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明細書 :有精卵の検査方法及び検査装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-061700 (P2016-061700A)
公開日 平成28年4月25日(2016.4.25)
発明の名称または考案の名称 有精卵の検査方法及び検査装置
国際特許分類 G01N  21/59        (2006.01)
A01K  43/00        (2006.01)
G01N  33/08        (2006.01)
G01N  21/27        (2006.01)
FI G01N 21/59 Z
A01K 43/00
G01N 33/08
G01N 21/27 Z
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2014-190515 (P2014-190515)
出願日 平成26年9月18日(2014.9.18)
発明者または考案者 【氏名】中野 和弘
【氏名】大橋 慎太郎
【氏名】木村 孝平
【氏名】滝沢 憲一
出願人 【識別番号】304027279
【氏名又は名称】国立大学法人 新潟大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100185225、【弁理士】、【氏名又は名称】齋藤 恭一
【識別番号】100149249、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 達也
審査請求 未請求
テーマコード 2G059
Fターム 2G059AA05
2G059BB11
2G059BB12
2G059DD12
2G059EE01
2G059EE11
2G059FF11
2G059GG02
2G059GG03
2G059GG05
2G059HH01
2G059HH02
2G059HH06
2G059KK03
2G059MM01
2G059MM05
要約 【課題】インフルエンザワクチンの原料などに適さない成育不良卵を高速且つ高精度に検出することができる有精卵の検査方法を提案する。
【解決手段】本発明に係る有精卵の検査方法は、LED光を有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定する透過光強度測定工程と、前記透過光強度測定工程で測定された透過光強度測定値を用いる判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する判定工程とを備え、前記判定基準は、複数の成育不良卵から得られた前記透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた前記透過光強度測定値とに基づいて設定されることを特徴とするものである。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する有精卵の検査方法において、
LED光を有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定する透過光強度測定工程と、
前記透過光強度測定工程で測定された透過光強度測定値を用いる判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する判定工程とを備え、
前記判定基準は、複数の成育不良卵から得られた前記透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた前記透過光強度測定値とに基づいて設定されることを特徴とする有精卵の検査方法。
【請求項2】
前記LED光の光強度を前記有精卵への照射なしに測定する参照光強度測定工程を備え、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された参照光強度測定値と、前記透過光強度測定工程で測定された前記透過光強度測定値とを用いる判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定し、
前記判定基準は、複数の成育不良卵から得られた前記参照光強度測定値及び前記透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた前記参照光強度測定値及び前記透過光強度測定値とに基づいて設定される、請求項1に記載の有精卵の検査方法。
【請求項3】
前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1及び第2のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1及び第2のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、式A1=log10(1/T1)による算出値を吸光度A1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2とし、式A2=log10(1/T2)による算出値を吸光度A2とし、a及びbを変数としたとき、式A1<a・A2+bが成立した場合には前記有精卵が成育不良卵であると判定し、式A1>a・A2+bが成立した場合には前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記変数a及びbは、複数の成育不良卵から得られた前記第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2と、複数の正常卵から得られた前記第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2とに基づいて設定される、請求項2に記載の有精卵の検査方法。
【請求項4】
前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1及び第2のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1及び第2のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2としたとき、式Y=(T2-T1+1)/(T2+T1)による算出値Yが閾値TY未満である場合に前記有精卵が成育不良卵であると判定し、算出値Yが閾値TYを超える場合に前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記閾値TYは、複数の成育不良卵から得られた算出値Yと、複数の正常卵から得られた算出値Yとに基づいて設定される、請求項2に記載の有精卵の検査方法。
【請求項5】
前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1、第2及び第3のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1、第2及び第3のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、式A1=log10(1/T1)による算出値を吸光度A1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2とし、式A2=log10(1/T2)による算出値を吸光度A2とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第3のLED光の参照光強度測定値をI3refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第3のLED光の透過光強度測定値をI3trとし、式T3=I3tr/I3refによる算出値を透過率T3とし、式A3=log10(1/T3)による算出値を吸光度A3とし、p、q、r及びsを変数としたとき、式Z=p・A1+q・A2+r・A3+sによる算出値Zが閾値TZを超える場合に前記有精卵が成育不良卵であると判定し、算出値Zが閾値TZ未満である場合に前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記変数p、q、r及びs並びに前記閾値TZは、複数の成育不良卵から得られた算出値Zと、複数の正常卵から得られた算出値Zとに基づいて設定される、請求項2に記載の有精卵の検査方法。
【請求項6】
複数の有精卵のそれぞれに対して同時に前記の各工程を適用する、請求項1~5のいずれか一項に記載の有精卵の検査方法。
【請求項7】
前記LED光のピーク波長は550nm~900nmの範囲内にある、請求項1~6のいずれか一項に記載の有精卵の検査方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の有精卵の検査方法に用いられる有精卵の検査装置において、
前記LED光を照射する照射部と、
前記照射部から受光した前記LED光の光強度を測定する測定部と、
前記照射部と前記測定部との間に前記有精卵を搬送する搬送部と、
前記測定部での測定値を用いる前記判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する判定部と、
前記判定基準を設定するためのインタフェース部とを備えることを特徴とする有精卵の検査装置。
【請求項9】
前記判定部で成育不良卵であると判定された前記有精卵を、前記搬送部から取除く成育不良卵除去部を備える、請求項8に記載の有精卵の検査装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有精卵の検査方法及び検査装置に関し、特に、高速且つ高精度な検査を実現しようとするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特に食材として供給される特に鶏の無精卵については、血液が混入した血卵などの異常卵を非破壊的に自動検出する検査が行われており、そのような検査方法についても、多数の文献が存在する(例えば、非特許文献1、特許文献1~2参照)。一方、有精卵については、特にインフルエンザワクチンの製造分野において、成育不良卵を非破壊的に自動検出する検査方法が、例えば特許文献3~4などに開示されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第3333472号公報
【特許文献2】特許第4591064号公報
【特許文献3】特許第3998184号公報
【特許文献4】特開平9-127096号公報
【0004】

