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明細書 :金属ポルフィリン錯体、その製造方法及びそれからなる二酸化炭素固定化触媒、並びに、環状炭酸エステルの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6182775号 (P6182775)
登録日 平成29年8月4日(2017.8.4)
発行日 平成29年8月23日(2017.8.23)
発明の名称または考案の名称 金属ポルフィリン錯体、その製造方法及びそれからなる二酸化炭素固定化触媒、並びに、環状炭酸エステルの製造方法
国際特許分類 C07D 487/22        (2006.01)
B01J  31/22        (2006.01)
B01J  31/24        (2006.01)
C07D 317/36        (2006.01)
C07F   3/02        (2006.01)
C07F   3/06        (2006.01)
C07F   9/54        (2006.01)
FI C07D 487/22 CSP
B01J 31/22 Z
B01J 31/24 Z
C07D 317/36
C07F 3/02 Z
C07F 3/06
C07F 9/54
請求項の数または発明の数 8
全頁数 39
出願番号 特願2013-534731 (P2013-534731)
出願日 平成24年9月19日(2012.9.19)
国際出願番号 PCT/JP2012/073957
国際公開番号 WO2013/042695
国際公開日 平成25年3月28日(2013.3.28)
優先権出願番号 2011206623
優先日 平成23年9月21日(2011.9.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年7月3日(2015.7.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
発明者または考案者 【氏名】依馬 正
【氏名】酒井 貴志
【氏名】宮崎 祐樹
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100180600、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
審査官 【審査官】安藤 倫世
参考文献・文献 特開昭59-101488(JP,A)
特開昭56-127384(JP,A)
特表平11-509180(JP,A)
特表2006-512301(JP,A)
中国特許出願公開第101514195(CN,A)
LIU,Y. et al,Functional multiwalled carbon nanotube nanocomposite with iron picket-fence porphyrin and its electr,Electrochemistry Communications,2007年,Vol.9, No.10,p.2564-2570
ROBIC,N. et al,Synthesis and preliminary DNA-interaction studies of a new cationic porphyrin,Tetrahedron Letters,1990年,Vol.31, No.33,p.4739-42
YAMASHITA,T. et al,Stabilization of guanine quadruplex DNA by the binding of porphyrins with cationic side arms,Bioorganic & Medicinal Chemistry,2005年,Vol.13, No.7,p.2423-2430
AHMADI,F. et al,Electron-deficient tin(IV)tetraphenylporphyrin perchlorate: A highly efficient catalyst for chemical,Polyhedron,2011年 3月24日,Vol.32, No.1,p.68-72
AHMADI,F. et al,Highly efficient chemical fixation of carbon dioxide catalyzed by high-valent tetraphenylporphyrinat,Inorganic Chemistry Communications,2011年 6月 7日,Vol.14, No.9,p.1489-1493
WANG, M.,Efficient Solvent-free Synthesis of Chloropropene Carbonate from the Coupling Reaction of CO2 and Ep,Chinese Journal of Chemical Engineering,2011年 6月,Vol.19, No.3,p.446-451
Chemical Communications,2009年,No.18,p.2577-2579
Journal of Molecular Catalysis A: Chemical,2007年,Vol.261, No.2,p.262-266
EMA,T. et al,A bifunctional catalyst for carbon dioxide fixation: cooperative double activation of epoxides for t,Chemical Communications(Cambridge, United Kingdom),2012年 5月11日,Vol.48, No.37,p.4489-4491
調査した分野 C07D
B01J
C07F
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(5)で表される金属ポルフィリン錯体。
【化1】
JP0006182775B2_000060t.gif
(式中、Mは金属である。A~Aは、それぞれ独立して下記一般式(2)で表される置換基である。)
【化2】
JP0006182775B2_000061t.gif
(式中、Dは、炭素数2~20の、下記一般式(4)で表される2価の有機基である。Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。Xは、ハロゲン原子である。)
【化3】
JP0006182775B2_000062t.gif
(式中、Jは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。)
【請求項2】
前記一般式(2)において、Eが、下記一般式(3)
【化4】
JP0006182775B2_000063t.gif
(式中、Gは、窒素原子又はリン原子である。R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるものである請求項1に記載の金属ポルフィリン錯体。
【請求項3】
下記一般式(6’)
【化5】
JP0006182775B2_000064t.gif
(式中、D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)
で表されるポルフィリンと、金属Mの塩を反応させて、下記一般式(7’)
【化6】
JP0006182775B2_000065t.gif
(式中、Mは、上記一般式(5)に同じである。D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)
で表される金属錯体を得た後に、当該金属錯体と、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させて、上記一般式(5)で表される金属ポルフィリン錯体を得ることを特徴とする請求項1又は2に記載の金属ポルフィリン錯体の製造方法。
【請求項4】
下記一般式(1)で表される金属ポルフィリン錯体からなる二酸化炭素固定化触媒。
【化7】
JP0006182775B2_000066t.gif
(式中、Mは金属である。A~Aは、それぞれ独立して下記一般式(2)で表される置換基である。)
【化8】
JP0006182775B2_000067t.gif
(式中、Dは、炭素数1~20の、下記一般式(4)で表される2価の有機基である。Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。Xは、ハロゲン原子である。)
【化9】
JP0006182775B2_000068t.gif
(式中、Jは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。)
【請求項5】
請求項に記載の二酸化炭素固定化触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【化10】
JP0006182775B2_000069t.gif
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【化11】
JP0006182775B2_000070t.gif
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
で表される環状炭酸エステルを得ることを特徴とする環状炭酸エステルの製造方法。
【請求項6】
下記一般式(10)
【化12】
JP0006182775B2_000071t.gif
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛を表し、Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
で表される金属ポルフィリン錯体からなる触媒、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)
【化13】
JP0006182775B2_000072t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【化14】
JP0006182775B2_000073t.gif
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【化15】
JP0006182775B2_000074t.gif
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
で表される環状炭酸エステルを得ることを特徴とする環状炭酸エステルの製造方法。
【請求項7】
下記一般式(12)
【化16】
JP0006182775B2_000075t.gif
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛である。R10~R25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又はハロゲン原子である。)
で表される金属フタロシアニン錯体からなる錯体、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)
【化17】
JP0006182775B2_000076t.gif
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【化18】
JP0006182775B2_000077t.gif
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【化19】
JP0006182775B2_000078t.gif
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
で表される環状炭酸エステルを得ることを特徴とする環状炭酸エステルの製造方法。
【請求項8】
前記4級アンモニウムモノハライド及び前記4級ホスホニウムモノハライドが下記一般式(13)
【化20】
JP0006182775B2_000079t.gif
(式中、Xは、ハロゲン原子である。Gは、窒素原子又はリン原子である。R26~R29は、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R26~R29は、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるものである請求項6又は7に記載の環状炭酸エステルの製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、新規金属ポルフィリン錯体、その製造方法及びそれからなる二酸化炭素固定化触媒に関する。当該二酸化炭素固定化触媒は、環状炭酸エステルの製造に好適に用いられる。また、本発明は、金属ポルフィリン錯体又は金属フタロシアニン錯体からなる触媒と特定の共触媒を用いた環状炭酸エステルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、C1炭素源として、シアン化物イオン(あるいは青酸)、一酸化炭素、ホスゲンなどが利用されてきた。しかしながら、これらは、非常に強い毒性を有するため、これらに代わる安全な化学原料が望まれている。二酸化炭素は、再生可能で安全なC1炭素源である。ところが、二酸化炭素は、反応性が低いため、その用途が限られていた。
【0003】
ところで、環状炭酸エステルは、リチウムイオン二次電池の電解液、ポリカーボネートの原料、非プロトン性極性溶媒等として広く使用されている。これまで、環状炭酸エステルの製造には、原料として1,2-ジオールとホスゲンを使用する方法が主として採用されていた。しかし、猛毒のホスゲンを使用すること及び腐食性の塩化水素ガスが副生することが長年問題であった。これに対して、二酸化炭素及びエポキシドをカップリング反応させて環状炭酸エステルを得る合成法は、副生成物を一切伴わない非常にクリーンな方法である。これまでにこの反応を促進する触媒がいくつか報告されている。
【0004】
非特許文献1には、中心金属がCrであるポルフィリン錯体を触媒として用い、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(以下、DMAPと略記することがある)又はN-メチルイミダゾールを共触媒として用いた環状炭酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、当該方法では5MPa以上の高圧下で反応を行う必要があり、実用化が難しかった。
【0005】
非特許文献2には、中心金属がCoであるポルフィリン錯体を触媒として用い、DMAP、ピリジン、N-メチルイミダゾール、トリシクロヘキシルホスフィンオキシド又はトリフェニルホスフィンを共触媒として用いた環状炭酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、当該方法は反応収率が低い場合があった。また、溶媒としてジクロロメタンを使用するため、環境面で問題があった。
【0006】
非特許文献3には、中心金属がCuであるポルフィリン錯体又はフタロシアニン錯体を触媒として用い、DMAPを共触媒として用いた環状炭酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、当該方法は反応収率が低い場合があった。また、溶媒としてジクロロメタンを使用するため、環境面で問題があった。
【0007】
非特許文献4には、中心金属がCo、Fe、Ru又はMnであるポルフィリン錯体を触媒として用い、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロマイド(以下、PTATと略記することがある)、テトラブチルアンモニウムブロマイド又はDMAPを共触媒として用いた環状炭酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、当該方法は反応収率が低い場合があった。
【0008】
非特許文献5には、中心金属がMgであるポルフィリン錯体を触媒として用い、トリエチルアミンを共触媒として用いた環状炭酸エステルの製造方法が記載されている。しかしながら、当該方法は反応収率が低い場合があった。
【先行技術文献】
【0009】

