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明細書 :(メタ)アクリル酸アミド化合物、その重合体及び金属イオンを含む該重合体よりなる固体電解質

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-162760 (P2014-162760A)
公開日 平成26年9月8日(2014.9.8)
発明の名称または考案の名称 (メタ)アクリル酸アミド化合物、その重合体及び金属イオンを含む該重合体よりなる固体電解質
国際特許分類 C07C 255/15        (2006.01)
H01M  10/0565      (2010.01)
C08F  20/60        (2006.01)
FI C07C 255/15
H01M 10/0565
C08F 20/60
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 19
出願番号 特願2013-035835 (P2013-035835)
出願日 平成25年2月26日(2013.2.26)
発明者または考案者 【氏名】堤 宏守
【氏名】中野 陽平
【氏名】新家 宏祐
出願人 【識別番号】304020177
【氏名又は名称】国立大学法人山口大学
審査請求 未請求
テーマコード 4H006
4J100
5H029
Fターム 4H006AA01
4H006AA03
4H006AB46
4H006AB78
4J100AM21P
4J100BA02P
4J100BA40P
4J100CA01
4J100DA56
4J100JA45
5H029AJ02
5H029AJ14
5H029AM16
5H029HJ02
要約 【課題】 伝導度が高く、且つ製膜の優れた固体電解質を得るための新規モノマー及びその重合体並びに固体電解質を提供する。
【解決手段】 下記一般式(1)で表わされる新規化合物及びその重合体並びに周期律表1A及び2A族より選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む該重合体よりなる固体電解質(但し、Rは炭素数0~6のアルキル基、Rは炭素数1~6のアルキレン基、炭素数4~6のシクロアルキレン基又はアリーレン基、Rは-(R-O-)-C-で表わされる基であって、Rは炭素数2~3のアルキレン基、nは0~3の整数を表す。)。
【化1】
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【選択図】 なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリル酸アミド化合物。
【化1】
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(但し、Rは炭素数0~6のアルキル基、Rは炭素数1~6のアルキレン基、炭素数4~6のシクロアルキレン基又はアリーレン基、Rは-(R-O-)-C-で表わされる基であって、Rは炭素数2~3のアルキレン基、nは0~3の整数を表す。)
【請求項2】
下記一般式(2)で表わされる請求項1記載の(メタ)アクリル酸アミド化合物。
【化2】
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(但し、Rは炭素数0又は1のアルキル基を表す。)
【請求項3】
一般式(1)又は(2)よりなる化合物の重合体。
【請求項4】
周期律表1A及び2A族より選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む請求項3記載の重合体よりなる固体電解質。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、その重合体が固体電解質として有用な重合体のモノマー、その重合体及び金属特に周期律表1A及び2A族より選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む該重合体よりなる固体電解質に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や、パソコン更には電気自動車など電池で稼働する機器類が多く用いられている。それにつれて、電池の大容量化、大出力化或いは安全性、場合によっては、小型化が、種々検討されている。
【0003】
なかでも、リチウムイオン等無機化合物を含む非水系液体の電解質を用いた電池が注目されている。これらの液体電解質は、イオンの移動に優れており、高負荷充放電特性を有するが、液漏れを起こす可能性は否定できず、安全性の向上が求められている。そこで、これら電解質液を高分子材料によって保持させ、所謂ゲルとして用いることも提案されているが、一般にゲル化された電解質といえども、高温下では、やはり液体を分離し、液漏れを完全に回避することはできないし、また低温下では性能の低下を来たす傾向がある。
【0004】
