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明細書 :溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極およびそれを用いた電気化学測定装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6198134号 (P6198134)
公開番号 特開2015-102379 (P2015-102379A)
登録日 平成29年9月1日(2017.9.1)
発行日 平成29年9月20日(2017.9.20)
公開日 平成27年6月4日(2015.6.4)
発明の名称または考案の名称 溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極およびそれを用いた電気化学測定装置
国際特許分類 G01N  27/30        (2006.01)
G01N  27/48        (2006.01)
G01N  27/26        (2006.01)
G01N  17/02        (2006.01)
FI G01N 27/30 311Z
G01N 27/48 311
G01N 27/26 351B
G01N 17/02
請求項の数または発明の数 10
全頁数 9
出願番号 特願2013-241972 (P2013-241972)
出願日 平成25年11月22日(2013.11.22)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 Review of Polarography2013年10月号(Vol.59,No.3)第211頁にて公開
審査請求日 平成28年8月24日(2016.8.24)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】505374783
【氏名又は名称】国立研究開発法人日本原子力研究開発機構
発明者または考案者 【氏名】永井 崇之
【氏名】西澤 代治
【氏名】大山 孝一
【氏名】狩野 茂
【氏名】佐藤 誠一
【氏名】猪瀬 毅彦
【氏名】関 克巳
【氏名】畠山 清司
個別代理人の代理人 【識別番号】110000442、【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
審査官 【審査官】櫃本 研太郎
参考文献・文献 特開平10-062382(JP,A)
米国特許第07632384(US,B1)
特開平07-167823(JP,A)
実開昭55-037899(JP,U)
米国特許第5294313(US,A)
調査した分野 G01N 27/26-27/49
G01N 17/02
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
高温導電性材料からなる片閉管と、その片閉管内に装荷した酸化ニッケルを溶存または含有させた参照極ガラスと、その参照極ガラス内に一部浸漬したニッケル系金属極を備えたことを特徴とする溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極において、
前記ニッケル系金属極の前記参照極ガラスと接触する面が酸化ニッケルで覆われていることを特徴とする溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極。
【請求項3】
請求項1または2に記載の溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極において、
前記参照極ガラス中の酸化ニッケルの濃度が1mol%以上に規制されていることを特徴とする溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極において、
前記参照極ガラスは、ガラス組成物に酸化ニッケルを添加して一度溶融した後に凝固させたガラス、またはガラス組成物に酸化ニッケルを粉砕混合したものであることを特徴とする溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル/ニッケル参照極。
【請求項5】
耐熱容器と、前記耐熱容器内に収容された溶融ガラスと、作用極と、対極と、参照極と、電気化学計測器を備え、前記作用極と対極と参照極はその一部が前記溶融ガラスに浸漬されるとともに、前記作用極と対極と参照極は前記電気化学計測器に電気的に接続された電気化学測定装置において、
前記参照極は請求項1ないし4のいずれか1項に記載の酸化ニッケル/ニッケル参照極であることを特徴とする電気化学測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電気化学測定装置において、
前記溶融ガラスと前記参照極ガラスの基本組成が同じであることを特徴とする電気化学測定装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電気化学測定装置において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中に溶存するイオンの化学状態や酸化還元挙動を分析する電気化学測定装置であることを特徴とする電気化学測定装置。
【請求項8】
請求項5または6に記載の電気化学測定装置において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中に溶存するイオンを陰極の前記作用極へ析出回収する電気化学測定装置であることを特徴とする電気化学測定装置。
【請求項9】
請求項5または6に記載の電気化学測定装置において、
前記電気化学測定装置は、陽極である前記作用極に溶解対象物を取り付けて、前記溶融ガラス中へ溶解する電気化学測定装置であることを特徴とする電気化学測定装置。
【請求項10】
請求項5または6に記載の電気化学測定装置において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中における導電性材料の耐食性を評価する電気化学測定装置であることを特徴とする電気化学測定装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融ガラスの電気化学測定に用いる酸化ニッケル(NiO)/ニッケル(Ni)参照極に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば溶融ホウケイ酸ガラスなどの溶融ガラス中に溶存するイオンの化学状態や酸化還元挙動を電気化学的手法により分析および研究する場合、計測した作用極電位は参照極電位を基準とする。
【0003】
従来の溶融ガラスの電気化学測定では、白金(Pt)の線または箔などをイットリア安定化ジルコニア(YSZ)製の片閉管の内面先端に接着し、この片閉管を溶融ガラス中に浸漬して、空気を掃気しながらYSZ/Pt接合部の指示電位を参照極電位として計測し、空気中の酸素分圧から酸素発生電位(標準電位)に換算している(従来技術1 非特許文献1参照)。
【0004】
後述するようにこの従来技術1では、YSZ/Pt参照極の準備が容易でないという課題がある。そのため汎用的な手法として、溶融ガラス中に直接浸漬したPt線を参照極とみなし、測定対象の電気化学測定とは別に貴側へ電位を掃引して酸素発生電位を計測し、酸素発生電位(標準電位)に換算する手法がある(従来技術2 非特許文献2参照)。
【0005】
また、特許文献1,2には、溶融ガラスを測定対象とする電気化学測定の参照極関連の技術として、酸素分圧を正確に測定しながら電気化学測定を遂行する装置が開示されている(従来技術3 特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開平10-62381号公報
【特許文献2】特開平10-62382号公報
【0007】

