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明細書 :2型糖尿病の治療及び/又は予防薬

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-063513 (P2015-063513A)
公開日 平成27年4月9日(2015.4.9)
発明の名称または考案の名称 2型糖尿病の治療及び/又は予防薬
国際特許分類 C07K  16/18        (2006.01)
C12N  15/09        (2006.01)
A61K  39/395       (2006.01)
A61P   3/10        (2006.01)
A61P  43/00        (2006.01)
C12P  21/08        (2006.01)
FI C07K 16/18 ZNA
C12N 15/00 A
A61K 39/395 N
A61K 39/395 D
A61P 3/10
A61P 43/00 105
C12P 21/08
請求項の数または発明の数 16
出願形態 OL
全頁数 28
出願番号 特願2014-165695 (P2014-165695)
出願日 平成26年8月18日(2014.8.18)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用申請有り (1)掲載年月日 2014年2月3日 掲載アドレス http://nenkai.pharm.or.jp/134/web/ http://nenkai.pharm.or.jp/134/pc/isearch.asp http://nenkai.pharm.or.jp/134/pc/imulti_result.asp (2)集会名 日本薬学会 第134年会(熊本) 開催日 2014年3月27日から2014年3月30日
優先権出願番号 2013175612
優先日 平成25年8月27日(2013.8.27)
優先権主張国 日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】斎藤 芳郎
【氏名】野口 範子
【氏名】三田 雄一郎
【氏名】中山 華穂
出願人 【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
個別代理人の代理人 【識別番号】110000796、【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4B024
4B064
4C085
4H045
Fターム 4B024AA01
4B024BA44
4B024CA04
4B024CA11
4B024DA02
4B024EA04
4B024GA11
4B024HA08
4B064AG27
4B064BJ12
4B064CA10
4B064CA20
4B064CC24
4B064DA01
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB11
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4H045AA11
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
要約 【課題】セレン含有蛋白質に関連する糖尿病、特に2型糖尿病の治療及び/又は予防剤の有効成分の提供。
【解決手段】主に肝臓で生合成される69kDa(362アミノ酸)の糖タンパク質であるセレノプロテインPの特定の領域(204~261番目のアミノ配列内、好ましくは、204~254番目のアミノ配列内、より好ましくは、204~217番目のアミノ配列内)をエピトープする抗体。イムノグロブリン、F(ab’)、Fab、Fv、scFv、テトラボディー及びミニボディーより選択される少なくとも一つの構造を有する前記抗体。
【効果】前記抗体がセレノプロテインPの細胞内への取り込みを阻害し、また、前記抗体が、細胞内におけるグルタチオンペルオキシダーゼの増加を抑制し、糖尿病、特に2型糖尿病の治療及び/又は予防剤としての有用である。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合する抗体。
【請求項2】
エピトープが、セレノプロテインPの204~254番目のアミノ酸配列内に存在する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
エピトープが、セレノプロテインPの204~217番目のアミノ酸配列内に存在する、請求項1又は2に記載の抗体。
【請求項4】
イムノグロブリン、F(ab’)、Fab、Fv、scFv、scFv-Fc、テトラボディー及びミニボディーからなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する、請求項1~3に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体が、
配列番号3又は13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4又は14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、
及び
配列番号5又は15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、
及び/又は
配列番号8又は18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9又は19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、
及び
配列番号10又は20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する、請求項1~4の何れか1項に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体が、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域及び/又は
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域、又は
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する、請求項1~5の何れか1項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体が、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する、請求項1~6の何れか1項に記載の抗体。
【請求項8】
前記抗体が、
配列番号2又は12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は
配列番号7又は17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する、請求項1~7の何れか1項に記載の抗体。
【請求項9】
配列番号2に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号7に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する、請求項1~8の何れか1項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体が定常領域を含む、請求項1~9の何れか1項に記載の抗体。
【請求項11】
前記抗体がヒト化抗体である、請求項1~10の何れか1項に記載の抗体。
【請求項12】
前記抗体が、
配列番号1又は11に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は
配列番号6又は16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖
を有する、請求項1~11の何れか1項に記載の抗体。
【請求項13】
配列番号1に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び
配列番号6に示すアミノ酸配列を含む軽鎖、又は
配列番号11に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び
配列番号16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖
を有する、請求項1~12の何れか1項に記載の抗体。
【請求項14】
請求項1~13の何れか1項に記載の抗体を含む、セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤。
【請求項15】
項1~13の何れか1項に記載の抗体を含む、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤。
【請求項16】
請求項1~13の何れか1項に記載の抗体を含む、2型糖尿病の治療薬。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、2型糖尿病の治療及び/又は予防薬に関する
【背景技術】
【0002】
セレンは、生体にとって重要な役割を果たしている。例えば、中国の克山(ケシャン)地方は土壌中のセレンが少なく、これに起因してこの地区の住民の多くがセレン欠乏状態となり、延いては重篤な心筋症を生じることが知られている。また、土壌中のセレン濃度が低い地域の住民は、それによって血中のセレン濃度が低下し、動脈硬化・ガン等の発症率が増加することも知られている。そして、HIV感染者は血中のセレン濃度が低下する傾向となり、これによってHIV感染者の生存率が低下することが知られている。
【0003】
また、セレン濃度の異なる餌を用いた動物実験の結果から、免疫機能、精子形成といった雄性生殖機能等に影響を及ぼすことも知られている。更に、セレン含有タンパク質(セレノプロテイン)形成不全トランスジェニックマウスを創出したところ、これが初期胚性致死のフェノタイプを示すことも知られている。
【0004】
日本人のセレンの平均摂取量は100μg/日と言われ、30μg/日を摂取することが推奨されている。セレンを多く含む食材としては、カツオ、カキ、ホタテ貝、タラ、イワシなどの魚介類及び肉類等が知られている。
【0005】
ところが、800μg/日以上の摂取量となると、これが過剰摂取の域に達し、結果として下痢、脱毛、末梢神経障害等といった、水銀と同レベルの中毒症状を引き起こすと言われている。すなわち、セレンの適正摂取量の範囲は非常に狭いことが知られている。
【0006】
このようなセレンのサプリメント効果に関して、1312人が参加する大規模な臨床試験(the Nutritional Prevention Cancer Trial:NPC試験)が行われ、1日のセレン摂取量を200μgとした場合に、糖尿病を発症するリスクが高まるとの報告がされている(非特許文献1)。このような報告に関し、今もなお、セレン及び抗酸化物質であるビタミンEのサプリメントとしての有用性評価(3万5千人が参加する、Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial:SELECT試験)が検証されている。
【0007】
セレノプロテインは、システイン残基の硫黄がセレンに置き換わったセレノシステイン残基を含むタンパク質の総称である。哺乳類のセレノプロテインとして、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)、チオレドキシンレダクターゼ(TR)、ヨードチロニン脱ヨード酵素、セレノホスフェートシンセターゼ、セレノプロテインP(SeP)、セレノプロテインW、15kDaセレノプロテイン等が知られ、これらは細胞内の酸化還元に関与するタンパク質であることも知られている。
【0008】
中でも、主に肝臓で生合成されるセレノプロテインPは、血漿中の主要なセレノプロテインで(血漿中の濃度は5.3μg/ml)、69kDa(362アミノ酸)の糖タンパク質であることが知られている。セレノプロテインPのアミノ酸一次構造と機能との関係が詳細に研究されており、N末端側に酵素活性部位を有し、セレノシステイン残基に富むC末端側が細胞へセレンを供給する機能を発揮していると考えられている。また、N末端でもC末端でもない領域にヒスチジンリッチドメインを有していることも知られている(非特許文献2~5)。
【0009】
そしてセレノプロテインPは、その肝臓での発現量、血漿中における濃度、並びに糖尿病病態との間で、相関関係が存在する研究結果が報告されている。より詳細には、セレノプロテインPが増加することによって、インスリン抵抗性が増大することが明らかとなっている(非特許文献6)。
【先行技術文献】
【0010】

