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明細書 :高分子化ニトロキシド化合物と無機粒子の有機-無機ハイブリッド複合体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6083814号 (P6083814)
登録日 平成29年2月3日(2017.2.3)
発行日 平成29年2月22日(2017.2.22)
発明の名称または考案の名称 高分子化ニトロキシド化合物と無機粒子の有機-無機ハイブリッド複合体
国際特許分類 C08L  53/00        (2006.01)
C08K   3/36        (2006.01)
C08K   3/22        (2006.01)
A61K   9/08        (2006.01)
A61K  47/04        (2006.01)
A61K  47/34        (2017.01)
A61P  13/12        (2006.01)
A61P  39/06        (2006.01)
A61K  31/787       (2006.01)
FI C08L 53/00
C08K 3/36
C08K 3/22
A61K 9/08
A61K 47/04
A61K 47/34
A61P 13/12
A61P 39/06
A61K 31/787
請求項の数または発明の数 10
全頁数 18
出願番号 特願2013-557553 (P2013-557553)
出願日 平成25年2月6日(2013.2.6)
国際出願番号 PCT/JP2013/052769
国際公開番号 WO2013/118783
国際公開日 平成25年8月15日(2013.8.15)
優先権出願番号 2012024460
優先日 平成24年2月7日(2012.2.7)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成28年2月8日(2016.2.8)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
【識別番号】505426071
【氏名又は名称】国立大学法人筑波技術大学
発明者または考案者 【氏名】長崎 幸夫
【氏名】池田 豊
【氏名】吉冨 徹
【氏名】矢口 達也
【氏名】山下 真代
【氏名】ホサイン モハメド アムラン
【氏名】吉成 友貴
【氏名】植田 敦志
【氏名】平山 暁
個別代理人の代理人 【識別番号】110000741、【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
審査官 【審査官】中村 英司
参考文献・文献 特開2011-184429(JP,A)
特開2011-173960(JP,A)
特表2008-525600(JP,A)
特開平10-298280(JP,A)
調査した分野 C08L 53/00
A61K 9/00
A61K 45/00
特許請求の範囲 【請求項1】
無機粒子とポリマーを含む有機-無機ハイブリッド複合体であって、
無機粒子が、平均粒径3nm~1000nmのシリカ粒子、または平均粒径3nm~1mmのFe34、γ-Fe23及びFePtからなる群より選ばれる1種以上を含む磁性粒子であり、
ポリマーが、一般式(I-a)で表される、複合体。
【化1】
JP0006083814B2_000008t.gif
式中、
Aは、非置換または置換C1-C12アルコキシを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式R12CH-(ここで、R1及びR2は独立して、C1-C4アルコキシまたはR1とR2は一緒になって-OCH2CH2O-、-O(CH23O-もしくは-O(CH24O-を表す。)の基を表し、
1は、単結合、-(CH2cS-、-CO(CH2cS-、からなる群より選ばれ、ここでcは1ないし5の整数であり、
Xは、L2-R、メチル、ハロメチルまたはヒドロキシメチルを表し、ここで
2-C1-6アルキレン-NH-(C1-6アルキレン)qまたは-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)qであり
は0または1であり
は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれ
は、20~5,000の整数であり、そして
nは、独立して、3~1,000の整数である
但し、nの少なくとも50%はL2-Rである。
【請求項2】
Rが、次式
【化2】
JP0006083814B2_000009t.gif
式中、R’はメチル基である、請求項記載の複合体。
【請求項3】
2が、-C1-6アルキレン-NH-(C1-6アルキレン)q-である、請求項またはに記載の複合体。
【請求項4】
2が、-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)q-である、請求項またはに記載の複合体。
【請求項5】
無機粒子が、シリカ粒子である、請求項またはに記載の複合体。
【請求項6】
無機粒子が、磁性粒子である、請求項またはに記載の複合体。
【請求項7】
請求項またはのいずれかに記載の複合体であって、無機粒子がシリカ粒子である複合体と製薬学的に許容され得る希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項8】
請求項またはのいずれかに記載の複合体であって、無機粒子がシリカ粒子である複合体と製薬学的に許容され得る希釈剤または賦形剤を含む医薬組成物であって、腹膜透析液の形態にある、組成物。
