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明細書 :新規化合物及びその製造法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成27年4月2日(2015.4.2)
発明の名称または考案の名称 新規化合物及びその製造法
国際特許分類 C07D 309/32        (2006.01)
C12P  17/06        (2006.01)
A61K  31/351       (2006.01)
A61K  35/74        (2015.01)
A61P  31/10        (2006.01)
C07D 493/14        (2006.01)
A61K  31/357       (2006.01)
A01N  63/02        (2006.01)
A01N  43/16        (2006.01)
A01P   3/00        (2006.01)
A01N  43/90        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
C12R   1/465       (2006.01)
FI C07D 309/32 CSP
C12P 17/06 ZNA
C12P 17/06
A61K 31/351
A61K 35/74 F
A61P 31/10
C07D 493/14
A61K 31/357
A01N 63/02 G
A01N 43/16 B
A01P 3/00
A01N 43/90 101
C12N 15/00 A
C12P 17/06
C12R 1:465
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 24
出願番号 特願2013-540765 (P2013-540765)
国際出願番号 PCT/JP2012/077229
国際公開番号 WO2013/061919
国際出願日 平成24年10月22日(2012.10.22)
国際公開日 平成25年5月2日(2013.5.2)
優先権出願番号 2011233692
優先日 平成23年10月25日(2011.10.25)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC
発明者または考案者 【氏名】今村 信孝
【氏名】中川 和也
【氏名】徳山 真治
出願人 【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B064
4C062
4C071
4C086
4C087
4H011
Fターム 4B024AA03
4B024AA07
4B024BA80
4B024CA02
4B024CA09
4B024CA20
4B024HA12
4B064AC40
4B064AE44
4B064CA04
4B064CC03
4B064CC06
4B064CC12
4B064CC15
4B064CD02
4B064CD19
4B064CD20
4B064CE08
4B064CE10
4B064DA04
4C062CC58
4C071AA01
4C071BB02
4C071CC14
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4C071FF06
4C071GG03
4C071HH08
4C071JJ01
4C071JJ06
4C071KK17
4C071LL01
4C071LL10
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086AA04
4C086BA07
4C086CA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BC22
4C087CA10
4C087CA37
4C087NA14
4C087ZB35
4H011AA03
4H011BB08
4H011BB21
4H011BC03
4H011DA15
4H011DD01
4H011DF05
4H011DG05
要約 本発明の課題は、抗カビ物質として有用な新規化合物及びその製造法を提供することである。本発明は、式(I):

JP2013061919A1_000035t.gif
(式中、Rは、

JP2013061919A1_000036t.gif
を示し、Rは、

JP2013061919A1_000037t.gif
を示す。)で表される化合物又はその塩、及び微生物を用いる該化合物の製造方法に関する。
特許請求の範囲 【請求項1】
式(I):
【化1】
JP2013061919A1_000029t.gif
(式中、Rは、
【化2】
JP2013061919A1_000030t.gif
を示し、Rは、
【化3】
JP2013061919A1_000031t.gif
を示す。)で表される化合物又はその塩。
【請求項2】
式(I):
【化4】
JP2013061919A1_000032t.gif
(式中、Rは、
【化5】
JP2013061919A1_000033t.gif
又は
【化6】
JP2013061919A1_000034t.gif
を示す。)で表される化合物又はその塩。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化合物を生産する能力を有するストレプトマイセス属に属する微生物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積させ、該化合物を採取することを特徴とする請求項1又は2に記載の化合物の製造法。
【請求項4】
請求項1又は2に記載の化合物を有効成分として含む抗カビ剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、抗カビ物質として有用な新規化合物、および微生物を用いたその製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
古くから、淡水魚、例えばニジマス等の養殖場において、ミズカビ病といわれる魚病が問題となっている。ミズカビ病は、卵菌網(Oomycetes)、ミズカビ目(Saprolegniales)、ミズカビ科(Saprolegniaceae)のミズカビ属(Saprolegnia)、ワタカビ属(Achlya)、アファノマイセス属(Aphanomyces)の種によって引き起こされる。卵菌網は、近年の分子解析および生化学的な研究により、原生生物界の不等毛類に分類され、菌類様の外見を持ち(非特許文献1)、植物病原菌のPhytophthora属もこのグループに属している。
【0003】
従来、色素剤のマラカイトグリーンがミズカビ病の起因生物に低濃度で活性を示し(非特許文献2)、また、安価であることから予防・治療剤として使用されてきた。しかし、近年、その発がん性が懸念され、養殖食用魚への使用が禁止された。これの代替品となる養殖魚又は魚卵のミズカビ病防止薬剤として、例えば、オゾン(特許文献1)、電解水(特許文献2)、有機酸(特許文献3)及びバチルス・ズブチリス菌(特許文献4)が提案されている。また、合成抗菌保存剤のブロノポール(C3H6BrNO4)を有効成分とする薬剤(商品名「パイセス」、ノバルティスアニマルヘルス株式会社製)などが販売されている。しかし、「パイセス」はマラカイトグリーンと比べて高価であり、また、有効成分であるブロノポールには食用カキ(EC50 0.77mg/L)、魚類の餌として有用なミジンコ(EC50 1.4mg/L)、緑藻(EC50 0.0537mg/L)などの水棲生物に強い毒性が認められているため(非特許文献3)、廃棄する際に大量の水での希釈を必要とする等の問題がある。よって、より安全で効果の高い抗カビ剤の開発が望まれている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平05-236843号公報
【特許文献2】特開平11-266733号公報
【特許文献3】特開2007-254463号公報
【特許文献4】国際公開第2006/101060号パンフレット
【0005】

