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明細書 :プロテアソーム阻害剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6026413号 (P6026413)
登録日 平成28年10月21日(2016.10.21)
発行日 平成28年11月16日(2016.11.16)
発明の名称または考案の名称 プロテアソーム阻害剤
国際特許分類 C07C 211/10        (2006.01)
C07D 243/08        (2006.01)
A61K  31/4965      (2006.01)
A61K  31/135       (2006.01)
A61P  35/00        (2006.01)
A61P  35/02        (2006.01)
FI C07C 211/10 CSP
C07D 243/08 502
C07D 243/08 505
A61K 31/4965
A61K 31/135
A61P 35/00
A61P 35/02
請求項の数または発明の数 1
全頁数 26
出願番号 特願2013-521632 (P2013-521632)
出願日 平成24年6月22日(2012.6.22)
国際出願番号 PCT/JP2012/065992
国際公開番号 WO2012/176878
国際公開日 平成24年12月27日(2012.12.27)
優先権出願番号 2011139235
優先日 平成23年6月23日(2011.6.23)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年5月27日(2015.5.27)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505246789
【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
【識別番号】000163006
【氏名又は名称】興和株式会社
発明者または考案者 【氏名】古川 雄祐
【氏名】菊池 次郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100113376、【弁理士】、【氏名又は名称】南条 雅裕
【識別番号】100179394、【弁理士】、【氏名又は名称】瀬田 あや子
【識別番号】100168491、【弁理士】、【氏名又は名称】武井 紀英
【識別番号】100185384、【弁理士】、【氏名又は名称】伊波 興一朗
審査官 【審査官】吉田 佳代子
参考文献・文献 特開平09-143075(JP,A)
特開平03-002144(JP,A)
国際公開第2004/032930(WO,A1)
特開2011-001296(JP,A)
調査した分野 C07C 211/10
C07D 243/08
A61K 31/135
A61K 31/4965
A61P 35/00
A61P 35/02
CAplus/REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメチルフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、プロテアソーム阻害活性を有し、多発性骨髄腫を始めとする悪性腫瘍の治療に有用な経口低分子薬剤に関する。
【背景技術】
【0002】
最近になって、抗CD20抗体リツキサンやBCR-ABL阻害剤イマニチブに代表される分子標的治療剤が開発され、劇的な治療効果を挙げている。これまでの悪性腫瘍に対する治療薬は、DNA障害を惹起して細胞死を誘導するタイプの薬剤が主流であったが、今後は、治療標的分子の探索に基づく分子標的治療薬が主流になると予測される。分子標的治療薬には大きく分けて2つのタイプがあり、ひとつにはリツキサンに代表される抗体と、もうひとつはイマニチブに代表される低分子化合物である。
【0003】
近年、難治性の造血器悪性腫瘍である多発性骨髄腫に有効性を示すボルテゾミブ(非特許文献1)が上市された。ボルテゾミブは、後者に属する分子標的薬である。ボルテゾミブは細胞内で不要になった蛋白質を分解するプロテアソーム中心に入り込み(非特許文献2)、その活性を阻害し、細胞内に過剰な蛋白質を蓄積させて細胞内ストレスを惹起させることにより細胞死を誘導する。骨髄腫細胞は元々抗体を産生するプラズマ細胞が腫瘍化した細胞であり、細胞内に抗体などの多量の蛋白質が存在する。そのため、プロテアソーム阻害に対する感受性が高いと考えられ、プロテアソームは多発性骨髄腫の有用な治療標的分子として認識されている。実際にこれまでの臨床試験において、ボルテゾミブの劇的な治療成績の向上が示されている(非特許文献3、4)。しかしながら、末消神経障害や血小板減少症といった長期投与に伴うさまざまな副作用や、一部の症例では依然、β5サブユニットの遺伝子変異による耐性の獲得や再発例も報告されている。さらに、ボルテゾミブが静脈注射投与によってのみ効果を示すため、QOLの低さが問題となっている
【0004】
ボルテゾミブ以外にも、カーフィルゾミブ(carfilzomib、非特許文献5)、CEP-18770(非特許文献6)、MLN-9708(非特許文献7)、マリゾミブ(marizomib、NPI-0052、非特許文献8)、ONX-0912(非特許文献9)等のプロテアゾーム阻害剤が知られているが、ほとんどのプロテアゾーム阻害剤は、ボルテゾミブ同様にペプチドミメティクスであり経口投与には不適な構造を有している。唯一、天然物であるマリゾミブのみが非ペプチド型低分子化合物であり、経口投与可能であるとの報告があるが、実際には静注投与製剤として開発が進められている。
【0005】
従って、副作用の軽減や耐性の克服、再発例に対する治療やQOL等の必要性から、異なる作用機序を持ち経口投与で効果を示す非ペプチド型新規プロテアソーム阻害剤の開発は重要な課題である。
【0006】
一方、次の一般式(a):
【0007】
【化1】
JP0006026413B2_000002t.gif

【0008】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アシルオキシ基、低級アルキルスルホニルオキシ基又はアミノ基を示し、R7及びR8は、同一又は異なって低級アルキル基を示すか、両者が結合して炭素数1~4のアルキレン基を示し、A及びA'は同一又は異なって、単結合、-O-、-NH-、-NHCO→、-CONH→、-NHCOO→、-NHCONH→、-SO2NH→又は-COS→を示し(→はY又はY'との結合を示す)、Y及びY'は同一又は異なって、低級アルキレン基又は低級アルキニレンキ基を示す〕で表されるジアミン化合物又はその塩は、脳機能障害の改善や進展防止に有効な脳保護剤であることが知られている(特許文献1参照)。
【0009】
次の一般式(b):
【0010】
【化2】
JP0006026413B2_000003t.gif

【0011】
〔式中、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を示し、l及びmは、同一又は異なって、1~3の整数を示し、nは2又は3の整数を示す〕で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物のいくつかは、細胞接着阻害作用及び細胞浸潤阻害作用による抗アレルギー剤、抗炎症剤(特許文献2参照)、及びアポトーシス抑制作用によるシェーグレン症候群、結膜障害等の治療剤(特許文献3参照)、エリスロポエチン産生促進剤(特許文献4参照)、前駆脂肪細胞分化抑制剤(特許文献5参照)、インスリン分泌促進剤(特許文献6参照)として有用であることが知られている。しかしながら、後記一般式(1)で表される化合物のプロテアソーム阻害作用や悪性腫瘍の予防・治療剤、特に多発性骨髄腫の治療効果は全く知られていなかった。
【0012】
以下に、関連し得る技術について言及する文献を示す。
【先行技術文献】
【0013】

【特許文献1】特開平3-2144号公報
【特許文献2】特開平9-143075号公報
【特許文献3】WO02/20477号パンフレット
【特許文献4】WO04/02493号パンフレット
【特許文献5】特開2009-051796号公報
【特許文献6】特開2011-001296号公報
【0014】

