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明細書 :ゲルマニウム層上に窒化酸化アルミニウム膜を備える半導体構造およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B1)
特許番号 特許第5499225号 (P5499225)
登録日 平成26年3月14日(2014.3.14)
発行日 平成26年5月21日(2014.5.21)
発明の名称または考案の名称 ゲルマニウム層上に窒化酸化アルミニウム膜を備える半導体構造およびその製造方法
国際特許分類 H01L  29/78        (2006.01)
H01L  21/336       (2006.01)
H01L  21/318       (2006.01)
FI H01L 29/78 301B
H01L 21/318 C
請求項の数または発明の数 10
全頁数 15
出願番号 特願2013-543456 (P2013-543456)
出願日 平成25年3月11日(2013.3.11)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 開催日 平成24年3月16日 集会名 2012年春季 第59回応用物理学関係連合講演会 主催者名 公益社団法人 応用物理学会
特許法第30条第2項適用 Applied Physics Express Volume 5(2012)No.9平成24年8月22日掲載)091002ページに発表
特許法第30条第2項適用 応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第59回(平成24年2月29日発行)13-063ページに発表
国際出願番号 PCT/JP2013/056678
優先権出願番号 2012185276
優先日 平成24年8月24日(2012.8.24)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成25年10月3日(2013.10.3)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】503360115
【氏名又は名称】独立行政法人科学技術振興機構
発明者または考案者 【氏名】鳥海 明
【氏名】田畑 俊行
早期審査対象出願または早期審理対象出願 早期審査対象出願
個別代理人の代理人 【識別番号】100087480、【弁理士】、【氏名又は名称】片山 修平
審査官 【審査官】棚田 一也
参考文献・文献 J.P.Xu et al.,Comparative Study of HfTa-based gate-dielectric Ge metal-oxide-semiconductor capacitors with and without AlON interlayer,Applied Physics A,2009年11月25日,Volume 99, Issue 1,pp.177-180
Tomonori Nishimura et al.,High-Electron-Mobility Ge n-Channel Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistors with High-Pressure Oxidized Y2O3,Applied Physics Express,2011年 6月 2日,Volume 4, Issue 6,pp.064201
田畑 俊行 T. Tabata T. Tabata,AIN/Ge MISゲートスタックにおける高圧窒素アニールの効果 Effects of High Pressure Nitrogen Annealing on AIN/Ge MIS Gate stacks,応用物理学関係連合講演会講演予稿集 第59回,2012年 2月29日,pp.13-064
Toshiyuki Tabata et al.,Effect of High-Pressure Inert Gas Annealing on AlON/Ge Gate Stacks,Applied Physics Express,2012年 8月22日,Volume 5 (2012)/No.9,pp.091002
調査した分野 H01L 21/336
H01L 21/318
H01L 29/78
