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明細書 :ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成27年4月30日(2015.4.30)
発明の名称または考案の名称 ネットワークポリマー及びポリマーゲル電解質
国際特許分類 C08F  20/30        (2006.01)
H01M  10/0565      (2010.01)
H01M  10/052       (2010.01)
FI C08F 20/30
H01M 10/0565
H01M 10/052
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 44
出願番号 特願2013-551243 (P2013-551243)
国際出願番号 PCT/JP2012/008283
国際公開番号 WO2013/099224
国際出願日 平成24年12月25日(2012.12.25)
国際公開日 平成25年7月4日(2013.7.4)
優先権出願番号 2011286761
2012135463
優先日 平成23年12月27日(2011.12.27)
平成24年6月15日(2012.6.15)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC
発明者または考案者 【氏名】山吹 一大
【氏名】大石 勉
【氏名】鬼村 謙二郎
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100107984、【弁理士】、【氏名又は名称】廣田 雅紀
【識別番号】100102255、【弁理士】、【氏名又は名称】小澤 誠次
【識別番号】100096482、【弁理士】、【氏名又は名称】東海 裕作
【識別番号】100188352、【弁理士】、【氏名又は名称】松田 一弘
【識別番号】100131093、【弁理士】、【氏名又は名称】堀内 真
【識別番号】100150902、【弁理士】、【氏名又は名称】山内 正子
【識別番号】100177714、【弁理士】、【氏名又は名称】藤本 昌平
【識別番号】100141391、【弁理士】、【氏名又は名称】園元 修一
審査請求 未請求
テーマコード 4J100
5H029
Fターム 4J100AL03R
4J100AL08R
4J100AL09R
4J100AL66P
4J100AL66Q
4J100BA05R
4J100BA08R
4J100BA32Q
4J100BC43P
4J100BC52P
4J100CA05
4J100FA19
4J100JA43
5H029AJ02
5H029AJ12
5H029AK03
5H029AK05
5H029AK16
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ02
要約 本発明は、ロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーを得ること、及び、リチウムイオン二次電池等の二次電池用電解質として使用することができる、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を提供することが課題である。本発明のネットワークポリマーは、下記式(I)で表される部分構造の環状部に、下記式(II)又は下記式(II')で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる単位(A)を有するネットワークポリマー、又は前記単位(A)及びラジカル重合性モノマー由来の単位(B)を有するネットワークポリマーであって、前記式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造とのモル比((I)/(II))が1/1~10/1である(ただし、単位(A)が式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造からなり、単位(B)を有しない場合を除く)。
【化1】
JP2013099224A1_000048t.gif
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(I)
【化1】
JP2013099224A1_000037t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、n1は、3又は4の整数を表す。n2は1~30の整数を表す。)で表される部分構造の環状部に、
下記式(II)
【化2】
JP2013099224A1_000038t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、Zは対アニオンを表す。)、又は下記式(II')
【化3】
JP2013099224A1_000039t.gif
(式中、R及びRは式(II)における定義と同じであり、Rは、求電子剤由来の残基を表す)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる単位(A)を有するネットワークポリマー、又は前記単位(A)及びラジカル重合性モノマー由来の単位(B)を有するネットワークポリマーであって、
前記式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造とのモル比((I)/(II))が1/1~10/1であるネットワークポリマー(ただし、単位(A)が式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造からなり、単位(B)を有しない場合を除く)。
【請求項2】
前記単位(A)と前記ラジカル重合性モノマー由来の単位(B)とのモル比((A)/(B))が1/1~1/100であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。
【請求項3】
式(I)で表される部分構造が、下記式(III)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。
【化4】
JP2013099224A1_000040t.gif
(式中、mは1~13の整数であり、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。n2は、式(I)における定義と同じである。)
【請求項4】
式(II)で表される部分構造が、下記式(IV)で表される構造であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。
【化5】
JP2013099224A1_000041t.gif
(式中、yは1~12の整数を、Zは対アニオンを表す。)
【請求項5】
ラジカル重合性モノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、スチレン及びアクリロニトリルからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマー。
【請求項6】
式(V)
【化6】
JP2013099224A1_000042t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。n1は、3又は4の整数を表す。)で表される環状化合物と、
下記式(VI)
【化7】
JP2013099224A1_000043t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは、同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。Zは対アニオンを表す。)で表される直鎖状化合物とを反応させて、前記式(I)で表される部分構造の環状部に、前記式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる構造(A)を有する化合物を生成させた後、前記構造(A)を有する化合物を重合することを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマーの製造方法。

【請求項7】
下記式(VII)
【化8】
JP2013099224A1_000044t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基又は重合反応時に結合部位として作用しない基を表す。ただし、n2が1の場合は、X及びXは重合反応時に結合部位として作用する基である場合に限る。
n1は、3又は4の整数を表す。n2は1~30の整数を表す。)で表される環状化合物と、
下記式(VI)
【化9】
JP2013099224A1_000045t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは、同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。Zは対アニオンを表す。)で表される直鎖状化合物とを反応させて、
前記式(I)で表される部分構造の環状部に、前記式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる構造(A)を有する化合物を生成させた後、前記構造(A)を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル重合することを特徴とする請求項1に記載のネットワークポリマーの製造方法。
【請求項8】
重合後、さらに、得られたネットワークポリマーと求電子剤とを反応させて、
式(II)
【化10】
JP2013099224A1_000046t.gif
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、Zは対アニオンを表す。)で表される部分構造を、式(II')
【化11】
JP2013099224A1_000047t.gif
(式中、R及びRは式(II)における定義と同じであり、Rは、求電子剤由来の残基を表す)で表される部分構造に変換することを特徴とする請求項6又は7に記載のネットワークポリマーの製造方法。
【請求項9】
電解液中に請求項1~5のいずれかに記載のネットワークポリマーを含有することを特徴とするポリマーゲル電解質。
【請求項10】
電解液がヘキサフルオロリン酸リチウム又はテトラフルオロホウ酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液又はエチレンカーボネート溶液であることを特徴とする請求項9に記載のポリマーゲル電解質。
【請求項11】
請求項9に記載のポリマーゲル電解質を用いることを特徴とする二次電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、クラウンエーテルを有する新規ネットワークポリマーに関し、また、ネットワークポリマーを含有するポリマーゲル電解質、さらに該ポリマーゲル電解質を含有する二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ゲル材料は、食品、医療品、生活用品及び工業製品等に幅広く利用されており、これらに用いられる高分子化合物の種類も多様であるが、構造という観点から眺めてみると、物理ゲルと化学ゲルのわずか2種類しか存在しない。
【0003】
物理ゲルは、ゼラチンや寒天などのように自然界でよく見られるゲルであり、また、生体組織の大半も多種多様な物理ゲルが占めている。
かかる物理ゲルは、高分子間に働く物理的引力相互作用によってネットワークを構成しているため、温度や溶媒に対する安定性が低い。
【0004】
一方、化学ゲルは、ネットワーク全体が共有結合で直接つながった巨大な1分子であるため、温度や溶媒に対する安定性に優れており、多方面に産業利用されている。
しかし、化学ゲルでは、架橋点が固定されているため、架橋反応において形成される不均一な構造が永久に保持され、機械強度が著しく低いという欠点があった。
【0005】
これに対し、近年では、斬新な手法を用いて物理ゲル、化学ゲルのいずれにも分類されない新しい種類のゲル、即ち「環動ゲル」又は「トポロジカルゲル」が提案されており、このような環動ゲルには、ポリロタキサンが用いられている。
このポリロタキサンは、環状分子(回転子:rotator)の開口部を直鎖状分子(軸:axis)で串刺し状に貫通して環状分子を直鎖状分子で包接し、且つ環状分子が脱離しないように直鎖状分子の両末端に封鎖基を配置して成るもので、かかるポリロタキサンを複数架橋して成り、環動ゲルに適用可能な架橋ポリロタキサンが開示されている(特許文献1~9参照)。
【0006】
この架橋ポリロタキサンは、直鎖状分子に串刺し状に貫通されている環状分子が当該直鎖状分子に沿って移動可能(滑車効果)なために粘弾性を有し、張力が加わっても、この滑車効果によって当該張力を均一に分散させることができるので、従来の架橋ポリマーとは異なり、クラックや傷が極めて生じ難いという優れた性質を有するものである。
【0007】
しかしながら、これら架橋ポリロタキサンは刺激応答性が低く、製造に多段階を要するなどの課題を有している。
これら架橋ポリロタキサンに対し、本発明者らにより、擬ロタキサンが重合した高分子化合物から成るゲルが報告されている(非特許文献1)。当該高分子化合物は、製造が容易であることから、さらなる応用が期待されている。
【0008】
一方、ゲル材料の応用分野として、リチウムイオン二次電池などに使用される電解液をゲル化させたゲル電解質の開発が検討されている。例えば特許文献10及び11には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)や、ポリアクリロニトリル(PAN)などのポリマーに電解液を混合し、加熱することでポリマーを電解液に溶解させ、その後冷却することでゲルを作製することが開示されている。
【0009】
これらゲル電解質を用いた電池は、ゲルによって電解液が保持されるために、液漏れが起こりにくいという利点を有していた。しかし、従来のゲル電解質では、電解液の使用量が多く、熱安定性も不十分であることから、依然として安全性の点で改良が求められていた。
【先行技術文献】
【0010】

【特許文献1】特許第3475252号公報
【特許文献2】特開2005-068032号公報
【特許文献3】WO2006/115255号公報
【特許文献4】WO2009/136618号公報
【特許文献5】特開2009-270120号公報
【特許文献6】特開2009-051994号公報
【特許文献7】特開2010-155880号公報
【特許文献8】特開2010-159336号公報
【特許文献9】特開2010-159337号公報
【特許文献10】特開2002-334690号公報
【特許文献11】特開2003-317692号公報
【0011】

