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明細書 :評価値算出プログラム、評価値算出方法、情報処理装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-083063 (P2016-083063A)
公開日 平成28年5月19日(2016.5.19)
発明の名称または考案の名称 評価値算出プログラム、評価値算出方法、情報処理装置
国際特許分類 A63B  69/18        (2006.01)
A63B  69/00        (2006.01)
A63B  71/06        (2006.01)
FI A63B 69/18 Z
A63B 69/00 C
A63B 71/06 T
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2014-216756 (P2014-216756)
出願日 平成26年10月23日(2014.10.23)
発明者または考案者 【氏名】山際 伸一
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100100549、【弁理士】、【氏名又は名称】川口 嘉之
【識別番号】100123319、【弁理士】、【氏名又は名称】関根 武彦
審査請求 未請求
要約 【課題】運動技能の巧拙を数値化する。
【解決手段】コンピュータに、運動器具を用いて滑走する滑走者が少なくとも1回の左右のターンを行うことで得られた前記滑走者の肩幅方向の加速度を示す第1加速度データを記憶するステップと、前記第1加速度データを用いて前記滑走者のターンの巧拙を示す評価値を算出するステップと、を実行させる評価値算出プログラムとする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
コンピュータに、
運動器具を用いて滑走する滑走者が少なくとも1回の左右のターンを行うことで得られた前記滑走者の肩幅方向の加速度を示す第1加速度データを記憶するステップと、
前記第1加速度データを用いて前記滑走者のターンの巧拙を示す評価値を算出するステップと、
を実行させる評価値算出プログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データに基づき、前記ターンのテンポの評価値を算出させる
請求項1に記載の評価値算出プログラム。
【請求項3】
前記第1加速度データは、前記滑走者が所定テンポの音を聞きながら左右のターンを行ったときの肩幅方向の加速度を示し、
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データに基づいて、前記ターンの1ターンの時間の長さの逆数の前記所定テンポに対する分散を算出させ、前記分散の大きさに応じた前記ターンのテンポの評価値を算出させる
請求項2に記載の評価値算出プログラム。
【請求項4】
前記コンピュータに、
前記記憶するステップにおいて、前記ターンを行うことで得られた前記滑走者の身体軸方向の加速度を示す前記第2加速度データをさらに記憶させ、
前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データ及び前記第2加速度データに基づき、前記ターンの対称性の評価値を算出させる
請求項1から3のいずれか1つに記載の評価値算出プログラム。
【請求項5】
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データ及び前記第2加速度データを前記第1加速度データ及び前記第2加速度データを前記ターンの右ターンの加速度データと左ターンの加速度データとに分類して前記右ターンの特徴を示す右ターン特徴値及び前記左ターンの特徴を示す左ターン特徴値を算出させ、前記右ターン特徴値と前記左ターン特徴値との類似性に応じた前記ターンの対称性の第1評価値を算出させる
請求項4に記載の評価値算出プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データ及び前記第2加速度データを前記第1加速度データ及び前記第2加速度データを前記ターンの右ターンの加速度データと左ターンの加速度データとに分類して前記右ターンを行っている時間及び前記左ターンを行っている時間を算出させ、前記右ターンを行っている時間と前記左ターンを行っている時間との類似性に応じた前記ターンの対称性の第2評価値を算出させる
請求項4または5に記載の評価値算出プログラム。
【請求項7】
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データに基づき前記ターンのダイナミックさの評価値を算出させる
