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明細書 :ハロゲン化触媒及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成27年4月27日(2015.4.27)
発明の名称または考案の名称 ハロゲン化触媒及びその製造方法
国際特許分類 B01J  29/76        (2006.01)
B01J  23/745       (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
B01J  37/12        (2006.01)
B01J  37/04        (2006.01)
B01J  37/08        (2006.01)
B01J  29/072       (2006.01)
B01J  29/06        (2006.01)
C07C  25/06        (2006.01)
C07C  25/02        (2006.01)
C07C  17/12        (2006.01)
C07B  61/00        (2006.01)
FI B01J 29/76 Z
B01J 23/74 301Z
B01J 37/02 101Z
B01J 37/12
B01J 37/04 102
B01J 37/08
B01J 29/072 Z
B01J 29/06 Z
C07C 25/06
C07C 25/02
C07C 17/12
C07B 61/00 300
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 16
出願番号 特願2013-547200 (P2013-547200)
国際出願番号 PCT/JP2012/080866
国際公開番号 WO2013/081034
国際出願日 平成24年11月29日(2012.11.29)
国際公開日 平成25年6月6日(2013.6.6)
優先権出願番号 2011263954
優先日 平成23年12月1日(2011.12.1)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC
発明者または考案者 【氏名】仁科 勇太
【氏名】高見 佳志
出願人 【識別番号】504147243
【氏名又は名称】国立大学法人 岡山大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100113181、【弁理士】、【氏名又は名称】中務 茂樹
【識別番号】100180600、【弁理士】、【氏名又は名称】伊藤 俊一郎
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
4H006
4H039
Fターム 4G169AA03
4G169AA08
4G169BA03A
4G169BA03B
4G169BA07A
4G169BA07B
4G169BB04A
4G169BB06A
4G169BC16A
4G169BC35A
4G169BC35B
4G169BC66A
4G169BC66B
4G169BD05A
4G169CB25
4G169CB66
4G169CB68
4G169DA05
4G169FA02
4G169FB06
4G169FB18
4G169FB29
4G169FC08
4G169ZA32A
4H006AA02
4H006AC30
4H006BA07
4H006BA18
4H006BA30
4H006BA55
4H006BE53
4H006EA21
4H039CA50
4H039CD10
要約 ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化鉄又は酸化亜鉛が担持されてなることを特徴とする芳香環をハロゲン化するためのハロゲン化触媒である。このとき、前記ハロゲン化触媒が芳香環を臭素化するための臭素化触媒であることが好ましい。前記複合酸化物1gに対して0.1~10mmolの鉄元素又は亜鉛元素を含有することも好ましい。前記複合酸化物のケイ素原子とアルミニウム原子との比(Si/Al)が、1~1000であることも好ましい。これによって、ハロゲン化合物を高収率で得ることが可能となる。
特許請求の範囲 【請求項1】
ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化鉄又は酸化亜鉛が担持されてなることを特徴とする芳香環をハロゲン化するためのハロゲン化触媒。
【請求項2】
前記ハロゲン化触媒が芳香環を臭素化するための臭素化触媒である請求項1に記載のハロゲン化触媒。
【請求項3】
前記複合酸化物1gに対して0.1~10mmolの鉄元素又は亜鉛元素を含有する請求項1又は2に記載のハロゲン化触媒。
【請求項4】
前記複合酸化物からなる担体に酸化鉄が担持されてなる請求項1~3のいずれかに記載のハロゲン化触媒。
【請求項5】
前記複合酸化物のケイ素原子とアルミニウム原子との比(Si/Al)が、1~1000である請求項1~4のいずれかに記載のハロゲン化触媒。
【請求項6】
前記複合酸化物が、ゼオライトである請求項1~5のいずれかに記載のハロゲン化触媒。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載のハロゲン化触媒の製造方法であって;
ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物と、鉄塩又は亜鉛塩を溶媒中で混合する第1工程と、
前記第1工程で得られた混合物から溶媒を除去する第2工程と、
前記第2工程で溶媒が除去された混合物を酸化可能雰囲気下で加熱する第3工程とを備えることを特徴とするハロゲン化触媒の製造方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれかに記載のハロゲン化触媒を用いたハロゲン化合物の製造方法であって;
芳香環を有する化合物とハロゲンとを前記ハロゲン化触媒存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化合物の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香環をハロゲン化するためのハロゲン化触媒及びその製造方法に関する。また、本発明は、ハロゲン化触媒を用いてハロゲン化合物を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機化学工業の分野において、ハロゲン化合物は重要な中間体あるいは最終生成物となっており、その製造方法については多くの先行技術が知られている。例えば、最も単純な芳香族化合物であるベンゼンの臭素化反応は、これまで数多く報告されている。
【0003】
非特許文献1には、酸化水銀及び硫酸の存在下で、ベンゼンと臭素とを反応させブロモベンゼンを合成する方法が記載されている。しかしながら、この方法では、化学量論量以上の酸化水銀を加える必要があった。また、この方法は、酸性条件下で反応を行うため反応後に中和工程が必要になるという問題もあった。
【0004】
特許文献1には、ラウリル硫酸ナトリウムを触媒として、ベンゼンと臭素とを反応させブロモベンゼンを合成する方法が記載されている。しかしながら、この方法は、反応時間が長いうえに、硫酸水溶液を溶媒としているため反応後に中和工程が必要になるという問題があった。
【0005】
非特許文献2には、臭化アルミニウムを触媒として、ベンゼンと臭素とを反応させ1,2,4,5-テトラブロモベンゼンを合成する方法が記載されている。また、特許文献2には、鉄粉を触媒として、1,4-ジフルオロベンゼンと臭素とを反応させ2-ブロモ-1,4-ジフルオロベンゼンを合成する方法が記載されている。しかしながら、これらの触媒は反応溶液中に均一状態で溶解しているため、反応後に生成物と分離するのが困難であり、触媒が再利用できないという問題があった。
【0006】
非特許文献3には、ゼオライトの存在下で、ベンゼンと臭素とを反応させブロモベンゼンを合成する方法が記載されている。しかしながら、この合成法は、ブロモベンゼン及び臭素の量に対して過剰重量のゼオライトが必要であるという問題があった。
【先行技術文献】
【0007】