【非特許文献1】Polymer Journal,Vol.40,No.3,(2008),205-211
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーを得ること、及び、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、クラウンエーテルを用いたロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーの構築に成功し、且つ、当該ネットワークポリマーから得られるポリマーゲル電解質が、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)下記式(I)
【0015】
【化1】
JP2013099224A1_000003t.gif

【0016】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、n1は、3又は4の整数を表す。n2は1~30の整数を表す。)で表される部分構造の環状部に、
下記式(II)
【0017】
【化2】
JP2013099224A1_000004t.gif

【0018】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、Zは対アニオンを表す。)、又は下記式(II')
【0019】
【化3】
JP2013099224A1_000005t.gif

【0020】
(式中、R及びRは式(II)における定義と同じであり、Rは、求電子剤由来の残基を表す)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる単位(A)を有するネットワークポリマー、又は前記単位(A)及びラジカル重合性モノマー由来の単位(B)を有するネットワークポリマーであって、
前記式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造とのモル比((I)/(II))が1/1~10/1であるネットワークポリマー(ただし、単位(A)が式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造からなり、単位(B)を有しない場合を除く)、
(2)前記単位(A)と前記ラジカル重合性モノマー由来の単位(B)とのモル比((A)/(B))が1/1~1/100であることを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマー、
(3)式(I)で表される部分構造が、下記式(III)で表される構造であることを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマー
【0021】
【化4】
JP2013099224A1_000006t.gif

【0022】
(式中、mは1~13の整数であり、点線部の結合は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合する。n2は、式(I)における定義と同じである。)、
(4)式(II)で表される部分構造が、下記式(IV)で表される構造であることを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマー
【0023】
【化5】
JP2013099224A1_000007t.gif

【0024】
(式中、yは1~12の整数を、Zは対アニオンを表す。)、及び、
(5) ラジカル重合性モノマーが、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、スチレン及びアクリロニトリルからなる群から選ばれる1又は2以上の化合物であることを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマーに関する。
【0025】
また、本発明は、
(6)式(V)
【0026】
【化6】
JP2013099224A1_000008t.gif

【0027】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。n1は、3又は4の整数を表す。)で表される環状化合物と、
下記式(VI)
【0028】
【化7】
JP2013099224A1_000009t.gif

【0029】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは、同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。Zは対アニオンを表す。)で表される直鎖状化合物とを反応させて、前記式(I)で表される部分構造の環状部に、前記式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる構造(A)を有する化合物を生成させた後、前記構造(A)を有する化合物を重合することを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマーの製造方法、
(7)下記式(VII)
【0030】
【化8】
JP2013099224A1_000010t.gif

【0031】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基又は重合反応時に結合部位として作用しない基を表す。ただし、n2が1の場合は、X及びXは重合反応時に結合部位として作用する基である場合に限る。
n1は、3又は4の整数を表す。n2は1~30の整数を表す。)で表される環状化合物と、
下記式(VI)
【0032】
【化9】
JP2013099224A1_000011t.gif

【0033】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは、同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。Zは対アニオンを表す。)で表される直鎖状化合物とを反応させて、
前記式(I)で表される部分構造の環状部に、前記式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる構造(A)を有する化合物を生成させた後、前記構造(A)を有する化合物とラジカル重合性モノマーをラジカル重合することを特徴とする(1)に記載のネットワークポリマーの製造方法、及び、
(8)重合後、さらに、得られたネットワークポリマーと求電子剤とを反応させて、
式(II)
【0034】
【化10】
JP2013099224A1_000012t.gif

【0035】
(式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、Zは対アニオンを表す。)で表される部分構造を、式(II')
【0036】
【化11】
JP2013099224A1_000013t.gif

【0037】
(式中、R及びRは式(II)における定義と同じであり、Rは、求電子剤由来の残基を表す)で表される部分構造に変換することを特徴とする(6)又は(7)記載のネットワークポリマーの製造方法に関する。
【0038】
さらにまた、本発明は、
(9)電解液中に(1)~(5)のいずれかに記載のネットワークポリマーを含有することを特徴とするポリマーゲル電解質、
(10)電解液がヘキサフルオロリン酸リチウム又はテトラフルオロホウ酸リチウムのプロピレンカーボネート溶液又はエチレンカーボネート溶液であることを特徴とする(9)に記載のポリマーゲル電解質、及び、
(11)(9)に記載のポリマーゲル電解質を用いることを特徴とする二次電池に関する。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、特定の直鎖状化合物及び環状分子とから形成される包接構造からなる架橋点を有するロタキサン構造を含有することで、従来の物理ゲルや化学ゲルに比べ、温度や溶媒に対する安定性及び機械強度が高いネットワークポリマーゲルが提供される。また、第三の重合成分としてラジカル重合性モノマーを含む場合、ロタキサン構造の直鎖状化合物及び環状分子のみからなるネットワークポリマーに比べ、柔軟で運動性が高く、成膜性に優れるネットワークポリマーゲルが提供される。本発明のロタキサン構造を有する新規ネットワークポリマーは、高い安全性と高いイオン伝導度を併せ持つポリマーゲル電解質であり、該ポリマーゲル電解質はリチウムイオン二次電池等の非水電解質二次電池用電解質として使用可能である。
【0040】
本発明のネットワークポリマーをポリマーゲル電解質に使用すると、従来のネットワークポリマーに比べ高いイオンの輸送効率が獲得できる。そして、-N-基を中和したネットワークポリマーを使用する場合は、-N-基を有するネットワークポリマーに較べて、伝導度が向上すると共に、電解質溶液の含有量をさらに少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】合成例1における、環状化合物(i)及び直鎖状化合物(iv)から成る擬ロタキサン構造、及び重合反応後のネットワークポリマーのNMRスペクトルを示す図である。
【図2】合成例1における、重合反応後のネットワークポリマーのIRスペクトルを示す図である。
【図3】(a)重合前の環状化合物(iii)、直鎖状化合物(iv)、メチルメタクリレート混合溶液のH-NMRスペクトル、及び(b)重合後のネットワークポリマーゲルのH-NMRスペクトルを示す図である。
【図4】合成例38における、中和されたネットワークポリマーのIRスペクトルを示す図である。
【図5】(a)アセチル化前のネットワークポリマーゲル(合成例15)及び(b)アセチル化後のネットワークポリマーゲル(合成例39)のIRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
1 本発明のネットワークポリマー
本発明のネットワークポリマーは、-N-基を有するネットワークポリマーと-N-基が求電子剤により中和されたネットワークポリマーを包含する。

[-N-基を有するネットワークポリマー(ネットワークポリマーA)]
本発明の中和前のネットワークポリマーは、下記式(I)で表される部分構造の環状部に、下記式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる単位(A)を有するネットワークポリマー(以下、「ネットワークポリマーA-1」という)、又は前記単位(A)及びラジカル重合性モノマー由来の単位(B)を有するネットワークポリマー(以下、「ネットワークポリマーA-2」という)である。

【0043】
【化12】
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【0044】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、n1は、3又は4の整数を表し、n2は1~30の整数を表す。
は、エーテル結合を有するアルキレン基が結合している炭素原子から見て3位又は4位に結合しており、3位又は4位のいずれか一方のみでもよいし、又はそれらの混合物であってもよい。

【0045】
【化13】
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【0046】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、Zは対アニオンを表す。
ただし、本発明は、単位(A)のみからなるネットワークポリマーA-1は包含しない。

【0047】
、R、R及びRで表わされる、「-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基」において、「飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基」としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、sec-ブチリデン基、tert-ブチリデン基、n-ペンチリデン基、n-ヘキシリデン基、デカメチリデン基、ペンタデカメチリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができるが、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基であれば、これらに限られるものではないが、立体障害等の点から、炭素数1~11であることがより好ましい。

【0048】
式(II)で表される部分構造において、Zで表される対イオンとしては、特に限定されないが、式(I)で表される部分構造の環状部に式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなるロタキサン構造又は擬ロタキサン構造を構築することができ、且つ前記ロタキサン構造又は擬ロタキサン構造中の式(II)で表される部分構造由来の単位内の-N-基を-NR-基(Rは、求電子剤由来の残基を表す)に変換することが可能な一価の陰イオンであればよい。
具体的には、BF、PF、AsF、PCl、BCl、AsCl、SbCl、TaCl、NbCl、PBr、BBr、AsBr、AlBr、TaBr、NbBr、SbF、AlF、ClO、AlCl、TaF、NbF、CN、F(HF)(当該式中、mは1以上4以下の数値を表す。)、N(RfSO、C(RfSO、RfSO、RfCO2、N(SOF)等が挙げられる。
N(RfSO、C(RfSO、RfSO又はRfCOで表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1~12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどのフッ素化されたアルキル基が挙げられる。

【0049】
「ラジカル重合性モノマー由来の単位(B)」は、ネットワークポリマーA-2に含まれる構造であり、このラジカル重合性モノマーはラジカル重合性を有する化合物であれば特に限られないが、具体的には次式
CR=CR
(式中、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子又はハロゲン置換もしくは非置換の低級アルキルを示し、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基、カルバモイル基等の有機基を示す)で示される化合物等の1種又は2種以上の混合物が挙げられる。

【0050】
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン及びスチレン誘導体、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸誘導体、(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド誘導体、(メタ)アクリロニトリル、イソプレン、1,3-ブタジエン、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン等が挙げられる。

【0051】
スチレン及びその誘導体としては、具体的には、スチレン、tert-ブチルスチレン、tert-ブトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン及びその塩等が挙げられる。

【0052】
(メタ)アクリル酸及びその誘導体としては、具体的には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸n-ペンチル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ヘプチル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等がより好ましく使用される。

【0053】
(メタ)アクリルアミド及びその誘導体としては、(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-n-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド等のN-アルキル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチルアクリルアミド等のN,N-ジアルキルアクリルアミド等が挙げられる。
中でも、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸ポリエチレングリコール、スチレン及びアクリロニトリルが好ましい。