請求項1から6のいずれか1項に記載の評価値算出プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、前記評価値を算出するステップにおいて、前記第1加速度データに基づいて、前記ターンの右ターンの加速度の絶対値の最大値および左ターンの加速度の最大値の絶対値を算出させ、前記右ターンの加速度の絶対値の最大値及び左ターンの加速
度の最大値の絶対値の大きさに応じた前記ターンのダイナミックさの評価値を算出させる請求項7に記載の評価値算出プログラム。
【請求項9】
コンピュータが、
運動器具を用いて滑走する滑走者が少なくとも1回の左右のターンを行うことで得られた肩幅方向の第1加速度データを記憶し、
前記第1加速度データを用いて前記滑走者のターンの巧拙を示す評価値を算出する、
ことを含む滑走者のターン技術の評価値算出方法。
【請求項10】
運動器具を用いて滑走する滑走者が少なくとも1回の左右のターンを行うことで得られた肩幅方向の第1加速度データを記憶する記憶装置と、
前記第1加速度データを用いて前記滑走者のターンの巧拙を示す評価値を算出するプロセッサと、
を備える情報処理装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、評価値算出プログラム、評価値算出方法、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキーなどの運動を行う人間の動きを、加速度センサなどの小型センサにより計測し、人間の各種の運動情報を定量化する装置がある。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2014-97104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、加速度センサなどの小型センサを用いて、小型センサを装着した利用者の各種の運動情報(例えば、加速度)を定量化することができるが、利用者が加速度などの運動情報にどのような意味があるかを直感的に理解することは難しい。小型センサによって計測された運動情報自体が、直接的に、運動技能の巧拙を表すものでないからである。定量化されたデータに基づいて運動技能の巧拙を数値化することは、難しく、ほとんど行われていない。
本件開示の技術は、運動技能の巧拙を数値化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
開示の技術は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用する。
即ち、第1の態様は、
コンピュータに、
運動器具を用いて滑走する滑走者が少なくとも1回の左右のターンを行うことで得られた前記滑走者の肩幅方向の加速度を示す第1加速度データを記憶するステップと、
前記第1加速度データを用いて前記滑走者のターンの巧拙を示す評価値を算出するステップと、
を実行させる評価値算出プログラムとする。
【0006】
開示の構成は、上記した態様におけるプログラムの各ステップの処理を実行する手段を備える情報処理装置、或いは当該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として特定することができる。また、開示の構成は、上記した各ステップが実行する処理を情報処理装置が実行する方法をもって特定されてもよい。開示の構成は、上記した各ステップが実行する処理を行う情報処理装置を含むシステムとして特定されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、運動技能の巧拙を数値化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、本実施形態の端末装置の構成例を示す図である。
【図2】図2は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図3】図3は、本実施形態の端末装置の動作フローの例を示す図である。
【図4】図4は、スキーヤーである利用者に計測用の加速度センサを含む端末装置を装着する例を示す図である。
【図5】図5は、取得部が取得する加速度データの例を示す図である。
【図6】図6は、x方向加速度の時間変化のグラフの例を示す図である。
【図7】図7は、x方向加速度とy方向加速度とをXY座標にプロットした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。実施形態の構成は例示であり、開示の構成は、開示の実施形態の具体的構成に限定されない。開示の構成の実施にあたって、実施形態に応じた具体的構成が適宜採用されてもよい。
〔実施形態〕