そこで、液体電解質を実質的に用いない、所謂高分子固体電解質を用いることも提案されている。高分子固体電解質の有利点は、液体又はゲル化電解質を用いた場合のような液漏れの危険が無いということに止まらず、高分子固体電解質は加工性が良く希望する形状にしやすくなり、且つ液漏れの問題がないため電池容器を簡素化でき、製品の軽量化や小型化などの利点がある。しかし、反面、従来の固体電解質は、一般にイオン伝導度が低く、実用化には十分とはいえず、イオン伝導度を高める技術について、数多くの提案もなされている。例えば、連結基を介してシアノ基を有するモノマーと多官能性モノマーとのポリマーを固体電解質とする技術(特許文献1)や、シアノ基を有するセルロースにイソシアネート基を反応させて得られた架橋構造を有する高分子固体電解質(特許文献2)などが知られている。
【0005】
更に本発明者の一人もまた、ポリオキセタンに着目し、側鎖にシアノ基を一つ有するオキセタン誘導体の重合体を用い、特に2価の金属塩に対し、優れた伝導性を有する固体電解質を提案している(特許文献3)。
【0006】
特許文献1の固体電解質は、高負荷充放電特性やサイクル特性に優れ、高容量で安全なリチウム二次電池をもたらすことができるという特徴があるうえ、高いイオン伝導性を有するとされている。また、特許文献2の固体電解質は、多量の溶剤を含んでも取り扱い可能であるという特徴があるうえ、高いイオン伝導性を有するとされている。
【0007】
また、本発明者の一人が提案した特許文献3の固体電解質は、オキセタン誘導体のポリマーの側鎖にシアノ基を一つ有するもので、主鎖がポリトリメチレンオキシド構造を有する高分子であり、このトリメチレンオキシド構造を有する高分子は、一般に固体電解質としてよく用いられるエチレンオキシド構造よりなる高分子と同様の効果を有するが、主鎖の酸素間に存在する炭素の数が多いため、2価イオンに対しても、1価イオンにおけるエチレンオキシドとほぼ同等の性能が得られるという特徴を有する。すなわち、マグネシウムイオン等の2価イオンに対して、リチウムイオンを用いたエチレンオキシド系固体電解質と同程度の伝導性が得られるのである。
【0008】
しかしながら、上記の改良された各固体電解質であっても、リチウムイオン等の伝導性は一般に30℃~70℃の間で、10-6S・cm-1程度であり、本発明者の一人が提案した高分子固体電解質の場合であっても10-5S・cm-1程度で、実用電池としては更に大きい伝導性を有する固体電解質が望まれている。
そこで、本発明者等は更なる改良として、側鎖に3個のシアノ基を有するオキセタン化合物の重合体よりなる固体電解質を提案した(特許文献4、5)。
これらの改良されたオキセタン化合物は、優れた金属イオンの伝導性を持ち、例えばリチウムイオンに対して10-3S・cm-1程度の伝導性を達成し得ることを確認できた。
しかしながら、これらの改良されたオキセタン化合物は、それ自体では比較的高分子量の固体電解質とすることが難しく、実用面ではポリフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等の補強材ポリマーと混合して用いる等の補助手段を施さねばならない場合が多々見られた。そのため、結果として、膜状で使用する場合等では、伝導度を或る程度犠牲にせざるを得ないという問題点があった。
【先行技術文献】
【0009】

【特許文献1】特開2000-294284
【特許文献2】特開2002-25336
【特許文献3】特開2008-277218
【特許文献4】特願2011-184888
【特許文献5】特願2011-184889
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者等は、上記問題点を克服するため、高い伝導度を保持し、且つ製膜性のよい固体電解質を検討し、本発明のモノマー、その重合体よりなる固体電解質用マトリックス材並びに固体電解質を提案するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一の態様は、下記一般式(1)で表わされる(メタ)アクリル酸アミド化合物である。
【0012】
【化1】
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【0013】
但し、Rは炭素数0~6のアルキル基、Rは炭素数1~6のアルキレン基、炭素数4~6のシクロアルキレン基又はアリーレン基、Rは-(R-O-)-C-で表わされる基であって、Rは炭素数2~3のアルキレン基、nは0~3の整数である。ここで炭素数0~6のアルキレンやnが0~6の整数とは、“0”すなわち存在しない場合があることを意味する。
また、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又は1位の炭素に炭素数1~6のアルキル基が付加されているアクリル酸類の総称であり、中でもメチル基が付加されたメタクリル酸が特に好適である。
本発明の第2の態様は、上記第1の態様においてRが炭素数0又は1、Rが炭素数1、Rが-C-である場合、すなわち次の一般式(2)で表わされる化合物である。
【0014】
【化2】
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【0015】
ここでRは炭素数0又は1である。
この一般式(2)で示される化合物は、一般式(1)で表わされる化合物群のうち、特に重合性に優れ、重合体は金属イオンを含む組成物としたとき、優れた伝導性を示すことができるのである。
【0016】
本発明の第3の態様は、一般式(1)又は(2)で表わされる化合物(モノマー)の重合体である。