【0054】
ネットワークポリマーAにおいて、式(I)で表される部分構造の環状部に、式(II)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなる単位(A)は、ロタキサン(rotaxane)構造である。ロタキサンは、大環状分子を棒状分子が貫通し、軸の両末端に嵩高い部位を結合させることで、立体障害でリングが軸から抜けなくなったものを言う。その嵩高い部位は、ストッパー、キャップ、又は末端基と呼ばれる。それに対して、ストッパーがない場合や、ストッパーがあっても嵩高さが不十分なものを擬ロタキサン(pseudorotaxane)という。
本発明のネットワークポリマーはストッパー成分がなく、リングと軸のみから構築されている。この意味で、単位(A)は、擬ロタキサン(pseudorotaxane)であるとも言える。しかし、ネットワークを構成することにより、別の擬ロタキサンユニット、又は、ラジカル重合性モノマーを介して結合した別の擬ロタキサンユニットがストッパーの役割を果たしているため、リングと軸が分かれることはない。

【0055】
「ネットワークポリマーA-1」は、単位(A)をその構造中に含む。式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造のモル比は、1~10:1、好ましくは1~3:1、より好ましく1:1である。

【0056】
「ネットワークポリマーA-2」は、単位(A)及び単位(B)をその構造中に含む。式(I)で表される部分構造と式(II)で表される部分構造のモル比は、1~10:1、好ましくは1~3:1、より好ましくは1:1である。また、単位(A)と単位(B)のモル比は1:1~100、好ましくは1:2~50、より好ましくは1:5~10である。

【0057】
また、上記ネットワークポリマーAは、水、n-ヘキサン等の炭化水素類;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;メタノール、エタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、エチルアセテート等の溶媒に不溶である。

【0058】
式(I)で表される化合物及び式(II)で表される化合物は、市販されているものを用いることができるほか、従来公知の方法(非特許文献1)によって製造することができる。

【0059】
式(I)で表される部分構造は、好ましくは、下記式(III)で表される部分構造が挙げられる。

【0060】
【化14】
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【0061】
式中、mは1~13の整数であり、点線部は、ベンゼン環の3位又は4位のいずれか一方に結合することを示す。n2は、式(I)における定義と同じである。

【0062】
また、式(II)で表される部分構造は、好ましくは、下記式(IV)で表される部分構造が挙げられる。

【0063】
【化15】
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【0064】
式中、yは1~12の整数を、Zは対アニオンであり、式(II)と同様のものを例示することができる。

【0065】
[-N-基を中和後のネットワークポリマー(ネットワークポリマーB)]
本発明のネットワークポリマーAの中和後のネットワークポリマー(以下、「ネットワークポリマーB」という)は、上記記載のネットワークポリマーAを求電子剤(RX)と反応させることにより、式(II)で表される部分構造内の-N-基を式(II')で表される部分構造内の-NR-基(Rは、求電子剤由来の残基を表す)に変換したネットワークポリマーである。

【0066】
【化16】
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【0067】
ネットワークポリマーBでは、ポリマー中のロタキサン構造の架橋部位において、式(I)で表される部分構造と式(II')で表される部分構造との相互作用が弱まり、ネットワークポリマーの運動性が高まり、イオン電動度が向上する。

【0068】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基であり、式(II)と同様のものを例示することができる。

【0069】
で表される求電子剤由来の残基としては、式(II)で表される化合物由来の繰り返し単位内の-N-基を-NR-基に変換できる求電子剤由来の残基であれば、特に制限されないが、例えばアルキル基、アルケニル基、アリールアルキル基、アルキルカルボニル基、アルコキシカルボニル基、アリールカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アリールアルキルカルボニル基、アリールアルキルオキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等が挙げられる。また、クラウンエーテル環に対する立体障害を少なくする観点から、Rは、炭素数1~11程度であることが好ましい。

【0070】
アルキル基としては、具体的に、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、シクロプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、i-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、アミル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデカニル基等が挙げられる。

【0071】
アルケニル基としては、具体的に、ビニル基、アリル基、メタクリル基、クロトニル基、ブテニル基、ペンテニル基、シクロペンテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デカネニル基、ウンデカネニル基等が挙げられる。

【0072】
アリールアルキル基としては、具体的に、ベンジル基、シンナミル基、ヒドロシンナミル基、ナフタレンメチル基等が挙げられる。

【0073】
アルキルカルボニル基としては、具体的に、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、ブチリル基、イソブチリル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。

【0074】
アルコキシカルボニル基としては、具体的に、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロポキシカルボニル基、i-プロポキシカルボニル基、n-ブトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ネオペンチルオキシカルボニル基、アミロキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0075】
アリールカルボニル基としては、具体的に、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、フロイル基、チオフェンカルボニル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基等が挙げられる。

【0076】
アリールオキシカルボニル基としては、具体的に、フェノキシカルボニル基、トリルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等が挙げられる。

【0077】
アリールアルキルカルボニル基としては、具体的に、ベンジルカルボニル基、シンナモイル基、ヒドロシンナモイル基、ナフタレニルアセチル基等が挙げられる。

【0078】
アリールアルキルオキシカルボニル基としては、具体的に、ベンジルオキシカルボニル基、9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニル基等が挙げられる。

【0079】
アルキルスルホニル基としては、具体的に、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、カンファースルホニル基等が挙げられる。

【0080】
アリールスルホニル基としては、具体的に、ベンゼンスルホニル基、トルエンスルホニル基、ナフタレンスルホニル基等が挙げられる。

【0081】
2 本発明のネットワークポリマーの製造方法
[ネットワークポリマーAの製造]
(第1段階)
本発明のネットワークポリマーAを製造する第一段階は、下記式(V)で表される環状化合物と、下記式(VI)で表される直鎖状化合物とを混合することである。混合条件は特に限定されないが、通常、クロロホルム、トルエン等の有機溶媒中、室温下で混合する。

【0082】
【化17】
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【0083】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。n1は、3又は4の整数を表す。

【0084】
【化18】
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【0085】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは、同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基を表す。Zは対アニオンを表す。

【0086】
また、ネットワークポリマーAの製造には、上記式(V)で表わされる化合物にかえて、その重合体である下記式(VII)で表わされる化合物を用いることもできる。

【0087】
【化19】
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【0088】
式中、R及びRは、同一又は異なって、-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基を表し、X及びXは同一又は異なって、重合反応時に結合部位として作用する基又は重合反応時に結合部位として作用しない基を表す。n1は、3又は4の整数を表し、n2は2~30の整数を表す。

【0089】
、R、R及びRで表わされる、「-O-、-CO-、-COO-又は-CONH-を有していてもよい、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基」において、「飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基」としては、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基等のアルキレン基;エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基、sec-ブチリデン基、tert-ブチリデン基、n-ペンチリデン基、n-ヘキシリデン基、デカメチリデン基、ペンタデカメチリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができるが、飽和又は部分不飽和の、直鎖又は分岐鎖の、炭素数1~15の炭化水素基であれば、これらに限られるものではなく、立体障害等の点から、炭素数1~11であることがより好ましい。

【0090】
~Xの「重合反応時に結合部位として作用する基」としては、重合反応時に結合部位として作用する基であれば特に制限されず、例えば、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合、メタセシス重合、開環重合等に用いられる重合性官能基を挙げることができる。
具体的には、アクリル基、メタクリル基、スチレン基、ビニル基、シアン化ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基、エポキシ基、グリシジル基、グリシジルエーテル基、オキセタニル基、架橋性シリコン基、ビニルエーテル基、エピスルフィド基、エチレンイミン基、マレイミド基等が挙げられる。

【0091】
及びXの「重合反応時に結合部位として作用しない基」はネットワークポリマーA-2に含まれる構造であり、X及びXとしては、n2=1の場合の式(V)で表される化合物をカチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合、メタセシス重合、開環重合等により重合してn2=2~30の重合体を製造した後に、重合体末端の重合反応時に結合部位として作用する基の反応を終了させることにより生じる基であり、重合反応性を持たない官能基であれば特に制限はされない。
具体的には、アルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基等が挙げられる。

【0092】
式(VI)で表される化合物において、Zで表される対イオンとしては、特に限定されないが、式(V)で表される部分構造の環状部に式(VI)で表される部分構造が串刺し状に包接されてなるロタキサン構造又は擬ロタキサン構造を構築することができ、且つ前記ロタキサン構造又は擬ロタキサン構造中の式(VI)で表される部分構造由来の単位内の-N-基を-NR-基(Rは、求電子剤由来の残基を表す)に変換することが可能な一価の陰イオンであればよい。
具体的には、BF、PF、AsF、PCl、BCl、AsCl、SbCl、TaCl、NbCl、PBr、BBr、AsBr、AlBr、TaBr、NbBr、SbF、AlF、ClO、AlCl、TaF、NbF、CN、F(HF)(当該式中、mは1以上4以下の数値を表す。)、N(RfSO、C(RfSO、RfSO、RfCO2、N(SOF)等が挙げられる。
N(RfSO、C(RfSO、RfSO又はRfCOで表されるアニオンに含まれるRfは、炭素数1~12のフルオロアルキル基を表し、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル及びノナフルオロブチルなどのフッ素化されたアルキル基が挙げられる。

【0093】
式(V)で表される化合物及び式(VI)で表される直鎖状化合物を混合すると、式(V)中のクラウンエーテル環に、式(VI)で表される化合物中のN基が包接された構造(A)、すなわち擬ロタキサン構造を形成する。すなわち、式(V)で表される化合物が大環状化合物として働き、式(VI)で表される化合物が直鎖状化合物として働く。ここで、式(V)で表される化合物と式(VI)で表される化合物の混合比は、モル比で1~10:1、好ましくは1~3:1、より好ましく1:1である。擬ロタキサン複合体の形成は、H-NMR測定によって確認することができる。

