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明細書 :新規な複合粒子含有の機能性金属有機骨格材料

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-156434 (P2014-156434A)
公開日 平成26年8月28日(2014.8.28)
発明の名称または考案の名称 新規な複合粒子含有の機能性金属有機骨格材料
国際特許分類 C07D 233/58        (2006.01)
C07F  15/06        (2006.01)
B01J  20/22        (2006.01)
B01J  20/30        (2006.01)
C01G   9/02        (2006.01)
C07F   3/06        (2006.01)
FI C07D 233/58
C07F 15/06
B01J 20/22 A
B01J 20/22 C
B01J 20/30
C01G 9/02 Z
C07F 3/06
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 18
出願番号 特願2013-028625 (P2013-028625)
出願日 平成25年2月18日(2013.2.18)
公序良俗違反の表示 1.テフロン
発明者または考案者 【氏名】田中 俊輔
【氏名】来田 康司
【氏名】三宅 義和
出願人 【識別番号】399030060
【氏名又は名称】学校法人 関西大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100068526、【弁理士】、【氏名又は名称】田村 恭生
【識別番号】100100158、【弁理士】、【氏名又は名称】鮫島 睦
【識別番号】100126778、【弁理士】、【氏名又は名称】品川 永敏
【識別番号】100150500、【弁理士】、【氏名又は名称】森本 靖
審査請求 未請求
テーマコード 4G047
4G066
4H048
4H050
Fターム 4G047AA03
4G047AB04
4G047AC03
4G047AD04
4G066AA18B
4G066AB12B
4G066AB24B
4G066BA09
4G066BA31
4G066BA36
4G066CA01
4G066CA04
4G066CA27
4G066DA01
4G066DA07
4G066FA02
4G066FA21
4G066FA37
4H048AA01
4H048AA03
4H048AB80
4H050AA01
4H050AA03
4H050AB80
4H050WB14
4H050WB23
要約 【課題】本発明は、溶媒および塩などを必要とせず、大量スケールで簡便に、ゼオライト様イミダゾレート骨格材料を得ることを目的とする。本発明はまた、ゼオライト様イミダゾレート構造体を含有する新規な複合粒子を含む複合体、並びにその製造方法および機能性材料としてのその使用方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、複合粒子の中心部に金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子の外殻部にゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子を含有する複合粒子を含む複合体であって、該金属酸化物粒子および該ゼオライト様イミダゾレート構造体中の金属が亜鉛およびコバルトからなる群から選ばれる金属であって、該イミダゾレート配位子は置換基を有していてもよいイミダゾールまたはその誘導体由来のイミダゾレート配位子である、該複合体に関する。本発明は更に、該複合体の製造方法および機能性材料としてのその使用方法に関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
複合粒子の中心部に金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子の外殻部にゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子を含有する複合粒子を含む複合体であって、
該金属酸化物粒子および該ゼオライト様イミダゾレート構造体中の金属が亜鉛およびコバルトからなる群から選ばれる金属であって、
該イミダゾレート配位子は置換基を有していてもよいイミダゾールまたはその誘導体由来のイミダゾレート配位子であって、ここで、該置換基は、C1~6アルキル基、ハロゲン基及びニトロ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基であるか、またはイミダゾレート配位子上の4および5位の隣接する置換基が一緒になって、置換基を有していてもよい縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環もしくは芳香族ヘテロ環を形成していてもよい、該複合体。
【請求項2】
該金属が亜鉛であって、該ゼオライト様イミダゾレート構造体がZIF-8である、請求項1記載の該複合体。
【請求項3】
該複合粒子中の金属酸化物粒子の存在比と、ゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子の総計との存在比がモル比で9:1~2:8である、請求項1または2のいずれか記載の該複合体。
【請求項4】
該複合体が、複合粒子および金属酸化物粒子からなる複合体である、請求項1乃至3のいずれか1項記載の該複合体。
【請求項5】
以下の工程を含む、請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合体の製造方法;
1)金属酸化物とイミダゾールまたはその誘導体とをモル比が1:0.1~1:5.0の割合で配合、混合する工程;および