【非特許文献1】千原光雄、藻類の多様性と系統、裳華房 (1999)
【非特許文献2】江草周三、魚介類の感染症・寄生虫病、恒星社厚生閣 (2004)
【非特許文献3】マテリアル・セイフティー・データ・シート プロダクト・コード:#0585 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、新規な抗カビ物質を天然界から検索し、その新規物質およびその製造法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために検討を重ねた結果、ストレプトマイセス属に属する微生物の培養液から得られた化合物が、選択的な抗カビ物質であることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は以下の発明を包含する。
(1)式(I):
【0008】
【化1】
JP2013061919A1_000003t.gif

【0009】
(式中、Rは、
【0010】
【化2】
JP2013061919A1_000004t.gif

【0011】
を示し、Rは、
【0012】
【化3】
JP2013061919A1_000005t.gif

【0013】
を示す。)で表される化合物又はその塩。
(2)式(I):
【0014】
【化4】
JP2013061919A1_000006t.gif

【0015】
(式中、Rは、
【0016】
【化5】
JP2013061919A1_000007t.gif

【0017】
又は
【0018】
【化6】
JP2013061919A1_000008t.gif

【0019】
を示す。)で表される化合物又はその塩。
(3)(1)又は(2)に記載の化合物を生産する能力を有するストレプトマイセス属に属する微生物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積させ、該化合物を採取することを特徴とする(1)又は(2)に記載の化合物の製造法。
(4)(1)又は(2)に記載の化合物を有効成分として含む抗カビ剤。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、新規な抗カビ物質及び該物質の微生物を用いた製造法を提供する。本発明の化合物は、非常に高い抗カビ活性を有し、さらに生態系への影響が低い。よって、抗カビ剤、具体的には、魚病の予防又は治療剤、または卵菌類を起因生物とする植物疫病の防除剤成分として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を詳細に説明する。

【0022】
本発明の化合物は、放線菌(ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株等)から単離・精製された化合物であり、抗カビ活性を有するものである。本発明の化合物の性質及びその製造方法について以下に詳述する。

【0023】
1.本発明の化合物の性質
本発明の化合物は、式(I):

【0024】
【化7】
JP2013061919A1_000009t.gif

【0025】
(式中、Rは、

【0026】
【化8】
JP2013061919A1_000010t.gif

【0027】
を示し、Rは、

【0028】
【化9】
JP2013061919A1_000011t.gif

【0029】
を示す。)で表される化合物又はその塩(以下、「式(I)の化合物」という場合もある)である。

【0030】
式(I)の化合物は、式(I):

【0031】
【化10】
JP2013061919A1_000012t.gif

【0032】
において、Rが、

【0033】
【化11】
JP2013061919A1_000013t.gif

【0034】
であり、Rが、

【0035】
【化12】
JP2013061919A1_000014t.gif

【0036】
である化合物(以下、「化合物(I-A)」という場合もある)、
が、

【0037】
【化13】
JP2013061919A1_000015t.gif

【0038】
であり、Rが、

【0039】
【化14】
JP2013061919A1_000016t.gif

【0040】
である化合物(以下、「化合物(I-B)」という場合もある)、
が、

【0041】
【化15】
JP2013061919A1_000017t.gif

【0042】
であり、Rが、

【0043】
【化16】
JP2013061919A1_000018t.gif

【0044】
である化合物(以下、「化合物(I-C)」という場合もある)、
が、

【0045】
【化17】
JP2013061919A1_000019t.gif

【0046】
であり、Rが、

【0047】
【化18】
JP2013061919A1_000020t.gif

【0048】
である化合物(以下、「化合物(I-D)」という場合もある)、及び
が、

【0049】
【化19】
JP2013061919A1_000021t.gif

【0050】
であり、Rが、

【0051】
【化20】
JP2013061919A1_000022t.gif

【0052】
である化合物(以下、「化合物(I-E)」という場合もある)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含む。

【0053】
式(I)の化合物の中で、式(I):