更に本発明の第4の態様は、周期律表1A及び2A族より選ばれる少なくとも1種の金属イオンを含む前記第3の態様に示される重合体よりなる固体電解質である。なかでもリチウムイオンを含むものはリチウム二次電池用として、極めて有用な組成物となるのである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、伝導性の高い固体電解質を得ることを目的とするものであり、そのための重合用モノマー及びその重合体、並びに該重合体中に金属陽イオンを含有させることにより優れた伝導性を与えるものである。
本発明の最大の特徴は、大きい伝導性と共に製膜性に優れ、リチウムイオン電池等の固体電解質とすることができる点にある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明により得られる代表的な固体電解質の温度と伝導度(Conductivity)の関係を表すグラフである。
【図2】実施例1におけるMATCEMAMを同定するための図であり、(a)はTCEMAM、(b)はMA、(c)はMATCEMAMの各HNMRスペクトルを示す図である。
【図3】図2と同様に13C NMRスペクトルを示す図である。
【図4】MACEMAMを固定するためのFT-IRスペクトル図である。
【図5】MATCEMAM重合体(PMTCEMAM)を同定するためのHNMRスペクトル図である。
【図6】図5と同様にMATCEMAM重合体を固定するためのFT-IRスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、新規重合体を固体電解質のマトリックスとして用いることを特徴とする。本発明者等は、前記特許文献4、5に示す側鎖にモノマー当り3個のシアノ基を有するオキセタン重合体よりなる固体電解質を提案しているが、オキセタンの開環重合を必要とすることから、重合度に限界があり、製膜を容易にするために必要とする重合度を得るのが困難であった。そこで本発明は、主鎖をアクリル酸アミドとしたところ、高い重合度とすることが可能となり、製膜性のよいポリマーが得られた。本発明のポリマーは、前記特許文献4、5により提案されたポリマーを用いた場合よりも、伝導度にして一般に僅かに低い傾向にあるが、製膜性の向上により十分に工業的価値が認められるのである。特に、本発明のポリマーに、前記特許文献4、5に示すポリマーを20~80%ブレンドすることにより、伝導度を一層向上させることも可能である。勿論、膜強度の補強の目的で、例えばフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のポリマーをブレンドすることも可能である。

【0020】
なお、製膜に当たっては、溶媒、例えばDMF、DMSO、アセトン、アセトニトリル等の極性溶媒に溶解し、これを膜状に流延し、或いはホットプレス等で圧延し、溶媒を除去する方法が一般的であるが、エクストルーダを用いて溶融押し出しするか、これを延伸する方法等、公知の製膜手段が何等制限なく使用される。
また、本発明をリチウム二次電池等への固体電解質とするためには、製膜時に金属イオン物質を混合することが好ましい。

【0021】
本発明における金属イオンを構成する塩類としては、陽イオンとしてリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン等があり、なかでもリチウムイオンが最適である。これらは、通常非水系電解質に用いられるものであれば特に限定されないが、例えばLiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiSiF、LiB(C、LiBF(C)、LiPF(C)、リチウムビス(フルオロスルホニル)アミド(LiFSA)、リチウムNNN-トリアルキル(アルコキシアルキル)アンモニウム、LiCFSO、Li(CFSON(LiTFSA)、Li(CFCFSON、LiPF(CFCF、Mg(ClO、Mg(CFSO等が挙げられる。

【0022】
これらの金属イオンは、一般に本発明の重合体を構成するモノマー単位あたり、0.1~1モル、好ましくは0.3~0.9モル程度となるよう混合される。
また、本発明の固体電解質は、高い温度程高い伝導度を示し、例えば図1に示すように、一般式(2)で示す化合物の重合体にLiTFSAを混合した場合70℃では、10-4S・cm-1程度の伝導度を得ることができるのである。すなわち、本発明の固体電解質は、一般に40℃~80℃程度の温度範囲で特に好適に使用される。

【0023】
本発明のモノマーの製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の有機合成に携わる者が、本発明のモノマーを見て理解される合成方法が何等制限されることなく用いられる。製法のスキームの一例を示すと次のとおりである。

【0024】
【化3】
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【0025】
ここで、R、R及びRは前記と同じであり、EDCは1-エチル-3(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩の略である。また(1)は、本発明の新規モノマーである。
