(5-tert-ブチロキセパン-2-オン)
無色固体。TLC, Rf = 0.35 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.89(s, 9H), 1.25-1.40 (m 2H), 1.48-1.55 (m, 1H), 2.0-2.1 (m, 2H), 2.53-2.59 (m, 1H), 2.69-2.74 (m, 1H), 4.11-4.18 (m, 1H), 4.34 (ddd, J = 1.9, 5.9, 12.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ23.6, 27.3, 30.1, 32.3, 33.3, 50.6, 69.0, 177.8.
【0046】
・スピロビスペルオキシド(3,12-ジ-tert-ブチル-7,8,15,16-テトラオキサジスピロ[5.2.5.2]ヘキサデカン)
白色固体。TLC, Rf = 0.75 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.86(bs, 18H), 1.05-1.12 (m, 2H), 1.20-1.32 (m, 4H), 1.41-1.51 (m, 4H), 1.74 (bs, 6H), 3.17 (bs, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 22.8, 23.1, 27.6, 29.7, 32.0, 32.3, 47.4, 47.5, 108.1.
【0047】
[実施例24~30]
実施例24~30では、化1に示すように、バイヤー・ビリガー酸化反応により過酸化水素を用いて種々の環状ケトンからラクトンを合成した。実施例24では、非対称の環状ケトンである2-メチルシクロヘキサノンを用いたところ、高収率で対応するε-カプロラクトンが通常の位置選択性でもって得られた。実施例25では、オレフィン結合を持つ置換基を有する環状ケトンである4-イソプロペニルシクロヘキサノンを用いたところ、対応するε-カプロラクトンが収率56%で得られ、オレフィンのエポキシ化は見られなかった。実施例26では、4-ヒドロキシシクロヘキサノンを用いたところ、ヒドロキシエチル基を有する5員環ラクトンが得られた。このラクトンは、一旦、対応するε-カプロラクトンが生成したあと、環の歪みの少ない5員環に巻き直したものと考えられる。実施例27~29では、5員環ケトンや4員環ケトンを用いたところ、対応する6員環ラクトンや5員環ラクトンが高収率で得られた。実施例30では、環内にオレフィン結合を有する縮合環ケトンを用いたところ、対応する縮合環ラクトンが通常の位置選択性でもって高収率で得られ、オレフィンのエポキシ化は見られなかった。
【0048】
なお、実施例24の2-メチルシクロヘキサノン及び実施例27のシクロペンタノンは市販品を使用し、他の実施例の出発原料は文献(化1に示した※1~5)に記載された方法にしたがって合成した。
【0049】
【化1】
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【0050】
各実施例の生成物の性状及びスペクトルデータは以下のとおり。
【0051】
・実施例24のメジャー生成物:無色オイル。TLC, Rf = 0.12 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.36 (d, J = 6.5 Hz, 3H), 1.50-1.74 (m, 3H), 1.82-2.02(m, 3H), 2.53-2.74 (m, 2H), 4.39-4.52 (m, 1H).
【0052】
・実施例24のマイナー生成物:無色オイル。TLC, Rf = 0.13 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.21 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.45-1.81 (m, 4H), 1.88-2.03(m, 2H), 2.65-2.81 (m, 1H), 4.16-4.35 (m, 2H).
【0053】
・実施例25の生成物:無色固体。TLC, Rf = 0.12 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.59-1.67 (m, 1H), 1.72 (s, 3H), 1.77-1.83 (m, 1H), 1.92-2.02 (m, 2H), 2.21-2.28 (m, 1H), 2.60-2.66 (m, 1H), 2.71-2.76 (m, 1H), 4.17-4.23 (m, 1H), 4.32-4.37 (m, 1H), 4.74 (s, 1H), 4.78 (s, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 20.7, 27.9, 33.5, 34.4, 48.2, 68.3, 110.6, 148.2, 176.1.
【0054】
・実施例26の生成物:無色オイル。TLC, Rf = 0.22 (EtOAc); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.89-1.97 (m, 3H), 2.35-2.43 (m, 1H), 2.54-2.58 (m, 2H), 3.82-3.85 (m, 2H),4.68-4.75 (m, 1H).
【0055】
・実施例27の生成物:無色オイル。TLC, Rf = 0.13 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.86-1.93 (m, 4H), 2.55 (t, J= 6.9 Hz, 2H), 4.35 (t, J= 6.9 Hz, 2H).