【非特許文献1】臼井善彦・中野和弘・齋藤麻奈「異常鶏卵の非破壊検出法に関する研究(第3報)-可視分光分析による褐色卵の血卵検出-」、農業施設、36巻4号、209~214頁、2006
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、鶏の有精卵をインフルエンザワクチンの原料とするワクチン製造工場では、成育不良卵の混入が深刻な問題となっている。国内のインフルエンザワクチン製造工場では、鶏卵農家などの納入業者側で検卵済みの有精卵が、ワクチン原料として1日に20~30万個搬入され、無検卵のまま同日中に製造工程へ移されている。しかし、原料の有精卵に輸送途中で死亡した中死卵が混入した場合、ワクチン培養液が汚染され、一度に多量のワクチン原液を廃棄しなければならないケースが多い。また、中死卵の他、気室異常卵や、発育が不十分な発育不良卵などもワクチン原料に適していない。このため、ワクチン製造工場への搬入時において、有精卵の全量に対し、ワクチン原料に不適な、中死卵、気室異常卵及び発育不良卵などを含む成育不良卵を検出する全量検査を行うことが喫緊の課題となっている。
【0006】
しかしながら、特許文献3~4に記載されるような従来の有精卵の検査方法では、画像データの収集及び処理や、卵中の心臓の脈拍に相当する周波数成分を含むデータの収集及び処理を必要としており、収集するデータ量や処理量が大きいため、前述したようなインフルエンザワクチン製造工場で要求されるような高い検査速度と精度を実現することは難しかった。
【0007】
本発明は、前記の現状に鑑み開発されたもので、インフルエンザワクチンの原料などに適さない成育不良卵を高速且つ高精度に検出することができる有精卵の検査方法を提案することを目的とする。
【0008】
また、本発明は、前述したような有精卵の検査方法を容易に実施することができる有精卵の検査装置を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の要旨構成は以下のとおりである。
1.有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する有精卵の検査方法において、
LED光を有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定する透過光強度測定工程と、
前記透過光強度測定工程で測定された透過光強度測定値を用いる判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する判定工程とを備え、
前記判定基準は、複数の成育不良卵から得られた前記透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた前記透過光強度測定値とに基づいて設定されることを特徴とする有精卵の検査方法。
【0010】
2.前記LED光の光強度を前記有精卵への照射なしに測定する参照光強度測定工程を備え、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された参照光強度測定値と、前記透過光強度測定工程で測定された前記透過光強度測定値とを用いる判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定し、
前記判定基準は、複数の成育不良卵から得られた前記参照光強度測定値及び前記透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた前記参照光強度測定値及び前記透過光強度測定値とに基づいて設定される、前記1の有精卵の検査方法。
【0011】
3.前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1及び第2のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1及び第2のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、式A1=log10(1/T1)による算出値を吸光度A1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2とし、式A2=log10(1/T2)による算出値を吸光度A2とし、a及びbを変数としたとき、式A1<a・A2+bが成立した場合には前記有精卵が成育不良卵であると判定し、式A1>a・A2+bが成立した場合には前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記変数a及びbは、複数の成育不良卵から得られた前記第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2と、複数の正常卵から得られた前記第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2とに基づいて設定される、前記2の有精卵の検査方法。
【0012】
4.前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1及び第2のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1及び第2のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2としたとき、式Y=(T2-T1+1)/(T2+T1)による算出値Yが閾値TY未満である場合に前記有精卵が成育不良卵であると判定し、算出値Yが閾値TYを超える場合に前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記閾値TYは、複数の成育不良卵から得られた算出値Yと、複数の正常卵から得られた算出値Yとに基づいて設定される、前記2の有精卵の検査方法。
【0013】