ここで、Rが“0”の場合、アクリル酸であり、1~6の場合すなわちメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基の場合を総称してメタアクリル酸という。本発明にあっては、Rは炭素数0又は1のメチル基の場合が、容易に高重合度が得られるので特に好ましい。またRはメチレン基~ヘキサメチレン基等の炭素数1~6のアルキレン基、炭素数4~6のシクロアルキレン基、又はフェニレン等のアリーレン基であり、特にメチレン基、Cのシクロアルキレン基又はフェニレン基が好ましく、中でもメチレン基が特に好ましい。
はジメチレン基~ヘキサメチレン基等の炭素数2~6のアルキレン基、又は-(RO)-であり、Rは炭素数2~3のアルキレン基、nは0~3であり、アルキレンオキシ部分、すなわち-(RO)-の部分が大きくなると重合が困難になるので、0~3が実質的に限度である。特に-(RO)-は0の場合が好ましい。よって本発明のモノマーのうち、最も好ましいものは次の一般式(2)で表わされる化合物である。

【0026】
【化4】
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【0027】
但し、RはH又はメチル基を表す。
【実施例】
【0028】
以下に実施例を示す。
【実施例1】
【0029】
トリス(シアノエトキシメチル)アミノメタン(TCEMAM)の合成
文献[1]を参考に合成を行った。トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン10g(82.5mmol)とジオキサン10mL、20wt%水酸化カリウム水溶液2.5mLをナスフラスコに加え、次にアクリロニトリル17.6mL(2
68mmol)を加えて室温で24h撹拌した。撹拌後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で溶媒の除去を行った。溶媒除去後、ジクロロメタン100mLに溶かし、イオン交換水を50mL加えて、4回洗浄した。洗浄した有機層に無水硫酸マグネシウムを加え脱水処理を行い、ロータリーエバポレーターを用いて得られた有機層から減圧下で溶媒の除去を行い、黄色液体を得た。収量は10.15gで収率は43.9%であった。なお、この反応における合成経路を下記に示す。
【実施例1】
【0030】
【化5】
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【実施例1】
【0031】
以下の方法で同定を行った。
1)TCEMAMのFT-IRスペクトル
(a)にアクリロニトリル、(b)にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、(c)にTCEMAMのFT-IRスペクトルを測定した結果を示す。
(a)と(c)を比較すると、ビニル基に帰属されるピーク(650~700cm-1及び950~1000cm-1)が減少し、エーテル構造に帰属されるピーク(550~650cm-1及び1050~1150cm-1)が観測された。このことからTCEMAMが合成できたと考えられる。また、(a),(b),(c)における観測されたスペクトルの帰属を以下に示す。
【実施例1】
【0032】
(a)のスペクトル
650~700cm-1(CH=CH
950~1000cm-1(CH=CH
1400~1450cm-1(CH=CH
2200~2250cm-1(CN)
(b)のスペクトル
950~1100cm-1(OH)
1550~1600cm-1(NH
3100~3500cm-1(OH)
(c)のスペクトル
550~650cm-1(CH-O-CH
800~900cm-1(NH
1050~1150cm-1(CH-O-CH
1350~1500cm-1(CH
1600~1700cm-1(NH
2200~2250cm-1(CN)
2700~3000cm-1(CH
3300~3600cm-1(NH
【実施例1】
【0033】
2)TCEMAMのH NMRスペクトル
(a)にアクリロニトリル,(b)にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,(c)にTCEMAMの
NMRスペクトルを測定した結果を示す。(a)と(c)を比較すると、(c)では、(a)でみられたビニル基に帰属されるピークが消失し、新たに(1)と(3)に帰属されるピーク(2.54ppm,3.61ppm)が観測された。このことからTCEMAMが合成できたと考えられる。また、(a),(b),(c)における観測されたスペクトルの帰属を以下に示す。
【実施例1】
【0034】
【化6】
JP2014162760A_000007t.gif
【実施例1】
【0035】
【化7】
JP2014162760A_000008t.gif
【実施例1】
【0036】
【化8】
JP2014162760A_000009t.gif
【実施例1】
【0037】
3) TCEMAMの13C NMRスペクトル
(a)にアクリロニトリル,(b)にトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン,(c)にTCEMAMの13
NMRスペクトルを測定した結果を示す。(a)と(c)を比較すると、(c)では、(a)でみられたビニル基に帰属されるピークが消失し、新たに(1)に帰属されるピーク(18.86ppm)が観測された。このことからTCEMAMが合成できたと考えられる。また、(a),(b),(c)における観測されたスペクトルの帰属を以下に示す。
