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明細書 :微小カプセル又はビーズの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-087479 (P2016-087479A)
公開日 平成28年5月23日(2016.5.23)
発明の名称または考案の名称 微小カプセル又はビーズの製造方法
国際特許分類 B01J  13/14        (2006.01)
A61K   9/50        (2006.01)
B01J   2/00        (2006.01)
FI B01J 13/14
A61K 9/50
B01J 2/00 A
請求項の数または発明の数 7
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2014-220430 (P2014-220430)
出願日 平成26年10月29日(2014.10.29)
公序良俗違反の表示 1.テフロン
発明者または考案者 【氏名】武井 孝行
【氏名】吉田 昌弘
【氏名】寺園 圭太
【氏名】中西 和樹
【氏名】金森 主祥
【氏名】早瀬 元
出願人 【識別番号】504258527
【氏名又は名称】国立大学法人 鹿児島大学
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100091096、【弁理士】、【氏名又は名称】平木 祐輔
【識別番号】100118773、【弁理士】、【氏名又は名称】藤田 節
【識別番号】100101904、【弁理士】、【氏名又は名称】島村 直己
【識別番号】100176197、【弁理士】、【氏名又は名称】平松 千春
審査請求 未請求
テーマコード 4C076
4G004
4G005
Fターム 4C076AA61
4C076EE03A
4C076EE10A
4C076FF27
4C076GG21
4C076GG23
4G004AA01
4G005AA01
4G005AB09
4G005AB14
4G005BA01
4G005BB08
4G005BB11
4G005BB19
4G005DC10Y
4G005DC34Y
4G005DD04Z
4G005DD07Z
4G005DD08Z
4G005DD12Z
4G005DD15Z
4G005DD58Z
4G005EA02
4G005EA03
4G005EA06
4G005EA08
4G005EA10
要約 【課題】本発明は、内包効率が高く、汎用性が高いカプセルの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴又はポリマー液滴を撥水撥油性又は撥水性の平板材料上に配置することを特徴とする微小カプセル又はビーズの製造方法に関する。また、本発明は、該方法で製造された微小カプセル又はビーズにも関する。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴又はポリマー液滴を撥水撥油性又は撥水性の平板材料上に配置することを特徴とする微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項2】
内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴を平板材料上で重合することを含む微小カプセル又はビーズの製造方法であって、モノマーが疎水性モノマーであり、平板材料が撥水撥油性材料であるか、又は、モノマーが親水性モノマーであり、平板材料が撥水性材料である、請求項1の微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項3】
モノマーが疎水性モノマーであり、平板材料が撥水撥油性材料である請求項2の微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項4】
重合が熱重合又は光重合である請求項2又は3の微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項5】
撥水撥油性の平板材料が、ポリシロキサン構造及びパーフルオロアルキル構造を有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体である請求項1~4のいずれか1項の微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項6】
疎水性モノマーが(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー及びジビニルベンゼンから選ばれる少なくとも1種である請求項2~5のいずれか1項の微小カプセル又はビーズの製造方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項の方法で製造された微小カプセル又はビーズ。

