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明細書 :遺伝子ターゲティングベクター、その作製方法及び利用方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5999602号 (P5999602)
登録日 平成28年9月9日(2016.9.9)
発行日 平成28年9月28日(2016.9.28)
発明の名称または考案の名称 遺伝子ターゲティングベクター、その作製方法及び利用方法
国際特許分類 C12N  15/09        (2006.01)
C12N   5/10        (2006.01)
FI C12N 15/00 ZNAA
C12N 5/10
請求項の数または発明の数 14
全頁数 16
出願番号 特願2013-518006 (P2013-518006)
出願日 平成24年5月24日(2012.5.24)
国際出願番号 PCT/JP2012/063248
国際公開番号 WO2012/165270
国際公開日 平成24年12月6日(2012.12.6)
優先権出願番号 2011118564
優先日 平成23年5月27日(2011.5.27)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年5月8日(2015.5.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505155528
【氏名又は名称】公立大学法人横浜市立大学
発明者または考案者 【氏名】足立 典隆
個別代理人の代理人 【識別番号】100098121、【弁理士】、【氏名又は名称】間山 世津子
【識別番号】100107870、【弁理士】、【氏名又は名称】野村 健一
審査官 【審査官】鈴木 崇之
参考文献・文献 DNA Cell Biol.,2006年,Vol. 25, No. 1,pp. 19-24
Biosci. Trends,2009年,Vol. 3, No. 5,pp. 161-167
J. Biotechnol.,2009年,Vol. 141,pp. 1-7
G,Cell Stem Cell,2009年,Vol. 5,pp. 97-110
Biosci. Trends,2008年,Vol. 2, No. 5,pp. 169-180
BioTechniques,2006年,Vol. 41, No. 3,pp. 311-316
Chromosomal Mutagenesis,2008年,Vol. 435,pp. 17-29
生化学,2008年,Vol. 80, No. 7,pp. 651-657
調査した分野 C12N 15/09
C12N 5/10
C12N 1/15
C12N 1/19
C12N 1/21
CAplus/MEDLINE/BIOSIS/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
特許請求の範囲 【請求項1】
標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が5’上流に存在する選択用マーカー及び標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片を連結することを含む、遺伝子ターゲティングベクターを作製する方法であって、選択用マーカーはそのマーカー独自のプロモーターを持たないが、標的遺伝子とのバイシストロン性発現により発現がオンになり、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が、IRES、IRES2及び2Aペプチド配列からなる群より選択される少なくとも1つである前記方法。
【請求項2】
標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片がスプライスアクセプター部位を含む請求項1記載の方法。
【請求項3】
標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片又は標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片がリニア化部位を含む請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が選択用マーカーの5’上流に存在することを特徴とする遺伝子ターゲティングベクターであって、選択用マーカーはそのマーカー独自のプロモーターを持たないが、標的遺伝子とのバイシストロン性発現により発現がオンになり、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が、IRES、IRES2及び2Aペプチド配列からなる群より選択される少なくとも1つである前記ベクター。
【請求項5】
選択用マーカーがポリA配列を持つが、プロモーターを持たない請求項4記載のベクター。
【請求項6】
選択用マーカーが部位特異的組換え酵素の標的配列で挟まれている請求項4又は5記載のベクター。
【請求項7】
さらにスプライスアクセプター部位が導入されている請求項4~6のいずれかに記載のベクター。
【請求項8】
さらにリニア化部位が導入されている請求項4~7のいずれかに記載のベクター。
【請求項9】
請求項4~8のいずれかに記載の遺伝子ターゲティングベクターを用いて、細胞に遺伝子変異を導入することを含む、遺伝子ノックアウト細胞を作製する方法(in vivoのヒトでの方法を除外する)
【請求項10】
遺伝子ターゲティングベクターを作製するために使用する選択用マーカーを含んでいるベクターであって、選択用マーカーの5'上流にバイシストロン性発現を可能にするDNA配列が組み込まれ、かつ、選択用マーカーはそのマーカー独自のプロモーターを持たず、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が、IRES、IRES2及び2Aペプチド配列からなる群より選択される少なくとも1つである前記ベクター。
