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明細書 :シクロポリアリーレン金属錯体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-113401 (P2016-113401A)
公開日 平成28年6月23日(2016.6.23)
発明の名称または考案の名称 シクロポリアリーレン金属錯体
国際特許分類 C07F  11/00        (2006.01)
C07F   7/08        (2006.01)
C07F   5/02        (2006.01)
C07C  67/30        (2006.01)
C07C  69/76        (2006.01)
FI C07F 11/00 CSPB
C07F 11/00 C
C07F 7/08 C
C07F 5/02 C
C07C 67/30
C07C 69/76 A
請求項の数または発明の数 12
出願形態 OL
全頁数 23
出願番号 特願2014-253322 (P2014-253322)
出願日 平成26年12月15日(2014.12.15)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り (1)刊行物名 第25回基礎有機化学討論会予稿集 発行日 2014年8月25日 (2)集会名 第25回基礎有機化学討論会 開催日 2014年9月7日から2014年9月9日
発明者または考案者 【氏名】伊丹 健一郎
【氏名】瀬川 泰知
【氏名】久保田 夏実
出願人 【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4H048
4H049
4H050
Fターム 4H006AA01
4H006AA02
4H006AB91
4H006AC48
4H006BA03
4H006BB15
4H006BB25
4H006BC10
4H006BJ50
4H006KA31
4H006KC30
4H048AA01
4H048AB91
4H048BB15
4H048BB25
4H048BC10
4H048VA75
4H048VB10
4H049VN01
4H049VP01
4H049VQ07
4H049VR24
4H049VS12
4H049VU24
4H049VV06
4H049VW02
4H050AA01
4H050AA02
4H050AB91
4H050BB15
4H050BB22
4H050BC10
要約 【課題】シクロパラフェニレン化合物を直接官能基化する手法が開発できれば、どのようなシクロパラフェニレン化合物にも適用できることが期待されるため、理論上全てのシクロパラフェニレン化合物に官能基を導入することが可能となる。このため、本発明は、シクロパラフェニレン化合物を、容易に直接官能基化する手法を提供することを主な目的とする。
【解決手段】シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環に、金属トリカルボニルが配位している、シクロポリアリーレン金属錯体。このシクロポリアリーレン金属錯体は、シクロポリアリーレン化合物と、M(CO)[式中、Mは金属原子;Yは同じか又は異なり、それぞれ配位子;mは1~3の整数である。]で示される金属化合物とを反応させる工程を備える製造方法により得られる。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環に、金属トリカルボニルが配位している、シクロポリアリーレン金属錯体。
【請求項2】
前記シクロポリアリーレン化合物は、2価芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体基よりなる群から選ばれる少なくとも1種が環状に結合した化合物である、請求項1に記載のシクロポリアリーレン金属錯体。
【請求項3】
前記金属トリカルボニルを構成する金属は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、又はレニウムである、請求項1又は2に記載のシクロポリアリーレン金属錯体。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載のシクロポリアリーレン金属錯体の製造方法であって、
(I)シクロポリアリーレン化合物と、
一般式(2):
M(CO)
[式中、Mは金属原子;Yは同じか又は異なり、それぞれ配位子;mは1~3の整数である。]
で示される金属化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【請求項5】
前記工程(I)は、エーテル系溶媒又は炭化水素系溶媒の存在下で行われる、請求項4に記載の製造方法。
【請求項6】
シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、金属原子が結合している、金属置換シクロポリアリーレン化合物。
【請求項7】
前記金属原子は、アルカリ金属原子である、請求項6に記載の金属置換シクロポリアリーレン化合物。
【請求項8】
金属置換シクロポリアリーレン化合物の製造方法であって、
(II)請求項1~3のいずれかに記載のシクロポリアリーレン金属錯体、又は請求項4若しくは5に記載の製造方法により得たシクロポリアリーレン金属錯体と、金属化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【請求項9】
前記金属化合物は、アルカリ金属化合物である、請求項8に記載の製造方法。
【請求項10】
前記金属化合物は、アルキルリチウムである、請求項8又は9に記載の製造方法。
【請求項11】
シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、ボロン酸若しくはそのエステル基、シリル基、カルボキシ基若しくはそのエステル基、又はホルミル基が結合している、官能基含有シクロポリアリーレン化合物。
【請求項12】
官能基含有シクロポリアリーレン化合物の製造方法であって、
(III)請求項6若しくは7に記載の金属置換シクロポリアリーレン化合物、又は請求項8~10のいずれかに記載の製造方法により得た金属置換シクロポリアリーレン化合物と、求電子剤とを反応させる工程
を備える、製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロポリアリーレン金属錯体及びその製造方法に関する。また、本発明は、該金属錯体を用いて得られる金属置換シクロポリアリーレン化合物及び官能基含有シクロポリアリーレン化合物にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炭素原子を含むナノ構造体としては、2次元のグラフェンシートを筒状に巻いた構造を有するカーボンナノチューブ、このカーボンナノチューブからなる輪状カーボンナノチューブ等が知られている。
【0003】
カーボンナノチューブは、機械的強度も極めて高く、高温にも耐えうること、そして、電圧をかけると効率よく電子を放出する等の優れた性質を有していることから、化学分野、電子工学分野、生命科学分野等の様々な分野への応用が期待されている。
【0004】
カーボンナノチューブの製造方法としては、アーク放電法、レーザー・ファネス法及び化学気相成長法等が知られている。しかし、これらの製造方法では、様々な太さと長さのカーボンナノチューブが混合物という形でしか得られないという問題がある。
【0005】
近年、カーボンナノチューブのように、炭素原子の連続的な結合により、一定以上の長さを有する管状のナノ構造体ではなく、輪状のナノ構造体が検討されつつある。例えば、シクロパラフェニレン(CPP)は、ベンゼンをパラ位で環状につなげたシンプルで美しい分子であり、近年、非常に特異な構造や性質を有することが明らかになってきている。特に、このCPPは、構成するベンゼン環の数によって径が異なり、その性質も異なり、また、作り分けをすることができれば、異なる径を有するカーボンナノチューブへの展開が期待されるため、ベンゼン環の数の異なるCPPを完全に作り分けることが求められている。しかしながら、CPPは、混合物として得る手法は知られているものの、選択合成に成功した例は非常に少ない。
【0006】
本発明者らは、シクロヘキサン環を屈曲部として用いた輪状のシクロパラフェニレン前駆体として用いる手法により、様々なシクロパラフェニレン化合物の合成に成功した(例えば、特許文献1~2、非特許文献1等)。
【0007】
一方、上記のように、シクロパラフェニレン化合物は、非常に特異な構造や性質を有しているが、そこに官能基を導入して新たな機能を導入する方法は開発されていない。シクロパラフェニレン化合物は対称性の高い分子であり、等価な反応点が多数存在する(例えば、12個のベンゼン環を有する[12]CPPの場合48個もの等価な反応点が存在する)ため、数及び位置を制御した官能基の導入は困難であるからである。
【0008】
ただし、官能基化シクロパラフェニレン化合物の合成は、例えば、シクロパラフェニレン化合物のダイマー等、種々のユニークな化合物の合成につながる可能性があることから、シクロパラフェニレン化合物の所望の位置に、所望の数だけ官能基を導入する方法が求められている。
【0009】
このような状況下、官能基が含まれたモノマーを用いて、環状化合物を新たに合成する手法(ボトムアップ法)のみが知られている(例えば、特許文献3、非特許文献2等)。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】国際公開第2011/099588号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2011/111719号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2013/133386号パンフレット
【0011】