【非特許文献1】Ki-Dong Kim, Young-Ho Kim, “Voltammetric approach to redox behavior of various elements in cathode ray tube glass melts,”Journal of Non-Crystalline Solids, Vol.354 (2088) pp.553-577.
【非特許文献2】Toru Sugawara, Yoshihisa Fujita, Mitsuo Kato, Satoshi Yoshida, Jun Matsuoka, Yoshinari Miura, “Evaluation of Voltammetric redox potential for Fe3+/Fe2+ in silicate liquids,” Journal of the Ceramic Society of Japan, Vol.117, No.12 (2009) pp.1317-1323.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来技術1では、片閉管の内面先端へのPtの線または箔などの接着は容易でなく、溶融ガラス中への浸漬時に熱衝撃によって接着部が剥離したり、この接着状態が原因と推定される影響として使用するYSZ/Pt参照極によって計測した作用極電位が異なったり、数時間の連続測定において作用極電位が変動したりする事例があった。
【0009】
また前記従来技術2では、Pt参照極電極は溶融ガラス中の溶存酸素濃度によって変動するため、電気化学測定を行う間、溶融ガラス中の溶存酸素濃度が一定であることが前提条件であり、測定電位を酸素発生電位(標準電位)に換算する場合、ある程度の電位誤差を許容する必要がある。
【0010】
また、正確な電位を求めるには、溶融ガラス中の溶存酸素濃度を安定化させる必要があり、比較的長時間にわたりガラスの溶融状態を保持しなければならない。
【0011】
さらに従来技術3では、前記特許文献1,2に開示された酸素分圧を測定する部位の構造が緻密かつ複雑であるため、測定環境などの条件に合わせて電極構造を柔軟に変更することは難しいなどの課題がある。
【0012】
本発明の目的は、このような従来技術の課題を解消し、長時間安定した参照極電位が得られ、構造が簡単で、測定環境に適合した変更が可能なNiO/Ni参照極およびそれを用いた電気化学測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記目的を達成するため、本発明の第1の手段は、
高温導電性材料からなる片閉管と、その片閉管内に装荷した酸化ニッケルを溶存または含有させた参照極ガラスと、その参照極ガラス内に一部浸漬したニッケル系金属極を備えたことを特徴とするものである。
【0014】
本発明の第2の手段は前記第1の手段において、
前記ニッケル系金属極の前記参照極ガラスと接触する面が酸化ニッケルで覆われていることを特徴とするものである。
【0015】
本発明の第3の手段は前記第1または2の手段において、
前記参照極ガラス中の酸化ニッケルの濃度が1mol%以上に規制されていることを特徴とするものである。
【0016】
本発明の第4の手段は前記第1ないし3の手段において、
前記参照極ガラスは、ガラス組成物に酸化ニッケルを添加して一度溶融した後に凝固させたガラス、またはガラス組成物に酸化ニッケルを粉砕混合したものであることを特徴とするものである。
【0017】
前記目的を達成するため、本発明の第5の手段は、
耐熱容器と、前記耐熱容器内に収容された溶融ガラスと、作用極と、対極と、参照極と、電気化学計測器を備え、前記作用極と対極と参照極はその一部が前記溶融ガラスに浸漬されるとともに、前記作用極と対極と参照極は前記電気化学計測器に電気的に接続された電気化学測定装置において、
前記参照極は前記第1ないし4の手段の酸化ニッケル/ニッケル参照極であることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の第6の手段は前記第5の手段において、
前記溶融ガラスと前記参照極ガラスの基本組成が同じであることを特徴とするものである。
【0019】
本発明の第7の手段は前記第5または6の手段において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中に溶存する例えばFeイオンなどのイオンの化学状態や酸化還元挙動を分析する電気化学測定装置であることを特徴とするものである。
【0020】
本発明の第8の手段は前記第5または6の手段において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中に溶存する例えばFeイオンなどのイオンを陰極の前記作用極へ析出回収する電気化学測定装置であることを特徴とするものである。
【0021】
本発明の第9の手段は前記第5または6の手段において、
前記電気化学測定装置は、陽極である前記作用極に例えばPd、Rhなどの白金族元素のガラス溶融炉内で析出する導電性物質などの溶解対象物を取り付けて、前記溶融ガラス中へ溶解する電気化学測定装置であることを特徴とするものである。
【0022】
本発明の第10の手段は前記第5または6の手段において、
前記電気化学測定装置は、前記溶融ガラス中における例えばNi-Cr系合金やCo基合金などの電極や装置の候補材料などの導電性材料の耐食性を評価する電気化学測定装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明は前述のような構成になっており、長時間安定した参照極電位が得られ、構造が簡単で、測定環境に適合した変更が可能なNiO/Ni参照極およびそれを用いた電気化学測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係るNiO/Ni参照極を用いた電気化学測定装置の概略構成図である。
【図2】溶融参照極ガラス中のNiO濃度(初期値)に対する作用極の自然電位と酸素発生電位の差(ΔE)の関係を示す特性図である。
【図3】Feイオンを含む溶融ガラスを対象に、電位掃引幅を変えながら測定したサイクリックボルタンメトリ(CV測定)の結果を示す電位-電流曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係るNiO/Ni参照極は、具体的に例えば、
(a)溶融ガラス中に溶存するイオンの化学状態や酸化還元挙動を電気化学的手法により分析および研究する電気化学測定装置に使用できる。
(b)溶融ガラス中の溶存するイオンを電気化学的手法により作用極(陰極)へ析出回収する電気化学測定装置に使用できる。
(c)作用極(陽極)に溶解対象物を取り付けて、電気化学的手法により溶融ガラス中へ溶解する電気化学測定装置に使用できる。
(d)溶融ガラス中における導電性材料(例えば金属材料や炭素材料など)の耐食性を電気化学的手法により評価および研究する電気化学測定装置に使用できる。

