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明細書 :放射性核種標識オクトレオチド誘導体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-086213 (P2015-086213A)
公開日 平成27年5月7日(2015.5.7)
発明の名称または考案の名称 放射性核種標識オクトレオチド誘導体
国際特許分類 C07K   7/06        (2006.01)
A61K  51/00        (2006.01)
A61K  33/24        (2006.01)
A61K  47/48        (2006.01)
A61K  47/42        (2006.01)
FI C07K 7/06 ZNA
A61K 49/02 A
A61K 49/02 B
A61K 49/02 C
A61K 43/00
A61K 33/24
A61K 47/48
A61K 47/42
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 26
出願番号 特願2014-047025 (P2014-047025)
出願日 平成26年3月11日(2014.3.11)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り [刊行物名] 日本薬学会第133年会要旨集 [発行者] 公益社団法人 日本薬学会 日本薬学会第133年会組織委員会 [発行日] 平成25年3月5日
優先権出願番号 2013062459
2013201959
優先日 平成25年3月25日(2013.3.25)
平成25年9月27日(2013.9.27)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】荒野 泰
【氏名】上原 知也
【氏名】花岡 宏史
【氏名】金井 彩香
出願人 【識別番号】304021831
【氏名又は名称】国立大学法人 千葉大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100080089、【弁理士】、【氏名又は名称】牛木 護
【識別番号】100121153、【弁理士】、【氏名又は名称】守屋 嘉高
【識別番号】100161665、【弁理士】、【氏名又は名称】高橋 知之
【識別番号】100178445、【弁理士】、【氏名又は名称】田中 淳二
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
Fターム 4C076AA95
4C076CC16
4C076CC27
4C076EE41
4C076FF67
4C076FF68
4C084AA12
4C084NA05
4C084NA06
4C084NA10
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZA66
4C084ZB26
4C085HH03
4C085KA09
4C085KA29
4C085KB07
4C085KB09
4C085KB10
4C085KB11
4C085KB12
4C085KB15
4C085KB82
4C085LL05
4C085LL18
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086HA05
4C086HA08
4C086HA10
4C086HA28
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA05
4C086NA06
4C086NA10
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA66
4C086ZB26
4H045AA10
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA14
4H045BA51
4H045BA52
4H045BA71
4H045EA50
4H045FA20
要約 【課題】オクトレオチドの2官能性キレート化合物、さらに、ソマトスタチン受容体に結合する安定な放射性金属との錯体化合物を有効成分とする膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断用又は治療用の薬剤を開発する。
【解決手段】EDTA、DTPA、シクロへキシルDTPA、DOTA及びNOTAの骨格炭素にp-ベンジルカルボン酸誘導体を導入することにより、オクトレオチド誘導体に固相合成法で、金属との錯体形成部位とは独立したカルボン酸を導入した新規化合物を提供する。さらに、該化合物の111In等の放射性金属で標識した錯体化合物を有効成分として含有する放射性医薬組成物、及び該放射性医薬組成物を製造するための医薬組成物を提供する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式1で表されることを特徴とする化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【化1】
JP2015086213A_000019t.gif
1は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、cyclohexyl-DTPA(シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)若しくはNOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N',N''-三酢酸)からなる群から選択されるいずれか一つのC-ファンクショナライズド(C-functionalized)コンプレキサン型配位子、又は保護基で保護されたそれらのエステル誘導体を表し、Xは、L-Phe又はD-Pheを表す。

【請求項2】
下記式2ないし5のいずれかで表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物。
【化2】
JP2015086213A_000020t.gif
【化3】
JP2015086213A_000021t.gif
【化4】
JP2015086213A_000022t.gif
【化5】
JP2015086213A_000023t.gif
上記式においてR2はH、又はメチル基、エチル基若しくはt-ブチル基の保護基を表し、R3及びR4はH又は相互に結合して6員環を形成するエチル基を表し、XはL-Phe又はD-Pheを表す。

【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物のC-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子が金属に配位することを特徴とする、金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。

【請求項4】
前記金属は、放射性金属であることを特徴とする、請求項3の金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。

【請求項5】
前記放射性金属は、51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、47Sc、88Y、86Y、90Y、97Ru、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、111In、117mSn、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、165Dy、166Dy、166Ho、167Tm、168Yb、175Yb、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi及び225Ac、並びにその酸化物又は窒化物からなる群から選択される1以上の金属であることを特徴とする、請求項4の金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。

【請求項6】
前記放射性金属は111Inであって、下記式6で表されることを特徴とする、請求項5の金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物。
【化6】
JP2015086213A_000024t.gif
上記式において、XはL-Phe又はD-Pheを表す。

【請求項7】
請求項1又は2に記載の化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有することを特徴とする、放射性医薬組成物を調製するための医薬組成物。

【請求項8】
請求項3ないし6に記載の金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断用又は予防若しくは治療用の放射性医薬組成物。

【請求項9】
前記膵臓疾患は、インスリン産生膵島細胞腫、急性膵炎、慢性膵炎、小児糖尿病、糖尿病、自己免疫性膵炎、膵臓癌、膵島腫瘍、膵嚢胞、膵臓損傷であることを特徴とする、請求項8に記載の放射性医薬組成物。