【非特許文献1】Takaba, H.; Omachi, H.; Yamamoto, Y.; Bouffard, J.; Itami, K. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 6112
【非特許文献2】Ishii Y.; Matsuura S.; Segawa Y.; Itami K. Org. Lett. 2014, 16, 2174
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
シクロパラフェニレン化合物には様々な大きさの化合物が存在しており、それぞれに対して有効な官能基化が求められている。上記の特許文献3及び非特許文献2の方法(ボトムアップ法)は、このような官能基化シクロパラフェニレン化合物を得る方法として有用ではあるが、従来は、シクロパラフェニレン化合物の直接官能基化を行うことは困難であった。シクロパラフェニレン化合物を直接官能基化する手法が開発できれば、どのようなシクロパラフェニレン化合物にも適用できることが期待されるため、理論上全てのシクロパラフェニレン化合物に官能基を導入することが可能となる。このため、本発明は、シクロパラフェニレン化合物を、容易に直接官能基化する手法を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題に鑑み鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、シクロパラフェニレン化合物を構成するベンゼン環と、所定の金属との錯形成を行うことにより得られる金属錯体を用いることで、シクロパラフェニレン化合物を容易に直接官能基化できることを見出した。また、この金属錯体は、当該金属に配位した部位のみが反応性が高いため、脱プロトン化反応、求電子剤との反応等により、シクロパラフェニレン化合物の所望の位置に、所望の数だけ、容易に官能基化することも可能である。本発明は、このような知見に基づき、さらに研究を重ねた結果、完成されたものである。すなわち、本発明は、以下の構成を包含する。
【0014】
項1.シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環に、金属トリカルボニルが配位している、シクロポリアリーレン金属錯体。
【0015】
項2.前記シクロポリアリーレン化合物は、2価芳香族炭化水素基、及びこれらの誘導体基よりなる群から選ばれる少なくとも1種が環状に結合した化合物である、項1に記載のシクロポリアリーレン金属錯体。
【0016】
項3.前記金属トリカルボニルを構成する金属は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、又はレニウムである、項1又は2に記載のシクロポリアリーレン金属錯体。
【0017】
項4.項1~3のいずれかに記載のシクロポリアリーレン金属錯体の製造方法であって、
(I)シクロポリアリーレン化合物と、
一般式(2):
M(CO)
[式中、Mは金属原子;Yは同じか又は異なり、それぞれ配位子;mは1~3の整数である。]
で示される金属化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【0018】
項5.前記工程(I)は、エーテル系溶媒又は炭化水素系溶媒の存在下で行われる、項4に記載の製造方法。
【0019】
項6.シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、金属原子が結合している、金属置換シクロポリアリーレン化合物。
【0020】
項7.前記金属原子は、アルカリ金属原子である、項6に記載の金属置換シクロポリアリーレン化合物。
【0021】
項8.金属置換シクロポリアリーレン化合物の製造方法であって、
(II)項1~3のいずれかに記載のシクロポリアリーレン金属錯体、又は項4若しくは5に記載の製造方法により得たシクロポリアリーレン金属錯体と、金属化合物とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【0022】
項9.前記金属化合物は、アルカリ金属化合物である、項8に記載の製造方法。
【0023】
項10.前記金属化合物は、アルキルリチウムである、項8又は9に記載の製造方法。
【0024】
項11.シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、ボロン酸若しくはそのエステル基、シリル基、カルボキシ基若しくはそのエステル基、又はホルミル基が結合している、官能基含有シクロポリアリーレン化合物。
【0025】
項12.官能基含有シクロポリアリーレン化合物の製造方法であって、
(III)項6若しくは7に記載の金属置換シクロポリアリーレン化合物、又は項8~10のいずれかに記載の製造方法により得た金属置換シクロポリアリーレン化合物と、求電子剤とを反応させる工程
を備える、製造方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明の金属錯体は、種々のシクロパラフェニレン化合物に対して、特定の金属化合物と反応させることにより、シクロパラフェニレンを錯形成することが可能である。この際、シクロパラフェニレン化合物が有する1箇所のベンゼン環のみに、錯形成することが可能である。
【0027】
このような本発明の金属錯体を用いることにより、従来は困難であった、シクロパラフェニレン化合物の直接金属化(金属置換シクロポリアリーレン化合物の合成)、直接官能基化(官能基含有シクロポリアリーレン化合物の合成)等を容易に行うことができる。
【0028】
また、このような本発明の金属錯体は、金属に配位した部位のみが反応性が高いため、脱プロトン化反応、求電子剤との反応等により、シクロパラフェニレン化合物の所望の位置に、所望の数だけ、金属化(金属置換シクロポリアリーレン化合物の合成)、官能基化(官能基含有シクロポリアリーレン化合物の合成)等を行うことも可能である。つまり、種々様々なシクロパラフェニレン化合物に、様々な金属錯形成、金属化、官能基化等が可能である。このため、本発明は、汎用性が高い点で有用である。
【0029】
特に、本発明によれば、シクロパラフェニレン化合物のように対象性が高く、等価な反応点を多数有する環状化合物の錯形成、金属化、官能基化等を行うこと(好ましくは所望の箇所に所望の数だけ錯形成、金属化、官能基化等を行うこと)も可能である。
【0030】
このような本発明の金属錯体、本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物、本発明の官能基含有シクロポリアリーレン化合物を使用することで、シクロパラフェニレンダイマーの合成も期待される。また、2個のシクロパラフェニレン化合物が有する炭素原子同士を全て結合させたカーボンナノベルトの合成も期待される。この際、本発明の方法によれば、従来の方法とは異なり、種々様々なシクロパラフェニレン化合物に、様々な金属錯形成、金属化、官能基化等が可能であることから、種々様々なシクロパラフェニレンダイマー、カーボンナノベルト、カーボンナノチューブ、輪状カーボンナノチューブ等の合成も期待される。このため、化学分野、電子工学分野、生命科学分野等の様々な分野への応用が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[1]シクロポリアリーレン金属錯体
本発明のシクロポリアリーレン金属錯体は、シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環に、金属トリカルボニルが配位している、シクロポリアリーレン金属錯体である。