2)i)該反応混合物を粉砕混合する工程;または、
ii)該反応混合物を加熱静置する工程。
【請求項6】
該金属酸化物が酸化亜鉛であり、そして該イミダゾールまたはその誘導体が2-メチルイミダゾールである、請求項5記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合体を含有する、吸着剤。
【請求項8】
気体、染料、または有機溶剤に対する、請求項7記載の吸着剤。
【請求項9】
ガス貯蔵、ガス分離、ガスセンサーデバイス、または不均一反応触媒のための、請求項1乃至4のいずれか1項記載の複合体の使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性金属有機骨格材料、特に新規な複合粒子を含む複合体の機能性金属有機骨格材料に関する。具体的には、金属酸化物粒子およびゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子を含有する新規な複合粒子を含む複合体、並びにその製造方法および機能性材料としてのその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、機能性材料として多層(例えば、コア・シェル型)構造の複合体粒子が注目されている。かかる多層構造の複合体粒子は、例えばその中心部と外殻部とが異なる構造体を有することにより、中心部または外殻部のいずれかの構造体が単独で元来奏する機能を向上させたり、あるいはその両方の構造体が元来奏する複数の機能を同時複合的に発揮させるなどの効果が期待できる。しかしながら、そのような多層構造の複合体粒子の製造は中心部と外殻部のそれぞれの構造を共に化学的に制御する必要がある。
【0003】
また、金属有機構造体(Metal-Organic Framework:MOF)を骨格とする材料は、金属イオンと有機架橋配位子の配位結合・自己集合を経て合成される結晶性の3次元ミクロポーラス材料であり、機能性材料として期待されている。MOFは、有機架橋配位子と金属イオン種の組み合わせによって、幅広い構造設計が可能であり、均一なミクロ孔(~0.4nm)および高い比表面積(~6000m/g)を有するために、例えばガス貯蔵、ガス分離、不均一触媒、およびデバイスなどの機能性材料として期待されている(特許文献1乃至3、非特許文献1参照)。
【0004】
MOFの1つとして、金属として亜鉛(Zn)またはコバルト(Co)からなり、また有機架橋配位子としてイミダゾールからなる、ゼオライト様トポロジーを有するイミダゾレート構造体(Zeolitic Imidazolate Framework:ZIF)を骨格とする材料が合成されている(非特許文献2参照)。ZIFの特性としては、ゼオライト様トポロジーを有しながら、一方でゼオライトと相違して、テンプレートフリーな自己組織化により形成されるため構造規定剤が不要であり、また、アルミニウム(Al)以外にはケイ素(Si)、酸素(O)からなる無機骨格のゼオライトと違ってイミダゾール有機配位子を有するため構造の柔軟性を有し、更にゼオライトではSi/Al比やカチオン種を変えることにより分子全体の親水性または疎水性の制御を図っているのに対し、ZIFではイミダゾール上の官能基を改変するだけで分子全体の親水性または疎水性の制御を図ることができるため、製造面および特性の面から大いに期待されている。
【0005】
ZIFの例としては、金属として亜鉛、イミダゾレート配位子として2-メチルイミダゾレート配位子からなるZIF-8が知られ(上記非特許文献2、特許文献4および5参照)、これはバソライト(Basolite)(登録商標)Z1200(シグマ-アルドリッチ社製)として市販されている。かかるZIF-8の製造方法としては、一般的なZIFの製法方法と同様に、硝酸亜鉛などの金属塩を出発原料とする、ソルボサーマル法、溶液法およびメカノケミカル法が知られている。ここで、ソルボサーマル法(非特許文献3、特許文献4および5参照)では、N,N-ジメチルホルムアミドやエタノールなどの有機溶媒の使用を必要とするため、その揮発性、可燃性、毒性による安全上の問題や環境への悪影響の問題があり、且つ高温・高圧条件をも必要とする。また、溶液法の場合には有機溶媒を用いたときには上記問題に加えて、反応速度が低いために生成物の収率が低く、水を溶媒として用いたときには(非特許文献4および5参照)イミダゾールの溶解度が極めて低いために大過剰量のイミダゾール系配位子が必要となり、加えて、反応終了後に残存する未反応のイミダゾール系配位子を洗浄除去する必要がある。また、ソルボサーマル法、溶液法では未反応の亜鉛イオンが残存し、生成物を回収する際に水で洗浄すると水酸化物などの不純物が生成してしまう。そのため、材料の細孔容積(これは、質量比容積cc/gであるため、比重が大きく、細孔を有さない材料が不純物として混入すると細孔容積が低下してしまう)が減少する問題があり、有機溶媒を用いた洗浄が必要不可欠となる。
【0006】
一方で、メカノケミカル法は溶媒を使用せずに常温・常圧で機械的に混合して製造する方法であるため、溶媒に溶けにくい試薬も用いることができ、生成物の幅広い構造設計が可能となる。また、有機溶媒を使用せず、反応工程で生成する副生成物も水のみであることから、環境や人体への悪影響が少なく、コストパフォーマンスが高いといった利点も有する。しかしながら、ZIF-8の製造について、これまでに完全なメカノケミカル法は達成されておらず、報告例(非特許文献6および7参照)によれば、反応系中に少量の有機溶媒(例えば、ジメチルホルムアミド、エタノールなど)および助剤としてのアンモニウム塩(例えば、硝酸アンモニウム、メチル硫酸アンモニウム、硫酸アンモニウム)の存在を必要とし、それら試薬なしでは金属供与源としての酸化亜鉛とイミダゾール配位子とは反応し得ないことが示唆されている。また、その製造スケールも数百ミリグラムスケールであって、より大量スケールで製造可能な方法が望まれている。
【先行技術文献】
【0007】