【請求項11】
さらにスプライスアクセプター部位が導入されている請求項10記載のベクター。
【請求項12】
選択用マーカーが、ピューロマイシン耐性遺伝子及び/又はハイグロマイシン耐性遺伝子であり、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が、IRES配列及び/又は2Aペプチド配列である請求項1記載の方法。
【請求項13】
選択用マーカーが、ピューロマイシン耐性遺伝子及び/又はハイグロマイシン耐性遺伝子であり、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が、IRES配列及び/又は2Aペプチド配列である請求項4記載のベクター。
【請求項14】
請求項13記載の遺伝子ターゲティングベクターを用いて、細胞に遺伝子変異を導入することを含む、遺伝子ノックアウト細胞を作製する方法(in vivoのヒトでの方法を除外する)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子ターゲティングベクター、その作製方法及び利用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細胞が備えている相同組換え能を利用して、ゲノム上の特定の遺伝子だけを破壊、ないし人為的に導入したDNA断片と置き換えることができる(非特許文献1、2)。これを遺伝子ターゲティングと呼ぶ。この手法は、個々の遺伝子機能解析に絶大な威力を発揮してきただけでなく、理想的な遺伝子治療法や品種改良法としても期待されている(非特許文献3)。しかし、一般的な高等動植物細胞における遺伝子ターゲティングの効率は極めて低く、改良法の開発が望まれている。プロモーターレス型(エクソントラップ型も含む。)のターゲティングベクターを用いることで効率の上昇が見込める(非特許文献4、5)が、汎用されているIRES配列では細胞内での発現レベルの低い遺伝子(プロモーター活性の弱い遺伝子)がトラップされにくいため、改良法の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Capecchi, MR (1989) Altering the genome by homologous recombination. Science 244: 1288-1292
【非特許文献2】Vasquez KM, Marburger K, Intody Z, et al. (2001) Manipulating the mammalian genome by homologous recombination. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 98: 8403-8410
【非特許文献3】Yanez RJ, Porter AC (1998) Therapeutic gene targeting. Gene Ther 5: 149-159
【非特許文献4】Bunz F, Dutriaux A, Lengauer C, et al. (1998) Requirement for p53 and p21 to Sustain G2 Arrest After DNA Damage. Science 282: 1497-1501
【非特許文献5】Adachi N, So S, Iiizumi S, et al. (2006) The human pre-B cell line Nalm-6 is highly proficient in gene targeting by homologous recombination. DNA Cell Biol. 25: 19-24
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、効率が高い遺伝子ターゲティングを可能とする遺伝子ターゲティングベクターを提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、効率が高い遺伝子ターゲティングを可能とする遺伝子ターゲティングベクターを作製する方法を提供することも目的とする。
【0006】
さらに、本発明は、効率が高い遺伝子ターゲティングを可能とする遺伝子ターゲティングベクターを利用して、遺伝子ノックアウト細胞を作製する方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
遺伝子ターゲティングの効率が極めて低いという問題点の最大の要因は、細胞に導入したターゲティングベクターがゲノム上のランダムな位置に挿入される反応(ランダム挿入)が高頻度で起こってしまうことにある。しかし、プロモーターレス型のターゲティングベクターを用いることでターゲティング効率の上昇が期待できるため、こうしたベクター、特にエクソントラップ型のターゲティングベクターを簡便迅速に作製できるようになれば、一定の技術革新が見込めるはずである。ただし、IRES配列を使用した場合、ゲノム上の遺伝子の発現レベルに比べ、選別に使用したマーカー遺伝子の発現レベルの方が低くなってしまうため、発現レベルの低い遺伝子をトラップしにくいと考えられている。
【0008】
本発明者は、Invitrogen社のMultiSite Gatewayシステム(制限酵素処理やDNA連結反応を必要としない)を利用することで、エクソントラップ型のターゲティングベクターを簡便迅速に作製できる手法を開発した。この方法では、相同領域アームをPCRで増幅する際のプライマー設計が重要な鍵となる。こうして作製したベクターをヒトリンパ球細胞に適用することで、超高効率遺伝子ターゲティングが可能になる。また、2Aペプチド配列を利用したエクソントラッピングによる遺伝子ターゲティングを行うことで、ゲノム上の遺伝子の発現と、使用するマーカー遺伝子の発現を同一レベルにすることができるため、発現レベルの低い遺伝子のトラッピングが従来よりも容易になると期待される。また、こうしたベクターを簡便迅速に構築できる手法も同時に開発した。