【0032】
1-1.シクロポリアリーレン化合物
本発明において、シクロポリアリーレン化合物とは、複数のアリーレン基が一重結合を介して環状構造を形成しており、錯体、金属、官能基等の置換基が導入されていない環状化合物である。このような化合物は、具体的には、一般式(A):

【0033】
【化1】
JP2016113401A_000002t.gif

【0034】
[式中、Rは同じか又は異なり、それぞれアリーレン基;nは5~30の整数である。]
で示される環状化合物である。

【0035】
一般式(A)において、Rは、アリーレン基である。つまり、Rは芳香環を備える2価の基であり、この芳香環を構成する2つの炭素原子に結合する水素原子をそれぞれ、1つずつ脱離させてなる基である。なお、各Rは、同一でもよいし異なっていてもよい。

【0036】
芳香環としては、ベンゼン環だけでなく、複数のベンゼン環を縮合した環(ベンゼン縮合環)、ベンゼン環と他の環を縮合させた環等も挙げられる(以下、複数のベンゼン環を縮合した環及びベンゼン環と他の環を縮合させた環をまとめて、単に「縮合環」と言うことがある)。上記縮合環としては、例えば、ペンタレン環、インデン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、ピレン環、ペリレン環、トリフェニレン環、アズレン環、ヘプタレン環、ビフェニレン環、インダセン環、アセナフチレン環、フルオレン環、フェナレン環、フェナントレン環等が挙げられる。

【0037】
Rとしては、上記の環のなかでも、2価の6員芳香環又は2価の6員複素芳香環を備える基であって、パラ位に結合手を有する基が好ましい。

【0038】
また、Rを形成する芳香環としては、単環又は縮合環が好ましく、単環がより好ましい。

【0039】
これらのなかでも、Rは、フェニレン基(特に1,4-フェニレン基)、ナフチレン基(特に1,5-ナフチレン基又は2,6-ナフチレン基)等が好ましく、フェニレン基(特に1,4-フェニレン基)がより好ましい。

【0040】
本発明の環状化合物においては、n、つまりアリーレン基の数は、5~30の整数、好ましくは5~20の整数、より好ましくは5~18の整数、さらに好ましくは5~16の整数又は18、特に好ましくは6~15の整数である。

【0041】
また、本発明で使用するシクロポリアリーレン化合物としては、全ての有機環基がフェニレン基(特に1,4-フェニレン基)からなるシクロパラフェニレン化合物が好ましい。

【0042】
本発明で使用するシクロポリアリーレン化合物のうち、例えば、1,4-フェニレン基から構成されるシクロパラフェニレン化合物は、例えば、下記一般式(A1):

【0043】
【化2】
JP2016113401A_000003t.gif

【0044】
[式中、aは6以上の整数である。]
で示される化合物が挙げられる。

【0045】
1-2.シクロポリアリーレン化合物の製造方法
本発明で使用するシクロポリアリーレン化合物は、公知又は市販の方法で合成することができる。

【0046】
例えば、本発明で使用するシクロポリアリーレン化合物は、特許文献1~3、Jasti, R. et al., J. Am. Chem. Soc., 2008, 130(52), 17646、Itami, K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 48, 6112(非特許文献1)、Itami, K. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2010, 49, 10202、Yamago, S. et al., Angew. Chem. Int. Ed., 2009, 49, 75、Jasti, R. et al., Nature Chemistry, 2014, 6, 404、Jasti, R. et al., J. Org. Chem., 2012, 77, 10473、Itami, K. et al., Chem. Sci. 2012, 3, 2340等に記載の方法に従い、又はこれに準じて製造することができる。必要に応じて種々の方法を採用することにより、種々の環の数を有するシクロポリアリーレン化合物を得ることができる。

【0047】
1-3.金属トリカルボニル
本発明のシクロポリアリーレン金属錯体において、上記したシクロポリアリーレン化合物に配位している金属トリカルボニルを構成する金属としては、特に制限されるわけではないが、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、レニウム等が挙げられる。このうち、クロム、モリブデン、タングステン等が反応性の観点から好ましい。これらは、シクロポリアリーレン金属錯体に要求される物性に応じて適宜選択すればよい。

【0048】
本発明のシクロポリアリーレン金属錯体には、金属トリカルボニルが1個のみ、シクロポリアリーレン化合物の1個のベンゼン環に配位している。具体的には、本発明のシクロポリアリーレン金属錯体は、一般式(1):