【実施例1】
【0038】
【化9】
JP2014162760A_000010t.gif
【実施例1】
【0039】
【化10】
JP2014162760A_000011t.gif
【実施例1】
【0040】
【化11】
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【実施例2】
【0041】
トリス(シアノエトキシメチレン)カルボメタアクリルアミド(MATCEMAM)の合成
トリス(シアノエトキシメチル)アミノメタン(TCEMAM)6.05 g(21.6 mmol)、メタクリル酸(MA)2.0 ml(23.5 mmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl )4.00g(21.6 mmol)、ジクロロメタン30mlをナスフラスコに加え48時間攪拌した。その後、ジクロロメタン30mlを加え、1N HCl 30mlで3回洗浄した後、イオン交換水30mlで3回洗浄を行った。その後、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水処理を行った。得られた有機層をロータリーエバポレーターを用いて減圧下で溶媒除去を行い、カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/n-ヘキサン-酢酸エチル 1:4)で精製した。得られた液体をロータリーエバポレーターを用いて30℃で溶媒除去を行うことでMATCEMAMを合成した。なお、この反応における合成経路を下記に示す。収量は3.32g、収率44%であった。
【実施例2】
【0042】
【化12】
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【実施例3】
【0043】
ポリトリス(シアノエトキシメチレン)カルボメタアクリルアミド(PMATCEMAM)の合成
MATCEMAM0.61g(2.17mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN) 2.87mg(0.17mmol)、クロロホルム30mlを三つ口フラスコに加え、アルゴン雰囲気下65℃で20時間攪拌した。その後、ロータリーエバポレーターを用いて減圧下で溶媒除去を行った。その後、良溶媒としてアセトン、貧溶媒としてメタノールを加えて再沈殿を行った。得られた固体を60℃で24時間減圧乾燥を行うことでPMATCEMAMを合成した。なお、この反応における合成経路を次に示す。収量は80mg、収率13%であった。この重合体のm.pは 267.1~286.5 ℃で、2次転移点は、25.9℃であった。
【実施例3】
【0044】
【化13】
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【実施例4】
【0045】
調製した膜の表記法
PMATCEMAMの繰り返し単位Amolに対して、Li塩(LiX)をBmol含む電解質膜を(PMATCEMAM)A(LiX)Bとし、以下表記する。
1)PMATCEMAM膜の調製方法
サンプル管にPMATCEMAMを32.0mg(0.09mmol)秤量し、アセトン1mlを加え、スターラーを用いて1時間撹拌を行い、均一溶液とした。その後テフロン(登録商標)板にキャストし、室温で6時間減圧乾燥を行った。
膜厚 :0.0095 mm
2)(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.4膜の調製方法
サンプル管にLiTFSAを9.8 mg(0.03mmol)、PMATCEMAMを30.0mg(0.08mmol)秤量し、アセトン1mlを加え、スターラーを用いて1時間撹拌を行ない、均一溶液とした。その後テフロン(登録商標)板にキャストし、室温で6時間減圧乾燥を行った。
膜厚 :0.106 mm
3)(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.6膜の調製方法
サンプル管にLiTFSAを14.2 mg(0.05mmol)、PMATCEMAMを29.3mg(0.08mmol)秤量し、アセトン1mlを加え、スターラーを用いて1時間撹拌を行い、均一溶液とした。その後テフロン(登録商標)板にキャストし、室温で6時間減圧乾燥を行った。
膜厚 :0.157 mm
4)(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.8膜の調製方法
サンプル管にLiTFSAを19.7mg(0.07mmol)、PMATCEMAMを30.7mg(0.09mmol)秤量し、アセトン1mlを加え、スターラーを用いて1時間撹拌を行い、均一溶液とした。その後テフロン(登録商標)板にキャストし、室温で6時間減圧乾燥を行った。
膜厚 :0.156 mm
なお、LiTFSAは、リチウムビス(トリフルオロメタン)スルホニルアミドの略号である。
これらの膜について、それぞれ各温度及びLiTFSAの含有量を変えて伝導度を測定した結果を表1に示す。なお、金属を含まない場合の伝導度も併せて示す。
【実施例4】
【0046】
【表1】
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【実施例4】