【非特許文献1】Ann Intern Med.(2007)21;147(4):217-23.
【非特許文献2】Biochem.J.(2004)381,841-846
【非特許文献3】J.Biol.Chem.(1999)274,2866-2871
【非特許文献4】J.Biol.Chem.(2002)277,41254-41258
【非特許文献5】Eur.J.Biochem.(2002)269,5746-5751
【非特許文献6】Cell Metabolism(2010)12,483-495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のように、セレノプロテインPは、糖尿病に関連することが知られているにもかかわらず、セレノプロテインPとの関係で、どのような化合物が糖尿病の治療薬の候補となるかという知見すら見当たらない。然るに、本発明は糖尿病、特に2型糖尿病の治療及び/又は予防剤の有効成分を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決すべく、発明者らは鋭意研究を重ねた結果、セレノプロテインPの特定の領域をエピトープとする抗体が、セレノプロテインPの細胞内への取り込みを阻害することを見出した。また、斯かる抗体が、細胞内におけるグルタチオンペルオキシダーゼの増加を抑制することも見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を含むものである。
[項1]
セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合する抗体。
[項2]
エピトープが、セレノプロテインPの204~254番目のアミノ酸配列内に存在する、項1に記載の抗体。
[項3]
エピトープが、セレノプロテインPの204~217番目のアミノ酸配列内に存在する、項1又は項2に記載の抗体。
[項4]
ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体である項1~項3の何れか一項に記載の抗体。
[項5]
イムノグロブリン、F(ab’)、Fab、Fv、scFv、scFv-Fc、テトラボディー及びミニボディーからなる群より選択される少なくとも1つの構造を有する、項1~項4に記載の抗体。
[項6]
前記抗体が、
配列番号3又は13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4又は14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、
及び
配列番号5又は15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、
及び/又は
配列番号8又は18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9又は19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、
及び
配列番号10又は20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域を有する、項1~項5の何れか1項に記載の抗体。
[項7]
前記抗体が、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域及び/又は
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域、又は
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する、項1~項6の何れか1項に記載の抗体。
[項8]
前記抗体が、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域を有する、項1~項7の何れか1項に記載の抗体。
[項9]
前記抗体が、
配列番号2又は12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は
配列番号7又は17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する、項1~項8の何れか1項に記載の抗体。
[項10]
前記抗体が、
配列番号2に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号7に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する、項1~項9の何れか1項に記載の抗体。
[項11]
前記抗体が定常領域を含む、項1~項10の何れか1項に記載の抗体。
[項12]
前記抗体がキメラ抗体である、項1~項11の何れか1項に記載の抗体。
[項13]
前記抗体がヒト化抗体である、項1~項12の何れか1項に記載の抗体。
[項14]
前記抗体が、
配列番号1又は11に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び/又は配列番号6又は16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖を有する、項1~項13の何れか1項に記載の抗体。
[項15]
前記抗体が、
配列番号1に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び
配列番号6に示すアミノ酸配列を含む軽鎖、又は
配列番号11に示すアミノ酸配列を含む重鎖、及び
配列番号16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖
を有する、項1~項14の何れか1項に記載の抗体。
[項16]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を含む、セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤。
[項17]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を含む、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤。
[項18]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を含む、2型糖尿病の治療薬。
[項19]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を生体に投与する工程を含む、セレノプロテインPの細胞内取り込みを阻害する方法。
[項20]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を生体に投与する工程を含む、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導を抑制する方法。
[項21]
項1~項15の何れか1項に記載の抗体を生体に投与する工程を含む、2型糖尿病の治療方法。
【発明の効果】
【0013】
以下に、本発明の効果を説明するが、本発明は以下に示すすべての効果を発揮する発明に限定されないのは言うまでもない。
【0014】
本発明のモノクローナル抗体は、セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤の有効成分として効果を発揮する。
【0015】
本発明のモノクローナル抗体は、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤の有効成分として効果を発揮する。
【0016】
本発明のモノクローナル抗体は、2型糖尿病の治療薬の有効成分として効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】AE2の可変領域のアミノ酸配列を示す図。
【図2】BD1の可変領域のアミノ酸配列を示す図。
【図3】エピトープの探索実験におけるAE2を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図4】エピトープの探索実験におけるBD1を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図5】細胞内へのSeP取り込み阻害実験・GPx誘導阻害実験における各種モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図6】図3の結果を定量化したグラフ。
【図7】C2C12細胞内へのSeP取り込み阻害及びC2C12細胞内でのGPx誘導阻害実験。各種モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図8】図5の結果を定量化したグラフ。
【図9】高濃度のSePを用いたC2C12細胞内へのSeP取り込み阻害及びC2C12細胞内でのGPx誘導阻害実験。SE2を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図10】Jurkat細胞内へのSeP取り込み阻害誘導阻害実験。各種モノクローナル抗体を用いたウエスタンブロッティング実験結果を示す図。
【図11】AE2投与による血中濃度を測定した実験結果を示す図。
【図12】AE2投与によるSePによって誘導されたインスリン抵抗性の改善効果を確認する実験結果を示す図。
【図13】図12に示す結果から、AUCを算出した結果を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するために使用する様々な技術は、特にその出典を明示した技術を除いては、公知の文献等に基づいて当業者であれば容易かつ確実に実施可能である。例えば、遺伝子工学及び分子生物学的技術であれば、Sambrook and Russell,“Molecular Cloning A LABORATORY MANUAL”,Cold Spring Harbor Laboratory Press,New York,(2001);Ausubel,F.M.et al.“Current Protocols in Molecular Biology”,John Wiley&Sons,New York,.NY等の文献を参照
すればよい。