【0049】
【化3】
JP2016113401A_000004t.gif

【0050】
[式中、Mは金属原子;Mとベンゼン環を構成する6個の炭素原子とを結ぶ6本の点線、及びMと3個のCOとを結ぶ3本の点線は配位結合である。]
で示される2価の基を有する。

【0051】
一般式(1)において、Mで示される金属原子は、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、レニウム等が挙げられる。このうち、クロム、モリブデン、タングステン等が反応性の観点から好ましい。

【0052】
なお、本発明のシクロポリアリーレン金属錯体において、上記2価の基以外の基は、いずれも1,4-フェニレン基が好ましい。

【0053】
つまり、本発明のシクロポリアリーレン金属錯体は、一般式(6):

【0054】
【化4】
JP2016113401A_000005t.gif

【0055】
[式中、Rは一般式(1)で示される2価の基;bは0~25の整数である。]
で示される化合物が好ましい。

【0056】
一般式(1)において、bは要求特性に応じて適宜設定すればよいが、0~25の整数が好ましく、0~15の整数がより好ましく、0~13の整数がさらに好ましく、0~11の整数又は13が特に好ましく、1~10の整数が最も好ましい。

【0057】
このように、本発明においては、金属トリカルボニルを、1個のベンゼン環のみに配位させることが可能であるため、シクロポリアリーレン化合物の1箇所のみを官能基化することが可能である。

【0058】
[2]シクロポリアリーレン金属錯体の製造方法
本発明のシクロポリアリーレン金属錯体は、特に制限されるわけではないが、
(I)シクロポリアリーレン化合物と、
一般式(2):
M(CO)
[式中、Mは金属原子;Yは同じか又は異なり、それぞれ配位子;mは1~3の整数である。]
で示される金属化合物とを反応させる工程を備える製造方法により得ることができる。

【0059】
シクロポリアリーレン化合物としては、上記したものを採用することができる。

【0060】
一般式(2)において、Mで示される金属原子としては、例えば、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、レニウム等が挙げられる。このうち、クロム、モリブデン、タングステン等が反応性の観点から好ましい。

【0061】
一般式(2)において、Yで示される配位子としては、Mで示される金属原子(クロム、モリブデン、タングステン、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、レニウム等)に配位し得るものであれば特に制限されないが、例えば、カルボニル基(CO);イソシアニド基;アレーン類;オレフィン類;ピリジン類;アミン類;ホスフィン類;カルベン類;ニトリル類;水素原子(ヒドリド;H);ハロゲン原子;低級アルコキシ基;ホウ素系配位子;リン系配位子;アンチモン系配位子;ヒ素系配位子;スルホン酸系配位子;スルフェート;パークロレート;ナイトレート;ビス(トリフリル)イミド;トリス(トリフリル)メタン;ビス(トリフリル)メタン;カルボキシレート類等が挙げられる。好ましくは、全てカルボニル基である。

【0062】
一般式(2)において、Yで示される配位子としてのニトリル類としては、例えば、ベンゾニトリル、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。

【0063】
一般式(2)において、Yで示される配位子としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。

【0064】
一般式(2)において、mは1~3の整数であり、3が好ましい。

【0065】
上記した一般式(2)で示される金属化合物は、公知又は市販の金属化合物を用いることができる。また、配位子である一酸化炭素(CO)及びYは、事前に配位させておいてもよいし、系中で配位させてもよい。つまり、本発明のカップリング反応を起こす際に、一酸化炭素(CO)及びYを配位させた金属化合物を投入してもよいし、所定の配位子化合物と所定の金属化合物とを投入してもよい。

【0066】
上記の金属化合物は単独で用いてもよいし、2種以上を組合せて用いてもよい。本発明のシクロポリアリーレン金属錯体に要求される物性に応じて金属化合物を選択することが好ましい。

【0067】
金属化合物の使用量は、構成する金属の種類によっても異なるが、例えば、基質であるシクロポリアリーレン化合物1モルに対し、通常、0.5~10モル程度が好ましく、1~3モル程度がより好ましい。なお、金属化合物を系中で合成する場合には、系中に存在する金属化合物の量が上記範囲内となるように調整することが好ましい。

【0068】
工程(I)は、通常、反応溶媒の存在下で行うことが好ましい。反応溶媒としては、例えば、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル、ジn-ブチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル等の鎖状エーテル類;ジオキサン、テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、エーテル系溶媒(鎖状エーテル類、環状エーテル類等)又は炭化水素系溶媒(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)が好ましく、エーテル系溶媒(鎖状エーテル類、環状エーテル類等)がより好ましく、ジn-ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等がさらに好ましい。

【0069】
反応溶媒を使用する場合、反応溶媒中の基質であるシクロポリアリーレン化合物の濃度は、特に制限されないが、1~10mMが好ましい。

【0070】
上記反応における反応温度は、通常、0℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0071】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。空気雰囲気とすることもできる。

【0072】
反応後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0073】
[3]金属置換シクロポリアリーレン化合物
本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物は、シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、金属原子が結合している。

【0074】
シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に結合している金属原子としては、特に制限されないが、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等が挙げられ、アルカリ金属が好ましく、リチウム原子、ナトリウム原子等がより好ましく、リチウム原子がさらに好ましい。

【0075】
つまり、本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物は、例えば、一般式(7):

【0076】
【化5】
JP2016113401A_000006t.gif

【0077】
[式中、Mは金属原子;cは0以上の整数である。]
で示される化合物が好ましい。

【0078】
一般式(7)において、Mで示される金属原子としては、特に制限されないが、アルカリ金属原子、アルカリ土類金属原子等が挙げられ、アルカリ金属が好ましく、リチウム原子、ナトリウム原子等がより好ましく、リチウム原子がさらに好ましい。

【0079】
一般式(7)において、cは要求特性に応じて適宜設定すればよいが、0~25の整数が好ましく、0~15の整数がより好ましく、0~13の整数がさらに好ましく、0~11の整数又は13が特に好ましく、1~10の整数が最も好ましい。