【0026】
次に本発明の実施例を図面と共に説明する。図1は、実施例に係るNiO/Ni参照極を用いた電気化学測定装置の概略構成図である。

【0027】
この電気化学測定装置は同図に示すように、アルミナるつぼなどから構成された耐熱容器1には、高温状態の溶融ガラス2が収容保持されている。この溶融ガラス2中には、作用極3、対極4ならびにNiO/Ni参照極9の下部が浸漬されている。

【0028】
NiO/Ni参照極9は、高温導電性材料からなる片閉管5内に酸化ニッケル(NiO)を溶存または含有させたガラスで構成されている溶融状態の参照極ガラス6が所定量装荷されている。この参照極ガラス6中に、ニッケル(Ni)系金属極7を挿入した構成になっている。

【0029】
これら耐熱容器1、溶融ガラス2、作用極3、対極4ならびにNiO/Ni参照極9(片閉管5、参照極ガラス6ならびにNi系金属極7)で、電気化学測定セルを構成している。

【0030】
この電気化学測定セルの作用極3、対極4ならびにNiO/Ni参照極9(Ni系金属極7)の各電極を市販の電気化学計測器8に接続することにより電気化学測定装置が構成され、所望の電気化学測定操作が行われる。

【0031】
高温導電性材料製の片閉管5は、塩化物溶融塩などに用いられるPyrex(登録商標)片閉管と同様に隔膜としての機能を有しており、素材として、Vycor(登録商標)などの耐熱ガラス、石英ガラス、ジルコニア(イットリア安定化ジルコニア(YSZ)等を含む)、アルミナなどの高温で導電性を有する耐熱材料が用いられる。

【0032】
NiOを溶存または含有させた参照極ガラス6は、溶融ガラス2(ホウケイ酸ガラス)の基本組成にNiOを添加して一度溶融した後に凝固させたガラス、または溶融ガラス2の基本組成にNiOを粉砕混合したものを用いる。

【0033】
溶融ガラス2の基本組成の1例を示せば下表の通りである。
【表1】
JP0006198134B2_000002t.gif

【0034】
図2は、900℃に維持されている溶融参照極ガラス(溶融ホウケイ酸ガラス)6中のNiO濃度(初期値)に対するPt作用極3の自然電位と酸素発生電位の差(ΔE)の関係を示す特性図である。

【0035】
この図から明らかなように、参照極ガラス6中のNiO濃度(初期値)が1.11mol%、2.17mol%、4.15mol%の場合、NiO濃度(初期値)とΔEとの間に相関関係(図2の実線で示す直線)があるが、参照極ガラス6のNiO濃度(初期値)が1mol%未満ではNi系金属電極7から溶出するNiイオンにより参照極ガラス6中のNiO濃度が増加し、徐々にΔEが低下する(図2中の×印で示す点)。
従って、参照極ガラス6に含まれるNiO濃度は、NiO/Ni対の酸化還元反応が安定する1mol%以上とする必要がある。なお、参照極ガラス6中のNiO濃度の上限値は、30mol%程度である。