【特許文献1】特許第5083762号
【特許文献2】特開2005-255651号
【特許文献3】特許第4994398号
【特許文献4】特表2009-528251号
【特許文献5】特表2012-530722号
【0008】

【非特許文献1】北川進ら著、材料科学の基礎、第7号、シグマ-アルドリッチ社刊
【非特許文献2】O.M. Yaghiら著、Accounts of Chemical Research 43, 58 (2010)
【非特許文献3】O.M. Yaghiら著、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 103, 10186 (2006)
【非特許文献4】Y. Panら著、Chem. Comm. 47, 2071 (2011)
【非特許文献5】S. Tanakaら著、Chem. Lett., 41, 1337 (2012)
【非特許文献6】T. Friscicら著、Angew. Chem. Int. Ed. 49, 712 (2010)
【非特許文献7】T. Friscicら著、Chem. Sci. 3, 2495 (2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、有機溶媒などの溶媒およびアンモニウム塩などを必要とせず、また高温・高圧条件をも必要とせず、大量スケールで簡便に、ゼオライト様トポロジーを有するイミダゾレート骨格材料を得ることを目的とする。本発明はまた、ゼオライト様イミダゾレート構造体を含有する新規な複合粒子を含む複合体、並びにその製造方法および機能性材料としてのその使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで、本発明者らは上記目的を達成すべく、メカノケミカル法によるZIF-8をはじめとするZIFの簡便な製造法を鋭意研究した結果、出発原料として金属酸化物を用いて溶媒を全く用いない乾式製造法により、大量スケールで反応が進行することを見出した。本発明の乾式製造法は、ソルボサーマル法、溶液法と対比して、金属酸化物を原料とし、未反応物は金属酸化物として残るのみで、水との反応による不純物生成は起こらない利点がある。また、予想外に該製法で得られる生成物が、金属酸化物粒子およびゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)の多結晶型粒子を含有する新規な複体粒子を含む複合体であることを見出した。さらに、得られたゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)の多結晶型粒子を含有する複合粒子を含む複合体がZIF単独の単結晶粒子の場合よりも優れた機能を奏することを見出した。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0011】
[1]複合粒子の中心部に金属酸化物粒子および該金属酸化物粒子の外殻部にゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子を含有する複合粒子を含む複合体であって、
該金属酸化物粒子および該ゼオライト様イミダゾレート構造体中の金属が亜鉛およびコバルトからなる群から選ばれる金属であって、
該イミダゾレート配位子は置換基を有していてもよいイミダゾールまたはその誘導体由来のイミダゾレート配位子であって、ここで、該置換基は、C1~6アルキル基、ハロゲン基及びニトロ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基であるか、またはイミダゾレート配位子上の4および5位の隣接する置換基が一緒になって、置換基を有していてもよい縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環もしくは芳香族ヘテロ環を形成していてもよい、該複合体。
[2]該金属が亜鉛であって、該ゼオライト様イミダゾレート構造体がZIF-8である、[1]記載の該複合体。
[3]該複合粒子中の金属酸化物粒子の存在比と、ゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子の総計との存在比がモル比で9:1~2:8である、[1]または[2]のいずれか記載の該複合体。
[4]該複合体が、複合粒子および金属酸化物粒子からなる複合体である、[1]乃至[3]のいずれか1項記載の該複合体。
[5]以下の工程を含む、[1]乃至[4]のいずれか1項記載の複合体の製造方法;
1)金属酸化物とイミダゾールまたはその誘導体とをモル比が1:0.1~1:5.0の割合で配合、混合する工程;および
2)i)該反応混合物を粉砕混合する工程;または、
ii)該反応混合物を加熱静置する工程。
[6]該金属酸化物が酸化亜鉛であり、そして該イミダゾールまたはその誘導体が2-メチルイミダゾールである、[5]記載の製造方法。
[7][1]乃至[4]のいずれか1項記載の複合体を含有する、吸着剤。
[8]気体、染料、または有機溶剤に対する、[7]記載の吸着剤。
[9]ガス貯蔵、ガス分離、ガスセンサーデバイス、または不均一反応触媒のための、[1]乃至[4]のいずれか1項記載の複合体の使用。
【発明の効果】
【0012】
本発明の、複合粒子の中心部に金属酸化物粒子、および該金属酸化物粒子の外殻部にゼオライト様イミダゾレート構造体(ZIF)の多結晶型粒子を含有する複合粒子を含む複合体は、従来のZIF単独の単結晶粒子の場合と比べて優れた機能(例えば、吸着能)を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】ZIF-8の構造の模式図を示す図面である。
【図2】実施例1の洗浄前の複合体生成物の粉末X-線回折スペクトルを示す図面である。
【図3】実施例1における、酸化亜鉛、2-メチルイミダゾール、ZIF-8の回折ピーク強度の変化の比較を示す図面である。
【図4】実施例1の洗浄後の複合体生成物の粉末X-線回折スペクトルを示す図面である。
【図5】複合体生成物の熱重量(TG)分析チャートを示す図面である。
【図6】製造時間と複合体中のZIF-8存在割合の関係を示す図面である。
【図7】実施例2の複合体生成物の粉末X線回折スペクトルを示す図面である。
【図8】実施例3の複合体生成物の粉末X線回折スペクトルを示す図面である。
【図9】酸化亜鉛と2-メチルイミダゾール(Hmim)とを反応させたときの複合体生成物の走査型電子顕微鏡写真の像の経時変化を示す図面である。比較として、溶液法(水)で調製したZIF-8単結晶の電子顕微鏡写真の像をあわせて示す。
【図10】異なる粒子径(-5μm)の酸化亜鉛の反応前後の走査型電子顕微鏡写真の像を示す図面である。
【図11】異なる粒子径(-5μm)の酸化亜鉛を用いたときの生成物の粉末X線回折スペクトルを示す図面である。
【図12】酸化亜鉛と2-メチルイミダゾールとを一定時間反応時に形成する複合体の窒素ガス(N)に対する吸着能を調べたときの経時変化を示す図面である。比較として、ZIF-8単結晶の場合の測定結果をあわせて示す。
【図13】複合体のローダミンBに対する吸着能を示す紫外可視分光光度計(UV)のスペクトルを示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
(定義)
以下に、本明細書および特許請求の範囲中で使用する用語の定義を示す。特に断らなければ、本明細書中の基または用語について示す最初の定義を、個別にまたは別の基の一部として本明細書中の基または用語に適用する。