要約 ゲルマニウム層30と、前記ゲルマニウム層上に形成された窒化酸化アルミニウム膜32と、を具備し、前記窒化酸化アルミニウム膜のEOTが2nm以下であり、前記窒化酸化アルミニウム膜上に金属膜としてAuを形成した際の前記金属膜の前記ゲルマニウム層に対する電圧を反転領域側に0.5V印加したときの前記ゲルマニウム層と前記金属膜との周波数が1MHzにおける容量値をCit、蓄積領域における前記ゲルマニウム層と前記金属膜との容量値をCaccとしたとき、Cit/Caccは0.4以下である半導体構造。
特許請求の範囲 【請求項1】
ゲルマニウム層と、
前記ゲルマニウム層上に形成された窒化酸化アルミニウム膜と、
を具備し、
前記窒化酸化アルミニウム膜のEOTが2nm以下であり、
前記ゲルマニウム層と前記窒化酸化アルミニウム膜との界面は、
前記窒化酸化アルミニウム膜上に金属膜としてAuを形成した際の前記金属膜の前記ゲルマニウム層に対する電圧を反転領域側に0.5V印加したときの前記ゲルマニウム層と前記金属膜との周波数が1MHzにおける容量値をCit、蓄積領域における前記ゲルマニウム層と前記金属膜との容量値をCaccとしたとき、Cit/Cacc0.4以下であり、
かつ、前記窒化酸化アルミニウム膜の熱処理前の初期膜厚(nm)をTとしたとき、
Cit/Cacc<0.05×T
である界面状態であることを特徴とする半導体構造。
【請求項2】
前記ゲルマニウム層と前記窒化酸化アルミニウム膜との間に形成された、窒化酸化ゲルマニウム膜、および窒化酸化ゲルマニウムと窒化酸化アルミニウムとの化合物膜の少なくとも一方を具備することを特徴とする請求項記載の半導体構造。
【請求項3】
前記窒化酸化アルミニウム膜のEOTが1nm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体構造。
【請求項4】
前記窒化酸化アルミニウム膜上に形成されたゲート電極を具備することを特徴とする請求項1からのいずれか一項記載の半導体構造。
【請求項5】
ゲルマニウム層上に窒化酸化アルミニウム膜を形成する工程と、
前記窒化酸化アルミニウム膜を、不活性ガス雰囲気、室温での前記不活性ガスの圧力が大気圧より大きくなるような圧力、および前記窒化酸化アルミニウム膜を形成する際の温度より高い熱処理温度において熱処理する工程と、
を含むことを特徴とする半導体構造の製造方法。
【請求項6】
前記不活性ガスは窒素ガスであることを特徴とする請求項記載の半導体構造の製造方法。
【請求項7】
前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、かつ前記圧力は2気圧以上であることを特徴とする請求項5または6記載の半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、前記圧力は10気圧以上であることを特徴とする請求項5または6記載の半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記窒化酸化アルミニウム膜上にゲート電極を形成する工程を含むことを特徴とする請求項5から8のいずれか一項記載の半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記窒化酸化アルミニウム膜上にゲート電極を形成する工程を含み、
前記不活性ガスは窒素ガスであり、
前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、前記圧力は10気圧以上であることを特徴とする請求項記載の半導体構造の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体構造およびその製造方法に関し、ゲルマニウム層上に窒化酸化アルミニウム膜を備える半導体構造およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ゲルマニウム(Ge)は、シリコン(Si)に比べ優れた電子物性を有する半導体である。しかしながら、酸化ゲルマニウム(例えばGeO)が不安定であるため、例えばMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を形成する半導体材料としてほとんど用いられていない。
【0003】
例えば、非特許文献1および2においては、ゲート絶縁膜の一部として窒化アルミニウム(例えばAlN)膜を用いることが記載されている。窒化アルミニウム膜は酸化シリコン(SiO)膜に比べ誘電率が高く、EOT(等価酸化膜厚:Equivalent Oxide Thickness)を薄くできる。ゲート長の微細化が進むと、EOTを薄くすることが重要である。
【先行技術文献】
【0004】