【0009】
本発明の要旨は以下の通りである。
【0010】
(1)標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が5’上流に存在する選択用マーカー及び標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片を連結することを含む、遺伝子ターゲティングベクターを作製する方法。
(2)標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片がスプライスアクセプター部位を含む(1)記載の方法。
(3)標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片又は標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片がリニア化部位を含む(1)又は(2)の方法。
(4)バイシストロン性発現を可能にするDNA配列が選択用マーカーの5’上流に存在することを特徴とする遺伝子ターゲティングベクター。
(5)選択用マーカーがポリA配列を持つが、プロモーターを持たない(4)のベタクー。
(6)選択用マーカーが部位特異的組換え酵素の標的配列で挟まれている(4)又は(5)のベクター。
(7)さらにスプライスアクセプター部位が導入されている(4)~(6)のいずれかに記載のベクター。
(8)さらにリニア化部位が導入されている(4)~(7)のいずれかに記載のベクター。
(9)(4)~(8)のいずれかに記載の遺伝子ターゲティングベクターを用いて、細胞に遺伝子変異を導入することを含む、遺伝子ノックアウト細胞を作製する方法。
(10)遺伝子ターゲティングベクターを作製するために使用する選択用マーカーを含んでいるベクターであって、選択用マーカーの5'上流にバイシストロン性発現を可能にするDNA配列が組み込まれている前記ベクター。
(11)さらにスプライスアクセプター部位が導入されている(10)記載のベクター。
(12)遺伝子ターゲティングベクターを作製するために使用する選択用マーカーを含んでいるベクターであって、標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片と標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片を組み込むための部位、および、リニア化部位が組み込まれている前記ベクター。
【発明の効果】
【0011】
従来よりも極めて簡便迅速にエクソントラップ型ターゲティングベクターを作製できるようになった。また、ヒト細胞での超高効率遺伝子ターゲティングが可能になった。さらに、ゲノム上での発現レベルの低い遺伝子をトラップしやすくなれば、発現レベルの低い遺伝子への適用が容易になる。よって、基礎生物学分野、医療分野、農畜産分野における遺伝子ノックアウトや遺伝子トラップの汎用化・効率化に有効である。
本明細書は、本願の優先権の基礎である日本国特許出願、特願2011‐118564の明細書および/または図面に記載される内容を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ターゲティングベクターの構造。(A)一般的な置換型ターゲティングベクターの構造。ターゲティングベクターを細胞内に導入し、選択薬剤存在下でコロニー形成を行うと、標的部位と薬剤耐性遺伝子が組換わった相同組換え体と、染色体上のランダムな位置にターゲティングベクターが挿入された非相同組換え体が得られるが、後者のほうが圧倒的多数を占める。つまり、相同組換え体および非相同組換え体のいずれも薬剤耐性遺伝子をもつため、この薬剤選別だけでは相同組換え体の取得は困難である。しかし、いずれかのアームの外側にDT-Aなどの自殺遺伝子を付加しておくと、非相同組換え体は染色体上に組込まれた自殺遺伝子の発現によって死滅する。図中の楕円は細胞を、その中の棒状の四角は染色体を表す。染色体中の濃い灰色の領域は標的部位、染色体およびターゲティングベクター中の薄い灰色の領域は相同領域を表す。また、ターゲティングベクターのアームに挟まれた領域は薬剤耐性遺伝子を、黒い四角の領域はDT-Aをそれぞれ表す。(B)プロモーターレス型ターゲティングベクターの構造の一例。置換型ターゲティングベクターとは異なり、ポジティブ選択マーカーとして用いる遺伝子に独自のプロモーターをもたせない。このため、理論上、相同組換えによるターゲティングが起こったときのみ、染色体上の標的遺伝子のプロモーターが使われてマーカー遺伝子の発現がオンとなる。
【図2】Multisite Gateway technologyを利用したエクソントラップ型ターゲティングベクター作製の概略。両端にattB配列をもつ5’-アームと3’-アームをPCR増幅したのち、BP組換え反応によって5’-エントリークローンと3’-エントリークローンを作製する(A)。得られた2つのエントリークローンと、pENTR IRES-Hyg、pDEST R4-R3を用いて、LR組換えによりターゲティングベクターを作製する(B)。Hygはハイグロマイシン耐性遺伝子、DT-Aはジフテリア毒素Aフラグメント遺伝子、Kmrはカナマイシン耐性遺伝子、Amprはアンピシリン耐性遺伝子を表す。
【図3】アーム増幅のためのPCRの概略とプライマー配列。attB配列で挟むように各アームをPCRで増幅する。プライマー配列中の下線部は各att配列を、Nは鋳型特異的配列、枠で囲った部分はI-SceIの認識配列をそれぞれ示す。鋳型特異的配列は25nt程度の長さにするとよい。
