TOP > 国内特許検索 > 光触媒、塗膜および殺菌デバイス > 明細書

明細書 :光触媒、塗膜および殺菌デバイス

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-059878 (P2016-059878A)
公開日 平成28年4月25日(2016.4.25)
発明の名称または考案の名称 光触媒、塗膜および殺菌デバイス
国際特許分類 B01J  35/02        (2006.01)
B01J  27/18        (2006.01)
A61L   9/00        (2006.01)
A61L   9/01        (2006.01)
C02F   1/72        (2006.01)
C02F   1/30        (2006.01)
FI B01J 35/02 J
B01J 35/02 H
B01J 27/18 M
A61L 9/00 C
A61L 9/01 B
C02F 1/72 101
C02F 1/30
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-189980 (P2014-189980)
出願日 平成26年9月18日(2014.9.18)
発明者または考案者 【氏名】楊 英男
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100106909、【弁理士】、【氏名又は名称】棚井 澄雄
【識別番号】100188558、【弁理士】、【氏名又は名称】飯田 雅人
審査請求 未請求
テーマコード 4C080
4D037
4D050
4G169
Fターム 4C080AA07
4C080BB05
4C080HH05
4C080JJ01
4C080KK08
4C080LL10
4C080MM02
4C080NN01
4C080QQ03
4D037AA01
4D037AB03
4D037BA16
4D037CA11
4D050AA01
4D050AB06
4D050BC06
4D050BC09
4G169AA03
4G169BA04A
4G169BA04B
4G169BA48A
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BB14A
4G169BB14B
4G169BC32A
4G169BC32B
4G169CD10
4G169DA06
4G169EA01X
4G169EA01Y
4G169EA08
4G169EB19
4G169EC28
4G169FA01
4G169FA06
4G169FB23
4G169FB30
4G169FB57
4G169FC08
4G169HA01
4G169HB01
4G169HB10
4G169HC13
4G169HD11
4G169HE07
要約 【課題】可視光によって酸化還元作用を示す二酸化チタン系の光触媒、その光触媒を用いた塗膜、および、その塗膜を備えた殺菌デバイスを提供する。
【解決手段】本発明の光触媒は、金属銀と、リン酸銀とを含む二酸化チタンナノ粒子からなる。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
金属銀と、リン酸銀とを含む二酸化チタンナノ粒子からなることを特徴とする光触媒。
【請求項2】
銀(Ag)とチタン(Ti)とのモル比であるAg/Tiが1/10~1/5であることを特徴とする請求項1に記載の光触媒。
【請求項3】
請求項1または2に記載の光触媒を用いて形成されたことを特徴とする塗膜。
【請求項4】
前記塗膜は、2層以上4層以下であることを特徴とする請求項3に記載の塗膜。
【請求項5】
請求項3または4に記載の塗膜を備えたことを特徴とする殺菌デバイス。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光触媒、これを用いた塗膜、および、これを備えた殺菌デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二酸化チタン(TiO)の光触媒作用は、水および空気浄化の分野で非常に注目されている(例えば、非特許文献1、2参照)。しかしながら、例えば、電子・ホールペアの組換が速い、可視光により酸化還元反応(光触媒反応)を示さない、二酸化チタンナノ粒子の分離に非常に手間が掛かる等の問題が、二酸化チタンの実用化を阻害している(例えば、非特許文献3~5参照)。特に、従来の二酸化チタン系の光触媒は、紫外光の照射により酸化還元反応を示すものの、可視光の照射では酸化還元反応を示さないため、太陽光のみでは十分な光触媒活性を示さなかった。それゆえに、従来の光触媒を用いるには、光触媒に紫外光を照射するための光源が必要であるという問題があった。従って、これらの問題を解決するための新しい光触媒の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】A. Fujishima,K.Honda,Electrochemical photolysis of water at a semiconductor electrode,Nature 238 (1972) 37-38.
【非特許文献2】A.Mills,S. L. Hunte,An overview of semiconductor photocatalysis,Journal of Photochemistry and Photobiology A:Chemistry 108 (1997) 1-35.
【非特許文献3】J.Wang,W.Sun,Z.Zhang,Z.Jiang,X.Wang,R.Xu,R. Li, X.Zhang,Preparation of Fe-doped mixed crystal TiO2 catalyst and investigation of its photocatalytic activity during degradation of azo fuchsine under ultrasonic irradiation,J.Colloid Interface Sci.320 (1) (2008) 202-209.
【非特許文献4】Chen Shifu,Zhang Sujuan,Liu Wei,Zhao Wei,Preparation and activity evaluation of p-n junction photocatalyst NiO/TiO2,Journal of Hazardous Materials 155 (2008) 320ー326.
【非特許文献5】M.M.Viana,N.O.S.Mohallema,O.R.Miquitab,K.Balzuweit,E. Silva-Pinto,Preparation of amorphous and crystalline Ag/ TiO2 nanocomposite thin films,Applied Surface Science 265 (2013) 130-136.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、可視光によって酸化還元作用を示す二酸化チタン系の光触媒、その光触媒を用いた塗膜、および、その塗膜を備えた殺菌デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の光触媒は、金属銀と、リン酸銀とを含む二酸化チタンナノ粒子からなることを特徴とする。
【0006】
本発明の光触媒において、銀(Ag)とチタン(Ti)とのモル比であるAg/Tiが1/10~1/5であることが好ましい。
【0007】
本発明の塗膜は、本発明の光触媒を用いて形成されたことを特徴とする。
【0008】
本発明の塗膜において、前記塗膜は、2層以上4層以下であることが好ましい。
【0009】
本発明の殺菌デバイスは、本発明の塗膜を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、可視光によって酸化還元作用を示す二酸化チタン系の光触媒、その光触媒を用いた塗膜、および、その塗膜を備えた殺菌デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】紫外可視分光光度計分析の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の光触媒、塗膜および殺菌デバイスの実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。