【0080】
この金属置換シクロポリアリーレン化合物は、前記シクロポリアリーレン金属錯体から官能基含有シクロアリーレン化合物を得る際の合成中間体としても得ることができる。

【0081】
[4]金属置換シクロポリアリーレン化合物の製造方法
本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物は、例えば、
(II)本発明のシクロポリアリーレン金属錯体と、金属化合物とを反応させる工程
を備える方法により製造することができる。

【0082】
金属化合物としては、特に制限されないが、有機アルカリ金属化合物が好ましく、有機リチウム化合物、有機ナトリウム化合物等が挙げられ、特に有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、例えば、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物等を用いることができる。

【0083】
上記有機リチウム化合物の具体例としては、例えば、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;シクロヘキシルリチウム等のシクロアルキルリチルム;フェニルリチウム等のアリールリチウム;ヘキサメチレンジリチウム、シクロペンタジエニルリチウム、インデニルリチウム、1,1-ジフェニル-n-ヘキシルリチウム、1,1-ジフェニル-3-メチルペンチルリチウム、リチウムナフタレン、ブタジエニルジリチウム、イソプロペニルジリチウム、m-ジイソプレニルジリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1-フェニルペンチリデン)ビスリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1,[4-メチルフェニル]ペンチリデン)ビスリチウム、1,3-フェニレン-ビス-(3-メチル-1,[4-ドデシルフェニル]ペンチリデン)ビスリチウム、1,1,4,4-テトラフェニル-1,4-ジリチオブタン、ポリブタジエニルリチウム、ポリイソプレニルリチウム、ポリスチレン-ブタジエニルリチウム、ポリスチレニルリチウム、ポリエチレニルリチウム、ポリ-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム、ポリスチレン-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム、ポリブタジエン-1,3-シクロヘキサジエニルリチウム等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、収率の観点から、有機モノリチウム化合物が好ましく、アルキルリチウム、シクロアルキルリチウム、アリールリチウム等がより好ましく、エチルリチウム、n-プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、ペンチルリチウム、ヘキシルリチウム、シクロヘキシルリチウム、フェニルリチウム等がさらに好ましい。

【0084】
上記金属化合物の使用量は、特に制限されないが、収率の観点から、通常、本発明のシクロポリアリーレン化合物1モルに対して2~50モルが好ましく、3~30モルがより好ましく、5~20モルがさらに好ましい。

【0085】
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)が好ましい。

【0086】
反応溶媒を使用する場合、反応溶媒中の本発明のシクロポリアリーレン金属錯体の濃度は、特に制限されないが、1~15mMが好ましい。

【0087】
上記反応温度は、通常、-100℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0088】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0089】
上記反応工程の後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0090】
[5]官能基含有シクロポリアリーレン化合物
本発明の官能基含有シクロポリアリーレン化合物は、シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に、ボロン酸若しくはそのエステル基、シリル基、カルボキシ基若しくはそのエステル基、又はホルミル基が結合している。

【0091】
シクロポリアリーレン化合物が有する1個のベンゼン環を構成する1個の炭素原子に結合している官能基としては、ボロン酸若しくはそのエステル基、シリル基、カルボキシ基若しくはそのエステル基、又はホルミル基等が挙げられ、カルボキシ基若しくはそのエステル基、又はホルミル基が好ましい。

【0092】
ボロン酸若しくはそのエステル基としては、例えば、

【0093】
【化6】
JP2016113401A_000007t.gif

【0094】
[式中、R’は同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は低級アルキル基(特に炭素数1~10のアルキル基)であり、R’は互いに結合して、隣接する-O-B-O-とともに環を形成してもよい。]
で示される基が好ましい。

【0095】
上記ボロン酸若しくはそのエステル基のR’は水素原子又はアルキル基である。このアルキル基の炭素数は1~10が好ましく、1~8がより好ましく、1~5がさらに好ましい。また、上記式において、2つのR’は同一であっても異なっていてもよい。また、R’がアルキル基である場合には、それぞれのアルキル基を構成する炭素原子が、互いに結合してホウ素原子及び酸素原子とともに環を形成してもよい。

【0096】
このようなボロン酸若しくはそのエステル基としては、例えば、

【0097】
【化7】
JP2016113401A_000008t.gif

【0098】
[上記式中、R”は同じか又は異なり、それぞれ水素原子又は低級アルキル基(特に炭素数1~10のアルキル基)である。]
で示される基が挙げられ、特に

【0099】
【化8】
JP2016113401A_000009t.gif

【0100】
が好ましい。

【0101】
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t-ブチルジメチルシリル基等が挙げられる。

【0102】
カルボキシ基若しくはそのエステル基としては、カルボキシ基の他、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基等のカルボキシ基のエステル基も挙げられる。

【0103】
上記の官能基は、要求特性に応じて適宜選択すればよい。

【0104】
つまり、本発明の官能基含有シクロポリアリーレン化合物は、例えば、一般式(8):

【0105】
【化9】
JP2016113401A_000010t.gif

【0106】
[式中、Rは官能基(ボロン酸若しくはそのエステル基、シリル基、カルボキシ基若しくはそのエステル基、ホルミル基等);dは1以上の整数である。]
で示される化合物が好ましい。

【0107】
一般式(8)において、dは要求特性に応じて適宜設定すればよいが、1以上の整数が好ましく、1~50の整数がより好ましく、2~30の整数がさらに好ましく、3~20の整数が特に好ましい。

【0108】
[6]官能基含有シクロポリアリーレン化合物の製造方法
本発明の官能基含有シクロポリアリーレン化合物は、例えば、
(III)本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物と、求電子剤とを反応させる工程
を備える方法により製造することができる。

【0109】
なお、本発明のシクロポリアリーレン金属錯体と、金属化合物とを、上記説明した工程(II)にしたがって反応させた後に、そのまま求電子剤を投入してもよい。