【0015】
本発明の複合体の生成メカニズムは、粉砕・凝結プロセスによる複合化と考えられる。具体的には、まず金属酸化物粒子の外表面部でイミダゾールとの反応が起こり、ZIF結晶が生成する。そして、これらZIF結晶が付着した金属酸化物の複合粒子同士が凝結し、一旦複合粒子の凝集体(集合体)が生成する。次いで、これら凝集物は粉砕されてより小さい複合粒子の凝集体になる。同時に、金属酸化物粒子の外表面部では多くの箇所でイミダゾールとの反応が進行し、金属酸化物粒子の粒子径は次第に減少し、結果金属酸化物粒子を中心(コア)に、その外殻部にZIFの結晶粒子を有する複合粒子が形成される。そして、それら複合粒子は互いに凝結して凝集体(集合体)としての複合体を形成する。また、複合体同士が凝結して凝集体(集合体)を形成する際に、未反応の金属酸化物を取り込んで、複合体を形成してもよい。

【0016】
用語「複合粒子」とは、中心部(いわゆるコア部)に金属酸化物粒子を有し、その金属酸化物粒子の外殻部(いわゆるシェル部)にゼオライトイミダゾレート構造体の結晶が凝集した粒子が多数被覆した構造を有する、金属酸化物粒子とゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子を含有する、複合粒子を意味する。

【0017】
用語「複合体」とは、複合粒子が凝結した凝集体(集合体)を意味する。該複合体は、未反応の金属酸化物粒子を含んでもよい。該複合体は多孔性の構造を有する。複合体中での複合粒子と金属酸化物粒子との存在比はモル比率で約100:0~約5:95であり、例えば約95:5~約20:80、例えば約90:10~約50:50であり、典型的には約80:20である。これらの存在比は、熱重量分析(TG)および粉末X線回折スペクトル(XRD)測定時のピーク強度から測定、算出することができる。

【0018】
用語「金属酸化物粒子」とは、酸化亜鉛(II)(ZnO)または酸化コバルト(II)(CoO)の粒子を意味し、酸化亜鉛の粒子が好ましい。様々な粒子径を有する金属酸化物粒子が市販品を購入することができ、あるいは当該分野で知られる製法を用いて調製することができる。

【0019】
用語「ゼオライト様イミダゾレート構造体(本明細書中、「ZIF」と略称することがある)」とは、金属とイミダゾレート配位子とが相互作用したゼオライト様のトポロジーを有する構造体を意味する。特に、金属が亜鉛であり、およびイミダゾレート配位子が2-メチルイミダゾレート配位子であるZIF-8(本明細書中、「Zn(mim)」と呼称することもある)が好ましい。ZIF-8の構造の模式図を図1に示す。本発明の複合粒子において、該イミダゾレート配位子として、2-メチルイミダゾレートを下記の置換基を有していてもよいイミダゾールまたはその誘導体由来のイミダゾレートに置き代えるとき、生成するゼオライト様イミダゾレート構造体はZIF-8に類似の構造を有し得る。

【0020】
用語「多結晶型粒子」とは、ゼオライトイミダゾレート構造体の結晶が凝集した粒子が多数存在している状態を意味する。多結晶は微小な単結晶から構成されており、互いに隣接する単結晶間に結晶粒界(多結晶体において二つ以上の小さな結晶の間に存在する界面を意味する)をもつことを意味する。本発明の複合体の場合、単結晶間の結晶粒界は単結晶内部の細孔よりも大きい。よって、例えば一般的なZIF-8ではローダミンBに対する低吸着量を示すのに対して、本発明の複合体は高い吸着量を示すことができる。