【0019】
また、抗体工学的技術であれば、Kabat et al.,”Sequences of Proteins of Immunological Interest,”U.S.Department of Health and human Services,(1983),Konterman and Dubel,“Antibody Engineering”,Springer等の文献を参照すればよい。

【0020】
〔抗体〕
本発明に係る抗体は、セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合する抗体を含む。より好ましくは204~254番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに、更に好ましくは、204~217番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合する抗体である。

【0021】
セレノプロテインPのアミノ酸配列は、例えばNCBIのウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)において、Accession No.NP_001078955 VERSION NP_001078955.1 GI:148277018として収載されている。より具体的には、配列番号25に示すものである。

【0022】
上述の用語“特異的な結合”とは、セレノプロテインPの例えば204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに選択的に結合することに限定されず、セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列以外のアミノ酸配列に、特にセレノプロテインPのホモログ等といった、セレノプロテインPと一次又は高次構造的に類似する分子がセレノプロテインPと共存している場合に、セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープと優先的に結合することで説明される。

【0023】
なお、上述のような本発明の抗体が、セレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合するということは、上述したセレノプロテインPのホモログ等の特定のアミノ酸配列内に存在するエピトープとの結合が排除されるものではない。

【0024】
このような上述の抗体の、セレノプロテインPの例えば204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープとの特異的な結合の程度は、Kd値、Koff値、又はKon値といった反応速度定数でも評価される。なお、Kd値とは、Koff値をKon値で除して得られる値である。

【0025】
このような本発明に係る抗体のセレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープとの結合に関する反応速度定数は特に限定されないが、例えばKd値であれば、通常0.01~100nM程度である。

【0026】
本発明に係る抗体は、モノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であってもよい。また、抗体の由来も特に限定はされない。

【0027】
本発明に係る抗体の構造は、イムノグロブリン(Ig)分子に限定はされず、その断片であってもよい。この様な断片としては重鎖及び/又は軽鎖可変領域を含んでいればよく、斯かる断片を適宜再構成した構造であってもよい。

【0028】
このような本発明の抗体の具体的な構造として、例えばF(ab’)、Fab、Fv、scFv、scFv-Fc、テトラボディー、ミニボディー等が挙げられる。

【0029】
また、上記イムノグロブリンも、そのアイソタイプは限定されず、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、IgY等が挙げられる。そして、IgGのサブクラスも特に限定はされず、IgG1、IgG2、IgG2a、IgG2b、IgG3、IgG4等が挙げられる。

【0030】
本発明の抗体は、特定のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を有する態様であることができる。具体的には、
配列番号3又は13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4又は14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5又は15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び/又は
配列番号8又は18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9又は19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10又は20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する抗体が挙げられる。

【0031】
更に好ましくは、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域及び/又は
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域、又は
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する抗体が挙げられる。

