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明細書 :取手およびドア

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5709120号 (P5709120)
公開番号 特開2010-209513 (P2010-209513A)
登録日 平成27年3月13日(2015.3.13)
発行日 平成27年4月30日(2015.4.30)
公開日 平成22年9月24日(2010.9.24)
発明の名称または考案の名称 取手およびドア
国際特許分類 E05B   1/00        (2006.01)
FI E05B 1/00 311P
E05B 1/00 311S
請求項の数または発明の数 4
全頁数 35
出願番号 特願2009-053271 (P2009-053271)
出願日 平成21年3月6日(2009.3.6)
審査請求日 平成24年2月9日(2012.2.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
発明者または考案者 【氏名】白井 睦訓
【氏名】長山 憲範
個別代理人の代理人 【識別番号】100111132、【弁理士】、【氏名又は名称】井上 浩
審査官 【審査官】川島 陵司
参考文献・文献 特開平7-71143(JP,A)
特開2008-70001(JP,A)
特開平8-246719(JP,A)
実開昭63-184958(JP,U)
特開平7-327763(JP,A)
実開平4-105384(JP,U)
実開平5-33734(JP,U)
特開平7-331933(JP,A)
調査した分野 E05B 1/00
特許請求の範囲 【請求項1】
それ自体が透光性を有する透光材から成り使用者が手で触れる接触体と、
前記接触体の長手方向両端の少なくとも一方に配設され、375nm~420nmに光強度の極大を有する光を発する光源と、
前記光源の点灯と消灯とを制御する回路を備える基板と、
前記基板に供給する電気を蓄えるための蓄電池と、
前記基板及び前記蓄電池をその内部に収容し、かつ、前記接触体を直接又は間接的に支持固定する躯体とを有し、
前記接触体は、合成樹脂からなり、
前記接触体の外部に裸出しない端面及び側面は、反射材を具備しており、
前記接触体に前記光を照射することで前記接触体の内側から外側面に向かって前記光を照射しつつ、前記接触体を間接的に発光させて、前記光の照射により前記接触体の外側面の全域及びその周囲を殺菌することを特徴とする取手。
【請求項2】
前記躯体に直接又は間接的に支持固定され、前記接触体への前記使用者の手の近接を検知するためのセンサを備えることを特徴とする請求項1記載の取手。
【請求項3】
前記蓄電池に電気を供給する光電変換装置を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取手。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の取手を備えることを特徴とするドア。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、取手に300nm~420nmに光強度の極大を有する光を照射して感染菌の増殖を防止することのできる取手およびドアに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、感染菌の感染源として不特定多数の人が触れるドアや引き戸の取手が注目されている。
感染源であるドア等の取手に触れる人が限られている場合には、アルコール等による手の消毒を周知徹底することで感染菌の繁殖や拡散を防止することができると考えられる。
しかしながら、ドア等の取手に触れる人が不特定多数である場合、使用者に手の消毒を周知徹底することは難しく、定期的にドア等の取手を消毒するという方法もあるが煩雑であった。
このような課題に対処する目的でいくつかの発明が開示されている。
【0003】
特許文献1には「ドアノブ」という名称で、病院,薬品工場,食品工場など、特に衛生を重んずる建物内のドアに設けられるドアノブに関する発明が開示されている。
特許文献1記載の発明は、ドアノブの内部にヒータや紫外線ランプなどの殺菌手段を内蔵させたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献1に記載の発明によれば、ドアノブの内部に殺菌手段としてヒータを備える場合には熱で感染菌を死滅させることができる。また、殺菌手段として紫外線発生装置を備える場合には、紫外線により感染菌の遺伝子を破壊して感染菌を死滅させることができるという効果を有する。
この結果、ドアノブを衛生的に維持することができるという効果を有する。
【0004】
特許文献2には「殺菌取手」という名称で、取手を常時殺菌し得る殺菌取手に関する発明が開示されている。
特許文献2に記載の発明は、握りパイプ及びこの握りパイプを開閉ドアに取り付ける為の取付パイプよりなる取手に於いて、前記握りパイプの外周壁に複数個の穴を穿設し、かつこの握りパイプ内に殺菌灯6を収納し、取付パイプ内にコンセント等を配設し、更に握りパイプ及び殺菌灯の両端部を夫々取付パイプ内に嵌入して組立てたことを特徴とするものである。
上記構成の特許文献2に記載の発明によれば、以下に示すような効果を有する。
(1)殺菌灯を収納し得る殺菌灯収納部を取手そのものの内部に形成することが出来る。(2)殺菌灯収納部の外周壁に殺菌光を照射し得る穴を穿設することが出来る。(3)該穴は人が目視出来ないような位置に設けることが出来、かつこの穴から取手に殺菌光を絶えず照射することが出来る。(4)従って、取手を常時クリーンに殺菌することが出来、かつ人が殺菌光を目視出来ないようにすることが出来る。(5)殺菌灯の収納及び着脱が容易である。(6)取手を殺菌光でライトアップして、夜間等に目立たせることが出来る。(7)開閉ドアへの取手(特許文献2の原文では取付)の取り付け作業が容易である。(8)電気配線が容易であり、体裁良く配線することが出来る。(9)便所等の小さい部屋のスペースでは、この部屋全体の殺菌を本発明の殺菌取手で行うことが出来る。
【0005】
特許文献3には「殺菌取手」という名称で、取手を常時殺菌し得る殺菌取手に関する発明が開示されている。
特許文献3に記載の発明は、手掛板、取付板、連結板よりなる横断面コ字状取手のコーナー部に円筒状の殺菌灯ケースを一体的に取り付け、かつ該殺菌灯ケースの外周壁に穴3を穿設し、更に殺菌灯ケース内に殺菌灯を収納し、該殺菌灯ケースの開口部をキャップで被蓋してなることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献3記載の発明は、以下に示すような効果を有する。(1)殺菌灯を収納し得る殺菌灯ケースを取手の一部に体裁良く一体的に組み込むことが出来る。(2)殺菌灯ケースの外周壁に殺菌光を照射し得る穴を穿設することが出来る。(3)該穴の位置によって取手のみに殺菌光を絶えず照射することが出来る。(4)従って、取手を常時クリーンに殺菌することが出来、かつ人が殺菌光を目視出来ないようにすることが出来る。(5)殺菌灯の収納及び着脱が容易である。(6)取手を殺菌光でライトアップして、夜間等に目立たせることが出来る。(7)開閉ドアへの取手(特許文献3の原文では取付)の取り付け作業が容易である。(8)電気配線が容易であり、体裁良く配線することが出来る。(9)便所等の小さい部屋のスペースでは、この部屋全体の殺菌を本発明の殺菌取手で行うことが出来る。
【0006】
特許文献4には「ドアノブ用殺菌装置並びにドアノブ等の殺菌システム」という名称で、トイレや調理場、病院などの任意の扉に取り付け、扉のドアノブ表面についた菌を殺菌するドアノブ用殺菌装置に関する発明が開示されている。
特許文献4記載の発明は、裏面に任意の扉への取付手段を有し任意のドアノブ通過可能な開口部を有する基盤と、基板上に設けられ取り付けた状態で前記任意のドアノブ方向に照射光を照射する殺菌ランプと、該殺菌ランプの照射を前記任意のドアノブ方向に反射させるための反射手段と、前記殺菌ランプあるいは前記反射手段による照射光が利用者の目に届かないための遮蔽手段と、前記殺菌ランプに電源を供給する電源供給手段と、前記殺菌ランプの照射動作を制御する照射制御手段とからなることを特徴とするものである。
上記構成の特許文献4記載の発明によれば、ドアノブ表面全体についた各種菌を効率的に殺菌することが可能となる。既存のドアに取り付けられる構造にしたことにより、既存のドアノブを取り替えることなく、簡単に設置することができるので、低コストで実施することが可能である。遮蔽手段を設けることにより、利用者の目に殺菌灯の照射光が入るのを防ぐ安全性を確保することができる。手動制御用のスイッチを設けることで、使用にあわせて必要なときに殺菌をおこなうことができる。制御方法として、タイマを利用することで、人手を利用することなく自動的に照射が可能であり、殺菌作業必ず実施することが可能であるとともに、その環境に応じて設定できる。センサを利用して、動作を制御することにより、利用の度に確実に照射処理をおこなうことができる。触媒層をドアに設けることにより、殺菌灯による効果と触媒による効果を相乗的に得ることができる。
【0007】

【特許文献1】特開平7-71143号公報
