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明細書 :汚染土壌の処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-064354 (P2016-064354A)
公開日 平成28年4月28日(2016.4.28)
発明の名称または考案の名称 汚染土壌の処理方法
国際特許分類 B09C   1/02        (2006.01)
B09C   1/08        (2006.01)
C09K   3/00        (2006.01)
C11D   7/26        (2006.01)
C11D   7/32        (2006.01)
C11D   7/12        (2006.01)
C11D   7/14        (2006.01)
C11D   7/34        (2006.01)
FI B09B 3/00 304K
C09K 3/00 ZABS
C11D 7/26
C11D 7/32
C11D 7/12
C11D 7/14
C11D 7/34
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 6
出願番号 特願2014-194423 (P2014-194423)
出願日 平成26年9月24日(2014.9.24)
発明者または考案者 【氏名】長谷川 浩
【氏名】澤井 光
【氏名】塚越 義則
【氏名】石渡 寛之
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 4D004
4H003
Fターム 4D004AA41
4D004AB03
4D004BA05
4D004CA34
4D004CA40
4D004CC06
4D004CC11
4H003DA20
4H003DB01
4H003EB21
4H003FA07
4H003FA48
要約 【課題】 安価で信頼性の高い汚染土壌の処理方法の提供を目的とする。
【解決手段】汚染土壌をキレート剤を添加した洗浄液で洗浄するステップと、前記洗浄された汚染土壌を固定化処理剤と接触させるステップとを有することで、溶出量試験に対する有害金属の溶出量の低減を図ったことを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
汚染土壌をキレート剤を添加した洗浄液で洗浄するステップと、
前記洗浄された汚染土壌を固定化処理剤と接触させるステップとを有することで、溶出量試験に対する有害金属の溶出量の低減を図ったことを特徴とする汚染土壌の処理方法。
【請求項2】
前記固定化処理剤は有害金属イオンに対して難溶化作用を有するものであることを特徴とする請求項1記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項3】
前記有害金属イオンに対して難溶化作用を有する固定化処理剤は難溶化キレート剤、吸着剤及び無機凝集剤のうちいずれかであることを特徴とする請求項2記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項4】
前記難溶化キレート剤は、ジチオカルバミン酸系キレート剤であることを特徴とする請求項3記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項5】
前記吸着剤は、炭酸塩系又はケイ酸塩系吸着剤であることを特徴とする請求項3記載の汚染土壌の処理方法。
【請求項6】
前記無機凝集剤は、鉄系、マンガン系及びアルミ系のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の汚染土壌の処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
人為及び自然由来の有害金属により汚染されている土壌の浄化処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
平成15年の土壌汚染対策法の施行以降、汚染土壌の報告件数が増加傾向にあり、人の健康や生活環境に悪影響を及ぼす汚染土壌の環境修復技術の開発が求められている。
同土壌汚染対策法には有害物質の溶出量基準と含有量基準が定められている。
溶出量基準は、自然環境中で雨水や地下水等の接触により土壌から溶出しうる量を想定したものである。
含有量基準は重金属類を直接摂取したときに胃の中で溶け出すリスクを判定したものである。
【0003】
特許文献1には、土壌にまず酸化剤を添加し、重金属-有機物複合体の有機物を酸化することにより、この複合体を分解した後に重金属固定化剤を重金属に直接作用させる技術を開示する。
しかし、土壌中の重金属を減らすことなくそのまま土壌中に残存させることは、安定性や安定期間の問題があり不安が残る。
特許文献2には、重金属類で汚染された土壌をグルコン酸アルカリ金属塩からなるキレート剤で洗浄する技術を開示する。
しかし、キレート剤洗浄にて土壌中の有害金属の含有量を減らす効果があり、有用であるものの完全に除去するのは困難である。
本発明者らの実験検討ではキレート剤洗浄にて有害金属の含有量が低減できるものの溶出量試験では土壌中に残存しているキレート剤等の影響により有害金属の溶出量が増大する問題があった。
そこで本発明者らは土壌中の有害金属の含有量を低減し、且つ溶出量試験にて溶出量の低減を図ることを検討した結果、本発明に至った。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2001-191063号公報
【特許文献2】特開2014-117688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安価で信頼性の高い汚染土壌の処理方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る汚染土壌の処理方法は、汚染土壌をキレート剤を添加した洗浄液で洗浄するステップと、前記洗浄された汚染土壌を固定化処理剤と接触させるステップとを有することで、溶出量試験に対する有害金属の溶出量の低減を図ったことを特徴とする。
本発明において土壌洗浄に用いるキレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA),イミノ二酢酸(IDA),ニトリロ三酢酸(NTA),ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA),シクロヘキサンジアミン四酢酸(CyDTA)や、以下生分解性である、3-ヒドロキシ-2,2’-イミノ二コハク酸(HIDS),エチレンジアミン二コハク酸(EDDS),L-グルタミン酸-N,N-二酢酸(GLDA),メチルグリシン二酢酸(MGDA)等を用いることができる。
【0007】
本発明において、固定化処理剤とは、有害金属である鉛,砒素,カドミウム,六価クロム,セレン,アルキル水銀等を難溶化する作用を有するものをいう。
例えば難溶化キレート剤、吸着剤、無機凝集剤等が例として挙げられる。
【0008】
難溶化キレート剤の例としては、ジチオカルバミン酸及びその塩が挙げられ、具体的にはジエチルアミンジチオカルバミン酸及びその塩、ピペラジンジチオカルバミン酸及びその塩が挙げられる。
【0009】
吸着剤の例としては、炭酸塩系,ケイ酸塩系のものが良く、具体的にはカキ殻,珪藻土等が挙げられる。
【0010】
無機凝集剤としては、水や空気と接触すると難溶物を形成し、そのスキャベンジャー効果により有害金属を固定化するものをいう。
例えば、鉄粉,Fe3+系の塩,Mn2+系の塩,Al3+系の塩が挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、汚染土壌をキレート剤で洗浄後に固定化処理したので、溶出量試験での溶出量の低減が比較的安価に信頼性高く達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(a)はキレート剤HIDS洗浄後の土壌の固定化処理と[As]の溶出量試験結果を示し、(b)はキレート剤EDDS洗浄後の土壌の固定化処理と[As]の溶出量試験結果を示す。
【図2】(a)はキレート剤HIDS洗浄後の土壌の固定化処理と[Pb]の溶出量試験結果を示し、(b)はキレート剤EDDS洗浄後の土壌の固定化処理と[Pb]の溶出量試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る土壌処理方法の例を具体的な試験評価例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されない。