【非特許文献1】W.J.Kruper et al.,J.Org.Chem.,60,725-727(1995).
【非特許文献2】R.L.Paddock et al.,Tetrahedron Lett.,45,2023-2026(2004).
【非特許文献3】R.Srivastava et al.,J.Mol.Catal.A: Chem.,226,199-205(2005).
【非特許文献4】L.Jin et al.,J.Mol.Catal.A: Chem.,261,262-266(2007).
【非特許文献5】W.Mei et al.,Chinese Jornal of Chemical Engineering,19(3),446-451(2011).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、二酸化炭素固定化触媒として用いた際に、高い触媒活性を示し、環境負荷が小さく、しかも容易に合成できる新規金属ポルフィリン錯体を提供することを目的とするものである。また、そのような金属ポルフィリン錯体の製造方法及びそれからなる二酸化炭素固定化触媒を提供することを目的とするものである。さらに、高効率であり、なおかつ環境負荷の小さい環状炭酸エステルの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題は、下記一般式()で表される金属ポルフィリン錯体を提供することによって解決される。
【0012】
【化1】
JP0006182775B2_000002t.gif
(式中、Mは金属である。A~Aは、それぞれ独立して下記一般式(2)で表される置換基である。)
【0013】
【化2】
JP0006182775B2_000003t.gif
(式中、Dは、炭素数2~20の、下記一般式(4)で表される2価の有機基である。Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。Xは、ハロゲン原子である。)
【化3】
JP0006182775B2_000004t.gif
(式中、Jは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。)
【0014】
このとき、前記一般式(2)において、Eが、下記一般式(3)
【化3】
JP0006182775B2_000005t.gif

【0015】
(式中、Gは、窒素原子又はリン原子である。R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるものであることが好適である。
【0020】
上記課題は、下記一般式(6’
【0021】
【化6】
JP0006182775B2_000006t.gif

【0022】
(式中、D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)
で表されるポルフィリンと、金属Mの塩を反応させて、下記一般式(7’
【0023】
【化7】
JP0006182775B2_000007t.gif

【0024】
(式中、Mは、上記一般式()に同じである。D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)
で表される金属錯体を得た後に、当該金属錯体と、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させて、上記一般式()で表される金属ポルフィリン錯体を得る前記金属ポルフィリン錯体の製造方法を提供することによっても解決される。
【0025】
下記一般式(1)で表される金属ポルフィリン錯体からなる二酸化炭素固定化触媒が本発明の好適な実施態様である。
JP0006182775B2_000008t.gif(式中、Mは金属である。A~Aは、それぞれ独立して下記一般式(2)で表される置換基である。)
JP0006182775B2_000009t.gif(式中、Dは、炭素数1~20の、下記一般式(4)で表される2価の有機基である。Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。Xは、ハロゲン原子である。)
JP0006182775B2_000010t.gif(式中、Jは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。)
そして、当該二酸化炭素固定化触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【0026】
【化8】
JP0006182775B2_000011t.gif

【0027】
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【0028】
【化9】
JP0006182775B2_000012t.gif

【0029】
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
で表される環状炭酸エステルを得る環状炭酸エステルの製造方法がより好適な実施態様である。
【0030】
上記課題は、下記一般式(10)
【0031】
【化10】
JP0006182775B2_000013t.gif

【0032】
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛を表し、Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)
【0033】
で表される金属ポルフィリン錯体からなる触媒、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)
【0034】
【化11】
JP0006182775B2_000014t.gif

【0035】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0036】
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【0037】
【化12】
JP0006182775B2_000015t.gif
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0038】
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【0039】
【化13】
JP0006182775B2_000016t.gif

【0040】
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
【0041】
で表される環状炭酸エステルを得る環状炭酸エステルの製造方法を提供することによっても解決される。
【0042】
このとき、前記4級アンモニウムモノハライド及び前記4級ホスホニウムモノハライドが下記一般式(13)
【0043】
【化14】
JP0006182775B2_000017t.gif

【0044】
(式中、Xは、ハロゲン原子である。Gは、窒素原子又はリン原子である。R26~R29は、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R26~R29は、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0045】
で表されるものであることが好適である。
【0046】
さらに、上記課題は、下記一般式(12)
【0047】
【化15】
JP0006182775B2_000018t.gif

【0048】
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛である。R10~R25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又はハロゲン原子である。)
【0049】
で表される金属フタロシアニン錯体からなる錯体、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)
【0050】
【化16】
JP0006182775B2_000019t.gif

【0051】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0052】
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【0053】
【化17】
JP0006182775B2_000020t.gif

【0054】
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基又はアリールアゾ基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0055】
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)
【0056】
【化18】
JP0006182775B2_000021t.gif

【0057】
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)
【0058】
で表される環状炭酸エステルを得る環状炭酸エステルの製造方法を提供することによっても解決される。
【0059】
このとき、前記4級アンモニウムモノハライド及び前記4級ホスホニウムモノハライドが下記一般式(13)
【0060】
【化19】
JP0006182775B2_000022t.gif

【0061】
(式中、Xは、ハロゲン原子である。Gは、窒素原子又はリン原子である。R26~R29は、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基であり、該有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基又は置換基を有してもよい複素環基である。R26~R29は、相互に結合して環を形成してもよい。)
【0062】
で表されるものであることが好適である。
【発明の効果】
【0063】
本発明の金属ポルフィリン錯体は、二酸化炭素固定化触媒として用いた際に、高い触媒活性を示し、環境負荷が小さく、しかも容易に合成できる。したがって、二酸化炭素の固定化、特に、環状炭酸エステルの製造に好適に用いることができる。また、本発明の環状炭酸エステルの製造方法は、高効率であり、なおかつ環境負荷が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】環状炭酸エステルの収率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
本発明の金属ポルフィリン錯体は、下記一般式(1)で表されるものである。当該化合物は新規化合物である。