【特許文献2】特開平7-327763号公報
【特許文献3】特開平7-331933号公報
【特許文献4】特開2003-307049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の発明おいては、殺菌手段としてヒータを備えた場合、夜間のみヒータを作動させるように設定すると、昼間に十分な殺菌効果が期待できない恐れがあった。また、一般に十分な殺菌効果を発揮させるためには、少なくとも70℃以上に加熱する必要がある。この場合、加熱された直後のドアノブに人が触れる可能性もあり、このときドアノブに触れた際の熱感が不快なだけでなく、火傷の原因になる恐れがあった。
また、殺菌手段として紫外線殺菌灯を用いる場合、殺菌時にドアノブからその周辺に向けて紫外線が放射され続けるため、ドアノブの表面への高い殺菌効果が期待できる反面、例えば、病棟などにおいて病室やその他処置のための部屋の全てのドアノブから紫外線が照射され続けた場合、この紫外線が人体に悪影響を及ぼす恐れがあり、汎用性の高いものであるとは言えなかった。
加えて、上記2種類の殺菌手段はいずれも電気により作動すると考えられるものの、特許文献1に開示される発明は、いずれもこれらの殺菌手段に供給する電気を発生させるための発電手段を備えていないので、ドアの外部から配線を通じて特許文献1に開示される発明の殺菌手段に電力を供給する必要があった。
この場合、回動運動又はスライド移動するドアのひとつひとつに対して殺菌手段に電気を供給するための配線設備を設ける必要があり、その取付作業が煩雑な上、ドアの回動が繰り返されることで配線の局所に負荷がかかり、配線に不具合が生じる可能性が高かった。
このため、特許文献1に開示される発明においては、ドアノブの殺菌状態を維持するために定期的なメンテナンスを行う必要があり、コストや手間がかかるという課題もあった。さらに、ドアから導出される配線は、ドアやその周辺の審美性を著しく損なう恐れが高かった。
【0009】
また、特許文献2および特許文献3に開示される発明においては、取手の外部に向って紫外光が照射され続けることによる人体への悪影響は緩和されるものの、取手の周方向全体をムラなく殺菌することは難しいという課題があった。
加えて、特許文献2や特許文献3に開示される発明は、特許文献1に開示される発明と同様に、殺菌灯を発光させるための電気を供給する発電設備を備えていないので、ドアの外部に配線を設けて取手に電気を供給する必要があった。
この場合、特許文献2に開示される発明のドアへの取付が煩雑になる上、メンテナンスの手間がかかり、しかも、ドアの審美性が損なわれるという恐れがあった。
【0010】
特許文献4記載の発明においては、電源供給手段を備えていることで装置に電気を供給するための配線を設ける必要がなく、かつ、ドアノブの外に向って紫外線が放射され続けるのを防止しながらドアノブの外側面の全周を効率よく殺菌することができると考えられるものの、ドアノブを上下から挟むように殺菌灯が配置されるので、使用者がドアノブを把持しにくいという課題があった。また、ドアノブおよびドア自体の審美性が損なわれるおそれも高かった。
【0011】
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものでありその目的は、取手及びドア自体の審美性を損なうことなく、かつ、人が触れる接触部の全体に300nm~420nmに光強度の極大を有する光をムラなく照射して感染菌の繁殖を抑制することができるとともに、接触部を発光させて常夜灯や非常灯としても利用することができる取手及びドアを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため請求項1記載の発明である取手は、それ自体が透光性を有する透光材から成り使用者が手で触れる接触体と、この接触体の長手方向両端の少なくとも一方に配設され、375nm~420nmに光強度の極大を有する光を発する光源と、この光源の点灯と消灯とを制御する回路を備える基板と、この基板に供給する電気を蓄えるための蓄電池と、基板及び蓄電池をその内部に収容し、かつ、接触体を直接又は間接的に支持固定する躯体とを有し、接触体は合成樹脂からなり、接触体の外部に裸出しない端面及び側面は、反射材を具備しており、接触体に光を照射することで接触体の内側から外側面に向かって光を照射しつつ、接触体を間接的に発光させて、光の照射により接触体の外側面の全域及びその周囲を殺菌することを特徴とするものである。
上記構成の発明において、接触体は、ドア又は引き戸又は扉を開閉させる際に使用者の手に触れてその開閉動作を助けるという作用を有する。また、接触体を透光材により形成することで、この接触体の内部を透過させて接触体の外側面(表面)に375nm~420nmに光強度の極大を有する光(以下、この光を単に近紫外光と呼ぶ。)をムラなく照射するという作用を有する。
さらに、この接触体の長手方向の少なくとも一方に近紫外光を発する光源を配設することで、接触体の内部から外側面に向ってムラなく近紫外光を照射するために必要な光源の数を少なくするという作用を有する。
加えて、光源から照射される近紫外光は、人体に悪影響を及ぼすことなく感染菌の繁殖を抑制したり、感染菌を殺菌するという作用を有する。また、近紫外光は、接触体を発光させるという作用を有する。そして、これにより請求項1に記載の取手における、使用者が手を触れるべき箇所の視認性を高めるという作用を有する。加えて、接触体の外部に裸出しない端面及び側面に設けられる反射材は、近紫外光を反射するという作用を有する。
また、基板は回路を形成させるという作用を有し、この回路は、光源の点灯及び消灯を制御するという作用を有する。
さらに、蓄電池は、基板に供給するための電気を蓄えるという作用を有する。
また、躯体は、その内部に基板及び蓄電池を収容するとともに、接触体を直接又は間接的に支持固定するという作用を有する。
【0013】
請求項2記載の発明である取手は、請求項1記載の取手であって、躯体に直接又は間接的に支持固定され、接触体への使用者の手の近接を検知するためのセンサを備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1記載の発明と同じ作用に加えて、センサは接触体への使用者の手の近接を検知して電気信号を発するという作用を有する。また、躯体は、センサを直接又は間接的に支持固定するという作用を有する。
【0014】
請求項3記載の発明である取手は、請求項1又は請求項2に記載の取手であって、蓄電池に電気を供給する光電変換装置を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ作用に加えて、光電変換装置は、自然光又は人工光の照度に比例して電流を発生させて、すなわち、自然光又は人工光を利用して発電して、その電気を蓄電池に供給するという作用を有する。
【0015】
請求項4記載の発明であるドアは、請求項1乃至請求項2のいずれか1項に記載の取手を備えることを特徴とするものである。
上記構成の発明は、請求項1乃至請求項3記載の発明を備えたドアであり、請求項1乃至請求項2記載のそれぞれの発明と同じ作用を有する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1記載の発明においては、接触体を透光材により形成し、その長手方向の少なくとも1の端部に近紫外光を発する光源を配設することで、光源を発光させた際に、接触体の外側面にムラなくその内部から近紫外光を照射することができるという効果を有する。また、請求項1記載の発明が反射材を備えることで、近紫外光による接触体の外部に裸出する外側面の殺菌効果を高めることができる。
この結果、接触体の外側面をムラなくかつ効率よく殺菌できる上、接触体自体を近紫外光の発光体として利用できるので、接触体の周囲の近紫外光が届く場所についても殺菌効果を発揮させることができる。
つまり、請求項1記載の発明によれば、人の手が直接触れる接触体の外側面及び、人の手が触れる可能性が高い接触体の周囲を、光源を発光させるための電力を節約しながら殺菌することができるという効果を有する。
さらに、請求項1記載の取手は、光源の点灯と消灯を制御する回路を備えることで、十分な殺菌効果が発揮されるために必要でかつ最短の時間光源を発光させることができるという効果を有する。
この結果、接触体とその周囲とを殺菌された状態に保つために必要な電力の量を少なくすることができるという効果を有する。
そして、請求項1記載の発明では、蓄電池を備えているため外部電力に頼ることなく接触体及びその周辺を殺菌するために必要な電力を供給することができるという効果を有する。
つまり、請求項1記載の発明においては、光源に電力を供給するためにドアの外から配線を引き込む必要がないので、ドアへの請求項1記載の発明の取付を容易にするとともに、請求項1記載の取手の審美性を高めることができるという効果を有する。
しかも、発光する接触体は、夜間や非常時の通路誘導灯としても利用することができる。
【0017】
本発明の請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同じ効果に加えて、センサを備えることで、近紫外光による接触体の殺菌が必要なタイミングを検知することができ、十分な殺菌効果が発揮されるために必要でかつ最短の時間だけ光源を発光させることができる。この結果、請求項2記載の発明の省電力化に寄与することができる。