発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は微小カプセル又はビーズの製造方法及び該方法で製造された微小カプセル又はビーズに関する。
【背景技術】
【0002】
農業、工業、医療の各分野において、農薬、接着剤、インク、蓄熱材、医薬品等を内包した直径数cmから数μmの微小カプセル又はビーズが、ハンドリング性の向上、内包物質の外部環境からの保護及び内包物質の放出速度の制御を可能にするために用いられている。
【0003】
内包物質をカプセル等に内包する方法として、界面重合法、その場重合法、液中乾燥法等が知られている。界面重合法では、疎水性モノマーと親水性モノマーを用いて、それらを油水界面で重合反応をさせて粒子を形成させる。また、その場重合法では、内包物質及び壁材としてのモノマーを含む溶液を撹拌により別の液体中に分散させ、液滴状にした後に、モノマーを重合させて内包物質をカプセルに内包する(例えば、特許文献1、2)。また、液中乾燥法では、内包物質が分散又は溶解した溶液を、水又は油の媒体中に分散し、その後、加熱又は減圧によって、ポリマー等の壁材が溶解している溶媒を除去して壁材を形成する(例えば、特許文献3)。しかし、界面重合法では、モノマーの組み合わせが制限される。また、その場重合法や液中乾燥法では、撹拌による応力負荷や各物質同士の親和性により、カプセル壁材を含む液滴が固化してカプセル壁が形成する前に、内包物質が他方の液体中に漏洩してしまうため、内包物質の内包効率は、多くの場合、40%未満にとどまる。
【0004】
また、内包効率が高いカプセルの製造方法として、スプレードライ法が知られているが、この方法では、得られるカプセルは、直径が数十μm以下のものに限られ、さらに、揮発性物質の内包効率は低い。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】特開昭54-49984号公報
【特許文献2】特開昭56-51238号公報
【特許文献3】特開2009-292941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、従来のその場重合法や液中乾燥法によるカプセル又はビーズの製造方法では、内包物質の内包効率が低いために、カプセル等の製造コストが高い。また、従来のスプレードライ法によるカプセルの製造方法では、製造可能なカプセルの大きさに制限があり、また、揮発性物質の内包効率が低い。
【0007】
よって、内包物質の内包効率が高く、カプセル等の大きさや内包物質の種類が制限されない汎用性が高いカプセル等の製造方法を提供することが望まれている。それ故、本発明は、内包物質の内包効率が高く、汎用性が高いカプセル又はビーズの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するための手段を種々検討した結果、撥水撥油性又は撥水性の平板材料上に内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴又はポリマー液滴を配置することにより、内包効率が高く、汎用性が高いカプセル又はビーズの製造方法を提供することができることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち、本発明の要旨は以下の通りである。
(1)内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴又はポリマー液滴を撥水撥油性又は撥水性の平板材料上に配置することを特徴とする微小カプセル又はビーズの製造方法。
(2)内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴を平板材料上で重合することを含む微小カプセル又はビーズの製造方法であって、モノマーが疎水性モノマーであり、平板材料が撥水撥油性材料であるか、又は、モノマーが親水性モノマーであり、平板材料が撥水性材料である、(1)の微小カプセル又はビーズの製造方法。
(3)モノマーが疎水性モノマーであり、平板材料が撥水撥油性材料である(2)の微小カプセル又はビーズの製造方法。
(4)重合が熱重合又は光重合である(2)又は(3)の微小カプセル又はビーズの製造方法。
(5)撥水撥油性の平板材料が、ポリシロキサン構造及びパーフルオロアルキル構造を有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体である(1)~(4)のいずれかの微小カプセル又はビーズの製造方法。
(6)疎水性モノマーが(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー及びジビニルベンゼンから選ばれる少なくとも1種である(2)~(5)のいずれかの微小カプセル又はビーズの製造方法。
(7)(1)~(6)のいずれかの方法で製造された微小カプセル又はビーズ。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、内包物質の内包効率が高く、汎用性が高いカプセル又はビーズの製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。
本発明は、内包物質が、壁材のモノマー液滴又はポリマー液滴から形成されたポリマーに内包された微小カプセル又はビーズの製造方法に関する。本発明の微小カプセル又はビーズの形状は特に限定されずに、例えば、球状、擬球状又は扁平状形状であるが、より高いカプセル又はビーズの強度の観点から、好ましくは球状である。本発明の微小カプセル又はビーズは、粒径が、例えば、数μm~数cmである。本発明の微小カプセル又はビーズは、カプセル又はビーズ中で内包物質が1つの核をなす単核型、或いは、カプセル又はビーズ中で内包物質が複数の核をなす多核型のいずれであってもよい。

【0012】
本発明において、カプセルとは、単一又は複数の孔が内部に存在するものをいう。本発明において、ビーズとは、内部に孔が存在せず、全てがマトリクスで埋め尽くされているものをいう。