【非特許文献1】J.Clin.Oncol., 20, 4420-4427 (2002)
【非特許文献2】Structure, 14, 451-456 (2006)
【非特許文献3】New Engl.J.Med., 348, 2609-2617 (2003)
【非特許文献4】New Engl.J.Med., 352, 2487-2498 (2003)
【非特許文献5】Blood, 110, 3281-3290(2007)
【非特許文献6】Blood, 111,2765-75(2008)
【非特許文献7】Cancer Res., 70, 1970-1980 (2006)
【非特許文献8】Cancer Cell, 8(5), 407-419 (2005)
【非特許文献9】Blood, 116, 4906-4915 (2010)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の課題は、多発性骨髄腫などの悪性腫瘍の治療成績とQOLの向上を目指すため、ボルテゾミブとは異なる経路を介した経口投与可能な新規プロテアソーム阻害剤を提供することにある。
【発明を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を続けた結果、下記一般式(1)で表される化合物がプロテアソーム活性を阻害することを見出した。また、多発性骨髄腫株を用いた評価から、ボルテゾミブがプロテアソームのカスパーゼ様活性(β1サブユニット)、トリプシン様活性(β2サブユニット)、キモトリプシン様活性(β5サブユニット)部位のうちの特にキモトリプシン様活性を阻害するのに対し、前記一般式(1)で表される化合物はすべての活性を阻害すること、及び一般式(1)で表される化合物はボルテゾミブ耐性株に対しても細胞増殖を抑制することを見出した。さらに、腫瘍細胞移植マウスを用いた経口投与in vivo評価においても一般式(1)で表される化合物が骨髄腫細胞の増殖抑制作用を有していることを確認し、本発明を完成した。
【発明を解決するための手段】
【0017】
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1] 次の一般式(1):
【発明を解決するための手段】
【0018】
【化3】
JP0006026413B2_000004t.gif

【発明を解決するための手段】
【0019】
〔式中、Y及びY’は、同一又は異なって、単結合、-O-、-NH-、-CH=CH→、-CO-CH=CH→、-O-CONH→、-S-CO→、-CONH→、-NHCO→又はNHSO2→[ここで→は、フェニル基側の結合を示す]を示し;R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルコキシカルボニル基を示し;R9及びR10は、同一又は異なって、水素原子又はC1-6アルキル基を示すか、又はR9及びR10が一緒になって、-CH2CH2-又は-CH2CH(R11)CH2-[ここで、R11は水素原子、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルキルスルホニルオキシ基を示す]を示し;m及びnは、同一又は異なって、2~4の整数を示す〕で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とするプロテアソーム阻害剤。
[2] 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする腫瘍細胞の増殖抑制剤。
[3] 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を有効成分とする悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤。
[4] 悪性腫瘍が、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、耐性/再発性の濾胞性リンパ腫等)、白血病(急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血等)、乳癌、大腸癌、ホルモン抵抗性前立腺癌、卵巣癌である、前記[3]に記載の予防及び/又は治療剤。
[5] 一般式(1)で表される化合物が、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[2-(3,4,5-トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(p-アミノベンゾイルアミノ)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]ホモピペラジン、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、及び、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物である、前記[1]~[4]に記載の剤。
【発明を解決するための手段】
【0020】
[6] 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、プロテアソーム阻害方法。
[7] 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、腫瘍細胞の増殖抑制方法。
[8] 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の有効量を投与することを特徴とする、悪性腫瘍の予防及び/又は治療方法。
[9] 一般式(1)で表される化合物が、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[2-(3,4,5-トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(p-アミノベンゾイルアミノ)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]ホモピペラジン、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、及び、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物である、前記[6]~[8]に記載の方法。
【発明を解決するための手段】
【0021】
[10] プロテアソーム阻害剤を製造するための、一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
[11] 腫瘍細胞の増殖抑制剤を製造するための、一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
[12] 悪性腫瘍の予防及び/又は治療剤を製造するための、一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物の使用。
[13] 一般式(1)で表される化合物が、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[2-(3,4,5-トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(p-アミノベンゾイルアミノ)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]ホモピペラジン、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、及び、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物である、前記[10]~[12]に記載の使用。
【発明を解決するための手段】
【0022】
[14] (a) 一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物、及び(b)その他の薬剤(抗癌剤、ステロイド系抗炎症薬、サリドマイド又はレナリドマイド等)を含有する組合せ医薬組成物。
[15] 一般式(1)で表される化合物が、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[2-(3,4,5-トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(p-アミノベンゾイルアミノ)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロピル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス[4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]ホモピペラジン、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、及び、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物である、前記[14]に記載の組合せ医薬組成物。
【発明を解決するための手段】
【0023】
[16] 次の、
N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメチルフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン、
から選択される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物。
【発明の効果】
【0024】
本発明の、一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、プロテアソーム活性を強力に阻害する非ペプチド型低分子性化合物であり、経口投与によって腫瘍細胞の増殖抑制を有する。従って、ヒトを含む哺乳類の悪性腫瘍、特に多発性骨髄腫の予防及び/又は治療剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】多発性骨髄腫細胞株に対する化合物Kの細胞増殖抑制作用を示す図である。
【図2】多発性骨髄腫細胞株において、3種類のプロテアソームサブユニットそれぞれに対するボルテゾミブと化合物Kの阻害作用を示す図である。
【図3】ボルテゾミブ耐性株に対する、化合物Kのキモトリプシン様活性阻害作用を示す図である。
【図4】ボルテゾミブ耐性株に対する、化合物Kの細胞増殖抑制作用を示す図である。
【図5】骨髄腫細胞を移植したマウスへの経口投与による、化合物Kの腫瘍形成の抑制効果を示す図である。
【図6】化合物KとHDAC阻害剤Tubacinと併用したときの、骨髄腫細胞の増殖抑制作用を示す図である。
【図7】多発性骨髄腫細胞株に対する化合物K、K2、K3、K4、K5、K6及びK7の細胞増殖抑制作用を示す図である。
【図8】多発性骨髄腫細胞株に対する化合物K8、K9、K10、K11、K12及びK13の細胞増殖抑制作用を示す図である。
【図9】多発性骨髄腫細胞株において,3種類のプロテアソームサブユニット(左から順に、キモトリプシン様、カスパーゼ様、トリプシン様酵素活性)に対する化合物K、K7、K8、K10の阻害作用を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明中の用語の定義は以下の通りである。なお、ここに定義のない用語については、通常の定義に従う。

【0027】
一般式(1)中、Y及びY’は、それぞれ独立に(すなわち、同一又は異なって)、
(1) 単結合、-O-、-NH-、-CH=CH→、-CO-CH=CH→、-O-CONH→、-S-CO→、-CONH→、-NHCO→又は-NHSO2→、または、
(2) 単結合、-CH=CH→、-CO-CH=CH→、-O-CONH→又は-NHCO→
を示す。ここで、→は、フェニル基側の結合であることを意味する。

【0028】
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に(すなわち、同一又は異なって)、
(1)水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルコキシカルボニル基、または、
(2)水素原子、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルコキシカルボニル基、または、
(3)水素原子、アミノ基、カルボキシル基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基又はC1-6アルコキシカルボニル基、
を示す。