【請求項9】
請求項またはのいずれかに記載の複合体であって、無機粒子がシリカ粒子である複合体と経口投与により腸にデリバリーされる薬物を含む医薬組成物。
【請求項10】
請求項またはのいずれかに記載の複合体であって、無機粒子がシリカ粒子である複合体の腹膜透析液を調製するための、使用。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物とシリカまたは磁性粒子の有機-無機ハイブリッド複合体およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、不規則な生活習慣・老化・社会的ストレスなどによっても生体内で過剰に活性酸素種(ROS)が産生し、さまざまな慢性疾病(動脈硬化症や糖尿病など)や難治性疾患(アルツハイマーやパーキンソン病など)をもたらすことが明らかとなっている。また、ROSは、通常、生体内では酸化-抗酸化(レドックス)のバランスを厳密に調節しているが、このROSが過剰に生成されると、酸化-抗酸化因子のバランスが酸化の方向に傾く。これまでに各種抗酸化剤を用いた慢性疾患の予防について検討がなされてきたものの、低分子抗酸化剤の例では、それらの高濃度の投与は、ミトコンドリアの電子伝達系などの生体に必須な反応をも阻害するほか、腎排出や代謝のため有効濃度が低く、また全身へ拡散し、全身副反応を惹起するなど、問題があった。また、低分子抗酸化剤を用いた酸化ストレス疾患治療・予防が行われてきたものの著しい効果が見られなかった。
【0003】
そこで、本発明者等は触媒的に機能するROS消去剤であるニトロキシドラジカルをポリマー鎖で封入した自己組織化ナノ粒子(Nitroxide radical-containing nanoparticle:RNP)を用い、必要なところでROSを消去する新しいナノ治療法を開発してきた(特許文献1)。その後、本発明者等は、このようなRNPが静脈投与後、ナノ粒子を形成したまま、血管を長期間滞留し、酸化ストレスの生じている組織で崩壊することで、脳梗塞、心筋梗塞・急性腎不全に対して高い治療効果を示すことを確認し、現時点では未公開であるが特許出願明細書に開示している。
【0004】
このような事情を考慮し、本発明者等は触媒的に機能するROS消去剤ニトロキシドラジカルを封入した自己組織化ナノ粒子(Nitroxide radical-containing nanoparticle:RNP)を用い、必要なところでROSを消去する新しいナノ治療法を開発してきた(特許文献1)。また、このようなRNPと低分子抗酸化剤をはじめとする他の薬剤を含む組成物も提供した(特許文献2)。この文献には、当該組成物が経口投与用の医薬製剤として利用できることも記載されているが、実際に経口投与した結果は何ら開示されていない。さらに、カチオン荷電性のRNPそれ自体またはカチオン荷電性を利用してアニオン性の薬剤を当該RNPに内包させたコンジュゲート(水性媒体中では高分子ミセルを形成している)は、静脈投与後、ナノ粒子を形成したまま、血管内に長期間滞留するが、酸化ストレスの生じている組織でミセルまたは粒子が崩壊することで、脳梗塞、心筋梗塞・急性腎不全、その他の疾患に対して高い治療効果を示すことも本発明者等は確認した(一部については特許文献1参照。また、一部については現時点で未公開状態にある特許出願中である)。
【0005】
一方で、このようなRNPが酸化ストレスの生じている組織で崩壊するとの性質や、その後判明した胃液のような酸性環境下で速やかに崩壊するとの性質は、当該RNPの使用様式を限定する場合がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】WO2009/133647
【特許文献2】特開2011-184429
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
酸性環境下をはじめ、種々の生理学的条件下で安定に使用でき、可能であるなら、RNPの特性を維持したままさらなる新たな性質が付与された材料若しくは複合体、またはRNPの薬剤内包コンジュゲートもしくは複合体を提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
仮に、上記のような材料または複合体が提供できるなら、例えば、酸性環境下にある胃において薬剤がRNP中で安定に存在し、消化されず、腸に効率よく薬剤を送達できるシステムの構築が可能となるであろう。
【0009】
また、限定されるものではないが、上記の性質に加え、さらなる新たな性質として体液等に存在する老廃物を除去できる作用等を付与できると、例えば、腹膜透析液の機能を向上できる可能性もある。腹膜透析は、近年、高齢化社会を迎え、様々な疾病の影響を受けて腎臓機能が低下する腎機能不全患者の治療方法の一つである。この方法は、ダイアライザーを利用し、血液の体外循環によって浄化を行う血液透析とともに、利用されている。前者は、社会復帰が容易で、残腎機能の保護にも優れているものの、煩雑な透析液の交換と腹膜硬化症の問題が解決できず、さらには透析患者に高いがんのリスクを伴っている等のため、後者に比べ、未だ、利用率が低い。腹膜硬化症や発がんの原因のひとつに高い糖濃度を中心とした過剰な活性酸素産生による酸化ストレスが寄与していることが指摘されている。そこで、RNPの優れた抗酸化作用を維持するとともに、腹膜透析中に生じる酸化ストレスを抑制し、さらに腹膜透析効率を向上させるために老廃物を吸着させる機能を持つシステムが提供できれば、上記の長所を有する腹膜透析の利用率を高めることが可能になるであろう。また、磁性ナノ粒子が効果的に内包されたRNPは、RNPのもう一つの構成要素である高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物の抗酸化作用に悪影響を及ぼすことなく、一方では、磁性ナノ粒子の作用を介して、例えば、磁気ハイパーサーミアでの利用が可能であろうし、また、特定の生体分子の単離(スクリーニング)及び細胞分離の基剤となり得るであろう。
