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明細書 :細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法およびそれに用いるシステム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5828177号 (P5828177)
登録日 平成27年10月30日(2015.10.30)
発行日 平成27年12月2日(2015.12.2)
発明の名称または考案の名称 細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法およびそれに用いるシステム
国際特許分類 C12Q   1/18        (2006.01)
C12M   1/34        (2006.01)
G01N  37/00        (2006.01)
FI C12Q 1/18
C12M 1/34 B
G01N 37/00 101
請求項の数または発明の数 11
全頁数 25
出願番号 特願2013-533608 (P2013-533608)
出願日 平成24年8月31日(2012.8.31)
国際出願番号 PCT/JP2012/072181
国際公開番号 WO2013/038925
国際公開日 平成25年3月21日(2013.3.21)
優先権出願番号 2011200036
優先日 平成23年9月13日(2011.9.13)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成26年3月19日(2014.3.19)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
【識別番号】000136354
【氏名又は名称】株式会社フコク
【識別番号】502338454
【氏名又は名称】フルイドウェアテクノロジーズ株式会社
発明者または考案者 【氏名】松本 佳巳
【氏名】葉山 浩平
【氏名】榊原 昇一
【氏名】西野 邦彦
【氏名】山口 明人
【氏名】野地 博行
【氏名】飯野 亮太
個別代理人の代理人 【識別番号】100115255、【弁理士】、【氏名又は名称】辻丸 光一郎
【識別番号】100129137、【弁理士】、【氏名又は名称】中山 ゆみ
【識別番号】100154081、【弁理士】、【氏名又は名称】伊佐治 創
審査官 【審査官】鶴 剛史
参考文献・文献 特表2004-520593(JP,A)
特表2008-523820(JP,A)
特開2009-210392(JP,A)
特表2005-518553(JP,A)
MATSUMOTO, Y. et al.,Evaluation of multidrug efflux pump inhibitors by a new method using microfluidic channels.,PLoS One,2011年 4月12日,Vol.6 No.4 e18547,pages 1-12
EHRLICH, D.J.,Parallel imaging microfluidic cytometer.,Methods Cell Biol.,2011年 6月24日,Vol.102,pages 49-75
IINO, R. et al.,A microfluidic device for simple and rapid evaluation of multidrug efflux pump inhibitors.,Front. Microbiol.,2012年 2月 8日,Vol.3 Article 40,pages 1-9
調査した分野 C12Q 1/18
C12M 1/34
G01N 37/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
WPIDS/WPIX(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の流路を有するマイクロデバイスを使用し、
前記マイクロデバイスの前記複数の流路内で、抗菌薬と被検菌液との混合液をインキュベートする工程、および、
前記マイクロデバイスの前記複数の流路の各観察エリアにおける、前記被検菌液由来の細菌または真菌を、顕微鏡により検出する検出工程を含み、
前記マイクロデバイスにおいて、
前記複数の流路に、予め、抗菌薬が配置され、
前記複数の流路は、同一の導入口を有し、
各流路は、前記同一の導入口、前記観察エリア、および排気部を、この順序で有し、
前記複数の流路の各観察エリアが全て、顕微鏡の視野内に収まるように、収束して並列に配列されており、
前記複数の流路は、それぞれ、前記観察エリアにおける流路幅および長さが同じであり、
前記各流路において、前記観察エリアの排気部側端から前記排気部までの流路の長さが、前記観察エリアの同一の導入口側端から前記同一の導入口までの流路の長さより短く、
インキュベート工程前またはインキュベート工程において、前記マイクロデバイスの前記同一の導入口から前記複数の流路に、前記被検菌液を導入することを特徴とする、細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法。
【請求項2】
前記各流路に配置された抗菌薬が、複数種の抗菌薬および複数濃度の抗菌薬の少なくとも一方である、請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記各流路において、前記観察エリアの排気部側端から前記排気部まで流路の長さが、同じである、請求項1または2記載の検査方法。
【請求項4】
前記各流路において、前記観察エリアの流路幅が、前記観察エリアの同一の導入口側端から前記同一の導入口までの流路および前記観察エリアの排気部側端から前記排気部までの流路の流路幅より小さい、請求項1から3のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項5】
前記抗菌薬は、前記排気部から前記流路に配置した、請求項1から4のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項6】
前記複数の流路において、1つの流路が、前記抗菌薬を配置しないコントロールの流路である、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項7】
前記検出工程において、前記被検菌液由来の細菌または真菌について、前記コントロールの流路の観察エリアにおける数および形態の少なくとも一方と、前記抗菌薬が配置された流路の観察エリアにおける数および形態の少なくとも一方とを観察する、請求項6記載の検査方法。
【請求項8】
前記検出工程において、前記被検菌液由来の細菌または真菌について、
前記観察エリアにおける、数および形態の少なくとも一方を観察する、請求項1から5のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項9】
前記流路の深さが、10~25μmである、請求項1から8のいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項10】
前記インキュベート工程の前後に、前記検出工程を行う、請求項1からのいずれか一項に記載の検査方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載の検査方法により細菌または真菌の抗菌薬感受性を検査するための検査システムであって、
被検菌液と抗菌薬との混合液複数の流路有するマイクロデバイスをインキュベートすることにより前記複数の流路内の混合液をインキュベートするインキュベート手段、
前記マイクロデバイスの前記複数の流路の各観察エリアの顕微鏡観察による画像を取得する画像取得手段、
前記画像における細菌または真菌の数および形態の少なくとも一方の情報を取得する情報取得手段、および、
前記情報に基づいて、前記被検菌液由来の細菌または真菌の抗菌薬感受性を決定する決定手段を有し、
前記マイクロデバイスにおいて、
前記複数の流路に、予め、前記抗菌薬が配置され、
前記複数の流路は、同一の導入口を有し、
各流路は、前記同一の導入口、前記観察エリア、および排気部を、この順序で有し、
前記複数の流路の各観察エリアが全て、顕微鏡の視野内に収まるように、収束して並列に配置されており、
前記複数の流路は、それぞれ、前記観察エリアにおける流路幅および長さが同じであり、
各流路において、前記観察エリアの排気部側端から前記排気部までの流路の長さが、前記観察エリアの同一の導入口側端から前記同一の導入口までの流路より短いことを特徴とする、検査システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法およびそれに用いるシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、薬剤耐性菌が増加していることから、有効な抗菌薬を選択するために、細菌または真菌の抗菌薬に対する感受性を確認することは、極めて重要となっている。
【0003】
細菌および真菌の感受性検査のため、簡易迅速化を目的とした機器が発売されている(非特許文献1)。しかしながら、これらの大型機器は高価である。また、前記機器は、濁度判定を行うために、判定可能な濁度にまで菌を増殖させなければならない。例えば、緑膿菌のように増殖の遅い菌の場合、最短でも8時間以上を要する。また、前記機器を必要としない方法として、一般的に、微量液体希釈法、濃度勾配をつけたディスクにより、寒天培地に形成される培養後の阻止円からMIC(最少発育阻止濃度)を決定する方法、Kirby-Bauer法(K-B法)に基づくディスク法等があげられる(非特許文献2)。しかしながら、これらの方法についても、検査開始から感受性の判定まで、例えば、18時間程度を要するため、さらなる迅速化が求められている。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】Kanemitsuら、Journal of Clinical Microbiology,2005, p.5808-5810
【非特許文献2】石井ら、日本化学療法学会雑誌、2002、p.259-265
【発明の概要】
【0005】
そこで、本発明は、簡便且つ迅速に、抗菌薬に対する細菌または真菌の感受性を検査できる新たな方法およびそれに用いる検査システムを提供することを目的とする。
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の検査方法は、細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法であり、流路を有するマイクロデバイスを使用し、前記マイクロデバイスの前記流路内で、抗菌薬と被検菌液との混合液をインキュベートする工程、および、前記マイクロデバイスの前記流路の観察エリアにおける、前記被検菌液由来の細菌または真菌を検出する検出工程を含むことを特徴とする。
【0007】
本発明の検査システムは、前記本発明の検査方法により細菌または真菌の抗菌薬感受性を検査するための検査システムであって、被検菌液と抗菌薬との混合液が導入された流路を有するマイクロデバイスをインキュベートするインキュベート手段、前記マイクロデバイスの前記流路の観察エリアの画像を取得する画像取得手段、前記画像における細菌または真菌の数および形態の少なくとも一方の情報を取得する情報取得手段、および、前記情報に基づいて、前記被検菌液由来の細菌または真菌の抗菌薬感受性を決定する決定手段を有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、前記マイクロデバイスの流路内で、抗菌薬と被検菌液との混合液をインキュベートし、前記流路における観察エリアを、例えば、顕微鏡等で観察することによって、細菌または真菌の抗菌薬に対する感受性を、簡便かつ迅速に確認できる。また、本発明の検査システムによれば、前記本発明の検査方法を簡便に行うことができる。このため、本発明は、臨床検査、環境試験等において、極めて有用である。特に、臨床検査においては、例えば、対象となる細菌および真菌について、適切な抗菌薬の選択が早期に可能となるため、救命率の向上、不要な薬剤使用量の減少等の効果が期待でき、長期的に見れば、耐性菌の増加を抑制できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1A】マイクロデバイスの一例を示す斜視図である。
【図1B】マイクロデバイスの一例を示す上面図である。
【図1C】マイクロデバイスにおける上基板の一例を示す下面図である。
【図2A】マイクロデバイスの一例を示す斜視図である。
【図2B】マイクロデバイスの一例を示す上面図である。
【図2C】マイクロデバイスにおける上基板の一例を示す下面図である。
【図2D】マイクロデバイスの一例を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例における緑膿菌の顕微鏡写真である。
【図4】本発明の実施例における緑膿菌の顕微鏡写真である。
【図5】本発明の実施例における緑膿菌の顕微鏡写真である。
【図6】本発明の実施例における65種類の緑膿菌株の分類を示すグラフである。
【図7】本発明の実施例における緑膿菌の顕微鏡写真である。
【図8】本発明の実施例における緑膿菌の顕微鏡写真である。
【図9】本発明の検査システムの一例を示すブロック図である。
【図10A】マイクロデバイスの一例を示す斜視図である。
【図10B】マイクロデバイスの一例を示す上面図である。
【図10C】マイクロデバイスにおける上基板の一例を示す下面図である。
【図10D】マイクロデバイスの一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の検査方法は、前述のように、細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査方法であり、流路を有するマイクロデバイスを使用し、前記マイクロデバイスの前記流路内で、抗菌薬と被検菌液との混合液をインキュベートする工程、および、前記マイクロデバイスの前記流路の観察エリアにおける前記被検菌液由来の細菌または真菌を検出する検出工程を含むことを特徴とする。