【非特許文献1】J. Org. Chem. 1988, 53, 1799-1800
【非特許文献2】Russian Journal of Organic Chemistry, 2008, 44(9), 1323-1326
【非特許文献3】J. Chem. Soc., Perkin Trans. 1, 2000, 2745-2752
【0008】

【特許文献1】US2005/0137431 A1
【特許文献2】特開平7-285896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ハロゲン化合物を高収率で得ることが可能で、かつ回収容易である、芳香環をハロゲン化するためのハロゲン化触媒を提供することを目的とするものである。また、そのようなハロゲン化触媒の製造方法を提供することを目的とする。さらには、そのようなハロゲン化触媒を用いてハロゲン化合物を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題は、ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化鉄又は酸化亜鉛が担持されてなることを特徴とする芳香環をハロゲン化するためのハロゲン化触媒を提供することによって解決される。このとき、前記ハロゲン化触媒が芳香環を臭素化するための臭素化触媒であることが好ましい。前記複合酸化物1gに対して0.1~10mmolの鉄元素又は亜鉛元素を含有することも好ましい。前記複合酸化物からなる担体に酸化鉄が担持されてなることも好ましい。
【0011】
前記複合酸化物のケイ素原子とアルミニウム原子との比(Si/Al)が、1~1000であることも好ましい。前記複合酸化物が、ゼオライトであることも好ましい。
【0012】
また、上記課題は、上記ハロゲン化触媒の製造方法であって;ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物と、鉄塩又は亜鉛塩を溶媒中で混合する第1工程と、前記第1工程で得られた混合物から溶媒を除去する第2工程と、前記第2工程で溶媒が除去された混合物を酸化可能雰囲気下で加熱する第3工程とを備えることを特徴とするハロゲン化触媒の製造方法を提供することによっても解決される。
【0013】
さらに、上記課題は、上記ハロゲン化触媒を用いたハロゲン化合物の製造方法であって;芳香環を有する化合物とハロゲンとを前記ハロゲン化触媒存在下で反応させることを特徴とするハロゲン化合物の製造方法を提供することによっても解決される。
【発明の効果】
【0014】
本発明のハロゲン化触媒によれば、ハロゲン化合物を高収率で得ることが可能となる。また、本発明のハロゲン化触媒は、反応系から分離しやすく回収が容易である。本発明の製造方法によれば、このようなハロゲン化触媒が簡便に得られる。本発明のハロゲン化触媒を用いれば、ハロゲン化合物を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】酸化鉄が担持されたNa-βゼオライト及びNa-βゼオライトの粉末X線回折法による分析結果を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のハロゲン化触媒は、芳香環をハロゲン化するための触媒であり、ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化鉄又は酸化亜鉛が担持されているものである。本発明のハロゲン化触媒を用いて芳香環をハロゲン化すると、反応系がいわゆる不均一系となり、反応系からの触媒の分離回収が容易になる。