【0010】
このような観点から、RNPの機能を向上せしめるべく検討してきたところ、RNPまたは高分子ミセルにシリカまたは磁性粒子を効率よく内包できるか、或はシリカまたは磁性粒子を高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物で被覆できることを見出した。さらに、このような無機粒子を内包したRNPまたは高分子ミセルは、無機粒子を含まないものに比べ、生理学的環境下、特に、特定のRNPにあっては、例えば、pH3の酸性環境下ですら安定にミセル状態または粒子状態を保持する。また、かようなRNPにさらに薬剤を含有した状態の粒子も生理学的環境下で安定であることも見出した。その上、シリカを内包したRNPは腹膜炎症モデルラットの腹膜に投与すると腹膜の劣化を著しく抑制することも確認できた。
【0011】
したがって、今ここに、有機-無機ハイブリッド複合体であって、有機成分が下記一般式(I)で表されるブロックコポリマーであり、無機成分が、シリカ及び磁性ナノ粒子からなる群より選ばれる無機粒子である、複合体が提供される。
【0012】
PEG-CNR (I)
式中、PEGはポリ(エチレングリコール)を含むセグメントであり、
CNRは、連結基、好ましくは、少なくとも1つのイミノ(-NH-)またはオキシ(-O-)を有する連結基を介してポリマー主鎖に結合した環状ニトロキシドラジカルをペンダント基の一部として含む反復単位を含むポリマーセグメントである。
【0013】
また、上記一般式(I)で表されるブロックコポリマーと無機粒子を含む有機-無機複合体の一つの態様として、水に溶解または分散させたとき、一般的には、平均粒径が3nm~1mm、好ましくは5nm~500nm、より好ましくは5nm~100nm、さらにより好ましくは10nm~50nmの粒子として存在するものを好ましいものとして挙げることができる。このような複合体は、限定されるものでないが、サイズがnmの範囲内にある、所謂ナノ粒子と称される場合には生体内で使用するのに適しており、一方、特に無機粒子が磁性粒子であり、生体分子や細胞の分離または単離、所謂バイオセパレーションに使用する場合には、本発明の複合体は、ナノ粒子でなく、平均粒径が500nm~1mm、好ましくは1μm~500μm、より好ましくは1μm~100μm、さらにより好ましくは1μm~50μmの粒子であることができる。
【0014】
また、別の発明の態様のとして、活性成分として、少なくとも前記複合体と製薬学的に許容される希釈剤またはキャリヤーを含む腹膜透析液が提供される。
【0015】
また、さらに別の発明の態様として、アニオン性の薬物をさらに含む前記複合体が提供される。
【0016】
前記の有機-無機複合体から形成されるRNPは、無機粒子がRNPに内包されることにより該粒子を体液中で均質に分散し、保持することができ、また、内包された無機粒子の作用により、体液中、特に、上記一般式(I)で表されるブロックコポリマーが連結基として少なくとも1つのイミノを含み、無機ナノ粒子がシリカである場合には、酸性を示す体液中ですら一定時間安定にRNPの粒子の形状を保持でき、さらに他の薬剤を高濃度で安定にRNPに内包することも可能になる。
【発明の詳細な記述】
【0017】
無機粒子は、提供しようとする有機-無機複合体の使用目的によりそのサイズ、形状は変動し得るが、サイズについては、平均径が数nm~数mmの範囲内にある粒子を意図している。このような粒子のうち、シリカ粒子は、供給元、日産化学からのスノーテックスOまたはMEK-STまたはメタノールシリカゾルとして市販されているものをそのまま、または必要があれば、精製して利用し、それらを前記複合体に含めることができる。このような無機粒子の形状は、限定されるものでないが、球、立方体、直方体、8~16多面体等であるかとできる。このような粒子の粒径は、球に換算した場合の値として表示している。
【発明の詳細な記述】
【0018】
一方、磁性ナノ粒子は、限定されるものでないが、好ましくはバイオ・医療用磁性ナノ粒子またはバイオセパレーション用として当該技術分野で使用されているか、使用することが提案されているもの、また、例えば、供給元、JSRライフサイエンス(株)から入手できる、マグネタイト(Fe34)もしくはマグネへマイト(γ-Fe23)またはこれらの中間体であるものを利用できる。さらに、磁性ナノ粒子は、具体的には、FePt(Feの平均含有割合が35原子以上であることが好ましい。)ナノ粒子(例えば、JP 2009-57609 A参照)であることができる。本発明では、磁性ナノ粒子は、例えば、カルボキシル基またはスルホン基で表面が修飾されたものを使用することが当該粒子を複合体中に安定に保持する上で適する場合がある。したがって、前記複合体は、Fe34、γ-Fe23、FePtからなる群より選ばれる1種以上の磁性粒子を含むことができる。
【発明の詳細な記述】
【0019】
