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明細書 :軸対称偏光変換素子

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 再公表特許(A1)
発行日 平成27年5月11日(2015.5.11)
発明の名称または考案の名称 軸対称偏光変換素子
国際特許分類 G02B   5/30        (2006.01)
FI G02B 5/30
国際予備審査の請求 未請求
全頁数 19
出願番号 特願2013-557562 (P2013-557562)
国際出願番号 PCT/JP2013/052834
国際公開番号 WO2013/118810
国際出願日 平成25年2月7日(2013.2.7)
国際公開日 平成25年8月15日(2013.8.15)
優先権出願番号 2012025150
優先日 平成24年2月8日(2012.2.8)
優先権主張国 日本国(JP)
指定国 AP(BW , GH , GM , KE , LR , LS , MW , MZ , NA , RW , SD , SL , SZ , TZ , UG , ZM , ZW) , EA(AM , AZ , BY , KG , KZ , RU , TJ , TM) , EP(AL , AT , BE , BG , CH , CY , CZ , DE , DK , EE , ES , FI , FR , GB , GR , HR , HU , IE , IS , IT , LT , LU , LV , MC , MK , MT , NL , NO , PL , PT , RO , RS , SE , SI , SK , SM , TR) , OA(BF , BJ , CF , CG , CI , CM , GA , GN , GQ , GW , ML , MR , NE , SN , TD , TG) , AE , AG , AL , AM , AO , AT , AU , AZ , BA , BB , BG , BH , BN , BR , BW , BY , BZ , CA , CH , CL , CN , CO , CR , CU , CZ , DE , DK , DM , DO , DZ , EC , EE , EG , ES , FI , GB , GD , GE , GH , GM , GT , HN , HR , HU , ID , IL , IN , IS , JP , KE , KG , KM , KN , KP , KR , KZ , LA , LC , LK , LR , LS , LT , LU , LY , MA , MD , ME , MG , MK , MN , MW , MX , MY , MZ , NA , NG , NI , NO , NZ , OM , PA , PE , PG , PH , PL , PT , QA , RO , RS , RU , RW , SC , SD , SE , SG , SK , SL , SM , ST , SV , SY , TH , TJ , TM , TN , TR , TT , TZ , UA , UG , US , UZ , VC
発明者または考案者 【氏名】若山 俊隆
【氏名】吉澤 徹
【氏名】大谷 幸利
出願人 【識別番号】504013775
【氏名又は名称】学校法人 埼玉医科大学
【識別番号】304036743
【氏名又は名称】国立大学法人宇都宮大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100090387、【弁理士】、【氏名又は名称】布施 行夫
【識別番号】100090398、【弁理士】、【氏名又は名称】大渕 美千栄
審査請求 未請求
テーマコード 2H149
Fターム 2H149AA22
2H149AB11
2H149AB26
2H149BA02
2H149DA02
2H149DA06
2H149FB04
2H149FC07
要約 入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子10において、フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状をなす反射部20を有し、反射部20における2回のフレネル反射を利用して入射光を軸対称偏光ビームPBに変換する。
特許請求の範囲 【請求項1】
入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子において、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有することを特徴とする、軸対称偏光変換素子。
【請求項2】
請求項1において、
N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射光を軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする、軸対称偏光変換素子。
【請求項3】
請求項2において、
N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射した直線偏光のガウスビームをリング状の軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする、軸対称偏光変換素子。