5.前記参照光強度測定工程においては、ピーク波長の異なる第1、第2及び第3のLED光の光強度を個別に前記有精卵への照射なしに測定し、
前記透過光強度測定工程においては、前記第1、第2及び第3のLED光を個別に有精卵に照射して、該有精卵からの透過光の光強度を測定し、
前記判定工程においては、前記参照光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の参照光強度測定値をI1refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第1のLED光の透過光強度測定値をI1trとし、式T1=I1tr/I1refによる算出値を透過率T1とし、式A1=log10(1/T1)による算出値を吸光度A1とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の参照光強度測定値をI2refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第2のLED光の透過光強度測定値をI2trとし、式T2=I2tr/I2refによる算出値を透過率T2とし、式A2=log10(1/T2)による算出値を吸光度A2とし、前記参照光強度測定工程で測定された前記第3のLED光の参照光強度測定値をI3refとし、前記透過光強度測定工程で測定された前記第3のLED光の透過光強度測定値をI3trとし、式T3=I3tr/I3refによる算出値を透過率T3とし、式A3=log10(1/T3)による算出値を吸光度A3とし、p、q、r及びsを変数としたとき、式Z=p・A1+q・A2+r・A3+sによる算出値Zが閾値TZを超える場合に前記有精卵が成育不良卵であると判定し、算出値Zが閾値TZ未満である場合に前記有精卵が正常卵であると判定し、
前記変数p、q、r及びs並びに前記閾値TZは、複数の成育不良卵から得られた算出値Zと、複数の正常卵から得られた算出値Zとに基づいて設定される、前記2の有精卵の検査方法。
【0014】
6.複数の有精卵のそれぞれに対して同時に前記の各工程を適用する、前記1~5のいずれかの有精卵の検査方法。
【0015】
7.前記LED光のピーク波長は550nm~900nmの範囲内にある、前記1~6のいずれかの有精卵の検査方法。
【0016】
8.前記1~7のいずれかの有精卵の検査方法に用いられる有精卵の検査装置において、
前記LED光を照射する照射部と、
前記照射部から受光した前記LED光の光強度を測定する測定部と、
前記照射部と前記測定部との間に前記有精卵を搬送する搬送部と、
前記測定部での測定値を用いる前記判定基準に基づき、前記有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定する判定部と、
前記判定基準を設定するためのインタフェース部とを備えることを特徴とする有精卵の検査装置。
【0017】
9.前記判定部で成育不良卵であると判定された前記有精卵を、前記搬送部から取除く成育不良卵除去部を備える、前記8の有精卵の検査装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明に従う有精卵の検査方法によれば、有精卵からの透過光の光強度を測定し、その測定値を用いる判定基準により、有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定するので、収集するデータ量や処理量を低減でき、検査の高速化を実現することができる。また、複数の成育不良卵から得られた透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた透過光強度測定値とに基づいて統計的に決定された適切な判定基準を設定することで、判定精度を向上することができる。
【0019】
したがって、本発明によれば、インフルエンザワクチンの原料などに適さない成育不良卵を高速且つ高精度に検出することができる有精卵の検査方法を提案することができる。
【0020】
また、本発明に従う有精卵の検査装置によれば、搬送部によって有精卵を搬送し、照射部からLED光を有精卵に照射し、有精卵からの透過光の光強度を測定部によって測定することで、判定部において、測定部での測定値を用いる判定基準に基づき、有精卵が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定することができる。また、複数の成育不良卵から得られた透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた透過光強度測定値とに基づいて統計的に決定された適切な判定基準を、インタフェース部によって設定することができる。
【0021】
したがって、本発明によれば、前述したような有精卵の検査方法を容易に実施することができる有精卵の検査装置を提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る有精卵の検査装置を概略的に示す側面図である。
【図2】図1に示す検査装置の機能を示すブロック図である。
【図3】図1に示す検査装置の作動要領を示すタイミング図である。
【図4】図1に示す検査装置で用いられる判定基準の一例を示す図である。
【図5】図1に示す検査装置で用いられる判定基準の他の例を示す図である。
【図6】図1に示す検査装置で用いられる判定基準の更なる他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図1~図6を参照して、本発明の一実施形態に係る有精卵の検査方法及び検査装置について、詳細に例示説明する。
本実施形態に係る有精卵の検査方法は、例えば、図1及び図2に示すような検査装置1を用いて実施することができる。本実施形態に係る検査装置1は、例えば鶏などの有精卵2を搬送するための搬送部3と、搬送部3により搬送される有精卵2にLED光を照射するための照射部4と、照射部4から受光したLED光の光強度を測定する測定部5とを備えている。