【0010】
本実施形態の装置は、利用者(被検者)の運動技能の巧拙を示す評価値を当該利用者の運動時の加速度に基づき算出する。利用者の運動時の加速度は、例えば、利用者が運動時に装着する加速度センサを含む携帯端末により取得される。ここでは、運動技能の例として、スキーのパラレルターンを取り上げるが、本実施形態で対象とする運動技能は、スキーのパラレルターンに限定されるものではなく、スキーの他の種類のターン(プルークボーゲン、ステップターン等)であってもよい。本実施形態で対象とする運動技能は、スキーの技能に限定されるものではなく、スノーボードやグラススキー等の運動器具を装着して滑走する運動の技能であってもよい。

【0011】
スキーのパラレルターンは、スキー板を平行にして行うターンである。パラレルターンでは、滑走の方向を左向きから右向きに変える右ターン、及び、右向きから左向きに方向を変える左ターンを繰り返しながら、斜面を滑走する。

【0012】
本実施形態の装置は、スキーヤーである利用者が装着する加速度センサによる加速度の値に基づいて、スキーのパラレルターンのテンポ、対称性、ダイナミックさの評価値を算出する。算出された評価値は、運動技能の巧拙に依存する。テンポ、対称性、ダイナミックさについては、後に説明する。

【0013】
(構成例)
図1は、本実施形態の端末装置の構成例を示す図である。端末装置100は、取得部102、算出部104、入力部106、通信部108、格納部110、出力部112を含む。

【0014】
取得部102は、数値化対象の運動時に加速度センサで計測した加速度データ等を、入力部106、格納部110、外部の装置等から取得する。また、取得部102は、加速度センサを含んでもよい。加速度センサは、互いに直交する3方向の加速度を計測する。取得部102が、加速度センサを含む場合、利用者が運動時に加速度センサが計測した加速度を加速度データとして取得する。

【0015】
算出部104は、取得部102で取得された加速度データ等から、運動技能を示すテンポ、対称性、ダイナミックさの評価値を算出する。

【0016】
入力部106は、ユーザからの指示や、数値化対象の運動時に計測された加速度データ等の入力を受け付ける。
通信部108は、外部の装置等との通信を、ネットワーク等を介して行う。

【0017】
格納部110は、入力部106によって入力されたデータや、数値化対象の運動時に計測された加速度データ、算出部104で算出された運動技能を示すテンポ、対称性、ダイナミックさ等を記憶する。

【0018】
出力部112は、算出部104で算出された運動技能を示すテンポ、対称性、ダイナミックさ等の利用者に通知する情報を表示する。出力部112は、運動器具を装着して滑走する利用者に聞かせる所定テンポの音を出力する。

【0019】
端末装置100は、PC(Personal Computer)、ワークステーション(WS、Work Station)、スマートフォン、携帯電話、タブレット型端末のような専用または汎用のコン
ピュータ、あるいは、コンピュータを搭載した電子機器を使用して実現可能である。

【0020】
図2は、情報処理装置のハードウェア構成例を示す図である。図2に示す情報処理装置は、一般的なコンピュータの構成を有している。端末装置100は、図2に示すような情報処理装置1000によって実現される。図2の情報処理装置1000は、プロセッサ1002、メモリ1004、記憶部1006、入力部1008、出力部1010、通信制御部1012、検出部1014を有する。これらは、互いにバスによって接続される。メモリ1004及び記憶部1006は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体である。情報処理装置のハードウェア構成は、図2に示される例に限らず、適宜構成要素の省略、置換、追加が行われてもよい。

【0021】
情報処理装置1000は、プロセッサ1002が記録媒体に記憶されたプログラムをメモリ1004の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、所定の目的に合致した機能を実現することができる。

【0022】
プロセッサ1002は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)である。

【0023】
メモリ1004は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。メモリ1004は、主記憶装置とも呼ばれる。

【0024】
記憶部1006は、例えば、EPROM(Erasable Programmable ROM)、ハードディ
スクドライブ(HDD、Hard Disk Drive)、ソリッドステートドライブ(SSD、Solid
State Drive)等の記憶装置である。また、記憶部1006は、リムーバブルメディア、即ち可搬記録媒体を含むことができる。リムーバブルメディアは、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、あるいは、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)のようなディスク記録媒体である。記憶部106は、二次記憶装置とも呼ばれる。

【0025】
記憶部1006は、各種のプログラム、各種のデータ及び各種のテーブルを読み書き自在に記録媒体に格納する。記憶部1006には、オペレーティングシステム(Operating System :OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納される。記憶部1006に格納される情報は、メモリ1004に格納されてもよい。また、メモリ1004に格納される情報は、記憶部1006に格納されてもよい。

【0026】
オペレーティングシステムは、ソフトウェアとハードウェアとの仲介、メモリ空間の管理、ファイル管理、プロセスやタスクの管理等を行うソフトウェアである。オペレーティングシステムは、通信インタフェースを含む。通信インタフェースは、通信制御部1012を介して接続される他の外部装置等とデータのやり取りを行うプログラムである。外部装置等には、例えば、他の情報処理装置、外部記憶装置等が含まれる。

【0027】
入力部1008は、キーボード、ポインティングデバイス、ワイヤレスリモコン、タッチパネル等を含む。また、入力部1008は、カメラのような映像や画像の入力装置や、マイクロフォンのような音声の入力装置を含むことができる。