【請求項4】
請求項3において、
円錐台形状の斜面に相当する外周面と、前記円錐台形状の中心内部に存在する逆円錐形状の斜面に相当する内周面とを有し、前記逆円錐形状の頂点に入射した直線偏光のガウスビームを前記内周面と前記外周面で反射させて、リング状の軸対称偏光ビームを出射することを特徴とする、軸対称偏光変換素子。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
光学ガラス又は光学アクリル樹脂により構成されることを特徴とする、軸対称偏光変換素子。
【請求項6】
軸対称偏光ビームを発生する軸対称偏光ビーム発生装置において、
光源と、
前記光源からの入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子とを含み、
前記軸対称偏光変換素子は、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有することを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記軸対称偏光変換素子は、
N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射光を軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記軸対称偏光変換素子は、
N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射した直線偏光のガウスビームをリング状の軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記軸対称偏光変換素子は、
円錐台形状の斜面に相当する外周面と、前記円錐台形状の中心内部に存在する逆円錐形状の斜面に相当する内周面とを有し、前記逆円錐形状の頂点に入射した直線偏光のガウスビームを前記内周面と前記外周面で反射させて、リング状の軸対称偏光ビームを出射することを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項10】
請求項6乃至9のいずれかにおいて、
前記軸対称偏光変換素子を光路上に複数配置したことを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項11】
請求項6乃至10のいずれかにおいて、
前記軸対称偏光変換素子は、
光学ガラス又は光学アクリル樹脂により構成されることを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生装置。
【請求項12】
軸対称偏光変換素子を用いて軸対称偏光ビームを発生させる軸対称偏光ビーム発生方法において、
前記軸対称偏光変換素子が、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有し、N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して入射光を軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生方法。
【請求項13】
請求項12において、
前記軸対称偏光変換素子に直線偏光を入射させ、軸対称偏光ビームを発生させることを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生方法。
【請求項14】
請求項13において、
前記軸対称偏光変換素子に直線偏光のガウスビームを入射させ、リング状の軸対称偏光ビームを発生させることを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生方法。
【請求項15】
請求項12乃至14のいずれかにおいて、
光路上に配置した複数の前記軸対称偏光変換素子を用いて、軸対称偏光ビームを発生させることを特徴とする、軸対称偏光ビーム発生方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子、軸対称偏光ビーム発生装置及び軸対称偏光ビーム発生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、光軸に対して対称な偏光分布を持つ軸対称偏光ビームを発生させる手法が知られており、これを用いて、超解像顕微鏡や超解像レーザー加工を達成した例が報告されている。軸対称偏光ビームの発生法として、光誘起性液晶高分子材料や液晶空間位相変調器を用いたものが提案されている(例えば、特開2008-233903号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の手法では、光学素子の安定性に問題があった。すなわち、液晶高分子では経時変化が問題となり、液晶空間位相変調器では、液晶分子の振動のため、偏光面のゆらぎが問題となる。加えて、液晶には温度特性や波長依存性があるといった問題もあった。
【0004】
本発明は、本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成で安定的に軸対称偏光ビームを発生させることが可能な軸対称偏光変換素子、軸対称偏光ビーム発生装置及び軸対称偏光ビーム発生方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明は、入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子において、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有することを特徴とする。