【0029】
一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。

【0030】
一般式(1)中、C1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、メチル基及びt-ブチル基がより好ましい。

【0031】
一般式(1)中、C1-6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられるが、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましい。

【0032】
一般式(1)中、C1-6アルコキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、i-ブトキシカルボニル基、t-ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基が挙げられるが、t-ブトキシカルボニル基がより好ましい。

【0033】
一般式(1)中、R9及びR10は、それぞれ独立に(すなわち、同一又は異なって)、
(1) 水素原子又はC1-6アルキル基、または、
(2) C1-6アルキル基
を示す。

【0034】
一般式(1)中、R9及びR10におけるC1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、メチル基がより好ましい。

【0035】
一般式(1)中、R9及びR10が一緒になって(すなわち、両者が結合して)環を形成した場合は、
(1) -CH2CH2-又は-CH2CH(R11)CH2-、または
(2) -CH2CH(R11)CH2
を示す。

【0036】
一般式(1)中、R11におけるC1-6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられるが、メトキシ基がより好ましい。

【0037】
一般式(1)中、R11におけるC1-6アルキルスルホニルオキシ基としては、例えば、メチルスルホニルオキシ基、エチルスルホニルオキシ基、n-プロピルスルホニルオキシ基、イソプロピルスルホニルオキシ基、n-ブチルスルホニルオキシ基、i-ブチルスルホニルオキシ基、t-ブチルスルホニルオキシ基、ペンチルスルホニルオキシ基、ヘキシルスルホニルオキシ基が挙げられるが、メチルスルホニルオキシ基がより好ましい。

【0038】
一般式(1)中、m及びnは、2~4の整数が挙げられるが、3がより好ましい。

【0039】
本発明の一実施態様としては、一般式(1)に代えて、下記一般式(1’)

【0040】
【化4】
JP0006026413B2_000005t.gif

【0041】
〔式(1’)中、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’及びR6’は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基を示し、l’及びm’は、同一又は異なって、1~3の整数を示し、n’は2又は3の整数を示す〕で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物を用いることができる。

【0042】
一般式(1’)中、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’及びR6’は、それぞれ独立に(すなわち、同一又は異なって)、
(1)水素原子、ハロゲン原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、または、
(2)水素原子、水酸基、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、または、
(3)水素原子、C1-6アルキル基又はC1-6アルコキシ基、
(4)水素原子又はC1-6アルコキシ基、または、
(5)水素原子又はC1-6アルキル基
とすることができる。

【0043】
一般式(1’)中、R1’、R2’、R3’、R4’、R5’及びR6’におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。

【0044】
一般式(1’)中、C1-6アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられる。

【0045】
一般式(1’)中、C1-6アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、i-ブトキシ基、t-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基が挙げられるが、メトキシ基がより好ましい。

【0046】
一般式(1’)中、l’及びm’は、3が好ましい。

【0047】
一般式(1’)中、n’は、3が好ましい

【0048】
一般式(1’)のより好ましい例の1つとして、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジンを挙げることができる。

【0049】
一般式(1)のより好ましい例として、以下の化合物を挙げることができる。

【0050】
【表1】
JP0006026413B2_000006t.gif

【0051】
本明細書中で使用するとき、プロテアソームとは、ユビキチンが複数個連なって付加された標的タンパク質をATP依存的に分解し、細胞内で不要になったタンパク質を除去する器官を意味する。20Sプロテアソームはαリングとβリングが会合した円筒形粒子で、カスパーゼ様、トリプシン様及びキモトリプシン様活性を示すβ1, β2及びβ5の3種の触媒サブユニットが存在し、それぞれアミノ酸のC末端側のペプチド結合を切断する。これらのサブユニットの活性中心は20Sプロテアソームβサブユニットの空洞内表面に存在する。20Sプロテアソームはユビキチン化蛋白を識別し、活性化を調節する19S複合体と会合して26Sプロテアソームを形成する。ポリユビキチン化された基質蛋白質は、26Sプロテアソームにより特異的に分解される。本発明において、プロテアソームとしては20Sプロテアソームのみならず、26Sプロテアソームも包含される。

【0052】
本明細書中で使用するとき、悪性腫瘍とは、「造血器腫瘍」、上皮細胞由来の「癌」及び非上皮性細胞由来の「肉腫」を包含する。造血器腫瘍としては、例えば、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫が挙げられ、癌としては例えば、肺癌、乳癌、胃癌、肝臓癌、膵臓癌、大腸癌、子宮癌、卵巣癌、前立腺癌、腎臓癌、食道癌、喉頭癌、咽頭癌、舌癌が挙げられ、肉腫としては、例えば、骨肉腫、軟部肉腫が挙げられる。

【0053】
本明細書中で使用するとき、白血病としては、例えば、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、成人T細胞白血病リンパ腫、慢性リンパ性白血病、小細胞性リンパ腫が挙げられる。

【0054】
本明細書中で使用するとき、悪性リンパ腫としては、例えば、ホジキンリンパ腫(古典型ホジキンリンパ腫、結節性リンパ球優勢型ホジキンリンパ腫等)、非ホジキンリンパ腫(リンパ芽球型リンパ腫、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞B細胞リンパ腫、未分化大細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、マントル細胞リンパ腫、NK細胞リンパ腫等)が挙げられる。

【0055】
本明細書中で使用するとき、肺癌としては、例えば、非小細胞肺癌、小細胞肺癌が挙げられる。

【0056】
本明細書中で使用するとき、肝臓癌としては、肝細胞癌、胆管細胞癌、肝細胞芽腫、胆管嚢胞腺癌等が挙げられる。

【0057】
本明細書中で使用するとき、子宮癌としては、例えば、子宮頸癌、子宮内膜癌が挙げられる。

【0058】
本明細書中で使用するとき、腎臓癌としては、腎細胞癌、Wilms腫瘍、腎肉腫、腎盂腫瘍、腎血管筋脂肪腫等が挙げられる。

【0059】
本明細書中で使用するとき、喉頭癌としては、例えば、声門癌、声門上癌、声門下癌が挙げられる。

【0060】
本明細書中で使用するとき、咽頭頑としては、例えば、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌が挙げられる。

【0061】
本明細書中で使用するとき、骨肉腫としては、例えば、原発性悪性骨腫瘍(骨肉腫、ユーイング肉腫等)が挙げられる。

【0062】
本明細書中で使用するとき、軟部肉腫としては、例えば、平滑筋肉腫、悪性線維性組織球腫、脂肪肉腫、横紋筋肉腫、皮膚線維肉腫、血管肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、線維肉腫が挙げられる。

【0063】
これらの悪性腫瘍の中で、本発明における予防・治療、又は転移・再発抑制の対象となる悪性腫瘍としては、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫(マントル細胞リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、耐性/再発性の濾胞性リンパ腫等)、白血病(急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血等)、乳癌、大腸癌、ホルモン抵抗性前立腺癌、卵巣癌が好ましく、多発性骨髄腫がより好ましい。

