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明細書 :方向性結合式通信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-033432 (P2014-033432A)
公開日 平成26年2月20日(2014.2.20)
発明の名称または考案の名称 方向性結合式通信装置
国際特許分類 H04B   5/02        (2006.01)
H01P   1/04        (2006.01)
FI H04B 5/02
H01P 1/04
請求項の数または発明の数 30
出願形態 OL
全頁数 88
出願番号 特願2013-113066 (P2013-113066)
出願日 平成25年5月29日(2013.5.29)
優先権出願番号 2012156874
優先日 平成24年7月12日(2012.7.12)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】黒田 忠広
出願人 【識別番号】899000079
【氏名又は名称】学校法人慶應義塾
個別代理人の代理人 【識別番号】100105337、【弁理士】、【氏名又は名称】眞鍋 潔
【識別番号】100072833、【弁理士】、【氏名又は名称】柏谷 昭司
審査請求 未請求
テーマコード 5J011
5K012
Fターム 5J011DA12
5K012AA01
5K012AB03
5K012AB04
5K012AB08
5K012AC13
5K012BA05
要約 【課題】 方向性結合式通信装置に関し、結合系インピーダンスとして整合を取りやすくして反射をより少なくし、通信チャネルを誘導結合よりも高速にするとともに、信号強度を高めて通信の信頼性を向上する。
【解決手段】 一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された結合器を有するモジュールを積層し、結合器同士を容量結合および誘導結合を用いて結合する。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
第1絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第1結合器を有する第1モジュールと、
第2絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第2結合器を有する第2モジュールとを、
前記第1結合器と前記第2結合器とがその少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なって前記第1結合器と前記第2結合器の間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように前記第1モジュールと前記第2モジュールとを積層したことを特徴とする方向性結合式通信装置。
【請求項2】
前記第1結合器に接続された入出力接続線と前記第2結合器に接続された入出力接続線との信号結合が前記第1結合器と前記第2結合器との間の信号結合より弱くなる状態で前記第1モジュールと前記第2モジュールとを積層したことを特徴とする請求項1に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項3】
前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールの少なくとも一方が、前記入出力接続線に接続された送受信回路を備えた半導体集積回路装置を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項4】
前記半導体集積回路装置に備えられた前記送受信回路の入出力端子にインピーダンス整合回路が接続されていることを特徴とする請求項3に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項5】
前記第1結合器の他方の端部に接続されるのが入出力接続線であり、
前記第2結合器の他方の端部に接続されるのが入出力接続線であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項6】
前記第1結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第1結合器の長軸方向に延在するとともに、前記第2結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第2結合器の長軸方向に延在することを特徴とする請求項5に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項7】
前記第1結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第1結合器の長軸方向に沿った側面の端部に接続されるとともに、前記第2結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第2結合器の長軸方向に沿った側面の端部に接続されることを特徴とする請求項5に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項8】
前記第1結合器或いは前記第2結合器の少なくとも一方が突起部上に載置させるとともに、前記突起部上に載置された結合器の前記入出力接続線の接続部の近傍が前記突起部の側面に沿って配置されることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項9】
前記第1結合器に接続する入出力接続線及び前記第2結合器に接続する入出力接続線が、ボンディングワイヤであることを特徴とする請求項5に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項10】
前記第1結合器に接続する入出力接続線及び前記第2結合器に接続する入出力接続線が、信号線路であることを特徴とする請求項5乃至請求項8のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項11】
前記第1結合器の他方の端部に接続されるのが接地線であり、
前記第2結合器の他方の端部に接続されるのが接地線であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項12】
前記第1結合器の長さが、前記第2結合器の長さより長いことを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項13】
前記第1結合器の長軸と、前記第2結合器の長軸とが、互いに非平行であることを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項14】
前記第1結合器及び前記第2結合器が、結合器の両端が近づくように複数回屈曲した形状であることを特徴とする請求項5に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項15】
前記第1絶縁性基板の前記第1結合器を配置した面と反対側の面或いは前記第2絶縁性基板の前記第2結合器を配置した面と反対側の面の少なくとも一方に電磁シールド層を有することを特徴とする請求項1乃至請求項14のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項16】
前記電磁シールド層が、前記第1結合器或いは前記第2結合器に対向する位置に欠落部を有することを特徴とする請求項15に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項17】
前記第1のモジュールの前記第1絶縁性基板に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器が設けられ、
絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第4結合器を設けた第3モジュールを、
前記第3結合器と前記第4結合器が少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なり前記第3結合器と前記第4結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項18】
前記第3結合器の両端部と第1結合器の両端部が等長配線で接続され、
前記第1のモジュールは、前記第2のモジュールと前記第3のモジュール間の通信を媒介することを特徴とする請求項17に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項19】
前記第1のモジュールの前記第1絶縁性基板に設けられた第1結合器が少なくとも2個の結合器に対応する長さを有し、
絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第4結合器を設けた第3モジュールを、
前記第1結合器と前記第4結合器が少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なり、前記第1結合器と前記第4結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項20】
前記第1の絶縁性基板の前記第2モジュールを積層した面と反対側の面に、
絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器を設けた第3モジュールを、
前記第1結合器と前記第3結合器との間容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項21】
前記第1のモジュールが半導体集積回路装置としてマイクロプロセッサを搭載しており、
前記第2のモジュール及び前記第3のモジュールが半導体集積回路装置として前記マイクロプロセッサとの間で通信を行う半導体記録装置を搭載していることを特徴とする請求項17、請求項19或いは請求項20のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項22】
前記第1結合器と前記第2結合器との間に、電磁界結合を強める板状の誘電体を挿入したことを特徴とする請求項1乃至請求4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項23】
前記第1結合器及び前記第3結合器がそれぞれ、2つの結合器と、前記2つの結合器を連結する終端抵抗により構成されていることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項24】
前記第1結合器及び第2結合器が同じ曲率半径を有する円弧状結合器であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項25】
前記第2モジュールの前記第2結合器の中心が前記第1モジュールの前記第1結合器の中心と一致しており、前記第2モジュールが前記第1モジュールに対して回転自在に設けられていることを特徴とする請求項24に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項26】
前記第2結合器の円弧の長さが、前記第1結合器の円弧の長さより短いことを特徴とする請求項24または請求項25に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項27】
第3絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器を有する第3モジュールとをさらに設け、
前記第1結合器と前記第2結合器と前記第3結合器がその少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なって前記第1結合器と前記第2結合器と前記第3結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように前記第1モジュール乃至前記第3モジュールを積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項28】
前記第1絶縁性基板の前記第1モジュールを積層した面と反対側の面に、前記第1結合器の長手方向と第3結合器の長手方向が直交するように第3結合器を備えた第3モジュールを積層したことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の方向性結合式通信装置。
【請求項29】
第1絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第1結合器と、
一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第2結合器とを
有し、
前記第2結合器の結合器の直径は前記第1結合器の結合器の直径より小さく、前記第2結合器が、前記第1結合器の内側に前記第1結合器に対して同心円状に回転自在に組み込まれていることを特徴とする方向性結合式通信装置。
【請求項30】
前記第1結合器及び前記第2結合器が、開閉自在の筐体のヒンジ部に設けられていることを特徴とする請求項26または請求項29に記載の方向性結合式通信装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、方向性結合式通信装置に関するものであり、例えば、接触式のコネクタを用いずに、近接した1対の伝送線路の容量結合及び誘導結合を利用して、非接触でモジュール間或いは端末間で高速にデータ通信する構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、モジュールを組み合わせてシステムを構築する場合、各モジュール間の信号配線はコネクタで接続されている。例えば、携帯電話機では、ディスプレイモジュールやカメラモジュールと本体の主基板は、フレキシブル基板の配線とコネクタで接続している。
【0003】
コネクタで特性インピーダンスが不連続になると、信号の一部は反射して、通過した信号に歪が生じる。これはシンボル間干渉の原因となり、通信の高速化を妨げるという問題を生ずる。また、信号本数を増やすため或いはコネクタを小型化するためにコネクタの端子間隔を狭くすると、信号間のクロストークが増大するため、通信の高速化や機器の小型化が結果的に妨げられることになる。
【0004】
これらの課題を解決するために、コネクタの材料や製造過程を高度化すると、製造コストが増大する。また、モジュールをコネクタで接続する作業は自動化が難しく、組み立てコストが高くなる。これらは機器の低価格化の妨げとなる。さらに、機器の使用中に振動などでコネクタが外れるなどの事故もあり、機器の信頼性を低下させている。
【0005】
本発明者は、プリント基板(Printed Circuit Board;PCB)や半導体集積回路チップの配線により形成されるコイルの誘導結合、即ち、磁界結合を用いて、実装基板間や半導体集積回路チップ間でデータ通信を行う電子回路を提案している(例えば、非特許文献1乃至非特許文献3参照)。
【0006】
一方、マイクロストリップラインやバスラインを近接結合させて、容量結合及び誘導結合を利用してデータを無線通信することも提案されている(例えば、特許文献1或いは特許文献2参照)。特許文献1によれば、平行に配置して終端抵抗で整合終端した二本の伝送線路からなる差動伝送線路を互いに同一方向に平行に配置して、2つのモジュール間を無線通信することができる。
【0007】
また、特許文献2によると、グランドプレーン上に誘電体膜を介して配置して終端抵抗で整合終端した二本のマイクロストリップラインを方向性結合器として用いて、二本のマイクロストリップラインにマイクロ波帯の差動信号を入力して、2つのモジュール間で無線通信することができる。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2008-278290号公報
【特許文献2】特開2007-049422号公報
【0009】