【0013】
本発明の方法では、内包物質が分散又は溶解した壁材のモノマー液滴又はポリマー液滴を撥水撥油性又は撥水性の平板材料上に配置することを特徴とする。本発明の方法では、液滴の成形及び固化によるカプセル又はビーズの形成を気相中で行うため、内包物質の漏洩を防止することができ、内包物質を高い内包効率でカプセル又はビーズに内包することができる。また、本発明の方法では、平板材料上に配置する液滴のサイズを調整することで得られるカプセルの粒径を調整することができる。例えば、10~30μLの液滴からは2.7~3.9mmの粒径のカプセル又はビーズが得られる。カプセル又はビーズの粒径は、実体顕微鏡又はレーザー回折散乱法によって測定することができる。

【0014】
内包物質は、カプセル又はビーズの用途に応じて選択することができる。内包物質としては、特に限定されずに、油溶性又は水溶性物質のいずれも用いることができる。内包物質は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

【0015】
油溶性の内包物質としては、特に限定されずに、油溶性の農薬、接着剤、インク、蓄熱材、医薬品等を挙げることができ、例えば、テトラデカン等の冷熱媒体、α-トコフェロール等の脂溶性ビタミン類、ドキソルビシン等の抗がん剤を用いることができる。

【0016】
水溶性の内包物質としては、特に限定されずに、水溶性の農薬、接着剤、インク、蓄熱材、医薬品等を挙げることができ、例えば、水等の溶媒、ウシ血清アルブミン等のタンパク質を用いることができる。

【0017】
内包物質は、揮発性であってもよく、又は、不揮発性であってもよい。本発明の製造方法では、揮発性又は不揮発性の内包物質のいずれも高い内包効率でカプセル又はビーズに内包することができるが、特に、スプレードライ法では内包効率が低い揮発性物質を高い内包効率で内包することができる点で優れる。

【0018】
内包物質は、溶媒に溶解させて用いることもできる。溶媒は、用いる内包物質に応じて適宜選択することができる。内包物質が油溶性である場合には、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ヘキサン、キシレン、酢酸エチル、クロロホルム、ジエチルエーテル等の有機溶媒を用いることができる。内包物質が水溶性である場合には、例えば、水等の溶媒を用いることができる。

【0019】
壁材のモノマーとしては、疎水性モノマー又は親水性モノマーのいずれも用いることができる。

【0020】
本発明において、疎水性モノマーとは、25℃における水に対する溶解度が2重量%未満のモノマーをいう。疎水性モノマーとしては、特に限定されずに、例えば、イソプロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n-アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n-ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート等の単官能アクリレート;エチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート等の多官能アクリレート;エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n-アミルメタクリレート、n-ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート等の単官能メタクリレート;エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート等の多官能メタクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロロメチルスチレン等のスチレン系モノマー;及びジビニルベンゼン等が挙げられる。疎水性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。疎水性モノマーとしては、カプセル又はビーズの壁の機械的強度の観点から、(メタ)アクリレート、スチレン及びジビニルベンゼンが好ましい。本発明において、(メタ)アクリレートとは単官能又は多官能のアクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。

【0021】
本発明において、親水性モノマーとは、25℃における水に対する溶解度が2重量%以上のモノマーをいう。親水性モノマーとしては、特に限定されずに、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルアルコール、アクリルアミド、メタクリロキシエチルホスフェート等が挙げられる。親水性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。

【0022】
壁材のポリマーとしては、特に限定されずに、本発明において用いることができるモノマー由来のポリマーを用いることができ、例えば、上記の疎水性モノマー又は親水性モノマー由来のポリマーを用いることができる。また、ポリ乳酸やポリグリコール酸、乳酸とグリコール酸の共重合体、ポリカプロラクトン等も用いることができる。

【0023】
本発明の方法では、撥水撥油性又は撥水性の平板材料が用いられる。撥水撥油性又は撥水性の平板材料は、少なくとも表面が撥水撥油性又は撥水性であればよい。本発明において、撥水撥油性とは、撥水性及び撥油性を有することをいう。