【0094】
式(V)で表される化合物をあらかじめ重合して用いることもできる。この重合体は上記式(VII)で表わされる化合物であり、重合反応としては、式(V)で表される化合物を重合することができる限り特に制限されないが、例えば、カチオン重合、アニオン重合、ラジカル重合、配位重合、メタセシス重合、開環重合等により行うことができ、特にメタセシス重合が好ましい。
なお、式(VII)で表される環状化合物のn2=1で表される単量体であり、X及びXが重合反応時に結合部位として作用しない基である場合も、該化合物を用いて本発明のネットワークポリマーを製造することができる。

【0095】
メタセシス重合反応は式(V)又は式(VII)で表される環状化合物の重合反応時に結合部位として作用する基X及びXが炭素-炭素二重結合を有する場合、触媒の作用によって、二重結合部が組換わることで重合が起きる反応である。触媒としては、メタセシス反応が進行するものであれば特に制限されないが、好適にはグラブス触媒、より好適には第一世代のグラブス触媒である。用いることができる溶媒としては、n2が1である式(VII)で表される化合物及び反応に用いる触媒を溶解することができれば制限されず、好適にはジクロロメタン、クロロホルム、テトラヒドロフラン、トルエン等であり、より好適にはジクロロメタンである。

【0096】
重合反応後の式(VII)で表される化合物は、重合体末端のX及びXは重合反応時に結合部位として作用する基である。そのため、X及びXを、重合反応時に結合部位として作用しない基へと変換するためには、重合反応後、X及びXにアルキル基、アルコキシ基、アルキルオキシカルボニル基、アリール基等を導入すること等が挙げられる。この他にも、重合反応終了後に触媒的水素添加反応によりX及びXの炭素-炭素二重結合を飽和することなどが考えられるが、変換方法はこれに限られるものではない。

【0097】
式(V)又は式(VII)で表される化合物及び式(VI)で表される化合物を混合すると、式(V)又は式(VII)で表される化合物のクラウンエーテル環に、式(VI)で表される化合物中のN基が包接された構造(A)、すなわち擬ロタキサン複合体を形成する。ここで、式(V)又は式(VII)で表される化合物と式(II)で表される化合物の混合比は、モル比で1~10:1、好ましくは1~3:1、より好ましく1:1である。擬ロタキサン複合体の形成は、H-NMR測定によって確認することができる。

【0098】
構造(A)の形成は、溶媒中で式(V)又は式(VII)で表される化合物及び式(VI)で表される化合物を混合し、これらのH-NMRを測定した際に、式(VI)で表される化合物のアンモニウム塩近傍のプロトンのケミカルシフトが低磁場へシフトすることで確認することができる。

【0099】
(第二段階)
本発明のネットワークポリマーA製造の第二段階は、第一段階で形成した構造(A)を重合させること(ネットワークポリマーA-1の製造)、若しくは構造(A)及びラジカル重合性モノマーを重合させること(ネットワークポリマーA-2の製造)である。
第一段階で形成した擬ロタキサン複合体は、X~Xの重合性官能基を4方向に配向した構造、又はX及びXの重合性官能基を2方向に配向した構造を持つ。そして、X~Xの重合性官能基の反応性、あるいは重合方法を選択することで、重合後のネットワークポリマーの構造を制御することができる。

【0100】
ネットワークポリマーA-1の製造においては、構造(A)が重合し、生成するネットワークポリマーに式(I)及び式(II)で表わされる部分構造が含まれる限り重合方法は限定されないが、オレフィンメタセシス反応又はラジカル重合反応が好ましい。オレフィンメタセシス反応による重合により生成したネットワークポリマーは、ポリマー主鎖にロタキサンユニットが組み込まれた構造となり、他方、ラジカル重合によるネットワークポリマーは、ポリマー側鎖にロタキサンユニットが組み込まれた構造となる。
ここで、「ポリマー主鎖にロタキサンユニットが組み込まれた構造」とは、ポリマーの伸長方向に沿ってロタキサンユニットが並んだ構造を意味し、「ポリマー側鎖にロタキサンユニットが組み込まれた構造」とは、ポリマーの伸長方向に対して垂直方向にロタキサンユニットが位置することを意味する。

【0101】
また、ネットワークポリマーA-2の製造においては、構造(A)とラジカル重合性モノマーの重合反応は、これらが重合し、生成するネットワークポリマーに式(I)及び式(II)で表わされる部分構造が含まれる限り重合方法は限定されないが、ラジカル重合反応が好ましい。ラジカル重合反応は、式(V)、式(VI)における重合性官能基及びラジカル重合性モノマーが反応し、重合活性点を生じる反応であれば制限されず、例えば、熱や光に曝す方法や、他の活性種を添加する方法などが挙げられ、重合反応時には、重合開始剤や反応活性種の安定剤などを添加してもよい。ここで、擬ロタキサン複合体とラジカル重合性モノマーの混合比は、モル比で1:1~100、好ましくは1:2~50、より好ましく1:5~10である。反応条件は特に限定されないが、通常、クロロホルム、トルエン等の有機溶媒中、室温~100℃で1~24時間反応させる。

【0102】
上記の方法で製造されたネットワークポリマーの構造は、H-NMR測定、IR測定等により確認することができる。

【0103】
重合反応は、式(V)又は式(VII)、及び式(VI)における重合性官能基が反応し、重合活性点を生じる反応であれば制限されない。例えば、熱や光に曝す方法や、他の活性種を添加する方法などが挙げられ、重合反応時には、重合開始剤や反応活性種の安定剤などを添加してもよい。

【0104】
使用される重合開始剤としては、従来公知のものでよく、たとえば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤などが挙げられる。
また、特に光重合開始剤としては、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3-メチルアセトフェノン、ベンゾフェノン、4-クロロベンゾフェノン、4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノ-プロパン-1-オン、2-ベンジルー2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1,4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、オリゴ(2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-(1-メチルビニル)フェニル)プロパノン)等を挙げることができる。これらの重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

【0105】
[ネットワークポリマーBの製造]
上述したネットワークポリマーAに、さらに求電子剤を反応させ、式(II)で表される部分構造の-N-基を、式(II')で表される部分構造の-NR-基(Rは、求電子剤由来の残基を表す。)に変換することで、ネットワークポリマーBを製造することができる。

【0106】
当該求電子剤としては、式(II)で表される部分構造の-N-基を、式(II')で表される部分構造の-NR-基に変換することができるものであれば特に制限されないが、例えば直鎖状若しくは分岐状のアルキルハライド、直鎖状若しくは分岐状のアルケニルハライド、アリールアルキルハライド、酸ハライド、酸無水物、炭酸ハライド、無水炭酸ジエステル、アルキルスルホニルハライド、アリールスルホニルハライド等が挙げられる。クラウンエーテル環に対する立体障害を少なくする観点から、求電子剤としては、炭素数1~11程度であることが好ましい。

【0107】
当該求電子剤としての直鎖状若しくは分岐状のアルキルハライドとしては、具体的には、塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、塩化エチル、臭化エチル、ヨウ化エチル、塩化n-プロピル、臭化n-プロピル、ヨウ化n-プロピル、塩化i-プロピル、臭化i-プロピル、ヨウ化i-プロピル、塩化シクロプロピル、臭化シクロプロピル、ヨウ化シクロプロピル、塩化n-ブチル、臭化n-ブチル、ヨウ化n-ブチル、塩化sec-ブチル、臭化sec-ブチル、ヨウ化sec-ブチル、塩化i-ブチル、臭化i-ブチル、ヨウ化i-ブチル、塩化tert-ブチル、臭化tert-ブチル、ヨウ化tert-ブチル、塩化シクロブチル、臭化シクロブチル、ヨウ化シクロブチル、塩化ペンチル、臭化ペンチル、ヨウ化ペンチル、塩化ネオペンチル、臭化ネオペンチル、ヨウ化ネオペンチル、塩化アミル、臭化アミル、ヨウ化アミル、塩化シクロペンチル、臭化シクロペンチル、ヨウ化シクロペンチル、塩化ヘキシル、臭化ヘキシル、ヨウ化ヘキシル、塩化シクロヘキシル、臭化シクロヘキシル、ヨウ化シクロヘキシル、塩化ヘプチル、臭化ヘプチル、ヨウ化ヘプチル、塩化オクチル、臭化オクチル、ヨウ化オクチル、塩化ノニル、臭化ノニル、ヨウ化ノニル、塩化デシル、臭化デシル、ヨウ化デシル、塩化ウンデシル、臭化ウンデシル、ヨウ化ウンデシル等が挙げられる。

【0108】
当該求電子剤としての直鎖状若しくは分岐状のアルケニル基としては、具体的に、塩化ビニル、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、塩化メタクリル、臭化メタクリル、ヨウ化メタクリル、塩化クロトニル、臭化クロトニル、ヨウ化クロトニル、塩化ブテニル、臭化ブテニル、ヨウ化ブテニル、塩化ペンテニル、臭化ペンテニル、ヨウ化ペンテニル、塩化シクロペンテニル、臭化シクロペンテニル、ヨウ化シクロペンテニル、塩化ヘキセニル、臭化ヘキセニル、ヨウ化ヘキセニル、塩化シクロヘキセニル、臭化シクロヘキセニル、ヨウ化シクロヘキセニル、塩化ヘプテニル、臭化ヘプテニル、ヨウ化ヘプテニル、塩化オクテニル、臭化オクテニル、ヨウ化オクテニル、塩化ノネニル、臭化ノネニル、ヨウ化ノネニル、塩化デセニル、臭化デセニル、ヨウ化デセニル、塩化ウンデセニル、臭化ウンデセニル、ヨウ化ウンデセニル等が挙げられる。