【0024】
有精卵2は、本例では、複数の有精卵2が搬送トレイ6に収められた状態で、例えばベルトコンベヤを用いた搬送部3によって搬送される。なお、コンベヤを用いる場合は、コンベヤの移送スピードは、検査装置1の前後の人員配置に合わせて可変型とすることが好ましい。搬送トレイ6は、搬送方向に6列、搬送方向と直行する方向に6行の計36個の有精卵2を収めている。この状態の有精卵2が照射部4上に到達すると、照射部4が備えるLED光源からLED光が各有精卵2に向って照射される。

【0025】
照射部4が備えるLED光源としては、本例では、各有精卵2に対応する6列、6行の計36箇所の各測定位置に対して、それぞれ、複数のLED光源が設けられている。より具体的には、前記の各測定位置に対して、それぞれ、第1のLED光源(LED1)、第2のLED光源(LED2)及び第3のLED光源(LED3)が設けられている(すなわち、第1、第2及び第3のLED光源は36個ずつ設けられている)。そして、第1、第2及び第3のLED光源は、それぞれ、ピーク波長の異なる第1、第2及び第3のLED光を照射することができる。

【0026】
これらLED光源のピーク波長は、発明者らの実験によると、550nm~900nmの範囲内とすることが好ましい。すなわち、LED光源のピーク波長を550nm~900nmの範囲内とすることで、中死卵の吸光度を正常卵の吸光度よりも十分に低くでき、検査精度を高めることができる。各LED光源としては、例えばチップ型LEDなどを用いることができる。照射部4は、本例では、有精卵2の下方に配置されている。なお、LED光源は、保守点検の便宜性を考慮して、交換可能に設けることが好ましい(例えば、6列、6行の計36個のLED基板を交換可能に設置し、各LED基板は、第1、第2及び第3のLED光源としての3つのチップ型LEDを搭載した構成とする)。

【0027】
測定部5は、本例では有精卵2の上方に配置され、照射部4からのLED光を受光し、その光強度を測定するようになっている。より具体的には、測定部5は、前述した計36個の各測定位置に対して、それぞれ、1つの受光素子(すなわち、ピン型フォトダイオードなどの光センサ)が設けられている。なお、各受光素子は、保守点検の便宜性を考慮して、交換可能に設けることが好ましい(例えば、6列、6行の計36個の光センサ基板を交換可能に設置し、各光センサ基板は、受光素子としての1つのピン型フォトダイオードを搭載した構成とする)。測定部5は、LED光の光強度の測定時に外部からの光を遮断できるように暗室7内に設置されている。なお、暗室7の入口と出口は、遮光性のカーテンなどで対応することができる。