【0047】
また、実施例2及び実施例3に記載の化合物についての同定は、次のとおり行った。

(1)H NMR測定によるMATCEMAMの構造の確認及び同定
図2の(a)にTCEMAM、(b)にMA、(c)に MATCEMAMのH NMRスペクトルを示す。(c)と(a)を比較すると、(a)のシアノエトキシ基に隣接するメチレン水素に帰属される3.41ppmピークが(c)では、3.87ppmにシフトしていることが確認できた。これはアミノ結合形成により、低磁場側へシフトしたためと考えられる。また、(b)と(c)を比較すると(b)に見られるビニル基、メチル基に帰属されるピークが(c)にも観測された。この結果からMATCEMAMが合成できたと考えられる
【実施例4】
【0048】
【化14】
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【実施例4】
【0049】
(2)13C NMR測定によるMATCEMAMの構造の確認及び同定
図3の(a)にTCEMAM、(b)にMA、(c)にMATCEMAMの13C NMRスペクトルを示す。(c)と(b)を比較すると、(b)のカルボニル炭素に帰属される173.16ppmのピークが、(c)では168.49ppmにシフトしていることが確認できた。これはアミノ結合形成により、高磁場側へシフトしたためと考えられる。また、(b)と(c)を比較すると(b)に見られるビニル基、メチル基に帰属されるピークが(c)にも観測された。この結果からMATCEMAMが合成できたと考えられる。
【実施例4】
【0050】
【化15】
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【実施例4】
【0051】
(3)FT-IR測定によるMATCEMAMの構造確認及び同定
図4の(a)にTCEMAM、(b)にMA、(c)にMATCEMAMのFT-IRスペクトルを示す。結果を表2に示す。(a)と(c)を比較すると(c)には、(a)に存在していたアミノ基に帰属されるピーク(1550~1640cm-1)が消失し新たにアミド基に帰属されるピーク(1500~1620cm-1, 3200~3500cm-1)が観測できた。また、(b)に見られる二重結合に帰属されるピークが(500~700cm-1,1620~1750cm-1)が(c)にも観測された。これらのことからMATCEMAMが合成できたと考えられる。
【実施例4】
【0052】
【表2】
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【実施例4】
【0053】
(4)H NMR測定によるPMATCEMAMの構造の確認及び同定
図5の(c)にMATCEMAM、(d)にPMATCEMAMのH NMRスペクトルを示す。(c)と(d)を比較すると、(c)では(d)でみられた二重結合に帰属されるピークが(d)では消失した。また、(d)にメチレンに帰属されるピークが新たに生じた。このことからPMATCEMAMが合成できたと考えられる。
【実施例4】
【0054】
【化16】
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【実施例4】
【0055】
(5)FT-IR測定によるPMATCEMAMの構造確認及び同定
図6の(c)にMATCEMAM、(d)にPMATCEMAMのFT-IRスペクトルを示す。結果を表3に示す。(c)と(d)を比較すると(c)に観測できた二重結合のピーク(500~700cm-1, 1620~1750cm-1)が(d)では消失し、新たにメチレンに帰属されるピーク(1450~1500cm-1)が観測できた。このことからPMATCEMAMが合成できたと考えられる。
【実施例4】
【0056】
【表3】
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【実施例4】
【0057】
(6)調製した膜のイオン伝導度測定結果
図1に調製した膜の伝導度の温度依存性を示す。
図1の結果より伝導度を比較すると(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.8の割合で調製した膜のイオン伝導度が最も高く70℃において、1.20×10-4 Scm-1 であった。また20℃付近での(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.8の伝導度は1.06×10-6 Scm-1 であり、(PMATCEMAM)1(LiTFSA)0.4で調製した電解質膜の伝導度は 1.25×10-8 Scm-1よりも約二桁の差が生じた。このような結果が生じたのは、電解質膜内にリチウム濃度が増加した為、電子を輸送するイオンの量が増加した為と考えられる。
また、それぞれの電解質膜において温度が上昇するにつれて伝導度が大きく上昇した。このことから、PMATCEMAMとLiTFSAから調製された電解質膜は温度依存性があること考えられる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
4
【図6】
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