また、接触体への人の手の近接が起こった場合に、それを検知して光源を確実に発光させることができるので、接触体の殺菌効果を一層確実にすることができ、使用者に対する安全性を一層向上することができるという効果も有する。
【0018】
本発明の請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明と同じ効果に加えて、光電変換装置を備えることで、接触体及びその周辺を殺菌するために必要な電力を賄うことができるという効果を有する。
つまり、請求項3に記載の取手内に収容される各装置を作動させるために、蓄電池を交換したり、ドアの外から電力を引き込む必要がないので、環境に優しく、しかも、病原体等の感染源にならない安全な取手を提供することができるという効果を有する。
【0019】
本発明の請求項4記載の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の取手を備えたドアであるため、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の発明と同じ効果を有する。
さらに、請求項4記載の発明においては、物として独立した取手である請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の取手を、既存の取手を備えないドアに取り付けるだけでよい。すなわち、請求項1乃至請求項3のそれぞれに記載の取手の光源を発光させるための電力を、ドアの外から引き込む必要がないので、ドア自体の製造、並びに、その施工も容易にすることができるという効果を有する。この結果、請求項4記載のドアを審美性の高いものにすることができるという効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態に係る取手及びそれを備えたドア、並びに、ドアについて実施例1乃至11を参照しながら詳細に説明する。

【0021】
なお、本願明細書中に記載される「取手」は、開閉扉や引き戸等を含むドアに取り付けられて人が手を触れる「開閉構造」を総称するものであり、この「開閉構造」には、ヒンジ等を介して開口部に取り付けられこのヒンジを基軸に回動運動して開閉するドアに突設されて人が握ったり掴んだりする「把部」や,同様の構造により開閉する扉の一部に面状等に形成されて人が押す「押部」、さらに、開口部と平行に配設される戸板が左右方向にスライドして開閉する引き戸の一部に凹状あるいは凸状に形成されて人が手を掛ける「係部」が含まれる。
さらに、本願明細書中に記載される「ドア」は、上記「把部」や「押部」や「係部」を備える「戸板」を総称するものであり、この「ドア」には「握(にぎる)戸」、「掛(ひっかける)戸」、「押(おす)戸」が含まれる。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1に係る取手及びそれを備えたドアについて図1乃至図4を参照しながら詳細に説明する。なお、実施例1に係る取手は「把部」に相当する。
実施例1に係る取手は、主にヒンジを基軸に回動して開閉するドアに取り付けられる取手である。なお、実施例1に係る取手は横引きドアに「係部」として取り付けることもできる。
図1は本発明の実施例1に係る取手の外観を示す斜視図である。また、図2は図1中のA-A線矢視断面図である。
図1に示すように、実施例1に係る取手1aは、中空で箱状の躯体2の側面27に、1対の腕部3a,3bが突設され、この腕部3a,3bのそれぞれの躯体2に接続されない側の端部26a,26b近傍において透光材からなる接触体4aの両端が支持固定されるものである。
また、図1では一部しか見えないが、接触体4aの長手方向両端には、300nm~420nmに光強度の極大を有する光(以下、この光を単に「近紫外光」と呼ぶ。)を発する光源として2つのLED5(以下、LED5,5と記載する。)が互いに対向するように配設されている。
【実施例1】
【0023】
なお、図1に示すように、LED5,5から放射される近紫外光が接触体4aの端部から離れる方向に拡散してしまわないようにLED5,5の周囲に反射材11を設けておいても良い。この場合、LED5から発せられた近紫外光を反射材11により他の端部側に反射することができるので、近紫外光による接触体4aの外側面28の殺菌効果を高めることができる。
また、実施例1においては、近紫外光(300nm~420nmに光強度の極大を有する光。)を発する光源としてLED5,5を用いた場合を例に挙げて説明しているが、このような光源は必ずしもLEDである必要はなく、電球状の光源等の、従来公知の300nm~420nmに光強度の極大を有する光を発する光源を用いることができる。以下に示す他の実施例においても同様である。
【実施例1】
【0024】
さらに、図2に示すように、実施例1に係る取手1aにおいては、躯体2の内部に基板12と蓄電池13が収容されており、この蓄電池13から配線体15を介して基板12に電力が供給され、この基板12に形成される図示しない給電回路を介して接触体4aの長手方向両端部に配設されるLED5に電力が供給される。
つまり、図2に示す腕部3a,3bのそれぞれには、躯体2の内部に形成される中空部につながる中空部14a,14bが形成されており、これらの中空部14a,14b内に収容される配線体15を介して基板12に送給された電力がLED5,5に供給される仕組みになっている。
また、実施例1に係る取手1aにおいては、基板12に図示しない制御回路が形成されることでLED5,5の点灯及び消灯が制御されている。
【実施例1】
【0025】
上記構成の実施例1に係る取手1aによれば、LED5,5は蓄電池13から供給される電力により、接触体4aの長手方向両端からそれぞれの他の端部に向って近紫外光が放射される。そして、LED5,5から放射された近紫外光は、透光材により形成される接触体4aの内部を透過しながら拡散するとともに、その一部は接触体4aの外側面28から接触体4aの外に放射され、また、近紫外光の一部は、空気と接触体4aを構成する材料の境界面である接触体4aの外側面28において接触体4aの内部に向って反射される。
このように、実施例1に係る取手1aにおいては、接触体4aの長手方向両端から放射された近紫外光が、その外側面28で透過と反射とを繰り返すことで、接触体4aの外側面28にその内部から近紫外光を照射することができるのである。
この結果、接触体4aの外側面28全体にムラなく殺菌効果を発揮させることができる。つまり、使用者の手が直接触れて感染菌による汚染が起こる接触体4aの外側面28全体をムラなく殺菌することができるのである。
さらに、接触体4aを透過して外部に放射された近紫外光は、使用者の手が触れて汚染される可能性の高い躯体2の側面27や、腕部3a,3bの表面の一部にも照射されるので、これらの部分も併せて殺菌することができるという効果を有する。
【実施例1】
【0026】
また、一般に300nm~420nmに光強度の極大を有する光(近紫外光)は、紫外光と比較して、殺菌能力はやや劣るものの、紫外光のように人体に悪影響を及ぼすおそれはほとんどない。しかも、合成樹脂により接触体4aを構成した場合に、接触体4aに近紫外光を長期間照射し続けた場合でも劣化する恐れが少ない。このため、近紫外光は、紫外光に比べてより安全で日常空間に利用し易い光線であると言える。
加えて、接触体4aの両端に互いに向き合うように配設されたLED5,5を発光させた場合、接触体4a全体が発光するため、実施例1に係る取手1aを夜間の常夜灯や、非常時の避難誘導灯としても利用することができる。
なお、実施例1に係る取手1aにおいては、接触体4aを1本のみ備える場合を例に挙げて説明しているが、蓄電池13の容量が十分である場合には、腕部3a,3bに2本以上の接触体4aを設けてデザイン性の高い取手1aとしてもよい。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
さらに、腕部3a,3bに太い接触体4aを設ける場合には、近紫外光による十分な殺菌効果を発揮させるために、接触体4aの長手方向のそれぞれの端部に1つ以上のLED5を配設してもよい。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
【実施例1】
【0027】
なお、実施例1に係る取手1aにおいては、接触体4aとして中空部を有さない棒状の透光材(中実の透光材)を用いる場合を例に挙げて説明しているが、接触体4aは必ずしもこのような中実材で構成する必要はなく、中空部を有する筒状体を用いることも可能である。また、光源であるLED5が配設される場所にそれを収容するための凹部を備えたもの、すなわち、棒状の中実材の両端に凹部を備えたものであってもよい。
いずれの場合も、その一の端部から他の端部に向って光源であるLED5から近紫外光を発光させた際に、接触体4aの外側面28に内側から近紫外光が照射されて接触体4aの外側面28が殺菌されるよう構成されるものであればよい。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