【0028】
出力部1010は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、LCD(Liquid Crystal Display)、PDP(Plasma Display Panel)、EL(Electroluminescence)パネル
等の表示装置、プリンタ等の出力装置を含む。また、出力部1010は、スピーカのような音声の出力装置を含むことができる。

【0029】
通信制御部1012は、他の装置と接続し、情報処理装置1000と他の装置との間の通信を制御する。通信制御部1012は、例えば、LAN(Local Area Network)インタフェースボード、無線通信のための無線通信回路、電話通信のための通信回路である。LANインタフェースボードや無線通信回路は、インターネット等のネットワークに接続される。

【0030】
検出部1014は、情報処理装置1000の動きの加速度を検出する加速度センサなどの検出装置を含む。加速度センサは、互いに直交する3方向の加速度を計測する。加速度センサは、加速度センサを含む情報処理装置1000が身体に装着されることによって、身体の動きの加速度を検出することができる。

【0031】
端末装置100を実現するコンピュータは、プロセッサが二次記憶装置に記憶されているプログラムを主記憶装置にロードして実行することによって、取得部102、算出部104、入力部106、通信部108、出力部112としての機能を実現する。一方、格納部110は、主記憶装置または二次記憶装置の記憶領域に設けられる。

【0032】
一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。

【0033】
プログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくても、並列的または個別に実行される処理を含む。プログラムを記述するステップの一部が省略されてもよい。

【0034】
(動作例)
スキーヤーである利用者の運動を数値化するために、利用者に加速度センサを装着して、スキーのパラレルターンを行っている際の利用者の動きの加速度が計測される。さらに、動きの加速度を用いて、運動技能の巧拙を示す評価値が算出される。

【0035】
図3は、本実施形態の端末装置の動作フローの例を示す図である。
ステップS101では、端末装置100の取得部102は、スキーヤーである利用者(滑走者)が端末装置100を装着してパラレルターンで滑走する際の動きの加速度を所定のサンプリング周波数で加速度センサにより計測し、加速度の時間変化を示す加速度データを取得する。

【0036】
図4は、スキーヤーである利用者に計測用の加速度センサを含む端末装置を装着する例を示す図である。計測用の携帯端末は、計測の際に、利用者の背中に装着される。携帯端末は、利用者の身体に対して動かないように固定される。スキーヤーである利用者が携帯端末を装着する位置は、背中以外の身体の胴体(例えば、胸など)であってもよい。図4(A)は、利用者を正面から見た図である。図4(B)は、利用者を左側から見た図である。利用者の身体の左側から右側への方向(肩幅方向ともいう)をx方向、身体の中心(例えば、身体の左脇と右脇とを結ぶ線の中心)から頭部の方向(身体軸方向ともいう)をy方向、身体の背面から前面の方向をz方向とするように、利用者の身体に携帯端末が装着される。x方向、y方向、z方向は、それぞれ互いに直交する。x方向、y方向、z方向の向きは、それぞれ、反対方向であってもよい。利用者が水平な地面に直立した時、x
方向は水平方向と平行であり、y方向は鉛直方向と平行である。

【0037】
加速度センサは、x方向、y方向、z方向の加速度を計測する。x方向、y方向、z方向の加速度を、それぞれ、x方向加速度、y方向加速度、z方向加速度という。加速度センサで計測された加速度のデータは、端末装置100内に、加速度が計測された時刻を示す時刻情報と共に格納される。加速度は、所定の周期でサンプリングされている。サンプリング周波数として、利用者の動きの速さに対して十分大きい値が採用される。サンプリング周波数は、例えば、200Hzである。