【0064】
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物は、単独で用いる他、その他の薬剤との医薬用組合せ組成物として用いることができる。本発明の医薬用組合せ組成物に用いられるその他の薬剤としては、抗癌剤、ステロイド系抗炎症剤、サリドマイド又はレナリドマイド等が挙げられる。抗癌剤としては、一般式(1)で表される化合物以外のプロテアソーム阻害剤の他、シクロホスファミド、メルファラン等のアルキル化剤、ボリノスタット、パノビノスタット、ロミデプシン、フェニル酪酸類、ツバシン(Tubacin)等のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤を挙げることができる。ステロイド系抗炎症剤としては、コルチゾール、プレドニゾロン、トリアムシノロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等が挙げられる。

【0065】
本発明に用いる一般式(1)で表される左右対称の構造を持つ化合物は、例えば、下記反応工程図に従って製造することが出来る。

【0066】
【化5】
JP0006026413B2_000007t.gif

【0067】
〔式中、Y、R1、R2、R3、R4、R9、R10、mは前記と同じ基を示し、X1は脱離基を示す〕

【0068】
本発明の化合物(1)は、化合物(2)とジアミン(3)とを溶媒中、塩基の存在下又は非存在下に縮合反応することにより製造することができる。式(2)中のX1で示される脱離基としては、塩素原子又は臭素原子等のハロゲン原子;メタンスルホニルオキシ基等のアルキルスルホニルオキシ基;p-トルエンスルホニルオキシ基等のアリールスルホニルオキシ基が好ましい。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル類;クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトニトリル等を使用することができる。塩基としては、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機塩基;トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン等の有機塩基を使用することができる。また、反応促進剤を共存することもできる。反応促進剤としては、ヨウ化カリウム等が挙げられる。反応温度は、0℃~100℃、好ましくは室温~80℃であり、反応時間は1時間~数日間、好ましくは5~24時間である(反応工程1)。

【0069】
また、本発明に用いる一般式(1)で表される左右非対称の構造を持つ化合物は、例えば、下記反応工程図に従って製造することができる。

【0070】
【化6】
JP0006026413B2_000008t.gif

【0071】
〔式中、Y、Y’、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、m、nは前記と同じ基を示し、X1、X2は脱離基を示す〕

【0072】
本発明の化合物(1)は、化合物(2)とジアミン(3)とを縮合反応することにより化合物(4)とし(反応工程2)、次いで化合物(2’)と縮合反応することにより製造することができる(反応工程3)。反応工程2及び3の反応条件は、前記反応工程1と同様である。また、副反応を回避する目的で、原料及び中間体に保護基を導入してもよい。例えば、アミノ基の片側のみ保護基が導入されたBoc-ホモピペラジン(1-Boc-hexahydro-1,4-diazepine)が、Ardrich社より販売されている。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。

【0073】
また、本発明に用いる一般式(1)で表される化合物は、例えば、特開平9-143075号公報等に記載の方法に従って製造することができる。当該文献において、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン(化合物K)は製造例2として開示されている。

【0074】
また、本発明に用いる一般式(1)で表される化合物は、例えば、特開平3-2144号公報等に記載の方法に従って製造することができる。当該文献において、N,N’-ビス[2-(3,4,5-トリメトキシフェニルカルバモイルオキシ)エチル]ホモピペラジン(化合物K2)は実施例38、N,N’-ビス[3-(p-アミノベンゾイルアミノ)プロピル]ホモピペラジン(化合物K3)は実施例57、N,N’-ビス[3-(3,4,5-トリメトキシフェニル)プロピル]ホモピペラジン(化合物K4)は実施例4、N,N’-ビス[4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ブチル]ホモピペラジン(化合物K5)は実施例1として開示されている。

【0075】
また、本発明では一般式(1)で表される化合物の塩若しくは溶媒和物を用いることもできる。塩及び溶媒和物は、常法により製造することができる。

【0076】
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物は、酸との付加塩、塩基との付加塩を形成することができる。化合物を塩基性化合物として扱う場合は、塩を形成する酸は薬学的に許容できるものであれば特に制限はないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、臭化水素酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸、乳酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸、クエン酸、フマール酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸等の有機酸等が挙げられる。化合物を酸性化合物として扱う場合は、塩を形成する塩基は薬学的に許容できるものであれば特に制限はないが、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、バリウム、カルシウム、マグネシウム等の金属塩等が挙げられる。

【0077】
本発明に用いる一般式(1)で表される化合物の溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、エタノール和物)等が挙げられる。

【0078】
本発明の医薬は、単独又は他の薬学的に許容される溶解剤、賦形剤、結合剤、希釈剤等の担体を用いて、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、粉末剤、ローション剤、軟膏剤、注射剤、座剤等の剤型とすることができる。これらの製剤は、公知の方法で製造することができる。例えば、経口投与用製剤とする場合には、トラガントガム、アラビアガム、ショ糖エステル、レシチン、オリーブ油、大豆油、PEG400等の溶解剤;澱粉、マンニトール、乳糖等の賦形剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース等の結合剤;結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤;タルク、ステアリン酸マグネシウム等の滑沢剤;軽質無水ケイ酸等の流動性向上剤;トウモロコシデンプン等の希釈剤等を適宜組み合わせて処方することにより製造することができる。