【0028】
検査装置1は、判定部8とインタフェース部9をさらに備えている。判定部8は、本例ではソフトウェア制御装置10によって構成されており、測定部5での測定値を用いる判定基準に基づき、有精卵2が、インフルエンザワクチンの原料などに適さない、中死卵、気室異常卵及び発育不良卵などを含む成育不良卵であるか、正常卵であるかを判定するようになっている。インタフェース部9は、前記判定基準を設定するための入力装置としての制御用パソコン11によって構成されている。なお、図1中の符号12は、搬送部3を制御するための制御盤である。さらに、検査装置1は、判定部8で成育不良卵であると判定された有精卵2を、搬送部3から取除く成育不良卵除去部(図示省略)を備えている。

【0029】
かかる構成になる本実施形態に係る検査装置1によれば、図3に示すような要領で検査を実施することができる。すなわち、搬送部3を稼働させて搬送トレイ3を暗室7内に投入し、複数の有精卵2をそれぞれ、各測定位置に配置する。

【0030】
そして、各有精卵2に対して、各第1のLED光源(LED1)からLED光をそれぞれ照射し、測定部5の対応する各受光素子によって、各有精卵2からの透過光の光強度を測定する。次いで、第2のLED光源(LED2)についても、第1のLED光源(LED1)の場合と同様に、各有精卵2に対して、各第2のLED光源(LED2)からLED光をそれぞれ照射し、測定部5の対応する各受光素子によって、各有精卵2からの透過光の光強度を測定する。さらに、第3のLED光源(LED3)についても、各有精卵2に対して、各第3のLED光源(LED3)からLED光をそれぞれ照射し、測定部5の対応する各受光素子によって、各有精卵2からの透過光の光強度を測定する。このように、第1、第2及び第3のLED光を個別に有精卵2に照射して、該有精卵2からの透過光の光強度を測定する(透過光強度測定工程)。

【0031】
そして、測定部5での測定値を用いる判定基準により、判定部8によって判定を実行し(判定工程)、搬送部3を稼働させて搬送トレイ3を暗室7から排出することができる。その際、図示を省略した成育不良卵除去部によって、成育不良卵を搬送トレイ3から取除くことができる。なお、前述した透過光の測定の際の、LED光の照射命令と、光強度データの流れは、図2に矢印で示したとおりである。

【0032】
判定部8において用いられる判定基準としては、例えば、図4~図6に示す基準を用いることができる。これらの判定基準においては、以下の式によって算出される透過率T1,T2,T3と、吸光度A1,A2,A3とが用いられる。

【0033】
T1=I1tr/I1ref
T2=I2tr/I2ref
T3=I3tr/I3ref
A1=log10(1/T1)
A2=log10(1/T2)
A3=log10(1/T3)
但し、I1ref:第1のLED光の参照光強度測定値
I2ref:第2のLED光の参照光強度測定値
I3ref:第3のLED光の参照光強度測定値
I1tr:第1のLED光の透過光強度測定値
I2tr:第2のLED光の透過光強度測定値
I3tr:第3のLED光の透過光強度測定値

【0034】
ここに、第1、第2及び第3のLED光の参照光強度測定値I1ref,I2ref,I3refとは、有精卵2が測定位置に配置される前の適宜のタイミングで実行(例えば、検査装置1の稼働開始時の1回のみ実行)することができる参照光強度測定工程において測定部5によって測定されるものである。参照光強度測定工程では、第1、第2及び第3のLED光の光強度が個別に有精卵2への照射なしに測定される。このような参照光強度測定工程を設けることで、LED光源毎の製造誤差などに起因する光強度のバラツキを吸収し、検査精度を高めることが可能となる。

【0035】
なお、第1、第2及び第3のLED光の参照光強度測定値I1ref,I2ref,I3refとしては、有精卵2が測定位置に配置されていない状態でLED光の照射時に暗室7内で受光された光(LED光及び外部光)の光強度測定値から、LED光の非照射時に暗室7内で受光された外部光の光強度測定値を差し引いたものを用いることが、検査精度を高める上で好ましい。同様に、第1、第2及び第3のLED光の透過光強度測定値I1tr,I2tr,I3trとしては、有精卵2が測定位置に配置された状態でLED光の照射時に測定された光(LED光及び外部光)の光強度測定値から、LED光の非照射時に暗室7内で受光された外部光の光強度測定値を差し引いたものを用いることが、検査精度を高める上で好ましい。