【0011】
本発明において、細菌または真菌の抗菌薬感受性の検査とは、例えば、細菌または真菌の抗菌薬耐性の検査の意味も含む。

【0012】
本発明の検査方法において、検査対象となる細菌および真菌の種類は、特に制限されない。具体例としては、例えば、黄色ブドウ球菌、腸球菌、大腸菌およびその他腸内菌、緑膿菌、アシネトバクター属およびその他糖非発酵菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、レジオネラ属細菌、キャンピロバクター属細菌、結核菌等があげられる。

【0013】
本発明の検査方法において、検査対象となる被検菌液の種類は、特に制限されない。前記被検菌液は、例えば、臨床検体等から分離培養したコロニーから調製できる。前記被検菌液は、これには制限されず、例えば、臨床検体をそのまま使用してもよい。この場合、前記臨床検体は、例えば、コンタミネーションの可能性が低い検体が好ましく、また、十分な菌の密度が確保できる検体が好ましい。また、前記臨床検体を使用する場合、例えば、前記臨床検体からの菌の回収と、培地への再懸濁を行うことが好ましい。

【0014】
本発明の検査方法において、前記マイクロデバイスの構造は、何ら制限されず、前記被検菌液が導入可能な流路を備えていればよい。前記マイクロデバイスについては、例を後述する。

【0015】
本発明の検査方法において、前記マイクロデバイスに対する、前記抗菌薬および前記被検菌液の導入順序は、特に制限されない。導入は、例えば、接種または供給と言い換えできる。前記インキュベート工程において、例えば、前記マイクロデバイスの前記流路に、前記抗菌薬と前記被検菌液との混合液を導入してもよい。また、例えば、前記マイクロデバイスの前記流路に、予め、前記抗菌薬を配置し、前記インキュベート工程前において、または、前記インキュベート工程において、前記マイクロデバイスの前記流路に、前記被検菌液を導入してもよい。

【0016】
本発明の検査方法において、前記マイクロデバイスに導入する前記被検菌液の量および前記被検菌液中の菌数は、特に制限されない。前記量および菌数は、例えば、前記マイクロデバイスの大きさ、前記流路の大きさ等に応じて、適宜設定できる。本発明の検査方法において、使用する抗菌薬の量は、特に制限されず、例えば、前記被検菌液の量および推定臨床有効濃度(ブレイクポイント)等に応じて、適宜設定できる。

【0017】
本発明の検査方法において、前記インキュベート工程の条件は、特に制限されない。前記インキュベート条件は、例えば、対象となる細菌または真菌の至適生育条件に応じて、適宜選択できる。インキュベート温度は、特に制限されず、例えば、30~37℃であり、具体例として、大腸菌および緑膿菌等の一般細菌は、例えば、37℃である。インキュベート時間は、特に制限されず、大腸菌等の増殖の速い菌は、例えば、2~3時間であり、緑膿菌およびその他の糖非発酵菌は、例えば、3~4時間である。インキュベート時間は、これには制限されず、例えば、前記抗菌薬が非存在下での前記被検菌の増殖(コントロール)が、判定に十分なレベルに達した時点で終了してもよい。

【0018】
本発明の検査方法は、例えば、このインキュベート時間が、実質的に、検査に要するトータルの時間を決定づける要因となる。このため、本発明の検査方法によれば、前記インキュベート工程を短時間で行うことができるため、総合的に、非常に短時間での検査が可能といえる。

【0019】
前記インキュベート工程において、前記マイクロデバイスは、例えば、加温による流路内の乾燥で、前記抗菌薬の濃度が変化することを十分に防止できることから、湿度を維持した条件下でインキュベートすることが好ましい。具体例としては、例えば、水を含ませたティッシュ等を入れた密閉容器内で、前記マイクロデバイスをインキュベートすることが好ましい。前記湿度は、例えば、95~100%であり、97~100%が好ましい。