【非特許文献1】ECS Transactions, 25(6) (2009) pp301-306
【非特許文献2】Japanese Journal of Applied Physics 51 (2012) 02BF07
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
窒化アルミニウム膜を成膜後、熱処理を行なうと、ゲルマニウム層と窒化アルミニウム膜との界面状態が劣化してしまう。本発明は、ゲルマニウム層と窒化酸化アルミニウム膜との界面状態の劣化を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ゲルマニウム層と、前記ゲルマニウム層上に形成された窒化酸化アルミニウム膜と、を具備し、前記窒化酸化アルミニウム膜のEOTが2nm以下であり、前記ゲルマニウム層と前記窒化酸化アルミニウム膜との界面は、前記窒化酸化アルミニウム膜上に金属膜としてAuを形成した際の前記金属膜の前記ゲルマニウム層に対する電圧を反転領域側に0.5V印加したときの前記ゲルマニウム層と前記金属膜との周波数が1MHzにおける容量値をCit、蓄積領域における前記ゲルマニウム層と前記金属膜との容量値をCaccとしたとき、Cit/Cacc0.4以下であり、かつ、前記窒化酸化アルミニウム膜の熱処理前の初期膜厚(nm)をTとしたとき、Cit/Cacc<0.05×Tである界面状態であることを特徴とする半導体構造である。本発明によれば、ゲルマニウム層と窒化酸化アルミニウム膜との界面状態の劣化を抑制することができる。
【0008】
上記構成において、前記ゲルマニウム層と前記窒化酸化アルミニウム膜との間に形成された、窒化酸化ゲルマニウム膜、および窒化酸化ゲルマニウムと窒化酸化アルミニウムとの化合物膜の少なくとも一方を具備する構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、前記窒化酸化アルミニウム膜のEOTが1nm以下である構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記窒化酸化アルミニウム膜上に形成されたゲート電極を具備する構成とすることができる。
【0011】
本発明は、ゲルマニウム層上に窒化酸化アルミニウム膜を形成する工程と、前記窒化酸化アルミニウム膜を、不活性ガス雰囲気、室温での前記不活性ガスの圧力が大気圧より大きくなるような圧力、および前記窒化酸化アルミニウム膜を形成する際の温度より高い熱処理温度において熱処理する工程と、を含むことを特徴とする半導体構造の製造方法である。本発明によれば、ゲルマニウム層と窒化酸化アルミニウム膜との界面状態の劣化を抑制することができる。
【0012】
上記構成において、前記不活性ガスは窒素ガスである構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、かつ前記圧力は2気圧以上である構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、前記圧力は10気圧以上である構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記窒化酸化アルミニウム膜上にゲート電極を形成する工程を含む構成とすることができる。
【0016】
上記構成において、前記窒化酸化アルミニウム膜上にゲート電極を形成する工程を含み、前記不活性ガスは窒素ガスであり、前記熱処理する工程における熱処理温度は400℃以上であり、前記圧力は10気圧以上である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ゲルマニウム層と窒化酸化アルミニウム膜との界面状態の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1(a)から図1(d)は、半導体構造の作製方法を示す断面図である。
【図2】図2(a)および図2(b)は、各サンプルにおけるC-V特性とI-V特性を示す図である。
【図3】図3(a)および図3(b)は、C-V特性を示す図である。
【図4】図4は、電圧Vに対する規格化された容量値を示す模式図である。
【図5】図5(a)および図5(b)は、それぞれ初期膜厚に対するリーク電流密度およびCit/Caccを示す図である。
【図6】図6(a)および図6(b)は、各サンプルにおけるC-V特性とI-V特性を示す図である。
【図7】図7は、各サンプルのC-V特性を示す図である。
【図8】図8は、界面準位密度Ditを示す図である。
【図9】図9(a)から図9(c)はそれぞれサンプルAからCの断面図である。
【図10】図10(a)は、各サンプルの熱処理温度に対する窒素ガスのQ-Mass電流を示す図である。図10(b)は、各サンプルを真空中で熱処理した際に、各サンプルから放出されるガスをQ-Massを用い測定した結果である。
【図11】図11(a)から図11(c)は、実施例1に係る半導体構造の製造方法を示す断面図である。
【図12】図12(a)は、C-V特性、図12(b)はI-V特性を示す図である。
【図13】図13は、実施例1の半導体構造を用いたトランジスタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ゲルマニウム基板上に形成するゲート絶縁膜として窒化酸化アルミニウム(AlON)膜を用いることを検討した。窒化酸化アルミニウム膜を用いることにより、EOTを薄くできる。しかしながら、窒化酸化アルミニウム膜の膜質を改善するため、窒化酸化アルミニウム膜を熱処理すると、ゲルマニウム基板と窒化酸化アルミニウム膜との間の界面状態が劣化してしまう。そこで、熱処理によってもゲルマニウム基板と窒化酸化アルミニウム膜との間の界面状態が劣化しない条件を検討した。