上記の一般式(I)で表されるブロックコポリマーにおいて、環状ニトロキシドラジカルが、連結基、例えば、o-もしくはp-フェニレン-C1-6アルキレン-NH-(C1-6アルキレン)-またはo-もしくはp-フェニレン-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)-(ここで、qは整数0または1であり、好ましくは0である)を介してポリマー主鎖に結合しており、かつ、環状ニトロキシドラジカルが、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル及び2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる。
ここで、ポリマー主鎖は重合性不飽和二重結合に由来し、当該主鎖にフェニレンの未結合末端が結合している。このようなポリマー主鎖の構造について、特許文献1の記載を参照できる(特許文献1は引用することにより本明細書の内容に組み込まれる)。
【発明の詳細な記述】
【0020】
さらに、一般式(I)で表されるブロックコポリマーのより具体的なものとしては、一般式(II)
【発明の詳細な記述】
【0021】
【化1】
JP0006083814B2_000002t.gif

【発明の詳細な記述】
【0022】
式中、
Aは、非置換または置換C-C12アルコキシを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基、式RCH-(ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表す。)の基を表し、
は、単結合、-(CHS-、-CO(CHS-、からなる群より選ばれ、ここでcは1ないし5の整数であり、
は、-C1-6アルキレン-NH-(C1-6アルキレン)-または-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)-であり、ここでqは0または1であり、そして
Rは、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル及び2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基を表し、
-Rは、nの総数の少なくとも、50%、好ましくは70%、より好ましくは80%、特により好ましくは95%が存在することができ、存在しない場合、残りのL-R部は、メチル、ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード)メチルまたはヒドロキシメチル基であることができ、
mは、20~5,000、好ましくは、20~1,000、より好ましくは20~500の整数であり、そして
nは、独立して、3~1,000、好ましくは、3~500、より好ましくは3~100、特に好ましくは5~50の整数である。
Rとしては、より好ましいものとして、次式
【発明の詳細な記述】
【0023】
【化2】
JP0006083814B2_000003t.gif

【発明の詳細な記述】
【0024】
式中、R’はメチル基である、
で表される基を挙げることができる。
【発明の詳細な記述】
【0025】
以上のブロックコポリマーは、特許文献1に記載されているか、記載された方法に準じて製造できる。
【発明の詳細な記述】
【0026】
有機-無機ハイブリッド複合体は、室温~90℃において、無機粒子と上記のブロックコポリマーを粉末化状態で単に混合して生成してもよい。一般的には、前記複合体は、両者を緩衝化したもしくは未緩衝化、必要により、水溶性有機溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルフォキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール等を含有する水性媒体中で溶解もしくは分散混合することにより生成できる。かような複合体は、その調製中に、自己組織化を介して形成される粒子もしくは高分子ミセルとしても提供できる。また、こうして形成された粒子もしくは高分子ミセルの乾燥、好ましくは凍結乾燥物としても提供できる。粒子の粒径は、出発原料として使用する無機粒子のサイズに依存するが、一般に、出発原料の無機粒子は、平均径が数nm~数mmの範囲内にあることができるが、具体的には3nm~1mm、一般的には3nm~500μm、好ましくは5nm~100nm、より好ましくは5nm~80nm、特に好ましくは10nm~50nmの範囲内にある。これらの中、無機粒子が磁性粒子である場合、平均粒径が500nm~1mm、好ましくは1μm~500nm、より好ましくは1μm~100μm、さらにより好ましくは1μm~50μmの粒子を用いることができる。ここにいう、粒径は、水性媒体中に溶解または分散した複合体粒子の動的光散乱(DLS)測定を行って確認できる値を意味する。
【発明の詳細な記述】
【0027】
複合体の無機粒子とブロックコポリマーの含有比率は、複合体粒子が水性媒体中で上記の粒径を有するものとして観察できるものであれば限定されない。したがって、当業者であれば、後述する複合体粒子の製造方法にしたがって、適当な上記含有比を選び複合体粒子を形成してみて、それらの動的光散乱を測定することにより、本発明に適する含有比を選択することができる。しかし、限定されるものではないが、上記一般式(II)で示され、ポリ(エチレングリコール)セグメントのmが20~5,000であり、かつ、nが3~1,000であるようなブロックコポリマーであり、無機粒子が平均径30nm~50nmのシリカ粒子である場合は、重量比(ポリマー:シリカ粒子)で100:5~100:300、好ましくは100:10~100:200、さらに好ましくは100:20~100:100であることができる。一方、当該ブロックコポリマーであり、無機粒子が平均粒径5nm~1mmの磁性ナノ粒子である場合、複合体中の無機ナノ粒子とブロックコポリマーの含有比率(重量基準のポリマー:磁性ナノ粒子)は、1:10000,好ましくは1:1000、さらに好ましくは1;100であることができる。