【0109】
当該求電子剤としてのアリールアルキルハライドとしては、具体的に、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、ベンジルヨージド、シンナミルクロリド、シンナミルブロミド、シンナミルヨージド、ヒドロシンナミルクロリド、ヒドロシンナミルブロミド、ヒドロシンナミルヨージド、ナフタレンメチルクロリド、ナフタレンメチルブロミド、ナフタレンメチルヨージド基等が挙げられる。

【0110】
これら直鎖状若しくは分岐状のアルキルハライド、直鎖状若しくは分岐状のアルケニルハライド、又はアリールアルキルハライドを用いた、式(II)で表される部分構造の-N-基の-NR-基への変換方法としては、変換ができる方法であれば、特に制限されないが、例えば、塩基を用いて式(II)で表される部分構造の-N-基を-NH-へと変換した後に、金属ヒドリドを用いて窒素アニオンを生じさせ、直鎖状若しくは分岐状のアルキルハライド、直鎖状若しくは分岐状のアルケニルハライド又はアリールアルキルハライドと反応させる方法が挙げられる。このとき、金属ヨウ化物等を添加することで、窒素アニオンと求核剤との反応性を増しても良い。

【0111】
このとき用いることのできる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでもかまわないが、有機塩基が好ましく、三級アミンが好ましい。より具体的には、トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)等が挙げられる。
金属ヒドリドとしては、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウムが挙げられ、取り扱いの容易さから、油性水素化ナトリウムが好ましい。
反応溶媒としては、活性水素を持たない反応溶媒であれば特に制限はされないが、好ましい溶媒としてテトラヒドロフラン、N,N-ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。

【0112】
当該求電子剤としての酸ハライドとしては、ホルミルクロリド、ホルミルブロミド、アセチルクロリド、アセチルブロミド、プロピオニルクロリド、プロピオニルブロミド、アクリロイルクロリド、アクリロイルブロミド、プロピオロイルクロリド、プロピオロイルブロミド、ブチリルクロリド、ブチリルブロミド、イソブチリルクロリド、イソブチリルブロミド、メタクリロイルクロリド、メタクリロイルブロミド、クロトノイルクロリド、クロトノイルブロミド、イソクロトノイルクロリド、イソクロトノイルブロミド、バレリルクロリド、バレリルブロミド、イソバレリルクロリド、イソバレリルブロミド、ピバロイルクロリド、ピバロイルブロミド、安息香酸クロリド、安息香酸ブロミド、トリル酸クロリド、トリル酸ブロミド、ナフタレン酸クロリド、ナフタレン酸ブロミド、フランカルボン酸クロリド、フランカルボン酸ブロミド、チオフェンカルボン酸クロリド、チオフェンカルボン酸ブロミド、ニコチン酸クロリド、ニコチン酸ブロミド、イソニコチン酸クロリド、イソニコチン酸ブロミド、ベンジルカルボニルクロリド、ベンジルカルボニルブロミド、シンナモイルクロリド、シンナモイルブロミド、ヒドロシンナモイルクロリド、ヒドロシンナモイルブロミド、ナフタレニルアセチルクロリド、ナフタレニルアセチルブロミド等が挙げられる。

【0113】
当該求電子剤としての酸無水物としては、ギ酸無水物、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水プロピオール酸、無水ブタン酸、無水イソブタン酸、無水メタクリル酸、無水クロトン酸、無水イソクロトン酸、無水バレル酸、無水イソバレル酸、無水ピバル酸、無水安息香酸、無水トリル酸、無水ナフタレン酸、無水フランカルボン酸、無水チオフェンカルボン酸、無水ニコチン酸、無水イソニコチン酸、無水シンナム酸、無水ヒドロシンナム酸、無水ナフタレニル酢酸等が挙げられる。

【0114】
当該求電子剤としての炭酸ハライドとしては、メトキシカルボニルクロリド、エトキシカルボニルクロリド、n-プロポキシカルボニルクロリド、i-プロポキシカルボニルクロリド、n-ブトキシカルボニルクロリド、tert-ブトキシカルボニルクロリド、ペントキシカルボニルクロリド、ネオペンチルオキシカルボニルクロリド、アミロキシカルボニルクロリド、ヘキシルオキシカルボニルクロリド、フェノキシカルボニルクロリド、ナフチルオキシカルボニルクロリド、ベンジルオキシカルボニルクロリド、トリルオキシカルボニルクロリド、9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルクロリド等が挙げられる。

【0115】
当該求電子剤としての無水炭酸ジエステルとしては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジn-プロピル、炭酸ジi-プロピル、炭酸ジn-ブチル、炭酸ジtert-ブチル、炭酸ジペンチル、炭酸ジネオペンチル、炭酸ジアミル、炭酸ジヘキシル、炭酸ジフェニル、炭酸ジトリル、炭酸ジナフチル、炭酸ジベンジル、炭酸ジ(9H-フルオレン-9-イルメチル)等が挙げられる。

【0116】
当該求電子剤としてのアルキルスルホニルハライド及びアリールスルホニルハライドとしては、メタンスルホニルクロリド、トリフルオロメタンスルホニルクロリド、カンファースルホニルクロリド、ベンゼンスルホニルクロリド、トルエンスルホニルクロリド、ナフタレンスルホニルクロリド等が挙げられる。

【0117】
酸ハライド、酸無水物、炭酸ハライド、無水炭酸ジエステル、アルキルスルホニルハライド又はアリールスルホニルハライド等を用いた、式(II)で表される部分構造の-N-基の、式(II')で表される部分構造の-NR-基への変換方法としては、変換ができる方法であれば、特に制限されないが、例えば、塩基と前記酸ハライド、酸無水物、炭酸ハライド、無水炭酸ジエステル、アルキルスルホニルハライド又はアリールスルホニルハライド等を共存させることで、-N-基を-NR-基へと変換できる。

【0118】
このとき用いられる塩基としては、無機塩基、有機塩基のいずれでもかまわないが、有機塩基が好ましく、三級アミンが好ましい。より具体的には、トリエチルアミン、トリn-ブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(1,8-diazabicyclo[5.4.0]undec-7-ene)等が挙げられる。
反応溶媒としては、非プロトン系溶媒であれば特に制限はされないが、好ましい溶媒としてアセトニトリル、ジクロロメタン、N,N-ジメチルホルムアミド等が挙げられる。

【0119】
求電子剤の使用量は、式(II)に対して1.0モル当量以上用いるのが好ましく、1.0~100.0モル当量用いることがより好ましい。式(II)由来の繰り返し単位内の-N-基の全てが-NR-基に変換されることが望ましいが、一部のみ-NR-基に変換されたポリマーネットワークも、本発明に包含される。-N-基の-NR-基への変換率は、10%以上であればよく、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上である。

【0120】
求電子剤と反応する前のネットワークポリマーAは、式(I)で表わされる部分構造中のクラウンエーテル環と、式(II)で表わされる部分構造中の-N-基とが引きつけ合う。そのために、溶液中やゲル中における、クラウンエーテル環の軸方向への移動がある程度制限される。しかし、上記求電子剤との反応によって-N-基を-NR-基に変換することにより、クラウンエーテル環の運動性が向上する。
有機溶媒に対するゲル化能は、上記ネットワークポリマーAと同様である。-N-基の少なくとも一部が-NR-基に変換されていることは、IR測定によって確認できる。

【0121】
本発明のネットワークポリマーA及びネットワークポリマーBは、種々の有機溶媒に対してゲル化能を有する。当該有機溶媒としては、例えば、脂肪酸、脂肪族アルコール類、フェノール誘導体類等のプロトン性有機溶媒、グライム、アルケンカーボネート、アルキルカーボネート、環状エーテル、アミド類、ニトリル類、ケトン類、エステル類等の非プロトン性有機溶媒などが挙げられる。具体的には、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、1,3-ジオキソラン、ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、1,4-ジオキサン、アセトニトリル、ニトロメタン、エチルモノグライム、リン酸トリエステル、トリメトキシメタン、ジオキソラン誘導体、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、プロピレンカーボネート誘導体、テトラヒドロフラン誘導体、ジエチルエ-テル、1,3-プロパンサルトン等の非プロトン性有機溶媒が挙げられる。これらは、2種以上を混合して使用することもできる。
なお、本発明においてゲル化とは、流動性がある液体の流動性が失われた状態になることを指す。

【0122】
3 ポリマーゲル電解質
本発明のポリマーゲル電解質は、上述したネットワークポリマーA及び/又はBと電解質溶液とを混合することによって得られる。
ネットワークポリマーA及び/又はBは、種々の溶媒に対してゲル化能を有するため、ネットワークポリマーA及び/又はBと電解質溶液とを含有することによって、ポリマーゲル電解質を形成する。

【0123】
当該電解質としては、非水電解質溶液に用いられる従来公知の無機イオン塩を用いることができ、例えば、塩化リチウム(LiCl)、過塩素酸リチウム(LiClO)、六フッ化ヒ酸リチウム(LiAsF)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF)、リチウムテトラフェニルボレート(LiB(C)、メタンスルホン酸リチウム(LiCHSO)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCFSO)、ビス(ペンタフルオロエタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CSON)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム(Li(CFSON)、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルリチウム(LiC(CFSO)、臭化リチウム(LiBr)を用いることが可能であり、これらの2種以上を混合して使用することもできる。

【0124】
溶媒としては、非水電解質溶液に用いられる従来公知の溶媒を用いることができ、例えば、4-フルオロ-1,3-ジオキソラン-2-オン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、1,2-ジメトキシエタン、1,2-ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、1,3-ジオキソラン、4-メチル-1,3-ジオキソラン、ジエチルエーテル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸エステルアセトニトリル、プロピオニトリル、アニソール、酢酸エステル、酪酸エステル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリジノン、N-メチルオキサゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、エチレンスルフィド、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドトリメチルヘキシルアンモニウム等を用いることが可能であり、これらの2種以上を混合して使用することもできる。