【0020】
まず、発明者が行なった実験について説明する。図1(a)から図1(d)は、半導体構造の作製方法を示す断面図である。図1(a)に示すように、ゲルマニウム基板10を準備する。ゲルマニウム基板10は(100)面を主面とし、ドーパントがGa(ガリウム)であり、ドーパント濃度が約1×1016cm-3のp型である。図1(b)に示すように、ゲルマニウム基板10上に窒化酸化アルミニウム膜12を形成する。窒化酸化アルミニウム膜12は、窒化アルミニウムをターゲットとし、窒素ガスを含むガスを用いた反応性スパッタリング法を用い形成する。ターゲットである窒化アルミニウムは、窒素とアルミニウムの組成比がほぼ1:1であるが、数原子%から数10原子%の酸素が含まれている。このため、形成された窒化酸化アルミニウム膜12には、数原子%から数10原子%の酸素が含まれる。

【0021】
図1(c)に示すように、不活性ガス中において、ゲルマニウム基板10を熱処理する。この熱処理は、窒化酸化アルミニウム膜12を形成した後の後処理であり、窒化酸化アルミニウム膜12中の欠陥密度を減少させることを目的とする。図1(d)に示すように、ゲルマニウム基板10の裏面に金属膜16としてアルミニウム(Al)膜を、窒化酸化アルミニウム膜12の表面に金属膜14として金(Au)膜を形成する。金属膜14としてAu以外を用いた場合に金属膜14に印加される電圧は、金属膜14の仕事関数を用い金属膜14としてAuを用いた場合の電圧に補正することが可能である。

【0022】
窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚を3nmとし、図1(b)における熱処理を窒素ガス雰囲気において5分間行なった。
各サンプルの熱処理条件は以下の4種類である。
ガス圧力:1気圧、熱処理温度:500℃
ガス圧力:1気圧、熱処理温度:600℃
ガス圧力:50気圧、熱処理温度:500℃
ガス圧力:50気圧、熱処理温度:600℃
なお、ガス圧力は、室温(約25℃)での圧力である。すなわち、室温において上記ガス圧力でサンプルを密閉後、温度を上げ熱処理を行なっている。このため、熱処理時のガスの圧力は、上記ガス圧力より大きい。以下の実験においても同様である。

【0023】
図2(a)および図2(b)は、各サンプルにおけるC-V特性とI-V特性を示す図である。測定温度は室温である。図2(a)および図2(b)において、各ドットは測定点を示している。図2(a)は、金属膜16に対する金属膜14の電圧Vに対する金属膜16と14との間の容量値Cを示している。容量値を測定する周波数は1MHzである。図2(a)を参照し、ガス圧力が1気圧のサンプルは、500℃および600℃いずれの熱処理においても、電圧Vが大きくなるとステップを有しながら容量値Cが減少する。さらに、C-V特性にヒステリシスが生じている。一方、ガス圧力が50気圧のサンプルは、500℃および600℃いずれの熱処理においても、C-V特性は良好であり、ヒステリシスも小さい。なお、図2(a)から50気圧、500℃のサンプルの飽和容量値は1.5μF/cmから1.6μF/cmであり、これは、EOTが1.85nmから2nmに相当する。このように、EOTは飽和容量値から換算できる。

【0024】
図2(b)は、金属膜16に対する金属膜14の電圧Vに対する金属膜16と14との間のリーク電流密度Jを示している。図2(b)を参照し、ガス圧力が1気圧のサンプルは、500℃および600℃いずれの熱処理においても、リーク電流が大きい。一方、ガス圧力が50気圧のサンプルは、500℃および600℃いずれの熱処理においても、リーク電流は小さい。図2(a)を参照し、これらのサンプルのフラットバンド電圧は、約-0.5Vである。図2(b)を参照し、ガス圧力が1気圧の500℃および600℃サンプルの(フラットバンド電圧-1V)におけるリーク電流密度は、それぞれ約5×10-2A/cmおよび約1×10A/cmである。ガス圧力が50気圧の500℃および600℃サンプルの(フラットバンド電圧-1V)におけるリーク電流密度は、それぞれ約1×10-5A/cmおよび約1×10-2A/cmである。

【0025】
このように、図2(a)および図2(b)は、1気圧のサンプルにおいては、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との界面に界面準位が多く形成されており、50気圧のサンプルでは、界面準位が少なく、界面状態が良好であることを示している。

【0026】
図3(a)および図3(b)は、C-V特性を示す図である。図3(a)は、ガス圧力が1気圧の600℃のサンプル、図3(b)はガス圧力が50気圧の600℃のサンプルのC-V特性である。測定温度は室温である。周波数を10kHz、100kHzおよび1MHzとしている。図3(a)においては、周波数が10kHzでは、反転領域近くの容量値Cが大きくなっている。図3(b)においては、周波数によらず、C-V特性はほぼ同じである。このことは、50気圧のサンプルでは、界面準位が少なく、界面状態が良好であることを示している。さらに、周波数が1MHzにおいても50気圧のサンプルは、1気圧のサンプルに比べ、反転領域近くの容量値が小さい。

【0027】
図4は、電圧Vに対する飽和容量値で規格化された容量値を示す模式図である。図4を参照し、規格化された容量値は、周波数が1MHzにおいて測定された容量値を蓄積領域(電圧Vが小さい領域)の容量値で規格化したものである。ゲルマニウム基板が同一で測定温度が室温のとき、曲線40、42および44の順に界面状態が悪いことを示している。反転領域に近くなると、曲線40、42および44になるにつれ、規格化された容量値が大きくなる。例えば電圧VがV0のときの規格化された容量値により、界面準位密度の相対的大小関係を評価することができる。