【0013】
[光触媒]
本実施形態の光触媒は、金属銀(Ag)と、リン酸銀(AgPO)とを含む二酸化チタン(TiO)ナノ粒子(以下、「TiO-Ag/AgPO粒子」と記す。)からなる。
本実施形態におけるTiO-Ag/AgPO粒子の結晶子サイズは、5nm以上10nm以下であることが好ましく、5nm以上9nm以下であることがより好ましい。

【0014】
本実施形態の光触媒において、金属銀(Ag)は、金属銀状態で、二酸化チタンの結晶子構造の中に均一に分布している状態で存在する。
また、リン酸銀(AgPO)は、銀イオン(Ag)状態で、二酸化チタンの結晶子構造の中に均一に分布している状態で存在する。

【0015】
本実施形態の光触媒において、銀(Ag)とチタン(Ti)とのモル比であるAg/Tiは1/10~1/5であることが好ましく、1/10~1/9であることがより好ましく、1/10であることが最も好ましい。
Ag/Tiが上記の範囲内であれば、TiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒は、優れた光触媒活性を示す。Ag/Tiが1/10未満では、Agの含有量が少なすぎるため、二酸化チタンの光反応によって、電子とホールの再結合を防がないことによって、TiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒は、十分な光触媒活性を示さない。一方、Ag/Tiが1/5を超えると、Agの含有量が多いため、Agが結晶子構造の中に充満するため、二酸化チタンが十分に光反応を行わなくなり、TiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒は、十分な光触媒活性を示さない。

【0016】
なお、本実施形態の光触媒において、Ag/Ti(モル比)における銀の量(モル質量)は、金属銀に由来する銀の量(モル質量)と、リン酸銀に由来する銀イオンの量(モル質量)とを合わせた量である。

【0017】
次に、本実施形態の光触媒の製造方法を説明する。
所定量のテトラブチルチタネートを、所定量のイオン交換水に溶解し、室温で所定時間攪拌して、テトラブチルチタネートの水溶液を調製する。
次いで、前記の水溶液の攪拌を継続しながら、この水溶液に、硝酸銀、リン酸および硝酸を含む溶液を滴下する。このとき、最終的に得られるTiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒において、銀とチタンのモル比(Ag/Ti)が、所定の範囲内となるように、硝酸銀、リン酸および硝酸の添加量を調整する。
上記の水溶液を十分に攪拌して、攪拌を終了した後、室温にて所定時間静置し、透明、均質かつ安定なゾルゲル溶液を得る。