【0038】
スキーヤーである利用者は、運動器具であるスキーを用いて、パラレルターンを行いながら、滑走する。このとき、利用者は、加速度センサを含む端末装置100を背中に装着する。端末装置100の取得部102は、利用者がパラレルターンを行っている間の3方向の加速度を計測する。端末装置100は、端末装置100に内蔵されるスピーカや端末装置100に接続されるイヤホンなどにより、所定のテンポ(例えば、1分間につき60回(60bpm))の音を、パラレルターンを行う利用者に聞かせる。利用者に聞かせる音のテンポは、60bpmに限定されるものではない。例えば、利用者の技能レベルに合わせて遅いテンポが採用されてもよい。利用者は、聞いている音のテンポに合わせてパラレルターンを行う。即ち、利用者は、聞いている音のテンポに合わせてパラレルターンの右ターン及び左ターンを繰り返す。端末装置100は、計測開始のタイミングを音声等によって、利用者に通知してもよい。端末装置100で計測された加速度データは、格納部110に格納される。端末装置100は、利用者に所定のテンポの音を聞かせずに利用者の滑走時の加速度を計測してもよい。

【0039】
また、取得部102は、例えば、通信部108で、上記の計測方法と同様にして加速度の計測を行った携帯端末などの外部の装置から加速度データを受信して、取得してもよい。また、取得部102は、入力部106で入力された加速度データを取得してもよい。このとき、端末装置100は、加速度センサを含まなくてもよい。取得された加速度データは、格納部110に格納される。

【0040】
図5は、取得部が取得する加速度データの例を示す図である。図5のように、取得部102は、加速度が計測された時刻毎に、x方向、y方向、z方向の3方向の加速度の各データを取得する。加速度のサンプリング周波数が200Hzである場合、取得する加速度データは1/200s(0.005s)毎のデータとなる。

【0041】
ステップS102では、算出部104は、利用者がパラレルターンを行った際に計測された加速度データを、加速度が計測された時刻を示す時刻情報とともに格納部110から抽出し、テンポ、対称性、ダイナミックさの評価値を算出する。テンポ、対称性、ダイナミックさの評価値は、スキーのパラレルターンの巧拙を示す数値である。テンポ、対称性、ダイナミックさについては、後に説明する。加速度データは、x方向加速度、y方向加速度、z方向加速度を含むが、ここでは、x方向加速度及びy方向加速度が使用される。

【0042】
スキーの滑走の際、身体の中心から頭部の方向は、重力方向(鉛直方向)とほぼ平行になる(向きは互いに反対である)。y方向加速度の+y方向は、身体の中心から頭部の方向である。即ち、+y方向は、ほぼ重力の方向(鉛直方向)と反対の方向となる。したがって、y方向加速度には、重力による、ほぼ-1G(Gは重力加速度)の加速度が加算されている。ここでは、計測結果であるy方向加速度から、重力加速度の影響を除去するために-1Gを減算し、さらに正負を反転したものを、y方向加速度とする。即ち、新たなy方向加速度=(計測結果のy方向加速度-(-1G))×(-1)とする。新たなy方向加速度は、算出部104によって算出される。以後、新たなy方向加速度のことを、単にy方向加速度という。

【0043】
・テンポについて
スキーのパラレルターンでは、スキーヤーは、右ターン及び左ターンを繰り返しながら、斜面を滑走する。パラレルターンでは、一定の周期で各ターンを繰り返すことが巧いとされる。計測対象のスキーヤーである利用者は、計測時に、所定のテンポの音を聞きながら、当該テンポに合わせるようにパラレルターンを行っている。よって、利用者のパラレルターンのターンのテンポが所定のテンポにより近ければ、より巧いと考えられる。算出部104は、x方向加速度から、各ターンのテンポを算出し、各ターンのテンポが利用者に聞かせた所定のテンポに近いほど値が大きくなるテンポの評価値を算出する。

【0044】
算出部104は、利用者がパラレルターンをした際のx方向加速度を時刻情報と共に取得する。x方向加速度が負から正に変わる時点から正から負に変わるまでを、右ターンする。x方向加速度が正から負に変わる時点から負から正に変わる時点までを、左ターンとする。右ターン又は左ターンの1つを、1ターンとする。算出部104は、取得したx方向加速度のデータのうち、例えば、最初にx方向加速度の正負が変わる時刻から最後にx方向加速度の正負が変わる時刻までのデータをx方向加速度として使用する。算出部104は、使用するデータから、右ターンの数と左ターンの数とを計数し、ターンの数の合計をNとする。加速度が一定の周期でサンプリングされるため、1ターンにおける加速度データの数が1ターンを行っている時間に対応する。1ターンのテンポは、1ターンの時間の逆数である。よって、サンプリング周波数がS[Hz]で、ある1ターンの加速度データの数がVであるとき、当該1ターンのテンポは、S/V×60[bpm]として算出される。算出部104は、各ターンのテンポを算出する。