【0028】
図5(a)および図5(b)は、それぞれ初期膜厚に対するリーク電流密度JおよびCit/Caccを示す図である。測定温度は室温である。各ドットは測定点をバーは誤差を示している。初期膜厚Tは、図1(b)のようにゲルマニウム基板10上に窒化酸化アルミニウム膜12を形成したときの窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚である。すなわち、図1(c)の熱処理前の窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚である。リーク電流密度Jは電圧Vがフラットバンド電圧-1Vのときのリーク電流密度である。Cit/Caccは、電圧Vが0.5V(図4のV0に相当する)のときの周波数が1MHzにおける容量値Citを蓄積領域の容量値Cacc(飽和容量値に対応する)で規格化したものである。

【0029】
図5(a)に示すように、リーク電流密度Jは、1気圧のサンプルに対し50気圧のサンプルはやや小さい。図5(b)に示すように、1気圧のサンプルに対し50気圧のサンプルはCit/Caccが小さい。これは、50気圧のサンプルは界面準位密度が小さく界面状態が良好であることを示している。図5(b)のように、50気圧のサンプルにおいては、Cit/Caccを0.4以下とすることができる。図5(b)の実線は、Cit/Cacc=0.05×Tを示す。50気圧のサンプルは、実線以下である。すなわち、Cit/Cacc<0.05×Tである。

【0030】
以上のように、ガス圧力を50気圧として窒化酸化アルミニウム膜12を熱処理することにより、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との良好な界面を形成できる。

【0031】
次に、窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚を3nmとし、図1(b)における熱処理を、熱処理温度が500℃、熱処理時間が5分、ガス圧力が50気圧において行なった。各サンプルのガス雰囲気は、ヘリウム(He)ガス、アルゴン(Ar)ガスおよび窒素(N)ガスである。

【0032】
図6(a)および図6(b)は、各サンプルにおけるC-V特性とI-V特性を示す図である。測定温度は室温である。図6(a)および図6(b)において、各ドットは測定点、直線はドットをつなぐ線を示している。測定方法は図2(a)および図2(b)と同じである。図6(a)を参照し、ヘリウムガス、アルゴンガスを熱処理のガスに用いた場合、図2(a)のガス圧力が1気圧、熱処理温度が500℃のサンプルに比べ、C-V特性のステップおよびヒステリシスが小さい。図6(a)を参照し、図2(b)のガス圧力が1気圧、熱処理温度が500℃のサンプルに比べ、リーク電流が小さい。図6(a)を参照し、これらのサンプルのフラットバンド電圧は、約-0.5Vである。図6(b)を参照し、ヘリウムガス、窒素ガスおよびアルゴンガスを熱処理のガスに用いた場合、(フラットバンド電圧-1V)におけるリーク電流は、それぞれ約5×10-3A/cm、約1×10-4A/cmおよび約1×10-5A/cmである。このように、ヘリウムガスおよびアルゴンガスを用いた場合もゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との界面を良好に形成できる。特に、アルゴンガスを用いた場合は、窒素ガスと同程度とすることができる。

【0033】
以上のように、熱処理する雰囲気は窒素ガスによらず、希ガスでもよいことがわかる。

【0034】
次に、図1(b)における熱処理を、熱処理温度が500℃、熱処理時間が5分、窒素ガス雰囲気、ガス圧力が50気圧において行なった。各サンプルの窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚は、24nmおよび3nmである。

【0035】
図7は、各サンプルのC-V特性を示す図である。図7において、容量値Cを最大容量値Cmaxで規格化している。その他の測定方法は図2(a)と同じである。図7に示すように、窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚が24nmの場合、反転層が形成されない。このように、窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚は薄いことが好ましい。

【0036】
次に、図1(b)における熱処理を、熱処理温度が600℃、熱処理時間が5分、窒素ガス雰囲気、ガス圧力が50気圧において行なった。各サンプルの窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚は、5nmおよび3nmである。