【0024】
撥水性の平板材料は、特に限定されずに、例えば、100°以上、好ましくは150°以上の水に対する接触角を有する。撥水性の平板材料としては、例えば、テフロンの微粒子で何らかの平板をコーティングしたもの等を挙げることができる。

【0025】
上記の撥水性の平板材料の他に、撥水性の平板材料として、例えば、ポリシロキサン構造を有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体を用いることができる。該シリコーン製モノリス体は、例えば、2官能性のアルコキシシランと、3官能性のアルコキシシラン又は4官能性以上のアルコキシシラン類との両方を出発原料とし、ゾルゲル反応によりこれらのシランを共重合させることで得ることができる。このようなシリコーン製モノリス体として、ビニルトリメトキシシラン及びメチルビニルジメトキシシランから得られ、下記式(1)の構造:
【化1】
JP2016087479A_000002t.gif
を有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体を挙げることができる。

【0026】
撥水性の平板材料は、撥水性に加えて撥油性を有していてもよい。

【0027】
撥水撥油性の平板材料は、特に限定されずに、例えば、100°以上の水に対する接触角及び100°以上のn-ヘキサデカンに対する接触角を有する。撥水撥油性の平板材料は、高い内包効率の観点から、好ましくは、150°以上の水に対する接触角及び140°以上のn-ヘキサデカンに対する接触角を有する。

【0028】
撥水撥油性の平板材料としては、特に限定されずに、例えば、ポリシロキサン構造及びパーフルオロアルキル構造を有する材料、好ましくは、ポリシロキサン構造及びパーフルオロアルキル構造を有するエアロゲル又はキセロゲルのシリコーン製モノリス体を用いることができる。該シリコーン製モノリス体は、例えば、上記式(1)の構造を有するシリコーン製モノリス体のビニル基にフッ化アルキル鎖を付加することにより得られる。フッ化アルキル鎖の付加は、例えば、チオール-エンクリック反応により、上記式(1)の構造を有するシリコーン製モノリス体とアルキルチオールとを反応させることにより行うことができる。

【0029】
上記の撥水撥油性の平板材料の他に、撥水撥油性の平板材料として、例えば、パーフルオロアルキル基で表面を修飾したカーボンナノチューブで表面をコートした何らかの平板等を用いることができる。

【0030】
本発明の方法では、球状、擬球状又は扁平状のカプセル又はビーズを得るために、平板材料上に配置されたモノマー又はポリマー液滴がほぼ球状となることが好ましい。このため、モノマー又はポリマーと平板材料の組み合わせとしては、モノマー又はポリマーが疎水性モノマー又はポリマーであり、平板材料が撥水撥油性材料であるか、又は、モノマー又はポリマーが親水性モノマー又はポリマーであり、平板材料が撥水性材料であることが好ましい。カプセル又はビーズの耐久性及び強度の観点から、モノマー又はポリマーが疎水性モノマー又はポリマーであり、平板材料が撥水撥油性材料であることがより好ましい。また、平板材料が撥油性を有していない撥水性材料である場合には、高い内包効率の観点から、内包物質として水溶性物質を用いることが好ましい。

【0031】
本発明の好ましい一実施形態において、本発明の微小カプセル又はビーズの製造方法は、内包物質が分散又は溶解したモノマー液滴を平板材料上で重合することを含み、ここで、モノマーが疎水性モノマーであり、平板材料が撥水撥油性材料であるか、又は、モノマーが親水性モノマーであり、平板材料が撥水性材料である。

【0032】
本発明の方法において、モノマー液滴を用いる場合、モノマー液滴を平板材料上で重合することにより、内包物質がモノマー由来のポリマーに内包されたカプセル又はビーズを得ることができる。

【0033】
モノマー液滴は、モノマー成分以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されずに、例えば、モノマーを溶解又は懸濁するための溶媒、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、ワックス等を挙げることができる。

【0034】
モノマー液滴の平板材料上への配置は、例えば、内包物質とモノマー溶液を混合して得られる、内包物質が分散又は溶解したモノマー溶液又は懸濁液を滴下することにより行うことができる。