【0066】
【化20】
JP0006182775B2_000023t.gif

【0067】
(式中、Mは金属である。A~Aは、それぞれ独立して下記一般式(2)で表される置換基である。)

【0068】
【化21】
JP0006182775B2_000024t.gif

【0069】
(式中、Dは、炭素数1~20の2価の有機基である。Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。Xは、ハロゲン原子である。)

【0070】
本発明の金属ポルフィリン錯体の特徴は、Eで表される、4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基を有することである。当該置換基は、ハロゲンイオンXと4級アンモニウム塩又は4級ホスホニウム塩を形成する。このような塩は強い求核性を有する。そして、本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒として用いた場合には、当該錯体の中心金属Mがルイス酸として働き、Eを対イオンとするXが、求核剤として働く。しかも、Eは、2価の有機基Dを介してポルフィリン環に結合しているため、Eは適度な自由度を有するとともに、Eと中心金属Mとの距離が適度であるため、1つの原料分子に対して、金属Mと、Eを対イオンとするXが同時に作用することができる。これにより反応が顕著に促進される。

【0071】
上記一般式(1)において、Mは金属である。Mはルイス酸性を有する。Mは金属であれば特に限定されないが、二酸化炭素固定化触媒として用いた場合に高い触媒活性を示す、2価又は3価の金属が好適である。

【0072】
2価の金属としては、マグネシウム、亜鉛、銅、ニッケル、コバルト、鉄等が挙げられる。

【0073】
3価の金属である場合には、Mは、3価の金属及び1価のカウンターアニオンの組み合わせからなる。この場合の3価の金属としては、コバルト、鉄、マンガン、クロム、アルミニウム等が挙げられ、カウンターアニオンとしては、ハライドアニオン、酢酸アニオン等が挙げられる。

【0074】
Mは2価の金属であることがより好適である。なかでも、マグネシウム、亜鉛がさらに好適であり、マグネシウムが特に好適である。

【0075】
上記一般式(1)において、A~Aは、それぞれ独立して上記一般式(2)で表される置換基である。

【0076】
上記一般式(2)において、Eは、炭素数3~60の4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基である。炭素数は3~30であることが好適である。

【0077】
4級アンモニウム基及び4級ホスホニウム基としては、特に限定されないが、下記一般式(3)

【0078】
【化22】
JP0006182775B2_000025t.gif

【0079】
(式中、Gは、窒素原子又はリン原子である。R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)

【0080】
または、下記一般式(14)
【化23】
JP0006182775B2_000026t.gif
(式中、R30~R34は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の炭化水素基である。R30~R34は、相互に結合して環を形成してもよい。)

【0081】
で表されるものであることが好適である。このような置換基は嵩高い。本発明の金属ポルフィリン錯体を触媒として用いた環状炭酸エステルの合成などにおいて、置換基Eが嵩高いものであることにより、Eを対イオンとするXが求核剤としてさらに効率よく機能し、触媒活性がさらに向上する。

【0082】
上記一般式(3)において、Gは、窒素原子又はリン原子である。

【0083】
上記一般式(3)において、R~Rは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。炭素数は、2以上が好適である。合成が容易である観点からは、炭素数は、10以下が好適である。

【0084】
有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基などが挙げられる。ここで、置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。有機基は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基が好適であり、アルキル基、アリール基がより好適である。

【0085】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基等の直鎖のアルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等の分岐鎖のアルキル基が挙げられ、なかでも、n-ブチル基が好適である。

【0086】
アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基等が挙げられ、なかでも、フェニル基が好適である。

【0087】
~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。環は単環であってもよいし、ビシクロ環であってもよい。単環の場合、環を形成する炭素数の合計が2~40であればよく、3~20が好適である。ビシクロ環の場合、ビシクロ環を形成する炭素数の合計が3~60であればよく、5~30が好適である。また、環を形成する原子の一部にヘテロ原子が含まれていてもよく、例えば、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。

【0088】
上記一般式(14)において、R30~R34は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の炭化水素基である。炭化水素基の炭素数は2以上が好適である。合成が容易である観点からは、炭素数は10以下が好適である。

【0089】
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、などが挙げられる。なかでも、アルキル基が好適である。

【0090】
30~R34は、相互に結合して環を形成してもよい。環を形成する炭素数の合計が2~40であればよく、3~20が好適である。

【0091】
合成が容易である観点からは、R30~R34が水素原子であることが好適である。

【0092】
上記一般式(2)において、Dは、炭素数1~20の2価の有機基である。Dは、ポルフィリン環と一般式(2)中のEを連結する。EがDを介してポルフィリン環に結合することにより、Eの自由度が向上する。これにより本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒などとして用いた場合に、Eを対イオンとするXが求核攻撃し易くなる。これにより、高い触媒活性が得られる。

【0093】
の自由度の観点からは、Dの炭素数は2以上であることが好適である。一方、Dの炭素数が20を超えた場合、コスト高になる。Dの炭素数は15以下であること好適である。

【0094】
上記一般式(2)において、Dにおける有機基が下記一般式(4)

【0095】
【化24】
JP0006182775B2_000027t.gif

【0096】
(式中、Jは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。)

【0097】
で表される有機基であることが好適である。このような有機基はフレキシブルであるため、Eの自由度がより高くなる。これにより、本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒などとして用いた場合に、Eを対イオンとするXがさらに求核攻撃し易くなる。これにより、触媒活性がさらに高くなる。上記一般式(4)中のJは、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-、硫黄原子、-O-CO-NH-、-NH-CO-O-、-CO-NH-、-NH-CO-又は単結合である。合成が容易である観点からは、Jが、酸素原子、-CO-O-、-O-CO-であることが好適であり、酸素原子であることがより好適である。aは、0以上の整数であり、bは、1以上の整数である。合成が容易である観点からは、aが0であることが好適である。すなわち、Jがポルフィリン環に直接結合していることが好適である。

【0098】
上記一般式(2)におけるXは、ハロゲン原子である。Xはアニオン(すなわちX)となって、一般式(2)中のEと塩を形成する。Xは特に限定されないが、本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒などとして用いた場合に、求核攻撃し易い観点からは、Xが臭素原子又はヨウ素原子であることが好適であり、臭素原子であることがより好適である。

【0099】
合成が容易である観点からは、前記一般式(1)中のA~Aのフェニル基に対する結合位置が同じであることも好適である。また、A~Aの結合位置がフェニル基のメタ位又はパラ位であることが合成時に立体異性体が生じないため好適である。また、本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒などとして用いた場合に、立体障害が生じない点からもA~Aの結合位置がフェニル基のメタ位又はパラ位であることが好適である。そして、前記一般式(1)は、下記一般式(5)

【0100】
【化25】
JP0006182775B2_000028t.gif

【0101】
(式中、M及びA~Aは、上記一般式(1)に同じである。)

【0102】
で表されるものであることがより好適である。この場合には、本発明の金属ポルフィリン錯体を環状炭酸エステルの合成における触媒などとして用いた場合に、Eを対イオンとするXがさらに求核攻撃し易くなる。これにより、さらに高い触媒活性が得られる。

【0103】
合成が容易である観点からは、A~Aはすべて同じものであることが好適である。

【0104】
上記一般式(1)で表される本発明の金属ポルフィリン錯体を合成する方法は特に限定されるものではないが、好適な合成方法は、下記一般式(6)

【0105】
【化26】
JP0006182775B2_000029t.gif

【0106】
(式中、D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)

【0107】
で表されるポルフィリンと、金属Mの塩を反応させて、下記一般式(7)