【発明の詳細な記述】
【0028】
水性媒体に含められるブロックコポリマーと無機粒子の自己組織化は、都合よくは、図1のシリカ内包RNPの調製方法の概念図にみられるようにブロックコポリマー(PEG-b-PMNT)を、必要により酸性(pH1~5)に調整した、水性媒体中で溶解した後、必要により弱酸性—アルカリ性(pH6~10)に調整して脱プロトン化し、撹拌することにより進行させることができる。別法としては、水溶性有機溶媒(例えば、DMF)にブロックコポリマーを溶解させた後、無機粒子を加え、こうして生成した混合液を、透析膜を通して蒸留水に対して透析することにより上記自己組織化を行うことができる。こうして形成される複合体粒子は、動的光散乱測定の結果等を考慮すると、無機粒子がRNPまたは高分子ミセルに内包されてか、或はブロックコポリマーにより被覆されているものと推測できる。また、より具体的な方法については、後述する実施例を参照されたい。
【発明の詳細な記述】
【0029】
こうして提供される有機-無機ハイブリッド複合体(または無機粒子内包RNP)は、体液中で均一に分散でき、安定に粒子の形態を保持できる。このRNPにおいて、特に、無機粒子がシリカであり、ブロックコポリマーの連結基にイミノ(-NH-)が含まれる場合のRNPは、胃液のような低いpHの酸性環境下でも、少なくとも数十分にわたり安定に粒子の形態を保持する。なお、本明細書にいう体液、生体内、生理的、生理学的等の用語は、哺乳動物、例えばヒトについて使用することを意図している。このようなシリカ内包RNPは、上記方法の後者の透析方法を用いて製造する場合には、透析前の溶液中にさらに種々の薬剤、好ましくはアニオン性または疎水性の薬剤を含めることにより、シリカ内包RNPに当該薬剤を含有または内包させることができる。また、このような薬剤は、予め、調製したシリカ内包RNPの水性媒体中での溶解または分散液にそれらを添加し、撹拌混合することにより、シリカ内包RNPに内包または含有せしめることできる。こうして形成した、シリカおよび薬剤内包RNPも、胃液のような低いpHの酸性環境下で、少なくとも数十分にわたり安定に粒子の形態を保持する。無機ナノ粒子が磁性粒子であり、ブロックコポリマーの連結基にイミノ(-NH-)が含まれる場合のRNPは、前記シリカ内包RNPと同様に生体内の酸性環境下ですら一定時間安定に粒子の形態を保持する。
【発明の詳細な記述】
【0030】
本発明の複合体の特定の使用に関してシリカ内包RNPを例にとり説明するが、これらが本発明の複合体の用途を限定するものでない。シリカ内包RNP(薬剤不含)は、当該技術分野で常用されている、ブドウ糖、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、乳酸等を含み、低pH(酸性)にある腹膜透析液においても安定に粒子の形態を保持する。勿論、透析液バックを2室に分けて、使用直前に混ぜ合わせることで、pHを中性(6.3~7.3)とした生理的にやさしい腹膜透析液においても、安定にシリカ内包RNP(Si-RNPということもある)の形態を保持できる。さらに、これらのシリカ内包RNPは、腹膜を通して体外に滲みだした老廃物をシリカに吸着するものと理解できるように透析効率を向上させる。したがって、従来使用されている腹膜透析液に、シリカ内包RNPを含めることにより、従来問題となっていた腹膜の劣化を抑制できる。上記のように想定されるシリカ内包RNPの作用機序を考慮すれば、腹膜透析液には、より最近提案されたもの(例えば、グルコースに代え、イコサデキストリンを含有するようなイコデキストリン含有腹膜透析液等)も本発明にいう腹膜透析液に包含される。
【発明の詳細な記述】
【0031】
また、上述したとおり、シリカおよび薬剤内包RNPも、胃液のような低いpHの酸性環境下で、少なくとも数十分にわたり安定に粒子の形態を保持する。したがって、経口投与した後、胃を通過し、腸に薬剤を効率よくデリバリーするために、当該シリカおよび薬剤内包RNPは都合よく利用することができる。例えば、限定されるものではないが、薬剤として消化器管用薬であるレバミピドを選択すると、胃内でのRNPの粒子形態を一定安定に時間安定に保持できるので、薬剤の胃腸内徐放性が達成できる。したがって、アニオン性の薬物であって、経口投与により腸にデリバリーするための薬物をシリカとともに内包したRNPが提供される。このような薬物としては、限定されるものではないが、デガフールウラシル、クレスチン、ロイコボリン、アセトアミノフェン、シクロホスファミド、メルファラン、シタラビン オクホスファート、テガフール・ウラシル、テガフール・ギネスタット・オタスタットカリウム配合、ドキシフルリジン、ヒドロキシカルバミド、メトトレキサート、メルカプトプリン、エトポシド、アナストロゾール、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、ビカルタミド、フルタミド、リン酸エストラムスチン、メロキシカム、エトドラク、ピロキシカム、アンピロキシカム、ロルノキシカム、モフェゾラク、インドメタシンファルネシル、インドメタシン、スクリンダ、フェンブフェン、ジクロフェナクナトリウム、ナブメトン、ロキソプロフェンナトリウム、イブプロフェン、ザルトプロフェン、プラノプルフェン、アルミノプロフェン、ナプロキセン、オキサプロジン、チアプロフェン酸、メフェナム酸、塩酸チアラミド、アザチオプリン、タクロリムス、メサラジン、エカベトナトリウム、レバミピド、アスピリン等を挙げることができる。