【非特許文献1】H.Ishikuro,T.Sugahara,andT.Kuroda, “An Attachable Wireless ChipAccess Interface for Arbitrary DataRate by Using Pulse-Based Inductive-Coupling through LSI Package”, IEEEInternational Solid-StateCircuits Conference (ISSCC‘07),Dig.Tech.Papers,pp.360-361,608, Feb. 2007
【非特許文献2】K.Niitsu,Y.Shimazaki,Y.Sugimori,Y.Kohama,K.Kasuga,I.Nonomura,M.Saen,S.Komatsu,K.Osada,N.Irie,T.Hattori,A.Hasegawa,andT. Kuroda,“An Inductive-Coupling Link for 3D Integrationof a 90nm CMOS Processorand a 65nm CMOS SRAM”,IEEEInternational Solid-StateCircuits Conference (ISSCC‘09), Dig.Tech.Papers,pp.480-481,Feb.2009
【非特許文献3】S.Kawai,H.Ishikuro,andT.Kuroda,“A 2.5Gb/s/chInductive-Coupling Transceiver for Non-Contact Memory Card”,IEEE International Solid-State Circuits Conference (ISSCC‘10),Dig.Tech.Papers,pp.264-265,Feb. 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
こうしたコネクタに関する課題を解決するために、本発明の発明者は、電子回路基板の配線により形成される伝送線路間の容量結合及び誘導結合を利用して、モジュール間(あるいは機器間)で高速に無線データ通信を行う装置を提案している(必要ならば、特願2011-032886号参照)。
【0011】
図52は、本発明者が提案したモジュール間通信装置の概念的斜視図であり、結合器を差動構成にして、シングルエンドに比べて同相ノイズに対する耐性を高めたものである。図34に示すように、帰還線路224,224を信号線路212,212と同じ構成にして差動結合器としたものである。この場合、帰還線路224,224と信号線路212,212とを結合系インピーダンスZ0-coupledに等しい特性インピーダンスZを有する抵抗214,214で終端する。
【0012】
この提案の場合には、差動構成なのでシングルエンドに比べて同相ノイズに対する耐性が高く、また、シングルエンドに比べて結合系インピーダンスZ0-coupledの制御をしやすい。
【0013】
図53は、本発明者が提案した他のモジュール間通信装置の概念的斜視図であり、この提案においては、信号線路212,212及び帰還線路224,224の全てに引き出し用の伝送線路225,225,226,226を設けたものである。
【0014】
この場合も、半導体集積回路装置215,215と伝送線路225,225,226,226と信号線路212,212及び帰還線路224,224がそれぞれインピーダンス整合して接続され、信号線路212,212及び帰還線路224,224の終端もインピーダンス整合されている。
【0015】
しかしながら、図52或いは図53に示した構成では、4つの信号線路(212,212,224,224)と2つの終端抵抗214,214と、図39の場合には、さらに、4つの引き出し用の伝送線路(225,225,226,226)が必要になり、部品点数が多くまた終端抵抗の容積が大きいので、実装容積が大きくコストが高い、という課題が残った。
【0016】
また、4つの信号線路(212,212,224,224)が相互に容量・誘導結合しているので、結合系インピーダンスの整合を取ることが比較的難しく、信号の反射が起こりやすい。また、終端抵抗の値を調整できないので、信号の反射が起こりやすい、などの課題が残った。
【0017】
さらに、伝送された近端クロストークのみが信号受信に用いられ、遠端クロストークは終端抵抗で熱として捨てられるので、受信に利用できる信号のエネルギーが小さい、という課題が残った。
【0018】
したがって、本発明は、必要な部品数を減らして実装容積を小さくコストを低くし、結合系インピーダンスとして整合を取りやすくしたり終端抵抗の値を調整できるようにして信号の反射をより少なくし、あるいは受信に利用できる信号のエネルギーを増やして、信号強度を高めて通信の信頼性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
(1)上記の課題を解決するために、方向性結合式通信装置において、第1絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第1結合器を有する第1モジュールと、第2絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第2結合器を有する第2モジュールとを、前記第1結合器と前記第2結合器とがその少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なって前記第1結合器と前記第2結合器の間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように前記第1モジュールと前記第2モジュールとを積層したことを特徴とする。
【0020】
このように、一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に入出力接続線或いは接地線のいずれかに接続された第1結合器と第2結合器との間で電磁界結合を生じさせることによって、結合器を構成する信号線路は2つだけになるので、先願発明に比べて、必要な部品点数を減らして実装容積が小さく低コストになり、結合系インピーダンスの整合を取ることが比較的易しくなる。
【0021】
(2)また、本発明は、上記(1)において、前記第1結合器に接続された入出力接続線と前記第2結合器に接続された入出力接続線との信号結合が前記第1結合器と前記第2結合器との間の信号結合より弱くなる状態で前記第1モジュールと前記第2モジュールとを積層したことを特徴とする。
【0022】
このように、実効的に通信に寄与しない第1結合器に接続された入出力接続線と第2結合器に接続された入出力接続線との信号結合は、通信に寄与する第1結合器と第2結合器との間の信号結合より弱くなる状態で積層することが望ましい。
【0023】
(3)また、本発明は、上記(1)または(2)において、前記第1のモジュール及び前記第2のモジュールの少なくとも一方が、前記入出力接続線に接続された送受信回路を備えた半導体集積回路装置を有していることを特徴とする。
【0024】
このように、送受信回路を備えた半導体集積回路装置は、第1のモジュール及び前記第2のモジュールの少なくとも一方に設ければ良い。両方に設けた場合には、両者の間の直接通信となり、一方にのみ半導体集積回路装置を設けた場合には、他方は通信の媒介を担うことになる。
【0025】
(4)また、本発明は、上記(3)において、前記半導体集積回路装置に備えられた前記送受信回路の入出力端子にインピーダンス整合回路が接続されていることを特徴とする。
【0026】
送受信回路の入出力端子にインピーダンス整合回路を接続することにより、終端抵抗を用いることなく、半導体集積回路装置側で整合終端することができ、それによって、信号の反射を抑制することができる。
【0027】
(5)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記第1結合器の他方の端部に接続されたのが入出力接続線であり、前記第2結合器の他方の端部に接続されたのが入出力接続線であることを特徴とする。
【0028】
このように構成することによって、結合器の両端から差動信号を入力することで、従来は、熱として捨てていた遠端クロストークが信号を強めるので、通信の信頼性が向上する。つまり、(+)信号の遠端クロストークは(-)信号の近端クロストークを強め、(-)信号の遠端クロストークは(+)信号の近端クロストークを強め、受信信号を強める。また、結合器の両端に常に(+)と(-)の信号が加わるので、コモン信号が変化せず、不要輻射(ノイズ)が小さくなる。
【0029】
(6)また、本発明は、上記(5)において、前記第1結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第1結合器の長軸方向に延在するとともに、前記第2結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第2結合器の長軸方向に延在することを特徴とする。
【0030】
このような接続構造を採用することによって、結合器を伝送する信号による電流強度が、第1結合器と第2結合器の幅方向において異なることがないので、精度の高い通信が可能になる。
【0031】
(7)また、本発明は、上記(5)において、前記第1結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第1結合器の長軸方向に沿った側面の端部に接続されるとともに、前記第2結合器の両方の端部に接続された入出力接続線の接続部が前記第2結合器の長軸方向に沿った側面の端部に接続されることを特徴とする。
【0032】
このような接続構造を採用することによって、結合器を含めた入出力接続線を小型化することが可能になる。
【0033】
(8)また、本発明は、上記(5)乃至(7)のいずれかにおいて、前記第1結合器或いは前記第2結合器の少なくとも一方が突起部上に載置させるとともに、前記突起部上に載置された結合器の前記入出力接続線の接続部近傍が前記突起部の側面に沿って配置されることを特徴とする。
【0034】
このように、少なくとも一方の結合器を突起部上に載置することによって、半導体集積回路装置の厚さを考慮することなく、任意の間隔で第1結合器と第2結合器とを対向させることができる。また、入出力接続線の接続部を突起部の側面に沿って配置することによって、第1結合器に接続された入出力接続線と第2結合器に接続された入出力接続線との信号結合を第1結合器と第2結合器との間の信号結合より弱くすることができる。
【0035】
(9)また、本発明は、上記(5)において、前記第1結合器に接続する入出力接続線及び前記第2結合器に接続する入出力接続線が、ボンディングワイヤであることを特徴とする。このように、結合器と送受信回路とを接続する入出力接続線としてボンディングワイヤを用いても良い。
【0036】
(10)また、本発明は、上記(5)乃至(8)のいずれかにおいて、前記第1結合器に接続する入出力接続線及び前記第2結合器に接続する入出力接続線が、信号線路であることを特徴とする。このように、結合器と送受信回路とを接続する入出力接続線として信号線路を用いても良く、それによって、送受信回路を結合器から離れたところに設置でき、さらに、(+)信号を印加する入出力接続線と(-)信号を印加する入出力接続線の長さを精度良く等長にすることができる。
【0037】
(11)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記第1結合器の他方の端部に接続されるのが接地線であり、前記第2結合器の他方の端部に接続されるのが接地線であることを特徴とする。
【0038】
このように、結合器の他方の端部は接地線に接続しても良く、入力信号は接地線に接続された他端で反射されて逆極性の反射信号が他端から一方の端子に進行するので、結合器の両端から差動信号を入力したときと同様に遠端クロストークが信号を強めるので、通信の信頼性が向上する。
【0039】
(12)また、本発明は、上記(1)乃至(11)のいずれかにおいて、前記第1結合器の長さが、前記第2結合器の長さより長いことを特徴とする。このように、結合器の長さに差を設けることによってモジュールの積層時の位置合わせマージンを大きくすることができる。
【0040】
(13)また、本発明は、上記(1)乃至(12)のいずれかにおいて、前記第1結合器の長軸と、前記第2結合器の長軸とが、互いに非平行であることを特徴とする。このように、結合器の長軸を互いに非平行にすることによっても、モジュールの積層時の位置合わせマージンを大きくすることができる。
【0041】
(14)また、本発明は、上記(5)において、前記第1結合器及び前記第2結合器が両端が近づくように複数回屈曲する形状であることを特徴とする。このように、結合器は矩形である必要はなく、両端が近づくように複数回屈曲する形状、例えば、コ字状に屈曲させても良く、それによって、全体構成をコンパクトにし、入出力信号線を等長にしたり短くすることが容易にできる。
【0042】
(15)また、本発明は、上記(1)乃至(14)において、前記第1絶縁性基板の前記第1結合器を配置した面と反対側の面或いは前記第2絶縁性基板の前記第2結合器を配置した面と反対側の面の少なくとも一方に電磁シールド層を有することを特徴とする。このように、電磁シールド層を設けることによって、外部から電磁界ノイズが侵入することを低減することができ、それによって、ノイズ耐性をより高めることができる。
【0043】
(16)また、本発明は、上記(15)において、前記電磁シールド層が、前記第1結合器或いは前記第2結合器に対向する位置に欠落部を有することを特徴とする。このように、電磁シールド層に欠落部を設けることによって、結合器間に電気力線を集中させることができ、結合器の結合度が向上する。また、両モジュールを対向して積層せずに、同じ向きに積層する場合には必須になる。
【0044】
(17)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器が設けられ、絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第4結合器を設けた第3モジュールを、前記第3結合器と前記第4結合器が少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なり前記第3結合器と前記第4結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする。
【0045】
このように、モジュールは2つに限られるものではなく、3つ以上のモジュールを設けても良いものである。
【0046】
(18)また、本発明は、上記(17)において、前記第3結合器の両端部と第1結合器の両端部が等長配線で接続され、前記第1のモジュールは、前記第2のモジュールと前記第3のモジュール間の通信を媒介することを特徴とする。
【0047】
この場合第1モジュールはインターポーザ或いはマザーボード的に使用されて、第2モジュールと第3モジュールとの間の通信を媒介することが可能になる。
【0048】
(19)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記第1のモジュールの前記第1絶縁性基板に設けられた第1結合器が少なくとも2個の結合器に対応する長さを有し、絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第4結合器を設けた第3モジュールを、
前記第1結合器と前記第4結合器が少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なり、前記第1結合器と前記第4結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする。
【0049】
このように、第3結合器を設ける代わりに、第1結合器が少なくとも2個の結合器に対応する長さを有するように構成しても良く、複数のモジュールと通信するマルチドロップバスを構成することができる。
【0050】
(20)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記第1の絶縁性基板の前記第2モジュールが積層された面と反対の面に、絶縁性基板上に一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器を設けた第3モジュールを、前記第1結合器と前記第3結合器との間容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように積層したことを特徴とする。
【0051】
このように構成することによっても、複数のモジュール間の通信が可能になる。なお、この場合、第2結合器と第3結合器との間の直接的な通信は第1結合器が遮蔽物として作用するので遮断される。
【0052】
(21)また、本発明は、上記(17)、(19)或いは(20)のいずれかにおいて、前記第1のモジュールが半導体集積回路装置としてマイクロプロセッサを搭載しており、前記第2のモジュール及び前記第3のモジュールが半導体集積回路装置として前記マイクロプロセッサとの間で通信を行う半導体記録装置を搭載していることを特徴とする。
【0053】
このように、3つ以上のモジュールを用いた通信の典型例としては、1個のマイクロプロセッサと、マイクロプロセッサにより制御される複数の半導体集積回路装置との間の通信が挙げられる。
【0054】
(22)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、 前記第1結合器と前記第2結合器との間に、電磁界結合を強める板状の誘電体を挿入したことを特徴とする。このように、板状の誘電体を第1結合器と第2結合器との間に挿入することによって、第1結合器と第2結合器との間隔を多少広くとっても電磁界結合させることが可能になる。
【0055】
(23)また、本発明は、上記(17)または(18)において、前記第1結合器及び前記第3結合器がそれぞれ2つの結合器と、前記2つの結合器を連結する終端抵抗により構成されていることを特徴とする。このように、閉回路を構成している第1結合器及び第3結合器をそれぞれ2つの結合器と、2つの結合器を連結する終端抵抗により構成することで結合度の平坦性を広帯域で維持することができ、信号の歪を低減することができる。
【0056】
(24)また、本発明は、上記(1)または(4)のいずれかにおいて、前記第1結合器及び第2結合器が同じ曲率半径を有する円弧状結合器であることを特徴とする。このように、第1結合器及び第2結合器を円弧状結合器とすることで、第1モジュール及び第2モジュールの引出し伝送線路を自由な角度に引き出すことができる。
【0057】
(25)また、本発明は、上記(24)において、前記第2モジュールの前記第2結合器の中心が前記第1モジュールの前記第1結合器の中心と一致しており、前記第2モジュールが前記第1モジュールに対して回転自在に設けられていることを特徴とする。このように、回転自在に設けることによって、稼働部材同士の電磁界結合による通信が可能になる。
【0058】
(26)また、本発明は、上記(24)または(25)において、前記第2結合器の円弧の長さが、前記第1結合器の円弧の長さより短いことを特徴とする。このように、円弧状結合器とした場合には、各結合器の円弧の長さが同じでなくても良好な結合度を維持することができる。
【0059】
(27)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、第3絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器を有する第3モジュールとをさらに設け、前記第1結合器と前記第2結合器と前記第3結合器がその少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なって前記第1結合器と前記第2結合器と前記第3結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように前記第1モジュール乃至前記第3モジュールを積層したことを特徴とする。
【0060】
この様に、3つのモジュールを結合器同士が投影的に重なるように積層することで、どれか一つのモジュールをバスとするマルチドロップバスを構成することができる。その結果、バスとなるモジュールから他の2つのモジュールに対して同時に通信することが可能になる。
【0061】
(28)また、本発明は、上記(1)乃至(4)のいずれかにおいて、前記第1絶縁性基板の前記第1モジュールを積層した面と反対側の面に、前記第1結合器の長手方向と第3結合器の長手方向が直交するように第3結合器を備えた第3モジュールを積層したことを特徴とする。このように、第3結合器を同一基板の裏面に設けても第1結合器と第3結合器との間の電磁干渉を防止することができる。
【0062】
(29)また、本発明は、方向性結合式通信方法において、第1絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第1結合器と、一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第2結合器とを有し、前記第2結合器の結合器の直径は前記第1結合器の結合器の直径より小さく、前記第2結合器が、前記第1結合器の内側に前記第1結合器に対して同心円状に回転自在に組み込まれていることを特徴とする。このように、第2結合器を第1結合器の内部に同心円状に回転自在に組み込むことによって、回転部の電磁界コネクタとして作用させることができる。
【0063】
(30)また、本発明は、上記(26)または(29)において、前記第1結合器及び前記第2結合器が、開閉自在の筐体のヒンジ部に設けられていることを特徴とする。このように、回転部の電磁界コネクタとしては、開閉自在の筐体のヒンジ部に設けるコネクタが典型的なものである。
【発明の効果】
【0064】
開示の方向性結合式通信装置によれば、結合系インピーダンスとして整合を取りやすくして反射をより少なくし、通信チャネルを誘導結合よりも高速(広帯域)にするとともに、信号強度を高めて通信の信頼性を向上することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概念的構成図である。
【図2】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概略的部分構成図である。
【図3】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概略的断面図である。
【図4】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の動作原理(1)の説明図である。
【図5】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の動作原理(2)の説明図である。
【図6】本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の動作原理(3)の説明図である。
【図7】本発明の実施例1の方向性結合式差動通信装置の構成説明図である。
【図8】本発明の実施例1に用いる結合器要素の構成説明図である。
【図9】本発明の実施例1に用いる結合器要素の積層状態の断面図である。
【図10】本発明の実施例1に用いる送受信回路の回路図である。
【図11】本発明の実施例2の方向性結合式差動通信装置の説明図である。
【図12】本発明の実施例3の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図である。
【図13】本発明の実施例4の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の平面図である。
【図14】本発明の実施例5の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図である。
【図15】本発明の実施例6の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図である。
【図16】本発明の実施例7の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の結合状態を示す平面図である。
【図17】本発明の実施例8の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図である。
【図18】本発明の実施例9の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素近傍の断面図である。
【図19】本発明の実施例10の方向性結合式差動通信装置に用いる送受信回路の回路図である。
【図20】本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図21】本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図22】本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図である。
【図23】第1モジュール及び第2モジュールを半導体チップで構成した場合の説明図である。
【図24】本発明の実施例12の方向性結合式差動通信装置の断面図である。
【図25】本発明の実施例13の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図26】本発明の実施例14の方向性結合式差動通信装置の構成説明図である。
【図27】本発明の実施例15の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図28】本発明の実施例15の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図である。
【図29】本発明の実施例16の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図30】本発明の実施例16の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図である。
【図31】本発明の実施例17の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図32】本発明の実施例17の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図である。
【図33】本発明の実施例18の方向性結合式通信装置を構成するモジュールの構成説明図である。
【図34】本発明の実施例18の方向性結合式通信装置の動作原理(1)の説明図である。
【図35】本発明の実施例18の方向性結合式通信装置の動作原理(2)の説明図である。
【図36】本発明の実施例18の方向性結合式通信装置の動作原理(3)の説明図である。
【図37】本発明の実施例18の方向性結合式通信装置の動作原理(4)の説明図である。
【図38】本発明の実施例19の方向性結合式差動通信装置の構成説明図である。
【図39】本発明の実施例20の方向性結合式差動通信装置の構成説明図である。
【図40】電磁界シミュレーション結果の説明図である。
【図41】本発明の実施例21の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図42】本発明の実施例22の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図43】本発明の実施例23の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図である。
【図44】本発明の実施例24の方向性結合式差動通信装置の概念的構成を示す断面図である。
【図45】本発明の実施例25の方向性結合式差動通信装置の説明図である。
【図46】引出し伝送線路の引出し方向の説明図である。
【図47】本発明の実施例26の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図48】本発明の実施例27の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図49】結合度の角度θ依存性の説明図である。
【図50】本発明の実施例28の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図51】本発明の実施例29の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図である。
【図52】本発明者が提案したモジュール間通信装置の概念的斜視図である。
【図53】本発明者が提案した他のモジュール間通信装置の概念的斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
ここで、図1乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置を説明する。図1は本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概念的構成図であり、第1結合器12と送受信回路15とを備えた第1モジュール10と、第2結合器12と送受信回路15とを備えた第2モジュール10とを、第1結合器12と第2結合器12とが少なくとも投影的に一部が重なるように積層して、第1結合器12と第2結合器12とを電磁界結合、即ち、容量結合及び誘導結合により信号結合を生じさせる。なお、必須ではないが、送受信回路15及び送受信回路15の入出力インピーダンスを第1結合器12と第2結合器12が結合状態の時の間の結合系インピーダンスZ0-coupledに等しくしてインピーダンス整合しておくことが望ましい。