【請求項10】
膵臓細胞のイメージング剤、又は膵臓癌の予防若しくは治療剤であることを特徴とする、請求項8又は9に記載の放射性医薬組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、結合部位にカルボン酸を有するC-ファンクショナライズド(C-functionalized)コンプレキサン型の二官能性キレート剤をベンジルカルボン酸誘導体をスペーサーとしてオクトレオチドを結合した化合物及びその塩又は溶媒和物、該化合物等を含有する医薬組成物、該化合物と放射性金属との金属錯体化合物及びその塩又は溶媒和物、該金属錯体化合物等を含有する診断及び治療用の医薬組成物等に関する。
【背景技術】
【0002】
ソマトスタチン(SST)及びその合成誘導体であるオクトレオチドはソマトスタチン受容体(SSTR)に高い親和性を有する。オクトレオチドに、診断用の放射性同位元素(RI)であるインジウム-111(111In)や治療用のRIであるイットリウム-90(90Y)あるいはルテチウム-177(177Lu)などの金属と安定な錯体を形成するキレート部位を結合し、次いで、これらの金属RIとの錯形成反応により作製した薬剤は、SSTR陽性腫瘍の診断・治療に用いられている(非特許文献1)。
【0003】
一方でインシュリン分泌を担う膵島β-cellもまたSSTR発現細胞として知られており、β-cell massは特にI型糖尿病などの膵疾患において重要な指標である。このことからSSTRに親和性を有するRI標識オクトレオチド誘導体を、SST産生腫瘍の画像化のみならず、膵島β-cell mass測定に応用する試みが行われている(非特許文献2)。
【0004】
しかし、RI標識オクトレオタイドはSST産生腫瘍に集積することから、腫瘍の臨床診断、さらにはアイソトープ治療において成果を挙げている。一方で、既存のRI標識オクトレオタイドでは、イメージングが可能な程度に膵臓へ集積する薬剤は開発されておらず、現存の薬剤を用いる膵島、β-cell massの測定への応用は困難とされている。
【0005】
また、前記放射性金属などと安定な錯体を形成するキレート剤として鎖状コンプレキサン型のキレート剤であるDTPA無水物、benzyl-EDTA(ethylenediamine tetraacetic acid、benzyl-DTPA(diethylenetriamine pentaacetic acid)、及び環状コンプレキサン型のキレート剤であるDO3A、benzyl-DOTA(1,4,7,10 -tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-
tetraacetic acid)、benzyl-NOTA(2,2',2''-(1,4,7-triazonane-1,4,7-triyl)triacetic acid)を母体とした二官能性キレート剤が開発されている。これらのキレート剤を使用した場合、従来、抗体やペプチドなどの標的分子認識素子への結合部位には、DTPA無水物ではカルボン酸の無水物、DO3Aではカルボン酸の活性エステル誘導体が用いられている。また、benzyl-EDTAなどでは、ベンゼン環のパラ位に導入されたアミノ基やイソチオシアネート(-NCS)基が用いられ、タンパク質やペプチドを標的分子認識素子とする放射性薬剤に利用されている(非特許文献3)。これらの二官能性キレート剤は、キレート骨格中のカルボン酸の1つを利用するか、あるいはキレート骨格炭素から新たにベンジル基を介してイソチオシアネート基を伸張することで、標的分子認識素子のN末端又はリジン側鎖のアミノ基に導入するのが一般的である。
【0006】
しかし、本来金属との錯体形成に使われるキレート骨格中のカルボン酸を標的分子認識素子との結合に用いた場合、金属錯体の安定性が低下すると考えられ、生体内で錯体から遊離した金属放射性アイソトープが非標的部位へ集積することで、イメージング時における診断精度の低下及び治療時における副作用の増加が懸念される。一方、イソチオシアネート基を有する二官能性キレート剤はすべてのカルボン酸が金属との錯形成に関与できるため、錯体の安定性は高い。しかし、イソチオシアネート基を有する二官能性キレート剤は、イソチオシアネート基とアミンとの反応により生じるチオウレア結合はアミド結合よりも安定性が低いため、強酸性条件下での脱保護が必要であるペプチド固相合成への応用は難しく、また多彩な標識薬剤開発も容易ではない。
【0007】
さらに、従来より汎用されているC-ファンクショナライズドDTPAやDOTA誘導体では、前記のとおり、ベンゼン環のパラ位にチオシアネート(-NCS)基を有する化合物が汎用されており、抗体などのアミノ残基と-NH-CS-NH-(チオウレア)結合で結合する。しかし、(1)反応速度が遅い、(2)本従来の方法で作製した111In標識抗体を生体内へ投与した場合、チオウレア結合がリソソーム代謝に安定であるため、細胞内に滞留しやすく、その結果、放射活性が生体内に残留する、(3)ペプチド合成へ応用した場合、チオウレア結合がBoc基等の脱保護時に開裂する可能性がある、などの問題もある。
【0008】
以上より、錯体の安定性が高く、標的分子認識素子との結合部位としてカルボキシル基を有し、ペプチド固相合成に応用可能な新規二官能性キレート剤の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【0009】

【非特許文献1】Best Practice & Research Clinical Gastroenterology 26; 867-881, 2012
【非特許文献2】Endocrine Reviews 33: 892-919, 2012.
【非特許文献3】Bioconjugate Chem 12, 7-34, 2001, Chem Soc Rev 40, 3019-49, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子と標的分子認識素子とを結合するスペーサーとして、ベンジルカルボン酸誘導体を創案し、ペプチドの固相合成で製造したオクトレオチドの金属錯体化合物の製造に応用する。本法は、コンプレキサン型配位子のカルボン酸基の全てを金属との錯体形成に使用する。さらに、金属に放射性金属を使用することにより放射性標識誘導体の合成に応用し、従来の放射性標識オクトレオチドには認められない、前記化合物の特性と有用性を明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子と標的分子認識素子とを結合するスペーサーとして、ベンジルカルボン酸誘導体を使用し、ペプチドの固相合成に応用した。本法は、コンプレキサン型配位子のカルボン酸基の全てを金属との錯体形成に使用し、ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドの金属錯体化合物を合成した。そして、金属に放射性金属を使用することにより放射性標識誘導体の合成に応用した。
【0012】
具体的には、本発明は、下記式1で表される化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を提供する。
【化1】
JP2015086213A_000002t.gif
1は、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、cyclohexyl-DTPA(シクロヘキシル-ジエチレントリアミン五酢酸)、DOTA(1,4,7,10-テトラ-アザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸)、若しくはNOTA(1,4,7-トリアザシクロノナン-N,N'N''-三酢酸)からなる群から選択されるいずれか一つのC-ファンクショナライズド(C-functionalized)コンプレキサン型配位子、又は保護基で保護されたそれらのエステル誘導体を表し、Xは、L-Phe又はD-Pheを表す。

【0013】
本発明の前記化合物は、下記式2ないし5のいずれかで表される場合がある。
【化2】
JP2015086213A_000003t.gif
【化3】
JP2015086213A_000004t.gif
【化4】
JP2015086213A_000005t.gif
【化5】
JP2015086213A_000006t.gif
上記式においてR2はH、又はメチル基、エチル基若しくはt-ブチル基の保護基を表し、R3及びR4はH又は相互に結合して6員環を形成するエチル基を表し、XはL-Phe又はD-Pheを表す。

【0014】
本発明は、前記式1ないし5で表される化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有してなる医薬を提供する。
【0015】
本発明は、前記式1ないし5で表される化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物の有効量を含有する放射性医薬品の製造用の医薬組成物を提供する。
【0016】
本発明は、前記式1ないし5で表される化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物、並びに少なくとも1つの製薬的に許容可能な添加物を含有する医薬組成物を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、前記1ないし5で表される化合物のC-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子が金属に配位する金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を提供する。
【0018】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記金属は、放射性金属、X線不透過性金属、常磁性金属又は蛍光性金属である場合がある。
【0019】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記放射性金属は、51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、47Sc、88Y、86Y、90Y、97Ru、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、111In、117mSn、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、165Dy、166Dy、166Ho、167Tm、168Yb、175Yb、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi及び225Ac、並びにその酸化物又は窒化物からなる群から選択される1以上の金属である場合がある。
【0020】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記X線不透過性金属は、ビスマス(Bi)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、ランタン(La)、その他のランタノイド(lanthanide)、バリウム(Ba)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)及びストロンチウム(Sr)からなる群から選択される1以上の金属である場合がある。
【0021】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記常磁性金属は、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe2+)、鉄(Fe3+)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、イッテルビウム(Yb)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)及びエルビウム(Er)からなる群から選択される1以上の金属である場合がある。
【0022】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記蛍光性金属は、ランタノイド金属から選択される場合がある。
【0023】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記ランタノイド金属は、テルビウム(Tb)又はユーロピウム(Eu)から選択される場合がある。
【0024】
本発明の前記金属錯体化合物において、前記金属錯体化合物が、二官能性キレート化合物である場合がある。
【0025】
また、本発明は、前記放射性金属が111Inであって、下記式6で表される金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を提供する。
【化6】
JP2015086213A_000007t.gif
上記式において、XはL-Phe又はD-Pheを表す。