【0018】
次いで、洗浄したガラス管の内面(内壁面)に、上記のゾルゲル溶液を塗布し、ガラス管の内面にゾルゲル溶液からなる塗膜の前駆体(以下、「塗膜前駆体」と言う。)を形成する。
次いで、塗膜前駆体を形成したガラス管を、105℃にて24時間乾燥した後、マッフル炉の中で、2時間、仮焼し、本実施形態のTiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒を得る。
仮焼温度は、300℃以上500℃以下であることが好ましく、350℃以上450℃以下であることがより好ましく、400℃であることが最も好ましい。仮焼温度が300℃未満では、二酸化チタンが結晶性の高いアナターゼ相に変換し難いため、得られた光触媒が、十分な光触媒活性を発揮しない。一方、仮焼温度が500℃を超えると、二酸化チタンが結晶性の高いアナターゼ相から光活性の低いルチル相に転移したため、得られた光触媒が、十分な光触媒活性を発揮しない。

【0019】
また、仮焼時間は、2時間以上3時間以下であることが好ましく、2時間以上2.5時間以下であることがより好ましく、2時間であることが最も好ましい。仮焼時間が2時間未満では、得られた光触媒の光触媒活性がやや低下する。

【0020】
本実施形態の光触媒によれば、金属銀と、リン酸銀とを含む二酸化チタンナノ粒子からなるので、可視光によって酸化還元作用(光触媒活性)を示すことができる。

【0021】
[塗膜]
本実施形態の塗膜は、本実施形態の光触媒を用いて形成されてなる。
この塗膜の膜厚は、用途に応じて適宜調整されるが、18μm以上かつ20μm以下であることが好ましい。

【0022】
本実施形態の塗膜の製造方法は、被塗布物上に上記のゾルゲル溶液を塗工することで塗膜前駆体を形成する工程と、この塗膜前駆体を仮焼する工程とを有する。
被塗布物上に上記のゾルゲル溶液を塗工する塗工方法は、被塗布物に応じて適宜選択されるが、例えば、バーコート法、フローコート法、ディップコート法、スピンコート法、ロールコート法、スプレーコート法、メニスカスコート法、グラビアコート法、吸上げ塗工法、はけ塗り法、回転コーティング法等、通常のウェットコート法が用いられる。
例えば、被塗布物がガラス管であり、その内面に上記のゾルゲル溶液を塗布する場合、回転コーティング法が用いられる。回転コーティング法により、ガラス管の内面にゾルゲル溶液を塗布する場合、ガラス管内に上記のゾルゲル溶液を注入し、ガラス管を、その長手方向に沿う中心軸の回りに回転させる。これにより、ガラス管の内面にゾルゲル溶液からなる塗膜前駆体を形成する。

【0023】
塗膜前駆体を形成した被塗布物を、105℃にて24時間乾燥した後、マッフル炉の中で、2時間、仮焼することにより、本実施形態の塗膜が得られる。
仮焼温度は、300℃以上500℃以下であることが好ましく、350℃以上450℃以下であることがより好ましく、400℃であることが最も好ましい。仮焼温度が300℃未満では、二酸化チタンが結晶性の高いアナターゼ相に変換し難いため、得られた塗膜が、十分な光触媒活性を発揮しない。一方、仮焼温度が500℃を超えると、二酸化チタンが結晶性の高いアナターゼ相から光活性の低いルチル相に転移したため、得られた塗膜が、十分な光触媒活性を発揮しない。

【0024】
本実施形態の塗膜は、2層以上4層以下であることが好ましく、3層が最も好ましい。
本実施形態の塗膜が、2層以上4層以下であることにより、より優れた光触媒活性を示す。