【0067】
本発明の適用対象は分布定数回路として取り扱う分野であり、各結合器が、信号波長より長い長さ、典型的には信号波長の1/10以上の長さを有していることを前提としており、集中定数回路として取り扱うコイルとは全く対象が異なる。

【0068】
図2は、本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概略的部分構成図であり、図2(a)は第1モジュールの平面図であり、図2(b)は第2モジュールの平面図であり、図2(c)は、第2モジュールを表裏反転させて積層した場合の透視平面図である。図2(a)に示すように、第1絶縁性基板11上に第1結合器12が形成されて、第1結合器12の両方の端部に入出力接続線13,14が接続されている。また、第2モジュール10も、図2(b)に示すように、第1モジュール10と同様に、第2絶縁性基板11上に第2結合器12が形成されて、第2結合器12の両方の端部に入出力接続線13,14が接続されている。この場合、入出力接続線13,14は実効的に通信に寄与しない部分であるので、通信に寄与する第1結合器12と第2結合器12との電磁界結合よりも結合状態が弱くなるように配置する。

【0069】
図2(c)は、第2モジュールを表裏反転させて積層した場合の透視平面図であり、第1モジュール10の入出力接続線13,14の引き出し方向と第2モジュール10の入出力接続線13,14の引き出し方向が互いに逆方向になるようにしているので、入出力接続線13,14と入出力接続線13,14との間の電磁界結合を大幅に低減することができる。

【0070】
なお、ここでは、入出力接続線13,14と入出力接続線13,14を分布定数回路が適用される信号線路として構成しているが、ボンディングワイヤを用いても良い。また、第1結合器12及び第2結合器12の長軸方向に入出力接続線13,14と入出力接続線13,14の接続部が延在しているが、入出力接続線13,14と入出力接続線13,14は、それぞれ、第1結合器12及び第2結合器12の長軸の沿った側面の端部に接続しても良い。

【0071】
また、第1結合器12と第2結合器12の長さは等しい必要はなく互いに異なった長さにしても良いし、或いは、第1結合器12と第2結合器12の長軸を互いに非平行にしても良く、それによって、積層時の位置合わせマージンを大きくすることができる。また、第1結合器12と第2結合器12の形状は矩形である必要はなく、例えば、コ字状に2回屈曲した形状でも良く、或いは、コ字の両端を更に2回屈曲して合計4回屈曲した形状でも良い。このように、結合器の両端が近づく形状にすることにより、結合器と入出力接続線との接続箇所が近接しているので、同じ結合長の結合器をコンパクトに構成することができる。

【0072】
図3は、本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の概略的断面図であり、比誘電率がεの第1絶縁性基板11及び第2絶縁性基板11の背面にはそれぞれ電磁シールド層16,16が形成されており、ここでは、結合度を大きくするために、電磁シールド層16,16の第1結合器12及び第2結合器12との対向部に欠落部17,17を形成している。

【0073】
また、第1絶縁性基板11及び第2絶縁性基板11の表裏には保護のための比誘電率がεのカバーレイ18,18,19,19が形成されている。第1モジュール10と第2モジュール10とは空隙或いは比誘電率がεの絶縁膜を介して対向するように積層する。

【0074】
第1絶縁性基板11、第2絶縁性基板11、カバーレイ18,18,19,19及び絶縁膜の材質はポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂或いはアクリル樹脂等の樹脂を用いれば良く、ここでは、ε<ε<εに設定することが望ましい。比誘電率を任意に設定するためには、ベース樹脂の種類と添加物で調整すれば良い。なお、基板としては、上述のような樹脂をベースとしたフレキシブル基板(FPC)は、柔らかくて基板の厚さが75μm程度に薄いので、携帯電話のような小さな装置に実装しやすいが、FPCに限られるものではなく、プリント回路基板(PCB)でも半導体基板でもパッケージ内の基板でも良い。

【0075】
結合器線路間の誘電体率が結合器線路のその他周辺の誘電率よりも低いと、近端クロストークが小さくなり遠端クロストークが大きくなるため、遠端クロストークを利用することで通信の信頼性を確保できる。その結果、例えば、2つのモジュールを近接配置して隙間を残しても構わず、モジュールの接続が簡便で安価にできる利点がある。あるいは、絶縁膜を挟んで近接接続する際の絶縁膜の選択をより広くすることができる。

【0076】
次に、図4乃至図6を参照して、本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置の動作原理を説明する。まず、図4(a)に示すように、第1結合器12の(+)信号の入力端をA端とし、第1結合器12の(-)信号の入力端をB端とする。同様に、第2結合器12の(+)信号の出力端をA端とし、第2結合器12の(-)信号の出力端をB端とする。

【0077】
図4(b)は、(+)信号の一例を示す波形図であり、図4(c)は、(+)信号に対応する逆極性の(-)信号の波形図であり、(+)信号と(-)信号とで差動信号を構成する。なお、信号波形はそれぞれRT時間だけの立ち上がり或いは立下り時間があるものとする。

【0078】
信号(+)が第1結合器12のA端からB端に向けて伝搬するとき、伝搬する信号の波頭では電流と電圧が変化する。第1結合器12と第2結合器12の間には、相互キャパシタンスCと相互インダクタンスMが連続して存在するので、i=C(dv/dt)およびv=L(di/dt)の結合作用により、容量結合性電流と誘導結合性電流が第2結合器12に誘起して流れる。