【0056】
・実施例28の生成物:無色固体。TLC, Rf = 0.37 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.68 (dd, J= 9.2, 17.4 Hz, 1H), 2.93 (dd, J= 8.7, 17.4 Hz, 1H), 3.76-3.84 (m, 1H), 4.28 (dd, J = 7.8, 9.2 Hz, 1H), 4.68 (dd, J = 7.8, 9.2 Hz, 1H), 7.23-7.46 (m, 5H).
【0057】
・実施例29の生成物:無色固体。TLC, Rf = 0.1 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ1.22 (t, J= 6.9, 3H), 2.58 (dd, J= 17.9, 2.7 Hz, 1H), 2.68 (dd, J= 17.9, 6.4 Hz, 1H), 3.49 (q, J= 6.9 Hz, 2H), 4.25-4.29 (m, 1H), 4.34 (dd, J= 10.1, 2.3 Hz, 1H), 4.38 (dd, J= 10.1, 4.6 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ15.1, 35.0, 64.6, 73.3, 74.3, 175.9.
【0058】
・実施例30のメジャー生成物(A)とマイナー生成物(B)との単離混合物:黄色オイル。 TLC, Rf = 0.16 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.45 (dd, J= 18.3, 1.8 Hz, 1H, for A), 2.70-2.84 (m, 3H, for A, B), 3.14 (ddd, J= 7.8, 7.8, 1.8 Hz, 1H, for B), 3.49-3.55 (m, 1H, for A), 3.57-3.63 (m, 1H, for B), 4.25 (dd, J= 9.2, 1.4 Hz, 1H, for B), 4.43 (dd, J= 9.2, 6.9 Hz, 1H, for B), 5.11-5.16 (m, 1H, for A), 5.57-5.61 (m, 1H, for A), 5.65-5.68 (m, 1H, for B), 5.78-5.82 (m, 1H, for A), 5.86-5.89 (m, 1H, for B); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 32.3(A), 36.5(B), 39.5(A), 41.7(B), 45.6(A), 46.4(B), 71.5(B), 83.1(A), 129.7(A), 130.7(B), 131.3(A), 132.4(B), 176.8(A), 181.0(B).
【0059】
[実施例31~56,比較例7,8]
表3に示すように、実施例31では、ボレート塩触媒のみを用いてバイヤー・ビリガー酸化反応によりシクロペンタノンからδ-バレロラクトンを合成した。また、実施例32~56では、ボレート塩触媒とブレンステッド酸助触媒とを用いてバイヤー・ビリガー酸化反応によりシクロペンタノンからδ-バレロラクトンを合成した。実施例で使用した助触媒の構造式を表4に示す。
【0060】
触媒と助触媒とを用いたバイヤー・ビリガー酸化反応の代表例として、実施例39について詳細な実験手順を以下に説明する。なお、他の実施例、比較例についても、実施例39に準じて反応を行った。シクロペンタノン(84mg,1.0mmol)、Li[B(C654]・2.5Et2O(10.4mg,0.01mmol)とシュウ酸(4.6mg,0.05mmol)の1,2-ジクロロエタン(10mL)溶液に30%過酸化水素水(115μL,1.1mmol)を入れ、反応容器を50℃のオイルバスに入れた。反応開始から6時間後に、反応容器をオイルバスから出して0℃に冷やし、NaHSO3水溶液でクエンチした。水層はEt2Oで2回抽出し、得られた有機層を水と食塩水で洗った。得られた有機層を無水Na2SO4で乾燥し、溶媒をエバポレーターで除いた後、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:ヘキサン-Et2O)によって生成物(94mg,0.94mmol,単離収率94%)を得た。この生成物の物性、TLCの保持時間及び1H NMRの化学シフトは市販のδ-バレロラクトンと一致した。表3に、反応開始から1時間目と4時間目における変換率を示す。
【0061】
【表3】
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【0062】
【表4】
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【0063】
実施例32~45では、DCE溶媒中、触媒としてLiB(C654を1mol%、助触媒を5mol%用いて反応を行った。その結果、助触媒としてフェノール類(実施例32~36)、カルボン酸(実施例37~44)、リン酸ジエステル(実施例45)を用いた場合、助触媒を用いない実施例31に比べて、反応が速くなり、変換率も高くなることが分かった。その中でも、テトラフルオロカテコール(実施例36)と安価なシュウ酸(実施例39)が最も効果的であった。なお、ボレート塩触媒を用いず、実施例36,39で用いたブレンステッド酸のみでは、反応は全く進行しなかった(比較例7,8)。
【0064】
実施例46~48,49~51では、テトラフルオロカテコール又はシュウ酸を助触媒に用いて、触媒及び助触媒の使用量の削減を検討した。その結果、触媒の使用量を0.01mol%まで、助触媒の使用量を0.05mol%まで下げることができた(実施例48,51)。