【0079】
本発明の医薬は、経口投与又は非経口投与により投与される。本発明の医薬の投与量は、患者の体重、年齢、性別、症状等によって異なるが、通常成人の場合、一般式(1)で表される化合物として一日0.01~1000mg、好ましくは0.1~100mgを1~3回に分けて投与するのが好ましい。
【実施例】
【0080】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例】
【0081】
実施例1 N,N’-ジメチル-N,N’-ビス[(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]エチレンジアミン ジ塩酸塩(化合物K6)の製造
N,N'-ジメチルエチレンジアミン 35mg (0.397mmol)とWO03/002536パンフレット製造例84に記載の方法により製造した(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 250mg (0.794mmol)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF) 1.5mLに溶解し、炭酸カリウム 132mg (0.953mmol)及びヨウ化カリウム 364mg (0.953mmol)を加えて、室温で24時間、次いで75℃で2時間撹拌した。反応液の溶媒を留去し、クロロホルムと炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、分液した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=20:1)にて精製し、表題化合物(フリー体) 152.5mg (68.9%)を得た。フリー体150mgをエタノール5mLに溶解し、HCl/EtOH(22.05g / 108mL) 0.09mLを加えた後、溶媒を留去した。エタノール、次いでクロロホルムを加えて共沸し、残渣を減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 147mgを得た。
【実施例】
【0082】
1H-NMR(DMSO-d6);δ
2.81 (6H, s)、3.63 (6H, s)、3.77 (12H, s)
【実施例】
【0083】
実施例2 N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K7)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、乾燥イソプロパノール 20mLに金属ナトリウム 117mg (5.1mmol)を加え、90℃にて撹拌した。溶解後、4-t-ブチルベンズアルデヒド590mg (3.6mmol)を加え、次いで4-ブロモブチルトリフェニルホスホニウムブロミド1.8g (3.6mmol)を加え、氷冷下8時間撹拌した。反応液を水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=30:1)で精製し、(E)-5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 383mg (37.8%)を得た。
【実施例】
【0084】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.31 (9H, s)
【実施例】
【0085】
工程2:(E)-5-(4-t-ブチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 380mg (1.35mmol)、ホモピペラジン 65mg (0.65mmol)をDMF 5mLに溶解し、炭酸カリウム 190mg (1.4mmol)及びヨウ化カリウム 230mg (1.4mmol)を加えて、65℃で24時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=10:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 128mg (40.1%)を得た。
【実施例】
【0086】
フリー体128mgを酢酸エチル5mLとクロロホルム2mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.5mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後、減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 90mgを得た。
【実施例】
【0087】
1H-NMR(DMSO-d6);δ
1.30 (18H, s)
【実施例】
【0088】
実施例3 N,N’-ビス-(E)-[6-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K8)の製造
工程1:2,4,5-トリメチルベンズアルデヒド4.4g (30.0mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド1.4g (17.5%)を得た。
【実施例】
【0089】
1H-NMR(CDCl3);δ
2.21 (3H, s)、2.22(3H, s)、2.27 (3H, s)
【実施例】
【0090】
工程2:(E)-5-(2,4,5-トリメチルフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.38g (5.2mmol)、ホモピペラジン 260mg (2.6mmol)をDMF 20mLに溶解し、炭酸カリウム 720mg (5.2mmol)及びヨウ化カリウム 870mg (5.2mmol)を加えて、65℃で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 770mg (30.5%)を得た。
【実施例】
【0091】
1H-NMR(CDCl3);δ
2.20 (6H, s)、2.21(6H, s)、2.25 (6H, s)
【実施例】
【0092】
フリー体770mgを酢酸エチル8mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 1.5mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、エーテル-ヘキサンで洗浄した後、減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 760mgを得た。
【実施例】
【0093】
融点:248-250℃
【実施例】
【0094】
実施例4 N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メトキシホモピペラジン ジシュウ酸塩(化合物K9)の製造
工程1:(E)-5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.78g (5.66mmol)、6-ヒドロキシホモピペラジン 787mg (2.83mmol)をDMF 10mLに溶解し、炭酸カリウム 2.74g (19.8mmol)及びヨウ化カリウム 2.35g (14.2mmol)を加えて、50℃で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=40:1~20:1)で精製し、粗N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-ヒドロキシホモピペラジン 622mg (40.0%)を得た。
工程2:N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-ヒドロキシホモピペラジン 662mg (1.13mmol)、トリエチルアミン 0.36mL (2.6mmol)をクロロホルム5mLに溶解し、メタンスルホニルクロリド 0.20mL(2.6mmol)を加えた後、室温で一夜撹拌後、トリエチルアミン 0.36mL (2.6mmol)とメタンスルホニルクロリド 0.20mL(2.6mmol)を追加し、さらに室温で4時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=40:1)で精製し、粗N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メタンスルホニルオキシホモピペラジン 755mg (定量的)を得た。
工程3:アルゴン雰囲気下、ナトリウム 15mg (0.655mmol)をメタノール15mLに溶解し、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]-6-メタンスルホニルオキシホモピペラジン 87mg (131mg)を加えて75℃で一夜撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=50:1)で精製した。常法によりシュウ酸塩とし、表題化合物(ジシュウ酸塩) 32mg (31.4%)を得た。
【実施例】
【0095】
1H-NMR(DMSO-d6);δ
3.52 (3H, s)、3.62(6H, s)、3.77 (9H, s)
【実施例】
【0096】
実施例5 N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K10)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、氷冷下にて無水テトラヒドロフラン(THF) 5mLに水素化リチウムアルミニウム76mg (2.0mmol)を加え撹拌した。次いで、無水THF 3mLに溶解した3,4,5-トリエトキシ安息香酸エチルエステル564mg (2.0mmol)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応液にジエチルエーテル30mLを加え、次いで水(数滴)を滴下した後、無水硫酸ナトリウムを加えて10分間撹拌した。反応液を濾過し、濾液を濃縮して3,4,5-トリエトキシベンジルアルコール450mg (定量的)を得た。
【実施例】
【0097】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.35 (3H, t, J = 6.8Hz)、1.42 (6H, t, J = 6.8Hz)、6.51 (2H, s)
【実施例】
【0098】
工程2:3,4,5-トリエトキシベンジルアルコール450mg (2mmol)をベンゼン50mLに溶解し、活性二酸化マンガン4.3g (50mmol)を加えて室温で3時間撹拌した。反応液を濾過した、濾液を濃縮して3,4,5-トリエトキシベンズアルデヒド385mg(95.2%)を得た。
【実施例】
【0099】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.38 (3H, t, J = 7.0Hz)、1.46 (6H, t, J = 7.0Hz)、7.10 (2H, s) 、9.84 (1H, s)