【0125】
前記溶媒中に前記無機イオン塩が溶解された電解質溶液の中でも、1,2-ジメトキシエタン、ジエチルカーボネートおよびメチルエチルカーボネートよりなる群から選ばれる少なくとも1種と、エチレンカーボネートまたはプロピレンカーボネートとを含む溶媒に、LiClO4、LiBF4、LiPF6およびLiCF3SO3よりなる群から選ばれる少なくとも1種の無機イオン塩を溶解した電解質溶液が好ましい。電解液中の無機イオン塩の濃度は、例えば、0.2~3.0mol/L程度が好ましい。

【0126】
本発明のポリマーゲル電解質は、電解質溶液をネットワークポリマーA及び/又はBでゲル化させることで得ることができる。具体的には、所定量の電解質溶液に所定量のネットワークポリマーA及び/又はBを加熱溶解させ、冷却するという製造方法が例示される。通常、加熱溶解の際には、完全に溶解させることが好ましい。
本発明のネットワークポリマーを使用すると、電解質溶液の含有量を少なくすることができるが、ネットワークポリマーBを使用するポリマーゲル電解質は、ネットワークポリマーポリマーAを使用するポリマーゲル電解質と比して、電解質溶液の含有量をさらに少なくすることができる。
すなわち、ネットワークポリマーAに対する電解質溶液の使用量は、ネットワークポリマーA100質量部に対し、電解質溶液が10~300質量部、好ましくは100~200質量部である。
それに対して、ネットワークポリマーBに対する電解質溶液の使用量は、ネットワークポリマーB100質量部に対し、電解質溶液が10~100質量部、好ましくは10~50質量部である。

【0127】
4 非水電解質二次電池
前記ポリマーゲル電解質は、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池として使用することができる。

【0128】
本発明の非水電解質二次電池としては、上記ポリマーゲル電解質を使用する以外は、従来公知の構成から成る。

【0129】
例えば、正極としては、放電時に正イオンを吸収するもの、もしくは負イオンを放出するものであれば特に限定されず、LiMnO2、LiMn24、LiCoO2、LiNiO2等の金属酸化物やポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリパラフェニレン等の導電性高分子やその誘導体、ジスルフィド化合物等の二次電池の正極材料として従来公知のものが使用できる。

【0130】
また、負極としては、カチオンを吸蔵・放出可能な材料であれば特に限定されず、天然黒鉛、石炭・石油ピッチ等を高温で熱処理して得られる黒鉛化炭素等の結晶質カーボン、石炭、石油ピッチコークス、アセチレンピッチコークス等を熱処理して得られる非晶質カーボン、金属リチウムやAlLi等のリチウム合金など、二次電池の負極活物質として従来公知のものが使用できる。

【0131】
さらに、電極を形成する際に、これらの電極活物質を適当な結着剤や機能性材料と混合し、電極層を形成することもできる。この結着剤としてはポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有高分子等が用いられ、また機能性材料としては電子伝導性を確保するためのアセチレンブラックやポリピロール、ポリアニリン等の導電性高分子、イオン伝導性を確保するための高分子電解質、それらの複合体等が挙げられる。

【0132】
本発明の非水電解質二次電池は、前記ポリマーゲル電解質、前記正極及び負極などを用いて電池を組み立てることにより得ることができる。その他の構成要素や構造については特に制限は無く、従来公知の非水電解質二次電池で採用されている各種構成要素、構造を適用することができる。

【0133】
例えば、セパレータ基材にポリマーゲル電解質を担持させることもできる。セパレータ基材としては、通常非水電解質二次電池用のセパレータ基材として用いられているものを使用することができる。例えば、ポリエチレン不織布、ポリプロピレン不織布、ポリエステル不織布、PTFE多孔体フィルム、クラフト紙、レーヨン繊維・サイザル麻繊維混抄シート、マニラ麻シート、ガラス繊維シート、セルロース系電解紙、レーヨン繊維からなる抄紙、セルロースとガラス繊維との混抄紙、またはこれらを組み合せて複数層に構成したものなどを使用することができる。