【0025】
本実施形態の塗膜によれば、本実施形態の光触媒を用いて形成されてなるので、可視光によって酸化還元作用(光触媒活性)を示すことができる。

【0026】
[殺菌デバイス]
本実施形態の殺菌デバイスは、本実施形態の塗膜を備えてなる。本実施形態の殺菌デバイスは、ガラス等からなる基体と、基体の少なくとも一面に設けられた本実施形態の塗膜と、を有する。

【0027】
本実施形態の殺菌デバイスは、上記のゾルゲル溶液を、公知の塗工法を用いて基体上に塗工することで塗膜前駆体を形成し、その塗膜前駆体を硬化(仮焼)させることにより得られる。

【0028】
基体としては、塗膜をなす光触媒による還元反応によって分解(破壊)されないものであれば特に限定されず、例えば、ガラス、セラミックス、金属等からなる任意の形状のものが用いられる。例えば、基体が管状のものであり、その内面に光触媒からなる塗膜を設ける場合、塗膜が酸化還元作用を示すためには、光触媒が光を受光する必要がある。そのため、管状の基体としては、光を透過するガラス製のものが用いられる。

【0029】
本発明の殺菌デバイスによれば、本実施形態の塗膜が設けられているため、酸化還元作用(光触媒活性)を示すことができる。
【実施例】
【0030】
以下、実験例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
【実施例】
【0031】
[試薬]
二酸化チタン(TiO)源として、テトラブチルチタネート[Ti(OC](試薬特級、和光純薬工業社製)を用いた。
ドーパントとして、硝酸銀(AgNO、試薬特級、和光純薬工業社製)とリン酸銀(AgPO、試薬特級、和光純薬工業社製)を用いた。
溶媒として、エタノール(試薬特級、和光純薬工業社製)を用いた。
分散剤として、硝酸(HNO、試薬特級、和光純薬工業社製)を用いた。
【実施例】
【0032】
[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]
所定量のテトラブチルチタネートを、所定量のイオン交換水に溶解し、室温で20分間攪拌して、テトラブチルチタネートの水溶液を調製した。
次いで、前記の水溶液の攪拌を継続しながら、この水溶液に、硝酸銀、リン酸および硝酸を含む溶液を滴下した。このとき、最終的に得られるTiO-Ag/AgPO粒子からなる光触媒および塗膜において、AgとTiのモル比(Ag/Ti)が1:10となるように、硝酸銀、リン酸および硝酸の添加量を調整した。
上記の水溶液を十分に攪拌して、攪拌を終了した後、室温にて12時間静置し、透明、均質かつ安定なゾルゲル溶液を得た。
次いで、回転コーティング法により、洗浄したガラス管の内面(内壁面)に、上記のゾルゲル溶液を塗布し、ガラス管の内面にゾルゲル溶液からなる塗膜前駆体を形成した。
次いで、塗膜前駆体を形成したガラス管を、105℃にて24時間乾燥した後、マッフル炉の中で、400℃にて2時間、仮焼し、ガラス管内に、光触媒粉末と単層の光触媒からなる塗膜を作製した。
【実施例】
【0033】
[X線回折]
粉末X線回折装置(商品名:Bruke D8 Advance powder X-ray diffractometer、Bruker社製)を用いて、上述のようにして得られた光触媒粉末の結晶構造を解析した。その結果、光触媒粉末は、銀相、リン酸銀相および酸化チタン相が共存していることが確認された。X線回折の結果、アナターゼ型二酸化チタンとルチル型二酸化チタンがそれぞれ存在することを示すピークが確認された。また、25°、37°、48°、55°、56°、62°、71°、75°に顕著なピークが現れていることから、二酸化チタンが、結晶性の高いアナターゼ相を有することが分かった。また、それは、AgとAgPOが、TiOに結合していることを示している。
【実施例】
【0034】
[紫外可視分光分析]
紫外可視分光光度計(商品名:UV-3100PC、島津製作所社製)を用いて、0.5nm間隔で波長200nm~800nmにおいて、上述のようにして得られた光触媒粉末について、BaSO粉末を参照物として、紫外可視分光分析を行った。結果を図1に示す。