【0020】
前記検出工程において、例えば、前記被検菌液由来の細菌または真菌について、前記観察エリアにおける、数の増減および形態変化の少なくとも一方を観察することが好ましい。前記検出工程において、例えば、数および形態のいずれか一方のみを観察してもよいし、両方を観察してもよい。前記検出工程において、例えば、細菌または真菌の粗密度合を観察してもよい。前記検出工程において、例えば、細菌もしくは真菌の数、形態変化および/または粗密度合について、インキュベート工程の前後における変化または経時的な変化を観察してもよい。細菌または真菌が前記抗菌薬に耐性を示す場合、例えば、前記インキュベートを行うと、増殖により菌数が増加する。他方、細菌または真菌が前記抗菌薬に感受性を示す場合、例えば、インキュベートを行っても、菌数が増加しない、死滅により数が減少する、または形態が変化する等の徴候が見られる。したがって、例えば、数の増減および/または形態変化を観察することによって、細菌または真菌の抗菌薬感受性を判断できる。前記感受性の判断は、例えば、感受性の有無として判断してもよいし、MICとして判断してもよい。

【0021】
前記検出工程において、前記被検菌液由来の細菌または真菌の検出方法は、特に制限されず、例えば、顕微鏡による検出があげられる。中でも、より正確な検査が行えることから、前記検出工程において、前記顕微鏡により、前記被検菌液由来の細菌または真菌を検出することが好ましい。前記顕微鏡の種類は、特に制限されず、例えば、光学顕微鏡、蛍光顕微鏡等があげられ、光学顕微鏡が好ましい。また、前記顕微鏡は、例えば、小型化顕微鏡が好ましい。前記顕微鏡は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)を備えることが好ましい。本発明の検査方法は、例えば、前記マイクロデバイスと前記顕微鏡とを使用することにより、例えば、高額な機器を使用する必要がなく、また、機器によって場所をとることも回避できる。このため、例えば、容易に既存の検査室および研究室に導入可能であり、非常に容易な実施が可能になる。また、前記顕微鏡による検出は、例えば、前記顕微鏡から出力した画像による検出の意味も含む。前記顕微鏡は、例えば、その視野における画像を得るために、出力手段に連結していることが好ましい。前記出力手段は、例えば、モニタ、プリンタ等があげられる。

【0022】
本発明の検出方法において、前記検出工程は、例えば、前記インキュベート工程の前または後に行われ、特に、前記インキュベート工程の前後に行うことが好ましい。つまり、前記流路の観察エリアにおける前記被検菌液由来の細菌または真菌の検出を、前記マイクロデバイスのインキュベート前およびインキュベート後の両方で行うことが好ましい。これによって、例えば、インキュベート前の数とインキュベート後の数、または、インキュベート前の形態とインキュベート後の形態とを比較できる。

【0023】
本発明の検出方法において、前記マイクロデバイスは、前述のように、何ら制限されない。以下に、前記マイクロデバイスを例示するが、本発明は、これには制限されない。

【0024】
前記マイクロデバイスにおいて、前記流路は、内部を液体が移動可能であればよい。前記流路内に液体が流れるメカニズムは、何ら制限されない。具体例として、前記液体は、例えば、前記流路の毛細管現象を利用して移動させてもよいし、加圧または減圧によって移動させてもよい。前記流路は、例えば、マイクロ流路であることが好ましい。例えば、前記流路の流路長を確保する等のために、前記流路は、曲げられた状態で設けられてもよい。この場合、例えば、前記流路を通過する前記液体に対する抵抗を低くする観点から、前記流路の角部は、湾曲した形状、丸い形状等であることが好ましい。

【0025】
前記マイクロデバイスにおいて、前記流路は、例えば、一方の端部が開口している。前記一方の開口端部は、例えば、前記被検菌液の導入口となり、供給口または接種口ともいう。また、前記流路は、例えば、さらに、他方の端部も開口していることが好ましい。前記他方の開口端部は、例えば、空気口となる。また、前記他方の開口端部は、例えば、前記導入口から導入されて前記流路を通過した被検菌液が導出する導出口となってもよい。前記導出口は、例えば、前記被検菌液が前記流路から排出される排出口ということもできる。前記流路において、前記導入口から前記被検菌液が流れる方向を、「流れ方向」といい、前記流れ方向において、例えば、前記導入口側が上流側であり、前記空気口側が下流側となる。前記流路において、前記観察エリアは、例えば、前記導入口より下流側に設定され、また、前記観察エリアは、例えば、前記導入口と前記空気口との間に設定される。

【0026】
前記流路は、例えば、さらに、排気部を有してもよい。前記排気部は、例えば、前記流路において、前記観察エリアより下流側に位置することが好ましく、具体的には、例えば、前記流路の末端に位置する。前記排気部は、例えば、空気口である。また、前記流路の末端には、例えば、前記観察エリアを通過した前記被検菌液を貯留可能なエリアとして、排液部を有してもよい。前記流路は、前記下流側の端部において、前記排気部(空気口)と前記排液部の両方を有してもよい。

【0027】
前記流路について、以下、前記観察エリアより上流側を「導入流路」、前記観察エリアよりも下流側を「排出流路」ともいう。前記導入流路と前記排出流路の長さは、例えば、同じでもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、前記排出流路は、前記導入流路より短いのが好ましい。このようにすることで、例えば、前記空気口(排気口)からの空気の供給がよりスムーズになり、前記被検菌液由来の細菌または真菌を増殖させやすくなる。前記観察エリアの大きさ(例えば、流路幅)と、前記導入流路および前記排出流路の大きさ(例えば、流路幅)は、例えば、同じでもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、前記液体の抵抗を低くする観点から前後の流路幅を広くしたとしても、前記観察エリアの大きさは、複数の流路を同時に顕微鏡観察し易いように、例えば、前記導入流路および前記排出流路の大きさより小さいのが好ましい。

【0028】
前記マイクロデバイスにおいて、前記流路は、例えば、基板(基材ともいう)に設けられている。前記基板は、例えば、顕微鏡等により観察可能であることから、透明基材が好ましい。前記透明基材の原料は、特に制限されず、例えば、ポリジメチルシロキサン等のポリマー、ガラス等があげられる。検出対象の細菌または真菌が好気性の場合、前記基板は、例えば、通気性基板が好ましい。

【0029】
前記マイクロデバイスは、例えば、前記基板が、上基板と下基板との積層体であることが好ましい。前記上基板は、例えば、前記下基板との積層表面に、前記流路となる凹部が形成されていることが好ましく、前記流路の一方の末端または両端に該当する箇所に、貫通孔を有することが好ましい。前記上基板と前記下基板とを積層すれば、前記積層体において、例えば、前記上基板の凹部により形成される空洞が、前記流路となり、前記上基板の一方の貫通孔が、前記流路の導入口となり、他方の貫通孔が、前記流路の空気口(導出口)となる。前記流路において、所望の部位を前記観察エリアに設定できる。前記積層体に対して、前記上基板の前記導入口から液体を供給すると、前記液体は、前記導入口を経て前記流路に導入され、前記流路を通過し、前記流路の他方の末端に到達する。前記マイクロデバイスが、さらに前記排気部を備える場合も、同様である。前記上基板または前記下基板は、例えば、前記積層表面に、さらに、前記流路の下流側の末端に前記排気部となる凹部が形成されていることが好ましい。また、前記上基板は、例えば、前記排気部に該当する箇所に、前記空気口となる貫通孔を有することが好ましい。前記マイクロデバイスは、このような形態には制限されず、例えば、下基板が前述のような凹部を有してもよい。