【0134】
また、本発明の非水電解質二次電池では、その形状などについても特に制限はない。例えば、コイン形、ボタン形、シート形、積層形、円筒形、偏平形、角形、電気自動車などに用いる大型のものなど、いずれであってもよい。本発明のポリマーゲル電解質は、電解質溶液の含有量が従来の二次電池に比べて大幅に少ないため、特に大型の電池作製の際に、安全性及び製造コストの面で本発明の効果が顕著に表れる。
【実施例】
【0135】
以下に、実施例において本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術範囲は、これらに限定されるものではない。
【実施例】
【0136】
1 環状化合物の合成
(1)環状化合物(i)は、以下の手順で合成した。
【実施例】
【0137】
【化20】
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【実施例】
【0138】
(トリエチレングリコールモノトシレートの合成)
トリエチレングリコール(90.6g、0.600mol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.147g、1.21mmol)、及びトリエチルアミン(50.4mL、0.362mol)をTHF(120mL)に溶解し、p-トルエンスルホニルクロライド(23.0g、0.121mol)のTHF(100mL)溶液を添加した。室温で23時間撹拌し、反応混合液を濾過し、ろ液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、トリエチレングリコールモノトシレートを得た(30.0g、81%)。
【実施例】
【0139】
(エチル3,4-ジヒドロキシベンゾエートの合成)
3,4-ジヒドロキシ安息香酸(8.0g、0.052mol)と触媒量のp-トルエンスルホン酸との混合物をエタノールに溶解し、6日間還流した。溶媒を減圧留去し、残渣を酢酸エチルに溶かし、水で洗浄した。有機層から溶媒を留去し、エチル3,4-ジヒドロキシベンゾエートを得た(8.43g、89%)。
【実施例】
【0140】
(4-エチル-1,2-ビス[2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゾエートの合成)
エチル3,4-ジヒドロキシベンゾエート(8.0g、0.040mol)、トリエチレングリコールモノトシレート(29.4g、0.097mol)及び炭酸カリウム(15.3g、0.10mol)をアセトン(240mL)に溶解し、17時間加熱還流した。溶液を濾過し、ろ液を濃縮した。カラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的物(15.0g、76%)を得た。
【実施例】
【0141】
(4-エチル-1,2-ビス[2-[2-[2-[(4-トルエン)スルホニル]オキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]ベンゾエートの合成)
4-エチル-1,2-ビス[2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エトキシ]ベンゾエート(15.0g、33.6mol)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.082g、0.67mmol)、及びトリエチルアミン(14.1mL、100.0mmol)をTHF(80mL)に溶解し、p-トルエンスルホニルクロライド(19.2g、100.0mmol)のTHF(50mL)溶液を添加した。室温で165時間撹拌し、反応混合液を濾過し、ろ液を濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的物を得た(22.6g、89%)。
【実施例】
【0142】
(ビス(エトキシカルボニルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテルの合成)
4-エチル-1,2-ビス[2-[2-[2-[(4-トルエン)スルホニル]オキシ]エトキシ]エトキシ]エトキシ]ベンゾエート(7.5g、9.9mmol)、及び炭酸セシウム(16.1g、49.5mmol)のアセトニトリル(400mL)懸濁液を60℃で30分環撹拌した。その後、エチル3,4-ジヒドロキシベンゾエート(1.61g、8.91mmol)のTHF(100mL)溶液を滴下し、100時間加熱還流した。懸濁液を濾過し、ろ液を減圧下で濃縮した。残渣をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、カラムクロマトグラフィーで精製することによって、目的物を得た(2.99g、57%)。
【実施例】
【0143】
(ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテルの合成)
水素化リチウムアルミニウム(2.25g、59.3mmol)のTHF懸濁液に、ビス(エトキシカルボニルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル(2.93g、4.94mmol)の溶液を添加し、60時間還流した。室温で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。反応溶液を濾過し、ろ液をジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧蒸留することで目的物を得た(2.47g、98%)。
【実施例】
【0144】
ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル(2.46g、4.84mmol)をTHFに溶解し、トリエチルアミン(2.70mL、19.4mmol)を添加した。10-ウンデセノイルクロリド(3.30g、16.3mmol)のTHF溶液を滴下した。室温で48時間撹拌し、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えた。ジクロロメタンで抽出し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。濃縮残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、目的物である環状化合物(i)を得た(2.78g、68%)。
【実施例】
【0145】
(2)環状化合物(ii)は、以下の手順で合成した。
【実施例】
【0146】
【化21】
JP2013099224A1_000023t.gif
【実施例】
【0147】
[ビス(ホルミルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテルの合成]
ジベンゾ-24-クラウン-8-エーテル(DB24C8:東京化成社製)0.50g(1.14mmol)、ヘキサメチレンテトラミン0.799g(5.70mmol)にトリフルオロ酢酸を2mL加え、60℃のオイルバス中で24時間加熱した。その後蒸留水を5mL加え、ジクロロメタン(100mL×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ジクロロメタン:メタノール=10:1)により精製した。黄白色結晶が収率82%(0.473g)で得られた。
【実施例】
【0148】
[ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテルの合成]
ビス(ホルミルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル0.47g(0.94mmol)にTHFを30mL加えた。さらに水素化ナトリウムを0.80g(2.81mmol)加え24時間還流した。その後濃縮によりTHFを除去した。ジクロロメタン(100mL)で3回抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。黄白色結晶が収率82%(0.39g)で得られた。
【実施例】
【0149】
[ビス(メタクリロイルオキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル(環状化合物(ii))の合成]
ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル1.00g(1.97mmol)をTHF25mLに溶かした。さらにトリエチルアミン2.7mL(19.7mmol)を加えた。0℃で溶液中に、滴下漏斗を用いメタクリル酸クロライド1.03mL(9.85mmol)のTHF溶液(5mL)をゆっくり滴下し、攪拌した。0℃で10分間攪拌後、室温に戻し24時間撹拌した。炭酸水素ナトリウム水溶液を5mL加え、濃縮によりTHFだけを除去した。その後酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。その後、カラムクロマトグラフィーにより精製した(シリカゲル、酢酸エチル:へキサン=1:1)。白色結晶が収率71%(0.81g)で得られた。
H-NMR(CDCl)(δ,ppm from TMS):6.98-6.80(m,6H,Ph),6.15-6.10(m,1H,methacryl group),5.60-5.54(m,1H,methacryl group),5.08(s,2H,-CH-),4.18-4.12(m,8H,-CH-CH-O-),3.96-3.89(m,8H,-CH-CH-O-),3.86-3.80(m,8H,-CH-CH-O-),2.00-1.86(m,3H,-CH-CH-O-).
【実施例】
【0150】
(3)環状化合物(iii)の合成
環状化合物(iii)は、以下の手順で合成した。
【実施例】
【0151】
【化22】
JP2013099224A1_000024t.gif
【実施例】
【0152】
[ビス(ウンデカ-10-エノイルオキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテルの合成]
ビス(ヒドロキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル3g(5.90mmol)のTHF溶液に、トリエチルアミン4.11mL(29.5mmol)を加え、さらに10-ウンデセノイルクロライド5.98g(29.5mmol)のTHF溶液をゆっくり滴下した。混合溶液は室温で36時間攪拌し、飽和炭酸ナトリウム水溶液を加えることで反応停止した。その後、溶液はジクロロメタンで抽出し、有機層は無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒は減圧下で除去し、この生成物をヘキサンで洗浄後、ジクロロメタン/ヘキサン系で再沈殿することで精製した。白色固体が収率75%(3.74g)で得られた。
1H-NMR(CDCl)(δ,ppm from TMS):6.92-6.79(m,6H,Ph),5.89-5.73(m,1H,CH=CH-),5.05-4.88(m,8H,CH=CH-,Ph-CH-O-CO-),4.18-3.79(m,24H,-CHCHO-),2.36-2.26(m,4H,-CH-COO-),2.08-1.96(m,4H,CH=CH-CH-),1.70-1.55(m,4H,-CHCH-COO-),1.43-1.20(m,20H,CH=CH-CH-(CH-).
【実施例】
【0153】
[ポリビス(ウンデカ-10-エノイルオキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル(環状化合物(iii))の合成]
ビス(ウンデカ-10-エノイルオキシメチルベンゾ)-24-クラウン-8-エーテル0.5g(0.62mmol)と第1世代のGrubbs触媒25mg(0.031mmol)のジクロロメタン溶液(3mL)を24時間還流した。反応はエチルビニルエーテルを添加させることにより停止し、減圧下で濃縮した。濃縮物はジクロロメタン/メタノール系で再沈殿することで精製した。灰色固体が収率84%(0.42g)で得られた。GPCにより測定したポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は5600であった。
【実施例】
【0154】
2 直鎖状化合物の合成
(1)直鎖状化合物(iv)は以下の手順で合成した。
【実施例】
【0155】
【化23】
JP2013099224A1_000025t.gif
【実施例】
【0156】
(tert-ブチルN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)カルバメートの合成)
ジエタノールアミン(15.0g、0.014mol)と4-(ジメチルアミノ)ピリジン(0.175g、1.43mmol)とをクロロホルム(250mL)に溶解し、二炭酸ジ-tert-ブチル(31.2g、0.014mol)を加え、室温で3時間撹拌した。溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することで、t-ブチル N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)カルバメートを得た(28.1g、96%)。
【実施例】
【0157】
(tert-ブチルN,N-ビス(ウンデセノイルオキシエチル)カルバメートの合成)
tert-ブチルN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)カルバメート(14.9g、0.0723mol)とトリエチルアミン(50mL、0.362mol)のテトラヒドロフラン(以下、THFと略記する。50mL)溶液を0℃に冷却した。10-ウンデセノイルクロリド(44.0g、0.217mol)のTHF(50mL)溶液を加え、0℃で10分、室温で86時間撹拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製することにより、tert-ブチルN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)カルバメートを得た(37.1g、95%)。
【実施例】
【0158】
(N,N-ビス(ウンデセノイルオキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート(iv)の合成)
tert-ブチルN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)カルバメート(3.00g、5.58mmol)のクロロホルム(3mL)溶液にトリフルオロ酢酸(3mL)を添加し、室温で4時間撹拌した。減圧蒸留し、残渣をジクロロメタンに薄め、飽和ヘキサフルオロリン酸アンモニウム水溶液で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を留去することで、N,N-ビス(ウンデセノイルオキシエチル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート(iv)を得た(2.25g、69%)。
【実施例】
【0159】
(2)直鎖状化合物(v)は以下の手順で合成した。
【実施例】
【0160】
【化24】
JP2013099224A1_000026t.gif
【実施例】
【0161】
[tert-ブチル N,N-ビス(ヒドロキシエチル)カルバメートの合成]