また、接触体4aとして導光棒を用いることも可能である。なお、接触体4aとして、導光棒を用いた場合、その表面に均一に光が照射されるので、接触体4aの表面における殺菌効果を一層確実にして安全性の高い製品を提供することができるという効果を有する。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
さらに、実施例1に係る取手1aの接触体4aに、中空な筒状体を用いる場合には、その中空部に光源であるLED5,5を収容すればよい。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
また、実施例1に係る取手1aの接触体4aが、図1及び図2に示すような中実体を用いる場合、光源であるLED5,5を接触体4aの端部に埋設しても良いし、あるいは、接触体4aの端部に接触体4aとは別体に配設してもよい。以下に示す他の実施例に係る取手及びドアにおいても同様である。
【実施例1】
【0028】
また、実施例1に係る取手1aに、図1及び図2に示すように、発光部6,受光部7,反射部8からなるセンサ9を設けてもよい。なお、センサ9のタイプとしては、透光受光タイプでは接触体4aから発光される近紫外光との干渉を避けるため、赤外線使用タイプが望ましいし、他には、静電容量変化検知タイプ、人体熱検知タイプ、照度変化検知タイプ、超音波あるいは音波の発信受信タイプ、などを用いても支障はなく、センサの種類や設置場所は、目的や環境に応じ適宜選定すると良い。さらには、公知のタッチパネル(タッチスクリーン)やタッチパッドと呼ばれるヒトが触れると検知するものと同様な方式を採用してもよい。より具体的には、躯体2の接触体4aと対向する側面27に発光部6及び受光部7を並設してそれぞれを配線体15により基板12に電気的に接続し、さらに、接触体4aにおける発光部6及び受光部7と対向する位置に反射部8を設けてもよい。この場合、蓄電池13の電力は基板12を介して発光部6や受光部7にも供給される。
そして、センサ9の受光部6,7からの電気信号を基板12に形成される図示しない制御回路に伝送することで、接触体4aに必要な場合にのみ、すなわち、センサ9により接触体4aへの何らかの物体の近接が検知された場合にのみ、近紫外光を照射するようLED5,5の発光と消灯を制御することができる。
この場合、接触体4aやその周囲を衛生的に保つために必要な消費電力を最小限度にすることができ、蓄電池13からの電力の消耗を少なくできるという効果を有する。
なお、特に図示していないが、蓄電池13は躯体2から取り出して交換可能に構成されている。
【実施例1】
【0029】
さらに、実施例1に係る取手1aは、上記構成に加えて、図1及び図2に示すように、躯体2に光電変換装置10を備えていてもよい。より具体的には、実施例1に係る取手1aをドアに取付けた際に、ドアから裸出する躯体2に光電変換装置10を配設し、躯体2の中空部内において光電変換装置10と蓄電池13とを配線体15により電気的に接続してもよい。
この場合、光電変換装置10は、その表面に照射される照度に比例した電流を発生させて蓄電池13に供給するという作用を有する。
これにより、実施例1に係る取手1aの作動に必要な電力を、光電変換装置10の発電により賄うことができるという効果を有する。つまり、光電変換装置10により発電された電力は、配線体15を通じて蓄電池13に一旦蓄電された後、別の配線体15により基板12に供給され、この基板12に形成される図示しない給電回路を介して電力が接触体4aの長手方向両端部に配設されるLED5に供給される。また、センサ9を備える場合には、センサ9の発光部6や受光部7にも電力が供給される。
そして、特にセンサ9を備える場合、センサ9の発光部6や受光部7からの電気信号は基板12に形成される図示しない制御回路に伝送され、この制御回路は、LED5,5の点灯、点滅等の制御を行ったり、蓄電池13から電圧値等の蓄電量に関するデータ(電気信号)を受けて過放電であるかの判定、あるいは光電変換装置10から電圧値あるいは電流値等の発電量に関するデータ(電気信号)を受けて昼夜の判定を行うことも可能である。
なお、実施例1に係る取手1aが、センサ9及び光電変換装置10を備える場合の制御方法の詳細については以下に詳細に示す。
【実施例1】
【0030】
ここで、実施例1に係る取手1aにおけるLED5の点灯と消灯の制御の一例について図3を参照しながら説明する。
図3は本発明の実施例1に係る取手のLEDの点灯と消灯とが制御される仕組みの一例を示すフローチャートである。なお、図3に示すフローチャートは、特に省電力となるよう考慮している。また、図3に示すフローチャートにおけるSTARTの時点において、LED5の点灯、消灯、点滅の状態はいずれでもよい。
実施例1に係る取手1aにおいては、光源が所望の発光をするような電力供給がされ続けるように蓄電池13からの電力供給が滞りなくなされるように、すなわち、できるだけ必要最小の電力で十分な感染菌の殺菌効果が発揮されるよう、まず、光電変換装置10の発電量に関するデータが読み込まれて、昼夜の判定が行われる(ステップS1)。
そして、ステップS1において夜間と判定された場合には、次に、蓄電池13の電圧に関するデータが取得されて蓄電池13が過放電状態にあるかどうかが判定される(ステップS2)。
このステップS2において、蓄電池13が過放電状態にあると判定された場合には、再び光電変換装置10の発電量に関するデータが取得され、蓄電池13が過放電状態にないことが確かめられるまで、ステップS1からステップS2に向う工程が繰り返される。
他方、ステップS2において蓄電池13が過放電状態にないことが確認された場合、LED5を常夜灯又は非常灯として利用できるよう、LED5の数秒間の点滅の後、数十秒間消灯される処理が繰り返される。
こうした点滅や消灯時間を設けることで蓄電池13の電力消耗を抑制する効果が期待できる。
また、図3に示した蓄電池13の過放電状態の判定電圧、センサ9の感度、LED5の点滅時間や消灯時間といったパラメータは、LED5から放射される近紫外光の殺菌能力や、実施例1に係る取手1aの利用の頻度を考慮して自由に調整可能である。
【実施例1】
【0031】
そして、ステップS1において昼間と判定された場合、次に、蓄電池13の電圧に関するデータが取得されて蓄電池13が過放電状態にあるかどうかが判定される(ステップS3)。
このステップS3において、蓄電池13が過放電状態にあると判定された場合、再び光電変換装置10の発電量に関するデータが取得され、蓄電池13が過放電状態にないことが確かめられるまでステップS1からステップS3に向う工程が繰り返される。
【実施例1】
【0032】
また、ステップS3において蓄電池13が過放電状態にないことが確認された場合、今度は、発光部6及び受光部7からなるセンサ9から、接触体4aに人の手が触れたか否かに関する情報が取得され(ステップS4)、人の手が触れたという信号が制御回路に発信される。このステップS4において、人の接触体4aへの接触がセンサ9からの信号によって確認された場合には、制御回路は、LED5に対する電力を遮断するように給電回路に作用してLED5は消灯される。
他方、ステップS4において、センサ9によって接触体4aへの人の手の接触が検知されない場合は、センサ9から人の手が触れたという信号が発信されず、接触体4aへの人の手の接触が最後に起こってから一定の時間(例、LED5から放射される近紫外光の強度が0.82mW/cmの場合には約4時間程度が目安。)が経過しているか否かが判定される(ステップS5)。すなわち、制御回路はセンサ9からの信号を受信する度にその受信時から計時するように構成されており、このステップS5において、人の手が接触体4aに接触して一定の時間が経過していない場合にはLED5がパルス点灯するように給電回路に作用し、人の手が接触体4aに接触して一定の時間が経過したと判定された場合には、LED5が消灯するように給電回路に作用する。
なお、パルス点灯はヒトが目視レベルで視認できるような、例えば、数ヘルツの周波数でも良いし、ヒトが目視レベルでは識別不可能な、例えば、1キロヘルツの周波数でも良く、パルス周波数は殺菌効能や電力消費量や目的(例えば、目視識別可能な高速パルス点灯となった場合は、蓄電池容量が不足し始めた場合や、発光光源の寿命が近づいてきた等の設計者側のシグナル設定)に応じて、適宜選定することができるようにしてもよい。
【実施例1】
【0033】
よって、図3に示すような手順に従って、LED5の発光を制御することで接触体4aの表面に付着した感染菌を少ない電力で効率的に殺菌し、実施例1に係る取手1aの接触体4a及びその周囲を略衛生的な状態に保つことができるという効果を有する。
なお、近紫外光による感染菌の殺菌効果の詳細については後述する。
また、ここではLED5を最低4時間パルス点灯して近紫外光を接触体4aの表面及びその周辺に照射する場合を例に挙げて説明しているが、光電変換装置10による発電量に余裕があれば、LED5を常時点灯させておいてもよい。
さらに、図3では、夜間、実施例1に係る取手1aに人が接触する恐れがない場合を例に挙げて説明しているが、例えば、病院や介護施設等の夜間においても接触体4aに人の手が触れる可能性がある場合には、図3に示すステップS2の後に、別途ステップS4,S5の動作を設けても良い。