【発明の詳細な記述】
【0032】
無機粒子および、任意に薬剤、を内包するRNPを経口製剤とする場合、剤形により、当該RNPは、例えば、水性媒体中では、上記のような自己組織化した粒子の形態で存在することができ、また、固体製剤では、如何なる状態の当該RNPを含むこともできるが、水性媒体中で一旦、自己組織化した粒子を形成した後、凍結乾燥等により乾燥したものを含めるのが好ましい。
【発明の詳細な記述】
【0033】
かような医薬製剤は、本発明の目的に沿う限り、当該技術分野で周知の希釈剤、賦形剤(またはキャリヤー)、添加剤を含めることができるが、上記凍結乾燥物それ自体であることもできる。医薬製剤が、例えば、経口投与用製剤であり、固形である場合、高分子環状ニトロキシドラジカル化合物を、ショ糖、乳糖、マンニトール、セルロール、トレハロース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、グリセリド等から選ばれる1種以上の組み合わせで含むことができる。さらに、他の不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、パラベン、ソルビン酸、α-トコフェロールのような保存剤、システインのような抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、甘味料、なども含めることができる。
【発明の詳細な記述】
【0034】
経口投与用液体製剤は、生理学的に許容される、乳剤、シロップ、エリキシル剤、懸濁剤および溶液製剤を包含する。これらの製剤は、一般に使用されている、不活性希釈剤、例えば、水を含むことができる。このような水溶液には、上述した、糖類や分子量200~100,000程度のポリエチレングリコールを含めることもできる。
【発明の詳細な記述】
【0035】
上記製剤は、使用時または当初から、液状、半液状であることができ、ここでは、希釈剤として、例えば、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、滅菌水、等を使用して、非経口製剤とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明のシリカ内包RNP調製の概念図。
【図2】製造実施例1で得られたナノ粒子のDLS測定結果を表すグラフ。
【図3】製造実施例3で得られたナノ粒子のポリマー重量に対するシリカの取り込み比率を表すグラフ。SiO-RNP1はTEOSを用いて作成した粒子について、SiO-RNPは市販シリカ粒子を用いて作成した粒子に対いての結果である。
【図4】製造実施例3で得られたナノ粒子の各種pHの水溶液中の安定性を表すグラフ。
【図5】試験1による、製造実施例4で作製したレパミピド内包粒子のレパミピド含有量を解析した結果を表すグラフ。
【図6】試験例2で薬剤を内包したナノ粒子の酸性条件下での安定性を動的光散乱法(DLS)よって評価した結果を表すグラフ。クロ塗り三角の曲線は、ポリマー重量当りシリカ含有率8.5wt%を、黒塗り丸の曲線は、ポリマー重量当りシリカ含有率0wt%の結果である。
【図7】試験例3にしたがい、酸性条件下にナノ粒子を放置した際の内包されている薬剤の放出挙動を示すグラフ。
【図8】試験例4による、シリカ内包ナノ粒子の尿素吸着能の効率を示すグラフ。
【図9】試験例5による、Si-RNP腹腔内投与後の血中取り込み抑制試験の結果を示すグラフ。
【図10】試験例6による、腹膜硬化症モデル動物を用いたRNPの治療効果を示すグラフ。
【図11】製造実施例5で得られた磁性粒子が修飾されたPEG-b-PMNTの量を表すグラフ。
【発明を実施するための具体例】
【0037】
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明をこれらの具体的な態様に限定することを意図するものではない。なお、説明を簡潔にするため、高分子化ニトロキシドラジカル化合物としては、上記特許文献1(引用することにより、開示事項は、本明細書の内容となる)の製造例2および4にしたがって調製されたPEG-b-PCMS-N-TEMPOまたはPEG-b-PMNTからのナノ粒子(以下、nRNPともいう)を用いた例をベースに説明する。また、実施例に記載の分子量に関連するm、nの値、粒径に関連する、nm及びμmの値は、それぞれ平均値である。
【0038】
製造実施例1:
シリカ内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Si-nRNP)の調製方法(その1)
両親媒性ブロックポリマー:PEG-b-PMNT(下記式におけるmが約100であり、nが約20のものに相当する。それぞれ、m部のMnが4600で、PCMSのMnが3,300から換算した)の水溶液(5mg/mL,1mL,pH3)に、シリカナノ粒子(10nm,0.5mg)を加え、室温で撹拌した。次に、水酸化ナトリウムを加えて、pH9に調整することによってシリカ内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Si-nRNP)を作製した(図1参照)。
【0039】
【化3】
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【0040】