【0108】
【化27】
JP0006182775B2_000030t.gif

【0109】
(式中、Mは、上記一般式(1)に同じである。D及びXは、上記一般式(2)に同じである。)

【0110】
で表される金属錯体を得た後に、当該金属錯体と、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させて、上記一般式(1)で表される金属ポルフィリン錯体を得る製造方法である。ここで、金属Mは、上記一般式(1)に同じである。3級アミン及び3級ホスフィンは、それぞれアンモニウム塩及びホスホニウム塩となり、上記一般式(2)におけるEを形成するものである。通常、ポルフィリン錯体を製造する場合、合成工程の最終段階でポルフィリンと中心金属を反応させる。これに対して、本発明の方法では、上記一般式(6)で表されるポルフィリンに金属Mを導入した後に、3級アミン又は3級ホスフィンを反応させることにより、金属ポルフィリン錯体の収率が向上する。また、この方法は、反応工程も短く、かつ各工程の反応もごく一般的な反応を用いているため、本発明の金属ポルフィリン錯体を容易に製造することができる。そのため、経済的に非常に有利である。

【0111】
上記一般式(6)で示されるポルフィリンは、例えば、次のようにして合成できる。ピロールとハロゲン化された有機基を有するベンズアルデヒドをトリフルオロ酢酸、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体等(これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい)の酸触媒を用いて環化させた後に、DDQ(2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン)などの酸化剤により酸化させることによって合成する。このときの溶媒としては、ジクロロメタンを用いることができる。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。

【0112】
こうして得られた上記一般式(6)で表されるポルフィリンに中心金属を導入する方法は、中心金属の種類により、適宜選択すればよい。例えば、ポルフィリンと金属塩を溶媒中で混合することにより金属錯体を形成させた後に、水を加えて金属塩を洗浄し、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することにより得られる。このとき、ポルフィリン1モルに対して、金属塩を3~20モル混合して反応させることが好適である。溶媒としては、クロロホルム、メタノール、塩化メチレン等が用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。反応温度は通常、0~100℃の範囲で適宜選択される。

【0113】
得られた上記一般式(7)で表される金属錯体と、3級アミン又は3級ホスフィンを溶媒に溶かした後に溶媒を撹拌することにより上記一般式(1)で表される金属ポルフィリン錯体が得られる。このとき、金属錯体1モルに対して、3級アミン又は3級ホスフィンを4~30モル混合して反応させることが好適である。溶媒としては、クロロホルム、アセトニトリル等が用いられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。反応温度は通常、0~100℃の範囲で適宜選択される。反応生成物は、通常の分離手段、例えばカラムクロマトグラフィー又は再結晶などで精製することができる。

【0114】
こうして得られる本発明の金属ポルフィリン錯体からなる二酸化炭素固定化触媒が本発明の好適な実施態様である。本発明の金属ポルフィリン錯体は、C1炭素源として二酸化炭素を用いた合成反応を顕著に促進する。二酸化炭素は、再生可能で安全なC1炭素源であり、二酸化炭素をC1炭素源として用いることのメリットは大きい。また、二酸化炭素排出量の削減の観点からも好ましい。なかでも、本発明の金属ポルフィリン錯体は、二酸化炭素とエポキシドから環状炭酸エステルを合成する反応を顕著に促進する。

【0115】
当該二酸化炭素固定化触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)

【0116】
【化28】
JP0006182775B2_000031t.gif

【0117】
(式中、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。R~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。)

【0118】
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)

【0119】
【化29】
JP0006182775B2_000032t.gif

【0120】
(式中、R~Rは、上記一般式(8)に同じである。)

【0121】
で表される環状炭酸エステルを得る環状炭酸エステルの製造方法がより好適な実施態様である。当該方法は、溶媒を使用しないため、廃液が発生しないうえに、副生成物が一切発生しないことから、環境負荷が非常に小さい。さらに、本発明の二酸化炭素固定化触媒は従来のポルフィリン錯体と共触媒を用いた方法と比べて、触媒活性が極めて高い。そのため、既存のホスゲンを使用する方法との置き換えが期待できる。

【0122】
上述の反応は、上記一般式(8)で表されるエポキシド及び上記一般式(1)で表される金属ポルフィリン錯体をオートクレーブ等の圧力容器に添加した後に、容器中を二酸化炭素で充填することにより行うことができる。金属ポルフィリン錯体の使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して0.0001~0.1mol%(エポキシド1molに対して、金属ポルフィリン錯体0.000001~0.001mol)使用することが好適である。容器中の初期圧力は、0.1~5MPaが好適である。反応温度は、10~200℃が好適である。本発明の製造方法によれば、このような穏和な条件であっても、効率よく環状炭酸エステルが得られる。

【0123】
本発明の金属ポルフィリン錯体が二酸化炭素とエポキシドの反応を促進するメカニズムとしては、以下のようなことが考えられる。反応のメカニズムを以下の化学式を用いて説明する。

【0124】
【化30】
JP0006182775B2_000033t.gif

【0125】
金属ポルフィリン錯体中の中心金属Mがルイス酸として機能することにより原料のエポキシド中の酸素と結合した後に、エポキシド中の炭素に対してEを対イオンとするXが求核攻撃することにより、エポキシドが開環する。このとき、1つの金属ポルフィリン錯体中の中心金属Mと、Eを対イオンとするXが同時にエポキシドに対して作用することで反応の律速であるエポキシドの開環反応が促進され反応が顕著に促進するものと考えられる。

【0126】
上記一般式(8)における、R~Rは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1~20の1価の有機基である。合成が容易である観点からは、有機基の炭素数は10以下が好適である。

【0127】
有機基としては、例えば、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルデヒド基、保護されていてもよいカルボキシル基又はその塩、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アルキロキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、アルキルカルボニロキシ基、アリールカルボニロキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、アルキルアンモニウム基、アリールアンモニウム基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルアゾ基、アリールアゾ基等が挙げられる。ここで、置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。有機基は、置換基を有してもよいアルキル基が好適である。

【0128】
~Rは、相互に結合して環を形成してもよい。環を形成する炭素数の合計が2~40であればよく、3~20が好適である。また、環を形成する原子の一部にヘテロ原子が含まれていてもよく、例えば、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。

【0129】
反応が進みやすい観点からは、R~Rのいずれか1つが有機基であり、その他が水素原子であることが好適である。

【0130】
一方、上記一般式(9)で表される環状炭酸エステルは、下記一般式(10)

【0131】
【化31】
JP0006182775B2_000034t.gif

【0132】
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛を表し、Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。)

【0133】
で表される金属ポルフィリン錯体からなる触媒、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)

【0134】
【化32】
JP0006182775B2_000035t.gif

【0135】
(式中、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。R及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。)

【0136】
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)

【0137】
【化33】
JP0006182775B2_000036t.gif

【0138】
(式中、R~Rは前記と同義である。)

【0139】
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)

【0140】
【化34】
JP0006182775B2_000037t.gif

【0141】
(式中、R~Rは前記と同義である。)

【0142】
で表される環状炭酸エステルを得る製造方法によっても高効率で得られる。特定の共触媒を用いるこの方法を、以下「金属ポルフィリン錯体を用いた2成分法」ということがある。ポルフィリン錯体の中心金属として、マグネシウム又は亜鉛を用いることにより触媒活性が顕著に向上する。このような金属を用いることが2成分法の大きな特徴である。これまで、一般的に、マグネシウム錯体や亜鉛錯体は触媒活性が低いと考えられていたため、触媒用の金属錯体としてはあまり用いられていなかった。マグネシウムや亜鉛のような安価な汎用金属を用いることで、触媒活性が顕著に向上することは驚くべきことである。このとき、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び上記一般式(11)で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒を用いることも重要である。上述のマグネシウム又は亜鉛のポルフィリン錯体と、このような共触媒を組み合わせて用いることにより、触媒活性が顕著に向上する。