【0079】
容量結合性電流は、第1結合器12から第2結合器12へ変位電流が流れた後、その点から左右方向に見た第2結合器12のインピーダンスが等しいので、左右に等しく分かれて両端に分流する。つまり容量結合性電流の半分は近端(A端)へ後戻りし、半分は遠端(B端)へ前進する。いずれの電流も流れる先にある終端抵抗で正の電圧信号を生じる。なお、整合終端するための終端抵抗は図1に示した送受信回路15,15に存在している。

【0080】
近端(A端)に逆戻りする信号は、その電流信号源である波頭が第1結合器12をA端からB端に向けて前進しながら同じ速度で第2結合器12をA端に向けて逆戻りするので、図5(a)に示す波形となる。

【0081】
つまり、第1結合器12を伝搬する信号の波頭がA端に入力されてから波の立ち上り時間RT後に第1結合器12に完全に入り、B端に向けて伝搬する間は、B端に向けて前進する電流信号源から出た変位電流の半分がA端を目指して同じ速度で逆戻りするので、A端では一定電流値となる。信号(+)がA端からB端に伝搬する時間をTDとすると、B端に到達した時点で第2結合器12に移った変位電流の半分は、更に時間TDをかけて第2結合器12のA端に戻るので、A端に現れる結合信号(+)は図5(a)に示すように2TDの時間幅のパルス信号となる。

【0082】
また、B端を目指して前進する残り半分の電流は、電流信号源がB端に向けて前進するので、それと共に電流量を積み重ねながらTD後にB端に到達して、図5(b)に示すような波形となる。

【0083】
一方、誘導結合性電流は、誘導結合で第2結合器12に誘起される電圧源によって流れる電流であるが、その向きは第1結合器12の電流ループの向きと逆回りになり、巨視的にはB端からA端に向かい、図5(c)に示す波形となる。従って誘導結合でA端に生じる信号は容量結合でA端に生じる信号と同じ符号になって強め合い、図5(e)に示す波形となる。

【0084】
また、B端に生じる信号は、図5(d)に示すように容量結合でB端に生じる信号と反対の符号になって弱め合い、結果的にB端では、多くの場合、図5(f)に示すように、負の信号が伝搬する。

【0085】
つまり、A端から入力した信号(+)は、結合器によって、A端に同じ極性の結合信号(+)を乗じると共に、B端に逆の極性の結合信号(+)を生じる。一方、B端から入力した信号(-)は、結合器によって、A端に図6(a)に示す逆の極性の結合信号(-)と、B端に図6(b)に示す同じ極性の結合信号(-)とを生じる。

【0086】
したがって、A端では結合信号(+)と結合信号(-)が両方とも信号(+)と同じ極性となって強め合い、重ね合わせにより図6(c)の信号を生成する。同様に、B端では結合信号(+)と結合信号(-)が両方とも信号(+)と逆の極性となって強め合い、重ね合わせにより図6(d)の信号を生成する。その結果、差動信号(+)-(-)の中央付近で極性を判定すれば、第1モジュール10に入力されたデジタル信号を第2モジュール10で受信できる。

【0087】
ここで、A端から入力した信号(+)が、結合器によって、A端に生じる同じ極性の結合信号(+)を近端クロストークと呼び、B端に生じる逆の極性の結合信号(+)を遠端クロストークと呼ぶ。つまり、B端から入力した信号(-)が、結合器によって、A端に生じる逆の極性の結合信号(-)は遠端クロストークであり、B端に生じる同じ極性の結合信号(-)は近端クロストークである。

【0088】
従来の差動結合器では、近端クロストークだけを利用して通信を行い、遠端クロストークは終端抵抗で熱となって消費され通信に利用できなかった。一方、本発明の実施の形態の方向性結合式差動通信装置では、互いに逆の極性となる差動信号の遠端クロストークも利用しているので、受信信号を大きくすることができる。

【0089】
なお、結合器は、例えば、基板の両面に形成された厚さが20μm程度の銅箔と基板を貫通するビアを印刷加工して信号の伝送線路としても良い。伝送線路の特性インピーダンスは50Ωが一般的であるが、他の値でも構わない。

【0090】
携帯電話のディスプレイモジュールとマザーボードの間のデータ通信への応用を想定すれば、通信距離(結合器間の距離)は0.1mm前後となるが、数mmから数cmの距離の場合も同様である。

【0091】
2つのモジュールの接続が典型的な例であるが、モジュールの数は3つ以上でも構わない。例えば、後述する実施例15に示すように、PCBの両面に2つの半導体チップが装着され、PCB上に設けた結合器を構成する伝送線路と2つの半導体チップ上の伝送線路が結合して、PCB上に設けた伝送線路に接続された半導体チップと合わせて3つの半導体チップが通信する場合なども本発明に含まれる。なお、この場合の半導体チップはどのような組み合わせでも良いが、例えば、PCBに設けた伝送線路に接続された半導体チップをマイクロプロセッサとし、他の半導体チップをメモリチップとすることができる。

【0092】
なお、第1結合器と第2結合器との間の結合効率を高めるために、第1結合器と第2結合器との間に板状の誘電体を挿入しても良く、第1結合器と第2結合器との間隔を多少広くとっても電磁界結合させることが可能になる。

【0093】
また、第1絶縁性基板上に第3結合器を設けて閉回路を構成する場合に、第1結合器及び第3結合器をそれぞれ2つの結合器とそれらを連結する終端抵抗により構成することによって、定在波を減衰させて結合度の平坦性を広帯域で維持することができ、信号歪の除去が可能になる。

【0094】
また、前記第1結合器及び第2結合器を同じ曲率半径を有する円弧状結合器とすることで、第1モジュール及び第2モジュールの引出し伝送線路を自由な角度に引き出すことができる。

【0095】
この場合、第2モジュールの第2結合器の中心が第1モジュールの第1結合器の中心に対して一致しており、第2モジュールを第1モジュールに対して回転自在に設けることによって、稼働部材同士の電磁界結合による通信が可能になる。

【0096】
また、弧状結合器とする場合には、第2結合器の弧の長さを、第1結合器の弧の長さより短くしても良く、各結合器の弧の長さが同じでなくても良好な結合度を維持することができる。

【0097】
また、第3絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された第3結合器を有する第3モジュールとをさらに設け、第1結合器と第2結合器と第3結合器がその少なくとも一部が積層方向から見て投影的に重なって第1結合器と第2結合器と第3結合器との間に容量結合および誘導結合を用いて信号結合が生じるように第1モジュール乃至第3モジュールを積層しても良い。

【0098】
この様に、3つのモジュールを結合器同士が投影的に重なるように積層することで、どれか一つのモジュールをバスとするマルチドロップバスを構成することができる。その結果、バスとなるモジュールから他の2つのモジュールに対して同時に通信することが可能になる。

【0099】
また、第1絶縁性基板の裏面に第3結合器を設ける場合に、第1結合器の長手方向と第3結合器の長手方向が直交するように第3結合器を備えた第3モジュールを積層しても良く、第1結合器と第3結合器との間の電磁干渉を防止することができる。

【0100】
また、第1絶縁性基板上に設けられた一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第1結合器の内側に、一方の端部に入出力接続線が接続されるとともに他方の端部に接地線或いは前記一方の端部に接続された入出力接続線に入力される信号の反転信号が入力される入出力接続線のいずれかが接続された弧状の第2結合器を、第1結合器に対して同心円状に回転自在に組み込んでも良く、回転部の電磁界コネクタとして作用させることができる。