【実施例】
【0100】
工程3:3,4,5-トリエトキシベンズアルデヒド1.98g(9.8mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.3g (37.1%)を得た。
【実施例】
【0101】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.35 (3H, t, J = 7.1Hz)、1.42 (6H, t, J = 7.1Hz)、6.55 (2H, s)
【実施例】
【0102】
工程4:(E)-5-(3,4,5-トリエトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.3g (3.6mmol)、ホモピペラジン 180mg (1.8mmol)をDMF 25mLに溶解し、炭酸カリウム 500mg (3.8mmol)及びヨウ化カリウム 600mg (3.8mmol)を加えて、室温で一夜間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=30:1~15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 804mg (68.5%)を得た。フリー体400mgを酢酸エチル4mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 1mLを加えた後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄した後減圧乾燥し、表題化合物(ジ塩酸塩) 248mgを得た。
【実施例】
【0103】
1H-NMR(DMSO-d6);δ
1.20 (6H, t, J = 7.0Hz)、1.31 (12H, t, J = 7.0Hz)、6.65 (4H, s)
【実施例】
【0104】
実施例6 N,N’-ビス-(E)-[6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-オキソ-5-ヘキセニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K11)の製造
工程1:アルゴン雰囲気下、-78℃で無水THF15mLに2.0M リチウムジイソプロピルアミド(ヘキサン/テトラヒドロフラン懸濁液) 7.43mL (14.9mmol)を滴下し、次いで、無水THF5mLに溶解した3,4,5-トリメトキシベンズアルデヒド2.91g (14.9mmol)を滴下して、同温にて1時間撹拌した。次いで、無水THF5mLに溶解した5-((t-ブチルジメチルシリル)オキシ)ペンタン-2-オン3.22g (14.9mmol)を滴下し、さらに1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液5mlを滴下した後、室温に戻し、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOHt:Hexane=1:4~1:2)で精製し、6-((-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-3-オン3.65g (59.6%)を得た。
【実施例】
【0105】
1H-NMR(CDCl3);δ
0.04 (6H, s)、0.89 (9H, s)、3.83 (3H, s)、3.87 (6H, s)、6.59 (2H, s)
【実施例】
【0106】
工程2:6-((-ブチルジメチルシリル)オキシ)-1-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-3-オン3.6g (8.73mmol)とN,N-ジメチルアミノピリジン1g (8.20mmol)をピリジン7mLに溶解し、氷冷下にてアセチルクロリド932mg (11.9mmol)を滴下し、室温で2時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOHt:Hexane=1:3)で精製し、6-(( t-ブトキシジメチルシリル)オキシ)-3-オキソ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-1-イルアセテート4.08g (定量的)を得た。
【実施例】
【0107】
1H-NMR(CDCl3);δ
0.07 (6H, s)、0.92 (9H, s)、2.08 (3H, s)、3.86 (3H, s)、3.90 (6H, s)
【実施例】
【0108】
工程3:6-(( t-ブトキシジメチルシリル)オキシ)-3-オキソ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサン-1-イルアセテート3.97g (8.73mmol)をトルエン5mLに溶解し、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン1.99g (13.7mmol)を加え、50℃で1.5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。得られた油状物をTHF5mLに溶解し、テトラブチルアンモニウムフロリド13.1mL (13.1mmol)を加え、室温で3時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルエステルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=10:1)で精製し、(E)-6-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン1.35g (55.2%)を得た。
【実施例】
【0109】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.89 (3H, s)、3.90 (6H, s) 、6.78 (2H, s)
【実施例】
【0110】
工程4:(E)-6-ヒドロキシ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン1.0g (3.57mmol)をピリジン5mLに溶解し、氷冷下にメタンスルホニルクロリド490mg (4.28mmol)を滴下し、同温で10分間、室温で20分間撹拌した。反応液を酢酸エチルエステルで希釈し、2N-塩酸、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=40:1)で精製し、(E)-4-オキソ-6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-5-エン-1-イルメタンスルホネート1.19g (92.6%)を得た。
【実施例】
【0111】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.02 (3H, s)、3.89 (3H, s)、3.91 (6H, s) 、6.79(2H, s)
【実施例】
【0112】
工程5:(E)-4-オキソ-6-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-5-エン-1-イルメタンスルホネート1.06g (2.96mmol)をトルエン10mLに溶解し、臭化カリウム3.52g (29.6mmol)及びcis-ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6 221mg (0.59mmol)を加え、100℃で30分撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=50:1)で精製し、(E)-6-ブロモ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン103.3mg (10.2%)を得た。
【実施例】
【0113】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.89 (3H, s)、3.90 (6H, s) 、6.79(2H, s)
【実施例】
【0114】
工程6:(E)-6-ブロモ-1-(3,4,5-トリメトキシフェニル)ヘキサ-1-エン-3-オン 227mg (0.66mmol)、ホモピペラジン 30mg (0.3mmol)をDMF 3mLに溶解し、炭酸カリウム 138mg (1.0mmol)及びヨウ化カリウム 131mg (0.7mmol)を加えて、室温で一夜間撹拌した。反応液を濃縮し、クロロホルムで希釈して濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=10:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 56.3mg (30.0%)を得た。
【実施例】
【0115】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.89 (6H, s)、3.90 (12H, s) 、6.79(2H, s)
【実施例】
【0116】
フリー体56.3mgをクロロホルム1mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.3mLを加えた後、減圧濃縮した。残渣をメタノール-エーテルから再結晶し、表題化合物(ジ塩酸塩)45mgを得た。
【実施例】
【0117】
1H-NMR(CD3OD);δ
3.79 (6H, s)、3.87 (12H, s) 、6.98(2H, s)
【実施例】
【0118】
実施例7 N,N’-ビス-(E)-[5-(4-カルボキシ-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K12)の製造
工程1:4-ブロモ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド3.0g (12.2mmol)をベンゼン60mLに溶解し、1,3-プロパンジオール5.3mL (72.5mL)及びトルエンスルホン酸一水和物2.1g (12.2mmol)を加えて還流下、一夜撹拌した。反応液を酢酸エチルエステルで希釈し、炭酸カリウム水溶液、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をAcOEt-Hexaneから再結晶し、2-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-1,3-ジオキサン3.48g (94.1%)を得た。
【実施例】
【0119】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.92 (6H, s)、5.46(1H, s)、6.73(2H, s)
【実施例】
【0120】