【0037】
図8は、界面準位密度Ditを示す図である。図8において、縦軸は界面準位密度Dit、横軸は、エネルギーギャップの中心Eからのエネルギーを示している。Ditは、200KにおけるC-V測定により算出した。ドットは測定点、上下のバーは測定誤差を示している。図8のように、窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚が5nm、3nmでは、界面準位密度が4×1011eV-1cm-2程度と小さい。そこで、不活性ガス雰囲気における高圧の熱処理により、界面準位密度を抑制できる原因を調べた。

【0038】
図9(a)から図9(c)はそれぞれサンプルAからCの断面図である。図9(a)に示すように、サンプルAにおいては、ゲルマニウム基板10上に膜厚が10nmの窒化酸化ゲルマニウム膜22がスパッタリング法を用い形成されている。窒化酸化ゲルマニウム膜22上に、膜厚が3nmの窒化酸化アルミニウム膜12が図1(b)と同じ方法により形成されている。

【0039】
図9(b)に示すように、サンプルBにおいては、ゲルマニウム基板10上に膜厚が3nmの窒化酸化アルミニウム膜12が図1(b)と同じ方法を用い形成されている。窒化酸化アルミニウム膜12を成膜する際は、スパッタリング法に用いる窒素ガスおよび残留酸素等により、ゲルマニウム基板10表面に薄い窒化酸化ゲルマニウム膜24が形成されている。

【0040】
図9(c)に示すように、サンプルCにおいては、シリコン基板28上に膜厚が10nmの酸化シリコン膜26が熱酸化法を用い形成されている。酸化シリコン膜26上に、膜厚が3nmの窒化酸化アルミニウム膜12が図1(b)と同じ方法により形成されている。

【0041】
図10(a)は、各サンプルの熱処理温度に対する窒素ガスのQ-Mass電流を示す図である。図10(b)は、各サンプルを真空中で熱処理した際に、各サンプルから放出されるガスをQ-Massを用い測定した結果である。縦軸は窒素ガスのQ-Mass電流、横軸は熱処理温度を示している。ドットは測定点、直線はドットをつなぐ線を示している。図10(a)を参照し、サンプルCにおいては、800℃以上まで窒素ガスは放出されない。サンプルBにおいては、約780℃において、窒素ガスが放出されている。サンプルAにおいては、約770℃において、窒素ガスがサンプルBより多く放出されている。

【0042】
図10(b)は、窒化酸化アルミニウム膜厚に対するピーク温度を示す図である。図10(b)においては、サンプルAの窒化酸化アルミニウム膜厚を変え、窒素ガスが放出されるピーク温度をプロットしている。ドットは測定点、直線は近似線を示している。窒化酸化アルミニウム膜12の膜厚が大きくなるとピーク温度がやや高温にシフトする。

【0043】
以上の結果を踏まえ、発明者は、1気圧においてゲルマニウム基板10上の窒化酸化アルミニウム膜12を熱処理することにより、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との界面特性が劣化する原因を以下のように推察した。

【0044】
図9(b)のように、ゲルマニウム基板10上に窒化酸化アルミニウム膜12を形成すると、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との間に窒化酸化ゲルマニウム膜24が形成される。これにより、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との界面特性は良好である。

【0045】
図10(a)のように、サンプルBを熱処理すると窒素ガスが放出される。サンプルCからは窒素ガスは放出されず、サンプルAからは大量に窒素ガスが放出される。このことから、窒化酸化アルミニウム膜12からは窒素は放出されず、窒化酸化ゲルマニウム膜24から窒化酸化アルミニウム膜12を介し窒素ガスが放出されていることがわかる。すなわち、サンプルBにおいて放出される窒素ガスは窒化酸化ゲルマニウム膜24の窒素である。

【0046】
図2(a)および図2(b)に示すように、高圧の窒素ガス雰囲気中において、熱処理を行なうと、窒化酸化ゲルマニウム膜24の喪失が抑制され、界面特性が良好である。一方、低圧の窒素ガス雰囲気中において熱処理を行なうと窒化酸化ゲルマニウム膜24が喪失または薄膜化し、界面特性が劣化すると考えられる。

【0047】
図6(a)および図6(b)に示すように、高圧の希ガス雰囲気における熱処理においても界面特性の劣化が抑制される。これにより、熱処理の雰囲気は、窒化ガスでなくとも不活性ガスであればよい。これは、熱処理する際の雰囲気の全圧により、窒化の放出が抑制されるためと考えられる。よって、熱処理の雰囲気は、窒化酸化アルミニウム膜12およびゲルマニウム基板10と反応しないようなガスであればよい。