【0101】
この場合、回転部の電磁界コネクタとしては、第1結合器及び第2結合器は、開閉自在の筐体のヒンジ部に設けるコネクタが典型的なものである。

【0102】
以上を纏めると、本発明の実施の形態の方向性結合式通信装置によれば、下記の作用効果が得られる。
1)従来は4つの信号線路と2つの終端抵抗が必要であった結合器を2つの信号線路で構成できる。
2)容量・誘導結合している線路が2つなので、従来の4つの信号線路が相互に容量・誘導結合している場合に比べて結合系インピーダンスの整合を取ることが比較的易しくなる。3)送受信回路が備える可変抵抗を用いて整合終端できるので信号の反射が起こらない。
4)遠端クロストークが信号を強めるので、通信の信頼性が向上する。
5)結合器の両端に常に(+)と(-)の信号が加わるので、コモン信号が変化せず、不要輻射(ノイズ)が小さくなる。
【実施例1】
【0103】
次に、図7乃至図9を参照して、本発明の実施例1の方向性結合式差動通信装置を説明する。図7は、本発明の実施例1の方向性結合式差動通信装置の構成説明図であり、図7(a)は概略的斜視図であり、ここでは、主基板(マザーボード)と子基板のモジュール間のインタフェースを実現した例である。例えば、携帯電話の主基板40にFPC42,42を用いた結合器要素41,41が設置されていて、ディスプレイモジュール(子基板)50の裏面にFPC52,52を用いた結合器要素51,51が設置されている。
【実施例1】
【0104】
各結合器要素41,41,51,51には、結合器43,43,53,53が設けられており、引出し伝送線路44,44,45,45,54,54,55,55を介して送受信回路46,56にそれぞれ接続されている。ここで、主基板40に設けたテラス部材61,61を利用して結合器要素41,41に設けた結合器43,43が結合器要素51,51に設けた結合器53,53に近接設置するように構成する。なお、主基板40と子基板50は、支持部材62を用いて積層する。なお、この実施例1も含めて下記の各実施例においては、互いに対向する結合器同士の電磁界結合において、結合系インピーダンスZ0-coupledの整合を取るよう設定する。
【実施例1】
【0105】
図8及び図9は、本発明の実施例1に用いる結合器要素の説明図であり、図8(a)は主基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図8(b)は子基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図8(c)は子基板側の結合器要素を反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。結合器要素41においては、一方の面の銅箔をパターン形成して結合器43と引出し伝送線路44,45を作り、他方の面にプレーン47を形成する。
【実施例1】
【0106】
結合器43の寸法は基板がFPCの場合とPCBの場合で異なり、通信距離や通信速度に応じても変わるが、一例をあげると長さが5mmで幅が0.5mmである。引出し伝送線路44,45の寸法は、一例をあげると幅が0.3mmで、2つの引出し伝送線路44,45が幅の3倍以内の間隔で近接配置されているところでは密に結合することになる。
【実施例1】
【0107】
送信側の結合器の両端には差動信号が入力し、受信側の結合器の両端からは差動信号が出力する。送信器と結合器を接続する引出し伝送線路や結合器と受信器を接続する引出し伝送線路は、信号の遅延が等しくなるように等長であることが望ましい。引出し伝送線路44,45が結合器43の両端から屈曲して結合器43の中央に戻る際は、結合器43と引出し伝送線路44,45が容量・誘導結合しないように十分に、目安としては、幅の3倍程度以上間隔を空ける。例えば、結合器43の幅が0.5mmで引出し伝送線路44,45の幅が0.3mmの場合は、1mmから1.5mm以上間隔を空けるのが望ましい。
【実施例1】
【0108】
一方、間隔を空け過ぎると、結合器43と引出し伝送線路44,45がコイルの形状になってインダクタンス成分を持つようになり、寄生容量と共振する。共振周波数を十分に高くして通信に利用できる帯域を広げたい場合は、インダクタンス成分が小さくなるように、結合器43と引出し伝送線路44,45で囲まれる面積を小さくすることが有効である。コイルが四角形の場合は短辺でインダクタンスが決まるので、結合器43と引出し伝送線路44,45の間隔を狭くすることが有効である。
【実施例1】
【0109】
また、反対側の面に設けたプレーン47は、結合器43に対向する箇所だけ抜いた欠落部48を設ける。そのことにより、結合器43の結合度を強くすることができる。なお、PCBの場合は基板が厚いので、2つの結合器が十分に近く配置された場合はプレーンからの影響は十分に小さくなり、結合器の反対面のプレーンを切り抜く必要がない。
【実施例1】
【0110】
図8(b)に示すように、子基板側に設ける結合器要素も、図8(a)に示した結合器要素と同じ形状に形成する。図8(c)に示す様に、子基板と親基板とを積層する場合には、引出し伝送線路44,45と引出し伝送線路54,55間の結合を十分に小さくするために、両引出し伝送線路44,45,54,55が互いに離れるように設置し、互いに投影的に重ならないようにする。
【実施例1】
【0111】
図9は、子基板と親基板とを積層した状態の断面図であり、FPC42,52の両面には、保護のためのカバーレイ49,49,59,59を設けており、空隙を介して対向配置する。空隙の間隔は0mm乃至数cmである。なお、隙間を空けずに、例えばFPCのカバーレイやポリエチレンテレフタレート(PET)などの材料でできた絶縁膜を挟んで、結合器43と結合器53が投影的に重なるように接着剤等で張り合わせても良い。
【実施例1】
【0112】
図10は、本発明の実施例1に用いる送受信回路の回路図であり、上側が送信回路を構成し、下側が受信回路を構成する。送信回路はNRZ(NonReturn to Zero)波形を送信する。
【実施例2】
【0113】
図11は、本発明の実施例2の方向性結合式差動通信装置の説明図であり、ここでは、実施例1との相違点のみを説明する。図11(a)は、テラス部材近傍の斜視図であり、図11(b)は図11(a)における矢印方向の断面図である。図に示すように、親基板側に設ける結合器要素41の引出し伝送線路44,45の接続部近傍をテラス部材61の側面に這わせる。
【実施例2】
【0114】
一方、子基板側の結合器要素51の引出し伝送線路54,55は、図7と同じ状態であるので、引出し伝送線路44,45の延在方向と引出し伝送線路54,55の延在方向が異なる。したがって、引出し伝送線路44,45と引出し伝送線路54,55との間の距離が離れるので両者の結合度を大幅に低減することができる。
【実施例3】
【0115】
次に、図12を参照して、本発明の実施例3の方向性結合式差動通信装置を説明する。図12は、本発明の実施例3の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図であり、図12(a)は主基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図12(b)は子基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図12(c)は子基板側の結合器要素を反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例3】
【0116】
この実施例3においては、図12(a)或いは図12(b)に示すように、引出し伝送線路44,45,54,55を結合器43,53の長軸に沿った側面の端部に接続したものである。このように、構成することにより、図12(c)に示すように結合器要素41,51を重ねた場合に、引出し伝送線路44,45と引出し伝送線路54,55が投影的に全く重ならなくなるので引出し伝送線路間の結合をより小さくできる利点がある。
【実施例3】
【0117】
但し、一方で、結合器43,53と引出し伝送線路44,45,54,55の接続点の近傍で電流が流れる場所が結合器43と結合器53では異なるために、結合器43,53の端と中央でインピーダンスが等しくならない可能性がある。逆に、交差部分の実効的な幅が交差部の中央で広くなり両側で狭くなるので、広帯域にすることが可能である。
【実施例4】
【0118】
次に、図13を参照して、本発明の実施例4の方向性結合式差動通信装置を説明する。図13は、結合器要素の平面図であり、結合器43の両端が近づくように結合器43をコ字状に折り曲げたものである。以下の説明ではコ字状に結合器43を2回屈曲した場合を取り上げるが、屈曲数をさらに増やした場合も含めて、結合器43の両端が近づくように屈曲した事例は本実施例に含まれる。
【実施例4】
【0119】
このように、結合器43を折り曲げることで結合器43の占有面積を小さくできる。例えば、結合器43の全長が5mmの場合、折り曲げることで長さLを2.5mm程度に小さくできる。但し、折り曲げた結合器43の間隔Sは、結合器43の対向する箇所で容量結合及び誘導結合しないように、結合器43の幅Wの3倍以上に離すことが望ましい。例えば、W=0.5mmの場合、S=1.5mmであるので、中心線の長さで考えると結合器43の中央部の長さは2.0mm(=1.5mm+0.5mm×2)となり、また、両脇の長さLは1.5mm〔=(5mm-2mm)/2)〕になる。なお、ここでは、親基板側の結合器として説明しているが、子基板側に設ける結合器も同様の構成とし、結合器が完全に重なるように積層する。
【実施例4】
【0120】
また、この実施例4においては、差動信号線である引出し伝送線路44,45を結合器43に接続するのが容易になる。即ち、図13で下方から来る引出し伝送線路44,45を結合器43に接続する際に、実施例1に示すように結合器がコの字型でなく一直線であると、結合部の両端に差動信号線を等長配線で接続するために、結合器に直接接続する部分である上部端子より信号到来方向からの距離が近い下部端子への接続線は余分に迂回する必要が生ずるが、コの字型にすることで迂回する部分を大幅に短縮することができる。
【実施例5】
【0121】
次に、図14を参照して、本発明の実施例5の方向性結合式差動通信装置を説明する。図14は、本発明の実施例5の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図であり、図14(a)は主基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図14(b)は子基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図14(c)は子基板側の結合器要素を反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例5】
【0122】
ここでは、図14(a)に示すように、主基板側に設ける結合器要素41としては実施例1の構造を採用し、図14(b)に示すように主基板側に設ける結合器要素51としては実施例3の構造を採用するとともに、結合器43の長さを結合器53の長さより長くしたものである。
【実施例5】
【0123】
このように、一方の結合器43を長くしておくと、他方の結合器53はその長さの中であればどこに配置しても良くなり、位置合わせの制約が少なくなる。或いは、モジュールを移動して通信したり、移動しながら通信することができる。なお、結合器の長さの大小関係は逆でも良い。同様に一方の結合器の幅を太くして、幅方向に合わせ位置の自由度を高めることもできる。
【実施例6】
【0124】
次に、図15を参照して、本発明の実施例6の方向性結合式差動通信装置を説明する。図15は、本発明の実施例6の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図であり、図15(a)は主基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図15(b)は子基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図15(c)は子基板側の結合器要素を反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例6】
【0125】
この実施例6においては、図15(c)に示すように、結合器要素を重ね合わせた際に、結合器43と結合器53の長軸が非平行になるように、結合器要素41と結合器要素51を構成したものである。一定の幅でインピーダンスも均一な結合器43,53が斜めに交差すると、交差部分の幅が交差部の中央で広くなり両側で狭くなるので、広帯域になる。更に、結合器43,53の相対位置が平面のいかなる方向にずれたとしても、交差部分の形状は一定となるため、モジュールの位置ずれによらず結合特性が一定になる効果もある。
【実施例6】
【0126】
このように、本発明の実施例6においては、結合器43,53を斜めに交差させて配置しているので、広帯域な無線通信路を実現できる。また、結合器要素41と結合器要素51の相対位置がずれても通信路の特性が変化しない特長がある。
【実施例7】
【0127】
次に、図16を参照して、本発明の実施例7の方向性結合式差動通信装置を説明する。図16は、本発明の実施例7の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の結合状態を示す平面図であり、図7と同様に各基板に2つの結合器43,43,53,53を設けて重ね合わせたものである。
【実施例7】
【0128】
この場合、電磁界は結合器線路に沿って直交方向に発生するので、複数の結合器43,43,53,53を結合器の長軸方向、即ち、線路長方向に配置する。このような配置にすることによって、結合器間の干渉が小さくなって信頼性が高くなり、また、図16に示すように、近接配置が可能になるので、実装密度を高めることができる。
【実施例8】
【0129】
次に、図17を参照して、本発明の実施例8の方向性結合式差動通信装置を説明する。図17は、本発明の実施例8の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素の説明図であり、図17(a)は主基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図17(b)は子基板側に設ける結合器要素の平面図であり、図17(c)は子基板側の結合器要素を反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例8】
【0130】
この実施例8においては、引出し伝送線路がなく短いボンディングワイヤ63,63,64,64を用いて送受信回路を備えた半導体集積回路装置65,66と結合器43,53と接続する。
【実施例9】
【0131】
次に、図18を参照して、本発明の実施例9の方向性結合式差動通信装置を説明する。図18は、本発明の実施例9の方向性結合式差動通信装置を構成する結合器要素近傍の断面図であり、基本的な構造は、図9に示した構造と同じである。
【実施例9】
【0132】
