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明細書 :識別センサ装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-020948 (P2017-020948A)
公開日 平成29年1月26日(2017.1.26)
発明の名称または考案の名称 識別センサ装置
国際特許分類 G01R  33/02        (2006.01)
G01R  33/09        (2006.01)
G07D   7/00        (2016.01)
G07D   7/04        (2016.01)
FI G01R 33/02 Q
G01R 33/06 R
G07D 7/00 D
G07D 7/04
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2015-139901 (P2015-139901)
出願日 平成27年7月13日(2015.7.13)
発明者または考案者 【氏名】南谷 保
【氏名】山田 外史
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 2G017
3E041
Fターム 2G017AA02
2G017AA10
2G017AC09
2G017AD55
2G017BA02
2G017BA03
2G017BA09
2G017BA13
3E041AA01
3E041BA07
3E041BB07
3E041CA01
3E041CA02
3E041EA02
要約 【課題】紙葉類の被検出体に組み込まれた磁性媒体と導電性媒体との情報を読みとることができ、識別精度が高い識別センサ装置の提供を目的とする。
【解決手段】被検出体に組み込まれている導電性媒体又は/及び磁性媒体を検出する識別センサ装置であって、交流磁界の印加により前記導電性媒体にうず電流を発生させる交流磁界発生用の励磁コイルと、前記磁性媒体の通過により磁界を変化させる直流磁界発生手段を備え、前記うず電流による磁界と磁性体による磁界の変化を検出する素子を有することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
被検出体に組み込まれている導電性媒体又は/及び磁性媒体を検出する識別センサ装置であって、
交流磁界の印加により前記導電性媒体にうず電流を発生させる交流磁界発生用の励磁コイルと、前記磁性媒体の通過により磁界を変化させる直流磁界発生手段を備え、
前記うず電流による磁界と磁性体による磁界の変化を検出する素子を有することを特徴とする識別センサ装置。
【請求項2】
前記励磁コイルによる励磁磁界、および前記直流磁界発生手段による直流磁界が、前記素子と被検出体に垂直方向の磁界を持ち、前記直流磁界発生手段が磁石であり、前記素子が前記励磁コイルと前記磁石より被検出体に接近するように配置してあることを特徴とする請求項1記載の識別センサ装置。
【請求項3】
被検出体を前記素子に沿って概ね水平方向に相対移動させることで、前記素子に生ずる磁束密度の基準信号に対する、振幅変位及び/又は位相変位を検出するための検出手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の識別センサ装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被検出体に組み込まれている、磁性媒体による情報や導電性媒体による情報を検出するための識別センサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば有価証券類には、磁性媒体を用いたインクで印刷したり、導電性媒体を漉き込んだりして、偽造防止対策が図られている。
従って、このような有価証券の真偽判定には簡易で精度の高い識別センサ装置が必要となる。
例えば特許文献1,2には、磁気抵抗効果素子と磁石からなる磁気センサを開示するが、導電性媒体の検出には不充分である。
非特許文献1には、巨大磁気抵抗効果素子(GMR)と励磁コイルとを組み合せた非破壊検査用センサを開示するが、有価証券等の厚みが薄い被検出体に対しては充分な検出信号が得られ難い問題がある。
特許文献3には、導電体と磁性体とを同時に検出できる磁気式検出装置を開示するが、センタコアとその両側の一対のサイドコアからなる複雑な構造であり、製作が困難であるとともに小型化ができないものである。
また、サイドコア間の磁気ギャップの磁力線変化を検出するものであり、検出精度が必ずしも充分であるとは言えない。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-84015号公報
【特許文献2】特開2005-37337号公報
【特許文献3】特開2002-350405号公報
【0004】