【0030】
前記マイクロデバイスは、例えば、前記流路に、予め、抗菌薬を配置してもよい。以下、前記流路において、前記抗菌薬が配置される部位または前記抗菌薬を配置した部位を、試薬部ともいう。前記試薬部は、例えば、予め、抗菌薬が配置されてもよいし、使用時、前記被検菌液の導入前に、前記抗菌薬が配置されてもよい。この場合、例えば、前記マイクロデバイスに前記被検菌液を供給することで、前記流路内で、前記被検菌液と前記抗菌薬とを混合できる。

【0031】
前記試薬部への前記抗菌薬の配置方法は、特に制限されず、例えば、前記抗菌薬を含む抗菌薬液を前記流路の所望の部位に供給し、乾燥することによって配置できる。また、前記抗菌薬液を、例えば、前記導入口から前記流路内に通液して、前記流路内に前記抗菌薬を配置してもよいし、前記導出口から前記流路内に通液して、前記流路内に前記抗菌薬を配置してもよい。前記マイクロデバイスに前記抗菌薬液を導入した後、例えば、前記マイクロデバイスを乾燥することが好ましい。

【0032】
前記マイクロデバイスに予め抗菌薬を配置した場合、前記マイクロデバイスは、例えば、使用時まで乾燥状態で保存しておくことが好ましい。

【0033】
また、前記マイクロデバイスは、例えば、前記試薬部を有していなくてもよい。この場合、例えば、前記被検菌液と前記抗菌薬とを、前記マイクロデバイスの外部で混合し、この混合液を、前記マイクロデバイスに導入してもよい。

【0034】
前記マイクロデバイスにおいて、前記観察エリアを有する流路の数は、特に制限されない。前記流路の数は、例えば、供給する被検菌液の数、抗菌薬の数、抗菌薬の濃度の数、コントロールの数等に応じて適宜設定できる。前記観察エリアを有する流路の数は、例えば、複数であり、2つ以上、例えば、2~25である。前記流路の数は、例えば、目的に応じて、顕微鏡観察がし易いように、配置可能な数にするのが好ましい。このように、複数の前記流路を有する前記マイクロデバイスによれば、例えば、複数種の抗菌薬、複数種の抗菌薬濃度および/または複数種の被検菌液を、一つのマイクロデバイスで判定可能である。前記流路は、例えば、マイクロデバイスを大きくすること等により、数を増やすことが可能である。前記流路が複数の場合、前記各流路の長さは、例えば、同じでもよいし、異なっていてもよい。前記被検菌液由来の細菌または真菌の増殖速度を揃える観点から、前者が好ましい。

【0035】
前記マイクロデバイスが、例えば、複数の流路を有する場合、前記検出工程において、各流路の観察エリアについて、前記被検菌液由来の細菌または真菌を検出することが好ましい。また、前記マイクロデバイスにおいて、前記複数の流路の観察エリアは、例えば、それぞれ平行して近接していることが好ましく、並列に配置されているともいえる。また、前記検出工程において顕微鏡を使用する場合、例えば、全ての観察エリアを一回で観察できることから、顕微鏡の視野内に全観察エリアが収まるように、前記マイクロデバイスにおいて全観察エリアが収束して配置されていることが好ましい。

【0036】
前記マイクロデバイスが、前記観察エリアを有する複数の流路を備える場合、前記各流路は、それぞれ独立してもよいし、部分的に連結してもよい。前者のマイクロデバイスを第1の形態、後者のマイクロデバイスを第2の形態および第3の形態として、以下に例示する。なお、本発明において、前記マイクロデバイスは、これらの例示に制限されない。

【0037】
(第1の形態)
第1の形態のマイクロデバイスは、例えば、前記複数の流路が、それぞれ、異なる前記導入口および異なる前記観察エリアを有する形態である。

【0038】
前記マイクロデバイスは、例えば、それぞれ、前記導入口と前記観察エリアとが独立していることから、各流路の観察エリアにおいて、異なる被検菌液、異なる抗菌薬および/または同じ抗菌薬の異なる濃度に関する検査を行うことができる。

【0039】
図1に、前記マイクロデバイスの一例を示す。図1Aは、マイクロデバイス1について、これを構成する上基板10と下基板20とを分離した状態で示す斜視図であり、図1Bは、マイクロデバイス1の上面図であり、図1Cは、上基板10の下面図、つまり、上基板10において、下基板20との積層面の図である。

【0040】
図1Aおよび図1Bに示すように、上基板10は、導入口となる貫通孔11a’~11d’、21a’~21d’、31a’~31d’、41a’~41d’、51a’、空気口となる貫通孔15a’~15d’、25a’~25d’、35a’~35d’、45a’~45d’、55a’が設けられている。図1Aにおいては、導入口11a’および空気口15a’のみを立体的に示したが、他の貫通孔も同様である。

【0041】
図1Cに示すように、上基板10の下面には、導入口11a’~11d’、21a’~21d’、31a’~31d’、41a’~41d’、51a’に対応する導入部11a~11d、21a~21d、31a~31d、41a~41d、51a、導入流路12a~12d、22a~22d、32a~32d、42a~42d、52a、観察エリア13a~13d、23a~23d、33a~33d、43a~43d、53a、排出流路14a~14d、24a~24d、34a~34d、44a~44d、54a、および、空気口15a’~15d’、25a’~25d’、35a’~35d’、45a’~45d’、55a’と対応する排気部15a~15d、25a~25d、35a~35d、45a~45d、55aが、それぞれ連結して、凹部として形成されている。なお、図1Cにおいて、観察エリア13a、23a、33a、43a以外の観察エリアは、符号を省略するが、観察エリア13aに平行する領域が、観察エリア13a側から、順に、観察エリア13b~13dであり、観察エリア23aに平行する領域が、観察エリア23a側から、順に、観察エリア23b~23dであり、観察エリア33aに平行する領域が、観察エリア33a側から、順に、観察エリア33b~33dであり、観察エリア43aに平行する領域が、観察エリア43a側から、順に、観察エリア43b~43dであり、導入口51aと排気部55aとの間の流路における中心領域が、観察エリア53aとなる。53a以外の観察エリアは、2ヶ所で折れ曲がっているが、53aと並行する部位を観察するのが好ましい。

【0042】
以下、前記導入口、前記導入部、前記導入流路、前記観察エリア、前記排出流路、前記排気部および前記空気口が連結した空洞を、それぞれ「レーン」といい、各レーンの名称は、前記導入口の符号で表わす。つまり、例えば、導入口11a’、導入部11a、導入流路12a、観察エリア13a、排出流路14a、排気部15aおよび空気口15a’が連結した空洞を、レーン11a’という。

【0043】
マイクロデバイス1の大きさは、特に制限されず、例えば、以下のように例示できる。
全体の大きさ
幅(図1Aにおいて矢印X方向の長さ):例えば、30~40mm
長さ(図1Aにおいて矢印Y方向の長さ):例えば、30~40mm
厚み(図1Aにおいて矢印Z方向の長さ):例えば、1~3mm
上基板10、
厚み:例えば、0.8~2.8mm
凹部の深さ:例えば、10~25μm
前記導入口
直径:例えば、0.75~1.5mmで、好ましくは、0.75mm
前記導入流路
長さ:例えば、10~15mm
前記観察エリア
長さ:例えば、1~5mm
前記排出流路
長さ:例えば、10~15mm
前記排気部
直径:例えば、0.75~1.5mm
下基板20
厚み:例えば、0.12~0.17mm