【0021】
用語「イミダゾレート配位子」とは、イミダゾール上の1位のNH基から水素が脱離した窒素原子および3位の窒素原子の位置で金属と配位し得るイミダゾール由来の配位子を意味する。

【0022】
用語「置換基を有していてもよいイミダゾールまたはその誘導体」とは、無置換のイミダゾール、あるいはイミダゾール上の2、4もしくは5位の少なくとも1つ以上(2位でモノ置換されることが好ましい)の炭素原子上で炭素数が1~6個(C1~6)(例えば、炭素数が1~3個(C1~3))のアルキル基、ハロゲン基及びニトロ基からなる群から選ばれる1~3個の置換基を有するか、またはイミダゾール上の4および5位の隣接する置換基が一緒になって、置換基を有していてもよい縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環もしくは芳香族ヘテロ環を形成していてもよい、イミダゾールを意味する。炭素数が1~6個のアルキル基としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、ネオブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなどを含むが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピルがより好ましく、メチル、エチルがより一層好ましく、メチルが特に好ましい。ハロゲン基としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが挙げられ、クロロが好ましい。

【0023】
また、イミダゾール上の4および5位の隣接する置換基が一緒になって、置換基を有していてもよい縮合環式の5もしくは6員の芳香族炭素環もしくは芳香族ヘテロ環を形成していてもよい。縮合環式5もしくは6員の芳香族炭素環の例としては、ベンゾ基が挙げられる。縮合環式5もしくは6員の芳香族ヘテロ環とは、ヘテロ原子として酸素、窒素または硫黄原子から選ばれる少なくとも1つの原子を含有する、縮合環式5もしくは6員の芳香族ヘテロ環を意味し、5員芳香族ヘテロ環としては例えば、フロ基、チオフェノ基、ピロロ基、イミダゾロ基、ピラゾロ基、イソオキサゾロ基、テトラゾロ基などが挙げられ、6員芳香族ヘテロ環としては例えば、ピリド基、ピラジノ基、ピリミジノ基、ピリダジノ基などが挙げられる。イミダゾールまたはその誘導体の典型的な例を下式に示す。
【化1】
JP2014156434A_000002t.gif
最も好ましい具体例としては、2-メチルイミダゾール(本明細書中、「Hmim」と略称することがある)が挙げられ、このもの由来の配位子は2-メチルイミダゾレート(本明細書中、「mim」と略称することがある)」であり、これは上記の「ZIF-8」を構成する配位子である。イミダゾールおよびその種々の誘導体が市販品を購入することができ、あるいは当該分野で知られる製法を用いて合成することができる。

【0024】
本発明の複合粒子において、金属酸化物粒子の外表面部はゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子によって全部が被覆されていてもよく、あるいはその一部が被覆されていてもよい。かかる被覆の程度は、複合粒子の製造時に配合する金属酸化物粒子とイミダゾールまたはその誘導体との配合比を調節することによって、あるいは複合体の製造時の反応条件(例えば、反応時間)を改変、制御することによって変えることができる。本発明の複合粒子中の金属酸化物粒子の存在比と、ゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子の総計との存在比はモル比で、例えば約99:1~約1:99、好ましくは約9:1~約2:8、典型的には約3:1が挙げられる。例えば、金属酸化物粒子に対して、イミダゾールまたはその誘導体の配合比をモル比率で増大させるにつれて、生成する複合粒子中の金属酸化物の存在比は減少し、大過剰量でイミダゾールを反応させると、金属酸化物粒子をすべて複合粒子に変換することが可能となる。
これらの存在比は、熱重量分析および粉末X線回折スペクトル測定時のピーク強度から測定、算出することができる。

【0025】
該金属酸化物粒子の平均粒径は、例えば約5nm~約5μmであり、約1μm以下が好ましく、例えば約10nm~約1μmであり、より好ましくは約20nm~約100nmであり、該ゼオライト様イミダゾレート構造体の多結晶型粒子の1粒子の平均粒径は、例えば約10nm~約50nmであり、好ましくは約20nm~約30nmであり、該複合粒子の平均粒径は、例えば約50nm~約500nmであり、好ましくは約50nm~約300nmである。多結晶を構成している単結晶の大きさは、例えばXRDの結果を当該分野でよく知られる方法、例えばシェラー(scherrer)の式を用いて解析することで見積もることができる。これら平均粒子径は、走査型電子顕微鏡の像の解析および熱重量分析からの収率計算により確認する。本発明の複合粒子の形成において、一定比率の金属酸化物粒子とイミダゾールとを反応させたとき、金属酸化物粒子の平均粒径が大きいほど、イミダゾールに対するモル当たりの金属酸化物粒子の表面積が小さくなるため、金属酸化物とイミダゾールとの反応が進行する可能性が低くなる。