【0017】
ここで本発明で用いられる複合酸化物は、少なくとも、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、酸素(O)を含有するものである。具体的にはケイ素の酸化物とアルミニウムの酸化物とを含み、少なくとも一部のケイ素原子とアルミニウム原子とが酸素を介し化学的に結合されてなる複合酸化物である。

【0018】
本発明において、複合酸化物のケイ素原子とアルミニウム原子との比(Si/Al)が、1~1000であることが好適であり、2~500であることがより好適であり、5~300がさらに好適である。本発明で用いられる具体的な複合酸化物としては、好適にはゼオライト、シリカアルミナ、アルミノシリケートを挙げることができ、より好適にはゼオライトである。

【0019】
また、複合酸化物1gに対して0.1~10mmolの鉄元素又は亜鉛元素を含有することが好適である。複合酸化物1gに対する鉄元素又は亜鉛元素の含有量が0.1mmol未満であるとハロゲン化反応の反応性が低下するおそれがあり、より好適には0.2mmol以上であり、さらに好適には0.5mmol以上である。一方、複合酸化物1gに対する鉄元素又は亜鉛元素の含有量が10mmolを超えると製造コストが上昇するおそれがあり、より好適には8mmol以下であり、さらに好適には5mmol以下である。本発明において、鉄元素及び亜鉛元素はケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化物の状態で担持されている。

【0020】
ハロゲン化合物を高収率で得る観点から、ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物からなる担体に酸化鉄が担持されてなることが好適である。このとき、担体に担持されている酸化鉄がヘマタイトであることが好ましい。

【0021】
本発明のハロゲン化触媒の好適な製造方法は、ケイ素及びアルミニウムを含有する複合酸化物と、鉄塩又は亜鉛塩を溶媒中で混合する第1工程と、該第1工程で得られた混合物から溶媒を除去する第2工程と、該第2工程で溶媒が除去された混合物を酸化可能雰囲気下で加熱する第3工程とを備えるものである。

【0022】
第1工程で用いられる鉄塩又は亜鉛塩は、加熱することにより酸化物となる金属塩であれば特に限定されない。当該金属塩としては、例えば安価で入手容易な塩化鉄、硝酸鉄、硫酸鉄、酢酸鉄、鉄アセチルアセトナート、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナートなどを例示することができる。第1工程で用いられる溶媒は、上記金属塩が溶解し、容易に留去させることのできるものであればよく、例えばアルコールなどの極性有機溶媒や水を例示することができる。中でも炭素数が3以下のアルコール、特にメタノールが好適である。また、第1工程における混合操作は特に限定されない。上記金属塩の溶液に複合酸化物を加えて混合してもよいし、複合酸化物及び溶媒の混合物に上記金属塩を加えて溶解させてもよい。

【0023】
第2工程において溶媒を除去する方法は、特に限定されず、減圧、加熱等の方法を採用することができる。

【0024】
第3工程において、溶媒が除去された混合物を酸化可能雰囲気下で加熱する。ここでいう酸化可能雰囲気下とは、加熱することによって、上記混合物に含まれる金属塩が酸化することが可能な雰囲気のことである。したがって、加熱する際の雰囲気が酸素を含有する雰囲気であればよく、大気中で加熱するのが簡便であり好ましい。加熱温度は、150~500℃であることが好ましい。加熱時間は加熱温度との関係で設定されるが、上記混合物に含まれる金属塩が酸化物になるように適宜設定すればよい。また、加熱方法は、特に限定はされず、オーブン中で加熱する方法やヒーターを用いて加熱する方法などが例示される。