【0035】
モノマー液滴の重合は、通常のモノマーの重合方法により行うことができるが、好ましくは熱重合及び光重合である。内包物質が揮発性物質又は水溶性物質である場合には、内包効率が向上するため、光重合が好ましい。

【0036】
熱重合の反応条件は、用いるモノマー及び内包物質の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、反応温度は30~80℃であり、反応時間は0.5~20時間である。

【0037】
熱重合開始剤としては、特に限定されずに、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)2-メチルプロピオンアミド]、1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、2,2’-アゾビス(N-シクロヘキシル-2-メチルプロピオンアミド)等のアゾ化合物;t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン等の過酸化物等が挙げられる。これらの中で、アゾ化合物が好ましく、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)がより好ましい。熱重合開始剤の配合量は、モノマーに対して0.01~1.00重量%の範囲が好ましい。

【0038】
光重合の反応条件は、用いるモノマー及び内包物質の種類に応じて適宜選択されるが、例えば、380~780nm、好ましくは430~485nmの可視光照射下にて、反応温度は0~50℃であり、反応時間は0.02~60分間である。

【0039】
光重合で用いる開始剤としては、特に限定されずに、ジエトキシアセトフェノン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン系化合物;2,4,6-トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシド等のアシルホスフィンオキシド系化合物;ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のアミノベンゾフェノン系化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、2-エチルアンスラキノン、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、モノマーに対して0.01~10.00重量%の範囲が好ましい。

【0040】
光重合開始剤は、モノマーの硬化反応をより効率的に行なうために、必要に応じて、光重合促進剤と組み合わせて使用することができる。光重合促進剤としては、特に限定されずに、例えば、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸n-ブトキシエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等の安息香酸系化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等の第3級アミン化合物を挙げることができる。光重合促進剤の配合量は、モノマーに対して0.01~10.00重量%の範囲が好ましい。

【0041】
本発明の方法において、ポリマー液滴を用いる場合、平板材料上に配置したポリマー液滴を乾燥することにより、内包物質がポリマーに内包されたカプセル又はビーズを得ることができる。

【0042】
ポリマー液滴の平板材料上への配置は、例えば、ポリマーを有機溶媒等の溶媒に溶解してポリマー溶液を調製し、このポリマー溶液と内包物質とを混合して得られる、内包物質が分散又は溶解したポリマー溶液又は懸濁液を滴下することにより行うことができる。有機溶媒は、用いるポリマーに応じて選択され、例えば、アセトン、メタノール、エタノール、ジメチルスルホキシド、ジクロロエタン、ジクロロメタン、ヘキサン、キシレン、酢酸エチル、クロロホルム、ジエチルエーテル等が挙げられる。ポリマー液滴は、ポリマー成分及び有機溶媒以外の他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、特に限定されずに、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、ワックス等を挙げることができる。