【0065】
実施例52~56では、トルエンやベンゼンを溶媒に使用して、同様に助触媒の効果を検討した。その結果、助触媒を用いなかった実施例52,53に比べて、助触媒を用いた実施例54~56では助触媒による活性化効果があることが分かった。
【0066】
[実施例57~76]
表5及び表6に示すように、様々な反応基質のバイヤービリガー酸化反応を検討した。触媒としては、Li又はCaのボレート塩を用いた。一般的に、触媒活性はCaのボレート塩の方が高いが、Liのボレート塩は市販品であり、分子量が小さいため絶対的な使用量が少ないことから、まずLiのボレート塩を使用した(実施例57,58,66-71,73)。しかし、反応基質によってはLiのボレート塩では不十分で、生成物の化学収率が低い場合には、Caのボレート塩を触媒として用いた(実施例59-65,72,74-76)。
【0067】
【表5】
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【0068】
【表6】
JP0005920889B2_000008t.gif

【0069】
シュウ酸の助触媒としての添加効果はどの反応基質にもみられたが、6員環の脂肪族環状ケトンの酸化では反応速度が速くなったものの、生成するラクトンの加水分解も助触媒によって促進されるため、結果として収率の大きな改善は見られなかった。こうしたことから、実施例57,58では、シュウ酸を用いなかった場合について例示した。実施例58の反応基質は、オレフィン部位を有するものであるが、このオレフィン部位は酸化されなかった。
【0070】
実施例59,60では、反応基質として4-ヒドロキシシクロヘキサノンを用いたところ、一旦、対応するε-カプロラクトンが生成したあと、環のひずみの少ない5員環にまき直した生成物が高収率で得られた。これらの反応基質は、炭素-炭素二重結合や炭素-炭素三重結合を有するものであるが、これらの部位は酸化されなかった。なお、表5において、実施例59には助触媒を用いなかった例を示したが、カッコ内にシュウ酸を助触媒として用いた例を示した。また、実施例60にはシュウ酸を助触媒として用いた例を示したが、カッコ内に助触媒を用いなかった例を示した。
【0071】
実施例61では、反応基質として4-クロマノンを用いたところ、生成したラクトンは加水分解され、対応するヒドロキシカルボン酸が得られた。
【0072】
実施例62では、反応基質としてケトンのα位に不斉点を有する光学活性なシクロペンタノンを用いたところ、ラセミ化は一切進行することなく、生成したラクトンは不斉収率をそのまま保持した。この実施例62や実施例63~65では、Criegee中間体から二通りの転位が起こる反応基質を用いたが、従来と同様な位置選択性で生成物が得られた。
【0073】
実施例66~72では、反応基質としてシクロブタノン誘導体を用いたところ、いずれも高収率で対応するラクトンが得られた。このうち、実施例69,70では、隣接する2つの炭素の一方にハロゲン基、もう一方に水酸基又はシロキシ基を有する、エポキシ化しやすい不安定な反応基質を用いたにもかかわらず、エポキシ化は起こらなかった。
【0074】
実施例73では、反応基質として鎖状ケトンを用いたところ、対応する鎖状エステルが高い収率で得られた。実施例74では、反応基質として芳香族アルデヒドであるベンザルデヒドを用いたところ、対応するギ酸エステルが系内で加水分解し、対応するフェノールが高収率で得られた。
【0075】
実施例75,76では、反応基質としてβ位にシリル基を有する環状ケトンを用いたところ、シリル側のα-炭素の転位によって得られる生成物が高い選択性で得られるとともに、系内で、生成するラクトンのβ脱離反応が起こることによって、対応するアルケノイック酸が一挙に高い収率で得られた。β位のシリル基がバイヤー・ビリガー反応において位置選択性に与える影響については既に報告されているが、従来法では対応するラクトンが得られていた(Hudrlik, et al. J. Am. Chem. Soc. 1980, vol.102, p6894)。例えば、化2に示すように小槻らは(+)-sporochnol Aの合成において、環状ケトンを従来法(mCPBAを用いて)で酸化して対応するラクトンを高い収率で得たが、鍵中間体アルケノイック酸は過剰量のBF3・Et2Oを用いるβ脱離によって中程度の収率で得られた(Kotsuki, et al. Org. Lett. 2010, vol.12, p1616)。一方、本発明の手法では、β脱離反応も容易に進行するため、このような有用性の高いアルケノイック酸も高収率で合成することが可能になった。尚、本発明の手法では、シリル基はPhMe2Siでもβ脱離が起こるが、Me3Siの方が原料合成も用意で脱離もより早いため、実施例75,76ではMe3Siを用いた。
【0076】
【化2】
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【0077】
各実施例の生成物の性状及びスペクトルデータは以下のとおり。
【0078】
・実施例57の生成物:無色オイル。TLC, Rf = 0.35 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.00 (d, J= 6.9 Hz, 3H), 1.29-1.44 (m, 1H), 1.44-1.55 (m, 1H), 1.84-1.98 (m, 3H), 2.56-2.72 (m, 2H), 4.18 (dd, J= 12.8, 10.6 Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 1.8, 6.0 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 22.0, 30.6, 33.1, 35.1, 37.1, 68.0, 176.0.