【0006】
また本発明は、軸対称偏光ビームを発生する軸対称偏光ビーム発生装置において、
光源と、
前記光源からの入射光を軸対称偏光ビームに変換する軸対称偏光変換素子とを含み、
前記軸対称偏光変換素子は、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有することを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、簡単な構成で安定的に軸対称偏光ビームを発生させることが可能な軸対称偏光変換素子及び軸対称偏光ビーム発生装置を提供することができる。
【0008】
(2)また本発明に係る対称偏光変換素子及び軸対称偏光ビーム発生装置では、
前記軸対称偏光変換素子は、N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射光を軸対称偏光ビームに変換してもよい。
【0009】
(3)また本発明に係る対称偏光変換素子及び軸対称偏光ビーム発生装置では、
前記軸対称偏光変換素子は、N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して、入射した直線偏光のガウスビームをリング状の軸対称偏光ビームに変換してもよい。
【0010】
(4)また本発明に係る対称偏光変換素子及び軸対称偏光ビーム発生装置では、
前記軸対称偏光変換素子は、円錐台形状の斜面に相当する外周面と、前記円錐台形状の中心内部に存在する逆円錐形状の斜面に相当する内周面とを有し、前記逆円錐形状の頂点に入射した直線偏光のガウスビームを前記内周面と前記外周面で反射させて、リング状の軸対称偏光ビームを出射してもよい。
【0011】
(5)また本発明に係る対称偏光変換素子及び軸対称偏光ビーム発生装置では、
前記軸対称偏光変換素子は、光学ガラス又は光学アクリル樹脂により構成されていてもよい。
【0012】
(6)また本発明に係る軸対称偏光ビーム発生装置では、
前記軸対称偏光変換素子を光路上に複数配置してもよい。
【0013】
(7)また本発明は、軸対称偏光変換素子を用いて、軸対称偏光ビームを発生させる軸対称偏光ビーム発生方法において、
前記軸対称偏光変換素子が、
フレネルロム波長板の光軸方向の断面を当該光軸に平行な軸回りに回転させた形状を有し、N回(Nは正の整数)のフレネル反射を利用して入射光を軸対称偏光ビームに変換することを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、簡単な構成で安定的に軸対称偏光ビームを発生させることが可能な軸対称偏光ビーム発生方法を提供することができる。
【0015】
(8)また本発明に係る軸対称偏光ビーム発生方法では、
前記軸対称偏光変換素子に直線偏光を入射させ、軸対称偏光ビームを発生させてもよい。
【0016】
(9)また本発明に係る軸対称偏光ビーム発生方法では、
前記軸対称偏光変換素子に直線偏光のガウスビームを入射させ、リング状の軸対称偏光ビームを発生させてもよい。
【0017】
(10)また本発明に係る軸対称偏光ビーム発生方法では、
光路上に配置した複数の前記軸対称偏光変換素子を用いて、軸対称偏光ビームを発生させてもよい。
【0018】
本発明によれば、様々な偏光分布をもつ軸対称偏光ビームを、簡単な構成で安定的に発生させることが可能な軸対称偏光ビーム発生方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】図1Aは、本実施形態の軸対称偏光変換素子の構成の一例を示す斜視図である。
【図1B】図1Bは、本実施形態の軸対称偏光変換素子の構成の一例を示す斜視図である。
【図1C】図1Cは、本実施形態の軸対称偏光変換素子の形状について説明するための図である。
【図2】図2は、軸対称偏光変換素子における入射光の反射と、軸対称偏光変換素子から出射される軸対称偏光ビームの偏光状態を模式的に示す図である。
【図3】図3は、アクリル材からなる軸対称偏光変換素子の角度βに対する位相差Δの分布を示す図である。
【図4】図4は、軸対称偏光ビームの偏光状態をより詳細に示す模式図である。
【図5】図5は、軸対称偏光ビームにおける周方向の偏光状態の変化をポアンカレ球上で表した図である。
【図6A】図6Aは、2個の軸対称偏光変換素子を光路上に配置した場合の構成の一例を示す図である。
【図6B】図6Bは、2個の軸対称偏光変換素子を光路上に配置した場合の構成の一例を示す図である。
【図7】図7は、2個の軸対称偏光変換素子における入射光の反射の様子を模式的に示す図である。
【図8】図8は、2個の軸対称偏光変換素子を配置した光学系で発生させた軸対称偏光ビームの偏光状態を模式的に示す図である。
【図9A】図9Aは、2個の軸対称偏光変換素子のセットを複数セット光路上に配置した場合の構成の一例を示す図である。
【図9B】図9Bは、2個の軸対称偏光変換素子を配置した光学系で発生させた軸対称偏光ビームの強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。