【0048】
なお、窒化酸化ゲルマニウム膜24は、窒化酸化アルミニウムと相互拡散することもある。よって、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との間には、窒化酸化ゲルマニウム膜、および窒化酸化ゲルマニウムと窒化酸化アルミニウムとの化合物膜の少なくとも一方の膜が形成されている。また、上記膜の膜厚は、EOTを薄くする観点から1nm以下が好ましく、0.5nm以下がより好ましい、0.3nm以下がさらに好ましい。上記膜の膜厚は、ゲルマニウム基板10と窒化酸化アルミニウム膜12との界面状態を良好に保つため、0.1nm以上が好ましい。

【0049】
以下に、上記実験結果に基づく本発明の実施例について説明する。
【実施例1】
【0050】
図11(a)から図11(c)は、実施例1に係る半導体構造の製造方法を示す断面図である。図11(a)のように、ゲルマニウム層30を準備する。ゲルマニウム層30は、単結晶ゲルマニウム基板でもよいし、基板(例えばシリコン基板)上に形成されたゲルマニウム膜でもよい。また、ゲルマニウム層30は、高純度ゲルマニウムでもよいが、不純物が含まれていてもよい。例えばn型またはp型ゲルマニウムでもよい。さらに、ゲルマニウム層30には、上記実験の効果が得られる程度にシリコンが含まれていてもよい。シリコンの組成比は、全体の10原子%程度以下であればよい。ゲルマニウム層30の主面は、例えば(111)面とすることができるが、(110)面または(100)面等他の結晶面でもよい。
【実施例1】
【0051】
図11(b)のように、ゲルマニウム層30上に窒化酸化アルミニウム膜32を形成する。窒化酸化アルミニウム膜32は、例えばスパッタリング法により形成される。ターゲットとしては例えば窒化アルミニウムまたはアルミニウムを用いることができる。スパッタリングガスとして窒素ガスを含むことにより、反応性スパッタリング法を用い窒化酸化アルミニウム膜32を形成することができる。窒化酸化アルミニウム膜32には、意図的に酸素を含有させなくてもよい。しかしながら、アルミニウムは酸化しやすいため、窒化アルミニウム膜には酸素が含有し、窒化酸化アルミニウム膜32となる。窒化酸化アルミニウム膜32中の酸素の含有量は数原子%から数10原子%である。さらに、酸素含有量は数原子%以下でもよい。
【実施例1】
【0052】
図11(c)のように、ゲルマニウム層30および窒化酸化アルミニウム膜32を不活性ガス雰囲気の高圧下で熱処理する。これにより、窒化酸化アルミニウム膜32の膜質を改善することができる。さらに、ゲルマニウム層30と窒化酸化アルミニウム膜32との界面特性が劣化することを抑制することができる。熱処理は、窒化酸化アルミニウム膜32を形成する際の温度より高い熱処理温度で行なう。例えば、窒化酸化アルミニウム膜32の膜質が改善する程度の温度として、400℃以上の熱処理温度が好ましい。より好ましくは500℃以上である。熱応力等を抑制するため、熱処理温度は700℃以下であることが好ましい。不活性ガスは、熱処理温度において窒化酸化アルミニウム膜32およびゲルマニウム層30と反応しないガスであり、例えば窒素ガス、ヘリウム、ネオン(Ne)、アルゴン、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)またはラドン(Rn)等の第18族元素のガス、またはこれらの混合ガスである。熱処理のガス圧力は、室温での不活性ガスの圧力が大気圧より大きくなるような圧力であり、窒化酸化アルミニウム膜32の膜厚および熱処理温度等に応じ決定される。ゲルマニウム層30と窒化酸化アルミニウム膜32との界面特性が劣化することを抑制するためには、例えば、室温でのガス圧力が2気圧以上である好ましく、5気圧以上、10気圧以上または20気圧以上が好ましい。室温でのガス圧力は100気圧以下が好ましい。
【実施例1】
【0053】