【0079】
・実施例58の生成物:無色固体。実施例25と同じ生成物である。
【0080】
・実施例59の生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.43 (EtOAc only); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.54 (bs, 1H), 1.92-2.04 (m, 2H), 2.15 (t, J= 8.7 Hz, 2H), 2.42-2.50 (m, 2H), 2.60 (ddd, J= 8.7, 8.7, 3.2 Hz, 2H), 3.78-3.90 (m, 2H), 5.18-5.22 (m, 2H), 5.73-5.83 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 29.0, 30.7, 41.2, 43.6, 58.2, 87.5, 120.3, 131.7, 177.0.
【0081】
・実施例60の生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.5 (EtOAc only); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.80 (brs, 1H), 2.11-2.23 (m, 2H), 2.28-2.38 (m, 1H), 2.50-2.63 (m, 2H), 2.69 (s, 1H), 2.76-2.85 (m, 1H), 3.90-4.04 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 28.5, 36.1, 42.9, 59.0, 75.8, 80.2, 81.8, 175.7.
【0082】
・実施例61の生成物:白色固体。 TLC, Rf = 0.4 (EtOAc only); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.90 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 4.28 (t, J= 6.0 Hz, 2H), 6.15 (brs, 1H), 6.81-6.86 (m, 1H), 6.92-6.97 (m, 3H); 13C NMR (CD3CN, 100 MHz) δ 34.5, 66.2, 115.5, 116.2, 120.9, 123.3, 147.0, 147.9, 174.0.
【0083】
・実施例62のメジャー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.18 (EtOAc only); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.70-1.75 (m, 1H), 1.86-2.00 (m, 4H), 2.44-2.52 (m, 1H), 2.60-2.66 (m, 1H), 3.65-3.71 (m, 1H), 3.81 (ddd, J= 12.4, 7.3, 3.2 Hz, 1H), 4.40-4.45 (m, 1H). 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 18.5, 23.7, 29.7, 65.0, 81.2, 171.7.
【0084】
・実施例62のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.24 (EtOAc only); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.63-1.72 (m, 1H), 1.92-2.08 (m, 3H), 2.64-2.72 (m, 1H), 2.91 (dd, J= 8.2, 5.0 Hz, 1H), 3.72-3.83 (m, 2H), 4.33-4.36 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 21.3, 22.0, 42.0, 62.9, 68.8, 175.0.
【0085】
・実施例63のメジャー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.21 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88 (t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.21-1.40 (m, 9H), 1.43-1.61 (m, 3H), 1.66-1.75 (m, 1H), 1.79-1.93 (m, 3H), 2.40-2.48 (m, 1H), 2.55-2.63 (m, 1H), 4.24-4.30 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.1, 18.6, 22.7, 25.0, 27.8, 29.2, 29.4, 29.5, 31.8, 35.9, 80.7, 172.1.
【0086】
・実施例63のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.26 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88 (t, J= 6.9 Hz, 3H), 1.23-1.40 (m, 9H), 1.44-1.59 (m, 1H), 1.84-1.95 (m, 3H), 2.05-2.14 (m, 1H), 2.41-2.49 (m, 1H), 4.25-4.35 (m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.2, 22.1, 22.8, 24.7, 27.0, 29.3, 29.6, 31.3, 31.9, 39.7, 68.5, 174.9.