【0025】
本発明のハロゲン化触媒を用いて、芳香環を有する化合物とハロゲンとを反応させハロゲン化合物を製造することができる。本発明のハロゲン化触媒を用いると芳香族求電子置換反応により芳香環上の水素原子がハロゲン原子に置換される。そして、収率良くハロゲン化合物を得ることができる。

【0026】
ここで、芳香環を有する化合物とは、芳香環を有し芳香環の炭素原子に結合している原子の少なくとも1つが水素原子であるものであればよい。芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ビフェニルなどが例示される。また、チオフェン環、ピロール環、フラン環などの五員複素芳香環、ピリジン環、ピリミジン環などの六員複素芳香環であっても構わない。また、これらの芳香環が縮合した化合物であっても構わない。これらの芳香環に導入される置換基は、ハロゲン、アミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基、シアノ基、ニトロ基などが例示される。当該置換基は複数導入されても構わない。

【0027】
ハロゲン化合物を製造するときの反応温度は、通常、室温~150℃であり、反応時間は反応温度との関係で適宜設定される。ハロゲン化合物を製造するとき、原料の芳香環を有する化合物とハロゲンとのmol比は特に限定されない。当量であっても構わないし、一方が過剰量であっても構わない。ハロゲン化触媒の量も特に限定されない。原料1molに対するハロゲン化触媒の使用量は、鉄元素又は亜鉛元素のmol数として、0.5mol以下であることが好適あり、0.1mol以下であることがより好適である。また、原料1molに対するハロゲン化触媒の使用量は、鉄元素又は亜鉛元素のmol数として、通常、0.001mol以上である。

【0028】
本発明において、上記ハロゲン化触媒が芳香環を臭素化するための臭素化触媒であることが好適である。本発明におけるハロゲン化反応に使用されるハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。中でも本発明のハロゲン化触媒を臭素化反応に用いると効率良く反応が進行する。