【0044】
前記マイクロデバイスは、例えば、試薬部を有しても、有していなくてもよい。前者の場合、前記試薬部の部位は、例えば、少なくとも前記観察エリアを含むことが好ましく、より好ましくは、前記導入口から前記観察エリアを含み、さらに好ましくは、前記導入口から前記空気口までの範囲、すなわち、前記導入流路と前記排出流路を含む流路全体である。

【0045】
前記マイクロデバイスに、予め前記抗菌薬を配置する場合、例えば、前記抗菌薬液を、前記導入口および前記空気口のいずれかから、前記流路に導入(充填)し、その後、前記マイクロデバイスを乾燥させることで、前記抗菌薬を配置できる。

【0046】
前記マイクロデバイスにおいて、各レーンに導入する前記抗菌薬液の液量は、特に制限されないが、例えば、レーンあたり0.2~3μLである。前記抗菌薬液の調製は、特に制限されず、抗菌薬の種類に応じて、例えば、溶媒、濃度等を適宜決定できる。前記溶媒は、特に制限されず、例えば、エタノール、水、緩衝液等があげられる。

【0047】
前記マイクロデバイスにおいて、各レーンに導入する被検菌液の液量は、特に制限されない。前記マイクロデバイスにおいて、各レーンに導入する前記被検菌液の菌量は、特に制限されず、前記被検菌液の濁度を、例えば、McFarland 0.5に調製するのが望ましい。前記被検菌液の菌量は、例えば、菌種や検査の目的に応じて改変可能である。

【0048】
前記マイクロデバイスの流路は、それぞれ、異なる導入口を有する。このため、前記マイクロデバイスによれば、例えば、各流路に、異なる抗菌薬を混合した被検菌液を導入することで、特定の被検菌について、複数の抗菌薬に対する感受性を確認できる。また、前記マイクロデバイスによれば、例えば、各流路に、同じ抗菌薬を異なる濃度で充填して、各導入口に、同じ被検菌液を導入することで、特定の抗菌薬に対するMIC(最少発育阻止濃度)を決定できる。また、前記マイクロデバイスによれば、例えば、各試薬部に、同じ抗菌薬を配置して、各導入口に、異なる被検菌液を導入することで、特定の抗菌薬に対する、各被検菌液の感受性を確認できる。

【0049】
具体例として、マイクロデバイス1は、例えば、レーン11a’~11d’のグループ、レーン21a’~21d’のグループ、レーン31a’~31d’のグループ、レーン41a’~41d’のグループには、それぞれ、異なる抗菌薬を配置し、各グループ内の各レーンには、同じ抗菌薬を異なる濃度で配置し、レーン51a’は、抗菌薬を配置しないコントロールとして使用する形態があげられる。この形態によれば、例えば、1種類の被検菌液について、4種類の抗菌薬に対する感受性および耐性を確認でき、さらに、各グループにおいて、各レーンは、異なる濃度の抗菌薬が配置されていることから、MICを決定することも可能である。

【0050】
前記流路に抗菌薬を充填したマイクロデバイス1を使用して、被検菌液の抗菌薬感受性を検査する方法を、以下に例示する。

【0051】
まず、前記被検菌液を、マイクロデバイス1内の前記各導入口に供給する。前記各導入口に供給された前記被検菌液は、前記導入口から前記流路に移動し、前記流路に充填された前記抗菌薬と混合される。

【0052】
つぎに、マイクロデバイス1をインキュベートする。インキュベート条件は、例えば、前述の通りである。そして、マイクロデバイス1の観察エリアを、顕微鏡で観察し、細菌数または真菌数の増減および細菌または真菌の形態変化を確認する。これによって、抗菌薬に対する感受性を検査できる。

【0053】
(第2の形態)
第2の形態のマイクロデバイスは、例えば、複数の流路が、同一の前記導入口を有し、それぞれ異なる観察エリアを有する形態である。前記マイクロデバイスは、特に示さない限り、前記第1の形態の説明を援用できる。

【0054】
前記マイクロデバイスは、例えば、複数の流路が同一の導入口を有することから、各流路の観察エリアにおいて、例えば、同一の被検菌液について、異なる抗菌薬に関する検査および/または同じ抗菌薬の異なる濃度に対する検査を行うことができる。

【0055】
図2に、前記マイクロデバイスの一例を示す。図2Aは、マイクロデバイス2について、これを構成する上基板60と下基板70とを分離した状態で示す斜視図であり、図2Bは、マイクロデバイス2の上面図であり、図2Cは、上基板60の下面図、つまり、上基板60において、下基板70との積層面の図であり、図2Dは、図2BのI-I方向断面図である。

【0056】
図2Aおよび図2Bに示すように、上基板60は、導入口となる貫通孔61’、空気口となる貫通孔65a’~65d’が設けられている。図2Cに示すように、上基板60の下面には、導入口61’に対応する導入部61、第1導入流路66、第1導入流路66の下流末端から分岐する第2導入流路62a~62d、観察エリア63a~63d、排出流路64a~64dおよび排気部65a~65dが、それぞれ連結して、凹部として形成されている。

【0057】
以下、前記導入口、前記導入部、前記第1導入流路、前記第2導入流路、前記観察エリア、前記排出流路、前記排気部および前記空気口が連結した空洞を、それぞれ「レーン」といい、各レーンの名称は、前記第2導入流路の符号で表わす。つまり、例えば、導入口61’、導入部61、第1導入流路66、第2導入流路62a、観察エリア63a、排出流路64a、排気部65aおよび空気口65a’が連結した空洞を、レーン62aという。

【0058】
マイクロデバイス2の大きさは、特に制限されず、例えば、以下のように例示できる。
全体の大きさ
幅(図2Aにおいて矢印X方向の長さ):例えば、30~40mm
長さ(図2Aにおいて矢印Y方向の長さ):例えば、30~40mm
厚み(図2Aにおいて矢印Z方向の長さ):例えば、1~3mm
上基板60
厚み:例えば、0.8~2.8mm
凹部の深さ:例えば、17μm
前記導入口
直径:例えば、0.75mm
前記導入流路
長さ:例えば、50mm
前記第1導入流路:例えば、2mm
前記第2導入流路:例えば、3~5cm
前記観察エリア
長さ:例えば、8mm
前記排出流路
長さ:例えば、2~5mm
前記排気部
直径:例えば、1.5mm

【0059】
マイクロデバイス2は、例えば、試薬部を有する。前記試薬部の部位は、特に制限されない。前記試薬部は、例えば、少なくとも前記観察エリアを含むことが好ましく、より好ましくは、前記第1導入流路より下流(例えば、前記第2導入流路の半ば)から前記排気部を含む範囲である。

【0060】
マイクロデバイス2において、前記各流路に導入する前記抗菌薬液の液量は、特に制限されないが、例えば、レーンあたり0.25~1μLである。

【0061】
マイクロデバイス2において、導入する被検菌液の液量は、特に制限されず、例えば、9~10μLである。マイクロデバイス2において、導入する被検菌液の菌量は、特に制限されない。