【0045】
算出部104は、ターンをN回行った際の1ターンのテンポの分散を求める。i番目のターンのテンポをxiとする。ターンをN回行った際の1ターンのテンポの分散σは、

【0046】
【数1】
JP2016083063A_000003t.gif
と求められる。ここで、Tは、1ターンの目標とするテンポであって、計測時に利用者に聞かせる音のテンポとして設定したものである。分散σが小さいほど、ターンがテンポTにより近いテンポで行われていることを意味する。算出部104は、この分散σを使用して、テンポの評価値(Tempo Score)を次のように算出する。

【0047】
【数2】
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【0048】
テンポの評価値は、値が大きいほど、よりよいフォームであることを意味する。テンポの評価値は、各ターンのテンポが目標のテンポに一致する時、最高点(100点)となる。

【0049】
滑走時に利用者にテンポTの音を聞かせず加速度の計測を行った場合、テンポの評価値の算出において、Tを計測時の各ターンのテンポの平均値としてもよい。

【0050】
パラレルターンは、右ターン及び左ターンの2ターンで1周期とする。よって、1ターンをTのテンポで滑走すると、x方向加速度は、T/2のテンポで時間変化することにな
る。よって、x方向加速度をフーリエ変換したとき、T/2のピークの高さが高いほど、2/Tのピークの半値幅が小さいほど、計測対象の利用者がTのテンポにより近く、滑走していることを意味する。そこで、x方向加速度をフーリエ変換したときのT/2のピークの高さに基づく値やT/2のピークの半値幅に基づく値を、テンポの評価値としてもよい。

【0051】
図6は、x方向加速度の時間変化のグラフの例を示す図である。図6のグラフの横軸は時間を示し、縦軸はx方向加速度を示す。図6のグラフにおいて、時間軸より上の曲線が右ターンを示し、時間軸より下の曲線が左ターンを示す。図6のグラフの上部には、各ターンのテンポが記載されている。ターンの時間の逆数がテンポに相当するので、ターンの時間が短いほどテンポは大きくなる。ここでは、目標とするテンポを60bpmとしている。

【0052】
・対称性
スキーのパラレルターンでは、右ターンと左ターンとで同じようなフォームで滑走することが巧いとされる。即ち、右ターンと左ターンとで身体の動きが対象であるほど、良いフォームであるとされる。算出部104は、x方向加速度、y方向加速度から、対称性の評価値を算出する。対称性の評価値として、左右加重の比率と左右加重のバランスとがある。左右加重の比率は、左ターン及び右ターンのそれぞれにおける雪面を押し付ける加重の大きさと向きについての比率である。スキー板を押し付ける加重の大きさ及び向きは、x方向加速度およびy方向加速度に表れる。左ターン及び右ターンにおいて、雪面を押し付ける加重の大きさと向きが左右のターンで対称であれば、よいフォームで滑走していると考えられる。即ち、左ターン及び右ターンにおいて、x方向加速度およびy方向加速度が左右のターンで対称であれば、よいフォームで滑走していると考えられる。また、左右加重のバランスは、左ターンを行っている時間と右ターンを行っている時間とのバランスである。左ターンを行っている時間と右ターンを行っている時間とが近いほど、よりよいフォームで滑走していると考えられる。

【0053】
算出部104は、利用者がパラレルターンをした際のx方向加速度及びy方向加速度を、時刻情報と共に取得する。算出部104は、取得した加速度データを、左ターンのものと、右ターンのものとに分類する。即ち、算出部104は、x方向加速度が正のものを右ターンとし、x方向加速度が負のものを左ターンとして、加速度データを分類する。