【0143】
上述の反応は、一般式(8)で表されるエポキシド、一般式(10)で表される金属ポルフィリン錯体、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び上記一般式(11)で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒をオートクレーブ等の圧力容器に加え、容器中に二酸化炭素を充填することにより反応を行うことができる。金属ポルフィリン錯体の使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して、0.0001~1mol%(エポキシド1molに対して、金属ポルフィリン錯体0.000001~0.01mol)使用することが好適である。共触媒の使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して、0.0001~1mol%(エポキシド1molに対して、共触媒0.000001~0.01mol)使用することが好適である。金属ポルフィリン錯体及び共触媒の使用量以外の反応条件は、上述した、一般式(1)で表される、4級アンモニウム基又は4級ホスホニウム基を分子内に有する金属ポルフィリン錯体からなる二酸化炭素固定化触媒を用いた環状炭酸エステルの製造方法(以下、「2官能性触媒法」ということがある)と同様の条件で行うことができる。

【0144】
上記一般式(10)において、Mは、マグネシウム又は亜鉛である。

【0145】
上記一般式(10)において、Arは、置換基を有していてもよい芳香環を表す。芳香環としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基又はフェナントリル基等が挙げられる。なかでも、フェニル基が好適である。芳香環が置換基を有する場合、置換基としては、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子等が挙げられる。

【0146】
前記4級アンモニウムモノハライド及び前記4級ホスホニウムモノハライドとしては、下記一般式(13)

【0147】
【化35】
JP0006182775B2_000038t.gif
(式中、Gは、上記一般式(3)に同じである。R26~R29は、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。R26~R29は、相互に結合して環を形成してもよい。Xは、上記一般式(2)に同じである。)

【0148】
で表されるものが好適である。

【0149】
上記一般式(13)において、R26~R29は、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。R26~R29は、上記一般式(3)中のR~Rと同様のものが用いられる。R26~R29は、相互に結合して環を形成してもよい。環を形成する炭素数の合計が2~40であればよく、2~20が好適である。また、環を形成する原子の一部にヘテロ原子が含まれていてもよく、例えば、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。

【0150】
上記一般式(11)における、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1~20の1価の有機基である。合成が容易である観点からは、R及びRにおける炭素数は10以下であることが好適である。有機基としては、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアリールアルキル基、置換基を有してもよいアリールアルケニル基、置換基を有してもよいアリールアルキニル基、置換基を有してもよいシクロアルキル基、置換基を有してもよい複素環基などが挙げられる。なかでも、アルキル基、アリール基がより好適である。

【0151】
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基等が挙げられる。なかでも、安価に入手できるメチル基が好適である。

【0152】
及びRは、相互に結合して環を形成してもよい。この場合には、R及びRの炭素数の合計が2~40であればよく、2~20であることが好適である。また、環を形成する原子の一部にヘテロ原子が含まれていてもよく、例えば、窒素原子、酸素原子等が挙げられる。

【0153】
上記一般式(8)で表されるエポキシドは、2官能性触媒法に用いられるエポキシドと同じものが使用される。

【0154】
上記一般式(10)で表される金属ポルフィリン錯体の製造方法は、特に限定されず、例えば、ポルフィリンと金属塩を溶媒中で混合することにより金属錯体を形成させた後に、水を加えて過剰の金属塩を洗浄することにより得ることができる。ポルフィリンは、市販のものを好適に使用できる。この場合には、コストがより低減する。また、上述の2官能性触媒法における、一般式(6)で示されるポルフィリンの製造方法において、ハロゲン化された有機基を有するベンズアルデヒドの代わりに、各種芳香族アルデヒドを用いることによっても得られる。

【0155】
また、上記一般式(9)で表される環状炭酸エステルは、下記一般式(12)

【0156】
【化36】
JP0006182775B2_000039t.gif

【0157】
(式中、Mは、マグネシウムまたは亜鉛である。R10~R25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又はハロゲン原子である。)

【0158】
で表される金属フタロシアニン錯体からなる錯体、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び下記一般式(11)

【0159】
【化37】
JP0006182775B2_000040t.gif

【0160】
(式中、R及びRは、前記と同義である。)

【0161】
で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒の存在下、二酸化炭素と下記一般式(8)
【化38】
JP0006182775B2_000041t.gif
(式中、R~Rは、前記と同義である。)

【0162】
で表されるエポキシドを反応させて、下記一般式(9)

【0163】
【化39】
JP0006182775B2_000042t.gif

【0164】
(式中、R~Rは、前記と同義である。)

【0165】
で表される環状炭酸エステルを得る製造方法によっても高効率で得られる。当該方法は、上述の「金属ポルフィリン錯体を用いた2成分法」において、ポルフィリンの代わりに、フタロシアニンを用いた方法である。この方法においても、中心金属Mがマグネシウム又は亜鉛であり、なおかつ、共触媒として4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び上記一般式(11)で表される化合物から選択される少なくとも1種を用いることが重要であると考えられる。

【0166】
上記一般式(8)で表されるエポキシド、一般式(12)で表される金属フタロシアニン錯体からなる錯体、並びに、4級アンモニウムモノハライド、4級ホスホニウムモノハライド及び上記一般式(11)で表される化合物から選択される少なくとも1種からなる共触媒をオートクレーブ等の圧力容器に加え、容器中に二酸化炭素を充填することにより反応を行うことができる。金属フタロシアニン錯体の使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して、0.0001~1mol%(エポキシド1molに対して、金属フタロシアニン錯体0.000001~0.01mol)使用することが好適である。共触媒の使用量は特に限定されないが、エポキシドに対して、0.0001~1mol%(エポキシド1molに対して、共触媒0.000001~0.01mol)使用することが好適である。金属フタロシアニン錯体及び共触媒の使用量以外の反応条件は、上述した、2官能性触媒法と同様の条件で行うことができる。

【0167】
上記一般式(12)において、R10~R25は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~20の1価の炭化水素基又はハロゲン原子である。

【0168】
炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、シクロアルキル基、などが挙げられる。なかでも、アルキル基が好適である。合成が容易である観点からは、炭化水素基の炭素数は10以下であることが好適である。