【0062】
マイクロデバイス2の流路は、それぞれ、同一の導入口と異なる観察エリアを有する。このため、マイクロデバイス2は、例えば、各流路に異なる抗菌薬を配置して、前記導入口から各流路に同じ被検菌液を導入することで、特定の被検菌について、複数の抗菌薬に対する感受性を確認できる。また、マイクロデバイス2によれば、例えば、各流路に、同じ抗菌薬を異なる濃度で配置して、前記導入口に、同じ被検菌液を導入することで、特定の抗菌薬に対するMIC(最少発育阻止濃度)を決定できる。

【0063】
具体例として、マイクロデバイス2は、例えば、レーン62a~62dのいずれか3つに、それぞれ、異なる抗菌薬を配置し、残りの1つのレーンは、抗菌薬を配置しないコントロールとして使用する形態があげられる。この形態によれば、例えば、1種類の被検菌液について、3種類の抗菌薬に対する感受性を確認できる。

【0064】
マイクロデバイス2を使用して、被検菌液の抗菌薬感受性を検査する方法は、特に制限されず、前記被検菌液を、導入口61’からマイクロデバイス2に導入する以外は、前述した図1における例示を援用できる。

【0065】
(第3の形態)
第3の形態のマイクロデバイスは、前述の第2の形態と同様に、例えば、複数の流路が、同一の前記導入口を有し、それぞれ異なる観察エリアを有する形態である。前記マイクロデバイスは、特に示さない限り、前記第1の形態および前記第2の形態の説明を援用できる。

【0066】
前記マイクロデバイスは、例えば、複数の流路が同一の導入口を有することから、各流路の観察エリアにおいて、例えば、同一の被検菌液について、異なる抗菌薬に関する検査および/または同じ抗菌薬の異なる濃度に対する検査を行うことができる。

【0067】
図10に、前記マイクロデバイスの一例を示す。図10Aは、マイクロデバイス3について、これを構成する上基板90と下基板100とを分離した状態で示す斜視図であり、図10Bは、マイクロデバイス3の上面図であり、図10Cは、上基板90の下面図、つまり、上基板90において、下基板100との積層面の図であり、図10Dは、図10BのII-II方向断面図である。

【0068】
図10Aおよび図10Bに示すように、上基板90は、導入口となる貫通孔91’、空気口となる貫通孔95a’~95f’が設けられている。図10Cに示すように、上基板90の下面には、導入口91’に対応する導入部91、第1導入流路96、第1導入流路96の下流末端から分岐する第2導入流路92a~92f、観察エリア93a~93f、排出流路94a~94fおよび排気部95a~95fが、それぞれ連結して、凹部として形成されている。

【0069】
以下、前記導入口、前記導入部、前記第1導入流路、前記第2導入流路、前記観察エリア、前記排出流路、前記排気部および前記空気口が連結した空洞を、それぞれ「レーン」といい、各レーンの名称は、前記第2導入流路の符号で表わす。つまり、例えば、導入口91’、導入部91、第1導入流路96、第2導入流路92a、観察エリア93a、排出流路94a、排気部95aおよび空気口95a’が連結した空洞を、レーン92aという。

【0070】
マイクロデバイス3の各レーンにおいて、第2導入流路92a~92fの角部には、丸みがつけられている。観察エリア93a~93fの流路幅は、第2導入流路92a~92fの流路幅および排出流路92a~92fの流路幅より狭くなっている。また、各レーンについて、観察エリア93a~93fから排気部95a~95fまでの流路の長さは、同じである。

【0071】
マイクロデバイス3の大きさは、特に制限されず、例えば、以下のように例示できる。
全体の大きさ
幅(図10Aにおいて矢印X方向の長さ):例えば、30~40mm
長さ(図10Aにおいて矢印Y方向の長さ):例えば、30~40mm
厚み(図10Aにおいて矢印Z方向の長さ):例えば、1~4mm
上基板60
厚み:例えば、0.8~3mm
凹部の深さ:例えば、50μm(導入口部分:例えば、300μm)
前記導入口
直径:例えば、1mm
前記導入流路
長さ:例えば、25~35mm
前記第1導入流路
長さ:例えば、2mm
前記第2導入流路
長さ:例えば、23~33cm
幅 :例えば、200μm
前記観察エリア
長さ:例えば、4mm
幅 :例えば、100μm
前記排出流路
長さ:例えば、2~3mm
幅 :例えば、500μm
前記排気部
直径:例えば、1.5mm

【0072】
マイクロデバイス3は、例えば、試薬部を有する。前記試薬部は、例えば、前述の第2の形態と同様である。

【0073】
マイクロデバイス3において、前記各流路に導入する前記抗菌薬液の液量は、特に制限されないが、例えば、レーンあたり0.2~0.4μLである。

【0074】
マイクロデバイス3において、導入する被検菌液の液量は、特に制限されず、例えば、15~25μLである。マイクロデバイス3において、導入する被検菌液の菌量は、特に制限されない。

【0075】
マイクロデバイス3の流路は、それぞれ、同一の導入口と異なる観察エリアを有する。このため、マイクロデバイス3は、例えば、前述の第2の形態と同様にして、特定の被検菌について、複数の抗菌薬に対する感受性を確認でき、または、特定の抗菌薬に対するMIC(最少発育阻止濃度)を決定できる。

【0076】
具体例として、マイクロデバイス3は、例えば、レーン92a~92fのいずれか5つに、それぞれ、異なる抗菌薬を配置し、残りの1つのレーンは、抗菌薬を配置しないコントロールとして使用する形態があげられる。この形態によれば、例えば、1種類の被検菌液について、5種類の抗菌薬に対する感受性を確認できる。

【0077】
マイクロデバイス3を使用して、被検菌液の抗菌薬感受性を検査する方法は、特に制限されず、前記被検菌液を、導入口91’からマイクロデバイス3に導入する以外は、前述した図1における例示を援用できる。

【0078】
つぎに、本発明の検査システムは、前述のように、前記本発明の検査方法により細菌または真菌の抗菌薬感受性を検査するための検査システムであって、被検菌液と抗菌薬との混合液が導入された流路を有するマイクロデバイスをインキュベートするインキュベート手段、前記マイクロデバイスにおける前記流路の観察エリアの画像を取得する画像取得手段、前記画像における細菌または真菌の数、粗密度合および形態の少なくとも一方の情報を取得する情報取得手段、および、前記情報に基づいて、前記被検菌液由来の細菌または真菌の抗菌薬感受性を決定する決定手段を有することを特徴とする。

【0079】
本発明の検査システムは、例えば、コンピュータシステムによって構築された検査装置があげられる。前記システムのハードウェア構造は、制限されず、例えば、制御部であるCPUに、記憶装置、キーボードやマウス等の入力装置が接続されており、さらに、例えば、結果の出力装置、入力データや結果を表示する表示装置(ディスプレイ)等が接続されてもよい。また、各手段は、例えば、コンピュータのCPUが所定のプログラムを実行することによって実現される機能的ブロックであればよい。このため、例えば、各構成手段が、ハードウェアとして実装されてなくともよく、ネットワークシステムでもよい。

【0080】
本発明の検査システムは、例えば、さらに、前記マイクロデバイスをセットする固定手段を有する。前記マイクロデバイスは、例えば、ディスポーザブルでもよく、検体を測定・検出する毎に交換してもよい。前記検査システムは、例えば、前記セットされたマイクロデバイスに検体を導入するための導入口を有し、前記導入口は、前記マイクロデバイスの導入口と同一でもよい。前記検査システムは、例えば、前記マイクロデバイス内に導入された検体を、温度制御等により自動的にインキュベートする手段を有する。前記検査システムは、例えば、前記マイクロデバイスの観察エリアの画像を、間欠的あるいは連続的に、自動的に取得する手段を有する。また、例えば、各画像データから検体の細菌または真菌の数、粗密度合または形態、あるいはそれらの変化のデータを取得し、それらデータと基準値を比較する手段を有する。