絶縁膜を薄くすると、リーク電流が増大するが、実施例1の製造方法で製造した半導体構造は、図2(b)のように、窒化酸化アルミニウム膜32のEOTが2nm以下であり、かつ窒化酸化アルミニウム膜32上に金属膜を形成した際の金属膜(図1(d)の金属膜14参照)のゲルマニウム層30に対する電圧がフラットバンド電圧-1Vのときのリーク電流を1×10-2A/cm以下とすることができる。また、図5(b)に示すように、金属膜のゲルマニウム層30に対する電圧が0.5Vのときのゲルマニウム層30と金属膜との容量値をCit、蓄積領域におけるゲルマニウム層30と金属膜との容量値をCaccとしたとき、Cit/Caccを0.4以下とすることができる。さらに、Cit/Caccを好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、特に好ましくは0.15以下とすることができる。このように、界面準位密度を小さくすることができる。さらに、窒化酸化アルミニウム膜32の初期膜厚(nm)をTとしたとき、Cit/Cacc<0.05×Tとすることができる。好ましくはCit/Cacc<0.04×Tとすることができる。窒化酸化アルミニウム膜32のEOTは、1.5nm以下が好ましく、1.0nm以下がより好ましい。リーク電流密度は、1×10-3A/cm以下が好ましく、1×10-4A/cm以下がより好ましい。
【実施例1】
【0054】
なお、図5(b)は、p型ゲルマニウム基板を用いたため、金属膜のゲルマニウム層30に対する電圧が0.5Vのときの容量値をCitとしたが、n型ゲルマニウム層を用いた場合は、金属膜のゲルマニウム層30に対する電圧が-0.5Vのときの容量値がCitとなる。すなわち、Citは金属膜のゲルマニウム層30に対する電圧を反転領域側に0.5V印加したときの容量値である。また、例えば金属膜のゲルマニウム層30に対する電圧がフラットバンド電圧から-1Vは、フラットバンド電圧から蓄積領域側に1V印加したときに対応する。
【実施例1】
【0055】
さらに、室温、周波数が1MHzにおいてC-V特性を測定したとき、C=Cmax/2(Cmaxは最大の容量値)における電圧差をヒステリシスの指標とする。実施例1の製造方法で製造した半導体構造は、EOTが2nm以下において、ヒステリシスの指標を50mV以下にすることができる。また、ヒステリシスの指標を30mV以下とすることもできる。このように、ゲルマニウム層30と窒化酸化アルミニウム膜32との界面状態を改善できる。
【実施例1】
【0056】
図11(a)において、ゲルマニウム層30としてゲルマニウム基板を用いた。図11(b)において、窒化アルミニウムをターゲットにし、窒素ガスを用いスパッタリング法で膜厚が2nmの窒化酸化アルミニウム膜32を形成した。図11(c)において、熱処理温度が600℃、熱処理時間が5分、窒素ガス雰囲気、室温での圧力が50気圧の条件で熱処理した。このようにして作製したサンプルのC-V特性およびI-V特性を測定した。このサンプルのEOTは約0.9nmである。
【実施例1】
【0057】
図12(a)は、C-V特性、図12(b)はI-V特性を示す図である。図12(a)を参照し、C-V測定の周波数は、1MHz、100kHzおよび10kHzである。C-V特性は良好である。図12(b)を参照し、リーク電流は、順方向が1×10A/cm以下、逆方向が1×10-2A/cm以下である。このように、EOTを1nm以下としてもリーク電流(特に逆方向)は1×10-2A/cm以下と小さい。
【実施例1】
【0058】
図13は、実施例1の半導体構造を用いたトランジスタの断面図である。ゲルマニウム層30上に窒化酸化アルミニウム膜32を介しゲート電極34を形成する。ゲート電極34の両側のゲルマニウム層30内にソースまたはドレイン領域36を形成する。ゲルマニウム層30をp型、ソースまたはドレイン領域36をn型とする。ゲルマニウム層30をn型、ソースまたはドレイン領域36をp型としてもよい。図13のトランジスタのように、窒化酸化アルミニウム膜32をゲート絶縁膜として用いることにより、ゲート絶縁膜のEOTが薄く、かつゲート絶縁膜と半導体層との界面状態のよいMOSFETを実現できる。
【実施例1】
【0059】
MOSFETと以外の半導体装置に実施例1の半導体構造を適用することもできる。
【実施例1】
【0060】
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 ゲルマニウム基板
12、32 窒化酸化アルミニウム膜
24 窒化酸化ゲルマニウム膜
30 ゲルマニウム層
34 ゲート電極
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
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【図12】
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【図13】
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