得られたナノ粒子の動的光散乱(DLS)測定を行ったところ、37nmの粒子径を有することが明らかとなった。またシリカナノ粒子を含有させていない場合(RNPと記載する)、粒子径が22nmであったことから、シリカナノ粒子がSi-RNPに内包されたことが示唆される(図2参照)。
【0041】
製造実施例2:
シリカ内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Si-nRNP)の調製方法(その2)
スクリューに0.2μmのシリンジフィルターを通したDMF 2mLと両親媒性ブロックポリマーポリマー:PEG-b-PMNT 10mgを入れ、ドライヤーを用いて熱を与え、ポリマーを完全に溶解した。このスクリュー管にさらに、シリカナノ粒子(日産化学、MEK-ST、10-15nm、2.1-15.5mg)を所定量加えた。あらかじめ水に浸し膨潤させておいた分画分子量3500の透析膜にポリマーのDMF溶液をパスツールピペットで移し、2Lの蒸留水に対して透析を行った。数時間おきに外液の蒸留水を交換し、24時間透析を行った。回収した溶液に蒸留水を加え全量を6.5mLとした。この溶液に塩化ナトリウムを10mg/mlの濃度で加えた後、0.2μmのシリンジフィルターを通し、内包されていないシリカ粒子を除去した。シリカの内包量はプラズマ発光分光分析装置によりケイ素(Si)の定量を行った。結果を下記表1に示す。
【0042】
【表1】
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【0043】
製造実施例3:
シリカ内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Si-nRNP)の調製方法(その3)
(1)調製方法:
nRNP(20mg/mL)水溶液1mLにテトラエトキシシラン(TEOS)または市販のシリカ粒子(日産化学、スノーテックス)を所定量加え80℃で24時間撹拌した。撹拌後水を用いて透析(MWCO=1,000,000)を行い精製し、シリカ内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Si-nRNP)を得た。内包されたシリカの量はプラズマ発光分光分析装置により定量した。結果を図3に示す。
(2)上記で得られたSi-nRNPの水溶液中での安定性
上記の方法で作成したSi-nRNPまたはSi不含nRNPを、それぞれ指定するpH水溶液で室温下、15分間インキュベートした際の粒子の安定性を光散乱強度で評価した。結果を図4に示す。
【0044】
製造実施例4:
シリカ内包ナノ粒子に抗炎症作用を有する薬剤であるレパミピドの内包
シリカ含有量が異なるシリカ内包ナノ粒子4種類(シリカ含有量0wt%,11wt%,14wt%,36wt%,88wt%/ポリマー重量)を、各1mLをマイクロチューブに移し、レバミピド3mgを加え、室温下、撹拌機により24時間rpm500で撹拌を行った。撹拌後、内包されていないレバミピドを除去するために0.2μmのシリンジフィルターを通した。
【0045】
レバミピド内包操作前後のシリカ含有量と粒径を下記表2にまとめて示す。
【0046】
【表2】
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表中、PDIは粒子径多分散度を表す。
【0047】
試験例1:作製したレパミピド内包粒子のレパミピド含有量を解析
作製したレパミピド内包粒子のレパミピド含有量は、レバミピドの吸収極大波長である330nmの吸収スペクトルを測定することで解析した。その結果を図5に示す。
【0048】
図5から、シリカを含有してないナノ粒子に比べシリカを含有しているナノ粒子の方が多くのレバミピドを内包できることが確認できる。
【0049】
試験例2:薬剤を内包したナノ粒子の酸性条件下での安定性
薬剤として、上記の製造実施例4のレバミピドを内包したナノ粒子(ポリマー重量当りシリカ8.5wt含有)の酸性条件下での安定性を評価する為にpH3での散乱強度変化を測定した。ディスポーザブル・ロウ・サイズ・キュベット(Disporsable low size cuvette)に、脱イオン水350μL、緩衝液(pH3)40μLを入れ、ピペッティングにより撹拌した後、サンプルを10μL入れ、散乱強度を測定した。なお、測定は1分間に1回測定する条件に設定し、pH3に調節してから4分後に測定を開始し、連続で15分間散乱強度を測定した。結果を図6に示す。
【0050】
図6から、シリカ含有なしのナノ粒子は20分後には、もとの約40%の散乱強度へ低下するのに比べ、シリカを内包したナノ粒子では散乱強度の変化はほとんど見られなかった。したがって、酸性環境下においてもナノ粒子が安定に存在していることが確認された。
【0051】
試験例3:酸性条件下にナノ粒子を放置した際の内包されている薬剤の放出挙動
pH3の酸性条件下にナノ粒子(上記の試験2と同じ)を20分間放置した際の内包されている薬剤レバミピドの放出挙動の評価を行った。酸性条件下でナノ粒子が崩壊し、レバミピドが放出されていれば、0.2μmのシリンジフィルターを通すことで除去することが可能である。
【0052】
そこで、pH7の条件に調製し吸収を測定したものを、レバミピド内包量の基準(100%)として、酸性条件下に置かれたナノ粒子のレバミピド内包量を測定し、放出されたレバミピドの割合を求めた。その結果を図7に示す。
【0053】
シリカなしのナノ粒子では内包した薬物の43%が放出されるのに対し、シリカを8.5wt%(/ポリマー重量)含有させることで17%の放出に抑制することができた。