【非特許文献1】山田 外史,「針形状GMR磁気センサプローブを用いた非破壊検査」,非破壊検査,第63巻11号(2014),P567-574
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、紙葉類の被検出体に組み込まれた磁性媒体と導電性媒体との情報を読みとることができ、識別精度が高い識別センサ装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被検出体に組み込まれている導電性媒体又は/及び磁性媒体を検出する識別センサ装置であって、交流磁界の印加により前記導電性媒体にうず電流を発生させる交流磁界発生用の励磁コイルと、前記磁性媒体の通過により磁界を変化させる直流磁界発生手段を備え、前記うず電流による磁界と磁性体による磁界の変化を検出する素子を有することを特徴とする。
【0007】
ここで励磁コイルは、高周波電流を流すことで発生する高周波磁場を被検出体に印加するためのものである。
被検出体に導電性媒体が組み込まれていると、うず電流が発生し、磁性媒体が組み込まれていると磁束が収束し、前記素子として例えば磁気抵抗効果素子を用いると、その近傍の磁場が変化する。
導電性磁性媒体が組み込まれている場合は、うず電流による磁場と磁束の収束による変化の両方が出現する。
これらの変化を磁気抵抗効果素子等で検出する際に、直流磁界を加えることで磁性媒体による磁束の変化を大きくすることができる。
【0008】
直流磁界を加える方法には、励磁交流に直流成分を流す方法と磁石の直流磁場を利用する方法とがあるが、磁石の方が簡易に大きな直流磁場を加えることができる。
そこで本発明において、励磁コイルによる励磁磁界、および前記直流磁界発生手段による直流磁界が、前記素子と被検出体に垂直方向の磁界を持ち、前記直流磁界発生手段が磁石であり、前記素子が前記励磁コイルと前記磁石より被検出体に接近するように配置してもよい。
本発明において、素子とは例えば磁気抵抗効果素子をいい、巨大磁気抵抗効果素子(GMR),半導体磁気抵抗効果素子(SMR),異方向性磁気抵抗効果素子(AMR),トンネル効果磁気抵抗効果素子(TMR)等が例として挙げられる。
【0009】
本発明においては、被検出体を磁気抵抗効果素子に沿って概ね水平方向に相対移動させることで、前記磁気抵抗効果素子に生ずる磁束密度の基準信号に対する、振幅変位及び/又は位相変位を検出するための検出手段を有するようにしてもよい。
このようにすると、被検出体の種別の判定が容易となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る識別センサ装置にあっては、素子として例えば磁気抵抗効果素子と、励磁コイルと直流磁界発生手段を組み合せたことにより、簡単な構成で導電性媒体と磁性媒体の両方を精度よく検出することができる。
また、磁束密度の振幅変化と位相変化を信号処理することで、導電性媒体と磁性媒体との組み合せ、例えば、絶縁磁性体,磁性導体,非磁性導体(導電率が低いもの),金属導体等の判別も容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るセンサ装置の構成例を示し、(a)はセンサ構造を模式的に示し、(b)は検出部分を模式的に示す。
【図2】磁気抵抗効果素子の検出部の回路例を示し、(a)は定電流印加により素子の抵抗変化を電圧変化で検出する例、(b)は検出用素子と補償用素子とを直列につないだ例、(c)はフルブリッジ回路の例を示す。
【図3】検出用素子と補償用素子とを直列につないだ検出回路を用いた信号出力ブロック図の例を示し、(a)は励磁周波数成分を含むセンサの出力信号を増幅し、バンドパスフィルターを用いて変化分に対応する信号を出力する例、(b)は基準信号(参照信号)に対するセンサ出力信号の振幅と位相変化を出力信号として出力する例を示す。
【図4】本発明に係るセンサのシミュレーションに用いたモデル図を示す。
【図5】磁束密度のシミュレーション結果を示す。
【図6】本発明に係るセンサの動作説明を示し、(a)は導電体(導電性媒体)を読み込む場合、(b)は磁性体(磁性媒体)を読み込む場合を示す。
【図7】センサに現れた信号を図3(a)のブロック図を用いて処理した例を示す。
【図8】センサに現れた信号を図3(b)のブロック図を用いて処理した例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る識別センサ装置(以下センサと称する。)の構成例を図1に示すが本発明はこれに限定されない。
センサは基板11に励磁コイル12と、この励磁コイルの中央部に磁気抵抗効果素子(以下素子という)13を実装してある。
磁気抵抗効果素子は、検出方向となる磁石長手方向の磁界の変化を検出するように実装している。
基板11の背面側には磁石14を配設し、素子13に垂直方向に直流磁界が印加されるようになっている。
直流磁界は、磁性媒体の検出力を向上させるため、媒体通過位置で50mT以上の磁束密度となることが望ましい。
また、素子の検出方向の磁束密度を均一とする為、磁石の形状は検出方向を長手方向にすることが望ましい。
これらを例えば図1(a)に透視図として示したケース体15等に収容し、ケース体15の表面に沿って、有価証券等の被検出体が水平方向に相対移動する。
その状態を検出部側から見たのが図1(b)である。
検出部は端子11a~11c及びリード線等で図示を省略した信号処理部とつながれている。