加えて、夜間の所定時間外を過ぎた後に人が実施例1に係る取手1aにタッチした際には、LED点滅を高速点滅(この場合、高速点滅とはヒトが視認識別可能な点滅である。)させるように回路・プログラム等を備えることで、所定時間外のヒトの出入り検知にも応用することができる。そして、このような発光パターンの制御は、例えば、養護老人ホーム等の建物の出入り口の扉の取手に実施例1に係る取手1aを採用すれば、時間外(例えば、夜中~明け方未明までの間)に認知症等の障害がある老人が職員の意図しない徘徊外出を行うのを検知することができ、接触体4aの発光パターンの変化に介護者(職員)が気がつくことで、徘徊外出をする老人の行方不明に対する早急な手段を講じることも可能になる。
【実施例1】
【0034】
すなわち、実施例1に係る取手1aによれば、取手としての機能を十分に果たしながら審美性が高く、人体に悪影響を及ぼすことなく接触体4a全体を十分に殺菌することができ、かつ、人の手が触れる可能性が高い接触体4aの周辺についても併せて殺菌することができ、しかも、夜間や非常時に常夜灯や避難誘導灯として用いることができる取手を提供することができるという効果を有する。
また、上述のような実施例1に係る取手1aに、接触体4aへの人の手の近接を検知するセンサ9を設けることで、LED5の点灯を最小限度にすることができるので、蓄電池13の消耗を一層抑制することができるという効果を有する。
さらに、上述のような実施例1に係る取手1aは、光電変換装置10を備えることで、実施例1に係る取手1aにおいて消費される電力を自ら賄うことができるという効果を有する。この場合、環境に優しく、しかも、病原体の感染源とならない取手を提供することができるという効果を有する。
【実施例2】
【0035】
ここで、実施例2に係るドアについて図4乃至図5を参照しながら詳細に説明する。実施例2に係るドアは、上述のような実施例1に係る取手1aを備えたドアである。なお、実施例2に係るドアは「握戸」又は「掛戸」に相当する。
図4は本発明の実施例2に係るドアの一例を示す断面図である。なお、図1乃至図3に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係るドア16aは、例えば、一対の平板材18,18の間に支持材29が介設されてなるドア本体17の平板材18上に、実施例1に係る取手1aを取付けたものである。
この場合、ドア本体17に前もって何ら加工を施す必要がないので、実施例2に係るドア16aを容易に製造することができるという効果を有する。
なお、この場合、実施例2に係るドア16aの美観が損なわれることがないよう、実施例1に係る取手1aの躯体2は可能な限り薄くしておくことが望ましい。
また、図4においてはドア本体17の片面にのみ実施例1に係る取手1aを設けた場合を例に挙げて説明しているが、もちろん、ドア本体17の両面に取手1aを互いに背面が符合するように設けてもよい。
なお、以下に示す実施例3、4に係る取手についても図4に示すように、ドア本体17の表面に取り付けることができる。
【実施例2】
【0036】
図5は本発明の実施例2に係るドアの他の例を示す断面図である。なお、図1乃至図4に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例2に係るドア16bは、例えば、一対の平板材18,18の間に支持材29が介設されてなるドア本体17の表面に凹状の躯体収容部19を形成しておき、この躯体収容部19に取手1aに係る躯体2を収容するとともに、支持材29で躯体2を支持して取手1aをドア本体17に取り付けたものである。
なお、図5では、ドア本体17の内部に設けられる支持材29に取手1aの躯体2を支持固定する場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、躯体2の側面27の外縁に沿って鍔を形成しておき、ドア本体17の平板材18に鍔を接触させて例えば、ビスなどで躯体2を支持固定してもよい。この場合、ドア16bにおける取手1aの取付部分の見映えを良くすることができるとともに、ドア本体17への取手1aの取付けを容易にすることができるという効果を有する。
また、図5では、ドア本体17の片面にのみ実施例1に係る取手1aを設けた場合を例に挙げて説明しているが、もちろん、ドア本体17の両面に取手1aを互いに背面が符合するように設けてもよい。
なお、以下に示す実施例3、4に係る取手についても図5に示すように、ドア本体17に形成した躯体収容部19に嵌め込むように取り付けることができる。
【実施例3】
【0037】
本発明の実施例3に係る取手について図6を参照しながら説明する。実施例3に係る取手も「把部」又は「係部」に相当する。
実施例3に係る取手は、実施例1に係る取手1aとほぼ同じ構成を有するものであるが、実施例1に係る取手1aと比較して接触体4aの外側面28を殺菌するのに必要な消費電力が一層少なくなるよう構成されるものである。ここでは、実施例1に係る取手1aとの相違点に重点を置いて説明し、実施例1に係る取手1aと共通する作用・効果についての説明は省略する。
図6は本発明の実施例3に係る取手の断面図である。なお、図1乃至図5に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図6に示すように、実施例3に係る取手1bは、接触体4aの長手方向の端部の一方のみにLED5を配設し、LED5が配設されない他の端部の全体を反射材20で覆設したものである。
なお、反射材20が覆設された接触体4aの端部を支持固定する腕部3bは、その内部に配線体15を収容する必要がないのでその中心軸上に中空部を形成していなくともよい。
【実施例3】
【0038】
上述のような実施例3に係る取手1bにおいては、接触体4aの一の端部側においてLED5が発光すると、近紫外光は接触体4aの内部を透過して反射材20に到達した後、(もちろん、反射材20に到達する前に一部の近紫外光は接触体4aの側面から外部に発光されるものの)反射材20の表面においてLED5が配設される側の端部に向って近紫外光が反射される。この場合も、もちろん、接触体4aのLED5が配設される側の端部に到達前に一部の光は接触体4aの側面から外部に発光される。
この結果、接触体4aの内側から接触体4aの外側面28全体にムラなく近紫外光が照射されて、接触体4aの外側面28が殺菌される。
さらに、実施例3に係る接触体4aの外側面28から放射される近紫外光によって、実施例1に係る取手1aと同様に、接触体4aの周辺も殺菌することができる。
【実施例3】
【0039】
従って、実施例3に係る取手1bによれば、先に述べた実施例1に係る取手1aと同様の作用・効果を発揮させるためのLED5の数を少なくすることができ、消費電力を少なくすることができるという効果を有する。
この結果、実施例3に係る取手1bに設けられる光電変換装置10や蓄電池13をより小さくすることができ、取手1bを一層コンパクトな形態にすることができるという効果を有する。
これにより、実施例3に係る取手1bの審美性を一層高めることができるという効果を有する。
【実施例4】
【0040】
本発明の実施例4に係る取手について図7を参照しながら説明する。実施例4に係る取手も「把部」又は「係部」に相当する。
実施例4に係る取手は、実施例1に係る取手1aとほぼ同じ構成を有するものであるが、実施例1に係る取手1aと比較して躯体2の厚みを薄くできるよう構成されるものである。ここでは、実施例1に係る取手1aとの相違点に重点を置いて説明し、実施例1に係る取手1aと共通する作用・効果についての説明は省略する。
図7は本発明の実施例4に係る取手の断面図である。なお、図1乃至図6に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図7に示すように、実施例4に係る取手1cは、センサ9の発光部6及び受光部7を躯体2の側面27に設ける代わりに、発光部6を腕部3aにおける腕部3bと対向する位置に、受光部7を腕部3bにおける発光部6と対向する位置に設けたものである。
【実施例4】
【0041】
このように、センサ9の発光部6と受光部7のそれぞれを互いに向かい合うように腕部3a及び腕部3bに設けることで、躯体2の内部には基板12と蓄電池13と配線体15のみを収納できればよいので、躯体2の厚みCを薄くすることができる。
また、実施例1に係る取手1aの場合のように、発光部6から発せられる検知用の光を受光部7で受けるための反射部8を設ける必要がないので、取手1cの構成を一層シンプルにすることができる。
しかも、接触体4aに反射部8を設ける必要がなくなるので、接触体4aの外側面28の全てに内側から近紫外光をムラなく照射することが可能になるため、実施例4に係る取手1cの安全性を一層高めることができる。
また、使用者が接触体4aの腕部3a近傍に触れても(または、近づけても)、また、腕部3b近傍に触れても(または、近づけても)センサ9により接触(近接)が検知されてLED5を発光させることができるので、接触体4aを一層衛生的に保つことができるという効果を有する。
なお、図7においては、センサ9の発光部6を腕部3aに、受光部7を腕部3bに設ける場合を例に挙げて説明しているが、発光部6と受光部7の位置は入れ換わってもよい。
【実施例4】
【0042】
なお、特に図示しないが、実施例3に係る取手1bの特徴的な構成要素と、実施例4に係る取手1cの特徴的な構成要素の両方を備えた取手としてもよい。