【0110】
求電子剤としては、特に制限はなく、エステル化剤、ボロン酸(エステル)化剤、置換シリル化剤、アシル若しくはホルミル化剤等が挙げられる。

【0111】
エステル化剤としては、例えば、ヨードギ酸メチル、ヨードギ酸エチル、ヨード酢酸メチル、ヨード酢酸エチル、ブロモギ酸メチル、ブロモギ酸エチル、ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸エチル等が挙げられる。なかでも、クロロギ酸メチル等が好ましい。

【0112】
ボロン酸(エステル)化剤としては、例えば、メトキシボロン酸、エトキシボロン酸、メトキシボロン酸ピナコールエステル、エトキシボロン酸ピナコールエステル等が挙げられる。なかでも、メトキシボロン酸ピナコールエステル等が好ましい。

【0113】
置換シリル化剤としては、例えば、ヨードトリメチルシラン、ヨードトリエチルシラン、ヨードトリブチルシラン、ヨードトリシクロヘキシルシラン、ヨードトリフェニルシラン等の置換シリルヨウ化物;ブロモトリメチルシラン、ブロモトリエチルシラン、ブロモトリブチルシラン、ブロモトリシクロヘキシルシラン、ブロモトリフェニルシラン等の置換シリル臭化物;クロロトリメチルシラン、クロロトリエチルシラン、クロロトリブチルシラン、クロロトリシクロヘキシルシラン、クロロトリフェニルシラン等の置換シリル塩化物;メシレートトリメチルシラン、メシレートトリエチルシラン、メシレートトリブチルシラン、メシレートトリシクロヘキシルシラン、メシレートトリフェニルシラン等の置換シリルメシレート;トシレートトリメチルシラン、トシレートトリエチルシラン、トシレートトリブチルシラン、トシレートトリシクロヘキシルシラン、トシレートトリフェニルシラン等の置換シリルトシレート;トリフレートトリメチルシラン、トリフレートトリエチルシラン、トリフレートトリブチルシラン、トリフレートトリシクロヘキシルシラン、トリフレートトリフェニルシラン等の置換シリルトリフレート等が挙げられる。なかでも、置換シリル塩化物が好ましく、クロロトリメチルシラン等が好ましい。

【0114】
アシル若しくはホルミル化剤としては、直鎖、分岐又は環状のいずれでもよく、置換基を有していてもよい。炭素数は通常1~20程度であり、具体的にはN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド等が挙げられる。なかでも、N,N-ジメチルホルムアミド等が好ましい。

【0115】
これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

【0116】
上記求電子剤の使用量は、特に制限されないが、収率の観点から、通常、本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物1モルに対して1~500モルが好ましく、1~300モルがより好ましく、1~200モルがさらに好ましい。

【0117】
上記反応は、通常、反応溶媒の存在下で行われる。この反応溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ヘキサン、ペンタン等の炭化水素系溶媒等が挙げられる。これらは、1種のみを用いてよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、本発明では、エーテル類(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等)が好ましい。なお、上記工程(II)と引き続いて行う場合は、同じ溶媒とすることができる。ただし、原材料から官能基含有シクロポリアリーレン化合物に至るまでの反応中間体が、使用した1の溶媒に対して低い溶解性となることがあり、この場合、他の溶媒を、予め、又は反応の途中から、添加しておいてもよい。

【0118】
反応溶媒を使用する場合、反応溶媒中の本発明の金属置換シクロポリアリーレン化合物の濃度は、特に制限されないが、工程(II)と同程度とすることができる。

【0119】
上記反応温度は、通常、-100℃以上であり且つ上記反応溶媒の沸点温度以下である範囲から選択される。反応時間は、反応が十分進行する時間とすればよい。

【0120】
また、反応雰囲気は、特に限定されないが、好ましくは不活性ガス雰囲気であり、アルゴンガス雰囲気、窒素ガス雰囲気等とすることができる。なお、空気雰囲気とすることもできる。

【0121】
上記反応工程の後、必要に応じて、精製工程を備えることができる。この精製工程において、溶媒(溶剤)除去、洗浄、クロマト分離等といった一般的な後処理に供することができる。