【0054】
【化21】
JP2013061919A1_000023t.gif

【0055】
(式中、Rは、

【0056】
【化22】
JP2013061919A1_000024t.gif

【0057】
又は

【0058】
【化23】
JP2013061919A1_000025t.gif

【0059】
を示す。)で表される化合物(以下、「式(I)の化合物」という場合もある)が好ましい。

【0060】
式(I)の化合物は、式(I):

【0061】
【化24】
JP2013061919A1_000026t.gif

【0062】
において、Rが、

【0063】
【化25】
JP2013061919A1_000027t.gif

【0064】
である化合物(以下、「化合物(I-1)」という場合もある)、及び/又は、Rが、

【0065】
【化26】
JP2013061919A1_000028t.gif

【0066】
である化合物(以下、「化合物(I-2)」という場合もある)を含む。ここで、化合物(I-1)は上述した化合物(I-A)に相当し、化合物(I-2)は上述した化合物(I-E)に相当している。

【0067】
なお、化合物(I-A)~(I-E)は、従来の方法に従って塩(特に塩基付加塩)を形成することができる。形成された化合物の塩も、本願発明に含まれる。

【0068】
化合物(I-A)~(I-E)の塩基付加塩としては無機塩基又は有機塩基との塩が挙げられる。無機塩基との塩として、例えば、アンモニウム塩、アルカリ及びアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩等が挙げられる、有機塩基との塩として、例えば、第1級、第2級及び第3級脂肪族及び芳香族アミン(例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、4種のブチルアミン異性体、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-n-ブチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、キヌクリジン、ピリジン、キノリン及びイソキノリン、ベンザチン、N-メチル-D-グルカミン、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)-1,3-プロパンジオール、ヒドラバミン)との塩、ならびに例えばアルギニン、リシンなどのようなアミノ酸との塩が挙げられる。

【0069】
本発明の化合物(I-A)~(I-E)又はそれらの塩は溶媒和物としても提供され得る。溶媒和物として、例えば、水和物、アルコール(例えば、メタノール、エタノール等)和物等が挙げられる。

【0070】
上記化合物(I-A)(化合物(I-1))の構造式及び理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :赤色
(2)分子量 :706
(3)分子式 :C37H38O14
(4)質量分析 :ESI-MS(negative mode) 実測値 705.2
(5)紫外線吸収スペクトル(アセトニトリル中) λmax 217, 317, 424nm
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、600MHz)
δppm 12.30 (s, 1H), 7.88 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.84 (dd, J = 3.4, 10.3 Hz, 1H), 6.67 (dd, J = 3.4, 10.3 Hz, 1H), 6.40 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.14 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 6.06 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 5.37 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.87 (d, J = 11.0 Hz, 1H), 4.75 (q, J = 6.2 Hz, 1H), 4.72 (d, J = 6.8 Hz, 1H), 4.67 (brs, 1H), 4.28 (brs, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.62 (s, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.23 (m, 1H), 3.20 (m, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.45 (dd, J= 2.6, 15.8 Hz, 1H), 1.81 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.47 (s, 3H), 1.44 (d, J= 3.4 Hz, 3H), 1.43 (d, J = 4.1 Hz, 3H), 1.39 (d, J = 6.2Hz, 3H), 1.36 (m, 1H)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 204.2, 196.8, 195.3, 188.1, 182.2, 158.1, 145.3, 142.8, 142.2, 138.8, 138.5, 138.4, 133.7, 130.5, 127.8, 127.4, 119.8, 117.4, 114.0, 95.2, 89.4, 88.8, 82.8, 79.4, 77.0, 74.4, 71.6, 71.3, 71.1, 70.7, 50.2, 42.7, 38.9, 26.5, 18.4, 15.2, 15.1
(8)溶解性 :メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルムに可溶。水に難溶。

【0071】
化合物(I-B)の構造式及び理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :赤色
(2)分子量 :708
(3)分子式 :C37H40O14
(4)質量分析 :ESI-MS(negative mode) 実測値 707.2
(5)紫外線吸収スペクトル(アセトニトリル中) λmax 218, 315, 423nm
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、600MHz)
δppm 12.28 (brs, 1H), 7.88 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.42 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.40 (t, J = 6.2 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.95 (dd, J = 1.4, 11.3 Hz, 1H), 4.71 (q, J = 6.8 Hz, 1H), 4.58 (brs, 1H), 4.51 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.33 (m, 1H), 3.96 (brs, 1H), 3.80 (m, 1H), 3.56 (m, 1H), 3.48 (t, J = 4.1 Hz, 1H), 3.28 (dd, J = 3.4, 13.1 Hz, 1H), 2.62-2.66 (m, 2H), 2.51 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 2.43 (ddd, J = 2.1, 4.8, 13.1 Hz, 1H ), 2.38-2.40 (m, 2H), 2.35 (dd, J = 3.4, 15.4 Hz, 1H), 2.30 (m, 1H), 2.16 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 1.79 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 1.45 (s, 3H), 1.40 (m, 1H), 1.39 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.38 (d, J = 6.8 Hz, 3H), 1.37 (d, J = 6.9 Hz, 3H)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 211.0, 208.0, 204.5, 188.2, 182.3, 158.5, 145.3, 139.3, 139.1, 138.5, 133.7, 130.6, 119.8, 117.4, 114.6, 92.8, 91.4, 82.5, 79.9, 77.8, 77.4, 77.1, 74.6, 74.5, 71.5, 71.2, 71.0, 50.5, 44.1, 40.0, 36.7, 33.4, 28.3, 25.8, 17.5, 16.9, 14.8
(8)溶解性 :メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルムに可溶。水に難溶。