【0021】
図1Aは、本実施形態の軸対称偏光変換素子の構成の一例を示す斜視図である。

【0022】
軸対称偏光変換素子10は、2回のフレネル反射(全反射)を利用して入射光を軸対称偏光ビーム(axially symmetric polarized beam)に変換する光学素子である。軸対称偏光変換素子10は、光学ガラスや光学アクリル樹脂等により構成することができる。

【0023】
軸対称偏光変換素子10に、入射光ILとして、図中b1に模式的に示すガウスビーム(例えば直線偏光のビーム)を入射させると、出射光OLとして、図中b2に模式的に示すリング状の軸対称偏光ビームが出射される。軸対称偏光変換素子10に入射した光ILは、軸対称偏光変換素子10を構成する反射部20の内部で2回全反射する。なお、図1Bに示すように、軸対称偏光変換素子として、図1Aに示す反射部20のみを構成要素とする軸対称偏光変換素子11を用いてもよい。

【0024】
図1B、図1Cに示すように、反射部20(軸対称偏光変換素子11)は、フレネルロム波長板FR(菱形プリズム)の光軸OA方向の断面SCを、当該光軸OAと平行な軸AX回りに回転させた形状をなしている。すなわち、反射部20は、平行四辺形を、その1つの頂点を通る直線の回りに回転させた形状をなしている。反射部20は、円錐台形状の斜面に相当する外周面21と、当該円錐台形状の中心内部に存在する逆円錐形状(すり鉢形状)の斜面に相当する内周面22を有し、当該逆円錐形状の頂点23に入射した入射光は、外周面21と内周面22で反射する。なお、外周面21の傾斜角度と内周面22の傾斜角度は同一である。

【0025】
図2は、軸対称偏光変換素子10における入射光の反射と、軸対称偏光変換素子10から出射される軸対称偏光ビームの偏光状態を模式的に示す図である。なお、軸対称偏光変換素子10を、図1Bに示す軸対称偏光変換素子11に置き換えた場合についても以下の説明は同様に適用される。

【0026】
図2に示すように、光源1(例えば、レーザ光源やSLD)から出射した光は、偏光子2により偏光方位が45°の直線偏光となり、軸対称偏光変換素子10に入射する。反射部20の逆円錐形状の頂点23に入射した光は、内周面22で放射状に反射される。内周面22で放射状に反射された光は、外周面21で再び反射され、リング状の軸対称偏光ビームPBとして、出射面24から出射される。

【0027】
ここで、入射光が内周面22で反射(全反射、フレネル反射)すると、直交する偏光成分(P偏光成分とS偏光成分)で位相差δが生じる。そして、内周面22で反射した光が外周面21で反射すると、直交する偏光成分で更に位相差δが生じる。すなわち、反射部20における2回の全反射によって位相差2δが生じることなる。このようなフレネル反射によって得られる位相差Δ(Δ=2δ)は、次式で与えられる。

【0028】
【数1】
JP2013118810A1_000003t.gif
ここで、nは、軸対称偏光変換素子10を構成する材料(ガラス、アクリル材等)の屈折率であり、βは、反射部20の外周面21の傾斜角度(垂直面に対する傾斜角度)である。なお、図2の例では、位相差Δ=90°(1/4波長)となるように、軸対称偏光変換素子10の屈折率nと傾斜角度βを選択している。

【0029】
図3は、軸対称偏光変換素子10の材料としてアクリル材料を用いた場合の、角度βに対する位相差Δの分布を示す図である。ここでは、入射光の波長λ=435nm、555nm、675nmとした場合のそれぞれの屈折率nを式(1)に代入して位相差Δの分布を求めている。図3を見ると、アクリル材料で軸対称偏光変換素子10を構成する場合には、角度βを49°~54°の範囲で設定すれば、入射光の波長に依存せずに(アクロマティックに)位相差Δがおよそ90°となることがわかる。

【0030】
軸対称偏光変換素子10に入射した光は、内周面22で放射状に反射されるため、反射した方位によって異なる位相差が生じる。すなわち、図2に示すように、出射されるリング状の軸対称偏光ビームPBでは、周方向の方位θによって異なる偏光状態となる。例えば、内周面22で方位角θ=90°に反射した光L1については、位相差Δ=90°が生じて左周り円偏光となる。内周面22で方位角θ=270°に反射した光L2についても同様である。また、内周面22で方位角θ=0°及びθ=180°に反射した光については、位相差Δ=90°が生じて右周り円偏光となる。また、内周面22で方位角θ=45°に反射した光L3については、位相遅れが生じる偏光成分が存在しないため、偏光方位が45°の直線偏光のままである。

【0031】
図4は、軸対称偏光ビームPBの偏光状態をより詳細に示す模式図である。

【0032】
図4に示すように、軸対称偏光ビームPBでは、方位角θ=0°において右回り円偏光であり、右楕円偏光を経てθ=45°で直線偏光となり、左楕円偏光を経て、θ=90°で左回り円偏光となる。そして、左楕円偏光を経てθ=135°で直線偏光となり、右楕円偏光を経てθ=180°で右回り円偏光となる。以降、θ=180°~360°の範囲で同様に偏光状態が変化する。すなわち、軸対称偏光ビームPBでは、周方向に偏光状態が循環的に変化し、且つ光軸AO(Z軸)に対して対称な偏光分布となっている。