【0013】
磁気抵抗効果素子(MR素子)は、電気抵抗が磁界によって変化する磁気抵抗効果を有する素子であり、磁界の変化や磁性体の有無を電圧の変化として検出することができる。
その回路例を図2に示す。
(a)は抵抗の変化を電圧で読み取る例、(b)は温度等の環境の変化を補償するために検出用素子と補償用素子とを直列にした例、(c)は4つの素子をブリッジ回路として組み込んだ例を示す。

【0014】
次にシミュレーション解析をしたので、その説明をする。
図4に解析モデルを示す。
励磁コイルに周波数5MHzの高周波を流し、磁束密度B:1mTとした。
被検出体として各種媒体を組み込んだ紙葉を想定し、媒体の大きさを5mm×0.05mmとした。
媒体としては絶縁磁性体,磁性導体,非磁性導体,非磁性金属の4種類とした。
被検出体を素子と0.3mmの間隔をおいて平行(X軸方向)に移動させる。
このときの信号処理を、図3(a),(b)に示す2種類のパターン(ブロック図)にて解析した。

【0015】
シミュレーション結果を説明する前に、図6にて本発明に係るセンサの動作原理を説明する。
図6(a)は、媒体1aとして導電体が被検出体1に組み込まれた際の動作説明図である。
被検出体1をX軸方向に移動させると、導電体に発生したうず電流により磁界が変化し、これに伴い素子の出力電圧が変化し、波形は媒体1aの通過前後で正負逆転する。
媒体1aが磁性体の場合には、図6(b)に示すように磁性体の通過により磁界が変化し出力電圧がグラフに示すように変化する。
センサには励磁コイルの励磁磁束密度と媒体が素子を通過する際の磁束密度変化とが複合した出力波形が現れ、その例を図7(a)に示す。
媒体の通過に伴う波形変位には図7(b)に示すように振幅変位と位相変位とが含まれ、図3(a)に示した信号処理回路にてフィルター処理したのが図7(c)に示したチャートで、図3(b)に示した信号処理回路にて基準信号に対する振幅変位分と位相変位分とをチャートに現したのが図8である。
図8に示すように出力信号として振幅変位信号と位相変位信号を取り出すと、媒体の種類の判別もしやすくなる。

【0016】
図5に、図3(b)に示した信号処理回路に処理した場合の4種類の媒体による磁束密度変化のシミュレーション結果を示す。
図5は水平方向であるX方向の振幅及び位相変化と垂直方向であるZ方向の振幅及び位相変化を被検出体の移動(通過)チャートとして示す。
この結果からも振幅変位パターンと位相変位パターンとが媒体の種類により大きく変化しており、有価証券等に組み込まれた各種媒体による情報を識別し、判定することができることが明らかになった。
【符号の説明】
【0017】
1 被検出体
1a 組み込み媒体
11 基板
11a 端子
12 励磁コイル
13 磁気抵抗効果素子
14 磁石
15 ケース体
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7