【図4】Multisite Gateway technologyを利用したエクソントラップ型ターゲティングベクター作製の概略。SA部位(splice acceptor site:スプライスアクセプター部位)を5'アーム中に含む。また、選択用マーカーがポリA配列(pA)を持つ。Kmrはカナマイシン耐性遺伝子、Hygrはハイグロマイシン耐性遺伝子、βgeorはβガラクトシダーゼ遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子の融合遺伝子、IRESはIRES配列、2Aは2Aペプチド配列、IRES2はIRES2配列、Amprはアンピシリン耐性遺伝子、Purorはピューロマイシン耐性遺伝子を表す。
【図5】構築した様々な種類の選択用マーカー。図4のベクターの丸のところに相当する選択用マーカーを用意し、利用可能とした。Exon Xは標的エクソン、SAはSA部位、IRESはIRES配列、Purorはピューロマイシン耐性遺伝子、pAはポリA配列、Hygrはハイグロマイシン耐性遺伝子、IRES2はIRES2配列、β-geoはβガラクトシダーゼ遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子の融合遺伝子、2Aは2Aペプチド配列、EGFPは強化緑色蛍光タンパク質遺伝子、Neorはネオマイシン耐性遺伝子、tTA2sはテトラサイクリンにより制御可能な転写因子遺伝子、PCMVはCMVプロモーター、Tet-Off Advancedはテトラサイクリンを用いた遺伝子発現制御システム(タカラバイオ株式会社から市販されている)、PTightはテトラサイクリンにより制御可能なプロモーター、PTRE3GはTRE3Gプロモーター、mCherryは赤色蛍光タンパク質遺伝子を表す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態についてより詳細に説明する。

【0014】
遺伝子ターゲティングは、相同組換え機構を利用して、染色体上の任意の位置に変異を入れる技術である。しかし、高等生物における相同組換え頻度は低く、一般に細胞内に導入したターゲティングベクターが標的部位に挿入される頻度に比べ、異なる部位にランダムに挿入される頻度の方が100倍以上高い。そこで、相同組換え体を効率よく選別、取得できるよう、ターゲティングベクターに工夫を施す必要がある。最もよく用いられている置換型ターゲティングベクターは、標的部位(欠失させたい領域)の5’上流領域および3’下流領域と相同なDNA断片(以下、それぞれ「5’アーム」および「3’アーム」とよぶこともある)でポジティブ選択マーカー(本発明における「選択用マーカー」に該当する。)を挟むような構造をもつ(図1A)。ポジティブ選択マーカーとしては、ハイグロマイシン耐性遺伝子、ピューロマイシン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子、β-geo(βガラクトシダーゼ遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子の融合遺伝子)などの薬剤耐性遺伝子、緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子、強化緑色蛍光タンパク質(enhanced GFP; EGFP)遺伝子、赤色蛍光タンパク質(mCherry)遺伝子などの蛍光タンパク質遺伝子、ルシフェラーゼ遺伝子などが例示される。相同組換えが起こると標的部位がポジティブ選択マーカーと置き換わるため、これを指標として組換え体を選別することができる。ただし、非相同組換えによってランダムに挿入されてもマーカー遺伝子の発現は起こる。このため、非相同組換え体を除去するための工夫として、ターゲティングベクター中のアームの外側にネガティブ選択用の遺伝子を付加しておくのが一般的である。ネガティブ選択用の遺伝子としては、HSV-TK、DT-Aなどの自殺遺伝子などが例示される。別の方法として、プロモーターをもたない薬剤耐性遺伝子(選択マーカー)を用いるプロモーターレス法(「エクソントラップ法」も含む)がある(図1B)。この方法では、相同組換えが起こるとポジティブ選択マーカー遺伝子の発現がオンになる。

【0015】
本明細書では、Multisite Gateway technology(Iiizumi, S, Nomura, Y, So, S, et al. (2006) Simple one-week method to construct gene-targeting vectors: application to production of human knockout cell lines. Biotechniques 41: 311-316)を利用した置換型ターゲティングベクターの作製法を例にとって説明する。

【0016】
具体的には、まずattB4配列とattB1配列を両端にもつ5’アーム(本発明における「標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片」に該当する。)とpDONR P4-P1RおよびattB2配列とattB3配列を両端にもつ3’アーム(本発明における「標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片」に該当する。)とpDONR P2R-P3間でBP組換えを行うことにより、5’エントリークローンおよび3’エントリークローンをそれぞれ作製する。(5’アームと3’アームはゲノミックPCRにより増幅、取得しておく。)