【0081】
本発明の検査システムの構成について、一例を、図9のブロック図に示す。図9は、模式図であって、その大きさおよび形状等は、何ら制限されない。図9は、一例であって、本発明は、これには制限されない。

【0082】
図9に示すように、前記検査システムは、測定部7と画像処理部8とを備える。測定部7は、顕微鏡700を備える。顕微鏡700は、CCDカメラ701を内蔵し、マイクロデバイス71をセットする配置部702、および配置部702の温度を制御する温度制御部703を備える。顕微鏡700は、図示していないが、例えば、その他に、光源等、顕微鏡が備える一般的な構成を含む。画像処理部8は、CPU80、記憶部81、出力部82を備える。記憶部81は、例えば、ROM、HDDおよびHD等があげられる。出力部82は、例えば、モニタ、プリンタ等があげられる。

【0083】
前記検査システムによれば、例えば、以下のようにして本発明の検査方法を実行できる。まず、マイクロデバイス71を、測定部7における顕微鏡700の配置部702にセットする。マイクロデバイス71は、例えば、前記被検菌液と前記抗菌薬との混合液が予め導入されたマイクロデバイスでもよいし、抗菌薬のみが予め導入されたマイクロデバイスのいずれでもよい。前記抗菌薬のみが導入されたマイクロデバイスの場合、マイクロデバイスを配置部702にセットした後、前記被検菌液を導入すればよい。そして、温度制御部703で配置部702の温度を制御することによって、配置部702にセットされたマイクロデバイス71をインキュベートする。

【0084】
顕微鏡700のCCDカメラ701により、マイクロデバイス71の観察エリアの画像を撮像し、これを信号として出力する。撮像は、例えば、間欠的あるいは連続的に行うことができる。この際、測定部7は、画像の撮像を制御する制御部をさらに備えることが好ましい。前記制御部は、例えば、CPUがあげられる。そして、出力された信号は、画像処理部8のCPU80に入力される。前記信号がCPU80で演算処理されると、演算後のデータが出力部82に出力され、演算後のデータは、記憶部81に記憶される。

【0085】
測定部7から出力された信号を、CPU80で演算処理することによって、例えば、細菌もしくは真菌の数、粗密度合および/または形態の変化を示すデータを算出し、さらに、算出データと予め設定された基準値との比較を行い、抗菌薬感受性が判断されてもよい。
【実施例】
【0086】
つぎに、本発明の実施例について説明する。なお、本発明は、下記の実施例により制限されない。
【実施例】
【0087】
[実施例1]
(1)マイクロデバイス
図1に示すマイクロデバイス1を以下に示すようにして作製した。マイクロデバイス1の上基板10は、PDMS製、下基板20は、ガラス製とした。マイクロデバイス1の大きさは、以下の通りとした。
全体長さ(Y方向):30mm
全体幅(X方向):40mm
全体厚み(Z方向):2~3mm
上基板の凹部の深さ:17μm
導入口の直径:0.75mm
導入流路の長さ:10~15mm
導入流路の幅:0.1mm
観察エリアの長さ:2~5mm
観察エリアの各流路の幅:0.1mm
排出流路の長さ:10~13mm
排出流路の幅:0.1mm
排気部の直径:1mm
上基板の貫通孔の直径:0.75mm
【実施例】
【0088】
(1-1)鋳型の作製
1) 40mm×50mmのカバーガラス(No.5、厚み1mm、Matsunami Glass Ind., Ltd.,)、または、シリコンウェハー(3inch、Ferrotec Co.,)に、コーティング剤(商品名オムニコート、MicroChem)を、4000rpm、10秒でスピンコートし、180℃で1分焼成。
2) フォトレジスト(SU8-25、MicroChem)を、2000rpm、30秒でスピンコート。膜厚は、16~17μm。
3) 65℃、3分および95℃、7分でプリベーク。
4) マスクアライナー(商品名、ES20、Nanomeric Technology Inc.,)で、11秒間、マイクロパターンを露光。
5) 露光後、65℃、1分および95℃、3分で、ベーク。
6) SU8-Developer(商品名、マイクケム社)で、2分現像。
7) 固く焼き付けるため、180℃、30分でハードベーク。
8) 後述するPDMSが剥がれやすいように、0.84wt%のCytop809ME(商品名、Asahi Glass Co., Ltd.,)を、4000rpmでスピンコートし、180℃で1時間処理。
【実施例】
【0089】
(1-2)PDMS流路の成型
1) ポリジメチルシロキサン(PDMS)(商品名Silpot 184、Dow Corning Toray Co., Ltd.,)と重合触媒とを、重量比10:1で混合し、30分脱気。
2) モールドにディップし、100℃、30分で焼き固める。
【実施例】
【0090】
(1-3)ガラス基板とPDMSの張り合わせ
1) 固めたPDMS基材を剥がす。予めエタノールで洗浄したカバーガラス(No.1、厚み0.12~0.17mm、Matsunami Glass Ind., Ltd.,)とともに、前記PDMSを、リアクティブイオンエッチング装置(商品名RIE-10NR、Samco)に入れる。
2) 前記カバーガラスと前記PDMS基材を、酸素流量100standard cubic/分(sccm)、圧力50Pa、RF power 30Wの条件の酸素プラズマに、20秒さらす。
3) 前記カバーガラスと前記PDMS基材とを、プラズマ処理した面で張り合わせ、ボンディングを行う。
4) 前記ボンディングした積層体に、パンチャー(商品名BP-15F、Kai Industries Co., Ltd.,)で、導入口および空気口となる貫通孔をあける。
【実施例】
【0091】
(2)抗菌薬液の調製
以下に示す3種類の抗菌薬を、下記濃度となるようにリン酸緩衝生理食塩水(PBS、10mmol/L、pH7.2-7.4)に混合し、抗菌薬液を調製した。
アミカシンAmikacin(商品名AMK、Sigma)
640、320、160、80μg/mL
シプロフロキサシンCiprofloxacin(商品名CPFX、東京化成工業株式会社)
80、40、20、10μg/mL
イミペネムImipenem/シラスタチンcilastatin(商品名IPM、萬有製薬株式会社)
320、160、80、40μg/mL(IPM濃度)
【実施例】
【0092】
(3)被検菌液の調製
Mueller-Hinton Agar (Becton, Dickinson and Company)プレートを用いて、緑膿菌を、37℃で24時間、前培養した。コロニーを、Mueller-Hinton brothに懸濁し、MacFarland=0.5(OD600=0.132)に調製した。緑膿菌は、多剤耐性株#2株および#5株(BMLより入手)、S1株(感受性株、BMLより入手)を、それぞれ使用した。
【実施例】
【0093】
(4)インキュベート
前記(2)の抗菌薬液と前記(3)の培養液とを、体積比1:9で混合し、混合液1μLを、それぞれ、マイクロデバイス1の各導入口に注入した。また、コントロールとして、前記抗菌薬液に代えて、滅菌水と前記培養液とを、体積比1:9で混合し、混合液1μLを、マイクロデバイス1の導入口に注入した。そして、シャーレにマイクロデバイス1を入れ、さらに、密閉容器に前記シャーレを入れた。なお、前記シャーレおよび前記密閉容器には、それぞれ、水を含ませたキムワイプを入れた。前記密閉容器を37℃のインキュベーターに入れ、3時間インキュベートした。前記密閉容器および前記シャーレ内の相対湿度は、97%であった。
【実施例】
【0094】
(5)判定
前記密閉容器からマイクロデバイス1を取り出し、顕微鏡により、観察エリアについて、コントロールに対する菌量の増減および形態変化を確認し、MIC(最少発育阻止濃度)を決定した。
【実施例】
【0095】
他方、同じ緑膿菌について、標準法CLSI基準に則った微量液体希釈法により、AMK、CPFXおよびIPMのMICを測定した。
【実施例】
【0096】
インキュベート後の緑膿菌#2株の顕微鏡写真を図3に示す。図3において、AMK、CPFXおよびIPMの写真の数字は、各抗菌薬の最終濃度(μg/mL)を示し、「+」は、コントロール0hrよりも増殖していることを示し、「-」は、コントロール0hrと同程度であり、増殖が抑制されていることを示す。図3に示すように、前記マイクロデバイスを用いた方法によると、緑膿菌#2株に対し、AMKのMICが、32μg/mL以上であり、CPFXのMICが、4μg/mL以上であり、IPMのMICが、16μg/mLであることがわかった。一方、標準法では、AMKのMICが、64μg/mLであり、CPFXのMICが、32μg/mLであり、IPMのMICが、32μg/mLであった。前記マイクロデバイス法のIPMと、標準法とのIPMとでは、2倍異なるMICを示したが、いずれもCLSIのブレイクポイントを指標にすると、耐性(R)の判定で一致していた。
【実施例】
【0097】
インキュベート後の緑膿菌S1株の顕微鏡写真を図4に示す。図4において、AMK、CPFXおよびIPMの写真の数字は、各抗菌薬の最終濃度(μg/mL)を示す。図4に示すように、各抗菌薬のいずれの濃度においても、コントロール3hrのような増殖は見られないことから、いずれの抗菌薬にも感受性を示すことが確認できた。
【実施例】
【0098】
インキュベート後の緑膿菌#5株(MDRP)の顕微鏡写真を図5に示す。図5において、AMK、CPFXおよびIPMの写真の数字は、各抗菌薬の最終濃度(μg/mL)を示す。図5に示すように、各抗菌薬のいずれの濃度においても、コントロール0hrよりも増殖していることから、いずれの抗菌薬にも耐性を示すことが確認できた。
【実施例】
【0099】
[実施例2]
(1)マイクロデバイス
図2に示すマイクロデバイスを、前記実施例1と同様にして作製した。マイクロデバイスの上基板は、PDMS製、下基板は、ガラス製とした。マイクロデバイス2の大きさは、以下の通りとした。
全体長さ(Y方向):40mm
全体幅(X方向):30mm
全体厚み(Z方向):2mm
上基板60の凹部の深さ:17μm
導入口の直径:0.75mm
導入部の直径:3mm
導入流路の長さ:30~40mm
第1導入流路:1~2mm
第2導入流路:28~39mm
導入流路の幅:0.3~0.5mm
観察エリアの長さ:8mm
観察エリアの幅:0.5mm
排出流路の長さ:2~4mm
排出流路の幅:0.5mm
排気部の直径:1.5mm
【実施例】
【0100】
つぎに、アミカシンAmikacin(商品名AMK、Sigma)、シプロフロキサシンCiprofloxacin(商品名CPFX、東京化成工業株式会社)およびイミペネムImipenem/シラスタチンcilastatin(商品名IPM、萬有製薬株式会社)を、それぞれ2~4mg/mLの濃度となるようにPBSに溶解し、さらに、100%エタノールで希釈し、所定濃度の抗菌薬液を調製した(AMK 160μg/mL、CPFX 20μg/mL、IPM 80μg/mL)。そして、マイクロデバイス2の各排気部に、前記各抗菌薬液0.25μLを注入した後、マイクロデバイス2を室温で約15分乾燥させた。