【0072】
化合物(I-C)の構造式及び理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :赤色
(2)分子量 :706
(3)分子式 :C37H38O14
(4)質量分析 :ESI-MS(negative mode) 実測値 705.2
(5)紫外線吸収スペクトル(アセトニトリル中) λmax 218, 316, 425nm
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、600MHz)
δppm 12.20 (brs, 1H), 7.88 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.89 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.67 (dd, J = 3.4, 10.3 Hz, 1H), 6.40 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.05 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 5.17 (d, J = 2.8 Hz, 1H), 4.94 (dd, J = 2.1, 11.0 Hz, 1H), 4.74 (q, J = 7.6 Hz, 1H), 4.70 (q, J = 7.6 Hz, 1H), 4.55 (brs, 1H), 4.32 (m, 1H), 3.81 (m, 1H), 3.56 (brs, 1H), 3.55 (m, 1H), 3.47 (m, 1H), 3.21 (dd, J = 3.4, 13.8 Hz, 1H), 2.62-2.64 (m, 2H), 2.54 (d, J = 13.8 Hz, 1H), 2.45 (m, 1H), 2.45 (dd, J = 2.8, 15.8 Hz, 1H), 1.80 (d, J = 15.8 Hz, 1H), 1.46 (s, 3H), 1.42 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.38 (m, 1H), 1.38 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.36 (d, J = 7.6 Hz, 3H)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 208.4, 208.4, 197.4, 188.8, 182.8, 158.5, 146.0, 143.4, 139.3, 139.1, 138.5, 134.3, 131.1, 128.3, 120.4, 117.9, 114.6, 92.0, 89.3, 83.3, 79.9, 78.4, 77.1, 75.2, 75.1, 72.1, 71.8, 71.3, 69.9, 50.8, 43.2, 40.6, 37.3, 27.1, 18.1, 16.8, 15.7
(8)溶解性 :メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルムに可溶。水に難溶。

【0073】
化合物(I-D)の構造式及び理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :赤色
(2)分子量 :822
(3)分子式 :C43H50O16
(4)質量分析 :ESI-MS(negative mode) 実測値 821.3
(5)紫外線吸収スペクトル(アセトニトリル中) λmax 219, 316, 429nm
(6)H NMR(重クロロホルム中で測定、600MHz)
δppm 12.30 (brs, 1H), 7.87 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.87 (dd, J = 3.6, 10.1 Hz, 1H), 6.41 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 10.1 Hz, 1H), 5.40 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 5.25 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 4.97 (brs, 1H), 4.97 (brs, 1H), 4.86 (dd, J = 1.4, 11.3 Hz, 1H), 4.58 (brs, 1H), 4.55 (q, J = 6.7 Hz, 1H), 4.51 (q, J = 6.6 Hz, 1H), 4.22 (m, 1H), 3.95 (brs, 1H), 3.79 (m, 1H), 3.70 (brs, 1H), 3.54 (m, 1H), 3.20 (dd, J = 3.0, 13.1 Hz, 1H), 3.04 (t, J = 8.4 Hz, 1H), 2.51 (d, J = 13.1 Hz, 1H), 2.50 (m, 1H), 2.36-2.38 (m, 2H), 2.35 (dd, J = 3.0, 15.2 Hz, 1H), 2.29 (m, 1H), 2.09 (m, 1H), 2.08 (m, 1H), 1.96 (m, 1H), 1.86 (m, 1H), 1.79 (d, J = 15.2 Hz, 1H), 1.67 (m, 1H), 1.44 (s, 3H), 1.39 (d, J = 6.6 Hz, 3H), 1.38 (d, J = 6.7 Hz, 3H), 1.36 (m, 1H), 1.34 (d, J = 6.0 Hz, 3H), 1.26 (d, J = 6.8 Hz, 3H)
(7)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 210.9, 204.5, 197.0, 188.2, 182.2, 158.1, 145.3, 142.8, 138.2, 138.1, 138.0, 133.7, 130.4, 127.5, 119.1, 117.4, 113.9, 98.9, 95.8, 92.8, 88.4, 82.5, 79.8, 76.7, 75.6, 73.9, 72.0, 70.8, 70.5, 70.2, 67.3, 50.5, 44.1, 38.2, 33.4, 28.3, 25.8, 24.6, 23.8, 18.5, 16.5, 14.8, 14.6
(8)溶解性 :メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルムに可溶。水に難溶。