ジエタノールアミン10g(95.1mmol)にクロロホルム100mLを加えて溶解させ、その溶液にN,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)0.12g(0.951mmol)を加えた。その後0℃で溶液を冷やしながら二炭酸ジ-tert-ブチル10.4g(47.5mmol)を加え攪拌した。10分後室温に戻し5時間攪拌した。反応溶液は濃縮しカラムクロマトグラフィーにより精製を行った(シリカゲル、酢酸エチル:メタノール=10:1)。無色の液体が収率96%(8.6g)で得られた。
【実施例】
【0162】
[tert-ブチル N,N-ビス(メタクリロイルオキシエチル)カルバメートの合成]
tert-ブチル N,N-ビス(ヒドロキシエチル)カルバメート1g(5.29mmol)のTHF溶液(10mL)に、トリエチルアミン1.61g(15.9mmol)を加えた。0 ℃で溶液中に、滴下漏斗を用いメタクリル酸クロライド1.66mL(15.9mmol)のTHF溶液(5mL)をゆっくり滴下し、攪拌した。0℃で10分間攪拌後、室温に戻して24時間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を5mL加え、濃縮によりTHFだけを除去した。酢酸エチルで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。その後カラムクロマトグラフィーによって精製を行った(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:9)。無色の液体が収率76%(1.36g)で得られた。
【実施例】
【0163】
[ビス(メタクリロイルオキシエチル)アミン ヘキサフルオロホスホネート(直鎖状化合物(v))の合成]
tert-ブチル N,N-ビス(メタクリロイルオキシエチル)カルバメート0.33g(1mmol)のクロロホルム溶液(1mL)にトリフルオロ酢酸(1mL)を加えて室温で5時間反応させた。反応後、トリフルオロ酢酸とクロロホルムを減圧蒸留により取り除いた。その後ジクロロメタン(10mL)で希釈し、ヘキサフルオロリン酸アンモニウム水溶液で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後濃縮した。白色固体が収率41%(0.16g)で得られた。
1H-NMR(CDCl)(δ,ppm from TMS):6.09-6.15(1H,m,-CH=CH),5.89-5.71(1H,m,-CH=CH),4.28-4.15(4H,s,-COOCH-),3.84-3.71(4H,s,-CH-N-),1.97-1.89(6H,m,CH-C-).
【実施例】
【0164】
3 ネットワークポリマーAの合成
[合成例1]
[オレフィンメタセシス反応を用いたネットワークポリマーの合成]
環状化合物(i)及び直鎖状化合物(iv)のジクロロメタン溶液にグラブス触媒(ベンジリデンビス(トリシクロヘキシルホスフィン)ジクロロルテニウム)を添加し、40℃で24時間撹拌した。エチルビニルエーテルを加え、生成物をジクロロメタンとDMFで数回洗浄し、環状化合物(i)及び直鎖状化合物(iv)から成るロタキサンユニットが重合した構造を有するネットワークポリマーを得た。
反応前後のNMRスペクトルを図1に示した。図1中、c及びdのシグナルは、直鎖状化合物(iv)の末端オレフィンの水素原子にそれぞれ由来する。反応後のスペクトルでは、c及びdのシグナル強度が減少し、オレフィンメタセシス反応によって生成する二重結合に由来するシグナルeが新たに観測された。
【実施例】
【0165】
[合成例2-7]
[ラジカル重合反応を用いたネットワークポリマーの合成1:熱による反応]
表1に示す組成で、環状化合物、直鎖状化合物、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)及び第3成分を混合し、クロロホルム中で反応を行い、環状化合物(i)及び直鎖状化合物(iv)又は(v)から成るロタキサンユニットが重合した構造を有するネットワークポリマーを得た。
【実施例】
【0166】
【表1】
JP2013099224A1_000027t.gif
化合物a:メチルメタクリレート
化合物b:ブチルメタクリレート
化合物c:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
化合物d:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート
【実施例】
【0167】
[合成例8-13]
[ラジカル重合反応を用いたネットワークポリマーの合成2:紫外光による反応]
表2に示す組成で、直鎖状化合物、大環状化合物、ベンゾフェノン及び第3成分を混合し、下記条件にて紫外光を照射して、環状化合物(i)及び直鎖状化合物(iv)又は(v)から成るロタキサンユニットが重合した構造を有するネットワークポリマーを得た。
照射装置:石井商店株式会社製光化学用紫外線発生装置
照射波長:255nmからそれ以降。主波長は300nm~450nm(480nm~580nmに輝線有り)
照射温度:室温
照射時間:24時間
【実施例】
【0168】
【表2】
JP2013099224A1_000028t.gif
化合物a:メチルメタクリレート
化合物b:ブチルメタクリレート
化合物c:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
化合物d:メトキシポリエチレングリコールメタクリレート
【実施例】
【0169】
[合成例14]
環状化合物(ii)42mg(0.13mmol)と直鎖状化合物(v)38mg(0.13mmol)をクロロホルム0.1mLに溶かした。さらにメチルメタクリレート65mg(0.65mmol)を加え、スライドガラスに塗布した。溶媒を乾燥させた後、UV照射により24時間反応させた。UVランプは光化学用紫外線発生反応装置 高圧UV-HT型(石井商店株式会社)を用いて200Wで行った。反応後ジメチルホルムアミドとクロロホルムで数回洗浄した。その後乾燥させることにより黄色のネットワークポリマーゲルを得た。
【実施例】
【0170】
[合成例15]
環状化合物(iii)20mg(0.0246mmol)と直鎖状化合物(iv)14mg(0.0246mmol)をクロロホルム0.2mLに溶かした。さらにベンゾフェノン3.14mg(0.0172mmol)とメチルメタクリレート12.3mg(0.123mmol)を加え、スライドガラスにキャストした。溶媒を乾燥させた後UV照射により24時間反応させた。UVランプは光化学用紫外線発生反応装置 高圧UV-HT型(石井商店株式会社)を用いて200Wで行った。反応後DMFとメタノールで数回洗浄した。その後乾燥させることにより紫色のネットワークポリマーゲルを得た。
【実施例】
【0171】
[参考例]
環状化合物(iii)20mg(0.0246mmol)と直鎖状化合物(iv)14mg(0.0246mmol)をクロロホルム0.2mLに溶かした。さらに表3に示した量のベンゾフェノン(BP)とメチルメタクリレート(MMA)を加え、スライドガラスにキャストした。溶媒を乾燥させた後UV照射により2時間反応させた。UVランプは光化学用紫外線発生反応装置 高圧UV-HT型(石井商店株式会社)を用いて200Wで行った。反応後DMFとメタノールで数回洗浄した。その後乾燥させることによりネットワークポリマーゲルを得た。メタクリレートの量により、合成されるネットワークポリマーゲルの状態が変わることが分かった。
【実施例】
【0172】
【表3】
JP2013099224A1_000029t.gif
【実施例】
【0173】
ゲル中のネットワーク構造を確認するためにゲル化の過程をH-NMRスペクトルによって調査した。図3に重合反応前後のH-NMRスペクトルを示す。ゲル化は環状化合物(iii)80mg(0.0984mmol)、直鎖状化合物(iv)56mg(0.0984mmol)、メチルメタクリレート5当量とアゾビスイソブチロニトリル10mol%の重クロロホルム溶媒が入ったNMRのサンプルチューブを加熱することにより行った。重合反応前の(a)のスペクトルからアンモニウム塩近傍のメチレンプロトンのシフトしたピークの積分値から擬ロタキサンが形成されたことを確認した。重合反応後の(b)ではMMAの二重結合に由来するピークが消失していることからMMAの反応の進行を確認した。また、アンモニウム塩近傍のメチレンプロトンのシフトしたピークの積分値から擬ロタキサンが形成されたことを確認し、これらの結果からネットワークポリマーは架橋点にロタキサン構造を有することが示唆された。
【実施例】
【0174】
[合成例16~20]
環状化合物(iii)20mg(0.0246mmol)と直鎖状化合物(iv)14mg(0.0246mmol)をクロロホルム0.2mLに溶かした。さらにベンゾフェノン3.14mg(0.0172mmol)と表2に示したラジカル重合性モノマー(モノマー);メタクリル酸ブチル (BMA)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、ポリエチレングリコールメチルエーテルモノメタクリレート(PEGMA)、スチレン(St)、アクリロニトリル(An)のいずれか1つを加え、スライドガラスにキャストした。溶媒を乾燥させた後UV照射により24時間反応させた。反応後DMFとメタノールで数回洗浄した。その後乾燥させることにより表4に示されるネットワークポリマーゲルを得た。
【実施例】
【0175】
【表4】
JP2013099224A1_000030t.gif
【実施例】
【0176】
[合成例21~37]
環状化合物(iii)20mg(0.0246mmol)と直鎖状化合物(iv)4.7mg(0.0082mmol)をクロロホルム0.2mLに溶かした。さらにベンゾフェノンと表5に示したラジカル重合性モノマーを加え、スライドガラスにキャストした。溶媒を乾燥させた後UV照射により反応させた。UVランプは光化学用紫外線発生反応装置 高圧UV-HT型(石井商店株式会社)を用いて200Wで行った。反応後DMFとメタノールで数回洗浄した。その後乾燥させることによりネットワークポリマーゲルを得た。
【実施例】
【0177】
【表5】
JP2013099224A1_000031t.gif
【実施例】
【0178】
[ネットワークポリマーゲルの膨潤度の測定]
合成例15、19、20、21、34、及び37で製造したネットワークポリマーゲルに対して、メタノール、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いて膨潤度測定を行った結果を表6に示す。
【実施例】
【0179】
【表6】
JP2013099224A1_000032t.gif
【実施例】
【0180】
膨潤度[%]は以下の式で算出した。
【実施例】
【0181】
【数1】
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【実施例】
【0182】
ネットワークポリマーゲルは、ジクロロメタンを用いた場合良く膨潤し、メタノールを使用した場合はほとんど膨潤しなかった。また、ネットワークポリマーゲル中の直鎖状化合物、環状化合物、及びラジカル重合成モノマーの割合による膨潤度の違いはあまり見られなかった。
【実施例】
【0183】
4 ネットワークポリマーBの合成
[合成例38]
合成例1で得られたネットワークポリマー(8.9mg)をアセトニトリルに加え、さらにトリエチルアミン(0.091mL、0.0651mmol)と無水酢酸(0.062mL、0.651mmol)を加えた。その溶液を40℃で24時間加熱撹拌した。反応終了後、ネットワークポリマーをメタノールで洗浄し、乾燥することで中和されたネットワークポリマーを得た(収量:7.6mg)。
求電子剤との反応前、すなわち合成例1で得られたネットワークポリマーのIRスペクトルを図2に示し、反応後のIRスペクトルを図4に示した。求電子剤との反応により、新たに3級アミド結合に由来するピーク(1670~1640cm-1)が観測された。
【実施例】
【0184】
[合成例39]
合成例15で製造したネットワークポリマーゲルにアセトニトリル、トリエチルアミン、無水酢酸を加え、前記ネットワークポリマーゲル中の式(II)由来の繰り返し単位内の-N-基の窒素原子のアセチル化を行った。反応は50℃で24h行い、反応後メタノールで洗浄した。図5にアセチル化前後のFT-IRスペクトルを示す。アセチル化後の(b)において1670cm-1付近に新たにアセチル基に由来するC=O伸縮振動が観察されたことからアンモニウム塩がアセチル化されたネットワークポリマーゲルが合成されたことを確認した。
【実施例】
【0185】
[ポリマーゲル電解質の製造、伝導度の測定]
合成例1、及び合成例38で得られたネットワークポリマーを不活性ガス(窒素)雰囲気下で1MのLiBF/EC溶液(2mL)に浸し、60℃で12時間放置した。その後、ネットワークポリマーの表面に付着した余分な電解液をろ紙を用いて除去し、ゲル電解質を得た。イオン伝導度は25℃および50℃の温度でそれぞれ測定を行った。
結果を表7に示す。
【実施例】
【0186】
【表7】
JP2013099224A1_000034t.gif
*電解液の含有量(wt%)=[(ポリマー中の電解液の重量)/(ポリマー重量)]×100
*EC:エチレンカーボネート
【実施例】
【0187】
合成例14、15及び39で得られたネットワークポリマーゲルを用いてイオン伝導度の測定を行った。LiPF/EC(1M)の電解液に浸漬させ、その後測定温度25℃と50℃でのイオン電導度を測定した結果を表8に示す。
【実施例】
【0188】
【表8】
JP2013099224A1_000035t.gif
*電解液の含有量(wt%)=[(ポリマー中の電解液の重量)/(ポリマー重量)]×100
*EC:エチレンカーボネート
【実施例】
【0189】
合成例15で得られたネットワークポリマーゲルのイオン伝導度は測定温度25℃において3.95×10-4S/cm、50℃において4.95×10-4S/cmとなり、合成例14で得られたネットワークポリマーよりも電解液を多く取り込んだため大幅に増加した。合成例39で得られたネットワークポリマーのイオン伝導度は電解液の量を調整して測定を行った。ポリマーに対する電解液の含有量が170%のとき測定温度25℃において1.18×10-3S/cm、50℃において1.48×10-3S/cmとなり、合成例16で得られたネットワークポリマーに比べてイオン伝導度は向上した。また、合成例39で得られたネットワークポリマーのイオン伝導度は、電解液の含有量が100%のとき測定温度50℃において4.16×10-3S/cmとなり溶媒量を減らしても合成例16で得られたネットワークポリマーと同程度の値となった。これらの結果からアンモニウム塩をアセチル化することで架橋点の自由度が増加しネットワークポリマーの運動性が増加したと考えられる。
【実施例】
【0190】
[ネットワークポリマーの引張試験]
合成例1、及び合成例38で得られたネットワークポリマーをそれぞれ厚さ約100μmの膜状に成形し 、縦20mm×横3mmの短冊状に裁断して試験片とした。
引張試験は、小型卓上試験機(EZ Test;株式会社島津製作所製)を使用して行った。上記試験片の縦方向上下をつかみ具で固定し、つかみ具間距離を10mmとした。つかみ具としては、50N空気式平面型掴み具を用いた。測定条件は、室温、引張速度5mm/分であった。
結果を表9に示す。
【実施例】
【0191】
【表9】
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【産業上の利用可能性】
【0192】
本発明で得られるネットワークポリマーは、電解質溶液の保持量が少ないにもかかわらず、高いイオン伝導性を示す。したがって、従来の非水電解質二次電池がもつ、液漏れや製造コスト面での課題を解決し、より安全で安価な非水電解質二次電池の材料となりうる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4