【0054】
以上の結果より、シリカを含有したナノ粒子ではシリカを含まないナノ粒子に比べ、酸性条件下で薬物を安定に内包できることが確認された。
【0055】
試験例4:シリカ内包ナノ粒子の尿素吸着能の試験
腹膜透析モデルとして、市販で用いられている透析液(ダイアニール-N PD4、Baxter、成分(w/v%)ブドウ糖1.36 塩化カルシウム0.0183 塩化マグネシウム0.00508 乳酸ナトリウム0.448 塩化ナトリウム0.538、体積10mL)とSi-nRNP(ポリマー濃度5mg/mL、シリカゲル濃度0.25mg/mL)が入った透析膜(分画分子量12,000~14,000)を尿素溶液(190mg/dL、20mL)の中に浸し、外液にある尿素量を比色分析法により定量した。外液の尿素量を示す結果を図8に示す。市販に用いられている透析液やRNP含有透析液では、透析速度が同程度であったが、Si-nRNPを用いると透析効率が向上することが明らかとなった。この結果は、Si-nRNPを透析液として用いた場合に、透析時間や効率を向上させることを示す。
【0056】
試験例5:Si-nRNP腹腔内投与後の血中取り込み抑制試験
通常、低分子量の化合物は、腹腔内に投与した後、血中に取り込まれ、全身に拡散することが懸念される。実際に低分子化合物TEMPOを腹腔内に投与した後、血中内の電子スピン共鳴(ESR)シグナルを測定した結果を図9に示す。図9から、一時間以上にわたって、血中に薬物が存在することが明らかである。高濃度の低分子TEMPO化合物の投与は、血圧低下やミトコンドリアのエネルギー伝達系の阻害などの副作用を生じる。一方、シリカ内包RNP(Si-nRNP)は腹膜から全く透過しないため、血中移行性がないことを確認できた。これは、全身への毒性を懸念する必要がなく、極めて安全な腹膜透析液として期待されるデータである。
【0057】
試験例6:腹膜硬化症モデル動物を用いたSi-nRNPの治療効果
腹膜硬化モデルラットは、0.1%(v/v)のグルコンサンクロロへキシジン(Chlorhexidine gluconate)を腹腔内に一週間毎日投与することにより作成した。また生理食塩水(saline)、Si-nRNP、もしくは低分子化合物TEMPOLを同時に一週間毎日投与することによって、その腹膜劣化抑制効果を腹膜炎症により産生されるスーパーオキシド量を定量することにより調べた。結果を図10に示す。
【0058】
一週間後、ラットを解剖し、腹膜をホモジネートした後、スーパーオキシド反応性化学発光試薬(MPEC:2-methyl-6-p-methoxyphenylethynylimidazopyrazinone)を用いて評価したところ、Si-RNPはChlorhexidine gluconateによって引き起こされるスーパーオキシドの産生を抑制していることが明らかとなり、低分子化合物のTEMPOLに比べても非常に効果が高いことが示された。
【0059】
製造実施例5:
磁性粒子内包ニトロキシドラジカル含有ナノ粒子(Fe-nRNP)の調製方法-pH7.4(生体条件下)における表面修飾-
1.5mLマイクロチューブに、各カチオン性セグメントPMNTの重合度(unit:製造実施例1の式中のnの値に相当する。)がそれぞれ、5, 10, 20, 30unitのPEG-b-PMNTを、磁性粒子(90μg(カルボキシ基22.5nmol、ライフテクノロジーズから入手、製品名:Dynabeads (r)M-270 Carboxylic Acid、粒径:2.8μm)のカルボキシ基に対して、50、100、200アミノmol等量をそれぞれ秤量した。表3に仕込み量をまとめる。0.1M HClの10μLをPEG-b-PMNTに加えることによりPEG-b-PMNTを溶かし、磁性粒子を3μL(90μg、22.5カルボキシ基mol)とpH7.4のリン酸バッファーを240mL加え、pHを測定した。0.1M NaOHと0.1M HClを用いてpHを7.4に調整し、約24時間攪拌した。攪拌後、磁性粒子表面に吸着していない未吸着PEG-b-PMNTを除去するため、磁石を用いてPEG-b-PMNT修飾磁性粒子(Fe-nRNP)を壁面に集め、溶液を洗浄した。その後pH7.4のリン酸バッファーを250μL加え、撹拌後、同様に溶液を取り除くことにより未吸着のPEG-b-PMNTを取り除いた。この動作を4回繰り返すことで未吸着のPEG-b-PMNTを完全に取り除いた。取り除いたことを確認するために、4回目の洗浄液を回収しておき、電子スピン共鳴(ESR)測定をすることでシグナルが消失していることを確認した。PEG-b-PMNTの修飾量は、ESR測定を用い、電子スピンスペクトルの積分値により行った。
【0060】
【表3】
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PEG-b-PMNTの表面修飾量をまとめた結果を図11に示す。図11のグラフより、上記の結果同様、短い鎖長の方が長い鎖長よりも修飾量が多いことが分かる。また、PEG-b-PMNTの添加量依存的に、PEG-b-PMNTが磁性粒子に修飾される量が上昇していることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の有機-無機ハイブリッド複合体は、例えば、それ自体、腹膜透析液の性質を向上でき、また、他の薬剤をさらに含めるたうえで、経口投与により当該薬剤を腸にデリバリーするための担体として使用できる。したがって、例えば、製薬業界で利用できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10