図1は、波長200nm~800nmにおける、TiO粉末の吸収スペクトルおよびTiO-Ag/AgPO粉末の吸収スペクトルを示す。このスペクトルから、TiO-Ag/AgPO粉末の吸収ピークが、380nmに現れることが分かった。また、このスペクトルは、TiOに、AgとAgPOを添加することにより、TiOのみの場合よりも可視光の吸収量が明らかに多くなることを示している。
また、下記式(1)に従って、TiO-Ag/AgPO粉末のバンドギャップエネルギーを算出した。
Eg=hc/λ (1)
上記式(1)において、Egはバンドギャップエネルギー、hはプランク定数、cは光速、λは波長をそれぞれ示す。
TiO-Ag/AgPO粉末のバンドギャップエネルギーを算出した結果、TiO-Ag/AgPO粉末のバンドギャップエネルギーは2.267eVであることが明らかとなった。これは、TiO粉末のバンドギャップエネルギー3.2eVよりも小さかった。
このように、TiO-Ag/AgPO粉末のバンドギャップエネルギーは、TiO粉末のバンドギャップエネルギーよりも小さいため、TiO-Ag/AgPO粉末は、TiO粉末よりも可視光の吸収範囲が広くなり、吸収量が多くなるものと考えられる。
【実施例】
【0035】
[光触媒活性の評価1]
オービタルシェイカー、マグネチックスターラーおよび人工太陽光照明灯を備えた光化学反応装置を用いて、TiO粉末、TiO-Ag粉末、TiO-AgPO粉末およびTiO-Ag/AgPO粉末について、光触媒活性を評価した。
上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、上記の各粉末からなる塗膜を形成した。
上記の各粉末と、ローダミンBの初期濃度が2mg/Lの水溶液(ローダミンB水溶液)とを容れたビーカーをマグネチックスターラーの上に設置した。また、塗膜を形成したガラス管をオービタルシェイカーに固定し、ビーカー内の水溶液に浸漬した。これにより、塗膜が形成されたガラス管内にローダミンB水溶液が侵入し、塗膜にローダミンB水溶液が接触した。
ビーカー内のローダミンB水溶液に含まれる上記の各粉末の量を1g/Lとした。また、TiO-Ag/AgPO粉末における、AgとTiとのモル比(Ag/Ti)を1/10とした。
ローダミンB水溶液を含むガラス管に、人工太陽光照明灯(Sellick,Inc.,XC-100、Japan)を備えた光照射ユニット内で、22W/mの一定の強度で人工太陽光を1時間照射した。人工太陽光照明灯とガラス管との距離を10cmとした。
ガラス管に人工太陽光を照射している間、マグネチックスターラーでローダミンB水溶液の攪拌を継続するとともに、オービタルシェイカーでローダミンB水溶液に浸漬したガラス管を振盪させた。これにより、ガラス管内を、ローダミンB水溶液が流通した。
上記の各粉末の酸化還元作用(光触媒活性)により、30分間隔でサンプルを採集し、分光光度計(商品名:UV-1600、島津製作所社製)を用いて、波長554nmに調整して光吸収を測定し、1時間でローダミンBが分解した割合を調査した。 結果を表1に示す。
【実施例】
【0036】
【表1】
JP2016059878A_000002t.gif
【実施例】
【0037】
表1の結果から、TiO-Ag/AgPO粉末の光触媒活性は、TiO粉末の1.4倍以上であることが確認された。また、TiO-Ag/AgPO粉末の光触媒活性は、TiO-Ag粉末およびTiO-AgPO粉末よりも高いことが確認された。
【実施例】
【0038】
[光触媒活性の評価2]
AgとTiとのモル比(Ag/Ti)が1/25、1/10、1/5、1/2.5または1/1となるように、TiO-Ag/AgPO粉末を合成した以外は、上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、TiO-Ag/AgPO粉末からなる塗膜を形成した。
以下、[光触媒活性の評価1]と同様にして、各TiO-Ag/AgPO粉末について、光触媒活性を評価した。結果を表2に示す。
【実施例】
【0039】
【表2】
JP2016059878A_000003t.gif
【実施例】
【0040】