【0074】
上記化合物(I-E)(化合物(I-2))の構造式及び理化学的性質は以下のとおりである:
(1)物質の色 :赤色
(2)分子量 :820
(3)分子式 :C43H48O16
(4)質量分析 :ESI-MS(negative mode) 実測値 819.4
(5)紫外線吸収スペクトル(アセトニトリル中) λmax:218, 317, 428nm
(6)比旋光度[α]D +84(c = 0.2、メタノール、25℃)
なお、化合物(I-2)の加水分解物アグリコンの比旋光度[α]Dは、+119(c = 0.07、メタノール、25℃)であった。
(7)H NMR(重クロロホルム中で測定、600MHz)
δppm 12.30 (s, 1H), 7.86 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.59 (d, J= 7.5 Hz, 1H), 6.86 (dd, J = 3.4, 10.3 Hz, 1H), 6.67 (dd, J = 4.1, 10.3 Hz, 1H), 6.39 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.09 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 6.04 (d, J = 10.3 Hz, 1H), 5.57 (d, J = 4.1 Hz, 1H), 5.24 (d, J = 3.4 Hz, 1H), 4.97 (brs, 1H), 4.93 (brs, 1H) 4.83 (dd, J = 1.4, 10.3 Hz, 1H), 4.71 (q, J = 6.2 Hz, 1H), 4.57 (s, 1H), 4.55 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 4.22 (dq, J = 1.5, 6.8 Hz, 1H), 3.79 (m, 1H), 3.69 (brs, 1H), 3.54 (m, 1H), 3.20 (dd, J = 3.4, 13.0 Hz, 1H), 3.04 (m, 1H), 2.53 (d, J = 13.0 Hz, 1H), 2.49 (ddd, J= 1.4, 5.2, 13.1 Hz, 1H), 2.44 (dd, J = 3.4, 15.1 Hz, 1H), 2.10 (m, 1H), 2.08 (m, 1H), 1.93 (m, 1H), 1.80 (d, J = 15.1 Hz, 1H), 1.68 (m, 1H), 1.45 (s, 3H), 1.41 (d, J = 6.9 Hz, 3H), 1.37 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.36 (dd, J = 5.2, 13.1 Hz, 1H), 1.34 (d, J = 6.2 Hz, 3H), 1.25 (d, J = 6.8 Hz, 3H)
(8)13C NMR(重クロロホルム中で測定、125MHz)
δppm 203.6, 196.3, 196.1, 187.6, 181.8, 157.6, 144.8, 142.4, 142.2, 138.2, 138.1, 138.0, 133.2, 129.9, 127.1, 127.0, 119.3, 116.8, 113.4, 98.9, 94.8, 88.4, 88.2, 82.3, 78.8, 76.7, 75.6, 74.0, 70.9, 70.5, 70.2, 70.1, 67.3, 49.7, 42.1, 38.2, 26.0, 24.6, 23.8, 18.0, 16.5, 14.7, 14.6
(9)溶解性 :メタノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、クロロホルムに可溶。水に難溶。

【0075】
2.本発明の化合物の製造
2.1.式(I)で表される化合物の製造
本発明の式(I)で表される化合物は、微生物を培地に培養し、培養物中に該化合物を生成蓄積させ、該培養物から該化合物を採取することにより製造することができる。

【0076】
(1)微生物
本発明の製造方法において用いることのできる微生物としては、ストレプトマイセス(Streptomyces)属に属し、かつ上記式(I)で表される化合物を生産することが可能な微生物であれば特に限定されない。そのような微生物としては、例えば、ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株、及び該菌株に由来する変異株、あるいは該菌株の類似菌株を挙げることができる。なお、ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株は、受領番号NITE AP-1138で、平成23年8月30日(2011年8月30日)に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8)に受領され、受託番号NITE P-1138で国内寄託された。また、平成24年10月2日(2012年10月2日)にブダペスト条約に基づく国際寄託へ移管した(受託番号NITE BP-1138)。この菌株は、上記(I)の化合物を製造することができる。