ここでは、結合器間の隙間の比誘電率ε(間隙が空隙である場合には、比誘電率はε=1となる)が、結合器線路のその他周辺の誘電率εよりも低くしている。例えば、FPCのベース樹脂であるポリイミドの比誘電率は3.2でありポリイミドに添加物を添加したカバーレイの比誘電率は3.4である。一方、空気の比誘電率が1.0でありPETの誘電率が3.0である。したがって、2つの結合器43,53の間が隙間を空隙にしたり或いはPET等の比誘電率が3.2よりも低い材料でできた絶縁膜を介在させる。
【実施例9】
【0133】
このように、結合器線路間の誘電体率が結合器線路のその他周辺の誘電率よりも低いと、近端クロストークが小さくなり遠端クロストークが大きくなる。その理由は、誘導結合性電流による遠端での伝搬信号は上記の図5(d)に示したように、容量性結合で生じる信号と反対の符号になって弱め合い、結局遠端においては、多くの場合、図5(f)に示すように、負の信号が伝搬することになる。つまり、遠端クロストークは誘導結合による信号から容量結合による信号を差し引いた信号であり、結合器線路間の誘電体率を低くすると容量結合による信号が小さくなって、遠端クロストークが大きくなるからである。
【実施例9】
【0134】
この実施例9においても、他の実施例と同様に、遠端クロストークも利用しているので、通信の信頼性を確保できる。その結果、例えば2つのモジュールを近接配置して隙間を残しても構わず、モジュールの接続が簡便で安価にできる利点がある。或いは、絶縁膜を挟んで近接接続する際の絶縁膜の選択をより広くすることができる。
【実施例10】
【0135】
次に、図19を参照して、本発明の実施例10の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例10は送受信回路に関する実施例であり、他の構成は実施例1乃至実施例10と同様である。
【実施例10】
【0136】
図19は、本発明の実施例10の方向性結合式差動通信装置に用いる送受信回路の回路図であり、終端抵抗を複数並べてスイッチで接続を切り替えることにより、抵抗値を調整できるインピーダンス整合回路を入出力端側に設けている。
【実施例10】
【0137】
このように、送受信回路側にインピーダンス整合回路を設けることによって、結合器に接続していた終端用の抵抗部材が不要になり安価で実装容積を小さくできる。また、通信距離がばらついたり或いは位置合わせがずれて結合器のインピーダンスがばらついても、回路で抵抗値を調整できるので、信号の反射を抑えることができる。なお、上述の先願発明においては、終端用の抵抗部材が必要で、インピーダンスの調整ができなかった。
【実施例10】
【0138】
また、インピーダンスの調整回路は図19に示すようにデジタル回路で実現することもできるし、アナログ回路で実現することもできる。例えば、受信信号を図19に示すようにトランジスタのゲートに入力せずにソースに入力すると、トランジスタのゲートのバイアスの与え方によってソースから見た入力インピーダンスを変えることができる。
【実施例11】
【0139】
次に、図20乃至図23を参照して、本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置を説明する。図20は、本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図であり、第1モジュール70と第2モジュール80を2つの結合器92,93を設けた第3モジュール90を介して通信するものである。
【実施例11】
【0140】
この場合、第1モジュール70及び第2モジュール80は上記の子基板の構成と同様であり、それぞれ結合器72,82が設けられており、送受信回路を備えた半導体集積回路装置75,85と引出し伝送線路73,74,83,84により接続されている。
【実施例11】
【0141】
一方、第3モジュール90は、2つの結合器92,93を備え、この2つの結合器92,93を引出し伝送線路94,95で接続したものである。ここで、引出し伝送線路94と引出し伝送線路95とは等長とする。
【実施例11】
【0142】
図21は、本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図21(a)は第3モジュールの平面図であり、図21(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図であり、図21(c)は第1モジュール及び第2モジュールを反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例11】
【0143】
図22は、本発明の実施例11の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図であり、第3モジュール90の基板としては、PCB基板であるFR4基板99を用いる。ここでもFR4基板99の裏面には電磁シールド用のプレーン96を設けるとともに、表裏にカバーレイ97,98を設ける。
【実施例11】
【0144】
第1モジュール70及び第2モジュール80を構成する結合器72,82及び引出し伝送線路73,74,83,84は、PCB或いはFPCの配線またはパッケージ内の基板もしくは半導体チップの配線を利用して形成する。
【実施例11】
【0145】
この場合、第1モジュール70と第2モジュール80とは、第3モジュール90に設けた結合器92,93と容量結合及び誘導結合することで、第1モジュール70と第2モジュール80の間でデータ通信する。
【実施例11】
【0146】
図23は、第1モジュール及び第2モジュールを半導体チップで構成した場合の説明図であり、図23(a)は半導体チップを下向きにした場合の断面図であり、図23(b)は半導体チップを上向きにした場合の断面図である。
【実施例11】
【0147】
図23(a)に示すように、第1モジュール及び第2モジュールを半導体チップ77,87で構成した場合には、半導体チップの配線を利用して結合器72,82を形成し、バンプ78,88を用いて第3モジュール90に接続する。この場合、半導体基板を介さずに短い距離で結合器が対向するので、結合度が大きくなる。
【実施例11】
【0148】
一方、図23(b)に示すように、半導体チップ77,87を上向きにした場合には、ボンディングワイヤ79,89により第3モジュール90に接続する。この場合は、半導体基板を介して結合することになるので、結合度が多少小さくなる。
【実施例12】
【0149】
次に、図24を参照して、本発明の実施例12の方向性結合式差動通信装置を説明する。図24は、本発明の実施例12の方向性結合式差動通信装置の断面図であり、ここでは、第3モジュール90の基板としてFPC91を用い、第1モジュール70及び第2モジュール80を半導体チップ77,87で構成するとともに、この半導体チップ77,87をPCB100にボンディングワイヤ79,89で接続した。なお、PCB100はFR4基板101を用い、背面にプレーン102を形成するとともに、表裏にカバーレイ103,104を設ける。この場合も、図23(a)の場合と同様に、半導体基板を介さずに結合する。
【実施例13】
【0150】
次に、図25を参照して、本発明の実施例13の方向性結合式差動通信装置を説明する。図25は、本発明の実施例13の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図25(a)は第3モジュールの平面図であり、図25(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図であり、図25(c)は第1モジュール及び第2モジュールを反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例13】
【0151】
この実施例13は、上記の実施例11の等長配線を結合器92,93を横方向にずらして配置したものに相当する。即ち、引出し伝送線路94と引出し伝送線路95が等長であれば、どのように配線を引きまわしても問題はない。
【実施例14】
【0152】
次に、図26を参照して、本発明の実施例14の方向性結合式差動通信装置を説明する。図26は、本発明の実施例14の方向性結合式差動通信装置の構成説明図であり、図26(a)は第3モジュールの平面図であり、図26(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図である。
【実施例14】
【0153】
この実施例14は、図13に示した実施例4に対応するものであり、各結合器72,82,92,93をコ字状に屈曲させたものである。実施例11に示したように、半導体チップの配線で結合器72,82を形成する場合、結合器72,82の全長がチップの一片に収まらない場合に問題になる。例えば、結合器72,82の全長が5mmで半導体チップの一片が4mmの場合は、半導体チップの配線で直線状の結合器72,82を形成することはできない。また、半導体チップの一片が結合器72,82の全長より大きい場合でも、結合器72,82の両端と送受信回路67,68の差動信号端を接続する配線が長くなり、配線長が等しくないことで、差動信号の位相が180°からずれたり、ノイズを拾いやすいなどの問題がある。
【実施例14】
【0154】
この様な問題は、結合器72,82を図26に示すように折り曲げて、その両端が近づくような形状にすることで解決できる。また、送受信回路67,68と接続するために配線を短くすることができるので、精度良く等長配線とすることができる。
【実施例15】
【0155】
次に、図27及び図28を参照して、本発明の実施例15の方向性結合式差動通信装置を説明する。図27は、本発明の実施例15の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図であり、第1モジュール120、第2モジュール130及び第3モジュール140のそれぞれに送受信回路を備えた半導体集積回路装置124,134,144と結合器121,131,141を設けて第1モジュール120と第2モジュール130との間及び第1モジュール120と第3モジュール140との間の通信を行うものである。
【実施例15】
【0156】
この場合、第1モジュール120乃至第3モジュール140はそれぞれ、結合器121,131,141と半導体集積回路装置124,134,144との間が引出し伝送線路122,123,132,133,142,143により接続されている。なお、ここでは、半導体集積回路装置124をマイクロプロセッサとし、半導体集積回路装置134,144を半導体記憶装置(メモリ)とする。
【実施例15】
【0157】
図28は、本発明の実施例15の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図であり、第1モジュール120の基板としては、PCB基板であるFR4基板125を用いる。ここでもFR4基板125の表面にカバーレイ126を設ける。
【実施例15】
【0158】
第2モジュール130は、結合器131が第1モジュール120の結合器121と積層方向において投影的に重なるように表面側に積層する。一方、第3モジュール140は、結合器141が第1モジュール120の結合器121と積層方向において投影的に重なるように裏面側に積層する。
【実施例15】
【0159】
この場合、一方のメモリ(134,144)とだけ通信するときは、他方のメモリ(144,134)がそのことを認識して通信内容を無視すれば良い。一方、各メモリ(134,144)からマイクロプロセッサ(124)へは時分割でそれぞれ個別に通信するようにする。
【実施例15】
【0160】
なお、この実施例15においては、結合器121がFR4基板125の表面にあるために、結合器121と結合器131の間の距離は結合器121と結合器141の間の距離よりも短く、結合器121と結合器131の結合度は結合器121と結合器141の結合度よりも強くなっている。しかし、FR4基板125として多層配線基板を用いて結合器121をFR4基板125の内部の配線で構成することで、結合器121と結合器131の間の距離を結合器121と結合器141の間の距離と大体等しくして、結合器121と結合器131の結合度を結合器121と結合器141の結合度と大体等しくするようにしても良い。
【実施例16】
【0161】
次に、図29及び図30を参照して、本発明の実施例16の方向性結合式差動通信装置を説明する。図29は、本発明の実施例16の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図であり、第1モジュール150、第2モジュール130及び第3モジュール140のそれぞれに送受信回路を備えた半導体集積回路装置154,134,144と結合器151,151,131,141を設けて第1モジュール150と第2モジュール130との間及び第1モジュール150と第3モジュール140との間の通信を行うものである。
【実施例16】
【0162】
この場合、第1モジュール150は、2つの結合器151,151を接続伝送線路155により直列接続し、引出し伝送線路152,153により半導体集積回路装置154と接続されている。
【実施例16】
【0163】
第2モジュール130と第3モジュール140は上記の実施例15と同様であり、それぞれ、結合器131,141と半導体集積回路装置134,144との間が引出し伝送線路132,133,142,143により接続されている。なお、ここでも、半導体集積回路装置154をマイクロプロセッサとし、半導体集積回路装置134,144を半導体記憶装置(メモリ)とする。
【実施例16】
【0164】
図30は、本発明の実施例16の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図であり、第1モジュール150の基板としては、PCB基板であるFR4基板156を用いる。ここでもFR4基板156の裏面には電磁シールド用のプレーン157を設けるとともに、表裏にカバーレイ158,159を設ける。
【実施例16】
【0165】
第2モジュール130は、結合器131が第1モジュール150の結合器151と積層方向において投影的に重なるように積層する。一方、第3モジュール140は、結合器141が第1モジュール150の結合器151と積層方向において投影的に重なるように積層する。
【実施例16】
【0166】
この場合も上記の実施例15と同様にマイクロプロセッサ(154)から2つのメモリ(134,144)に同時に通信でき、各メモリ(134,144)からマイクロプロセッサ(154)へは時分割で通信を行う。但し、結合器で信号が減衰するのと、半導体集積回路装置154,134,144内に設けられた送受信器と結合器151,151,131,141の間の信号長が異なるので、各結合器151,151,131,141の両端に入力される差動信号の振幅及び位相がズレて信号伝達性能は結合器が1つの場合より劣化することになる。
【実施例16】
【0167】
なお、図においては、第1モジュール150には2つの結合器151,151を設けているが、3つ以上の結合器を設けても良く、その場合には、結合器の数に応じた数のモジュールを結合することが可能になる。但し、結合器の数が増えるほど、信号伝達性能は劣化することになる。
【実施例17】
【0168】
次に、図31及び図32を参照して、本発明の実施例17の方向性結合式差動通信装置を説明する。図31は、本発明の実施例17の方向性結合式差動通信装置の概念的構成図であり、第1モジュール160、第2モジュール130及び第3モジュール140のそれぞれに送受信回路を備えた半導体集積回路装置164,134,144と結合器161,131,141を設けて第1モジュール160と第2モジュール130との間及び第1モジュール160と第3モジュール140との間の通信を行うものである。