【0026】
本発明は、前記金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物を含有してなる医薬を提供する。
【0027】
本発明は、前記金属錯体化合物、又はその製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物、並びに少なくとも1つの製薬的に許容可能な添加物を含有する医薬組成物を提供する。
【0028】
本発明の前記金属錯体化合物は、膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断又は治療のために使用される場合がある。
【0029】
本発明は、前記金属錯体化合物の有効量を含有する膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断又は治療用の医薬組成物を提供する。
【0030】
本発明の医薬組成物において、前記膵臓疾患は、インスリン産生膵島細胞腫、急性膵炎、慢性膵炎、小児糖尿病、糖尿病、自己免疫性膵炎、膵臓癌、膵島腫瘍、膵嚢胞、膵臓損傷の場合がある。
【0031】
本発明の前記放射性医薬組成物は、膵臓細胞のイメージング剤、又は膵臓癌の予防若しくは治療剤である場合がある。
【0032】
また、本発明は、前記金属錯体化合物の有効量をそれを必要とする被験体に投与するステップを含む、膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断又は治療のための方法を提供する。
【0033】
本発明の方法において、前記膵臓疾患は、インスリン産生膵島細胞腫、急性膵炎、慢性膵炎、小児糖尿病、糖尿病、自己免疫性膵炎、膵臓癌、膵島腫瘍、膵嚢胞、膵臓損傷の場合がある。
【0034】
本発明の方法において、膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍の診断又は治療は、膵臓細胞のイメージング、又は膵臓癌の予防若しくは治療のための場合がある。
【0035】
本発明の方法において、前記金属錯体化合物における金属は、放射性金属である場合がある。
【0036】
本発明の方法において、前記放射性金属は、51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、47Sc、88Y、86Y、90Y、97Ru、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、111In、117mSn、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、165Dy、166Dy、166Ho、167Tm、168Yb、175Yb、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi及び225Ac、並びにその酸化物又は窒化物からなる群から選択される1以上の金属の場合がある。
【発明の効果】
【0037】
本発明により、標的分子認識素子であるオクトレオチドを固相合成法で製造し、金属との錯体形成に関与するコンプレキサン型配位子のカルボン酸基以外のベンジルカルボン酸誘導体をスペーサーとして、C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子とオクトレオチドとを連結した。これにより、錯体の金属との結合性の低下を惹起することなく、コンプレキサン型配位子を結合したオクトレオチド誘導体が提供される。さらに、本誘導体は、放射性金属と錯体化合物を形成することにより、従来に比べて消化器系臓器、特に、膵臓へ顕著な集積を示す放射性標識オクトレオチドが提供される。本放射性標識化合物は、膵臓疾患及び消化管神経内分泌腫瘍の診断剤又は治療剤の有効成分として使用できる。さらに、本化合物はソマトスタチン受容体との結合を介して膵臓へ高い選択性で集積するところから、I型糖尿病や膵臓癌などの膵臓疾患の診断や治療における膵臓β細胞発現量の選択性の高い画像評価薬剤、診断剤、予防剤又は治療剤として使用される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】 111In-C-DOTA-TOC及び111In-DOTA-TOCのラジオ液体クロマトグラフィーでのクロマトグラムを表す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の化合物は、簡潔には、下記式7ないし12に表される合成経路で合成できるが、これらに限定されない。また、下記式7ないし11の合成経路における合成方法の詳細は、特願2013-062459の明細書に記載されている。

【0040】
二官能性キレート剤:化合物A(EDTA-Bn-COOH)のt-Bu保護誘導体の合成経路
(S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-2-[2-[bis(carboxymethyl)amino]ethyl-
(carboxymethyl)amino]acetic acid(以下、化合物Aと記載)のt-Bu保護誘導体の合成経路は下記式7に示される。
【化7】
JP2015086213A_000008t.gif

【0041】
二官能性キレート剤:化合物B(cyclohexyl-DTPA-Bn-COOH)のt-Bu保護誘導体の合成経路
(S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-2-[[(1R)-2-[bis(carboxymethyl)amino]cyclohexyl]-[(2S)-2-[bis(carboxymethyl)amino]-3-(4-isothiocyanatophenyl)propyl]amino]acetic acid(以下、化合物Bと記載)のt-Bu保護誘導体の合成経路は下記式8に示される。
【化8】
JP2015086213A_000009t.gif

【0042】
二官能性キレート剤:化合物C(DOTA-Bn-COOH)のt-Bu保護誘導体の合成経路
(S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-
tetraacetic acid(以下、「化合物C」という。)のt-Bu保護誘導体の合成経路は下記式9に示される。
【化9】
JP2015086213A_000010t.gif

【0043】
二官能性キレート剤:化合物D(NOTA-Bn-COOH)のt-Bu保護誘導体の合成経路
(S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-2-[4,7-bis(carboxymethyl)-1,4,7-triazonan-1-yl]
acetic acid(以下、「化合物D」という。)の合成経路は下記式10に示される。
【化10】
JP2015086213A_000011t.gif

【0044】
化合物Cを使用するコンプレキサン型化合物-オクトレオチド複合体の合成経路は下記式11に表される。
【化11】
JP2015086213A_000012t.gif

【0045】
化合物A、B又はDを使用するコンプレキサン型化合物-オクトレオチド複合体の合成は、前記式11と同様の方法で合成できる。

【0046】
前記化合物Cと放射性金属111Inとの金属錯体化合物111In-C-DOTA-TOCの合成経路は、下記式12によって表される。
【化12】
JP2015086213A_000013t.gif

【0047】
化合物A、B又はDを使用するコンプレキサン型化合物-オクトレオチド複合体の放射性金属錯体化合物の合成は、前記式12と同様の方法で合成できるが、これに限定されない。

【0048】
111In以外の51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、47Sc、88Y、86Y、90Y、97Ru、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、117mSn、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、165Dy、166Dy、166Ho、167Tm、168Yb、175Yb、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi及び225Acの放射性金属についても、公知の標識方法と組み合わせることにより、同様の方法で、放射性金属錯体化合物を製造できるが、これに限定されない。

【0049】
放射性金属錯体化合物以外の前記X線不透過性金属、前記常磁性金属、及び前記蛍光性金属との金属錯体化合物の製造は、公知の方法を組み合わせることにより、同様の方法により可能であるが、これに限定されない。

【0050】
本明細書において、本発明のC-ファンクショナライズドコンプレキサンキレート剤と結合するベンジルカルボン酸誘導体のカルボキシル基の保護基として、メチル基、エチル基又はt-ブチル基などから選択されるが、これらに限定されない当業者に周知慣用の保護基を使用できる。