【0169】
10~R25が水素原子又はハロゲン原子であることが好適である。

【0170】
共触媒及び原料のエポキシドは、上述した金属ポルフィリン錯体を用いた2成分法において用いられるものと同じものが使用される。

【0171】
上記一般式(11)で表される金属フタロシアニン錯体の製造方法は、特に限定されず、例えば、フタロシアニンと金属塩を溶媒中で混合することにより金属錯体を形成させた後に、水を加えて過剰の金属塩を洗浄することにより得ることができる。フタロシアニンは市販のものを好適に使用できる。これにより、コストがより低減する。
【実施例】
【0172】
以下、実施例を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
【実施例】
【0173】
測定に用いた測定機器は以下の通りである。
融点測定器:Mettler Toledo,FP-62
IR測定装置:Shimadzu,FTIR-8900
H NMR (600 MHz)測定装置:Varian,Unity Inova AS600
13C NMR (150 MHz)測定装置:Varian,Unity Inova AS600
【実施例】
【0174】
[1] 二官能性触媒の合成
【実施例】
【0175】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-bromohexyloxy)phenyl]porphyrin (5a)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0176】
【化40】
JP0006182775B2_000043t.gif
【実施例】
【0177】
ピロール(695 μL, 10.0 mmol)と3-(6-ブロモヘキシルオキシ)ベンズアルデヒド(4a) (2.86 g, 10.0 mmol)を脱水塩化メチレン(1.0 L)に溶かした溶液をアルゴンバブリングし、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(12 μL, 0.097 mmol)とトリフルオロ酢酸(670 μL, 9.02 mmol)を加えた。この混合溶液を遮光して室温で4時間撹拌した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(2.27 g, 10.0 mmol)を加え、さらに9時間撹拌した。反応混合物にトリエチルアミン(1.0 mL, 7.2 mmol)を加え、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム/ヘキサン(2:1)]により精製し、化合物5a(紫色の固体)を得た(収量1.73 g、収率52%)。
【実施例】
【0178】
1H NMR (重クロロホルム, 600 MHz) -2.80 (s, 2H), 1.55 (br s, 16H), 1.89-1.92 (m, 16H), 3.41 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 4.15 (t, J = 6.4 Hz, 8H), 7.32 (dd, J = 2.3, 8.5 Hz, 4H), 7.63 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.77 (s, 4H), 7.81 (d, J = 7.1 Hz, 4H), 8.90 (s, 8H)
13C NMR (重クロロホルム, 150 MHz, 50 ℃) 25.4, 28.0, 29.2, 32.7, 33.5, 68.2, 114.3, 120.0, 121.4, 127.5, 127.6, 131.1, 143.6, 146.7, 157.6
IR (臭化カリウム) 3317, 3063, 2932, 2862, 1589, 1466, 1435, 1342, 1281, 1173, 1042, 972, 926, 795, 733, 648 cm-1
Anal. Calcd for C68H74Br4N4O4: C, 61.36; H, 5.60; N, 4.21. Found: C, 60.99; H, 5.76; N, 4.11
MS (FAB) calcd for C68H7579Br281Br2N4O4 1331.2, found 1331.3 (M + H)
【実施例】
【0179】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-bromohexyloxy)phenyl]porphyrin zinc(II) (6a)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0180】
【化41】
JP0006182775B2_000044t.gif
ポルフィリン5a(266mg,0.200mmol)を脱水クロロホルムに溶かし、窒素雰囲気下、70℃で45分撹拌した。酢酸亜鉛二水和物(439mg,2.00mmol)を脱水メタノール(4 mL)に溶かして加え、70 ℃で4時間撹拌した。室温まで冷やし、濃縮した後、水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[塩化メチレン/ヘキサン(2:1)]により精製し、化合物6a(赤紫色の固体)を得た(収量272 mg、収率98%)。
【実施例】
【0181】
1H NMR (重クロロホルム, 600 MHz) 1.53-1.55 (m, 16H), 1.88-1.90 (m, 16H), 3.40 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 4.11-4.15 (m, 8H), 7.30-7.32 (m, 4H), 7.63 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.76-7.77 (m, 4H), 7.81 (d, J = 7.3 Hz, 4H), 9.00 (s, 8H)
13C NMR (重クロロホルム, 150 MHz) 25.3, 27.9, 29.1, 32.6, 33.7, 67.9, 114.0, 120.9, 121.0, 127.3, 127.5, 132.0, 144.0, 150.1, 157.1
IR (臭化カリウム) 3062, 2936, 2858, 1597, 1578, 1477, 1435, 1339, 1285, 1258, 1184, 1049, 999, 937, 799, 721, 702, 648 cm-1
Anal. Calcd for C68H72Br4N4O4Zn: C, 58.57; H, 5.20; N, 4.02. Found: C, 58.65; H, 5.25 N, 3.70
MS (FAB) calcd for C68H7379Br281Br2N4O464Zn 1393.2, found 1393.2 (M + H)
【実施例】
【0182】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-triphenylphosphoniohexyloxy)phenyl]porphyrin zinc(II) tetrabromide (1a)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0183】
【化42】
JP0006182775B2_000045t.gif
【実施例】
【0184】
化合物6a (139 mg, 0.100 mmol)とトリフェニルホスフィン(315 mg, 1.20 mmol)を脱水クロロホルム(1 mL)と脱水アセトニトリル(1 mL)の混合溶媒に溶かし、遮光してアルゴン雰囲気下、70 ℃で48時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷やし、濃縮した。粗生成物をジエチルエーテルで洗浄し、濾過した。再結晶(塩化メチレン/ジエチルエーテル)により、亜鉛ポルフィリン錯体1a(紫色の固体)を得た(収量207 mg、収率85%)。
【実施例】
【0185】
1H NMR (d6-ジメチルスルホキシド, 600 MHz) 1.50-1.55 (m, 24H), 1.74-1.81 (m, 8H), 3.59 (br s, 8H), 4.13 (br s, 8H), 7.35-7.36 (m, 4H), 7.66-7.83 (m, 72H), 8.78 (s, 8H)
13C NMR (重メタノール, 150 MHz) 22.4 (d, JCP = 51.6 Hz), 23.3, 26.3, 29.8, 30.9 (d, JCP = 15.6 Hz), 68.8, 114.2, 119.7 (d, JCP = 85.7 Hz), 121.6, 122.8, 128.4, 128.6, 131.4 (d, JCP = 12.6 Hz), 132.6, 134.6 (d, JCP = 9.7 Hz), 136.0, 145.8, 151.2, 158.5
31P NMR (重メタノール, 243 MHz) 24.2
IR (臭化カリウム) 3055, 2932, 2862, 1582, 1474, 1435, 1327, 1281, 1173, 1111, 1057, 995, 934, 787, 725, 687 cm-1
HRMS (ESI) calcd for C140H13281Br3N4O4P464Zn 2363.5979, found 2363.5986 (M - Br)
【実施例】
【0186】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-tributylammoniohexyloxy)phenyl]porphyrin zinc(II) tetrabromide (1c) の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0187】
【化43】
JP0006182775B2_000046t.gif
【実施例】
【0188】
化合物6a (110 mg, 0.0788 mmol)とトリブチルアミン(0.45 mL, 1.9 mmol)を脱水クロロホルム(0.79 mL)と脱水アセトニトリル(0.79 mL)の混合溶媒に溶かし、遮光して窒素雰囲気下、70 ℃で90時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、濃縮した。トリブチルアミンの層をピペットで除いた。混合物に塩化メチレンを加え、0.5% 臭化水素酸と臭化ナトリウムを含む水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。再結晶(塩化メチレン/ジエチルエーテル)により、亜鉛ポルフィリン錯体1c(紫色の固体)を得た(収量123 mg、収率73%)。
【実施例】
【0189】