すなわち、接触体4aの一の端部のみにLED5を配設して、他の端部には反射材20を覆設するとともに、センサ9の例えば発光部6を腕部3aに、受光部7を腕部3bに設けても良い。
この場合、腕部3bの内部には受光部7に電力を供給するための配線体15を収容する必要があるので、中空部14aを形成しておく必要がある。
このような、取手は、実施例3及び実施例4に係る取手の優れた効果の両方を同時に有している。
【実施例5】
【0043】
本発明の実施例5に係る取手について図8を参照しながら説明する。実施例5に係る取手も「把部」又は「係部」に相当する。
実施例5に係る取手は、ドアを表側から開閉するための取手と、ドアを裏側から開閉するための取手を一体に構成したものであり、ここでは実施例1に係る取手1aとの相違点に重点をおいて説明する。
図8は本発明の実施例5に係る取手の断面図である。なお、図1乃至図7に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例5に係る取手1dは、中空で箱状の躯体21の側面30a及び側面30bの両方に腕部3a,3bと、これらに支持固定される接触体4aを備えたものである。なお、実施例5に係る取手1dの側面30a及び側面30bの両方にそれぞれ光電変換装置10を設けても良い。
また、躯体21の内部には、側面30a側に設けられる接触体4aの端部に配設されるLED5,5の点灯と消灯とを制御する制御回路及び、LED5,5に対して電力を供給するための給電回路、センサ9を備える場合にはセンサ9に対して電力を供給するための給電回路とを備えた基板12と、この基板12に電力を供給するための蓄電池13が設けられている。さらに、躯体21の内部には、躯体21の側面30b側に設けられるもう一つの接触体4aの端部に配設されるLED5,5の点灯と消灯とを制御する制御回路及び、LED5,5に対して電力を供給するための給電回路、センサ9を備える場合にはセンサ9に対して電力を供給するための給電回路とを備えた基板12と、この基板12に電力を供給するための蓄電池13が収容されている。
つまり、躯体21のそれぞれの側面30a,30bに配置されるLED5,5は、制御系が互いに独立している。また、実施例5に係る取手1dが躯体21の側面30a,30bのそれぞれに光電変換装置10を備える場合は、発電系も互いに独立している。すなわち、ドアの表面側に配置される接触体4aは、ドアの表面側において発電された電力で発光し、ドアの裏面側に配置される接触体4aは、ドアの裏面側において発電された電力で発光するよう構成されている。
【実施例5】
【0044】
このような、実施例5に係る取手1dの躯体21の側面30a,30bに設けられるそれぞれの接触体4aは、実施例1に係る接触体4aと同じ作用・効果を有する。
加えて、実施例5に係る取手1dによれば、取手1dを1つ設けることで、ドアの両面に近紫外光により殺菌される衛生的な取手を形成することができるという効果を有する。
【実施例5】
【0045】
なお、図8に示す実施例5に係る取手1dにおいては、躯体21の両側面30a,30bに配置されるLED5,5を制御する制御回路を別々の基板12に形成しているが、基板12は必ずしも2枚設ける必要はなく、1枚の基板12に2つの制御回路を別々に形成してもよい。
また、図8に示す実施例5に係る取手1dにおいては、躯体21の両側面30a,30bで発電された電力を別々に蓄電するために、蓄電池13を2個備えているが、蓄電池13は1つでもよい。
この場合、躯体21の両側面30a,30bのそれぞれに配置されるLED5,5の点灯と消灯を1つの制御回路で制御してもよい。
このように、実施例5に係る取手1dにおいては、基板12及び蓄電池13を1つのみにした場合、躯体21を薄くコンパクトにすることができ、しかも、製造コストを安価にすることができるという効果を有する。
なお、実施例5に係る取手1dにおける躯体21の厚みDは、取手1dを取付けようとするドアの厚みと略同一にすることが望ましい。
さらに、実施例5に係る取手1dにおいては、躯体21の側面30a,30bのいずれかが恒常的に暗く十分な発電量を確保できない場合には、躯体21の側面30a,30bのいずれか一方にのみ光電変換装置10を設けて、1つの光電変換装置10により実施例5に係る取手1dで消費される全ての電力を賄ってもよい。
【実施例5】
【0046】
また、実施例5に係る取手1dは、実施例3や実施例4に係る取手に特徴的な構成要素を単独で、あるいは、組み合わせて備えても良い。
つまり、実施例5に係る取手1dは、接触体4a,4aの一の端部にのみLED5を配設したもの(i)でも良いし、センサ9の発光部6及び受光部7を腕部3a,3bに設けたもの(ii)でも良いし、あるいは、上記(i)及び(ii)の構成を同時に備えたものでもよい。
この場合、上述のような取手1dの作用・効果に加えて、実施例3又は実施例5に係る取手の作用・効果を、あるいは、実施例3及び実施例5に係る取手の作用・効果を有する。
【実施例6】
【0047】
本発明の実施例6に係るドアについて図9を参照しながら説明する。なお、実施例6に係るドアは「握戸」又は「掛戸」に相当する。
図9は本発明の実施例6に係るドアの一例を示す断面図である。図1乃至図8に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例6に係るドア16cは、図9に示すように、2枚の平板材18の間に支持材29が介設されてなるドア本体17に、一方の平板材18から他の平板材18に向って貫通する開口22が形成され、この開口22の内側面に実施例5に係る取手1dの躯体21が嵌設されるものである。
この場合、実施例5に係る躯体21の側面30a,30bと、ドア本体17の平板材18,18とを略同一平面となるように配置するとよい。
このような図9に示す実施例6に係るドア16cは、実施例5に係る取手1dを備えるものであり、取手1dと同じ作用・効果を有する。
なお、実施例6に係るドア16cは、取手1dの部分に錠を設けてもよい。この場合、ドア本体17への錠の取付を容易にすることができるという効果を有する。
【実施例7】
【0048】
本発明の実施例7に係る取手について図10及び図11を参照しながら説明する。なお、実施例7に係る取手は「係部」に相当する。
実施例7に係る取手は、実施例1に係る取手1aとほぼ同じ構成を有するものであるが、接触体とそれを支持固定するための構造が異なっている。ここでは、実施例1に係る取手1aとの構造上の相違点に重点をおいて説明し、共通する作用・効果に関する説明については省略する。
図10は本発明の実施例7に係る取手の外観を示す斜視図である。また、図11は図10中におけるB-B線矢視断面図である。なお、図1乃至図9に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
図10及び図11に示す実施例7に係る取手1eは、中空で箱状の躯体23の一の側面31aに、その内側面が反射体25で覆われた凹部32が形成され、この凹部32に、透光材からなり、その一の側面の略中央に人が手を挿入して係止するための長溝状の凹部24を備えた接触体4bが嵌設され、さらに、接触体4bの長手方向両端部には、近紫外光を発するLED5,5が互いに向き合うように配設されている。
また、接触体4bの端部に配設されるLED5,5の点灯と消灯を制御する制御回路及び、LED5,5に電力を供給するための給電回路を備えた図示しない基板、そして、この基板に電力を供給する蓄電池13が、躯体23の内部に収容されている。
【実施例7】
【0049】
なお、上述のような実施例7に係る取手1eにおいては、接触体4bの長手方向において対向する2つの側面の略中央部に、センサ9の発光部6と受光部7を、凹部24を挟んで互いに対向するよう設けてもよい。この場合、図示しない基板には、センサ9の発光部6や受光部7から送信される電気信号を送受信する制御回路が形成されている。このように、実施例7に係る取手1eにセンサ9を設けることで、先に述べた他の実施例の場合と同様にLED5,5の発光を最小限度にすることができるので、蓄電池13の消耗を抑制することができる。
さらに、実施例7に係る取手1eの躯体23において接触体4bが嵌設される側の側面31aに、光電変換装置10を設けても良い。この場合、実施例7に係る取手1eにおいて消費される電力を光電変換装置10により発電して賄うことができるという効果を有する。
【実施例7】
【0050】
上述のような実施例7に係る取手1eは、先に述べた実施例1に係る取手1aに係る接触体4aに代えて、その側面に凹部24を有する接触体4bを備え、この接触体4bが、腕部3a,3bによらず躯体23に直接嵌設されたものである。
このような実施例7に係る取手1eは、図示しない蓄電池から電気が基板上に形成される給電回路を介してLED5,5に伝送されることで、LED5,5から近紫外光が放射される。また、光電変換装置10を備える場合には、光電変換装置10において発電され、蓄電池に一旦蓄電された電気が基板上に形成される給電回路を介してLED5,5に伝送されることで、LED5,5から近紫外光が放射される。
そして、このとき、反射体25による反射作用により、接触体4bの内側から、凹部24の内側面,及び,躯体23の表面に裸出する接触体4bの側面にムラなく近紫外光が照射される。
この結果、接触体4bに形成される凹部24の内側面,及び,接触体4bの外部に露出する側面,及び,接触体4bの周辺に近紫外光が照射されて殺菌効果が発揮されるのである。