【0077】
ここでいう「変異株」は任意の適当な変異原を用いた変異誘発処理により得られたものであり、「変異原」なる語は、その広義において、例えば変異原効果を有する薬剤のみならずUV照射のごとき変異原効果を有する処理をも含むものと理解すべきである。適当な変異原の例としてエチルメタンスルホネート、UV照射、N-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン、ブロモウラシルのようなヌクレオチド塩基類似体及びアクリジン類が挙げられるが、他の任意の効果的な変異原もまた使用され得る。

【0078】
ここでいう「類似菌株」としては、ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株の16S rDNA遺伝子の塩基配列(配列番号1に示す)と95%以上相同な塩基配列で表される16S rDNA遺伝子を持つ菌株を挙げることができる。16S rDNA遺伝子の相同性は95%以上であればよいが、97%以上であることが好ましく、98%以上であることがさらに好ましく、100%相同であることが最も好ましい。

【0079】
ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株の16S rDNAの塩基配列決定のため、プライマーとして真正細菌16S rDNAのほぼ全長を増幅することの出来る10F、686F、800Rおよび1541Rのプライマーセットを用い、PCRを行った。決定した1516塩基の配列を用いて、BLAST検索を行った結果、相同性の高い上位30位まではストレプトマイセス・スピーシーズまたは属未定の放線菌であり、いずれも98%以上の相同性であったことから、本菌株をストレプトマイセス・スピーシーズに分類した。

【0080】
ストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株の細菌学的性質については以下の通りである。
1) 細胞の形:菌糸を形成する。
2) 胞子の有無 :有り。
3) スターチカゼイン培地 :良好に生育,コロニーは円形,台状,菌糸状,全体的に褐色。
4) スターチカゼイン液体培養 :良好に生育。
5) デンプンの加水分解 :分解する。
6) 色素の生成 :寒天培地、液体培地で暗褐色の色素を生産。
7) 生育の範囲(pH):pH6~9

【0081】
(2)微生物の培養
本発明における微生物の培養は、通常の微生物の培養方法が用いられる。培地としては、資化可能な炭素源、窒素源、無機物及び必要な生育・生産促進物質を適宜含有する培地であれば、合成培地又は天然培地のいずれでも使用可能である。炭素源としては、グルコース、澱粉、デキストリン、マンノース、フラクトース、シュークロース、ラクトース、キシロース、アラビノース、マンニトール、糖蜜などを単独又は組み合わせて用いられる。さらに、必要に応じて炭化水素、アルコール類、有機酸、アミノ酸(トリプトファンなど)なども用いられる。窒素源としては塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、コーン・スチープ・リカー、大豆粉、綿実かす、カザミノ酸などが単独又は組み合わせて用いられる。そのほか、必要に応じて食塩、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、硫酸第一鉄、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸亜鉛などの無機塩類を加える。さらに使用する微生物の生育や本発明の化合物の生産を促進する微量成分を適当に添加することができ、そのような成分は当業者であれば適当なものを選択することができる。

【0082】
培養法としては、液体培養が適しているが、これに限定されるものではない。培養温度は、25~37℃が適当であり、培養中の培地のpHは7~9に維持することが望ましく、震盪速度が30~120rpmで回転又は往復震盪培養することが望ましい。液体培養で通常5~14日間培養を行うと、目的化合物が培養液中ならびに菌体中に生成蓄積される。培養物中の生成量が最大に達した時に培養を停止する。

【0083】
(3)化合物の単離・精製
培養物から本発明の化合物を単離・精製するには、微生物代謝生産物をその培養物から単離・精製するために常用される方法に従って行われる。ここで、「培養物」とは、培養上清、培養菌体、又は菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。例えば培養物を濾過や遠心分離により培養瀘液と菌体に分け、濾液を酢酸エチルなど有機溶媒で抽出する。また培養濾液は酢酸エチル、クロロホルムなどで抽出する。ついで、抽出液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどにより精製を行い、本発明の化合物を得る。得られた化合物は、NMR解析などの通常の化学的手法により、上記「1.本発明の化合物の性質」に記載した性質を示すか否かを調べることにより、本発明の化合物であることを確認することができる。

【0084】
なお、培養、精製操作中の本発明の化合物の動向は、フォトダイオードアレイ検出器付き高速液体クロマトグラフィーにより、紫外線吸収を指標として追跡することができる。

【0085】
3.本発明の化合物の用途
本発明の化合物は、下記の実施例に示すように、カビ類、特に卵菌類への発育阻害活性が強いので、抗カビ剤として利用することができる。本発明の化合物を有効成分として含む抗カビ剤は、例えば、魚類のカビ病、例えば、ウナギの綿かぶり病、ギンザケ、ニジマス等のミズカビ病、サケ科魚類稚魚の内臓真菌症、ペヘレイのミズカビ病、アユの真菌性肉芽腫症等の予防薬又は治療薬、好ましくは魚用の抗ミズカビ剤(ミズカビ予防薬又は治療薬)等として利用することができる。また、卵菌類を起因生物とする植物疫病の防除剤成分として有用である。