5'アーム増幅用のリバースプライマーは、標的遺伝子のエクソン上に設計しておくとよい。これにより、標的遺伝子上において上流のエクソンから選択用マーカー遺伝子(が挿入されたエクソン)へのナチュラルなスプライシングを可能にするSA部位(splice acceptor site:スプライスアクセプター部位)を5'アーム中に含めることができる。SA部位は、標的遺伝子のSA配列に限定されるわけではなく、他のSA部位を用いてもよい。

【0017】
3'アーム増幅用のリバースプライマー(もしくは5'アーム増幅用のフォワードプライマー)に、ベクター直鎖化のための制限酵素サイト(例えば、I-SceI、PmeI、AscI、Swal、PacIなど)(本発明における「リニア化部位」に該当する。)を付加しておくとよい。これにより、直鎖化に使用する制限酵素を決定するためのマッピング実験を省略することができる。

【0018】
次に、この二つのエントリークローンと、attL1配列とattL2配列の間にハイグロマイシン耐性遺伝子を導入したpENTR IRES-Hyg、pDEST R4-R3(Invitrogen)との四者間でLR組換えを行う。この2ステップだけで、エクソントラップ型の置換型ターゲティングベクターが完成する(図2)。

【0019】
ハイグロマイシン耐性遺伝子(他の選択用マーカーでもよい。)の5'上流には、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列(例えば、IRES配列(internal ribosomal entry site ; mRNA内部のリボソーム進入サイト ; encephalomyocarditis virus (EMCV) 由来のものなど)、2Aペプチド配列(2A “self-cleaving” peptide ; Thosea asigna virus (TaV) 由来のものなど)、IRES2など)を付加する。選択用マーカーの5'上流にバイシストロン性発現を可能にするDNA配列が存在するため、遺伝子ターゲティングが起こると標的遺伝子のプロモーターに依存して選択用マーカーの遺伝子発現が起こる。

【0020】
ハイグロマイシン耐性遺伝子はlox71とloxPで挟んでおくとよい。これにより、遺伝子ターゲティングの後、Creの一過性発現により、選択用マーカーをゲノム中から除去することができる。ただし、マーカー除去のための手法はこれに限定されない。すなわち、他のlox配列やFRT配列などの部位特異的組換え酵素の標的配列も利用することができる。

【0021】
また、エントリークローンpENTR IRES-Hygにスプライスアクセプター部位(SA部位)を導入してもよい。スプライスアクセプター部位を導入することにより、5'アーム増幅用のリバースプライマーを(エクソンではなく)イントロン中に設定できる。

【0022】
以上、ターゲティングベクターの作製(具体的には5'アームと選択用マーカーと3'アームを連結するステップ)はInvitrogen社のMultiSite Gatewayシステムを利用する場合を例にとり説明したが、連結方法はこの手法に限定されない。すなわち、その他の分子生物学的方法による作製や利用(たとえば制限酵素やリガーゼを利用した一般的な手法やIn-Fusion PCR Cloningなど)も可能である。エントリークローン(つまりGatewayのシステム)を利用せずに、通常の方法でターゲティングベクターを作製するためのベースとなるようなベクターとしては、選択用マーカーを含み、標的部位の5’上流領域と相同なDNA断片と標的部位の3’下流領域と相同なDNA断片を組み込むための部位、および、リニア化部位が組み込まれているベクターを使用するとよい。

【0023】
本発明の遺伝子ターゲティングベクターを用いて、細胞に遺伝子変異を導入することにより、遺伝子ノックアウト細胞を作製することができる。遺伝子ノックアウト細胞は、公知の方法(例えば、Adachi, N, So, S, Iiizumi, S, et al. (2006) The human pre-B cell line Nalm-6 is highly proficient in gene targeting by homologous recombination. DNA Cell Biol. 25: 19-24; Adachi, N, Nishijima, H, Shibahara, K (2008) Gene targeting using the human Nalm-6 pre-B cell line. BioScience Trends. 2: 169-180; Toyoda, E, Kagaya, S, Cowell, IG, et al. (2008) NK314, a topoisomerase II inhibitor that specifically targets the alpha isoform. J. Biol. Chem. 283: 23711-23720)で作製することができる。簡単に説明すると、制限酵素でターゲティングベクターを直鎖化した後、エレクトロポレーション法などの遺伝子導入法により細胞に導入し、細胞を培養し、コロニーを形成させる。次いで、適宜マーカーを利用して、遺伝子変異が導入された細胞を選択する。ホモで遺伝子変異が導入された細胞(ホモ破壊株)を得るには、選択用マーカーを代えて、第2の遺伝子ターゲティングを行うとよい。また、部位特異的組換え酵素発現ベクター(例えば、Cre組換え酵素発現ベクターであるプラスミドpBS185)を細胞に導入することにより、選択用マーカーを除去することができる。選択用マーカーを除去した細胞には、別の変異を導入することができる。遺伝子ターゲティングに適した細胞としては、ヒトNalm-6細胞、ニワトリDT40細胞、マウスES細胞などを例示することができるが、これらに限定されることはない。
【実施例1】
【0024】
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0025】