【0032】
更に好ましくは、
配列番号3に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号4に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号5に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号8に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号9に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号10に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号13に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR1、
配列番号14に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR2、及び
配列番号15に示すアミノ酸配列からなる重鎖CDR3
を含む重鎖可変領域、及び
配列番号18に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR1、
配列番号19に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR2、及び
配列番号20に示すアミノ酸配列からなる軽鎖CDR3
を含む軽鎖可変領域
を有する抗体が挙げられる。

【0033】
上述の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を有する抗体は、更にフレームワーク領域(FR)又はその準領域を含んでいてもよい。FRを構成するアミノ酸配列は、公知の方法によって適宜決定することができる。具体的には、The National Center for Biotechnology Information(NCBI)のウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)に記載の情報を参照すればよい。

【0034】
ヒト由来の機能的生殖細胞から得られるFRとして、例えばKOL、NEWM、REI、EU、TUR、TEI、LAY、POM等が挙げられる。これらのヒト型のFRの例は、Kabat,et.al.”Sequences of Proteins of Immunological Interest”:US Department of Health AND human Services、NIH(1991) USA、又はWu TT,Kabat EA.“An analysis of the sequences of the variable regions of Bence Jones proteins and myeloma light chains and their implications for antibody complementarity.”J Exp Med.132:211-50(1970)等を参照すればよい。

【0035】
このようなFRを含む重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を有する抗体として、例えば
配列番号2又は12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は
配列番号7又は17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する抗体が挙げられる。

【0036】
より好ましくは、
配列番号2に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号7に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;又は
配列番号12に示すアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び
配列番号17に示すアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域
を有する抗体が挙げられる。

【0037】
上述重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を有する抗体は、更に定常領域を有していてもよい。また、これらの抗体は、ヒト化されていても、キメラ化されていてもよい。

【0038】
ヒト化抗体とは、定常領域及び可変領域のFRがヒト由来のアミノ酸配列であり、それ以外の部分がヒト以外の生物種に由来するアミノ酸配列である抗体を意味する。また、キメラ化とは、定常領域がヒト由来のアミノ酸配列であり、可変領域がヒト以外の生物種に由来するアミノ酸配列である。

【0039】
このようなヒト以外の生物種とは、特に限定はされないが、例えばマウス、ラット、ウサギ、ダチョウ、サル、チンパンジー、ウマ、ロバ、ハムスター、モルモット等が挙げられる。

【0040】
このような定常領域は、例えば重鎖定常領域であれば、N末端から順にETTを有するアミノ酸配列、より好ましくはN末端から順にETTAを有するアミノ酸配列を含む定常領域が挙げられる。また、軽鎖定常領域であれば、N末端から順にRAを有するアミノ酸配列、より好ましくはN末端から順にRAAを有するアミノ酸配列を含む定常領域が挙げられる。

【0041】
上述の定常領域を有する抗体として、例えば、
配列番号1又は11に示すアミノ酸配列を含む重鎖及び/又は
配列番号6又は16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖
を有する抗体が挙げられる。

【0042】
好ましくは、
配列番号1に示すアミノ酸配列を含む重鎖及び
配列番号6に示すアミノ酸配列を含む軽鎖又は
配列番号11に示すアミノ酸配列を含む重鎖及び
配列番号16に示すアミノ酸配列を含む軽鎖
を有する抗体が挙げられる。

【0043】
なお、上記のアミノ酸配列には、本発明の抗体の機能、効果等を減衰させない範囲に限り、適宜変異が施されていてもよい。具体的な変異導入の数は、共に特に限定はされないが、通常は変異前のアミノ酸配列と85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上、最も好ましくは99%以上の同一性を有する変異体となるような変異導入数とすればよい。

【0044】
変異の導入箇所は、特に限定はされないが、本発明の抗体の機能、効果等を減衰させないことに鑑みて、例えば、上述したFR領域、定常領域等に変異を導入することが好ましい。

【0045】
本明細書にて使用する用語、『同一性』とは、2以上の対比可能なアミノ酸配列又は塩基配列の、お互いに対する同一のアミノ酸配列又は塩基配列の程度をいう。従って、ある2つのアミノ酸配列又は塩基配列の同一性が高いほど、それらの配列の同一性または類似性は高い。アミノ酸配列又は塩基配列の同一性のレベルは、通常は、配列分析用ツールであるFASTAを用い、デフォルトパラメーターを用いて決定される。

【0046】
若しくは、KarlinおよびAltschulによるアルゴリズムBLAST(例えば、Karlin S,Altschul SF.Proc.Natl Acad Sci USA.87:2264-2268(1990)、Karlin S,Altschul SF.Natl Acad Sci USA.90:5873-7(1993)等)を用いて決定できる。このようなBLASTのアルゴリズムに基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(例えば、Altschul SF,GishW,Miller W,Myers EW,Lipman DJ.J Mol Biol.215:403-10(1990)等)。これらの解析方法の具体的な手法は公知であり、NCBIのウェブサイトが提供しているIgBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)を参照すればよい。

【0047】
上述の変異導入とは、置換、欠失、挿入等である。具体的な変異導入については、公知の方法を採用することができ、特に限定はされないが、例えば置換であれば保存的な置換技術を採用すればよい。

【0048】
本明細書にて使用する用語『保存的な置換技術』とは、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基に置換される技術を意味する。