【実施例17】
【0169】
この場合、第1モジュール160は、2つの結合器131,141に対応できる長さを有し、引出し伝送線路162,163により半導体集積回路装置164と接続されている。第2モジュール130と第3モジュール140は上記の実施例15と同様であり、それぞれ、結合器131,141と半導体集積回路装置134,144との間が引出し伝送線路132,133,142,143により接続されている。なお、ここでも、半導体集積回路装置164をマイクロプロセッサとし、半導体集積回路装置134,144を半導体記憶装置(メモリ)とする。
【実施例17】
【0170】
図32は、本発明の実施例17の方向性結合式差動通信装置の具体的構成を示す断面図であり、第1モジュール160の基板としては、PCB基板であるFR4基板165を用いる。ここでもFR4基板165の裏面には電磁シールド用のプレーン166を設けるとともに、表裏にカバーレイ167,168を設ける。
【実施例17】
【0171】
第2モジュール130は、結合器131が第1モジュール160の結合器161の一部と積層方向において投影的に重なるように積層する。一方、第3モジュール140は、結合器141が第1モジュール160の結合器161の他の部分と積層方向において投影的に重なるように積層する。
【実施例17】
【0172】
この場合も上記の実施例16と同様にマイクロプロセッサ(164)から2つのメモリ(134,144)に同時に通信でき、各メモリ(134,144)からマイクロプロセッサ(164)へは時分割で通信を行う。但し、結合器151,151で信号が減衰するのと、半導体集積回路装置164,134,144内に設けられた送受信器と結合器161,131,141の間の信号長が異なるので、各結合器161,131,141の両端に入力される差動信号の振幅及び位相がズレて信号伝達性能は劣化することになる。
【実施例17】
【0173】
なお、図においては、第1モジュール160では結合器161の長さを2つの結合器に対応する長さにしているが、3つ以上の結合器に対応する長さにしても良く、その場合には、結合器の長さに応じた数のモジュールを結合することが可能になる。但し、結合器の数が増えるほど、信号伝達性能は劣化することになる。
【実施例18】
【0174】
次に、図33乃至図37を参照して、本発明の実施例18の方向性結合式通信装置を説明する。図33は、本発明の実施例18の方向性結合式通信装置を構成するモジュールの構成説明図であり、図33(a)は第1モジュールの平面図であり、図33(b)は第2モジュールの平面図であり、図33(c)は第2モジュールを反転させて重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例18】
【0175】
図33(a)或いは図33(b)に示すように、各モジュール110,110はFPC111,111に結合器112,112を形成し、結合器112,112の一端に引出し伝送線路113,113を接続するとともに、他端を終端線114,114に接続する。なお、FPC111,111の背面にはプレーン115,115が設けられており、結合器112,112に対向する部分はプレーンの欠落部116,116が形成されている。
【実施例18】
【0176】
次に、図34乃至図37を参照して、本発明の実施例18の動作原理を説明するが、図4乃至図6で説明した動作原理と基本的には同じである。まず、図34(a)に示すように、結合器112の(+)信号の入力端をA端とし、結合器112の終端線114との接続点をB端とする。同様に、結合器112の信号の出力端をA端とし、結合器112の終端線114との接続点をB端とする。
【実施例18】
【0177】
図34(b)は、(+)信号の一例を示す波形図であり、図34(c)は、B端での反射波の波形図である。B端は終端線114と接続して終端電位(VTT)に接地されているので、B端の電位は常に終端電位(VTT)であり変化しない。したがって、(+)信号がB端に到達すると、B端の電位が一定であるように逆極性の波形が反射波として形成されてA端に向かって進行する。この場合、反射波は(+)信号がB端に到達するまでの時間TDが経ってから発生する。
【実施例18】
【0178】
信号(+)が結合器112のA端からB端に向けて伝搬するとき、図4乃至図6で説明した動作原理と全く同様にi=C(dv/dt)およびv=L(di/dt)の結合作用により、容量結合性電流と誘導結合性電流が結合器112に誘起して流れ、A端では図35(a)に示した波形の容量結合信号が現れる。また、B端では図35(b)に示した容量結合信号が現れる。
【実施例18】
【0179】
一方、誘導結合性電流も、図4乃至図6で説明した動作原理と全く同様に、図35(c)に示す波形となり、容量結合信号との重ね合わせにより図35(e)に示す波形となる。
【実施例18】
【0180】
また、B端に生じる信号は、図35(d)に示すように容量結合でB端に生じる信号と反対の符号になって弱め合い、結果的にB端では、多くの場合、図35(f)に示すように、負の信号が伝搬する。
【実施例18】
【0181】
一方、B端から反射波によって、図4乃至図6で説明した動作原理と同様の原理により、A端に図36(a)に示す逆の極性の反射波の結合信号と、B端に図36(b)に示す同じ極性の結合信号とを生じる。なお、A端に現れる結合信号は(+)信号が結合器112の往復に要する時間2TD経った後で現れることになる。一方、B端に現れる結合信号は、B端で反射が始まったと同時に発生するため、TDの時間を要する。
【実施例18】
【0182】
したがって、A端では図35(e)に示す結合信号と図36(a)に示す結合信号の重ね合わせにより図36(c)の信号を生成する。同様に、B端では図35(f)に示す結合信号と図36(b)に示す結合信号の重ね合わせにより図36(d)の信号を生成する。
【実施例18】
【0183】
図36(d)に示したB端に達した結合信号は、B端が終端線114に接続して短絡しているので、逆極性の反射波となってA端に図37(a)に示す波形となって現れる。この反射波による信号は結合器112を伝搬する時間であるTDだけ遅延し、全体で2TDだけ遅延する。
【実施例18】
【0184】
したがって、A端には、図37(a)に示した波形と、図36(c)に相当する図37(b)に示した波形の重ね合わせにより、図37(c)に示す波形が現れることになる。したがって、この実施例18においても、遠端クロストークに相当するB端に現れる結合信号を通信のために利用しているので、信号伝送の信頼性を高めることができる。
【実施例18】
【0185】
なお、図34の結合器112,112の長さを図4の結合器12,12の長さの半分にすると、図35乃至図37に関して説明した波形が結合器の一端から他端に到達するまでの時間はTD/2となり、往復に要する時間はTDとなる。したがって、図37(c)における2TDは半分のTDとなるので、図37(c)の波形は図6(c)の波形と等しくなる。即ち、この実施例18の結合器は、実施例1の結合器の半分の長さで、同じ信号を通信することができ、結合器を小さくすることができる。但し、差動信号ではなくシングルエンド信号なので、同相ノイズに対する耐性は低くなる。
【実施例19】
【0186】
次に、図38を参照して、本発明の実施例19の方向性結合式差動通信装置を説明するが、実施例1の方向性結合式差動通信装置の改善例である。図38は、本発明の実施例19の方向性結合式差動通信装置の構成説明図であり、図38(a)は概略的斜視図であり、図38(b)は概略的側面図である。ここでは、主基板(マザーボード)と子基板のモジュール間のインタフェースを実現する際に、子基板の表面に結合器を直接設けたものである。
【実施例19】
【0187】
実施例1と同様に主基板40にFPC42,42を用いた結合器要素41,41が設置されていて、各結合器要素41,41には、結合器43,43が設けられており、引出し伝送線路44,44,45,45を介して送受信回路46に接続されている。
【実施例19】
【0188】
一方、ディスプレイモジュール(子基板)50の表面に結合器53,53を直接設けて、引出し伝送線路54,54,55,55を介して送受信回路56に接続されている。ここで、主基板40に設けたテラス部材61,61を利用して結合器要素41,41に設けた結合器43,43が子基板50に設けた結合器53,53に近接設置するように構成する。なお、主基板40と子基板50は、支持部材62を用いて積層する。ここでも、互いに対向する結合器同士の電磁界結合において、結合系インピーダンスZ0-coupledの整合を取るよう設定する。
【実施例19】
【0189】
このように、本発明の実施例19においては子基板上の配線で結合器と引出し伝送線路を形成することができ、FPCが不要になるので低コスト化が可能になる。また、実施例1の場合には、FPCを小さな曲率半径で曲げる必要があるが、実施例19においてはFPCを用いないので製造工程を簡素化することができる。
【実施例20】
【0190】
次に、図39を参照して、本発明の実施例20の方向性結合式差動通信装置を説明するが、実施例19の方向性結合式差動通信装置の改善例である。図39は本発明の実施例19の方向性結合式差動通信装置の構成説明図であり、図39(a)は概略的斜視図であり、図39(b)は概略的側面図である。ここでは、主基板(マザーボード)と子基板のモジュール間のインタフェースを実現する際に、親基板及び子基板の表面に結合器を直接設けるとともに、誘電体を用いて電磁界結合を強くしたものである。
【実施例20】
【0191】
主基板40の表面に直接結合器43,43が設けられており、引出し伝送線路44,44,45,45を介して送受信回路46に接続されている。一方、ディスプレイモジュール(子基板)50の表面に結合器53,53を直接設けて、引出し伝送線路54,54,55,55を介して送受信回路56に接続されている。
【実施例20】
【0192】
ここで、結合器43,43と結合器53,53との間に比誘電率が1より高い物質、例えば、BaO-R-TiO等からなる誘電体セラミックス等の誘電体69,69を設けて、結合器43,43と結合器53,53との間の電磁界結合を強める。なお、主基板40と子基板50は、支持部材62を用いて積層する。ここでも、互いに対向する結合器同士の電磁界結合において、結合系インピーダンスZ0-coupledの整合を取るよう設定する。
【実施例20】
【0193】
このように、本発明の実施例20においては親基板及び子基板上の配線で結合器と引出し伝送線路を形成することができ、テラス部材及びFPCが不要になるので低コスト化が可能になる。また、実施例1の場合には、FPCを小さな曲率半径で曲げる必要があるが、実施例20においてはFPCを用いないので製造工程を簡素化することができる。
【実施例21】
【0194】
次に、図40及び図41を参照して、本発明の実施例21の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例21は上述の実施例11の改善例である。即ち、実施例11においては、電磁界シミュレーションの結果、図21(a)に示した閉回路において、結合器92,93の長さが長い場合に、閉回路内に定在波が存在して信号が歪むことが分かった。
【実施例21】
【0195】
図40は電磁界シミュレーション結果の説明図であり、結合器の長さLが2.5mmの場合には平坦な特性が得られるが、長さが5.0mm、7.5mm、10.0mmになった場合に、結合度にこぶが現れ平坦性が失われる。因みに、L=5.0mm、7.5mm、10.0mmの場合のピーク値は0.638dB@7.000GHz、0.699dB@5.100GHz、0.673dB@4.050GHzである。
【実施例21】
【0196】
図41は、本発明の実施例21の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図41(a)は第3モジュールの平面図であり、図41(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図であり、図41(c)は第1モジュール及び第2モジュールを反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例21】
【0197】
この実施例21においては、図41(a)に示すように、第3モジュール90に設けた2つの結合器を夫々2つの結合器92,92及び2つの結合器93,93とそれらを連結する終端抵抗92,93で構成する。ここで、引出し伝送線路94と引出し伝送線路95とは等長とする。終端抵抗92,93の抵抗値は引出し伝送線路94と引出し伝送線路95の特性インピーダンスに整合させる。
【実施例21】
【0198】
なお、第1モジュール70及び第2モジュール80は上記の実施例11と同様であり、それぞれ結合器72,82が設けられており、送受信回路を備えた半導体集積回路装置と引出し伝送線路73,74,83,84により接続されている。
【実施例21】
【0199】
このように、本発明の実施例21においては、閉回路内に終端抵抗を挿入し、信号を整合終端させることで、定在波を減衰させ、信号歪を除去することが可能になる。
【実施例22】
【0200】
次に、図42を参照して、本発明の実施例22の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例22は上述の実施例13の改善例である。即ち、実施例13においても実施例11と同様に、第3モジュールを構成する閉回路において、結合器92,93の長さが長い場合に、閉回路内に定在波が存在して信号が歪むことが分かった。
【実施例22】
【0201】
図42は、本発明の実施例22の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図42(a)は第3モジュールの平面図であり、図42(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図であり、図42(c)は第1モジュール及び第2モジュールを反転して重ね合わせた場合の透視平面図である。
【実施例22】
【0202】
この実施例22においては、図42(a)に示すように、第3モジュール90に設けた2つの結合器を夫々2つの結合器92,92及び2つの結合器93,93とそれらを連結する終端抵抗92,93で構成する。ここで、引出し伝送線路94と引出し伝送線路95とは等長とする。終端抵抗92,93の抵抗値は引出し伝送線路94と引出し伝送線路95の特性インピーダンスに整合させる。
【実施例22】
【0203】
なお、第1モジュール70及び第2モジュール80は上記の実施例13と同様であり、それぞれ結合器72,82が設けられており、送受信回路を備えた半導体集積回路装置と引出し伝送線路73,74,83,84により接続されている。
【実施例22】
【0204】
このように、本発明の実施例22においても、閉回路内に終端抵抗を挿入し、信号を整合終端させることで、定在波を減衰させ、信号歪を除去することが可能になる。
【実施例23】
【0205】