【0051】
また、アミノ基の保護基として、Boc基又はFmoc基などが選択されるが、これらに限定されない。ペプチド固相合成におけるアミノ酸の保護基として、当業者に周知慣用のFmoc(9-フルオレニルメチルオキシカルボニル)基又はBoc(tert-ブチルオキシカルボニル)基などのアミノ基に対する保護基が使用されるが、これらに限定されない。カルボキシル基に対しては、メチルエステル、エチルエステル又はt-ブチル基などが使用できるが、これらに限定されない。システインのチオール基は4-メチルベンジル基(Bzl(4Me))、トリチル基(Trt)、tert-ブチル基又はN-(アセチル)アミノメチル基(Acm)などで保護されるが、これらに限定されない。また、特定のアミノ酸に対して、当業者に周知慣用の保護基を本発明においても、使用できる。

【0052】
本明細書において、「コンプレキサン(complexan)型キレート剤化合物」とは、アミノポリカルボン酸の総称であり、少なくとも一つの-N(CH2-COOH)基を持ち、多くの金属と安定な錯体を作るキレート剤のことをいい、好ましくは、鎖状コンプレキサン型のキレート剤であるDTPA無水物、benzyl-EDTA、benzyl-DTPA、及び環状コンプレキサン型のキレート剤であるDO3A、benzyl-DOTA、benzyl-NOTAなどが使用されるが、これらに限定されない。

【0053】
C-ファンクショナライズド(C-functionalized)とは、キレート剤の骨格炭素から抗体やペプチドとの結合部位を導入した化合物であり、キレート構造に影響を及ぼすことなくペプチドや抗体等の標的分子認識素子との結合が可能となる。

【0054】
本明細書において、「C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型置換基」とは、前記コンプレキサン型配位子の骨格C原子に他の置換基が結合する置換基をいう。

【0055】
本明細書において、「C-コンプレキサン型配位子の略号」の表記は、該略号で記載されたコンプレキサン型配位子の「C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型置換基」であることを表す。

【0056】
本明細書において、「キレート基」とは、キレート剤において、金属と錯体を形成する置換基をいう。

【0057】
本明細書において、「キレート剤」とは、2個以上の配位原子をもつ配位子(多座配位子)が環を形成して中心金属に結合した錯体を形成する化合物のことをいい、本発明において、キレート剤はコンプレキサン型配位子が好ましい。

【0058】
本明細書において「二官能性キレート剤」とは、金属に配位するための官能基を有し、金属と金属錯体を形成し、さらに、該金属錯体に標的分子認識素子が結合したキレート剤、又は金属に配位するための官能基を有し金属と金属錯体を形成し、さらに、標的分子認識素子を連結するためのスペーサー基を結合したキレート剤をいい、金属への配位と標的分子認識素子への結合との2つの反応を相互に阻害することなく、簡便に行うことができるキレート剤をいう。

【0059】
本明細書において、「標的分子認識素子」とは、生体内において、標的分子に結合する等の標的分子を認識可能な分子、置換基、官能基又は原子団であり、好ましくは、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、サイトカイン、ホルモン、核酸若しくはアダプタマーから選択される生体高分子化合物、該生体高分子化合物の断片、又はこれらの生体高分子化合物若しくはその断片などの誘導体をいう。これらの標的分子認識素子にペプチドなどのスペーサーを結合した誘導体も含まれる。

【0060】
本明細書において、アミノ酸配列の記載は一般的に使用される3文字表記又は1文字表記で表される。アミノ酸のL体又はD体の区別については、特に「L-」又は「D-」のいずれかのアミノ酸であることを記載しない場合、又は大文字で一文字表記する場合は、L体のアミノ酸を表す。また、一文字表記を小文字で表記する場合は、D体を表す。すなわち、Phe及びFはL-フェニルアラニンを、fはD-フェニルアラニンを、Cys及びCはL-システインを、Tyr及びYはL-チロシンを、D-Trp及びwはD-トリプトファンを、Lys及びKはL-リジンを、Thr及びTはL-スレオニンを表す。

【0061】
本明細書において、L-シトシンをAcm基で保護した誘導体をC(Acm)と、L-チロシンをtBu基で保護した誘導体をY(tBu)と、L-リジンをBoc基で保護した誘導体をK(Boc)と、L-スレオニンをtBu基で保護した誘導体をT(tBu)と表す。

【0062】
また、本明細書において、スレオニンの還元型誘導体であるスレオニノールは、Thr-ol又はTolと表し、スレオニノールをt-Bu基で保護した誘導体は、T(tBu)olと表す。

【0063】
本明細書において、「スペーサー基」とは、標的分子認識素子と、C-ファンクショナライズド・コンプレキサン型配位子のベンジルカルボン酸誘導体とを連結するための連結基である。

【0064】
本明細書のC-ファンクショナライズド配位子、又は保護C-ファンクショナライズド配位子と標的分子認識素子等とを連結する反応は以下の方法が用いられる。

【0065】
1で示したキレート部分のカルボン酸をtert-butyl基等の保護基で保護し、R2をカルボン酸の状態で、標的分子認識素子や標識薬剤のアミンと縮合又はペプチド固相合成において樹脂上のペプチドN末端に結合することで保護基が付いた本キレート剤を導入し、最終的に保護基を脱保護することでキレート-標的分子認識素子複合体を得る。

【0066】
本明細書において、「金属」とは、「金属原子」、「金属イオン」、「金属窒化物」、「金属酸化物」、「金属窒化酸化物」、これらの塩又は水和物などの、特に特定しない場合は、金属元素を含み、該金属元素が中心金属として錯体を形成する限り該金属のいずれの化学形であってもよい。

【0067】
本明細書において、前記金属は、放射性金属、放射線不透過性金属、常磁性金属及び蛍光性金属からなる群から選択される1以上の金属の場合がある。

【0068】
本明細書において、前記放射性金属が、51Cr、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、47Sc、88Y、86Y、90Y、97Ru、99mTc、103Ru、105Rh、109Pd、111In、117mSn、141Ce、140La、149Pm、153Sm、161Tb、165Dy、166Dy、166Ho、167Tm、168Yb、175Yb、177Lu、186Re、188Re、198Au、199Au、203Pb、211Bi、212Bi、213Bi、214Bi及び225Ac、並びにその酸化物又は窒化物からなる群から選択される1以上の金属の場合がある。

【0069】
本発明において、「医薬組成物」とは、本発明のオクトレオチドなどの標的分子認識素子と複合体を形成した二官能性キレート剤、若しくは該二官能性キレート剤を含む錯体金属化合物、又は製薬的に許容可能な塩若しくは溶媒和物と製薬的に許容可能な添加剤とを含有する組成物であり、疾患の診断、治療及び/又は予防を目的として使用されるが、これらに限定されない。

【0070】
本発明において、「膵臓疾患」は、インスリン産生膵島細胞腫、急性膵炎、慢性膵炎、小児糖尿病、糖尿病、自己免疫性膵炎、膵臓癌、膵島腫瘍、膵嚢胞、膵臓損傷が挙げられるが、これらに限定されない。