【0087】
・実施例64のメジャー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.13 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.60-1.81 (m, 2H), 1.87-2.05 (m, 4H), 2.12-2.23 (m, 1H), 2.46-2.56 (m, 2H), 2.69-2.76 (m, 1H), 4.87 (m, 1H).
【0088】
・実施例64のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.15 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.70-1.81 (m, 2H), 1.89-2.03 (m, 4H), 2.47 (m, 1H), 2.93 (t, J= 9.6 Hz, 1H), 4.12 (d, J= 10.6 Hz, 1H), 4.32 (dd, J= 10.6, 2.3 Hz, 1H).
【0089】
・実施例65のメジャー生成物(A)とマイナー生成物(B)の単離混合物:白色固体。 TLC, Rf = 0.16 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.90 (s, 3H for A), 0.97 (s, 3H, for B), 1.09 (s, 3H, for B), 1.10 (s, 3H, for A), 1.17 (s, 3H, for B), 1.30 (s, 3H, for A), 1.33-1.47 (m, 2H, for A), 1.70-1.92 (m, 1H for A, 3H for B), 2.05-2.17 (m, 1H for A, 2H for B), 2.35 (d, J= 17.4 Hz, 1H, for A), 2.59 (ddd, J= 10.6, 2.3 Hz, 1H, for A), 2.89 (dd, J= 17.9, 9.2 Hz, 1H, for A), 4.10 (d, J= 10.6 Hz, 1H, for B), 4.47 (m, 1H, for B); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.3(B), 18.7(A), 20.0(B), 21.9(A), 22.5(B), 23.9(A), 24.7(B), 27.0(B), 30.2(A), 36.2(B), 36.7(B), 37.9(A), 38.5(A), 43.0(A), 44.6(B), 45.3(A), 74.2(B), 98.9(A), 175.3(B), 177.4(A).
【0090】
・実施例66の生成物:無色オイル。実施例29と同じ生成物である。
【0091】
・実施例67の生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.1 (hexane-EtOAc = 1:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.54 (d, J= 17.8, 1H), 2.58 (brs, 1H), 2.77 (dd, J= 17.9, 5.6 Hz, 1H), 4.32 (d, J= 10.1 Hz, 1H), 4.43 (dd, J= 10.5, 4.6 Hz, 1H), 4.71 (m, 1H).
【0092】
・実施例68の生成物:無色固体。 TLC, Rf = 0.25 (hexane-EtOAc = 4:1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.53 (s, 3H), 2.68 (d, J= 17.0 Hz, 1H), 2.92 (d, J= 17.0, 1H), 4.42 (m, 2H), 7.18-7.40 (m, 5H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 28.1, 42.1, 44.2, 78.5, 125.3, 127.3, 129.1, 144.4, 176.3.
【0093】
・実施例69のメジャー生成物(A)とマイナー生成物(B)との単離混合物:白色固体。 TLC, Rf = 0.38 (hexane-EtOAc = 1: 2); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 2.15-2.26 (m, 1H, for A, B), 2.59-2.69 (m, 2H, for A, B), 2.87 (dd, J= 18.3, 11.4 Hz, 1H, for A), 3.18 (ddd, 10.1, 10.1, 2.3 Hz, for B), 3.32-3.38 (m, 1H, for A), 4.02-4.07 (m, 1H, for A, B), 4.29 (dd, 10.1, 3.7 Hz, 1H, for B), 4.46-4.56 (m, 1H for A, 2H for B), 5.16 (t, J= 6.4 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 35.9(A), 36.1(B), 38.3(A), 42.3(B), 48.1(A), 48.5(B), 58.0(B), 58.3(A), 72.7(B), 79.3(B), 79.4(A), 84.7(A), 177.7(A), 181.0(B).
【0094】
・実施例70のメジャー生成物:白色固体。 TLC, Rf = 0.28 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.09 (s, 3H), 0.10 (s, 3H), 0.87 (s, 9H), 2.15 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 2.52-2.58 (m, 1H), 2.61 (dd, J= 18.3, 4.1 Hz, 1H), 2.85 (dd, J= 18.3, 11.9 Hz, 1H), 3.39 (m, 1H), 4.06 (m, 1H), 4.42 (m, 1H), 5.20 (t, J= 7.3 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -4.9, 18.0, 25.7, 35.9, 39.1, 48.3, 58.9, 80.4, 84.0, 176.1.