【実施例7】
【0051】
実施例7に係る取手1eにおいて、透光性を有する接触体4bの内側から、接触体4bの外側面に近紫外光が照射されて接触体4bの外側面がムラなく殺菌される点は、実施例1に係る取手1aの技術内容と同じであるため、実施例7に係る取手1eも、取手としての機能を十分に果たしながら審美性が高く、人体に悪影響を及ぼすことなく接触体4b全体を十分に殺菌することができ、かつ、人の手が触れる可能性が高い接触体4bの周辺についても併せて殺菌することができ、しかも、夜間や非常時に常夜灯や避難誘導灯として用いることができるという効果を有する。
しかも、光電変換装置10を備える場合には、実施例7に係る取手1eにおいて消費される電力を自ら賄うことができるので、被取付対象であるドアの外部から電力供給用の配線を引き込む必要のない取手を提供することができるという効果も有する。
このような実施例7に係る取手1eは、横引き式のドアの取手として利用することが可能である。また、実施例7に係る取手1eは取付の際の向きを変えるとともに、凹部24の形状を接触体4bの内部に指先を差し込むことができるような形状にすることで、すなわち、凹部24を横断するように切断した場合の断面における凹部24が略L字型をなすように構成することで、キャビネット等の引き出し用取手としても利用することができる。この場合も、実施例7に係る取手1eと同じ作用・効果を有する。
【実施例7】
【0052】
なお、図10及び図11には、接触体4bの長手方向両端にそれぞれLED5を配設する場合を例に挙げているが、LED5は接触体4bの長手方向の端部のうちいずれか一方のみに配設し、他の端部の全面を反射体25により被覆しておいてもよい。
この場合、LED5の数を少なくすることができるので、実施例7に係る取手1eにおける消費電力を一層節約することができる。
【実施例7】
【0053】
また、図10では、躯体23の一方の側面である側面31aのみに接触体4b及び光電変換装置10を設けた場合を例に挙げて説明しているが、躯体23における側面31aと対向するもう一方の側面31bにも接触体4b及び光電変換装置10を設けてもよい。
この場合、2つの接触体4bに配設されるそれぞれのLED5を制御する制御回路や基板を1つにまとめたり、躯体23の側面31a,31bに互いに背中合わせに配置される光電変換装置10において発電される電気を別々の蓄電池に蓄電してもよいし、共通の1つの蓄電池に蓄電してもよい。さらに、光電変換装置10を躯体23の側面31a,31bのいずれか一方にのみ設け、1つの光電変換装置10で取手1eにおいて消費される全て全ての消費電力を賄ってもよい。
このように、躯体23において対向する両側面31a,31bの両方に接触体4bを設けることで、横引きドアに取り付ける開閉用の取手の構造をシンプルにするとともに、図示しないドア本体への取付を容易にすることができるという効果を有する。
【実施例8】
【0054】
本発明の実施例8に係るドアについて説明する。なお、実施例8に係るドアは「掛戸」に相当する。
実施例8に係るドアは、上述の実施例7に係る取手1eを、例えば、図4に示すような何ら加工を施していないドア本体17の平板材18上に直接取り付けたものであったり、上述の実施例7に係る取手1eを、例えば、図5に示すような躯体収容部19を形成したドア本体17に嵌設したものであってもよい。
このような実施例8に係るドアは、いずれも実施例7に係る取手1eを備えるものであるため、実施例7に係る取手1eと同じ作用・効果を有する。
【実施例9】
【0055】
本発明の実施例9に係る取手について図12を参照しながら説明する。なお、実施例9に係る取手は「押部」に相当する。
実施例9に係る取手は、実施例7に係る取手1eとほぼ同じ構成を有するものであるが、接触体の形状と、センサを備える場合にはセンサの取付位置が異なっている。ここでは、実施例7に係る取手1eとの構造上の相違点に重点をおいて説明し、共通する作用・効果に関する説明については省略する。
図12は本発明の実施例9に係る取手の外観を示す斜視図である。なお、図1乃至図11に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
実施例9に係る取手1fは、図12に示すように、先に述べた実施例7に係る接触体4aの凹部24が形成されていない板状の接触体4cが、躯体23の凹部32に嵌設されるものである。
このような実施例9に係る取手1fは、建物の開口部に、例えば、ヒンジを介して取り付けられ、このヒンジを基軸に回動可能に取り付けられる扉を開閉させる際の「開閉構造」、すなわち、「押部」として用いられるものである。
通常、上述のような扉は、扉のどの部分を押しても開閉ことができるが、特に「開閉構造」(「押部」)を設けて使用者がその部分のみに触れるようにすることで、この「押部」を殺菌することでこの部分が病原体の感染源となるのを防止することができる。
【実施例9】
【0056】
このような実施例9に係る取手1fは、実施例7に係る取手1eと同じ作用・効果を有する。すなわち、接触体4cの表面をLED5から放射される近紫外光により殺菌することができるので、取手1fを衛生的に保つことができるという効果を有する。
また、実施例9に係る接触体4cには、実施例7に係る接触体4bのような凹部24が形成されないので、センサ9を構成する発光部6や受光部7を躯体23内に収容してしまうと、接触体4cの表面への人の手の近接を検知することができなくなってしまう。
このため、実施例9に係る取手1fでは、特にセンサ9を設ける場合、センサ9を構成する発光部6及び受光部7を接触体4cの表面に裸出させておくなどして、接触体4cの表面への人の手の近接を検知できるようにしておく必要がある。
また、これ以外にも、タッチパネルやタッチパッド等の技術を利用して、図12に示されるような形態以外のセンサにより接触体4cの表面への人の手の近接を検知してもよい。なお、上述の他の実施例においても同様である。
【実施例9】
【0057】
さらに、実施例9に係る取手1fの躯体23に光電変換装置10を設けても良い、この場合、他の実施例に係る取手と同様に、取手1fで消費される電力を自ら賄うことができるという効果を有する。
なお、図12には、接触体4cの長手方向両端にそれぞれLED5を配設する場合を例に挙げているが、LED5は接触体4cの長手方向の端部のうちいずれか一方のみに配設し、他の端部の全面を反射体25により被覆しておいてもよい。
この場合、LED5の数を少なくすることができるので、実施例9に係る取手1fにおける消費電力を一層節約することができる。
【実施例9】
【0058】
また、図12では、躯体23の一方の側面である側面31aのみに接触体4c及び、光電変換装置10を設ける場合には光電変換装置10を設けた場合を例に挙げて説明しているが、躯体23における側面31aと対向するもう一方の側面31bにも接触体4c及び光電変換装置10を設けてもよい。
この場合、2つの接触体4cに配設されるそれぞれのLED5を制御する制御回路や基板を1つにまとめたり、躯体23の側面31a,31bに互いに背中合わせに配置される光電変換装置10において発電される電気を別々の蓄電池に蓄電してもよいし、共通の1つの蓄電池に蓄電してもよい。さらに、光電変換装置10を躯体23の側面31a,31bのいずれか一方にのみ設け、1つの光電変換装置10で取手1fにおいて消費される全ての消費電力を賄ってもよい。
このように、躯体23において対向する両側面31a,31bの両方に接触体4cを設けることで、開閉扉に取り付ける取手1fの構造をシンプルにするとともに、図示しないドア本体への取付を容易にすることができるという効果を有する。
【実施例10】
【0059】
本発明の実施例10に係るドアについて説明する。実施例10に係るドアは「押戸」に相当する。
実施例10に係るドアは、上述の実施例9に係る取手1fを、例えば、図4に示すような何ら加工を施していないドア本体17の平板材18上に直接取り付けたものであったり、上述の実施例9に係る取手1fを、例えば、図5に示すような躯体収容部19を形成したドア本体17に嵌設したものであってもよい。
このような実施例10に係るドアは、いずれも実施例9に係る取手1fを備えるものであるため、実施例9に係る取手1fと同じ作用・効果を有する。
【実施例11】
【0060】
本発明の実施例11に係るドアについて説明する。実施例10に係るドアは「握戸」又は「掛戸」又は「押戸」に相当する。
実施例11に係るドアは、特に図示しないが、実施例1,3~5,7,9に係る取手に係る躯体2,21,23を備える代わりに、平板材及び支持材からなるドア本体を備えるものである。
すなわち、実施例11に係るドアは、実施例1,3~5,7,9に係る接触体4a~4cや、センサ9を備える場合にはセンサ9がドア本体17の平板材18に直接支持固定されるか、あるいは、腕部3a,3bを介して支持固定されるとともに、光電変換装置10を備える場合には光電変換装置10が平板材18に直接取り付けられ、さらに、配線体15及び基板12及び蓄電池13がドア本体17の内部に直接収容されるものである。