【0026】
(製造)
本発明の複合体の製造法を以下に説明する。
本発明の複合体は、メカノケミカル法としての乾式製造法を用いて製造することができる。かかる乾式製造法は、原料となる反応試薬を反応溶媒を全く使用せずに機械的に混合することにより製造する方法である。

【0027】
本発明の反応式を下記に示す。
(反応式)
【数1】
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上記の式に示すとおり、金属酸化物(「MO」と略す)(1当量)とイミダゾール(金属酸化物に対してzモル当量)とを反応させることにより、複合体(「M(min)/MO」と略す)が生成する。反応過程で生成する副生成物は水のみである。

【0028】
製造法の操作は以下の工程からなる。
1)まず、金属酸化物とイミダゾールまたはその誘導体とを適当な反応容器中で配合、混合する。このとき、金属酸化物とイミダゾールまたはその誘導体との配合のモル比は、約1:0.1~約1:5.0の割合を含み、約1:0.1~約1:2.0の割合が好ましく、約1:0.5の割合がより好ましい。

【0029】
2)i)次に、該反応混合物を混合後に、該反応混合物を粉砕混合する。具体的には、一般的に知られる粉砕混合の操作に従って、適当な反応容器中で行う。該反応容器としては例えばボールミルが挙げられる。回転数としては、約50~約200rpmであり、好ましい例としては約100rpmが挙げられる。また、反応の間、高温下で(例えば、約50℃~約200℃)該反応混合物を加熱してもよく、これら操作により反応時間を短縮することができる。反応時間は、上記回転数または反応温度などの反応条件に依存して変わり得るが、約1時間~約240時間が好ましく、約3時間~約120時間がより好ましい。

【0030】
あるいは、上記i)の粉砕混合の操作に代わって、ii)配合後の反応混合物を適当な時間加熱静置してもよい。加熱時間は約50℃~約200℃が好ましく、約100℃がより好ましい。この場合に使用可能な反応容器としては例えばテフロン容器が挙げられる。また、反応時に該反応混合物を加圧容器(例えば、市販のステンレス加圧容器)中での加圧条件下で(例えば、約2~50atm)加熱静置してもよく、この操作により反応時間を短縮することができる。反応時間は、上記反応温度または加圧などの反応条件に依存して変わり得るが、約1時間~約72時間が好ましく、約12時間~約48時間がより好ましい。

【0031】
上記2)の工程としては、粉砕混合する操作の方が収率、反応時間などの種々の観点から好ましい。

【0032】
原料物質である金属酸化物から生成物である複合体への転化率(これは、生成物の収率を意味する)は、熱重量分析によって測定することができる。

【0033】
(使用)
次に、上記製造法で得られた本発明の複合体の機能性材料としての使用方法を示す。

【0034】
1.ZIF結晶粒子が元来有する機能の向上
まず、本発明の複合体は、その構成要素としてZIF結晶粒子を含むことから、ZIFそのものが元来有する機能を供することができる。例えば、ZIF-8結晶粒子を含む場合には、ZIF-8そのものが元来有する機能(例えば、種々の基質に対する吸着剤として)を供することができる。基質としては例えば、ガス(例えば、窒素ガス、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン)、染料(例えば、ローダミンB、オーラミン、マラカイトグリーン、メチレンブルーなどの塩基性染料))、ペプチド、タンパク質および有機溶剤(例えば、メタノール、エタノールなどの低級アルコール;ポリエチレングリコールなどの多価アルコール)が挙げられる。

【0035】
2.金属酸化物粒子の機能とZIF結晶粒子の機能との複合機能の創造
次に、本発明の複合体は、その構成要素として金属酸化物粒子とZIF結晶粒子を含むことから、ZIF結晶粒子そのものが元来有する機能に加えて、金属酸化物粒子そのものが元来有する機能を同時複合的に発揮することが期待できる。例えば、金属酸化物としての亜鉛酸化物は光触媒として機能することが知られることから(例えば、H. Zhangら著、J. Mater. Chem. 19, 5089 (2009);H. A. D. Mariaら著、Energy Environ. Sci. 2, 1231 (2009);K. Rajeshwarら著、J. Photochem. Photobiol. C: PHOTOCHEM. REV. 9, 171 (2008)を参照)、本発明の複合体には、上記ZIF-8そのものが元来有する機能に加えて光触媒としての機能を同時複合的に奏することが期待できる。