【0014】
<試薬・試料>
土壌試料には,含有量として鉛11.8mg/kg、ヒ素3.1mg/kgの土壌を使用した。
この土壌は、溶出量が環境基準を超過した汚染土壌である。
キレート洗浄液には、生分解性キレート剤である3-ヒドロキシ-2,2’-イミノ二コハク酸(HIDS),エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)を用いた。
<キレート剤による洗浄>
土壌1.0gに対し10mMキレート水溶液10mLを添加し、25℃,200rpmで24hr振盪した。
抽出液をGF/Cガラス繊維ろ紙(粒子保持能1.2μm)を用いて吸引ろ過後、溶液中の金属イオン濃度をICP発光分光分析装置(ICP-AES)またはフレームレス原子吸光装置により定量した。
試料の鉛、ヒ素濃度は、含有量試験(1mol L-1 HCl抽出,平成15年環境省告示第19号)および溶出量試験(pH5.8~6.3の水抽出,平成3年環境庁告示第46号)により測定した。
<固定化処理>
キレート剤による洗浄後の土壌試料を精製水10mLですすいだ後、固定化処理を行った。
固定化剤が液体の場合は、10mMの固定化溶液10mLを土壌試料1.0gに加えて25℃,200rpmで30分間振とう後、GF/Cガラス繊維ろ紙(粒子保持能1.2μm)を用いた吸引ろ過で固-液分離した土壌を用いた。
固定化剤が固体の場合は、キレート剤による洗浄後の土壌試料に対して重量比で5%量を添加してよく混合した。
その後の溶出量試験は、前記と同様の方法で行った。

【0015】
その結果を図1,2のグラフに示す。
グラフ中、HIDS洗浄後及びEDDS洗浄後とは、キレート剤による洗浄後に固定化処理することなく、溶出量試験を行ったものである。
グラフ中、DTCジエチルアンモニウム塩とは、ジエチルアミンジチオカルバミン酸の塩を示し、DTCナトリウム、DTCアンモニウム塩とはジチオカルバミン酸の塩である。
また、カキ殻/ガラスとは、カキ殻の粉とガラスの粉とを混合溶融したものである。

溶出量試験においては、洗浄に用いたキレート剤による影響も認められる。
有害金属[As]にあっては、DTC系の固定化処理剤及びカキ殻,珪藻土,鉄粉の固定化効果が大きく認められる。
有害金属[Pb]にあっては、DTC系の固定化剤及びカキ殻,珪藻土の効果が大きい。
図面
【図1】
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【図2】
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