表2の結果から、Tiに対するAgのモル比を、1/1~1/10まで小さくするに伴って、TiO-Ag/AgPO粉末の光還元作用が向上し、Tiに対するAgのモル比が1/10を超えると、TiO-Ag/AgPO粉末の酸化還元作用(光触媒活性)が低下することが確認された。すなわち、AgとTiとのモル比(Ag/Ti)が1/10のとき、TiO-Ag/AgPO粉末の酸化還元作用(光触媒活性)が最も大きくなった。
【実施例】
【0041】
[光触媒活性の評価3]
上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、TiO-Ag/AgPO粉末からなり、1層、2層、3層または4層の塗膜を形成した。なお、塗膜を2層以上にした場合、各層を同じ工程によって形成し、塗膜を形成するゾル-ゲル溶液にはドーパントを追加することなく、各層の組成も同じとした。
以下、[光触媒活性の評価1]と同様にして、各TiO-Ag/AgPO粉末について、光触媒活性を評価した。なお、比較のために、TiO-Ag/AgPO粉末からなる塗膜が形成されていないガラス管を用いて、ローダミンBの分解した割合を調査した。結果を表3に示す。
【実施例】
【0042】
【表3】
JP2016059878A_000004t.gif
【実施例】
【0043】
表3の結果から、TiO-Ag/AgPO粉末からなる塗膜を2層以上とすると、光触媒活性が大幅に向上することが確認された。特に、塗膜を3層にすると、ローダミンBが99.8%分解されることが確認された。
【実施例】
【0044】
[光触媒活性の評価4]
塗膜の仮焼時間を、0.5時間、1時間、1.5時間、2時間、2.5時間または3時間とした以外は、上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、TiO-Ag/AgPO粉末からなる3層の塗膜を形成した。
以下、[光触媒活性の評価1]と同様にして、各塗膜について、光触媒活性を評価した。結果を表4に示す。
【実施例】
【0045】
【表4】
JP2016059878A_000005t.gif
【実施例】
【0046】
表4の結果から、仮焼時間を2時間以上3時間以下とすると、光触媒活性の高い塗膜が得られることが確認された。特に、仮焼時間を2時間にすると、ローダミンBが99.8%分解されることが確認された。
【実施例】
【0047】
[光触媒活性の評価5]
塗膜の仮焼温度を、300℃、350℃、400℃、450℃、500℃、550℃または600℃とした以外は、上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、TiO-Ag/AgPO粉末からなる3層の塗膜を形成した。
以下、[光触媒活性の評価1]と同様にして、各塗膜について、光触媒活性を評価した。なお、比較のために、塗膜前駆体を室温(25℃)で自然乾燥して塗膜が形成されたガラス管を用いて、ローダミンBの分解した割合を調査した。結果を表5に示す。
【実施例】
【0048】
【表5】
JP2016059878A_000006t.gif
【実施例】
【0049】
表5の結果から、仮焼温度を300℃以上500℃以下とすると、光触媒活性の高い塗膜が得られることが確認された。特に、仮焼温度を400℃にすると、ローダミンBが99.8%分解されることが確認された。
【実施例】
【0050】
[光触媒活性の評価6]
上述の[光触媒の合成、光触媒からなる塗膜の作製1]と同様にして、ガラス管の内面に、TiO-Ag/AgPO粉末からなる3層の塗膜を形成した。
以下、[光触媒活性の評価1]と同様にして、その塗膜について、光触媒活性を評価した。同様の光触媒活性の評価を5回繰り返した。各回において、ローダミンBの分解した割合を調査した。結果を表6に示す。
【実施例】
【0051】
【表6】
JP2016059878A_000007t.gif
【実施例】
【0052】
表6の結果から、ローダミンBの分解を5回繰り返しても、光触媒活性が劣化することなく、安定してローダミンBを分解できることが確認された。すなわち、TiO-Ag/AgPO粉末からなる塗膜は、耐久性に優れていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の光触媒は、水および空気浄化の分野に適用することができる。
図面
【図1】
0