1H NMR (重メタノール, 600 MHz) 0.92-0.97 (m, 36H), 1.31-1.64 (m, 72H), 1.89 (br s, 8H), 3.11-3.20 (m, 32H), 4.19-4.20 (m, 8H), 7.34-7.35 (m, 4H), 7.62-7.65 (m, 4H), 7.73-7.77 (m, 8H), 8.85 (s, 8H)
13C NMR (重メタノール, 150 MHz) 14.0, 20.5, 22.58, 22.62, 24.6, 26.6, 26.9, 30.1, 59.3, 68.9, 114.3, 121.6, 122.7, 128.4, 128.6, 132.7, 145.9, 151.3, 158.7
IR (臭化カリウム) 3063, 2936, 2870, 1597, 1574, 1474, 1431, 1385, 1335, 1285, 1258, 1180, 1049, 995, 937, 880, 791, 718, 702 cm-1
【実施例】
【0190】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-bromohexyloxy)phenyl]porphyrin magnesium(II) (6b)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0191】
【化44】
JP0006182775B2_000047t.gif
【実施例】
【0192】
化合物5a (266 mg, 0.200 mmol)と臭化マグネシウム(368 mg, 2.00 mmol)を脱水塩化メチレン(17 mL)中、窒素雰囲気下、室温で5分撹拌した。トリエチルアミン(1.7 mL, 12 mmol)を加え、室温で30分撹拌した。混合溶液を0.5% 塩酸と水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)により、化合物6b(紫色の固体)を得た(収量261 mg、収率96%)。
【実施例】
【0193】
1H NMR (重クロロホルム, 600 MHz) 1.53-1.54 (m, 16H), 1.86-1.91 (m, 16H), 3.40 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 4.14 (t, J = 6.4 Hz, 8H), 7.29 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 4H), 7.60 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.78 (br s, 4H), 7.81 (d, J = 7.6 Hz, 4H), 8.91 (s, 8H)
13C NMR (重クロロホルム, 150 MHz, 50 ℃) 25.3, 27.9, 29.1, 32.7, 33.5, 68.3, 113.9, 121.3, 121.7, 126.9, 128.0, 131.8, 145.1, 149.9, 156.9
IR (臭化カリウム) 3055, 2932, 2862, 1666, 1597, 1474, 1427, 1389, 1335, 1281, 1180, 1049, 995, 941, 880, 795, 725, 640 cm-1
Anal. Calcd for C68H72Br4MgN4O4: C, 60.35; H, 5.36; N, 4.14. Found: C, 60.12; H, 5.48; N, 3.76
MS (FAB) calcd for C68H7379Br281Br2MgN4O4 1353.2, found 1353.2 (M + H)
【実施例】
【0194】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-triphenylphosphoniohexyloxy)phenyl]porphyrin magnesium(II) tetrabromide (1b)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0195】
【化45】
JP0006182775B2_000048t.gif
【実施例】
【0196】
化合物6b (271 mg, 0.200 mmol)とトリフェニルホスフィン(630 mg, 2.40 mmol)を脱水クロロホルム(2 mL)と脱水アセトニトリル(2 mL)の混合溶媒に溶かし、遮光してアルゴン雰囲気下、70 ℃で48時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷やし、濃縮した。粗生成物をジエチルエーテルで洗浄し、濾過した。再結晶(塩化メチレン/ジエチルエーテル)により、マグネシウムポルフィリン錯体1bを紫色の固体として得た(収量337 mg、収率70%)。
【実施例】
【0197】
1H NMR (重メタノール, 600 MHz) 1.58-1.69 (m, 24H), 1.82 (br s, 8H), 3.35-3.38 (m, 8H), 4.15 (br s, 8H), 7.31 (d, J = 8.4 Hz, 4H), 7.62-7.74 (m, 72H), 8.77-8.78 (m, 8H)
13C NMR (重メタノール, 150 MHz) 22.4 (d, JCP = 49.9 Hz), 23.3, 26.3, 29.8, 31.0 (d, JCP = 15.9 Hz), 68.8, 114.0, 119.7 (d, JCP = 85.1 Hz), 122.6, 122.9, 128.3, 128.8, 131.4 (d, JCP = 12.3 Hz), 132.7, 134.6 (d, JCP = 9.2 Hz), 136.1, 146.3, 151.1, 158.5
31P NMR (重メタノール, 243 MHz) 28.2
IR (臭化カリウム) 3055, 2939, 2862, 1593, 1516, 1477, 1435, 1331, 1285, 1254, 1180, 1111, 1061, 995, 934, 883, 795, 721, 691 cm-1
【実施例】
【0198】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(6-tributylammoniohexyloxy)phenyl]porphyrin magnesium(II) tetrabromide (1d)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0199】
【化46】
JP0006182775B2_000049t.gif
【実施例】
【0200】
化合物6b (135 mg, 0.100 mmol)とトリブチルアミン(0.57 mL, 2.4 mmol)を脱水クロロホルム(1 mL)と脱水アセトニトリル(1 mL) の混合溶媒に溶かし、遮光してアルゴン雰囲気下、70 ℃で90時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、濃縮した。トリブチルアミンの層をピペットで除いた。得られた混合物に塩化メチレンを加え、0.5% 臭化水素酸と臭化ナトリウムを含む水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。再結晶(塩化メチレン/ジエチルエーテル)により、マグネシウムポルフィリン錯体1d(紫色の固体)を得た(収量157 mg、収率75%)。
【実施例】
【0201】
1H NMR (重メタノール, 600 MHz) 0.93-1.01 (m, 36H), 1.32-1.36 (m, 24H), 1.45-1.50 (m, 8H), 1.57-1.71 (m, 40H), 1.89-1.95 (m, 8H), 3.14-3.24 (m, 32H), 4.21 (br s, 8H), 7.34 (dd, J = 1.8, 8.6 Hz, 4H), 7.63 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.74-7.75 (m, 4H), 7.78 (d, J = 6.5 Hz, 4H), 8.81-8.82 (m, 8H)
13C NMR (重メタノール, 150 MHz) 14.0, 20.6, 22.6, 22.7, 24.7, 26.6, 26.9, 30.1, 59.3, 68.9, 114.2, 122.6, 122.8, 128.3, 128.8, 132.7, 146.4, 151.2, 158.6
IR (臭化カリウム) 3038, 2963, 2876, 1597, 1578, 1474, 1431, 1383, 1333, 1279, 1184, 1165, 997, 937, 880, 799, 727, 710, 694 cm-1
HRMS (ESI) calcd for C116H18079Br81Br2MgN8O4 2014.1487, found 2014.1243 (M - Br)
【実施例】
【0202】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(8-bromooctyloxy)phenyl]porphyrin (5b)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0203】
【化47】
JP0006182775B2_000050t.gif
【実施例】
【0204】
ピロール(0.81 mL, 12 mmol)と3-(8-ブロモオクチルオキシ)ベンズアルデヒド(4b) (3.66 g, 11.7 mmol)を脱水塩化メチレン(1.2 L)に溶かした溶液をアルゴンバブリングし、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(15 μL, 0.12 mmol)とトリフルオロ酢酸(0.78 mL, 11 mmol)を加えた。この混合溶液を遮光して室温で4時間撹拌した。2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-1,4-ベンゾキノン(2.66 g, 11.7 mmol)を加え、室温で13時間撹拌した。反応混合物にトリエチルアミン(1.2 mL, 8.6 mmol)を加え、濃縮した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー[クロロホルム/ヘキサン(4:3)]により精製し、化合物5b(高粘性な紫色の固体)を得た(収量2.24 g、収率53%)。
【実施例】
【0205】