【0036】
そして、図4に示した判定基準は、a及びbを任意の実数とする変数としたとき、式A1<a・A2+bが成立した場合には有精卵2が成育不良卵であると判定し、式A1>a・A2+bが成立した場合には有精卵2が正常卵であると判定するというものである。ここに、変数a及びbは、複数(本例では50個)の成育不良卵から得られた第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2と、複数(本例では50個)の正常卵から得られた第1及び第2のLED光の吸光度A1及びA2とに基づいて適切な値に設定されている。図示の例では、第1のLED光のピーク波長が585.45nm、第2のLED光のピーク波長が628.73nmであり、a=-4.2、b=11.6に設定している。

【0037】
また、図5示した判定基準は、式Y=(T2-T1+1)/(T2+T1)による算出値Yが閾値TY未満である場合に有精卵2が成育不良卵であると判定し、算出値Yが閾値TYを超える場合に有精卵2が正常卵であると判定するというものである。ここに、閾値TYは、複数(本例では50個)の成育不良卵から得られた算出値Yと、複数(本例では50個)の正常卵から得られた算出値Yとに基づいて適切な値に設定されている。図示の例では、第1のLED光のピーク波長が585.45nm、第2のLED光のピーク波長が628.73nmであり、閾値TY=100に設定している。

【0038】
さらに、図6に示した判定基準は、p、q、r及びsを任意の実数とする変数としたとき、式Z=p・A1+q・A2+r・A3+sによる算出値Zが閾値TZを超える場合に有精卵2が成育不良卵であると判定し、算出値Zが閾値TZ未満である場合に有精卵2が正常卵であると判定するというものである。ここに、変数p、q、r及びs並びに閾値TZは、複数(本例では50個)の成育不良卵から得られた算出値Zと、複数(本例では50個)の正常卵から得られた算出値Zとに基づいて適切な値に設定されている。図示の例では、第1のLED光のピーク波長が585.45nm、第2のLED光のピーク波長が628.73nm、第3のLED光のピーク波長が681.97nmであり、p=37.40、q=48.12、r=-122.08、s=18.26、閾値TZ=0に設定している。

【0039】
以上説明した本実施形態に係る検査方法によれば、有精卵2からの透過光の光強度を測定し、その測定値を用いる判定基準により、有精卵2が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定するので、収集するデータ量や処理量を低減でき、検査の高速化を実現することができる。また、複数の成育不良卵から得られた透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた透過光強度測定値とに基づいて統計的に決定された適切な判定基準を設定することで、判定精度を向上することができる。

【0040】
また、本実施形態に係る検査装置によれば、搬送部3によって有精卵2を搬送し、照射部4からLED光を有精卵2に照射し、有精卵2からの透過光の光強度を測定部5によって測定することで、判定部8において、測定部5での測定値を用いる判定基準に基づき、有精卵2が成育不良卵であるか正常卵であるかを判定することができる。また、複数の成育不良卵から得られた透過光強度測定値と、複数の正常卵から得られた透過光強度測定値とに基づいて統計的に決定された適切な判定基準を、インタフェース部9によって設定することができる。

【0041】
前述したところは本発明の一実施形態を示したにすぎず、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができることは言うまでもない。
【実施例】
【0042】
図1~図3に示した検査装置1を試作し、図4~図6に示した各判定基準を用いて鶏の有精卵の検査を実施したところ、いずれの判定基準を用いた場合でも、23000個以上/時での検卵を実現でき、その検卵における正判定率は90%以上であった。以上の結果から、本実施形態に係る検査方法によれば、インフルエンザワクチンの製造工場で要求されるような高い検査速度と精度を実現できることが確認された。
【符号の説明】
【0043】
1 検査装置
2 有精卵
3 搬送部
4 照射部
5 測定部
6 搬送トレイ
7 暗室
8 判定部
9 インタフェース部
10 ソフトウェア制御装置
11 制御用パソコン
12 制御盤
LED1~LED3 第1~第3のLED光源
T1~T3 透過率
A1~A3 吸光度
I1ref~I3ref 第1~第3のLED光の参照光強度測定値
I1tr~I3tr 第1~第3のLED光の透過光強度測定値
a,b 変数
Y,Z 算出値
Y,TZ 閾値
p,q,r,s 変数
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5