【0122】
上記のようにして本発明の官能基含有シクロポリアリーレン化合物を製造した後、公知の方法で、当該官能基を他の官能基に置換することも可能である。
【実施例】
【0123】
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
【実施例】
【0124】
特に断りのない限り、乾燥溶媒を含むすべての材料は、商業的供給業者から入手し、さらに精製することなく用いた。また、[9] CPPは、既報(国際公開第2011/111719号)にしたがい合成した。ただし、テトラヒドロフラン(THF)及びジブチルエーテルは、溶媒精製システム(ガラス輪郭)で通すことにより精製した。全ての反応は、空気下で試薬グレードの溶媒を用いて行った。Ni(cod)は既報の文献にしたがって合成した。
【実施例】
【0125】
薄層クロマトグラフィー(TLC)は、E. Merckシリカゲル60 F254プレコートプレート(0.25 mm)を用いて行った。クロマトグラムは、UVランプ(254 nm及び365 nm)で分析した。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、E. Merckシリカゲル60(230-400メッシュ)を用いて行った。分取薄層クロマトグラフィー(PTLC)は、和光ゲル(登録商標)B5-Fシリカコートプレート(0.75 mm)を用いて行った。高分解能質量スペクトル(HRMS)はThermo Fisher Scientific Exactiveで行った。核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、JEOL JNM-ECA-600(1H 600 MHz、13C 150MHz)分光計で記録した。1H NMRの化学シフトはCHCl3(δ7.26 ppm)、CHDCl2(δ5.32 ppm)、DMSO-d5(δ2.50 ppm)及びTHF-d7(δ1.72 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。13C NMRの化学シフトはCDCl3(δ77.0 ppm)、CD2Cl2(δ53.8 ppm)、DMSO-d6(δ39.5 ppm)、及びTHF-d8(δ67.2 ppm)の相対的な百万分率(ppm)で表した。データは、化学シフト、多重度(s =シングレット、d =ダブレット、dd =ダブレットのダブレット、t =トリプレット、m=マルチプレット)、結合定数(Hz)、及び統合の順に報告する。
【実施例】
【0126】
実施例1
【実施例】
【0127】
【化10】
JP2016113401A_000011t.gif
【実施例】
【0128】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(5.0 mg、7.30μmol)、Cr(CO)6(1.7 mg、7.52μmol)、ジブチルエーテル(0.9 mL)及びTHF(0.1 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で10時間撹拌し、減圧下に濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3)により精製した。その結果、目的物であるクロム-[9] CPPが橙色固体として得られた(2.1 mg、35 %)。
【実施例】
【0129】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.46 (s, 4H), 7.40 (d, J = 9.0, 4H), 7.56-7.52 (m, 28H). HRMS (ESI) m/z calcd for C57H36O3CrCl [M・Cl]-: 855.1754, found 855.1782。
【実施例】
【0130】
実施例2
【実施例】
【0131】
【化11】
JP2016113401A_000012t.gif
【実施例】
【0132】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[12] CPP(10.0 mg、11.0μmol)、Cr(CO)6(2.5 mg、11.0μmol)、ジブチルエーテル(6.8 mL)及びTHF(0.8 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で2時間撹拌し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0133】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.61 (s, 4H). HRMS (ESI) m/z calcd for C75H49O3Cr [MH]+: 1049.3081, found 1049.3106。
【実施例】
【0134】
実施例3
【実施例】
【0135】
【化12】
JP2016113401A_000013t.gif
【実施例】
【0136】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(5.0 mg、7.30μmol)、Mo(CO)6(30.0 mg、114μmol)、ジブチルエーテル(1.8 mL)及びTHF(0.2 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0137】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.72 (s, 4H), HRMS (ESI) m/z calcd for C57H36O3Mo [M・]+: 866.1728, found 866.1748。
【実施例】
【0138】
実施例4
【実施例】
【0139】
【化13】
JP2016113401A_000014t.gif
【実施例】
【0140】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[12] CPP(2.5 mg、2.74μmol)、Mo(CO)6(30.0 mg、114μmol)、ジブチルエーテル(0.9 mL)及びTHF(0.1 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0141】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.86 (s, 4H). HRMS (ESI) m/z calcd for C75H48O3Mo [M・]+: 1094.2652, found 1094.2661。
【実施例】
【0142】
実施例5
【実施例】
【0143】
【化14】
JP2016113401A_000015t.gif
【実施例】
【0144】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(5.0 mg、7.30μmol)、W(CO)6(4.0 mg、11.4μmol)、ジブチルエーテル(1.8 mL)及びTHF(0.2 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0145】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.56 (s, 4H). HRMS (ESI) m/z calcd for C57H36O3W [M・]+: 952.2178, found 952.2155。
【実施例】
【0146】
実施例6
【実施例】
【0147】
【化15】
JP2016113401A_000016t.gif
【実施例】
【0148】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[12] CPP(2.5 mg、2.74μmol)、W(CO)6(70 mg、199μmol)、ジブチルエーテル(2.7 mL)及びTHF(0.3 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮し、粗生成物を得た。
【実施例】
【0149】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 5.69 (s, 4H). HRMS (ESI) m/z calcd for C75H49O3W [MH]+: 1181.3199, found 1181.3179。
【実施例】
【0150】
実施例7
【実施例】
【0151】
【化16】
JP2016113401A_000017t.gif
【実施例】
【0152】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(20.0 mg、29.2μmol)、Cr(CO)6(7.2 mg、31.7μmol)、ジブチルエーテル(9.0 mL)及びTHF(1.0 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮した。THF(5.0 mL)に溶解した後、0.4 Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(150μL、60μmol)を、-78℃でゆっくり添加し、反応混合物を暗室下に30分間攪拌した(この時点で、リチウム化された[9] CPPが得られる)。次に、反応混合物にクロロトリメチルシラン(100μL、780μmol)を添加し、反応混合物を室温まで昇温し、暗室下に1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、反応混合物を空気及び室内光に暴露し、24時間脱錯体化した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3)により精製した。その結果、目的物であるトリメチルシリル-[9] CPPが黄色固体として得られ(8.8 mg、40 %)として得られ、出発物質である[9] CPPも回収した(9.1 mg、46 %)。
【実施例】