【0033】
図5に示すように、軸対称偏光ビームPBにおける周方向の偏光状態の変化は、ポアンカレ球上において、北極点NPと、赤道上の1点EQと、南極点SPとを通る8の字状の軌跡PSで表される。

【0034】
このような軸対称偏光ビームPBにおける周方向の偏光状態の変化は、直線偏光を1/4波長板(例えば、フレネルロム1/4波長板)に入射させて、当該1/4波長板を光軸回りに回転させたときに得られる出射光の時間的な偏光状態の変化と等価である。

【0035】
すなわち、本実施形態の軸対称偏光変換素子10によれば、1/4波長板を光軸回りに回転させたときに得られる偏光状態の変化を周方向に有する軸対称偏光ビームを生成することができる。なお、軸対称偏光変換素子10の位相差Δが180°(1/2波長)となるように設計すれば、1/2波長板を光軸回りに回転させたときに得られる偏光状態の変化を周方向に有する軸対称偏光ビームを生成することができる。

【0036】
上記実施形態では、1個の軸対称偏光変換素子10(軸対称偏光変換素子11)を用いて軸対称偏光ビームを発生させる場合について説明したが、複数の軸対称偏光変換素子10を同一光路上に配置して軸対称偏光ビームを発生させてもよい。

【0037】
図6Aは、2個の軸対称偏光変換素子10を光路上に配置した場合の構成の一例を示し、図6Bは、2個の軸対称偏光変換素子11を光路上に配置した場合の構成の一例を示す。2つの軸対称変換素子10a、10b(2つの軸対称変換素子11a、11b)は、入射光ILに対する向きが正対称となるように同一光路(光軸OA)上に隣接して配置される。

【0038】
軸対称偏光変換素子10a(軸対称変換素子11a)に、入射光ILとして、図中b1に模式的に示すガウスビーム(例えば直線偏光のビーム)を入射させると、軸対称偏光変換素子10b(軸対称変換素子11b)からは、出射光OLとして、図中b3に模式的に示すラゲールガウス分布(中心に偏光特異点を有する中空分布)の軸対称偏光ビームが出射される。軸対称偏光変換素子10aに入射した光ILは、軸対称偏光変換素子10aの反射部20aの内部で2回全反射して軸対称偏光変換素子10bに入射し、軸対称偏光変換素子10bの反射部20bの内部で2回全反射する。

【0039】
図7は、2個の軸対称偏光変換素子10a、10bにおける入射光の反射の様子を模式的に示す図である。なお、軸対称偏光変換素子10a、10bを、図6Bに示す軸対称偏光変換素子11a、11bに置き換えた場合についても以下の説明は同様に適用される。

【0040】
図7に示すように、光源1(例えば、レーザ光源やSLD)から出射した光は、偏光子2により偏光方位が45°の直線偏光となり、軸対称偏光変換素子10aに入射する。反射部20aの逆円錐形状の頂点23aに入射した光は、内周面22aで放射状に反射される。内周面22aで放射状に反射された光は、外周面21aで再び反射され、軸対称偏光変換素子10bに入射する。軸対称偏光変換素子10bに入射したリング状の軸対称偏光ビームは、反射部20bの外周面21b及び内周面22bで反射され、ラゲールガウス分布の軸対称偏光ビームとして出射面24bから出射される。すなわち、軸対称偏光変換素子10aから出射されたリング状の軸対称偏光ビームは、軸対称偏光変換素子10bでの2回の全反射によって、直線偏光の入射光とビーム径が同一の軸対称偏光ビームとなって軸対称偏光変換素子10bから出射される。

【0041】
ここで、軸対称偏光変換素子10aにおける2回の全反射で位相差Δが生じ、軸対称偏光変換素子10bにおける2回の全反射で更に位相差Δが生じるため、合わせて2Δの位相差が生じることになる。ここでは、位相差Δ=90°としているため、2個の軸対称偏光変換素子10a、10bを配置した光学系によって、180°(1/2波長)の位相差が得られることになる。