【0071】
本発明の医薬組成物は、前記二官能性キレート剤、その溶媒和物又は塩を金属担体として含有する場合がある。

【0072】
本発明の医薬組成物は、金属をキレートするための1種以上の担体化合物、その溶媒和物又は塩を含有する場合がある。

【0073】
本発明の医薬組成物において、1種以上の二官能性キレート剤、その溶媒和物又は塩が、臓器、器官及び/又は病変の検出剤として使用される場合がある。

【0074】
本発明の前記金属錯体化合物を含有する医薬組成物は、これらに限定されないが、GMP(Good Manufacturing Practice)基準に適合した製造所で製造され、医療機関へ供給されてもよく、又は本発明の前記担体化合物をGMP基準に適合した製造所で製造し、医療機関へ供給後、医療機関で該担体化合物と金属とを混合することにより金属錯体化合物を含有する医薬組成物を製造してもよい。

【0075】
本発明は、二官能性キレート剤、その溶媒和物又は塩を被験体に投与するステップを含む、検出方法、診断方法及び又は治療方法を提供する。前記被験体は特に限定されないが、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。

【0076】
本発明の医薬組成物は、前記二官能性キレート剤に、さらに1種類又は2種類以上の薬学的に許容可能な添加物を加えることにより製造できる。前記添加物は、希釈剤と、担体溶媒と、緩衝剤と、防腐剤と、安定化剤と、吸着剤と、当業者に知られたその他の医薬品添加剤とを含むが、これらに限定されない。

【0077】
例えば、処方例として、本発明の診断用注射剤を調整する場合、
組成物A:有効成分として、本発明のオクトレオチドの二官能性キレート剤3.2mgと、pH調整剤でpHを調製した混合物の凍結乾燥品、
組成物B:有効成分:塩化インジウム(111In):185MBq(検定日時)、及び、添加物:pH調整剤(塩酸):適量を含有する放射性医薬品基準塩化インジウム(111In)溶液(容量:0.5mL)を調製し、用時に前記組成物A及びBを混合することにより、診断用注射液を製造できるが、これに限定されない。

【0078】
また、本発明の治療用注射剤を調整する場合、前記組成物Aと下記組成物Cとを用時混合することにより製造できるが、これに限定されない。
組成物C:有効成分:塩化イットリウム(90Y):1850MBq(検定日時)、及び、添加物:pH調整剤(塩酸):適量を含有する放射性医薬品基準塩化イットリウム(90Y)溶液(容量1mL)

【0079】
本発明の医薬組成物の使用において、診断を目的とした67/68Ga又は111Inを放射性金属とする金属錯体を有効成分とする場合、投与量は100ないし300MBqが投与され、治療を目的とした90Y又は177Luの使用においては、投与量として10ないし100MBq/kgが使用される。

【0080】
本発明において、前記二官能性キレート剤の金属が前記放射性金属の場合には、該二官能性キレート剤を含有する医薬組成物を生体内へ投与後、ガンマ線検出装置、シンチレーションカメラ、シンチレーションスキャナー、SPECT(シングルフォトンコンピュータ断層法)装置、SPECT/CT装置、PET(ポジトロンコンピュータ断層法)装置、PET/CT装置などにより金属錯体化合物の生体内分布や集積部位を測定、検出又は診断できる。