【0036】
本発明の複合体は、上記の機能に基づいて様々な用途の機能性材料として使用することができる。例えば、ガス(例えば、窒素、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン)などに対するガス貯蔵、ガス分離;触媒(例えば、不均一触媒として(水素添加反応触媒、光触媒、クネーフェナーゲル縮合反応用触媒));およびデバイス(例えば、ガスセンサーデバイス、燃料電池用固体電解質)を挙げられる。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。酸化亜鉛(0.02μmおよび-5μm)は和光純薬工業株式会社から購入した。2-メチルイミダゾールはシグマ-アルドリッチ社から購入した。ローダミンBは和光純薬工業から購入した。
複合体の生成物のキャラクタリゼーションは、各種分光学的分析の解析により行なった。具体的には、反応の経時変化は反応混合物の粉末X-線回折スペクトルの測定および電子顕微鏡の解析により行い、また、金属酸化物から複合粒子への転化率(いわゆる、複合体の収率)は熱重量分析および粉末X-線回折スペクトルによって行った。
【実施例1】
【0038】
複合体の製造(粉砕混合)
100個のYTZボール(φ10mm、95%ZrO+HfO、5%Y)を充填した300mlのセラミックポットミル容器(93%Al、5%SiO)に8.1g(約100mmol)の酸化亜鉛(0.02μm)と16.4g(約200mmol)の2-メチルイミダゾールを入れ、卓上型ポットミル架台(増田理化工業社UBM-2)で100rpmにて回転、粉砕混合した。混合時間は、3時間~240時間とした。粉砕混合後、セラミックポットミル容器から生成物を取り出し、水50mlに分散し、2回洗浄して、未反応の2-メチルイミダゾールを除去した。3時間、6時間、24時間、120時間、240時間で製造した場合、複合体をそれぞれ約13g、約15g、約17g、約19g、約20g得た。
【実施例1】
【0039】
粉末X線回折(XRD)測定:市販のX線回折装置(株式会社リガク製、商品名:MiniFlex600を用いて、得られた複合体のX線回折(XRD)測定を行った。図2は、実施例1で得られた複合体(洗浄前)のXRDパターンである。図3は酸化亜鉛、2-メチルイミダゾール、ZIF-8の回折ピーク強度の変化の比較を示す。酸化亜鉛と2-メチルイミダゾールの回折ピーク強度が低下し、ZIF-8の回折ピーク強度が増加することから、酸化亜鉛と2-メチルイミダゾールとの反応を確認することができる。図4は、洗浄後の複合体のXRDパターンである。回折パターンに基づき、複合体をZIF-8とZnOの複合粒子の複合体であると同定することができる。回折ピークの拡がりから、単結晶の大きさ(結晶子)をScherrer(シェラー)の式で評価、算出した。48時間で製造した場合、複合粒子中の酸化亜鉛の平均粒径(結晶子径)は約12nm、ZIF-8の平均粒径(結晶子径)は約25nmと算出された。
D=Kλ/βcosθ (ここで、D:結晶子の大きさ、λ:測定X線波長(=0.15418nm、β:結晶子の大きさによる回折線の拡がり(ラジアン単位)、θ:回折線のブラッグ角、K:Scherrer定数(=0.94)))
【実施例1】
【0040】
熱重量分析:市販の熱重量分析装置(島津製作所製、商品名:DTG-60H)を用いて、得られた複合体の熱重量(TG)分析を行った。図5は、実施例1で得られた複合体のTGチャートである。比較例として、溶液法(水)で調製したZIF-8単結晶を用いてTG分析を行った。ZIF-8は空気中、400-450℃で熱分解し、ZIF-8の約35%の質量の酸化亜鉛が生成する。各反応時間で得られた複合体のTGチャートに基づき、各複合体中でのZIF-8多結晶粒子と酸化亜鉛粒子との存在比を定量することができた。図6は、図5の結果に基づいて、製造時間と複合体中のZIF-8多結晶粒子の占める割合との関係を示したものである。
【実施例2】
【0041】
複合体の製造(粉砕混合)
100個のYTZボール(φ10mm、95%ZrO+HfO、5%Y)を充填した300mlのセラミックポットミル容器(93%Al、5%SiO)に8.1g(約100mmol)の酸化亜鉛(0.02μm)と4.1g(約50mmol)の2-メチルイミダゾールを入れ、卓上型ポットミル架台(増田理化工業社UBM-2)で100rpmにて回転、粉砕混合した。粉砕混合後、セラミックポットミル容器から複合体を取り出し、実施例1と同様にして、X線回折(XRD)測定を行った。図7は実施例2で得られた複合体のXRDパターンである。2-メチルイミダゾールはすべて反応し、消費されるため、回折ピークは観察されなかった。よって、2-メチルイミダゾールを除去するための洗浄工程を省略することができた。
【実施例3】
【0042】
複合体の製造(加熱静置)
0.81g(約10mmol)の酸化亜鉛(0.02μm)と0.41g(約5mmol)の2-メチルイミダゾールを50mlのテフロン容器に入れて密閉した。密閉したテフロン容器を100℃で48時間加熱静置した後、室温まで冷却し、テフロン容器から生成物を取り出し、複合体を約1.1g得た。実施例1と同様にして、X線回折(XRD)測定を行った。図8は実施例3で得られた複合体のXRDパターンである。2-メチルイミダゾールはすべて反応し、消費されるため、回折ピークは観察されなかった。よって、2-メチルイミダゾールを除去するための洗浄工程を省略することができた。