【0086】
本発明の化合物を魚類のカビ病の予防薬又は治療薬として使用するには、例えば、本発明の化合物を魚類の試料に混合するか、魚類の養殖水槽に混合するか、又は魚類の養殖水槽の使用砂に混合すればよい。あるいは、本発明の化合物を0.001~0.1重量%程度含む水又は海水中に魚類又はその卵を浸漬させる、本発明の化合物を0.001~0.1重量%程度含む懸濁液を魚類の体又は卵全体に噴霧する、又は本発明の化合物を0.001~0.1重量%程度含む懸濁液を魚類の静脈又は腹腔内に注射器を用いて接種することも可能である。
【実施例】
【0087】
以下に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は実施例によりその技術的範囲が限定されるものではない。
【実施例】
【0088】
式(I)の化合物の製造
式(I)の化合物の生産菌としてストレプトマイセス・スピーシーズTK08046株を用いた。該菌株を、200mLのスターチカゼイン培地(スターチ 1.0%、カゼイン 0.03%、NaCl 0.2%、K2HPO4 0.2%、MgSO4 0.005%、CaCO3 0.002%、FeSO4・7H2O 0.001% (W/V)、pH 7.2)を入れた500mLのバッフル付き三角フラスコ中で、30℃にて5日間回転振盪(100rpm)培養し、次に行う大量培養の種菌とした。この種菌培養物を600mLのスターチカゼイン培地の入った2Lの坂口フラスコ3本(計1.8L)に10mLずつ植菌し、30℃、7日間、往復震盪(110rpm)培養した。培養中、培地のpHは特に制御しなかった。
【実施例】
【0089】
このようにして得られた培養液1.8Lをろ過し、菌体とろ液に分離した。ろ液は等量の酢酸エチルで3回抽出した。得られた抽出物をODSシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。ワコーゲル50C18(和光純薬)を担体として用い、移動層として、まず、10%、30%、50%、70%アセトニトリル水で、最後に100%アセトニトリルにて溶出した。30~100%アセトニトリル水にて溶出した画分に抗卵菌活性が認められた。
【実施例】
【0090】
次に、それら画分を高速液体クロマトグラフィー(カラム:コスモシル5C18ARII(直径10mm、長さ250mm)、移動相:60%アセトニトリル水、流速3mL/min、検出波長220nm)にて精製した。このような培養とその培養物から、培養物計1.8Lから本発明の化合物(I-1)を3.1mg、化合物(I-B)を1.1mg、化合物(I-C)を1.9mg、化合物(I-D)を2.7mg、及び化合物(I-2)を8.1mg得た。
【実施例】
【0091】
上記化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)について、各種微生物に対する活性を測定し、化合物(I-1)及び(I-2)についてはさらに植物プランクトン(緑藻)及び動物プランクトン(ミジンコ)に対する活性を測定した。比較のために、市販のミズカビ病防止薬剤「パイセス」(商品名、ノベルティスアニマルヘルス株式会社製)の活性も測定した。
【実施例】
【0092】
抗菌活性の測定
真核微生物に対する活性は、96穴マイクロプレートを用いて以下のようにして測定した。化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)又は(I-2)は8%メタノール水に懸濁し、4000、2000、1000、500、250、125、62.5、32、16、8又は4μg/mLの試料懸濁液を調製した。また、パイセスは水で希釈して、上記各種濃度のパイセス水溶液を調製した。96穴マイクロプレートの各ウェルに各種濃度の試験液50μl、滅菌した4倍濃縮液体培地50μl、予め準備した被検生物の胞子懸濁液または菌懸濁液100μlを分注した。実験は2連で行い、被検生物に応じた温度で一定時間培養後に、微生物の生育を倒立顕微鏡で観察し、活性の有無を判断した。被検生物および培養条件は以下の通りである。ミズカビ(Saprolegnia parasitica):GY培地(グルコース1%、酵母エキス0.25%、pH6.5)、18℃、24時間、Phoma sp.:YPD培地(酵母エキス1%、ペプトン2%、グルコース2%、pH6.5)、30℃、30時間、Saccharomyces cerevisiae:サブロー培地(マルトース4%、ペプトン1%、pH 6.0)、30℃、30時間。
【実施例】
【0093】
また、原核微生物に対する活性は、ペーパーディスク法により被検生物を練り込んだ寒天平板培地上で測定した。Staphylococcus aureus、Bacillus subtilis 又はEscherichia coliを試験管中の滅菌したLB培地(グルコース0.5%、ポリペプトン1%、酵母エキス0.5%、NaCl 0.5%、pH7.2)3mLに植菌して、1晩37℃で培養した。この前培養液を、滅菌したLB寒天培地(寒天1.5%)に1%接種して、検定用寒天平板を作成した。化合物(I-1)又は(I-2)をメタノールに溶解して、1000、500、250、125、62.5、32、16、8、4、2又は1μg/mLの試料溶液を作成し、ペーパーディスク(ADVANTEC、直径8mm、thick)に染み込ませた後、風乾して検定用寒天平板上に置き、37℃で1晩培養した。ペーパーディスク周辺の阻止円の形成を観察し、活性の有無を判断した。