【0029】
また、本発明の好適な実施形態は、反応終了後に反応系からハロゲン化触媒を分離することである。より好適には、分離したハロゲン化触媒を再使用することである。本発明のハロゲン化触媒は、いわゆる不均一系触媒であるため、ハロゲン化反応の終了後、遠心分離やろ過などの簡易な方法でハロゲン化触媒を分離することができる。このとき、反応系から分離されたハロゲン化触媒は、加熱してから再使用することが好ましい。加熱条件としてはハロゲン化触媒の製造方法における上記第3工程と同じ条件が好適に採用される。このように、本発明のハロゲン化触媒を分離して再使用した場合にもハロゲン化合物を高収率で得ることができる。したがって本発明のハロゲン化触媒は、環境面、コスト面からも優れている。
【実施例】
【0030】
以下、実施例を用いて本発明を更に具体的に説明する。
【実施例】
【0031】
実施例1(担体に担持させる金属種の検討)
実施例1は、担体に担持させる金属種を変えた場合のハロゲン化反応の反応性を検討した例である。具体的には、担体に鉄、亜鉛、マンガン、銅、クロム、コバルトをそれぞれ担持させたハロゲン化触媒を調製し、それら触媒を用いた臭素化反応及び塩素化反応の反応性について検討した。また、反応例1-1で用いたハロゲン化触媒については粉末X線回折法による分析を行った。
【実施例】
【0032】
[ハロゲン化触媒の調製]
金属塩として塩化鉄(III)六水和物(FeCl・6HO)0.27g(1mmol)を10mlのメタノールに溶かした。得られた溶液に、担体としてゼオライトを1g入れ、室温にて1時間撹拌した。その後、エバポレーターを用いてメタノールを留去し、電気炉を用いて大気中、300℃で1時間加熱し、反応例1-1に用いるハロゲン化触媒を得た。また、表1に示すように、反応例1-2では金属塩として塩化亜鉛(ZnCl)0.14g(1mmol)を用い、反応例1-3では金属塩として塩化マンガン(II)四水和物(MnCl・4HO)0.20g(1mmol)を用い、反応例1-4では金属塩として塩化銅(II)(CuCl)0.13g(1mmol)を用い、反応例1-5では金属塩として塩化クロム(III)六水和物(CrCl・6HO)0.27g(1mmol)を用い、反応例1-6では金属塩として塩化コバルト(II)六水和物(CoCl・6HO)0.24g(1mmol)を用いてぞれぞれハロゲン化触媒を得た。ゼオライトはNa-βゼオライト(触媒学会参照触媒「JRC-Z-B25」、SiO/Al=25/1)を用いた。
【実施例】
【0033】
[粉末X線回折法による分析]
X線回折装置を用いて、Cu-Kα線による粉末X線回折法により、上記Na-βゼオライト及び反応例1-1に用いるハロゲン化触媒について分析を行った。その結果を図1に示す。図1に示すように、反応例1-1に用いるハロゲン化触媒においては、ヘマタイト由来のピークが観察され、当該ハロゲン化触媒はヘマタイト(Fe)を含むことがわかった。X線回折装置は、株式会社リガク社製のRINT-2000を用いた。
【実施例】
【0034】
反応例1-1~8(臭素化反応)
アルゴン雰囲気下(1atm)で、ジクロロメタンを溶媒として表1に示したハロゲン化触媒(0.01g)、ベンゼン(1mL)及び臭素(0.08g、0.5mmol)を試験管に加え、40℃で1.5時間加熱撹拌した。その後、反応混合物をチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、ヘキサンで有機物を抽出した。有機相をガスクロマトグラフィーで分析し、ブロモベンゼンの収率を求めた。反応例1-8で用いたヘマタイトは和光純薬工業株式会社製の酸化鉄(III)である。結果を表1に示す。反応式は下記式(I)の通りである。
【実施例】
【0035】
【化1】
JP2013081034A1_000003t.gif
【実施例】
【0036】
【表1】
JP2013081034A1_000004t.gif
【実施例】
【0037】
表1に示すように、ゼオライト担体に担持させる金属種として鉄を用いた場合には、ベンゼンの臭素化反応が、ほぼ定量的に進行した(反応例1-1)。また、ゼオライト担体に担持させる金属種として亜鉛(反応例1-2)を用いた場合も高収率でブロモベンゼンを得ることができた。一方、ゼオライト担体に担持させる金属種としてマンガン(反応例1-3)、銅(反応例1-4)、クロム(反応例1-5)、コバルト(反応例1-6)を用いた場合の収率は低かった。また、ベンゼンの臭素化反応の触媒として単にゼオライトを用いた場合も収率は低かった(反応例1-7)。ベンゼンの臭素化反応の触媒として単に酸化鉄(ヘマタイト)を用いた場合には、臭素化反応はほとんど進行しなかった(反応例1-8)。
【実施例】
【0038】
反応例1-9(臭素化反応)
アルゴン雰囲気下(1atm)で、反応例1-1のハロゲン化触媒(0.05g)、ベンゼン(6mL)及び臭素(3.2g、20mmol)を50mLのナスフラスコに加え、当該ナスフラスコの上部にアルゴンを入れた風船を付けた。40℃で2時間加熱撹拌した後、反応混合物をチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、ヘキサンで有機物を抽出した。有機相をガスクロマトグラフィーで分析し、ブロモベンゼンの収率を求めた。ブロモベンゼンの収率は87%であった。反応式は下記式(II)の通りである。