【0081】
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
【実施例】
【0082】
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
【実施例】
【0083】
以下の実験は、千葉大学の動物倫理委員会によって承認された後に実施された。
【実施例】
【0084】
下記実施例で置換基及び化合物、有機溶媒について、下記の略号を使用した。
Acm:N-(アセチル)アミノメチル基
bn:ベンジル基
Boc:tert-ブトキシカルボニル基
(Boc)2O:二炭酸ジ-tert-ブチル
BSA:ウシ血清アルブミン
DCC:N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
DIC:N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド
DIEA:N,N-ジイソプロピルエチルアミン
DOTA:1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸
DPPF:1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン
D-PBS:ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液
Et3N:トリエチルアミン
Fmoc:フルオレニルメトキシカルボニル基
HATU:O-(7-アザ-1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸
HOBt:1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
MilliQ:超純水
NMM:N-メチルモルホリン
TFA:トリフルオロ酢酸
THF:テトラヒドロフラン
TOC:[Tyr3]-オクトレオチド
t-Bu:tert-ブチル基
酢酸パラジウム(II):Pd(OAc)2
【実施例1】
【0085】
二官能性キレート剤:化合物C(DOTA-Bn-COOH)のt-Bu保護誘導体の合成
(S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-
tetraacetic acid(以下、「化合物C」という。)の合成経路を下記式13に示す。
【化13】
JP2015086213A_000014t.gif
【実施例1】
【0086】
化合物(1):N-(tert-Butyloxycarbonyl)-L-p-iodophenylalanineの
t-Bu保護誘導体の合成
L-p-ヨードフェニルアラニン(1.81g, 6.22mmol)を1N水酸化ナトリム水溶液:アセトニトリル(5:2)の混液35mLに溶解し、氷冷下、(Boc)2O (2.03g, 9.31mmol)のアセトニトリル溶液15mLを滴下した後、室温で10時間撹拌した。反応液からアセトニトリルを減圧留去し、得られた水溶液をヘキサン(30mL×3)で洗浄した後、10%クエン酸水溶液30mLで酸性溶液とし、酢酸エチル(30mL×3)で反応生成物を抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去し得られた結晶をヘキサンで洗浄し減圧乾燥することで
N-(tert-Butyloxycarbonyl)-L-p-iodophenylalanine(以下、「化合物(1)」という。)(2.21g, 5.65mmol, 90.8%)を白色結晶として得た。
1H NMR (CDCl3): δ1.29 (3H, s, Boc), 1.41 (6H, s, Boc), 2.97-3.03, 3.10-3.15 (2H, m, CH2), 4.56-4.58, 4.90-4.92 (1H, dd, CH), 4.34-4.36, 6.49-6.51 (1H, d, NH), 6.91-6.93 (2H, d, aromatic), 7.61-7.63 (2H, d, aromatic).
【実施例1】
【0087】
化合物(3):N-(tert-Butyloxycarbonyl)-(S)-2-(p-iodobenzyl)-3-oxo-7-
trifluoroacetyldiethylenetriamineの合成
化合物(1) (7.97g, 20.4mmol)をTHF 40mLに溶解し、-15°Cに冷却後、アルゴン雰囲気下、NMM (3.36mL、30.5mmol)及びクロロぎ酸イソブチル(4.01mL, 30.5mmol)を順に加えた。5分間撹拌した後、化合物(2)(2-(trifluoroacetamido)ethylamine) (5.87g, 30.5mmol)とNMM (3.36mL, 30.5mmol)のDMF溶液24mLを滴下し、冷却下で30分、室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、残渣を酢酸エチル100mL及び5%炭酸水素ナトリウム水溶液100mLにて溶解し、5%炭酸水素ナトリム水溶液(50mL×3)、5%クエン酸水溶液(50mL×3)で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を除去して得られた結晶を減圧乾燥することでN-(tert-butyloxycarbonyl)-(S)-2-(p-iodobenzyl)-3-oxo-7-
trifluoroacetyldiethylenetriamine(以下、「化合物(3)」という。)(10.6g, 20.0mmol, 98.0%)を淡黄色結晶として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 1.42 [9H, s, Boc], 2.96-3.03 [2H, m, CHCH2], 3.39-3.51 [4H, CH2CH2], 4.22-4.24 [1H, dd, NHCH], 4.85, 6.42, 7.74 [3H, t, NH], 6.93-6.95 [2H, d, CCH], 7.62-7.66 [2H, d, ICCH]. ESI-MS calcd for C18H23F3IN3O4[M+Na]+: m/z 552.07. found 552.09.
【実施例1】
【0088】
化合物(4):(S)-2-(p-iodobenzyl)-3-oxo-7-trifluoroacetyldiethylenetriamine
hydrochlorideの合成
化合物(3) (10.6g, 20.0mmol)を4N塩酸/酢酸エチル50mLに溶解し、室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、減圧乾燥することで(S)-2-(p-iodobenzyl)-3-oxo-7-
trifluoroacetyldiethylenetriamine hydrochloride(以下、「化合物(4)」という。)(8.08g, 20.0mmol, 99.8%)を淡黄色結晶として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 3.42-3.55 [6H, overlapped, CH2], 3.86-3.88 [1H, dd, CH2CH], 7.04-7.06 [2H, d, CCH], 7.62-7.64 [2H, d, ICCH]. ESI-MS calcd for C13H15F3IN3O2[M+Na]+: m/z 452.02. found 452.03.
【実施例1】
【0089】
化合物(6):3-(tert-Butyloxycarbonyl)-5,8-dioxo-(S)-7-(p-iodobenzyl)-12-
trifluoroacetyl-3,6,9,12-tetraazadodecanoic acidの合成
化合物(5)(N-Boc-iminodiacetic acid) (4.45g, 19.1mmol)をTHF 70mLに溶解し、溶液を氷冷した後、アルゴン雰囲気下でDCC (4.30g, 20.8mmol)のTHF溶液20mLを滴下した。滴下完了後、室温で1時間撹拌し、反応液をろ過することでDCC-ureaを除去し、ろ液を化合物(5)の無水物溶液として次の反応に用いた。化合物(4) (8.08g, 17.4mmol)を酢酸エチル80mLに懸濁し、Et3N (3.63mL, 26.0mmol)を加えて冷却、10分間撹拌した後、アルゴン雰囲気下、先に調製した化合物(5)の無水物溶液を滴下した。滴下完了後、室温にて1時間撹拌し、反応液を5%クエン酸水溶液(50mL×3)で洗浄した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を酢酸エチルを溶出溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことで3-(tert-butyloxycarbonyl)-
5,8-dioxo-(S)-7-(p-iodobenzyl)-12-trifluoroacetyl-3,6,9,12-tetraazadodecanoic
acid(以下、「化合物(6)」という。)(10.2g, 15.8mmol, 91.2%)を淡黄色結晶として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 1.37 [9H, s, Boc], 3.00-3.19 [2H, m, CHCH2], 3.42-3.52 [5H, overlapped, NCH2, NHCH2], 3.77-4.03 [2H, m, COCH2], 4.11-4.16 [1H, dd, NCH2], 4.60-4.62 [1H, t, CH2CH], 6.96-7.01 [2H, d, CCH], 7.58-7.60 [2H, d, ICCH].
【実施例1】
【0090】
化合物(7):1-(tert-Butyloxycarbonyl)-(S)-5-(p-iodobenzyl)-3,6,11-trioxo-
1,4,7,10-tetraazacyclododecaneの合成