【0049】
例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジンといった塩基性側鎖を有するアミノ酸残基同士で置換されることが、保存的な置換技術にあたる。その他、アスパラギン酸、グルタミン酸といった酸性側鎖を有するアミノ酸残基;グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システインといった非帯電性極性側鎖を有するアミノ酸残基;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンといった非極性側鎖を有するアミノ酸残基;スレオニン、バリン、イソロイシンといったβ-分枝側鎖を有するアミノ酸残基、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジンといった芳香族側鎖を有するアミノ酸残基同士での置換も同様に、保存的な置換技術にあたる。

【0050】
本発明に係る抗体の製造方法は公知の方法を用いて作成すればよい。例えば、上述のセレノプロテインPの全長又は少なくともセレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列を有するペプチド断片を、動物に免疫付与した後に斯かる動物から抗体を回収し、次いで回収した抗体の中からセレノプロテインPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープと特異的に結合する抗体を選択又はスクリーニングすればよい。

【0051】
なお、セレノシステインPの全長又はそのペプチド断片の作成方法は、以下の実施例にて示す方法を採用すればよい。

【0052】
具体的な選択方法又はスクリーニング方法は特に限定はされないが、例えばELISA法等といった公知の免疫科学的手段を適宜改変して用いればよい。

【0053】
本発明に係る抗体がモノクローナル抗体であれば、上述の免疫付与の後に抗体産生B細胞をリンパ節、脾臓等から採取し、これとミエローマ細胞等といった公知の細胞を融合させたハイブリドーマを作成し、斯かるハイブリドーマが産生する抗体を回収した後に、上述のような選択手段又はスクリーニング手段に供すればよい。

【0054】
他の方法としては、本発明に係る抗体のアミノ酸配列コードする塩基配列を、例えば上述のハイブリドーマ細胞から解析し、これをコードする塩基配列を含む核酸を作成した後に、斯かる核酸を含む遺伝子断片を抗体産生に適した公知のCHO等の細胞に導入して、これを発現させるといった方法が挙げられる。

【0055】
また、上述のアミノ酸配列を基にペプチド合成機を用いて製造することも可能である。

【0056】
本発明に係る抗体は、セレノプロテインPのPの204~261番目のアミノ酸配列内に存在するエピトープに特異的に結合することによって、セレノプロテインPの細胞内取り込みを阻害する効果を発揮する。従って、本発明に係る抗体は、セレノプロテインPの細胞内への取り込み阻害剤の有効成分とすることができる。また、本発明に係る抗体を、ヒトのみならず生体に投与することによって、セレノプロテインPの細胞内への取り込みを阻害することができる。

【0057】
また、本発明に係る抗体は、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導を抑制する効果を発揮する。従って、本発明に係る抗体は、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤の有効成分とすることができる。そして、本発明に係る抗体を、ヒトのみならず生体に投与することによって、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導を抑制することができる。

【0058】
セレノプロテインPの細胞内への取り込み上昇や、細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導は、2型糖尿病の発症機序に深く関与するものである。これらの作用を阻害する効果を発揮する、本発明に係る抗体は2型糖尿病の治療剤の有効成分として優れた効果を発揮することが期待される。そして、本発明に係る抗体を、ヒトのみならず生体に投与することによって、2型糖尿病の治療することが期待される。

【0059】
〔セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤〕
本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤は、上述の抗体を有効成分として含む。セレノプロテインPの細胞内への取り込みを阻害する態様には、細胞表面上に存在するセレノプロテインPを選択的に通過させる機能を有するレセプターを通過させないのみならず、細胞表面に結合する事も阻害する態様も包含する。

【0060】
本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤における、上述の抗体の含有量は、セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤100重量部に対して、通常は0.001~100重量部程度とすればよい。すなわち、上述の抗体そのものを、本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤としてもよい。

【0061】
本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤の使用対象動物は、生体であればヒトに限らずあらゆる動物個体を対象とできる。例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、サル、チンパンジー等の実験動物;イヌ、ネコ等の愛玩動物;その他保護を必要とするあらゆる動物種などが挙げられる。

【0062】
本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤は、上述の生体から取出した組織及び/又は細胞に対して使用してもよい。具体的な細胞とは、特に限定はされないが、例えば筋芽細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、筋管細胞等の筋肉細胞、T細胞等が挙げられる。そして、細胞とは初代培養細胞であっても、不死化された細胞であってもよい。

【0063】
本発明に係るセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤の使用量は、例えば生体に対して使用する場合、上述の抗体の量に換算して、通常であれば0.5~50mg/kg(個体体重)程度の量で使用すればよい。細胞に対して使用する場合も、上述の抗体の量に換算して、通常であれば、1μg~1mg/ml(培地)程度の量で使用すればよい。

【0064】
〔細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤〕
本発明に係るグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤は、上述の抗体を有効成分として含む。誘導抑制には、単にグルタチオンペルオキシダーゼの発現量の抑制のみならず、細胞においてグルタチオンペルオキシダーゼの活性の低下も意味する。

【0065】
用語、「誘導」とは、グルタチオンペルオキシダーゼの発現誘導することも包含する。

【0066】
グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)とは、還元型グルタチオンを利用して、過酸化水素、過酸化脂質等を基質として、これを水、ヒドロキシ型脂質を生成する酵素である。また、活性中心にセレン含有タンパク質であるセレノシステインを有するタンパク質である。

【0067】
グルタチオンペルオキシダーゼは、GPx1、GPx2、GPx3、GPx4、GPx5、GPx6、GPx7、GPx8等の何れにも限定はされないが、好ましくはGPx1である。