【0043】
ポリマー液滴の乾燥は、ポリマー液滴中の溶媒が蒸発する条件であれば特に限定されないが、例えば、1~101324Paの減圧条件下にて行われる。ポリマー液滴の乾燥前に、ポリマー液滴を凍結してもよい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0045】
(撥水撥油性の平板材料の調製)
ガラス容器中の5mMの酢酸水溶液15mLに、塩化n-ヘキサデシルトリメチルアンモニウム0.8gと尿素5gを加え、混合した。次いで、ビニルトリメトキシシラン0.0210mol及びメチルビニルジメトキシシラン0.0140molを加え、30分間スターラーで撹拌した。その後、この溶液を密封容器に移し、80℃でゲル化を行うと同時に尿素の加水分解による塩基性条件下で2日間熟成した。得られたウェットゲルを水/イソプロピルアルコール(1:1)溶液に含浸させた後、イソプロピルアルコールにて洗浄し、乾燥した。
【実施例】
【0046】
次いで、チオール-エンクリック反応により、得られたゲルのビニル基にフッ化アルキル鎖を付加した。具体的には、上記のゲル0.5gを、10%(v/v)濃度の1H,1H,2H,2H-パーフルオロデカンチオール及び0.1%(w/v)濃度の2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)を含む2-プロパノール溶液50mlに浸し、60℃で10時間反応させた。得られたゲルを2-プロパノールで洗浄し、乾燥した。得られたゲルの水に対する接触角は160°であり、n-ヘキサデカンに対する接触角は151°であった。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
内包物質としてテトラデカンを用い、壁材モノマーとしてトリメチロールプロパントリメタクリレートを用いた。トリメチロールプロパントリメタクリレート9gに、テトラデカン1g及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(和光純薬(株)製、商品名V-70)0.1gを溶解した。なお、テトラデカンはトリメチロールプロパントリメタクリレート及びテトラデカンの合計重量に対して10重量%濃度で溶解した。得られた溶液20μLの液滴を、上記で得られた撥水撥油性の平板材料上に配置し、60℃で3時間、熱重合を行うことでモノマー液滴を硬化させてテトラデカンが内包されたビーズを得た。得られたビーズのテトラデカンの内包効率(=ビーズ内に内包された量/仕込み量×100)は80±4%であり、粒径は3.4mmであった。
【実施例】
【0048】
(実施例2)
内包物質のテトラデカンをα-トコフェロールに代えた以外は実施例1と同様にしてカプセルを得た。得られたカプセルのα-トコフェロールの内包効率は91±1%であり、粒径は3.4mmであった。
【実施例】
【0049】
(実施例3)
内包物質のテトラデカンをドキソルビシンに代えた以外は実施例1と同様にしてカプセルを得た。得られたカプセルのドキソルビシンの内包効率は90±3%であり、粒径は3.4mmであった。
【実施例】
【0050】
実施例2及び3では、内包物質としての不揮発性のα-トコフェロール(実施例2)及びドキソルビシン(実施例3)を高効率でカプセルに内包することができた。一方、実施例1では、熱重合中にテトラデカンが揮発したため、テトラデカンの内包効率が80%台にとどまったと考えられる。そこで次に、テトラデカンの内包効率を上げるために、加熱する必要のない、光重合にてモノマー重合を行った。
【実施例】
【0051】
(実施例4)
トリメチロールプロパントリメタクリレート9gにテトラデカン1g、カンファーキノン0.044g及び4-ジメチルアミノ安息香酸エチル0.051gを溶解した。なお、テトラデカンはトリメチロールプロパントリメタクリレート及びテトラデカンの合計重量に対して10重量%濃度で溶解した。得られた溶液20μLの液滴を上記で得られた撥水撥油性の平板材料上に配置した。液滴に可視光(430nm~485nm)を室温で1分間照射することで、光重合により液滴を硬化させてテトラデカンが内包されたカプセルを得た。得られたカプセルのテトラデカンの内包効率は95±3%であり、実施例1より高い効率でテトラデカンを内包することができた。
【実施例】
【0052】
(実施例5)
少量のspan80を溶解したトリメチロールプロパントリメタクリレート9gに、トリメチロールプロパントリメタクリレート及び蒸留水の合計重量に対して10重量%の蒸留水を加え、W/Oエマルションを調製した。得られたエマルション溶液20μLの液滴を上記で得られた撥水撥油性材料上に配置した。液滴に可視光(430nm~485nm)を室温で1分間照射することで、光重合により液滴を硬化させて蒸留水が内包されたカプセルを得た。得られたカプセルの蒸留水の内包効率は91±5%であった。光重合でモノマー重合を行うことにより、水の蒸発による内包効率の低下を防ぐことができ、また、平板材料が撥水性を示すため、水溶液も高効率で内包することができた。
【実施例】
【0053】
(実施例6)
内包物質の蒸留水を血清アルブミン(BSA)水溶液に代えた以外は実施例5と同様にしてカプセルを得た。BSA水溶液の内包効率は92±2%であった。水溶液に溶解した水溶性物質も高効率で内包することができた。