工程2:アルゴン雰囲気下、2-(4-ブロモ-3,5-ジメトキシフェニル)-1,3-ジオキサン7.26g (23.9mmol)を無水THF40mLと無水ジエチルエーテル40mLに溶解し、-25℃でn-ブチルリチウム16.2mL(25.0mmol)を滴下して氷冷下30分間撹拌した。次いで無水DMFド2.3mLを滴下し、0℃で1時間撹拌した。反応液に塩化アンモニウムを加えた後、溶媒を留去した。残渣をクロロホルムに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去し、4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド6.0g (99.5%)を得た。
【実施例】
【0121】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.92 (6H, s)、5.46(1H, s)、6.73(2H, s)、10.49(1H, s)
【実施例】
【0122】
工程3:4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシベンズアルデヒド6.0g (23.8mmol)、2-メチル-2-ブテン10.6mL (100mmol)、燐酸二水素ナトリウム2.85g (23.8mmol)をt-ブタノール120mL及び水30mLに溶解し、氷冷下、亜塩素酸ナトリウム6.45g (71.4mmol)を少量ずつ加え、0℃で1時間撹拌した。反応液に水を加え、クエン酸を加えて酸性とし、酢酸エチルで抽出した。有機層から炭酸水素ナトリウム水を用いて逆抽出し、水層にクエン酸を加えて酸性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した後に溶媒を留去し、粗4-(1,3-ジオキサン-2-イル) -2,6-ジメトキシ安息香酸3.57g (58.5%)を得た。
【実施例】
【0123】
工程4:4-(1,3-ジオキサン-2-イル) -2,6-ジメトキシ安息香酸3.57g (14.4mmol)をトルエン50mLに溶解し、120℃でN,N-ジメチルホルムアミド ジ-t-ブチルアセタール14.4mL (60mmol)を20分かけて滴下し、同温でさらに10分間撹拌した。、放冷後、反応液を濃縮した。残渣を酢酸エチルに溶解し、水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:4~1:2)で精製し、4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル3.5g (77.1 %)を得た。
【実施例】
【0124】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.56(9H, s)、3.83 (6H, s)、5.44(1H, s)、6.68(2H, s)
【実施例】
【0125】
工程5: 4-(1,3-ジオキサン-2-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル3.5g (10.8mmol)をアセトン50mLに溶解し、水12mLに溶解したp-トルエンスルホン酸ピリジニウム 2.71g (10.8mmol)を滴下し、還流下3時間撹拌した。放冷後、反応液を濃縮し、残渣に酢酸エチルエステルを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:4)で精製し、4-ホルミル-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル2.55g (90.7%)を得た。
【実施例】
【0126】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.59(9H, s)、3.90 (6H, s)、7.08(2H, s) 、9.93(1H, s)
【実施例】
【0127】
工程6:4-ホルミル-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル9.81g (50mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-4-(5-ブロモペンタ-1-エン-1-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル7.1g (43.4%)を得た。
【実施例】
【0128】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.57(18H, s)、3.82(6H, s)、6.51(2H, s)
【実施例】
【0129】
工程7:(E)-4-(5-ブロモペンタ-1-エン-1-イル)-2,6-ジメトキシ安息香酸 t-ブチルエステル7.1g (43.4%)を原料として、実施例2の工程2と同様に反応処理し、N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブトキシカルボニル-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン625mg (52.5%)を得た。
【実施例】
【0130】
1H-NMR(CDCl3);δ
1.57(9H, s)、3.82(12H, s)、6.50(4H, s)
【実施例】
【0131】
工程8:N,N’-ビス-(E)-[5-(4-t-ブトキシカルボニル-3, 5-ジメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン200mg (0.28mmol)をトリフルオロ酢酸6mLに溶解し、還流下6時間撹拌した。放冷後、反応液を濃縮し、残渣をメタノール-ジエチルエーテルから再結晶し、表題化合物(ジトリフルオロ酢酸塩) 159mg (21.6%)を得た。
【実施例】
【0132】
実施例8 N,N’-ビス-(E)-[5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジン ジ塩酸塩(化合物K13)の製造
工程1:2,3,4-トリメトキシベンズアルデヒド 7.0g (35.7mmol)をエタノール70mLに溶解し、40%過酢酸15mL (96mmol)を加え、室温で一夜撹拌した。さらに40%過酢酸20mL (128mmol)を加え、室温で5時間撹拌した。反応液を0℃に冷却し、アンモニア/メタノール溶液60mLを加え、同温で1.5時間撹拌した。反応液を約1/3量まで濃縮し、酢酸エチルを加えた。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:5)で精製し、2,3,4-トリメトキシフェノール 3.31g (50.3%)を得た。
【実施例】
【0133】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.81(3H, s)、3.90(3H, s)、3.96(3H, s)
【実施例】
【0134】
工程2:2,3,4-トリメトキシフェノール 2.9g (15.7mmol)をDMF60mLに溶解し、氷冷下、55%水素化ナトリウム830mg (19.0mmol)を加えた。次いでヨウ化メチル2.7g (18.8mmol)を滴下し、室温で30分間撹拌した。反応液を氷水に注ぎ、酢酸エチルエステルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をAcOEt-Hexaneから再結晶し、1,2,3,4-テトラメトキシベンゼン 2.32g (74.5%)を得た。
【実施例】
【0135】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.82(6H, s)、3.90(6H, s)、6.58(2H, s)
【実施例】
【0136】
工程3:1,2,3,4-テトラメトキシベンゼン 4.6g (23.2mmol)をトリフルオロ酢酸20mLに溶解し、ヘキサメチレンテトラミン3.3g (23.5mmol)を加え、90℃で8時間撹拌した。放冷後、反応液に水を加え、1時間撹拌し、次いで酢酸エチルエステルを加えて抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、AcOEt:Hexane=1:5)で精製し、2,3,4,5,-テトラメトキシベンズアルデヒド 2.11g (40.2%)を得た。
【実施例】
【0137】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.87(3H, s)、3.94(3H, s)、3.98(3H, s)、4.00(3H, s)、7.11(1H, s) 、10.30(1H, s)
【実施例】
【0138】
工程4:2,3,4,5,-テトラメトキシベンズアルデヒド 2.1g (9.3mmol)を原料として、実施例2の工程1と同様に反応処理し、(E)-5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド1.14g (35.5%)を得た。
【実施例】
【0139】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.79(3H, s)、3.86(3H, s)、3.89(3H, s)、3.93(3H, s)、6.70(1H, s)
【実施例】
【0140】
工程5:(E)-5-(2,3,4,5-テトラメトキシフェニル)-4-ペンテニルブロミド 1.1g (3.2mmol)、ホモピペラジン 160mg (1.6mmol)をDMF 20mLに溶解し、炭酸カリウム 442mg (3.2mmol)及びヨウ化カリウム 532mg (3.2mmol)を加えて、室温で一夜間、次いで50℃で5時間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、溶媒を留去した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、CHCl3:MeOH=15:1)で精製し、表題化合物(フリー体) 892mg (88.8%)を得た。
【実施例】
【0141】
1H-NMR(CDCl3);δ
3.78(3H, s)、3.85(3H, s)、3.88(3H, s)、3.92(3H, s)、6.70(1H, s)
【実施例】
【0142】
フリー体457mg (0.73mmol)を酢酸エチル4mLに溶解し、4N-HCl/AcOEt 0.7mLを加えた後、溶媒を留去した。残渣を少量のクロロホルムに溶解し、エーテル中に滴下し、析出した結晶を濾取し、減圧乾燥し、吸湿性の表題化合物(ジ塩酸塩) 157mgを得た。
【実施例】
【0143】
実施例9 細胞増殖抑制作用