【0068】
例えば、GPx1の具体的なアミノ酸配列は、NCBIのウェブサイト(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)において、Accession No.P07203 VERSION P07203.4 GI:311033481として収載されている。より具体的には、配列番号26に示すものである。

【0069】
本発明に係るグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤における、上述の抗体の含有量は、グルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤100重量部に対して、通常は0.001~100重量程度とすればよい。すなわち、上述の抗体そのものを、本発明に係るグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤としてもよい。

【0070】
本発明に係るグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤の使用対象及び使用量は、上述の同様とすればよい。

【0071】
〔2型糖尿病の治療薬〕
本発明に係る2型糖尿病の治療薬は、上述の抗体を有効成分として含む。

【0072】
糖尿病とは、血糖値、ヘモグロビンA1c(HbA1c)の値が一定の基準値を超えていることを診断基準とする疾患であり、中でも2型糖尿病はインスリンの抵抗性が高い状態、膵臓のランゲルハンス島からのインスリンの分泌能が低下していることを主な原因とする疾患である。この意味で、膵臓のランゲルハンス島におけるインスリン分泌細胞であるβ細胞が死滅することを原因とする1型糖尿病とは区別される。より詳細には、『糖尿病の分類と診断基準に関する委員会報告(国際標準化対応版)』糖尿病 第55巻7号(2012)を参照すればよい。

【0073】
2型糖尿病治療薬のメトフォルミンは、AMPK/FoxO3aを介してセレノプロテインPの発現量を低下させることが知られるので、メトフォルミンがインスリン抵抗性を改善する作用には、セレノプロテインP発現量の低下が関与する可能性が考えられる(J Biol Chem.2014.289.335-345)。

【0074】
したがって、上述の2型糖尿病の中でも、セレノプロテインPによってインスリンの抵抗性が高い状態にある2型糖尿病が、本発明に係る治療薬の対象疾患として好ましい。

【0075】
用語『治療』とは、所望の薬理学的効果及び/又は生理学的効果を得ることを意味する。この効果は、疾病及び/又は疾病に起因する悪影響(病態、症状等)を、部分的又は完全に治癒することを含む。また、上記効果には、疾病及び/又は疾病に起因する悪影響(病態、症状等)の進行を阻止又は遅延する効果、病態や症状を緩和する(疾病、症状等の後退、又は進行の逆転を引き起こす)効果、再発を阻止する効果等が含まれる。

【0076】
また、上記効果には、疾病及び/又は疾病に起因する悪影響(病態、症状等)の素因を持ち得るが、まだ持っていると診断されていない個体において、疾病及び/又は疾病に起因する悪影響(病態、症状等)が起こることを部分的又は完全に防止する効果が含まれる。従って、『治療』なる用語には、『緩解』、『再発防止』、『予防』等の意味も含まれる。

【0077】
本発明に係る2型糖尿病の治療薬における、上述の抗体の含有量は、2型糖尿病の治療薬100重量部に対して、通常は0.001~100重量程度とすればよい。すなわち、上述の抗体そのものを、本発明に係る2型糖尿病の治療薬としてもよい。

【0078】
本発明に係る2型糖尿病の治療剤には、薬学分野の組成物を製造する際に使用される薬学的に許容可能な公知の担体又は添加物を配合してもよい。この様な担体或いは添加物の具体例として、任意の担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、潤滑剤、アジュバント、媒体、送達システム、乳化剤、錠剤分解物質、吸収剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、香料、または甘味料等が挙げられる。

【0079】
本発明に係る2型糖尿病の治療剤は上述の担体又は配合物を適宜組み合わせてあらゆる剤形とすることができる。具体的には、具体的な剤形としては、輸液剤、埋め込み注射剤、持続性注射剤等の注射剤;腹膜透析用剤、血液透析用剤等を含む透析用剤;口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、溶解錠等等の錠剤;硬カプセル錠、軟カプセル錠等のカプセル剤;発泡顆粒剤、徐放性顆粒剤、腸溶性顆粒剤等を含む顆粒剤;散剤;エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、リモナーデ剤等の経口液剤;シロップ用剤等のシロップ剤;経口ゼリー剤;トローチ剤、舌下錠、バッカル錠、付着錠、ガム剤等の口腔用錠剤;口腔用スプレー剤;口腔用半固形剤;含嗽剤;吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤等の吸入剤;眼軟膏剤等の点眼剤;点耳剤;点鼻粉末剤、点鼻液剤等の点鼻剤;坐剤;直腸用半固形剤;注腸剤;膣錠;膣用坐剤;外用散剤等の外用固形剤;リニメント剤、ローション剤等の外用液剤;外用エアゾール剤、ポンプスプレー剤等のスプレー剤;軟膏剤;クリーム剤;ゲル剤;テープ剤、パップ剤等の貼付剤等が挙げられる。

【0080】
これらの剤形は、第16改正日本薬局方解説書等の公知の文献に基づいて製造することができる。

【0081】
本発明に係る2型糖尿病の治療薬の投与対象動物は、上述のセレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤の使用対象とそれぞれ同様とすればよい。

【0082】
本発明に係る2型糖尿病の治療薬の投与方法は、特に限定されず、上述の投与対象、剤形等を適宜勘案して公知の投与方法を採用すればよい。具体的には、経口、筋肉内、静脈内、動脈内、くも膜下腔内、皮内、腹腔内、鼻腔内、肺内、眼内、腟内、頸部内、直腸内、皮下等へ投与する方法が挙げられる。