【0153】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 0.36 (s, 9H), 6.85 (d, J = 9 Hz, 1H), 7.08 (d, J = 9 Hz, 2 Hz, 1H), 7.22 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.42 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.48-7.61 (m, 28H), 7.96 (d, J = 2 Hz, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ1.2 (CH3), 127.08 (CH), 127.12 (CH), 127.2 (CH), 127.3 (CH), 127.4 (CH), 127.5 (CH), 127.7 (CH), 127.8 (CH), 129.6 (CH), 129.6 (CH), 129.9 (CH), 131.2 (CH), 132.8 (CH), 137.0 (4°), 137.5 (4°), 137.6 (4°), 137.75 (4°), 137.84 (4°), 137.9 (4°), 138.0 (4°), 138.1 (4°), 138.3 (4°), 138.75 (4°), 138.82 (4°), 142.3 (4°), 146.6 (4°); HRMS (ESI) m/z calcd for C55H44Si [M・]+: 756.3207, found 756.3182; 300℃以上で分解も融解もしなかった。
【実施例】
【0154】
実施例8
【実施例】
【0155】
【化17】
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【実施例】
【0156】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[12] CPP(20.0 mg、21.9μmol)、Cr(CO)6(9.9 mg、43.8μmol)、ジブチルエーテル(15.3 mL)及びTHF(1.7 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1.5時間撹拌し、減圧下に濃縮した。THF(5.0 mL)に溶解した後、0.4 Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(110μL、44μmol)を、-78℃でゆっくり添加し、反応混合物を暗室下に30分間攪拌した(この時点で、リチウム化された[12] CPPが得られる)。次に、反応混合物にクロロトリメチルシラン(100μL、780μmol)を添加し、反応混合物を室温まで昇温し、暗室下に1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、反応混合物を空気及び室内光に暴露し、24時間脱錯体化した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3)により精製した。その結果、目的物であるトリメチルシリル-[12] CPPが黄色固体として得られ(6.7 mg、31 %)として得られ、出発物質である[12] CPPも回収した(11.9 mg、60 %)。
【実施例】
【0157】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 0.32 (s, 9H), 6.96 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.23 (dd, J = 8 Hz, 2 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.52 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.58-7.66 (m, 40H), 7.98 (d, J = 2 Hz, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ1.2 (CH3), 127.0 (CH), 127.10 (CH), 127.13 (CH), 127.17 (CH), 127.20 (CH), 127.27 (CH), 127.29 (CH), 127.32 (CH), 127.36 (CH), 127.41 (CH), 127.44 (CH), 127.5 (CH), 127.6 (CH), 127.7 (CH), 129.1 (CH), 129.6 (CH), 131.8 (CH), 132.3 (CH), 137.6 (4°), 138.1 (4°), 138.2 (4°), 138.3 (4°), 138.36 (4°), 138.46 (4°), 138.50 (4°), 138.57 (4°), 138.64 (4°), 138.68 (4°), 138.70 (4°), 138.2 (4°), 139.4 (4°) , 142.9 (4°) , 147.3 (4°); HRMS (ESI) m/z calcd for C55H44Si [M・]+: 984.4146, found 984.4133; 融点300℃以上。
【実施例】
【0158】
実施例9
【実施例】
【0159】
【化18】
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【実施例】
【0160】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(20.0 mg、29.2μmol)、Cr(CO)6(7.2 mg、31.7μmol)、ジブチルエーテル(9.0 mL)及びTHF(1.0 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮した。THF(5.0 mL)に溶解した後、0.4 Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(150μL、60μmol)を、-78℃でゆっくり添加し、反応混合物を暗室下に30分間攪拌した(この時点で、リチウム化された[9] CPPが得られる)。次に、反応混合物にメチルクロロホルメート(60μL、774μmol)を添加し、反応混合物を室温まで昇温し、暗室下に1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、反応混合物を空気及び室内光に暴露し、24時間脱錯体化した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3)により精製した。その結果、目的物であるカルボキシメチル-[9] CPPが黄色固体として得られ(8.2 mg、38 %)として得られ、出発物質である[9] CPPも回収した(11.8 mg、59 %)。
【実施例】
【0161】
1H NMR (600 MHz, CD2Cl2) δ3.85 (s, 3H), 7.04 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.25 (d, J = 8 Hz, 2H), 7.33 (dd, J = 8 Hz, 2 Hz, 1H), 7.47 (d, J= 8 Hz, 2H), 7.51-7.62 (m, 28H), 8.38 (d, 2 Hz, 1H); 13C NMR (150 MHz, CD2Cl2) δ 52.5 (CH3), 127.5 (CH), 127.60 (CH), 127.69 (CH), 127.77 (CH), 127.82 (CH), 127.86 (CH), 127.9 (CH), 128.1 (CH), 129.2 (CH), 129.3 (4°), 132.7 (CH), 134.3 (CH), 137.8 (4°), 137.9 (4°), 138.0 (4°), 138.26 (4°), 138.35 (4°), 138.47 (4°), 138.57 (4°), 138.64 (4°), 138.88 (4°), 140.5 (4°), 141.0 (4°), 168.6 (4°); HRMS (MALDI-TOF) m/z calcd for C55H37O [MH]+: 743.2945, found 743.2922; 融点300℃以上。
【実施例】
【0162】
実施例10
【実施例】
【0163】
【化19】
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【実施例】
【0164】
J. Young(登録商標)シュレンク管に磁気撹拌棒を入れ、[9] CPP(20.0 mg、29.2μmol)、Cr(CO)6(7.2 mg、31.7μmol)、ジブチルエーテル(9.0 mL)及びTHF(1.0 mL)を添加し、反応混合物を暗室下に160℃で1時間撹拌し、減圧下に濃縮した。THF(5.0 mL)に溶解した後、0.4 Mのn-ブチルリチウムのヘキサン溶液(150μL、60μmol)を、-78℃でゆっくり添加し、反応混合物を暗室下に30分間攪拌した(この時点で、リチウム化された[9] CPPが得られる)。次に、反応混合物にメトキシボロン酸ピナコールエステル(50μL、305μmol)を添加し、反応混合物を室温まで昇温し、暗室下に1時間撹拌した。反応混合物を水でクエンチし、反応混合物を空気及び室内光に暴露し、24時間脱錯体化した。反応混合物を減圧下に濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/CHCl3)により精製した。その結果、目的物であるテトラメチルジオキサボリル-[9] CPPが黄色固体として得られ(4.7 mg、20 %)として得られ、出発物質である[9] CPPも回収した(13.9 mg、70 %)。
【実施例】
【0165】
1H NMR (600 MHz, CDCl3) δ 1.34 (s, 12H), 7.03 (d, J = 8 Hz, 1H), 7.24 (dd, J = 8 Hz, 2 Hz, 1H), 7.30 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.43 (d, J = 9 Hz, 2H), 7.50-7.55 (m, 28H), 8.20 (d, J = 2 Hz, 1H); 13C NMR (150 MHz, CDCl3) δ 24.6 (CH3), 84.0 (4°), 127.08 (CH), 127.12 (CH), 127.18 (CH), 127.25 (CH), 127.36 (CH), 127.42 (CH), 127.44 (CH), 127.6 (CH), 127.7 (CH), 129.9 (CH), 131.3 (CH), 132.2 (CH), 132.5 (CH), 136.9 (CH), 137.66 (4°), 137.69 (4°), 137.73 (4°), 137.76 (4°), 137.82 (4°), 137.90 (4°), 137.92 (4°), 137.94 (4°), 137.99 (4°), 138.01 (4°), 138.4 (4°), 138.5 (4°) , 140.9 (4°) , 145.6 (4°); HRMS (ESI) m/z calcd for C60H47BO2[M・]+: 810.3664, found 810.3653。