次に、図43を参照して、本発明の実施例23の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例23は上述の実施例14の改善例である。即ち、実施例14においても実施例11と同様に、第3モジュールを構成する閉回路において、結合器92,93の長さが長い場合に、閉回路内に定在波が存在して信号が歪むことが分かった。
【実施例23】
【0206】
図43は、本発明の実施例23の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図43(a)は第3モジュールの平面図であり、図43(b)は第1モジュール及び第2モジュールの平面図である。
【実施例23】
【0207】
この実施例23においては、図43(a)に示すように、第3モジュール90に設けた2つの結合器を夫々2つの結合器92,92及び2つの結合器93,93とそれらを連結する終端抵抗92,93で構成する。ここで、引出し伝送線路94と引出し伝送線路95とは等長とする。終端抵抗92,93の抵抗値は引出し伝送線路94と引出し伝送線路95の特性インピーダンスに整合させる。
【実施例23】
【0208】
なお、第1モジュール70及び第2モジュール80は上記の実施例14と同様であり、それぞれ結合器72,82が設けられており、それぞれ送受信回路67,68と引出し伝送線路73,74,83,84により接続されている。
【実施例23】
【0209】
このように、本発明の実施例23においては、閉回路に設ける結合器を2つの結合器とそれらを連結する終端抵抗により構成しているので実施例21或いは実施例22と同様に結合度特性を平坦にすることができ、それによって信号歪を除去することができる。
【実施例24】
【0210】
次に、図44を参照して、本発明の実施例24の方向性結合式差動通信装置を説明する。この実施例24は、上記の実施例11の方向性結合式差動通信装置における第1モジュール70及び第2モジュール80をパッケージにより形成したものであり、それ以外の結合器同士の結合状態等は実施例11と同様である。
【実施例24】
【0211】
図44は、本発明の実施例24の方向性結合式差動通信装置の概念的構成を示す断面図であり、パッケージの内部には半導体集積回路チップが実装されている。
【実施例24】
【0212】
図44に示すように、第1モジュール及び第2モジュールをパッケージ170,170で構成した場合には、パッケージ170,170の配線を利用して結合器172,172を形成し、基板171,171の裏面に形成したバンプ174,174を用いて第3モジュール90に接続する。
【実施例24】
【0213】
本発明の実施例24においては、パッケージの配線で結合器を作れるので、半導体チップの配線を使って結合器を作る場合よりも第3モジュールの結合器端の近くに配置でき、結合度を強くできる。なお、図においては、基板171,171の半導体チップ搭載面側の配線を用いて結合器を形成しているが、基板171,171の裏面側の配線を用いて結合器を形成しても良い。
【実施例25】
【0214】
次に、図45及び図46を参照して、本発明の実施例25の方向性結合式差動通信装置を説明する。この実施例25は、上記の実施例15の方向性結合式差動通信装置をマルチドロップバスとして用いるために設計変更したものである。
【実施例25】
【0215】
図45は、本発明の実施例25の方向性結合式差動通信装置の説明図であり、各結合器要素180,180,180を重ねて実装してマルチドロップバスを構成する。なお、各結合器要素180,180,180は、それぞれ、FPC181,181,181の表面に結合器182,182,182を設け、引出し伝送線路183,184,183,184,183,184に接続されている。また、FPC181,181,181の裏面には、結合器182,182,182に対応する部分を欠落部186,186,186とするプレーン185,185,185が設けられている。
【実施例25】
【0216】
また、FPC181,181,181の表裏両面には、保護のためのカバーレイ187,188,187,188,187,188を設けており、空隙を介して対向配置する。空隙の間隔は0mm乃至数cmである。なお、隙間を空けずに、例えばFPCのカバーレイやポリエチレンテレフタレート(PET)などの材料でできた絶縁膜を挟んで、結合器182,182,182が投影的に重なるように接着剤等で張り合わせても良い。また、FPCに限られるものではなく、プリント回路基板(PCB)、半導体基板、或いは、パッケージ内の基板でも良い。
【実施例25】
【0217】
図46は引出し伝送線路の引出し方向の説明図であり、図46(a)は下層に配置する結合器要素180及び上層に配置する結合器要素180の平面図であり、図46(b)は中間に配置する結合器要素180の平面図である。また、図46(c)は図45のように積層した場合の一部透視平面図である。この時、中間の結合器要素180の引出し伝送線路183,184の引出し方向に対して、上下の結合器要素180,180の引出し伝送線路183,184,183,184の引出し方向を反対にして、引出し伝送線路間の結合を小さくする。
【実施例25】
【0218】
本発明の実施例25においては、3つの結合器を積層方向で投影的に重ねているので、真ん中の結合器要素180をバスとするマルチドロップバスを構成して、結合器182から結合器182及び結合器182へ同時に通信することができる。また、下の結合器要素180をバスとするマルチドロップバスを構成して、結合器182から結合器182及び結合器182へ同時に通信することも可能になる。
【実施例26】
【0219】
次に、図47を参照して、本発明の実施例26の方向性結合式差動通信装置を説明する。図47は、本発明の実施例26の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図47(a)は第3モジュールの上面図であり、図47(b)は第3モジュールの底面図であり、図47(c)は第3モジュール要部透視平面図である。図47(c)に示すように、絶縁性基板190の表裏に設ける結合器191,191を互いに直交方向に配置することによって、結合器191と結合器191との間の干渉が起こらないようにしたものである。なお、図面における符号192,192,193,193は引出し伝送線路である。なお、図における符号194,194、195,195はそれぞれプレーン及びプレーンの欠落部である。
【実施例26】
【0220】
したがって、結合器191と第1モジュールの結合器を結合させ、結合器191と第2モジュールの結合器を結合させても、第1モジュールと第2モジュールとの間の結合は起こらないので、クロストークが発生することがない。
【実施例27】
【0221】
次に、図48及び図49を参照して、本発明の実施例27の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例27は上述の実施例1の変形例である。図48は、本発明の実施例27の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図48(a)は第1モジュールの結合器要素の平面図であり、図48(b)は第2モジュールの結合器要素の平面図である。また、図48(c)は第2モジュールを表裏反転させて積層した場合の透視平面図である。
【実施例27】
【0222】
この実施例27においては、図48(a)に示すように、第1モジュールの結合器要素41に設けた結合器43を円弧状結合器とする。また、図48(b)に示すように、第2モジュールに設けた結合器要素51に設ける結合器53も、結合器43と同じ形状の円弧状結合器とする。ここでは、図48(c)に示すように、第2モジュールを角度θ回転させた状態で積層する。なお、ここでは、第2モジュールの表裏を反転させて積層しているが、反転させずに積層しても良い。
【実施例27】
【0223】
図49は、結合度の角度θ依存性の説明図であり、図49(a)はθ=0°の場合の結合度の説明図であり、図49(b)はθ=90°の場合の結合度の説明図であり、図49(c)はθ=180°の場合の結合度の説明図である。図に示すように、θ=0°~θ=180°の間で安定した結合度が得られることが電磁界シミュレーションにより分かった。
【実施例27】
【0224】
したがって、第1モジュール及び第2モジュールの引出し伝送線路44,45,54,55を自由な角度に引出すことができ、設計自由度を大きくすることができる。なお、第1モジュール及び第2モジュールに対して回転自在に設置することによって、回転部に用いる電磁界結合コネクタとすることができる。
【実施例28】
【0225】
次に、図50を参照して、本発明の実施例28の方向性結合式差動通信装置を説明するが、この実施例28は上述の実施例27の変形例である。図50は、本発明の実施例28の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、図50(a)は第1モジュールの結合器要素の平面図であり、図50(b)は第2モジュールの結合器要素の平面図である。また、図50(c)は第2モジュールを積層した場合の透視平面図である。なお、ここでは、第2モジュールの表裏を反転させて積層しているが、反転させずに積層しても良い。
【実施例28】
【0226】
この実施例28においては、図50(a)に示すように、第1モジュールの結合器要素41に設けた結合器43を実施例27と同様にほぼ円状の円弧状結合器とする。一方、図50(b)に示すように、第2モジュールの結合器要素51に設ける結合器53は三日月状の円弧状結合器とする。
【実施例28】
【0227】
図50(c)に示すように、一方の結合器を三日月状の円弧状結合器としても、どのような角度θで結合させても結合度はほとんど変わらないので、回転部に用いる電磁界結合コネクタとすることができる。
【実施例29】
【0228】
次に、図51を参照して、本発明の実施例29の方向性結合式差動通信装置を説明する。図51は、本発明の実施例29の方向性結合式差動通信装置の概略的構成図であり、回転部に用いる電磁界結合コネクタとして好適な構造としたものである。図51(a)は装置の一部透視要部斜視図であり、図51(b)及び図51(c)は電磁界結合コネクタの斜視図である。
【実施例29】
【0229】
図51(a)に示すように、PC本体部201とPCディスプレイ202との結合部のヒンジ203に引出し伝送線路205,206に接続された弧状結合器204を固定して設け、引出し伝送線路205,206に接続された弧状結合器204を弧状結合器204の内部に回転自在に入れ子状に組み込んで電磁界コネクタを形成する。
【実施例29】
【0230】
図51(b)に示すように、弧状結合器204,204はヒンジ203の延在方向に沿って厚みを有している。弧状結合器204は弧状結合器204の内部に同心円状に回転自在に入れ子状に込みこまれている。なお、図51(b)はPCディスプレイ202を開いた状態の構成として示している。
【実施例29】
【0231】
或いは、図51(c)に示すように、ヒンジ203の延在方向の長さを長くして、長さ方向、即ち、ヒンジ203の延在方向に信号を流すようにしても良い。
【実施例29】
【0232】
このように、本発明の実施例29においては、ヒンジ部に電磁界結合コネクタを設けているので、PC本体部201とPCディスプレイ202を配線で接続する必要がなくなる。
【符号の説明】
【0233】
10 第1モジュール
10 第2モジュール
11 第1絶縁性基板
11 第2絶縁性基板
12 第1結合器
12 第2結合器
13,13,14,14 入出力接続線
15,15 送受信回路
16,16 電磁シールド層
17,17 欠落部
18,18,19,19 カバーレイ
40 主基板
41,41,41,51,51,51結合器要素
42,42,42,52,52,52 FPC
43,43,43,43,53,53,53 結合器
44,44,44,45,45,45,55,54,54,55,55引出し伝送線路
46,56 送受信回路
47,47,47,57,57,57 プレーン
48,48,48,58,58,58 欠落部
49,49,59,59 カバーレイ
50 子基板
61,61,61 テラス部材
62 支持部材
63,63,64,64 ボンディングワイヤ
65,66 半導体集積回路装置
67,68 送受信回路
69,69 誘電体
70 第1モジュール
71,81,91:FPC
72,82,92,92,92,93,93,93 結合器
73,74,83,84,94,95 引出し伝送線路
75,85 半導体集積回路装置
76,86,96 プレーン
77,87 半導体チップ
78,88 バンプ
79,89 ボンディングワイヤ
80 第2モジュール
90 第3モジュール
92,93 終端抵抗
97,98 カバーレイ
99 FR4基板
100 PCB
101 FR4基板
102 プレーン
103,104 カバーレイ
110,110 モジュール
111,111 FPC
112,112 結合器
113,113 引出し伝送線路
114,114 終端線
115,115 プレーン
116,116 欠落部
120,150,160 第1モジュール
121,131,141,151,151,161 結合器
122,123,132,133,142,143 引出し伝送線路
124,134,144,154,164 半導体集積回路装置
125,156,165 RF4基板
126,158,159,167,168 カバーレイ
130 第2モジュール
140 第3モジュール
152,153,162,163 引出し信号線路
155 接続伝送線路
170,170 パッケージ
171,171 基板
172,172 結合器
173,173 キャップ
174,174 バンプ
180,180,180 結合器要素
181,181,181 FPC
182,182,182 結合器
183,183,183,184,184,184 引出し伝送線路
185,185,185 プレーン
186,186,186 欠落部
187,187,187,188,188,188 カバーレイ
190 絶縁性基板
191,191 結合器
192,192,193,193 引出し伝送線路
194,194 プレーン
195,195 欠落部
201 PC本体部
202 PCディスプレイ
203 ヒンジ
204,204 弧状結合器
205,205,206,206 引出し伝送線路
210,210 モジュール
211,211 基板
212,212 信号線路
214,214 抵抗
215,215 半導体集積回路装置
224,224 帰還線路
225,225,226,226 伝送線路
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
16
【図18】
17
【図19】
18
【図20】
19
【図21】
20
【図22】
21
【図23】
22
【図24】
23
【図25】
24
【図26】
25
【図27】
26
【図28】
27
【図29】
28
【図30】
29
【図31】
30
【図32】
31
【図33】
32
【図34】
33
【図35】
34
【図36】
35
【図37】
36
【図38】
37
【図39】
38
【図40】
39
【図41】
40
【図42】
41
【図43】
42
【図44】
43
【図45】
44
【図46】
45
【図47】
46
【図48】
47
【図49】
48
【図50】
49
【図51】
50
【図52】
51
【図53】
52