〔実施例1〕
(材料及び方法)
ターゲティングベクターの構築
準備するもの
1. ExTaqTM ポリメラーゼ(タカラバイオ)
2. PCRプライマー: HPRT遺伝子の増幅を例にとる。
5'アーム増幅用
(1) HPRT 5'Fw, 5’- GGGGACAACTTTGTATAGAAAAGTTGCACATCACAGGTACCATATCAGTG -3’(配列番号1);
(2) HPRT 5'Rv (エクソン上に設定する), 5’- GGGGACTGCTTTTTTGTACAAACTTGCACATCTCGAGCAAGACGTTCAGT -3’(配列番号2);
3'アーム用
(3) HPRT 3'Fw, 5’- GGGGACAGCTTTCTTGTACAAAGTGGCCTGCAGGATCACATTGTAGCCCTCTGTGTGC -3’ (配列番号3);
(4) HPRT 3'Rv (リニア化部位となるI-SceIサイトを付加しておく), 5’- GGGGACAACTTTGTATAATAAAGTTGCTATATTACCCTGTTATCCCTAGCGTAACTCAGGGTAGAAATGCTACTTCAGGC -3’ (配列番号4)
3. MultiSite Gateway(登録商標) Three Fragment Vector Construction Kit(Invitrogen)
4. 薬剤耐性遺伝子が組み込まれたエントリークローン(pENTR IRES-Hyg)
pENTR IRES-Hygは、pENTR loxPプラスミド(Iiizumi, S, Nomura, Y, So, S, et al. (2006) Simple one-week method to construct gene-targeting vectors: application to production of human knockout cell lines. Biotechniques 41: 311-316)をNotIで消化した後、lox71, IRES, Hyg, pA, loxPを順次付加して作製した。lox71とloxPは合成リンカーDNAを用いて付加した。IRESとpAはpIRESベクター(タカラバイオ;http://catalog.takara-bio.co.jp/product/basic_info.asp?unitid=U100004407)に由来する。HygはpENTR lox-Hyg(Iiizumi, S, Nomura, Y, So, S, et al. (2006) Simple one-week method to construct gene-targeting vectors: application to production of human knockout cell lines. Biotechniques 41: 311-316)に由来する。
5. デスティネーションベクター (pDEST R4-R3) (Invitrogen)
6. 抗生物質含有LB寒天培地:50 μg/mlカナマイシンまたは50 μg/mlアンピシリンを含むLB寒天培地
【実施例1】
【0026】
プロトコール
1. Nalm-6細胞(Adachi, N, So, S, Iiizumi, S, et al. (2006) The human pre-B cell line Nalm-6 is highly proficient in gene targeting by homologous recombination. DNA Cell Biol. 25: 19-24)より調製したゲノムDNAを鋳型として下記の条件でPCRを行い,att配列で挟まれたHPRTゲノム断片を取得した。5’アームの増幅にはプライマー(1)と(2)を、3’アームの増幅にはプライマー(3)と(4)を使用した。
【実施例1】
【0027】
【表1】
JP0005999602B2_000002t.gif
2. PCR産物を市販のキットで精製し、定量した。
3. BP組換え反応により、5’-エントリークローンおよび3’-エントリークローンを作製した(図2A)。下記のサンプルを0.5 mlチューブ内で混合した。
pDONR P4-P1R または pDONR P2R-P3 50 fmoles
PCRで増幅した5’-アームまたは3’-アーム 50 fmoles
全量 4 μl(TE溶液であわせる)
4. 1 μlのBPクロナーゼ II酵素ミックスを上記反応液に加え、よく混合した。
5. 25℃で4~5時間インキュベートした。
6. 1 μlの2 μg/μl プロテイナーゼKを加え、よく混合した。
7. 37℃で10分インキュベートした。
8. 5 μlの反応液を50 μlの大腸菌コンピテントセルと混和し、形質転換を行った。回復培養後、組換え体を50 μg/ml カナマイシンを含むLB寒天培地に播いた。
9. カナマイシン耐性コロニーを10~20個単離し、アルカリSDS法でプラスミドDNAを抽出した。アガロースゲル電気泳動により、目的のプラスミドと予想されるクローンを2~3個選んだ。これらの候補プラスミドを適当な制限酵素で消化したのち、アガロースゲル電気泳動を行い、目的のプラスミドであることを確認した。
10. 得られた 5’、 3’ 各エントリークローンを市販のキットで精製し、定量した。
11. LR組換え反応により、ターゲティングベクター(pHPRT-IRES-Hyg)を作製した(図2B)。各サンプルを下記のとおりに0.5 mlチューブ内で混合した。
pDEST R4-R3 20 fmoles
5’-エントリークローン 10 fmoles
3’-エントリークローン 10 fmoles
pENTR IRES-Hyg 10 fmoles
全量 4 μl(TE溶液であわせる)
12. 1 μlのLRクロナーゼプラス酵素ミックスを上記反応液に加え、よく混合した。
13. 25℃で16時間インキュベートした。