このような実施例11に係るドアは、実施例1,3~5,7,9に係るそれぞれの取手と同じ作用・効果に加えて、蓄電池13の大きさを自由に設定したり、光電変換装置10を備える場合には光電変換装置10の大きさを自由に設定することができるので、LED5を24時間連続発光させたりLED5の発光出力を高めることが可能となる。この結果、近紫外光による殺菌効果を高めることができるという効果を有する。
また、光電変換装置10を備える場合には、平板材18上の任意の位置に光電変換装置10を取り付けることが可能になるので、例えば、実施例11に係るドアにおいて光が好適に照射される場所に光電変換装置10を取り付けることができ、その発電効率を高めることができるという効果を有する。
この結果、光源であるLED5の出力を高めたり、LED5の長時間にわたる連続発光やパルス発光を容易に実現することができるので、近紫外光による感染菌の殺菌効果を一層高めることができる。
【実施例11】
【0061】
最後に、近紫外光による感染菌の殺菌効果に関する試験結果について表1及び図13を参照しながら詳細に説明する。
本試験では、近年、院内感染を引き起こす感染菌として代表的なMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に近紫外光を照射してその殺菌効果を検証した。
以下に本試験の手順について詳細に説明する。
まず、LB Broth(Lennox)液体培養したMRSA菌液を、光学密度、すなわち、OD600nmが0.1となるよう調整した後、10倍希釈系列で希釈して10-3~10-6の希釈液を作成し、LB Agar(Lennox)平板培地に滅菌生理食塩水600mLを加えて平板に均一に接種した検査用の平板を作成した。
上述のような手順で調整した検査用の平板に、強度:0.82mW/cmの近紫外光を、連続照射、200Hzでパルス照射、1.2kHzでパルス照射した後、24時間放置してからコロニー数のカウントを行った。また、近紫外光非照射の比較対象を作成してコロニー数の違いから殺菌効果を評価した。
以下に示す表1に、近紫外光の照射条件を変えた試料A~Hに所定の時間近紫外光を照射した際のそれぞれのMRSAのコロニー数のカウント結果をまとめた。
なお、試料A~C、試料D,E、試料F~Hのそれぞれの群は、いずれも近紫外光の照射条件は同じであるが、実験開始時のコロニー数が異なっているため、これらのコロニー数の変化を比較することで、同一条件下において試験を行った際の結果のバラツキを確認することができる。
【実施例11】
【0062】
【表1】
JP0005709120B2_000002t.gif
【実施例11】
【0063】
また、上記表1の結果を図13にグラフで示した。
図13は近紫外光を連続照射又はパルス照射した場合の照射時間に伴うMRSAのコロニー数の変化を示すグラフである。
上記表1及び図13に示すように、強度:0.82mW/cmの近紫外光を照射した場合、連続照射,パルス照射を行った場合のいずれも、照射後4時間を経過するとコロニー数が概ね10分の1以下に減少した。このため、強度:0.82mW/cmの近紫外光を照射する場合、最低4時間、連続照射又はパルス照射することで、院内感染等を予防できる程度の十分な殺菌効果が期待できると考えられる。
また、近紫外光を24時間照射することで、連続照射、パルス照射のいずれの場合もMRSAは完全に殺菌されている。このことから、LED5を24時間照射し続けることで、高い殺菌効果が期待できるといえる。
従って、先に述べた実施例1乃至11に係る取手又はドアにおいては、接触体4a~4cに人の手が触れた際に、強度:0.82mW/cmの近紫外光が少なくとも4時間、連続照射又はパルス照射されるよう設定されることが望ましい。
【実施例11】
【0064】
なお、上記試験においては、300nm~420nmに光強度の極大を有する光(近紫外光)として、405nmに光強度の極大を有する光を用いた。
一般に、高い殺菌効果を発揮させるためには、光源であるLED5からより紫外光に近い光を発光させることが望ましいが、紫外光に近づくにつれ接触体4a~4cを合成樹脂により構成した場合にその劣化が生じる恐れが高くなる。この場合、接触体4a~4cの透光性が低下してその表面における殺菌効果も低下する恐れがあり望ましくない。
しかしながら、近紫外光として405nmに光強度の極大を有する光を用いた場合には、合成樹脂の劣化を引き起こす恐れが非常に少なく、しかも十分な殺菌効果が期待できることから、先に述べたような実施例1乃至11に係る取手やドアへの利用に特に適していると考えられる。
さらには、405nm光源として、公知の405nmに(望ましくは1つの)発光極大を持ち半値幅が5nm程度の発光ダイオード(LED)を選択すれば、発光ダイオードの特性である、例えば、「発光制御容易性(発光パターン、点滅等を自由度高く選択実現できる)」、「光源小型性」、「蛍光管使用を回避できることによる破損リスク回避性」「単波長ピークによる波長カットフィルタの不要性」、「省消費電力による室内での電力自立性(室内蛍光灯による放射エネルギーを本発明に備える光電変換装置が受光して接触体の発光に用いること)」などの利点がある。さらには、ヒトが視認可能な405nm光源の発光によって、殺菌機能と同時に夜間照明(非常灯であっても可)としての機能を発揮できるため、配線工事が不要で、しかも、ドア取り付け可能であり、かつ、審美性が高くでコンパクトで低コストで丈夫な、殺菌と照明機能を兼ねそなえたヒトに安全な(250~260nm付近の紫外線は発するような殺菌灯のように取扱注意する必要のない)取手を提供することが可能となる。
さらに、実施例1において述べたように、接触体4aに2つのLED5,5を用いる際に、例えば、一方のLED光源に375nmピーク波長の発光ダイオード(LED)を設け、他のLED光源に405nmピーク波長の発光ダイオード(LED)を設けるといった、2種類の光源(ここではLEDであるが本質的に置換可能であれば有機EL(エレクトロルミネッセンス)等であっても可)を選ぶことで、405nmLED2個では実現不可能な、殺菌効能や発光パターン(色や点滅(周波数選定))に関し、よりユーザーに好ましい発明の形態例を提案することもできる。
なお、接触体4a~4cを構成する透光材としては、例えば、アクリル樹脂(面発光のための凸凹後付有り可)やガラス(強化ガラス、合わせガラス、硬質ガラスといったようなもの、当然面発光可能なような細工がほどこされており、必要に応じ405nmLED光源からの405nm光を受けて波長変換するような蛍光塗料がほどこされてもよい)が挙げられるが、殺菌性能に加えデザイン性やコスト等を鑑みて適宜選択すれば良い。なお、ガラス製の接触体にすれば、405nmLEDの光は公知の波長250~260nm付近の光を発する殺菌灯と比較すれば樹脂劣化性に関しては優れているものの、近紫外光により透光材が劣化する恐れはないので、紫外光に近い近紫外光であっても問題なく使用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
以上説明したように、本発明は、取手としての機能を十分に果たしながら審美性が高く、人体に悪影響を及ぼすことなく接触体全体を十分に殺菌することができ、かつ、人の手が触れる可能性が高い接触体の周辺についても殺菌することができ、しかも、夜間や非常時に照明具としても用いることができる取手及びドアであり、病院、養護老人ホーム、研究所、厨房のドアや厨房機器、トイレ、冷凍・冷蔵庫、その他衛生管理が必要な施設や機器、家具、収納庫等の設備に関する分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施例1に係る取手の外観を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る取手の断面図である。
【図3】本発明の実施例1に係る取手のLEDの点灯と消灯とが制御される仕組みの一例を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例2に係るドアの一例を示す断面図である。
【図5】本発明の実施例2に係るドアの他の例を示す断面図である。
【図6】本発明の実施例3に係る取手の断面図である。
【図7】本発明の実施例4に係る取手の断面図である。
【図8】本発明の実施例5に係る取手の断面図である。
【図9】本発明の実施例6に係るドアの一例を示す断面図である。
【図10】本発明の実施例7に係る取手の外観を示す斜視図である。
【図11】本発明の実施例7に係る取手の部分断面図である。
【図12】本発明の実施例9に係る取手の外観を示す斜視図である。
【図13】近紫外光を連続照射又はパルス照射した場合の照射時間に伴うMRSAのコロニー数の変化を示すグラフである。
【符号の説明】
【0067】
1a~1f…取手 2…躯体 3a,3b…腕部 4a~4c…接触体 5…LED(光源) 6…発光部 7…受光部 8…反射部 9…センサ 10…光電変換装置(ソーラーパネル) 11…反射材 12…基板 13…蓄電池 14a,14b…中空部 15…配線体 16a~16c…ドア 17…ドア本体 18…平板材 19…躯体収容部 20…反射材 21…躯体 22…開口 23…躯体 24…凹部 25…反射体 26a,26b…端部 27…側面 28…外側面 29…支持材 30a,30b…側面 31a,31b…側面 32…凹部
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12