【0054】
時刻tのx方向加速度、y方向加速度のそれぞれを、x(t),y(t)とする。算出部104は、右ターンの各計測時刻tについて、XY座標に点(x(t),y(t))をとる。算出部104は、これらの点について、原点(0,0)を通る近似直線を求める。近似直線の傾きaRは、以下の式で求められる。右ターンの近似直線の傾きaRの絶対値は、右ターンの特徴を示す特徴値の一例である。

【0055】
【数3】
JP2016083063A_000005t.gif

【0056】
算出部104は、左ターンについても同様にして、原点を通る近似直線の傾きaLを求める。左ターンの近似直線の傾きaLの絶対値は、左ターンの特徴を示す特徴値の一例である。さらに、算出部104は、一方の傾きに対する他方の傾きの割合bを求める。割合bは、次のように定義される。

【0057】
【数4】
JP2016083063A_000006t.gif
算出部104は、割合bを用いて、左右加重の比率の評価値(Ratio Score)を次のよ
うに求める。左右加重の比率の評価値は、aLとaRとの類似性が高いほど(割合bが1に近いほど)、大きくなる。

【0058】
【数5】
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【0059】
ここで、Cは、0以上100未満の定数とする。Cは、例えば、30とする。左右加重の比率の評価値の値が大きいほど、雪面を押し付ける加重の大きさと向きが左右のターンで対称であり、よりよいフォームであることを意味する。左右加重の比率の評価値は、左右のターンの近似直線の傾きの絶対値が同じ時、最高点(100点)となる。

【0060】
図7は、x方向加速度とy方向加速度とをXY座標にプロットした例を示す図である。図7の例では、x方向加速度が正の点が右ターンを示し、x方向加速度が負の点が左ターンを示す。図7では、右ターンの点の集合に対する原点を通る近似直線(原点から右上方向に伸びる直線)及び左ターンの点の集合に対する原点を通る近似直線(原点から左上方向に伸びる直線)が示される。図7の例では、右ターンの点の集合に対する原点を通る近似直線の傾きは、1.62であり、左ターンの点の集合に対する原点を通る近似直線の傾きは、-1.41である。この例では、左右加重の比率の評価値は、85点となる。

【0061】
また、算出部104は、右ターンを行っている時間と左ターンを行っている時間とを算出する。右ターンを行っている時間は、右ターンに分類したx方向加速度の数を数えることで算出される。左ターンを行っている時間についても同様である。ここで、右ターンのx方向加速度の数をR、左ターンのx方向加速度の数をLとする。算出部104は、次の式のように、左右加重のバランスの評価値(Balance Score)を算出する。左右加重のバ
ランスの評価値は、LとRとの類似性が高いほど(LがRに近いほど)、大きくなる。

【0062】
【数6】
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【0063】
左右加重のバランスの評価値の値が大きいほど、右ターンを行っている時間と左ターンを行っている時間とが近くなり、よりよいフォームで滑走していると考えられる。左右加重のバランスの評価値は、左右のターンの時間が同じ時、最高点(100点)となる。

【0064】
算出部104は、左右加重の比率の評価値(Ratio Score)と左右加重のバランスの評
価値(Balance Score)とを平均して、次の式のように、対称性の評価値(Symmetry Scor
e)として算出してもよい。

【0065】
【数7】
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対称性の評価値の値が大きいほど、左右の対称性がよく、よりよいフォームであることを意味する。

【0066】
・ダイナミックさ
パラレルターンで右端又は左端で折り返す時に、スピードが上がっているほど、下半身が外側に傾いて華麗に見える。華麗に見えるフォームで滑走することは、巧いとされる。x方向の加速度の絶対値は折り返す時に最大になり、この値はスピードが出ている時ほど大きくなる。従って、右ターン時のx方向の加速度の絶対値の最大値、及び、左ターン時のx方向の加速度の絶対値の最大値が大きいほど、華麗にダイナミックに見え、よりよいフォームで滑走していると考えられる。算出部104は、x方向加速度から、ダイナミックさの評価値を算出する。