【実施例】
【0039】
【化2】
JP2013081034A1_000005t.gif
【実施例】
【0040】
反応例1-10(塩素化反応)
反応例1-1のハロゲン化触媒(0.01g)及びベンゼン(1mL)を試験管に入れ、当該試験管内の空気を塩素で置換して密閉し塩素雰囲気下(1atm)にした。このとき試験管に加えた塩素は2mmolであった。40℃で1.5時間加熱撹拌した後、反応混合物をチオ硫酸ナトリウム水溶液で処理し、ヘキサンで有機物を抽出した。有機相をガスクロマトグラフィーで分析し、クロロベンゼンの収率を求めた。クロロベンゼンの収率は77%であった。反応式は下記式(III)の通りである。
【実施例】
【0041】
【化3】
JP2013081034A1_000006t.gif
【実施例】
【0042】
実施例2(担体の検討)
実施例2は、担体を変えた場合のハロゲン化反応の反応性を検討した例である。具体的には、担体を表2に示すように変更した以外は反応例1-1のハロゲン化触媒を調製したときと同じ方法でハロゲン化触媒を調製し、臭素化反応の反応性を検討した。ここで、反応例2-1では、反応例1-1のハロゲン化触媒、すなわちゼオライト担体に酸化鉄が担持されなるハロゲン化触媒を用いた。反応例2-2で用いたアルミノシリケートは「MCM-41」(SiO/Al=74/1)であり、反応例2-3で用いたシリカアルミナは触媒学会参照触媒「JRC-SAL-3」(SiO/Al=87/13)である。また、反応例2-4では複合酸化物ではない担体として酸化アルミニウムを用いてハロゲン化触媒を調製した例であり、反応例2-5では複合酸化物ではない担体として二酸化ケイ素を用いた例である。
【実施例】
【0043】
これらのハロゲン化触媒を用いてベンゼンの臭素化反応を行った。その方法は、実施例1の臭素化反応において、反応時間を2時間にした以外は実施例1の反応例1-1と同様である。結果を表2に示す。
【実施例】
【0044】
【表2】
JP2013081034A1_000007t.gif
【実施例】
【0045】
表2に示すように、酸化鉄を担持させる担体としてゼオライトを用いた場合には、ベンゼンの臭素化反応が定量的に進行した(反応例2-1)。また、アルミノシリケートを担体として用いた場合でもベンゼンの臭素化反応が定量的に進行した(反応例2-2)。さらに、シリカアルミナを担体として用いた場合も、ベンゼンの臭素化反応が、ほぼ定量的に進行した(反応例2-3)。一方、酸化アルミニウムを担体として用いた場合の収率は70%程度であり(反応例2-4)、二酸化ケイ素を担体として用いた場合には、臭素化反応はほとんど進行しなかった(反応例2-5)。
【実施例】
【0046】
実施例3(再使用可能性の検討)
実施例3は、反応系からハロゲン化触媒を分離して再使用することが可能かどうかについて検討した例である。
【実施例】
【0047】
まず、反応例1-1のハロゲン化触媒、すなわちゼオライト担体に酸化鉄が担持されなるハロゲン化触媒を用いてベンゼンの臭素化反応を行った。そして、反応後に反応溶液をメンブレンフィルターでろ過してハロゲン化触媒を回収し、極少量のヘキサンで洗浄してから電気炉を用いて大気中、300℃で1時間加熱した。こうして回収されたハロゲン化触媒を次の反応に再使用した。この操作を繰り返し行った場合の臭素化反応の反応性を検討した。臭素化反応の条件は、ベンゼンを3mL及び臭素を0.24g(1.5mmol)にして反応時間を2時間にした以外は実施例1の反応例1-1と同じである。結果を表3に示す。
【実施例】
【0048】
【表3】
JP2013081034A1_000008t.gif
【実施例】
【0049】
表3に示すように、4回繰り返し使用しても臭素化反応は進行しブロモベンゼンを得ることができ、しかも反応が定量的に進行した。これにより、反応系からハロゲン化触媒を回収して再使用することが可能であることが確認された。
【実施例】
【0050】
実施例4(反応基質の検討)
実施例4は、反応基質を変えた場合の臭素化反応の反応性を検討した例である。具体的には、反応例1-1で用いたハロゲン化触媒、すなわちゼオライト担体に酸化鉄が担持されなるハロゲン化触媒を用いて、表4に示す反応基質を用いて臭素化反応を行った。臭素化反応の条件は、表4に示す通りである。
【実施例】
【0051】
【表4】
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【実施例】
【0052】
表4に示す条件でブロモベンゼンの臭素化反応を行った結果、ブロモベンゼンは高収率で臭素化されp-及びo-ジブロモベンゼンが得られた(反応例4-1)。また、フルオロベンゼンの臭素化反応を行った結果、高収率かつ高選択的にp-臭素化反応が進行した(反応例4-2)。表4に示す条件で1,4-ジブロモベンゼンの臭素化反応を行うと、モノ及びジ臭素化反応が進行した(反応例4-3)。また、一般的に、フッ素置換ベンゼンの臭素化反応性は臭素置換ベンゼンに比べて低いことが知られているが、反応例1-1のハロゲン化触媒を用いて臭素化反応を行うとフッ素置換ベンゼンでも反応が進行し、収率も悪くはなかった(反応例4-4、4-5)。
図面
【図1】
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