14. 2 μlの2 μg/μl プロテイナーゼKを加え、よく混合した。
15. 37℃で10分インキュベートした。
16. 5 μlの反応液を50 μlの大腸菌コンピテントセルと混和し、形質転換を行った。回復培養後、組換え体を50 μg/ml アンピシリンを含むLB寒天培地に播いた。
17. アンピシリン耐性コロニーを10~20個単離し、アルカリSDS法でプラスミドDNAを抽出した。アガロースゲル電気泳動により、目的のプラスミドと予想されるクローンを2~3個選んだ。これらの候補プラスミドを適当な制限酵素で消化したのち、アガロースゲル電気泳動を行い、目的のプラスミド(すなわちターゲティングベクター)であることを確認した。
18. ターゲティングベクターをキットで精製し、定量した。
【実施例1】
【0028】
ターゲティングベクターの直鎖化
準備するもの
1. 制限酵素 I-SceI、10x I-SceI反応バッファー、10 mg/ml BSA(New England Biolabs)
2. PCI:TE飽和フェノール、クロロホルム、イソアミルアルコールを25:24:1の割合で混合したもの(4℃保存)
3. CI:クロロホルムとイソアミルアルコールを24:1の割合で混合したもの(4℃保存)
4. 3 M 酢酸ナトリウム:酢酸ナトリウム 40.81 gを純水80 mlに溶かしたのち、酢酸でpHを5.2に合わせ、全量を100 mlとしたもの
5. TE溶液:10 mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0)、0.1 mM EDTA (pH 8.0)(4℃保存)
【実施例1】
【0029】
プロトコール
1. ターゲティングベクターを制限酵素 I-SceI で消化した。各試薬を下記のとおりに混合し、37℃で4時間以上インキュベートした。
【実施例1】
【0030】
ターゲティングベクター 50 μg
10x I-SceI バッファー 40 μl
100x BSA (10 mg/ml) 4 μl
I-SceI 15 ユニット
全量 400 μl(滅菌水であわせる)
2. 40 μlの3 M酢酸ナトリウムと0.9 mlのエタノールを加え、よく混合した。
3. 15,000 rpmで5分遠心した。
4. 0.5 mlの70%エタノールで3回洗浄した。
5. 3回目の遠心後、クリーンベンチ内で滅菌済みチップを使って上清を除去し、風乾した。
6. TE溶液を加え、DNAを溶解した(DNA濃度が2~4 μg/μlとなるようにした)。
7. 65℃で15分インキュベートした。
【実施例1】
【0031】
エレクトロポレーション法による遺伝子導入
準備するもの
1. 増殖培地:ES培地(日水製薬)に10% 仔ウシ血清(HyClone)と50 μM 2-メルカプトエタノールを加えたもの。湯浴で37℃に保温しておく。
2. 直鎖化したターゲティングベクター
3. Cell Line Nucleofector Kit T(Lonza)
【実施例1】
【0032】
プロトコール
1. 対数増殖期にあるヒトNalm-6細胞(2×106個以上)を50 ml遠心チューブに回収した。
2. 1,100 rpmで5分遠心し、上清を静かに除いた。
3. 細胞塊にSolution Tを100 μl加え、よく懸濁した。
4. ターゲティングベクターを2 μg加え、よく混和したのち、付属のスポイトを使って全量をキュベットに移した。
5. キュベットをエレクトロポレーション装置(Nucleofector II, Lonza)にセットした。
6. プログラムC-005を実行した。
7. 全量をただちに増殖培地6 mlの入った60 mmディッシュに移した。
8. 37℃で20~24時間培養した。
【実施例1】
【0033】
コロニー形成
準備するもの
1. 2.25×ES培地:下記のとおりに各試薬を順次純水に溶かし、室温でよく撹拌したのち、ろ過滅菌したもの(4℃保存)
粉末ES培地 21.8 g
炭酸水素ナトリウム 4.7 g
L-グルタミン 0.68 g
2-メルカプトエタノール 8.1 μl
全量 1000 ml(純水であわせる)
2. 仔ウシ血清(HyClone)
3. 0.33% アガロース溶液:LEアガロース(Lonza)0.33 gに純水100 mlを加え、オートクレーブ滅菌する。滅菌後、アガロースが固まらないうちに均一にまぜ、40℃の湯浴で保温しておく。
4. 選択薬剤(100 mg/ml ハイグロマイシンB):1 gのハイグロマイシンBを純水10 mlに溶かし、ろ過滅菌したもの(4℃保存)
【実施例1】
【0034】
プロトコール
1. 2×ES培地(2.25×ES培地にその1/4量の仔ウシ血清を加えたもの)を調製し、40℃に保温しておいた。
2. アガロース培地を調製(2×ES培地に等量の0.33 %アガロース溶液を加え、激しく撹拌)したのち、使用直前まで40℃に保温しておいた。
3. 遺伝子導入後の細胞を1 mlずつ90 mmディッシュに分注した。
4. 各ディッシュに40 μlの選択薬剤(100 mg/ml ハイグロマイシン)を加えた。細胞に直接触れないようにした。
5. 40℃に保温しておいたアガロース培地9 mlを各ディッシュに加え、よく混合した。
6. 室温で20~30分間静置し、アガロースを固化させた。
7. 37℃で2~3週間培養し、コロニー形成を行った。
【実施例1】
【0035】
コロニーの単離とターゲットクローンの選別
準備するもの
1. 選択培地(ハイグロマイシンB含有培地):増殖培地にハイグロマイシンBを0.4 mg/mlとなるよう加えたもの
2. 溶解バッファー:20 mM トリス塩酸緩衝液(pH 8.0)、250 mM 塩化ナトリウム、1% SDS
3. 10 mg/ml プロテイナーゼK:100 mgのプロテイナーゼKを純水10 mlに溶かし、ろ過滅菌したもの(-20℃保存)