【0083】
本発明に係る2型糖尿病の治療薬の投与量は、投与対象動物がヒトであれば、通常は1~10mg/kg程度とすればよく、投与対象動物がマウスであれば、通常は1~10mg/kg程度とすればよい。その他の投与対象動物であれば、上述のヒト及びマウスにおける投与量を基に適宜設定することができる。

【0084】
本発明に係る2型糖尿病の治療薬の投与は、上記の量を一日に一度に投与してもよく、数回に分けて投与してもよい。また、上記疾患に対する治療効果を有する範囲において、投与間隔は、毎日、隔日、毎週、隔週、2~3週毎、毎月、隔月または2~3ヶ月毎でもよい。

【0085】
〔セレノプロテインの細胞内取り込みを阻害する方法〕
本発明に係るセレノプロテインの細胞内取り込みを阻害する方法は、上述の抗体を生体に投与する工程を含む方法である。

【0086】
上記〔セレノプロテインPの細胞内取り込み阻害剤〕に関する各種説明を参照することで、本発明に係るセレノプロテインの細胞内取り込みを阻害する方法が実施できる。

【0087】
〔細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導を抑制する方法〕
本発明に係る細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導を抑制は、上述の抗体を生体に投与する工程を含む方法である。

【0088】
上記〔細胞内のグルタチオンペルオキシダーゼの誘導抑制剤〕に関する各種説明を参照することで、本発明に係るセレノプロテインの細胞内取り込みを阻害する方法が実施できる。