【実施例】
【0094】
抗藻類活性試験
96穴マイクロプレートの各ウェルに、対数増殖期の藻類培養液を150μL、8%メタノール水に懸濁した400、200、100、50、25、12.5、又は6.25μg/mLの試料溶液、又は上記各種濃度のパイセス水溶液を50μL加え、インキュベートした後、倒立顕微鏡で細胞の増殖を観察してポジティブコントロールと同等の状態の場合活性ありとした。緑藻であるクロレラ(Chlorella vulgaris)はC培地で培養し、0.987±0.470×10cells/mLの培養液とし、ポジティブコントロールとしてシクロヘキシミド(最終濃度:100μg/mL)を使用し、25℃、30μmol photons/m/sの条件でインキュベートした。
【実施例】
【0095】
ミジンコ(Daphnia pulex)遊泳阻害活性試験
曝気水10mLに対してミジンコが5個体になるように個体数を調整した。ミジンコは発生後24時間以内の個体を用い、曝気水は浄水器を通した水道水を24時間以上曝気したものを用いた。該ミジンコ飼育水に、化合物(I-1)又は(I-2)をメタノールに溶解した試料溶液、又はパイセスを水で希釈したパイセス水溶液を、ミジンコ飼育水中における試料又はパイセスの最終濃度が100、10、1、0.1又は0.01μg/mLとなるように攪拌しながら添加して24時間インキュベート(20℃、17μmol photons/m/s、Light:Dark=16:8)し、遊泳している個体数を測定した。ミジンコ5個体を1群とし、上記の各種最終濃度の試験液について2群用いて実験を行い、得られた結果から、統計ソフトSPSSを用いたプロビット法によりIC50値を算出した。
【実施例】
【0096】
真核微生物への最小発育阻止濃度(MIC)は、以下の通りであった。ミズカビ(Saprolegnia parasitica)に対しては、化合物(I-1)が0.0039μg/mL、化合物(I-B)が8μg/mL、化合物(I-C)が1μg/mL、化合物(I-D)が1μg/mL及び化合物(I-2)が0.0078μg/mLであった。一方、比較に用いたパイセスのミズカビ(Saprolegnia parasitica)へのMICは5.0μg/mLであった。Saccharomyces cerevisiaeに対しては、化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)は、いずれも1000μg/mLでも生育阻害は認められなかった。Phoma sp. へのMICは、化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)のいずれも500μg/mLであった。
【実施例】
【0097】
原核微生物への最小発育阻止濃度(MIC)は以下の通りであった。Staphylococcus aureusに対しては、化合物(I-1)が31.2μg/mL、化合物(I-B)が250μg/mL、化合物(I-C)が125μg/mL、化合物(I-D)が62.5μg/mL及び化合物(I-2)が16.0μg/mLで寒天培地上阻止円が観察できた。Bacillus subtilisに対しては、化合物(I-1)が62.5μg/mL、化合物(I-B)が250μg/mL、化合物(I-C)が250μg/mL、化合物(I-D)が62.5μg/mL及び化合物(I-2)が8.0μg/mLで寒天培地上阻止円が観察できた。しかし、Escherichia coliに対しては、化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)のいずれも生育阻止円が認められなかった。
【実施例】
【0098】
また、水圏環境生物である緑藻(Chlorella vulgaris)に対しては、化合物(I-1)及び(I-2)ともに100μg/mLでも影響を与えなかったが、比較に用いたパイセスの緑藻(Chlorella vulgaris)へのMICは62.5μg/mLであった。また、節足動物のミジンコ(Daphnia pulex)の50%遊泳阻害濃度は、化合物(I-1)が2.58μg/mLであり、化合物(I-2)が4.48μg/mLであった。比較に用いたパイセスのミジンコの50%遊泳阻害濃度は3.7μg/mLであった。
【実施例】
【0099】
これらの結果から、化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)は、ミズカビ(Saprolegnia parasitica)に対する活性が強く、非常に低濃度で抗ミズカビ効果を発揮するが、他の真核微生物及び原核微生物には弱い活性しか示さないことがわかる。よって、化合物(I-1)、(I-B)、(I-C)、(I-D)及び(I-2)は、選択的な抗ミズカビ活性を有していると考えられる。さらに、化合物(I-1)及び(I-2)は、環境生物(生態系)への影響が非常に低いといえる。
【受託番号】
【0100】
NITE BP-1138