1H NMR (重クロロホルム, 600 MHz) -2.79 (s, 2H), 1.35-1.46 (m, 24H), 1.50-1.54 (m, 8H), 1.82-1.90 (m, 16H), 3.38 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 4.15 (t, J = 6.5 Hz, 8H), 7.33 (dd, J = 2.0, 8.4 Hz, 4H), 7.64 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.78 (s, 4H), 7.81 (d, J = 7.3 Hz, 4H), 8.91 (s, 8H)
13C NMR (重クロロホルム, 150 MHz, 50 ℃) 26.0, 28.1, 28.6, 29.2, 29.4, 32.8, 33.6, 68.3, 114.3, 120.0, 121.4, 127.4, 127.6, 131.1, 143.5, 146.8, 157.6
IR (塩化メチレン) 3317, 3031, 2932, 2862, 1597, 1466, 1435, 1396, 1350, 1281, 1180, 1042, 995, 980, 918, 872, 802, 748, 702, 640 cm-1
MS (FAB) calcd for C76H9179Br281Br2N4O4 1443.4, found 1443.4 (M + H)
【実施例】
【0206】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(8-bromooctyloxy)phenyl]porphyrin magnesium (6c)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0207】
【化48】
JP0006182775B2_000051t.gif
【実施例】
【0208】
化合物5b (588 mg, 0.407 mmol)と臭化マグネシウム(752 mg, 4.09 mmol)を脱水塩化メチレン(34 mL)中、窒素雰囲気下、室温で5分撹拌した。トリエチルアミン(3.4 mL, 24 mmol)を加え、室温で30分撹拌した。混合溶液を0.5% 塩酸と水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。再結晶(塩化メチレン/ヘキサン)により、化合物6c(紫色の固体)を得た。(収量547 mg、収率92%)
【実施例】
【0209】
1H NMR (重クロロホルム, 600 MHz) 1.33-1.52 (m, 32H), 1.80-1.85 (m, 16H), 3.36 (t, J = 6.8 Hz, 8H), 4.03-4.09 (m, 8H), 7.24-7.25 (m, 4H), 7.59 (t, J = 7.9 Hz, 4H), 7.73 (br s, 4H), 7.80 (d, J = 7.2 Hz, 4H), 8.91 (s, 8H)
13C NMR (重クロロホルム, 150 MHz) 25.7, 25.76, 25.80, 25.83, 28.0, 28.59, 28.60, 28.9, 28.96, 29.04, 29.07, 29.10, 32.7, 33.9, 68.3, 113.76, 113.84, 121.3, 121.4, 126.9, 127.8, 131.9, 144.8, 149.7, 156.5, 156.6 (アトロップ異性体のシグナルが観測された)
IR (塩化メチレン) 3047, 2936, 2858, 1597, 1576, 1518, 1472, 1431, 1391, 1333, 1285, 1265, 1207, 1184, 1165, 1067, 999, 937, 870, 800, 785, 756, 708, 644 cm-1
Anal. Calcd for C76H88Br4MgN4O4: C, 62.29; H, 6.05; N, 3.82. Found: C, 62.24; H, 5.97; N, 3.57
HRMS (FAB) calcd for C76H8979Br281Br2MgN4O4 1465.3, found 1465.4 (M + H)
【実施例】
【0210】
5,10,15,20-Tetrakis[3-(8-tributylammoniooctyloxy)phenyl]porphyrin magnesium(II) tetrabromide (1e)の合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0211】
【化49】
JP0006182775B2_000052t.gif
【実施例】
【0212】
化合物6c (147 mg, 0.100 mmol)とトリブチルアミン(0.57 mL, 2.4 mmol)を脱水クロロホルム(1 mL)と脱水アセトニトリル(1 mL)の混合溶媒に溶かし、遮光してアルゴン雰囲気下、70 ℃で92時間撹拌した。反応溶液を室温まで冷却し、濃縮した。トリブチルアミンの層をピペットで除いた。混合物に塩化メチレンを加え、0.5% 臭化水素酸と臭化ナトリウムを含む水で洗浄した。混合物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。再結晶(塩化メチレン/ジエチルエーテル)により、マグネシウムポルフィリン錯体1e(紫色の固体)を得た(収量187 mg、収率85%)。
【実施例】
【0213】
1H NMR (重メタノール, 600 MHz) 0.90-0.99 (m, 36H), 1.21-1.52 (m, 88H), 1.84-1.87 (m, 8H), 2.98-3.00 (m, 32H), 4.16 (br s, 8H), 7.31 (d, J = 8.3 Hz, 4H), 7.62 (t, J = 7.8 Hz, 4H), 7.73 (br s, 4H), 7.77 (br s, 4H), 8.85 (s, 8H)
13C NMR (重メタノール, 150 MHz) 14.0, 20.5, 22.6, 24.6, 27.0, 27.1, 29.9, 30.1, 30.4, 59.2, 59.4, 69.2, 114.2, 122.6, 122.8, 128.3, 128.8, 132.8, 146.4, 151.2, 158.7
IR (臭化カリウム) 3038, 2939, 2876, 1597, 1578, 1474, 1433, 1383, 1333, 1281, 1207, 1184, 1165, 997, 937, 880, 799, 712, 696 cm-1
HRMS (ESI) calcd for C124H19679Br81Br2MgN8O4 2126.2739, found 2126.2368 (M - Br)
【実施例】
【0214】
上述のようにして合成した亜鉛ポルフィリン錯体(1a及び1c)及びマグネシウムポルフィリン錯体(1b及び1d及び1e)を触媒として用いた環状炭酸エステルの合成を行った。
【実施例】
【0215】
実施例1
触媒に亜鉛ポルフィリン錯体1aを用いた環状炭酸エステルの合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【実施例】
【0216】
【化50】
JP0006182775B2_000053t.gif
【実施例】
【0217】
(式中、Rはn-ブチル基である。)
【実施例】
【0218】
30 mLのオートクレーブにエポキシド2a(10.0 mmol)と触媒の亜鉛ポルフィリン錯体1a[0.001mmol(2aに対して0.01mol%)]を入れ、二酸化炭素を圧力が1MPaになるまで充填した。混合物を120℃で3時間撹拌した。オートクレーブを氷浴で30分間冷却し、そして余分な二酸化炭素を除いた。粗生成物に内部標準として2-メトキシナフタレンを加えNMR収率を求めた。環状炭酸エステル3aの収率は、80%であった。このときの反応条件及び収率を表1にも示す。
【実施例】
【0219】
実施例2~15
使用した触媒の種類及び使用量、二酸化炭素充填後の圧力、反応時間を表1に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同様にして環状炭酸エステル3aの合成及びNMR収率の測定を行った。それぞれのNMR収率を表1に示す。
【実施例】
【0220】
【表1】
JP0006182775B2_000054t.gif
【実施例】
【0221】
実施例16~20
触媒としてマグネシウムポルフィリン錯体1d(エポキシドに対して0.005 mol %)を使用し、二酸化炭素充填後の圧力を1.5MPaとし、エポキシドの種類及び反応時間が表2に示すとおりにしたこと以外は、実施例1と同様にして環状炭酸エステル(3a、3b、3c、3d、3e)の合成を行った。得られた各化合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し単離収率を求めた。その結果を表2に示す。
【表2】
JP0006182775B2_000055t.gif
【実施例】
【0222】
実施例21
触媒としてマグネシウムポルフィリン錯体TTP(Mg)、共触媒としてテトラフェニルホスホニウムブロマイド(TPPB)を用いた環状炭酸エステルの合成を行った。このときの化学反応式を以下に示す。
【化51】
JP0006182775B2_000056t.gif
30 mLのオートクレーブにエポキシド2a(10.0 mmol)、触媒のマグネシウムポルフィリン錯体TPP(Mg)[0.01mmol(2aに対して0.1mol%)]、及び共触媒のTPPB([0.01mmol(2aに対して0.1mol%)]を入れ、二酸化炭素を圧力が1MPaになるまで充填した。混合物を120℃で3時間撹拌した。オートクレーブを氷浴で30分間冷却し、そして余分な二酸化炭素を除いた。粗生成物に内部標準として2-メトキシナフタレンを加えNMR収率を求めた。環状炭酸エステル3aの収率は94%であった。このときの収率を表3及び図1にも示す。
【実施例】
【0223】
実施例22~26、比較例1~24
実施例21において、触媒及び共触媒の種類を表3に示すとおりにしたこと以外は、実施例21と同様にして環状炭酸エステル3aの合成及びNMR収率の測定を行った。それぞれのNMR収率を表2及び図1に示す。
【表3】
JP0006182775B2_000057t.gif
【実施例】
【0224】
実施例27~29
触媒として以下に示すものを用い、その添加量を表4に示すとおりにし、共触媒としてTBABを用い、その添加量を表4に示すとおりにしたこと以外は、実施例21と同様にして環状炭酸エステル3aの合成及びNMR収率の測定を行った。下記の錯体は、市販品を用いた。それぞれの反応条件及びNMR収率を表4に示す。
【化52】
JP0006182775B2_000058t.gif
【実施例】
【0225】
【表4】
JP0006182775B2_000059t.gif
図面
【図1】
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