4. 飽和NaCl溶液
5. ExTaqTM ポリメラーゼ
6. PCRプライマー: (遺伝子ターゲティングの確認用; Iiizumi et al. Nucleic Acids Res. 2008 Nov;36(19):6333-6342.)
HPRT-F, 5'-TGAGGGCAAAGGATGTGTTACGTG-3' (配列番号5)
HPRT-R, 5'-TTGATGTAATCCAGCAGGTCAGCA-3' (配列番号6)
【実施例1】
【0036】
プロトコール
1. 選択培地を0.5 mlずつ48ウェルプレートに分注した。
2. 50~200個のコロニーを、イエローチップもしくはブルーチップを使って拾い、よくピペッティングしながら選択培地に移した。
3. 37℃で2~3日培養した。
4. 各培養液を1.5 mlチューブへ移し、3,000~3,500 rpmで5~10分遠心し、細胞を回収した。
5. 上清を除去したのち、270 μlの溶解バッファーと1 μlの10 mg/mlプロテイナーゼKを加えた。
6. 37℃で一晩(または55℃で1時間)インキュベートした。
7. 80 μlの飽和NaCl溶液を加え、よく混合した。
8. さらに0.9 mlのエタノールを加え、よく混合した。
9. 15,000 rpm、4℃で15分遠心を行った。
10. 沈殿を除き、0.5 mlの70%エタノールで洗浄した。
11. 沈殿を30~100 μlのTE溶液に溶解させた。
12. 調製したゲノムDNAを鋳型として、プライマーHPRT-FとHPRT-Rを用いて下記の反応条件でPCRを行い、ターゲットクローンをスクリーニングした。
【実施例1】
【0037】
【表2】
JP0005999602B2_000003t.gif
薬剤耐性遺伝子として、ハイグロマイシン耐性遺伝子の代わりに、ピューロマイシン耐性遺伝子又はβガラクトシダーゼ遺伝子とネオマイシン耐性遺伝子の融合遺伝子を用いて、上記の操作を繰り返し、ターゲティングベクターを作製した。
【実施例1】
【0038】
また、バイシストロン性発現を可能にするDNA配列として、IRES配列の代わりに、IRES2配列又は2Aペプチド配列を用いて、上記の操作を繰り返し、ターゲティングベクターを作製した。
【実施例1】
【0039】
(結果)
結果を下記の表にまとめる。
【実施例1】
【0040】
【表3】
JP0005999602B2_000004t.gif
以上の結果の通り、エクソントラップ型のターゲティングベクターを使用するとヒトNalm-6細胞において従来よりも圧倒的に高い効率で遺伝子ターゲティングを行えることがわかった。
【実施例2】
【0041】
実施例1のHPRT遺伝子をCTIP遺伝子、LIG4遺伝子、またはKU70遺伝子に代えた以外は、同様の操作により遺伝子ターゲッティングベクターを作製し、直鎖化し、遺伝子導入を行い、コロニー形成・単離とターゲットクローンを選別した。
結果を下記の表にまとめる。
【表4】
JP0005999602B2_000005t.gif
【実施例3】
【0042】
IRES、IRES2、または2A配列の下流にPuro、Hygro、Neo、またはβgeoをつなぐことにより、さまざまな薬剤耐性遺伝子ユニットを構築した。2A-Puroについてはその上流に2A-EGFPを付加したものも構築した。また、IRES-Puro、IRES-Neo、IRES-Hygro、2A-Hygroについては、破壊した標的遺伝子の発現をテトラサイクリンにより制御できるようにするため、これに必要な遺伝子ないしプロモーターを付加したベクターを構築した。エクソントラップ型ターゲティングベクターの構築法と構築した選択用ベクターをそれぞれ図4及び5に示す。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許および特許出願をそのまま参考として本明細書にとり入れるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、基礎生物学分野、医療分野、農畜産分野における遺伝子ノックアウトや遺伝子トラップの汎用化・効率化に有効である。
【配列表フリ-テキスト】
【0044】
<配列番号1>
配列番号1は、ヒトHPRT遺伝子を標的とする5’アーム増幅用のフォワードプライマーのDNA配列を示す。
5’- GGGGACAACTTTGTATAGAAAAGTTGCACATCACAGGTACCATATCAGTG -3’
(下線部はattB4配列である)
<配列番号2>
配列番号2は、ヒトHPRT遺伝子を標的とする5’アーム増幅用のリバースプライマーのDNA配列を示す。
5’- GGGGACTGCTTTTTTGTACAAACTTGCACATCTCGAGCAAGACGTTCAGT -3’
(下線部はattB1配列である)
<配列番号3>
配列番号3は、ヒトHPRT遺伝子を標的とする3’アーム増幅用のフォワードプライマーのDNA配列を示す。
5’- GGGGACAGCTTTCTTGTACAAAGTGGCCTGCAGGATCACATTGTAGCCCTCTGTGTGC -3’
(下線部はattB2配列である)
<配列番号4>
配列番号4は、ヒトHPRT遺伝子を標的とする3’アーム増幅用のリバースプライマーのDNA配列を示す。
5’- GGGGACAACTTTGTATAATAAAGTTGCTATATTACCCTGTTATCCCTAGCGTAACTCAGGGTAGAAATGCTACTTCAGGC -3’
(下線部はattB3配列である)
<配列番号5>
配列番号5は、遺伝子ターゲティングの確認用のPCRプライマー(HPRT-F)のDNA配列を示す。
HPRT-F, 5'-TGAGGGCAAAGGATGTGTTACGTG-3'
<配列番号6>
配列番号6は、遺伝子ターゲティングの確認用のPCRプライマー(HPRT-R)のDNA配列を示す。
HPRT-R, 5'-TTGATGTAATCCAGCAGGTCAGCA-3'
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4