【0036】
Ni系金属電極7はNi系金属の棒や線材からなり、Ni成分が80mol%以上の金属材料を用いる。使用可能なNi基合金として、例えばNi-Cr合金やNi-Fe合金がある。

【0037】
また、参照極ガラス6に接触(浸漬)するNi系金属電極7の先端部を高温(約900℃)の大気中で加熱し、Ni系金属電極7の先端部表面にNiO膜を形成させることで、長時間にわたって安定した電気化学測定ができる。

【0038】
次に本発明のNiO/Ni参照極9を用いた電気化学測定装置における、作用極3と対極4の具体的な組み合わせの実施例を説明する。

【0039】
(実施例1)
溶融ガラス2中に溶存するイオンの化学状態や酸化還元挙動を電気化学的手法により分析および研究する電気化学測定装置において、本発明のNiO/Ni参照極9を使用し、作用極3および対極4にはPtなどの耐食性材料を用いる。

【0040】
(実施例2)
溶融ガラス2中に溶存するイオンを電気化学的手法により陰極の作用極3へ析出回収する電気化学測定装置において、本発明のNiO/Ni参照極9を使用し、作用極3に析出物が付着し易い材料(例えばPtなどの耐食性材料およびNi-Cr系合金やCo基合金からなる多孔性板や網など)を用い、対極4にはPtなどの耐食性材料を用いる。

【0041】
(実施例3)
陽極である作用極3に溶解対象物を取り付けて、電気化学的手法により溶融ガラス2中へ溶解する電気化学測定装置において、本発明のNiO/Ni参照極9を使用し、作用極3はPtなどの耐食性材料からなる容器や網に溶解対象物を装荷し、対極4には溶解電位条件で溶融ガラス2中への成分溶出が少ないグラファイト等の導電性炭素材料やPtなどの耐食性材料を用いる。

【0042】
(実施例4)
溶融ガラス2中における導電性材料(金属材料や炭素材料など)の耐食性を電気化学的手法により評価および研究する電気化学測定装置において、本発明のNiO/Ni参照極9を使用し、作用極3に評価・研究の対象材料を用い、対極4には電位掃引範囲で溶融ガラス2中への成分溶出が少ないグラファイト等の導電性炭素材料やPtなどの耐食性材料を用いる。

【0043】
図3は、本発明のNiO/Ni参照極9を使用した電気化学測定結果の実例として、Feイオンを含む900℃の溶融ホウケイ酸ガラス(溶融ガラス2)を対象に、電位掃引幅を変えながら測定したサイクリックボルタンメトリ(CV測定)の結果を示す電位-電流曲線図である。

【0044】
この測定は、溶融ガラス2を加熱保持する電気炉内温度が900℃に安定した時刻8時30分頃からPt作用極3の自然電位を測定し、14時30分頃から21時30分頃まで7時間CV測定を繰り返したところ、0.35~0.40Vの電位領域で観察される酸素発生反応による正の電流値の増加曲線が重複することが分かった。すなわち、本発明のNiO/Ni参照極9は、少なくとも7時間安定した参照極電位を示すことが確認できた。

【0045】
また、本発明のNiO/Ni参照極9を構成する高温導電性材料からなる片閉管5、NiOを溶存または含有させた参照極ガラス6、Ni系金属極7は、全て安価にかつ容易に入手できる素材であり、測定環境に適合した仕様、形状の変更も容易に可能であるなどの特長を有している。

【0046】
前記第9の手段において、電気化学測定装置は、陽極である作用極に例えばPd、Rhなどの白金族元素のガラス溶融炉内で析出する導電性物質などの溶解対象物を取り付けて、溶融ガラス中へ溶解する電気化学測定装置であることを特定している。

【0047】
高レベル放射性廃液のガラス固化処理プロセスでは、白金族元素などの導電性物質が析出して堆積することによるガラス溶融炉運転への課題が生じており、これら導電性物質の析出反応(電気化学反応)を評価するのに、本発明の電気化学測定装置を適用することができる。

【0048】
前記第10の手段において、電気化学測定装置は、溶融ガラス中における例えばNi-Cr系合金やCo基合金などの電極や装置の候補材料などの導電性材料の耐食性を評価する電気化学測定装置であることを特定している。

【0049】
高レベル放射性廃液のガラス固化処理プロセスで用いられるガラス溶融炉の加熱方式の一つとして、溶融ガラスに直接通電してガラスの電気抵抗による発熱を利用した方式があり、この溶融炉の加熱用電極材料として、Ni-Cr系合金のInconel (登録商標)690が使用されており、また、Co基合金も候補材料となっている。これら導電性材料の耐食性を評価するのに、本発明の電気化学測定装置を適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1:耐熱容器、
2:溶融ガラス、
3:作用極、
4:対極、
5:片閉管、
6:参照極ガラス、
7:Ni系金属極、
8:電気化学計測器、
9:NiO/Ni参照極。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2