【0067】
算出部104は、利用者がパラレルターンをした際のx方向加速度を取得する。算出部104は、取得したx方向加速度を、左ターンのものと、右ターンのものとに分類する。即ち、算出部104は、x方向加速度が正のものを右ターン、負のものを左ターンとする。算出部104は、右ターンのx方向加速度から、絶対値が最大のものを抽出する。また、算出部104は、左ターンのx方向加速度から、絶対値が最大のものを抽出する。算出部104は、右ターンのx方向加速度の絶対値の最大値をRmax、左ターンのx方向加速
度の絶対値の最大値をLmaxとする。算出部104は、パラレルターンのダイナミックさ
を示すダイナミックさの評価値(Dynamic Score)を次のように算出する。

【0068】
【数8】
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【0069】
上級者であっても、x方向の加速度の絶対値が2G(19.6m/s2)を超えること
はないので、ここでは、数値化の際の最高点(100点)を、x方向の加速度の絶対値が2Gとなった時とする。
ダイナミックさの評価値の値が大きいほど、動きがダイナミックであり、よりよいフォームであることを意味する。
また、算出部104は、右ターンのピークの平均をRmax、左ターンのピークの平均を
maxとしてダイナミックさの評価値を算出してもよい。

【0070】
ステップS103では、端末装置100の出力部112は、ステップS102で算出された各評価値の値を、利用者に通知するために、表示する。出力部112は、テンポの評価値を、図6に示すようなグラフと共に表示してもよい。図6に示すようなグラフと共に表示することで、利用者は、滑り始めでテンポがずれているのか、滑り終わりでテンポがずれているのか、右側のテンポがずれているのか、左側のテンポがずれているのか等を視覚的に容易に認識することができる。また、出力部112は、左右加重の比率の評価値を、図7のようなグラフと共に表示してもよい。図7に示すようなグラフと共に表示することで、利用者は、視覚的にターンの際の対称性のずれを認識することができる。

【0071】
複数の滑走者について、滑走時に、滑走者に装着される携帯端末等で計測された加速度データを、端末装置100で取得して、滑走者毎の、テンポ、対称性、ダイナミックさの評価値を算出し、表示してもよい。端末装置100は、複数の滑走者の加速度データを、携帯端末等及び端末装置100を含む通信ネットワークを介して取得する。また、端末装置は、記録媒体を介して、複数の滑走者の加速度データを、取得してもよい。端末装置100は、例えば、複数の滑走者の運動技能の評価値を比較できるように表示することで、各滑走者は、自身の運動技能と他人の運動技能とを比較して、自身の技能の向上に役立てることができる。

【0072】
(実施形態の作用、効果)
端末装置100は、利用者がスキーのパラレルターンを行う際に計測されたx方向加速度、y方向加速度を使用して、パラレルターンの巧拙を示す、テンポ、対称性、ダイナミックさの評価値を算出して、出力する。

【0073】
従来、運動を行う際の動きを示す加速度の時間変化が計測されることがあったが、加速度の時間変化の値や加速度を積分した速度の時間変化等をそのまま見るだけでは、運動の巧拙を認識することは難しかった。本実施形態の端末装置100によれば、パラレルターンを行う際に計測された加速度の時間変化に基づいて、パラレルターンの巧拙を示す評価値を算出することで、利用者にパラレルターンの巧拙を直感的に認識できる評価値を提示することができる。また、利用者は、パラレルターンの巧拙を示す評価値により、自身のスキーの技能レベルを知ることができる。利用者は、パラレルターンの巧拙を示す評価値の経時的な変化を見ることで、技能の向上度合いを客観的に確認することが可能となる。

【0074】
本実施形態では、スキーで滑走する滑走者に装着される加速度センサにより滑走者の加速度を計測するため、計測時に大規模な実験施設を使用して滑走者の身体を拘束することなく、滑走者の動きを示す加速度データを取得することが可能となる。
【符号の説明】
【0075】
100 端末装置
102 取得部
104 算出部
106 入力部
108 通信部
110 格納部
112 出力部
1000 情報処理装置
1002 プロセッサ
1004 メモリ
1006 記憶部
1008 入力部
1010 出力部
1012 通信制御部
1014 検出部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6