化合物(6) (3.52g, 5.46mmol)を25%アンモニア水50mLに溶解し、室温で3時間撹拌した。溶媒を減圧留去後、減圧乾燥して得られた油状物をDMF 90mLに溶解したものをA液とした。HATU (3.12g, 8.21mmol)をDMF 90mLに溶解したものをB液とした。DMF 1600mLにDIEA (3.81mL, 21.9mmol)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(1.12g, 8.22mmol)を溶解し、A液及びB液をシリンジポンプを用いて1.2mL/時間にて低速同時滴下し、滴下終了後24時間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた残渣を酢酸エチル及びヘキサンで洗浄することで1-(tert-butyloxycarbonyl)-(S)-5-(p-iodobenzyl)-3,6,11-trioxo-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane(以下、「化合物(7)」という。)(1.57g, 2.96mmol, 54.2%)を白色結晶として得た。
【実施例1】
【0091】
化合物(8):(S)-5-(p-Iodobenzyl)-3,6,11-trioxo-1,4,7,10-tetraazacyclododecane
hydrochlorideの合成
化合物(7) (1.57g, 2.96mmol)を4N塩酸/酢酸エチル40mLに懸濁し、室温にて4時間撹拌した。溶媒を減圧留去して得られた結晶をヘキサンで洗浄し、減圧乾燥することで(S)-5-
(p-iodobenzyl)-3,6,11-trioxo-1,4,7,10-tetraazacyclododecane hydrochloride(以下、「化合物(8)」という。)(1.36g, 2.92mmol, 98.4%)を白色結晶として得た。
【実施例1】
【0092】
化合物(9):(S)-2-(p-Iodobenzyl)-1,4,7,10-tetraazacyclododecaneの合成
化合物(8) (1.36g, 2.91mmol)をTHF 5mLに懸濁し、溶液を氷冷した後、アルゴン雰囲気下、0.95Mのボラン-THF錯体/THF溶液50mLを緩徐に加え、1時間攪拌した後、24時間還流した。溶液を氷冷し、メタノール50mLを加えた後、1時間攪拌し、溶媒を減圧留去した。その後、残渣に再度メタノール50mLを加え、溶媒を減圧留去した。残渣に濃塩酸50mLを加え、24時間温で撹拌した後、1時間還流した。溶液を氷冷し、12.5N水酸化ナトリウム水溶液を加えて塩基性とした後、クロロホルム(50mL×3)で反応生成物を抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をクロロホルム:メタノール:25%アンモニア水(20:4:1)を溶出溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことで(S)-2-(p-iodobenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane(以下、「化合物(9)」という。)(0.67g, 1.73mmol, 59.5%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 2.60-2.68 [16H, overlapped, CH2], 3.47 [1H, s, CH2], 6.93-6.95 [2H, d, CCH], 7.60-7.62 [2H, d, ICCH]. ESI-MS calcd for C15H25IN4[M+H]+: m/z 389.11. found 389.19.
【実施例1】
【0093】
化合物(10):Tetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-iodobenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-tetraacetateの合成
化合物(9) (674mg, 1.73mmol)をアセトニトリル10mLとDMF 2mLの混液に溶解し、さらに炭酸カリウム(1.08g, 7.81mmol)を加えて懸濁させた。溶液を氷冷し、アルゴン雰囲気下、ブロモ酢酸tert‐ブチル(1.15mL, 7.81mmol)を滴下した。滴下完了後24時間の還流を行い、懸濁液をろ過した後、ろ液から溶媒を減圧留去し、残渣に飽和食塩水を加え、クロロホルム(20mL×3)で反応生成物を抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣をクロロホルム:メタノール:25%アンモニア水(15:1:0.1)を溶出溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことでtetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-iodobenzyl)-1,4,7,10-tetraazacyclododecane-
N,N',N'',N'''-tetraacetate(以下、「化合物(10)」という。)(699mg, 0.827mmol, 47.7%)を褐色結晶として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 1.47 [36H, s, tBu], 2.47-3.49 [25H, overlapped, DOTA], 6.96-7.03 [1H, d, CCH], 7.11-7.13 [1H, d, CCH], 7.58-7.60 [1H, d, ICCH], 7.64-7.66 [1H, d, ICCH]. ESI-MS calcd for C39H65IN4O8[M+Na]+: m/z 867.38. found 867.33.
【実施例1】
【0094】
化合物(11):Tetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-ethoxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-tetraacetateの合成
化合物(10) (553mg, 0.654mmol)をDMF 5mLに懸濁し、酢酸パラジウム(II) (14.7mg, 0.0655mmol)、DPPF (54.4mg, 0.0981mmol)、Et3N (273μL, 1.96mmol)、エタノール(764μL, 13.1mmol)を加え、一酸化炭素雰囲気下、24時間還流した。反応後、溶液にメタノール30mL加え、セライトを用いてろ過し、ろ液から溶媒を減圧留去して得られた残渣をクロロホルム:メタノール(30:1)を溶出溶媒とするフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製を行うことでtetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-ethoxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-tetraacetate(以下、「化合物(11)」という。)(214mg, 0.271mmol, 41.4%)を褐色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 1.28-1.37 [39H, overlapped, tBu,CH2CH], 1.43-2.73 [25H, overlapped, DOTA], 4.28-4.30 [2H, q, CH3CH], 7.19-7.26 [2H, d, CCH], 7.88-7.90 [2H, d, COCCH]. ESI-MS calcd for C42H70N4O10[M+Na]+: m/z 813.51. found 813.54.
【実施例1】
【0095】
化合物(12):Tetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-tetraacetateの合成
化合物(11) (114mg, 0.144mmol)をアセトン5mLに溶解した後、1N水酸化ナトリウム20mLを加えて室温で3時間撹拌した。反応溶液からアセトンを減圧留去し、5%クエン酸水溶液を加えて酸性溶液としたのち、酢酸エチル(10mL×3)で反応生成物を抽出した。有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥した後、溶媒を減圧留去して得られた残渣を減圧乾燥することでtetrakis (tert-butyl) (S)-2-(p-hydroxycarbonylbenzyl)-1,4,7,10-
tetraazacyclododecane-N,N',N'',N'''-tetraacetate(以下、「化合物(12)」という。)(77.0mg, 0.101mmol, 69.9%)を黄色油状物として得た。
1H NMR (CDCl3) : δ 1.33-1.43 [36H, m, tBu], 2.07-3.41 [25H, overlapped, DOTA], 7.11-7.17 [2H, d, CCH], 7.96-8.03 [2H, d, COCCH]. ESI-MS calcd for C40H66N4O10[M+Na]+: m/z 785.48. found 785.54.
【実施例2】
【0096】
固相合成法を用いたDOTA-Bn-COOH結合オクトレオチドの合成
上記実施例1で得た化合物(12)を使用し、Fmoc法で各アミノ酸をAcm基、t-ブチル基、Boc基で保護したオクトレオチドを伸張したレジンと固相合成し、化合物(12)と保護基結合オクトレオチドとを結合した後、配位子であるカルボキシル基及びオクトレオチドを保護していた保護基を脱保護し、その後、レジンより切断することによりC-ファンクショナライズドDOTAのベンジル基のp-位のカルボキシル基を介したオクトレオチドに対するコンプレキサン型配位子結合オクトレオチド誘導体を合成した。合成経路を下記式14に示した。詳細な合成方法を以下に記載する。なお、上記合成において、レジンは渡辺化学工業製、カタログ番号M01409を使用した。