【実施例4】
【0043】
複合体の電子顕微鏡観察
走査型電子顕微鏡観察:市販の走査型電子顕微鏡装置(日立ハイテク製、商品名:S-5000を用いて、加速電圧2kVにて、粒子径が0.02μm(20nm)の酸化亜鉛を用いた実施例1にて得られた複合体の電子顕微鏡観察を行った。測定結果を図9に示す。比較例として、溶液法(水)で調製したZIF-8単結晶の電子顕微鏡写真の像(田中俊輔ら、Chem. Lett.41, 1377, 2012)をあわせて示す。
【実施例5】
【0044】
酸化亜鉛の粒子径が複合体の形成に及ぼす影響
実施例3と同様にして、0.81g(約10mmol)の酸化亜鉛(-5μm)と0.41g(約5mmol)の2-メチルイミダゾールを50mlのテフロン容器に入れて密閉した。密閉したテフロン容器を100℃で48時間加熱静置した後、室温まで冷却し、テフロン容器から生成物を取り出した。実施例4と同様にして、反応後の生成物の走査型電子顕微鏡観察を行った。反応前後の電子顕微鏡の像を図10に示す。観察結果より、原料の酸化亜鉛の粒子が観察され、複合粒子が生成していないことが分かった。
また、実施例1と同様にして、X線回折(XRD)測定を行った。図11は-5μmの酸化亜鉛を用いて得られた反応後の生成物のXRDパターンである。原料の2-メチルイミダゾールの回折ピークが確認され、酸化亜鉛の粒子径が大きいときには、酸化亜鉛と2-メチルイミダゾールの反応が進行しないことを確認した。
【実施例6】
【0045】
複合体の窒素ガス(N)に対する吸着能の測定
窒素吸着量の測定:市販の吸着測定装置(日本ベル(株)製、BELSORP-max)を用いて、窒素吸着量の測定を行った。測定は、得られた複合体をサンプル管に入れ、当該サンプル管を液体窒素中(77K)に浸した状態で行った。測定結果を図12に示す。図12は、実施例1で得られた複合体の吸着等温線(平衡圧力と窒素吸着量との関係)を示す。3時間、6時間、24時間、120時間、240時間で製造した場合、複合体はそれぞれ約460m/g、約670m/g、約1310m/g、約1290m/gのN表面積(ラングミュア)を有した。
比較例として、溶液法(水)で調製したZIF-8単結晶を用いて測定した。
上記結果より、上記実施例1にて様々な一定時間後に得られた各複合体について、窒素ガスの吸着量を調べた結果、24時間後に得られる複合体はZIF-8単結晶粒子と同程度の窒素ガス吸着量を示し、また120時間後と240時間後に得られた複合体はより高い窒素ガス吸着量を示した。なお、酸化亜鉛は窒素吸着能を有さないことが知られている。
【実施例7】
【0046】
複合体のローダミンBに対する吸着能の測定
1.0×10-5Mに調製したローダミンB水溶液20mlに実施例1にて6時間で製造した複合体を0.04gを加え、20℃、暗室で20分間静置し、ローダミンBの吸着実験を行った。市販の紫外可視分光高度計(UV)装置(島津製作所製、UV-2450)を用いて、ローダミンB水溶液の吸光度(吸収波長=554nm)を測定し、ローダミンBの濃度を算出した。比較例として、酸化亜鉛(0.02μm)と溶液法(水)で調製したZIF-8単結晶を用いて同様にして測定した。紫外可視分光高度計によるスペクトル測定結果を図13に示す。酸化亜鉛、溶液法(水)で得られるZIF-8単結晶、6時間で製造した複合体のローダミンB吸着量を下記表1に示す。6時間で製造した複合体中のZIF-8存在割合は約49%であるため、ZIF-8で換算した吸着量は9.6μmol/複合体gと算出された。上記結果より、本発明の複合体のローダミンBに対する吸着量の著しい増大を示した。
【表1】
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上記結果、複合体は、溶液法で得られるZIF-8単結晶粒子と比較してローダミンBに対する吸着量の著しい増大を示した。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明で得られる複合体は、従来法では得られない多結晶型の複合粒子を含み、またガス(例えば、窒素ガス)および染料(例えば、ローダミンB)に対して極めて高い吸着能を有するなど、様々な用途の新たな機能性材料として利用することができ、例えばガス貯蔵、ガス分離、ガスセンサーデバイス、触媒等としても有用であり、工業的に利用価値が高い。また、本発明の乾式製造法は、環境負荷の低いクリーンな製造法であり、コストパフォーマンスが高く、大量生産に適しており、成形加工に優れた製造法であって、工業的に利用価値が高い。
図面
【図2】
0
【図3】
1
【図4】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図8】
6
【図11】
7
【図12】
8
【図13】
9
【図1】
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【図9】
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【図10】
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