【0089】
〔2型糖尿病の治療方法〕
本発明に係る2型糖尿病の治療方法は、上述の抗体を生体に投与する工程を含む方法である。

【0090】
上記〔2型糖尿病の治療剤〕に関する各種説明を参照することで、本発明に係る2型糖尿病の治療方法が実施できる。
【実施例】
【0091】
以下に、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されないことは言うまでもない。
【実施例】
【0092】
<実験例1:抗体の作製>
8週齢のメスのSDラット(150~200g)に、ヒト血漿から精製した250μgのセレノプロテインP(SeP)を免疫付与し、二週間後にリンパ節を回収した。回収したリンパ節とマウス由来のメラノーマを融合させてハイブリドーマを作成し、斯かるハイブリドーマが産生する抗体の中で、SePと結合する11クローンを、ELISA法を用いてスクリーニングした。
【実施例】
【0093】
得られた11クローンが産生する抗SePモノクローナル抗体をそれぞれ、AA3、AB1、AE2、AH5、BD1、BD3、BF2、DH6、DH7、DH9、DC12と命名した。
【実施例】
【0094】
得られた各種抗SePモノクローナル抗体のアミノ酸配列を検討した。各種モノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞よりNucleoSpin RNA kit(TAKARA)を用いてRNAを抽出した。濃度測定後、SMARTer RACE cDNA Amplification Kitを用いてcDNAを合成し、Primestar GXL(TAKARA)を用いて抗体の可変領域の増幅を行った。増幅したDNAをGel Extraction kit(Qiagen)を用いてゲルから抽出し、taq DNA polymerase(TAKARA)を用いてA付加を行った後にTOPO TA Cloning kit(Invitrogen)を用いてcloningを行った。単離したPlasmidの塩基配列はBigDyeTerminator v3.1 Cycle Sequencing KitとABI 3100 DNA Sequencerを用いて特定した。特定された塩基配列をNCBIが提供しているIgBLAST(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/igblast/)で解析することによりFR部位、CDR部位を決定した。
【実施例】
【0095】
各種モノクローナル抗体の可変領域中のCDR1~3、FR1~3及びJ領域を図1及び図2に示す。また、各種モノクローナル抗体のアミノ酸及び核酸配列を表1に示す。
【実施例】
【0096】
【表1】
JP2015063513A_000002t.gif
【実施例】
【0097】
表1中の※について、配列番号5は、N末端から順にSRH、配列番号10は、N末端から順にQ QY、配列番号15は、N末端から順にQQY、配列番号19はN末端から 順にCSSである。また、表中の§について、「全長」とは、「可変領域」の全てと、一部の定常領域を含む配列である。
【実施例】
【0098】
<実験例2:エピトープの探索>
次いで、11種類のモノクローナル抗体に関して、SePのどの部位をエピトープとするか確認する実験を行った。以下の(1)~(8)に示す8種類のC末端にEGFPタグを有するSeP変異体を、HEK293細胞を用いて発現させた。
【実施例】
【0099】
SeP変異体
(1)は示す変異体は、SePの60~299番目のアミノ酸配列を含む。
(2)に示す変異体は、SePの60~107番目のアミノ酸配列を含む。
(3)に示す変異体は、SePの108~155番目のアミノ酸配列を含む。
(4)に示す変異体は、SePの156~203番目のアミノ酸配列を含む。
(5)に示す変異体は、SePの156~217番目のアミノ酸配列を含む。
(6)に示す変異体は、SePの204~254のアミノ酸配列を含む。
(7)に示す変異体は、SePの204~261のアミノ酸配列を含む。
(8)に示す変異体は、SePの262~299番目のアミノ酸配列を含む。
【実施例】
【0100】
なお、204番目~217番目及び244番目~249番目のアミノ酸配列はヒスチジンリッチ領域であり、254番目~255番目及び261~262番目のアミノ酸配列は、カリクレイン認識サイトである。また、上記の各種SeP変異体はGFPタグを含んでいる。
【実施例】
【0101】
各種SeP変異体コードするプラスミドを作成し、これをHEK293細胞に導入して発現させた。次いで、斯かる細胞を溶解させ、その細胞溶解液をSDS-PAGEし、次いでウエスタンブロッティングに供した。使用した抗体は、上述の11個のモノクローナル抗体であり、二次抗体にはHPR結合抗マウスIgG抗体を用いた。また、発現の確認には抗GFP抗体を用いた。ウエスタンブロッティングの結果を図3~図4に示す。
【実施例】
【0102】
以上の結果から、上述のモノクローナル抗体は、SePの204~261、詳細には204~254番目、さらに詳細には204~217番目のアミノ酸配列をエピトープとすることが強く示唆された。
【実施例】
【0103】
<実験例3:細胞内へのSeP取り込み阻害実験・GPx誘導阻害実験>
セレノプロテインP及び上述の各種モノクローナル抗体をそれぞれ終濃度が0.5μg/ml及び10μg/mlとなるように0.5%非働化処理ウマ血清を含むDMEM培地中で混合し、室温で2時間反応させた。
【実施例】
【0104】
これを筋肉細胞に分化誘導させたC2C12細胞の培養培地(0.5%非働化処理ウマ血清を含むDMEM培地)にそのまま添加して、37℃で24時間培養を行った。
【実施例】
【0105】
次いで、培養後のC2C12細胞を回収し、この細胞の溶解液をウエスタンブロッティングに供して、細胞内のSeP及びGPx1の量を確認した。用いた抗体はそれぞれ上述の各種抗SePモノクローナル抗体及び抗GPx1抗体(ab22604(アブカム社)Anti-Glutathione Peroxidase 1 antibody)である。また、内部コントロールとして、抗βアクチン抗体(K4800(シグマ社)anti-β-actin antibody)を用いてβアクチンの発現量を検討した。結果を図5~図8に示す。
【実施例】
【0106】
図中のSePは全長のSePを示し、N-SePは全長SePをカリクレイン処理して得られるN末端側の断片(254番目以降)を示す。各種モノクローナル抗体の中でも、AE2、AA3、及びBD1はC2C12細胞内へのSeP取り込みが阻害されることを示すことが明らかとなった。また、これらの抗体では、C2C12細胞内のGPx1の量が少なくなることも明らかとなった。従って、上記3種類のモノクローナル抗体は、細胞内のGPx1の誘導を阻害することが強く示唆された。
【実施例】
【0107】
次いで、SePの濃度を10μg/mLと、2型糖尿病患者の血中濃度と同様の高濃度として、上述と同様の実験を行った。抗SeP抗体はAE2を用いた。結果を図9に示す。この結果、AE3は10μg/mLもの高い濃度のSePであっても、十分にSePの細胞内の取り込みも、細胞内でのGPx1の誘導も阻害することが明らかとなった。これは、少なくともAE2抗体が、2型糖尿病の治療効果を発揮することを強く示唆している。
【実施例】
【0108】
さらに、細胞をJurkat細胞に代え、SePの濃度を270ng/mL、とし、室温で1時間反応させたものを、Se欠乏無血清培地で培養する上記Jurkat細胞に添加した。引き続き37℃で12時間培養後に、細胞を回収し、細胞内のSeP及びGPx1の量をウエスタンブロッティングに供した。結果を図10に示す。
【実施例】
【0109】
この結果、DC12及びAE2は、上記C2C12細胞の場合と同様に共に細胞内へのSePの取り込みを阻害することが明らかとなった。
【実施例】
【0110】
〔インビボ実験〕
AE2を5mg/kgの濃度でC57BL/6Jマウス(8週齢、雌に投与し、その後1、3、6、12、24時間後の血中での濃度を測定した。測定方法は、直接ELISA法に基づいて行った。また、投与方法は腹腔内投与と眼静脈投与の2種類の投与方法を試みた。結果を図11に示す。
【実施例】
【0111】
図11に示すように、IP(腹腔内投与)であっても、IV(眼静脈投与)であっても、同様の血中濃度パターンを示し、共に投与から24時間後もAE2は血中に存在することが明らかとなった。
【実施例】
【0112】
次いで、SePによるインスリン抵抗性の誘導をAE2が阻害するかどうかを確認する実験を行った。先ず、C57BL/6Jマウス(8週齢、雌)マウスにAE2を10mg/kgの量濃度で腹腔内投与し、2時間後に絶食環境下におくと共に1mg/kgの量濃度でSePを腹腔内投与した。用いたSePは上述の全長のSePである。Sepの投与から10時間後に再度同量のSePを投与し、その2時間後に糖負荷行った。糖負荷は、マウスに1.5g/kgとなる量でグルコースを投与した。
【実施例】
【0113】
そして、糖負荷後の血中グルコース濃度を測定した。なお、コントロールとして、SePを加えなかった実験群及びAE2に代えてコントロール抗体であるラットIgGを10mg/kgの量を投与した実験群を用意した。結果を図12及び図13に示す。
【実施例】
【0114】
図12(A)に示すように、SeP非投与群ではAE2の投与、コントロール抗体の投与の間で糖負荷をかけても顕著な差は見られなかったが、SePを投与してインスリン抵抗性が誘導されたマウス個体に糖負荷をかけた場合、AE2はコントロール抗体と比べて血中グルコース濃度を減少させることが明らかとなった。このような結果は、図13に示す図12の(A)及び(B)のグラフから算出されたAUC値からも明らかである。これらの結果から、AE2はSeP誘導性のインスリン抵抗性を改善し、血糖値を下げる効果を発揮することが明らかとなった。従って、2型糖尿病の治療薬としてAE2が有用であることが明らかとなった。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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