【化14】
JP2015086213A_000015t.gif
【実施例2】
【0097】
化合物(14)の合成
反応(j)
Fmoc固相合成法を用いて樹脂上にてペプチドを伸長した化合物FC(Acm)Y(tBu)w(Boc)K(Boc)T(tBu)C(Acm)T(tBu)ol-レジン(「化合物(13)」)(9.75μmol)に対して、HOBt (2.39mg, 15.6μmol)、化合物(12) (11.2mg, 14.7μmol)のDMF溶液500μL及びDIC (2.4μL, 15.6μmol)を加えて12時間緩やかに撹拌した。反応終了後DMF及び塩化メチレンを用いて樹脂(化合物(14))を洗浄した。
【実施例2】
【0098】
化合物(15)の合成
反応(k)
得られた樹脂(化合物(14))に2.5%トリイソプロピルシラン/2.5%水/トリフルオロ酢酸溶液2mLを加え、2時間緩やかに撹拌した。反応終了後、ろ過にて樹脂を除去し、ろ液を減圧留去することで白色結晶を得た。さらに逆相HPLCにて分取精製することで目的とするC-DOTA結合Acm保護オクトレオチド(以下、「化合物(15)」という。)(14.0mg, 8.24μmol, 84.2%)を得た。
ESI-MS calcd for C79H110N16O22S2[M+2H]+: m/2z 850.37. found 850.34.
【実施例2】
【0099】
化合物(16)の合成
反応(l)
化合物(15) (0.1mg, 58.9nmol)を80%酢酸水溶液100μLに溶解した後、20%ヨウ素の酢酸溶液2μLを加え、室温で5分撹拌した。1Mアスコルビン酸水溶液10μLを加えて反応を停止させた後、逆相HPLCにて精製し、C-DOTA-TOC(以下、「化合物(16)」という。)を得た。なお、得られた化合物(16)の溶液はそのまま標識に用いた。
ESI-MS calcd for C73H98N14O20S2[M+2H]+: m/2z 778.33. found 778.28.
【実施例3】
【0100】
111In-C-DOTA-TOCの合成(C-DOTA-TOCの標識)
方法
111InCl3溶液30μLに1M酢酸緩衝液30μLを加えて室温で5分間静置し、111In-酢酸錯体を調製した。得られた111In-酢酸溶液50μLを、前記化合物(16)の溶液20μLに加えて100°Cにて30分間加温した。その後HPLCにてImtakt Unison 5CD-C18 150×4.6 mmを用い移動相にはA相に0.1%TFA/MilliQ、B相に0.1%TFA/アセトニトリルを使用した。10分までA相100%、B相0%をたもち、10-20分でA相100%、B相0%からA相75%、B相25%まで変化させ、20-40分でA相75%、B相25%からA相70%、B相30%まで変化させる直線グラジエント法により流速1mL/分で精製し、過剰の非標識配位子を除去した。さらにNAP-5カラムを用いて溶媒をD-PBSに置換してその後の分析及び評価に用いた。また、HPLCにてImtakt Unison 5CD-C18 150×4.6 mmを用い移動相にはA相に0.1%TFA/MilliQ、B相に0.1%TFA/アセトニトリルを使用し0-40分でA相90%、B相10%からA相60%、B相40%まで変化させる直線グラジエント法により流速1mL/分で分析した。
【実施例3】
【0101】
111In-DOTA-TOCの合成(DOTA-TOCの標識)
DOTAの4つのカルボキシル基の中の1つに、オクトレオチドを連結し、111Inで放射性標識した111In-DOTA-TOCを、Mukaiらの方法(Journal of Pharmacy and Pharmacology; 54, 1073-1081 (2002))によって合成し、対照化合物として使用した。
【実施例3】
【0102】
結果
図1は、111In-C-DOTA-TOC及び111In-DOTA-TOCのラジオ液体クロマトグラフィーでのクロマトグラムを表す。111In-C-DOTA-TOC及び111In-DOTA-TOCは、各々単一のピークを示した。111In-C-DOTA-TOCの比放射能は27.9mCi/ペプチド1μg、放射化学的純度は、95%以上、111In-DOTA-TOCの比放射能は30.2mCi/1ペプチド1μg、放射化学的純度は、95%以上であった。
【実施例4】
【0103】
安定性試験
方法
0.2mMアポ-トランスフェリン溶液を200mM炭酸水素ナトリウム緩衝液(pH 7.4)に溶解した溶液と、先に調製した111In-C-DOTA-TOC溶液とを1:1で混合し、37°Cにてインキュベートした。3時間、6時間後にメタノール:10%酢酸ナトリウム=3:7を展開溶媒とするTLCにより分析し、未変化体の割合を算出した。対照化合物として同様の方法にて調製した111In-DOTA-TOCを用いた。統計学的検定は、t-検定を使用した。
【実施例4】
【0104】
結果
結果を表1に表す。
【表1】
JP2015086213A_000016t.gif
【実施例4】
【0105】
111In-C-DOTA-TOCの3時間及び6時間後の未変化体の割合は、約97%及び約96%であった。また、111In-DOTA-TOCの3時間及び6時間後の未変化体の割合は、約96%及び約93%であり、111In-C-DOTA-TOCは、両時点共に統計学的に有意な高値を示した。本結果により、対照標識化合物である111In-DOTA-TOCと比較して、111In-C-DOTA-TOCの方がより安定な金属錯体化合物であることが示された。
【実施例5】
【0106】
マウスでの薬物動態試験
方法
111In-C-DOTA-TOC溶液をD-PBSにて希釈し、0.3μCi/100μLに調製した。6週齢のddY系雄性マウス尾静脈より、0.3μCi/100μL/匹を投与した。投与10分、3時間、6時間、24時間後に各群5匹のマウスを安楽死させ、関心臓器を採取、重量を測定後にオートウェルガンマシステムにより放射活性を測定し、単位重量当たりの放射活性を求めた。また、24時間後までの糞尿を採取し、放射活性を測定した。対照化合物として同様の方法にて調製した111In-DOTA-TOCを用いた。統計学的検定は、t-検定を使用した。
【実施例5】
【0107】
結果
結果を表2に示す。各数値は%ID/gを表す。ただし、胃、腸、糞及び尿の値は%IDを表す。
【表2】
JP2015086213A_000017t.gif
【実施例5】
【0108】
111In-DOTA-TOCと比較して、111In-C-DOTA-TOCは、多くの臓器で統計学的に有意に高値の分布を示し、特に膵臓、胃、腸で高値であり、膵臓では顕著に高値な集積を示した。
【実施例5】
【0109】
本発明の化合物、及び放射性金属111Inの代わりに90Yなどのβ線放出核種を使用することにより、これらの放射性金属錯体化合物が膵臓疾患での診断薬及び/又は治療薬として用いることができることを示すものである。また、111In-DOTA-TOCと比較して、本発明の111In-C-DOTA-TOCはより高率で消化器系臓器に集積し、特に、膵臓において顕著であった。したがって、本発明の化合物を利用した治療薬は、膵臓疾患又は消化管神経内分泌腫瘍に対する診断及び抗腫瘍効果を期待できる。
【実施例5】
【0110】
111In-C-DOTA-TOCの錯体、放射性金属及び/又はオクトレオタイドは、目的に応じて、変更可能である。前記錯体は、DOTAの代わりに、他の錯体(例えば、EDTA、DTPA、シクロヘキシル-DTPA、NOTA等)を用いることができる。また、前記放射性金属は、111Inの代わりに、他の放射性金属を用いることができる。また、前記放射性金属の代わりに、常磁性金属を用いることもできる。前記オクトレオタイドのアミノ酸は、持続性を向上するためにL体からD体に置換でき、例えば、N末端のL-フェニルアラニンをD-フェニルアラニンに変換できる。
【実施例6】
【0111】
阻害試験
方法
111In-C-DOTA-TOC溶液をD-PBS及び1%BSA/D-PBSを用いて希釈し、0.3μCi/0.1%BSA/D-PBS 100μLに調製後、6週齢のddY系雄性マウスの尾静脈より、0.3μCi/100μL/匹を投与し、非阻害群とした。111In-C-DOTA-TOC溶液及び[Tyr3]-オクトレオチド(TOC)溶液(投与時最終濃度100μg/100μL)をD-PBS及び1%BSA/D-PBSを用いて希釈し、0.3μCi/0.1%BSA/100μgTOC/D-PBS 100μL に調製後、6週齢のddY系雄性マウスの尾静脈より、100μL/匹を投与し、阻害群とした。投与後10分、3時間に動物を安楽死させ、関心臓器を採取し、その重量を測定した後にオートウェルガンマシステムにより放射活性を測定した(各群n=5)。統計学的検定は、t-検定を使用した。
【実施例6】
【0112】
結果
結果を表3に示す。各数値は%ID/gを表す。ただし、胃及び腸の値は%IDを表す。
【表3】
JP2015086213A_000018t.gif
【実施例6】
【0113】
非阻害群と比較して、阻害群では、投与10分、3時間後の膵臓、胃及び腸などの多くの臓器への集積に、統計学的な有意差が認められた。本結果より、111In-C-DOTA-TOCの結合部位は、111In-DOTA-TOCと同一であること、即ち、主にソマトスタチン受容体であることが示された。
【実施例6】
【0114】
ソマトスタチン受容体(SSTR)について、消化器系臓器や膵臓ではSSTRが発現していること知られている。したがって、本発明の化合物は、TOCによって集積を阻害されることから、本発明の化合物は、SSTRを介して膵臓に特異的に集積したと考えられる。よって、本発明の化合物を利用した薬物担体、診断薬及び/又は治療薬は、膵臓に特異的な医薬組成物として有用である。特に、本発明の化合物は、膵島β-cell massの測定に有用である。
図面
【図1】
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