一般式(1)で表される化合物の一例として、N,N’-ビス-(E)-[5-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-4-ペンテニル]ホモピペラジンの二塩酸塩(以下、本明細書において、化合物Kという。また、本化合物は、特開平9-143075号公報(特許文献2参照)の製造例2に記載の化合物である。)を用いて骨髄腫細胞への細胞傷害活性を評価した。Cell Counting Kit-8(DOJINDO, カタログ番号347-07621)を用いて、骨髄腫細胞株の細胞増殖への影響を評価した。なお、実験には骨髄腫細胞由来と認定を受けた骨髄腫細胞株(Drexler HG, et al, Hum Cell. 2003; 16: 101-105)の中から、KMS12-BM、U266及びRPMI8226細胞株の3種類を選択し、いずれもヒューマンサイエンス研究資源バンクより提供された細胞を使用した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個の細胞を播種、化合物Kを図に表記の濃度(5~25μM)で添加し3日間培養した。各ウェルにCell Counting Kit-8 付属の発色基質含有バッファー10μLを加え、37℃で約1時間インキュベートした後、波長450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Ultramark microplate imaging system, BioRad)にて測定した。化合物K非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。化合物Kは濃度依存的な増殖抑制作用を示したことから、骨髄腫細胞に対する細胞傷害活性を示した(図1)。
【実施例】
【0144】
実施例10 プロテアソームサブユニットに対するボルテゾミブと化合物Kの阻害作用の比較
骨髄腫細胞のプロテアソーム活性阻害作用を、20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)を用いて評価した。骨髄腫細胞株RPMI8226細胞に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、炭酸ガスインキュベータ内にて37℃、1時間インキュベートした。遠心分離により細胞を回収、20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)付属のAssay bufferにて細胞を洗浄、さらに遠心後の細胞をLysis bufferにて溶解し、細胞溶解液を作製した。この溶解液の遠心分離後の上清90μLを96ウェルプレートの各ウェルに加え、蛍光標識(AMC)したキモトリプシン様、カスパーゼ様またはトリプシン様酵素の基質であるSuc-LLVY-AMC、Z-LLE-AMCまたはBoc-LRR-AMCを加え、さらに30℃で1時間反応させた。この反応により遊離した蛍光物質(AMC)を、蛍光マイクロプレートリーダー(SpectraMax Gemini EM, Molecular Devices)を用いて励起波長360nmにおける波長460nmの蛍光により測定した。化合物K非添加下で培養した細胞溶解液上清を加えたウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。なお、活性阻害の陽性対照として既知のプロテアソーム阻害剤ボルテゾミブの結果を付して評価した。化合物Kは、骨髄腫細胞において3種類のサブユニットすべての活性を阻害した(図2左)。なお、従来薬であるボルテゾミブについて同様の実験を行ったが、トリプシン様活性の阻害作用はほとんどなかった(図2右)。この結果は、化合物Kのプロテアソーム阻害の作用機序が、ボルテゾミブと全く異なることを示唆している。
【実施例】
【0145】
実施例11 ボルテゾミブ耐性株に対する化合物Kのキモトリプシン様活性阻害作用
Riらの報告(Ri et al, Leukemia, 2010; 24: 1506-1512)から、プロテアソームβ5サブユニットのボルテゾミブ結合領域の変異がボルテゾミブ耐性を誘導することが示されている。そこで、mutagenesisを用いて変異を導入したβ5サブユニット遺伝子をレンチウィルスベクターを用いてRPMI8226細胞に導入し、変異型β5サブユニット遺伝子を持つクローン亜株(mutant clone)を樹立した。同様に、正常型β5サブユニット遺伝子を導入した亜株(wild type clone)も樹立し、比較対象として用いた。プロテアソームβ5サブユニット遺伝子の正常型(WT)または変異型(mut)を導入したRPMI8226細胞亜株に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、キモトリプシン様活性をProteasome Assay Kit により測定した際の用量反応曲線を示す。化合物K非添加下の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した。化合物Kに対する反応性を評価した結果、化合物Kはmutant clone 及びwild type cloneいずれに対しても同様なキモトリプシン様活性阻害(図3)を示した。従って、化合物Kはボルテゾミブ耐性細胞に対してもプロテアソーム活性の阻害を介した細胞傷害活性を誘導することを示した。
【実施例】
【0146】
実施例12 ボルテゾミブ耐性株に対する化合物Kの細胞増殖抑制作用
プロテアソームβ5サブユニット遺伝子の正常型(WT)または変異型(mut)を導入したRPMI8226細胞亜株に化合物Kを図に表記の濃度で添加し、細胞増殖能をCell Counting Kit-8により測定した際の用量反応曲線を示す。化合物K非添加下の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した。化合物Kに対する反応性を評価した結果、化合物Kはmutant clone 及びwild type cloneいずれに対しても同様な細胞増殖抑制効果(図4)を示した。従って、化合物Kはボルテゾミブ耐性細胞に対してもプロテアソーム活性の阻害を介した細胞傷害活性を誘導することを示した。
【実施例】
【0147】
実施例13 骨髄腫細胞移植マウスの経口投与による、化合物Kの腫瘍形成抑制制作用
骨髄腫細胞を移植したマウスにおける化合物Kの腫瘍増殖抑制効果を評価した。発明者らの報告(Kikuchi et al, Blood, 2010; 116: 406-417)に基づき、骨髄腫細胞を皮下に移植した免疫不全マウスを作成した。6~8週齢のNOD/SCIDマウス(Charles River Laboratories)に、1匹あたり1x107個のU266細胞または3x107個のRPMI8226細胞をMatrigel basement membrane matrix(BD Bioscience、カタログ番号354248)に懸濁し、右足上部の皮下に移植した。4日間かけて接種部位に腫瘍を発生させてから薬物の投与を開始、この日をDay0とし、以降14日間連日経口投与を行った。なお、化合物K投与群には、化合物KをDMSOに溶解後50mg/kgになるように生理食塩水で希釈したもの、Control群には、等量のDMSOを生理食塩水で希釈したものそれぞれを同じスケジュールで投与した。腫瘍サイズは、腫瘍の長径と短径を測定し、4/3π x (短径/2)2 x (長径/2)で概算値(mm3)を算出、投与開始日から28日後までのマウス3~4匹の腫瘍サイズの平均値±標準偏差値をグラフに示した。図中、*はstudent’s t-testにより算出した、それぞれのControl群に対するp値0.05以下を示す。化合物K投与群において、有意な腫瘍増殖抑制効果を示した(図5)。なお、化合物K投与による血球や体重減少、肝機能傷害等の副作用は認めなかった。
【実施例】
【0148】
実施例14 HDAC阻害剤Tubacinとの併用による、化合物Kの骨髄腫細胞の増殖抑制作用
化合物Kとヒストン脱アセチル化酵素阻害剤Tubacin併用の細胞増殖抑制作用を評価した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個のRPMI8226細胞を播種、化合物K及びTubacinを図に表記の濃度で添加し3日間培養した。各ウェルにCell Counting Kit-8 付属の発色基質含有バッファー10μLを加え、37℃で約1時間インキュベートした後、波長450nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(Ultramark microplate imaging system, BioRad)にて測定した。化合物K及びTubacin非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を求め用量反応曲線を作成した。なお、標準偏差値はいずれも10%未満であったため、図からは割愛した。化合物K及びTubacinの併用時、RPMI8226細胞の増殖は濃度依存的に抑制され、2剤併用による細胞傷害活性の増強が確認された(図6)。
【実施例】
【0149】
実施例15 細胞増殖抑制作用
化合物K以外の一般式(1)で表されるジアミン化合物の塩を用いて骨髄腫細胞への細胞傷害活性を評価した。Cell Counting Kit-8(DOJINDO, カタログ番号347-07621)を用いて、RPMI8226細胞株の増殖への影響を評価した。96ウェルプレートの各ウェルに10,000個の細胞を播種、化合物を5~25μMの間の濃度で添加し3日間培養した。化合物非添加下で培養したウェルの値を100%とした時の50%の値となる濃度をIC50濃度として算出し、実験3回の平均値±標準偏差値を求め、各化合物の構造とその値を示した。いずれも化合物Kと同様あるいは低濃度で細胞傷害活性を示した(図7、図8)。
【実施例】
【0150】
実施例16 ジアミン化合物のプロテアソームサブユニットに対する阻害作用
化合物K以外の一般式(1)で表されるジアミン化合物の塩のプロテアソーム活性阻害作用を評価した。骨髄腫細胞株RPMI8226細胞にジアミン化合物をK7、K8、K10については5μM、化合物Kについては10μMの濃度で添加し、キモトリプシン様、カスパーゼ様またはトリプシン様酵素活性を20S Proteasome Assay Kit (Cayman Chemical、カタログ番号10008041)により測定した。化合物非添加時の値を100%とした時の相対値を算出、実験3回の平均値±標準偏差値を示した(図9)。この結果は、化合物Kを含む一般式(1)で表されるジアミン化合物にプロテアソーム阻害作用のあることを示唆している。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明の一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩又はそれらの溶媒和物は、優れた腫瘍形成抑制作用を示し、多発性骨髄腫を始めとする悪性腫瘍の治療に有用であることから、産業上の利用可能性を有している。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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