【0042】
図8は、2個の軸対称偏光変換素子10a、10bを配置した光学系で発生させた軸対称偏光ビームの偏光状態を模式的に示す図である。

【0043】
図8に示すように、軸対称偏光ビームPBでは、方位角θ=0°において偏光方位45°の直線偏光となり、方位90°の直線偏光、方位135°の直線偏光、方位180°の直線偏光を経て、方位角θ=45°において方位225°の直線偏光となり、方位270°の直線偏光、方位315°の直線偏光、方位0°の直線偏光を経て、方位角θ=90°で方位45°の直線偏光となる。すなわち、θ=0°~90°の範囲で直線偏光の偏光方位が1回転(360°回転)する。同様に、θ=90°~180°、θ=180°~270°、θ=270°~360°の範囲で、それぞれ直線偏光の偏光方位が1回転している。すなわち、図8に示す軸対称偏光ビームPBでは、方位角θ=0°~360°の範囲で直線偏光の偏光方位が4回転する軸対称な偏光分布となっている。

【0044】
このように、本実施形態の軸対称偏光変換素子10を光路上に複数配置することで、直線偏光の偏光方位がビーム周方向に変化(回転)するような偏光分布を有する軸対称偏光ビームを生成することができる。

【0045】
なお、位相差Δ=45°となるように設計した2つの軸対称偏光変換素子を光路上に配置した光学系を用いれば、図4に示すような偏光分布を有する軸対称偏光ビーム(1/4波長板を光軸回りに回転させたときに得られる偏光状態の変化を周方向に有する軸対称偏光ビーム)であって、且つ、中心に偏光特異点を有するラゲールガウス分布の軸対称偏光ビームを生成することができる。

【0046】
また、図9Aに示すように、2個の軸対称偏光変換素子10a、10bのセットを、1/2波長板3を挟んで、複数セット光路上(光軸OA上)に配置してもよい。図9Aの例では、軸対称偏光変換素子10a、10bのセットを2セット光路上に配置している。図9Aに示す光学系で得られる軸対称偏光ビームPBでは、位角θ=0°~360°の範囲で直線偏光の偏光方位が8回転する軸対称な偏光分布となる。また、このように光学系を構成すると、発生させる軸対称偏光ビームのビーム径BDを変化させずに、軸対称偏光ビームの中空部(中心部の強度が低い部分)の径HDを大きくすることができる(図9B参照)。光路上に配置する軸対称偏光変換素子10a、10bのセットの数を多くするほど、中空部HDの径が大きな軸対称偏光ビームを発生させることができる。これは、本実施形態の軸対称偏光変換素子を用いて発生させる軸対称偏光ビームを、STED(Stimulated emission depletion)顕微鏡のSTEDビームとして利用する場合
に有効である。

【0047】
このように、本実施形態の軸対称偏光変換素子によれば、簡単な構成で様々な偏光分布を有する軸対称偏光ビームを発生させることが可能となる。また、本実施形態の軸対称偏光変換素子は、材料として光学ガラスやアクリル樹脂を用いるため、温度変化や経時変化に強く、また、低コスト化を実現することができる。また、本実施形態の軸対称偏光変換素子は、フレネル反射を利用するため波長依存性がないという利点もある。

【0048】
なお、本発明の適用は上述した実施例に限定されず、種々の変形が可能である。

【0049】
例えば、上記実施形態では、軸対称偏光変換素子の内部における2回のフレネル反射で位相差Δを得る場合について説明したが、傾斜角度βを変えて、4回のフレネル反射で位相差Δ(例えば、Δ=90°、180°)を得るように構成してもよい。軸対称偏光変換素子の内部におけるフレネル反射の回数Nは正の整数であればよく、例えば、1回のフレネル反射によって位相差を与えた光を集光して軸対称偏光ビームを発生するようにしてもよい。また、軸対称偏光変換素子10(軸対称偏光変換素子11)の外周面21及び内周面22に誘電体多層膜を塗布(蒸着)することで、フレネル反射で得られる位相差を変化させてもよい。
【符号の説明】
【0050】
10 軸対称偏光変換素子、11 軸対称偏光変換素子、20 反射部、21 外周面、22 内周面、23 頂点、24 出射面
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図1C】
2
【図2】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6A】
7
【図6B】
8
【図7】
9
【図8】
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【図9A】
11
【図9B】
12