【0095】
・実施例70のマイナー生成物:白色固体。 TLC, Rf = 0.36 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.08 (s, 3H), 0.09 (s, 3H), 0.86 (s, 9H), 2.22 (d, J= 13.0 Hz, 1H), 2.56-2.62 (m, 1H), 3.18 (t, J= 9.6 Hz, 1H), 3.37 (ddd, J= 9.6, 9.6, 3.6 Hz, 1H), 4.00 (m, 1H), 4.20 (dd, J= 9.6, 4.1 Hz, 1H), 4.37 (m, 1H), 4.53 (t, J= 9.6 Hz, 1H) ); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -5.1, 17.9, 25.5, 36.9, 42.3, 48.6, 58.7, 72.5, 80.0, 179.6.
【0096】
・実施例71のメジャー生成物(A)とマイナー生成物(B)との単離混合物:実施例30と同じ生成物である。
【0097】
・実施例72のメジャー生成物:白色固体。 TLC, Rf = 0.17 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 5.34 (s, 2H), 7.50 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 7.55(t, J= 7.3 Hz, 1H), 7.70 (t, J= 7.3 Hz, 1H), 7.94 (d, J= 7.8 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 69.8, 122.2, 125.8, 129.1, 134.1, 146.6, 171.2.
【0098】
・実施例72のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.36 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 3.75 (s, 2H), 7.10-7.16 (m, 2H), 7.28-7.33(m, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 33.1, 110.9, 123.2, 124.2, 124.8, 129.0, 154.8, 174.2.
【0099】
・実施例73の生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.73 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.88-0.95 (m, 6H), 1.28-1.39 (m, 8H), 1.58-1.66 (m, 4H), 2.29 (t, J= 7.4 Hz, 2H), 4.06 (t, J= 6.4 Hz, 2H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 14.0(2C), 22.5(2C), 24.8, 28.3, 28.6, 31.5, 34.5, 64.4, 173.9.
【0100】
・実施例74の生成物:黄色オイル。 TLC, Rf = 0.32 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 4.76 (brs, 1H), 6.75-6.79 (m, 2H), 7.17-7.21 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 116.8, 125.8, 129.7, 154.2.
【0101】
・実施例75のメジャー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.14 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.20 (d, J= 6.8 Hz, 3H), 1.48-1.57 (m, 1H), 1.77-1.86 (m, 1H), 2.08-2.14 (m, 2H), 2.46-2.55 (m, 1H), 5.00-5.03 (m 2H), 5.74-5.84 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 16.9, 31.4, 32.6, 38.8, 115.4, 137.8, 182.8.
【0102】
・実施例75のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.30 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 0.32 (s, 9H), 1.04-1.10 (m, 1H), 1.36 (d, J= 6.4 Hz, 3H), 1.75-1.84 (m, 4H), 2.65 (dd, J= 14.7, 6.0 Hz, 1H), 2.92 (dd, J= 14.2, 6.8 Hz, 1H), 4.53-4.456 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ -2.4, 20.7, 21.9, 27.0, 35.8, 36.0, 75.6, 175.1.
【0103】
・実施例76のメジャー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.1 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ 1.00 (s, 6H), 1.63-1.67 (m, 2H), 2.26-2.30 (m, 1H), 4.91-5.00 (m, 2H), 5.72 (dd, J= 17.4, 11.0 Hz, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ 26.6, 30.0, 36.3, 36.8, 111.8, 147.0, 181.0.
【0104】
・実施例76のマイナー生成物:無色オイル。 TLC, Rf = 0.23 (hexane-EtOAc = 4: 1); 1H NMR (CDCl3, 400 MHz) d 0.14 (s, 9H), 1.00-1.09 (m, 1H), 1.07 (s, 3H), 1.09 (s, 3H), 1.67 (m, 2H), 2.52-2.67 (m, 2H), 4.12-4.18 (m, 1H), 4.22-4.28 (m, 1H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) d 0.3, 24.8, 29.8, 31.8, 34.0, 35.2, 45.5, 176.8.
【0105】
本出願は、2010年11月2日に出願された日本国特許出願第2010-245944号を優先権主張の基礎としており、引用によりその内容の全てが本明細書に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明は、主に薬品化学産業に利用可能である。特に、ラクトンであるε-カプロラクトンは、生分解性ポリマーやナイロン-6の合成中間体として有用である。