【実施例】
【0101】
(2)判定
前記実施例1と同様にして調製した被検菌液約10μLを、共通の導入口に注入した以外は、前記実施例1と同様にして、インキュベートおよび判定を行った。
【実施例】
【0102】
インキュベート後の緑膿菌S1株(感受性株)の顕微鏡写真を図7に示す。図7に示すように、マイクロデバイス2を用いた方法によると、緑膿菌S1は、抗菌薬未添加(コントロール)の流路では、インキュベート時間に従って増殖が確認されたが、抗菌薬を添加した場合、いずれの流路においても増殖は確認されなかった。
【実施例】
【0103】
インキュベート後の緑膿菌#5株(MDRP)の顕微鏡写真を図8に示す。図8に示すように、マイクロデバイス2を用いた方法によると、緑膿菌#5株は、抗菌薬を添加した場合も、抗菌薬未添加(コントロール)と同様に、インキュベート時間に従って増殖が確認された。
【実施例】
【0104】
[実施例3]
65種類の緑膿菌株について、前記実施例2と同様にして、AMK、CPFXおよびIPMで処理を行い、多剤耐性(3剤耐性)、2剤耐性、1剤耐性および感受性(3剤感受性)の分類を行った。また、同じ65種類の緑膿菌株について、前記実施例1に記載した標準法により、同様に耐性および感受性の分類を行った。これらの結果を、図6に示す。図6は、65種類の緑膿菌株のうち、耐性および感受性の株数を示すグラフである。図6に示すように、本実施例のマイクロデバイス法により、標準法と同様の分類結果が得られた。この結果から、本発明のマイクロデバイス法によれば、長時間を要する標準法と比較して格段に短い時間(3時間)で、耐性および感受性の判断を行えることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0105】
以上のように、本発明によれば、前記マイクロデバイスの流路内で、抗菌薬と被検菌液との混合液をインキュベートし、前記流路における観察エリアを、例えば、顕微鏡で観察することによって、細菌または真菌の抗菌薬に対する感受性を、簡便かつ迅速に確認できる。また、本発明の検査システムによれば、前記本発明の検査方法を簡便に行うことができる。このため、本発明は、臨床検査、環境試験等において、極めて有用である。特に、臨床検査においては、例えば、対象となる細菌および真菌について、適切な抗菌薬の選択が早期に可能となるため、救命率の向上、不要な薬剤使用量の減少等の効果が期待でき、長期的に見れば、耐性菌の増加を抑制できる可能性がある。
【符号の説明】
【0106】
1、2、3 マイクロデバイス
10、60、90 上基板
20、70、100 下基板
11’、21’、31’、41’、51’、61’、91’ 導入口
11、21、31、41、51、61、91 導入部
12、22、32、42、52、62、92 導入流路
13、23、33、43、53、63、93 観察エリア
14、24、34、44、54、64、94 排出流路
15、25、35、45、55、65、95 排気部
15’、25’、35’、45’、55’、65’、95’ 空気口
7 測定部
700 顕微鏡
701 CCDカメラ
702 配置部
703 温度制御部
71 マイクロデバイス
8 画像処理部
80 CPU
81 記憶部
82 出力部
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2
【図2A】
3
【図2B】
4
【図2C】
5
【図2D】
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【図9】
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【図10A】
8
【図10B】
9
【図10C】
10
【図10D】
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【図3】
12
【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
17