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明細書 :鋳物廃砂中の有害金属の除去方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-213859 (P2015-213859A)
公開日 平成27年12月3日(2015.12.3)
発明の名称または考案の名称 鋳物廃砂中の有害金属の除去方法
国際特許分類 B09B   3/00        (2006.01)
C22B  15/00        (2006.01)
C22B  25/06        (2006.01)
C22B  13/00        (2006.01)
C22B   3/04        (2006.01)
C22B   7/00        (2006.01)
FI B09B 3/00 304J
B09B 3/00 ZAB
C22B 15/00
C22B 25/06
C22B 13/00 101
C22B 3/00 A
C22B 7/00 G
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2014-096794 (P2014-096794)
出願日 平成26年5月8日(2014.5.8)
発明者または考案者 【氏名】長谷川 浩
【氏名】澤井 光
【氏名】塚越 義則
【氏名】若林 友弥
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 4D004
4K001
Fターム 4D004AA16
4D004AA50
4D004AB03
4D004BA10
4D004CA13
4D004CA34
4D004CA40
4D004CC06
4D004CC12
4D004DA03
4D004DA20
4K001AA09
4K001AA20
4K001AA24
4K001BA22
4K001CA08
4K001DB08
要約 【課題】温和な条件下で汎用性があり、プラント化が容易な鋳物廃砂に含まれる有害金属の除去方法の提供を目的とする。
【解決手段】キレート剤が添加されたpH10.0以上のアルカリ性水溶液にて鋳物廃砂を洗浄することを特徴とする。
【選択図】 図1
特許請求の範囲 【請求項1】
キレート剤が添加されたpH10.0以上のアルカリ性水溶液にて鋳物廃砂を洗浄することを特徴とする鋳物廃砂中に含まれる有害金属の除去方法。
【請求項2】
キレート剤及びアンミン錯体形成補助剤が添加されたpH10.0以上のアルカリ性水溶液にて鋳物廃砂を洗浄することを特徴とする鋳物廃砂中に含まれる有害金属の除去方法。
【請求項3】
前記キレート剤はアミノポリカルボン酸であることを特徴とする請求項1又は2記載の鋳物廃砂中に含まれる有害金属の除去方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製品の鋳造工程にて排出される鋳物廃砂の再資源化を図るのに有用な鋳物廃砂中に含まれる有害金属の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属製品の製造方法の1つに鋳造技術がある。
この鋳造技術の分野においては、多量の鋳物用の砂が使用されている。
鋳造に供した後の砂は、鋳物廃砂として最終処分場にて埋め立てられる。
近年、最終処分量の削減を目的に鋳物廃砂の一部は、路盤材等として再資源化されている。
しかし、例えば銅合金を用いた鋳造の場合には、鋳造中にCu,Pb,Sn等の鋳造用合金に起因する有害金属も含まれることになり、再資源化するにはこれらの有害金属を除去する必要があった。
この種の有害金属の除去方法としては、比較的高濃度の塩酸水溶液を用いて加熱洗浄する方法も考えられるが、洗浄装置としてプラント化するには洗浄液による設備の腐食が問題となる。
特許文献1には、無水液体アンモニア単独又は溶媒和電子と併用して処理する有害金属を含有する土壌の除染方法を開示するが、同技術も特殊な条件下での処理方法であり、もっと汎用性があり、温和な条件からなる除法方法が求められていた。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特表平10-505902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、温和な条件下で汎用性があり、プラント化が容易な鋳物廃砂に含まれる有害金属の除去方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る鋳物廃砂中に含まれる有害金属の除去方法は、キレート剤が添加されたpH10.0以上のアルカリ性水溶液にて鋳物廃砂を洗浄することを特徴とする。
本発明は、pH10.0を超える程度の比較的弱いアルカリ性水溶液中にキレート剤を添加することで、重金属で有害とされるCu,Pb,Sn等の金属を除去することができる。
上記金属と錯体を形成し水溶液中に溶出させるのを促進するには、キレート剤の他にアンミン錯体形成補助剤を加えてもよい。
【0006】
本発明におけるキレート剤は、pH10.0以上のアルカリ性水溶液中にて重金属イオンと多座配位子による錯体を形成する水溶性キレート剤であれば特に制限はないが、比較的安価に入手できるものとしては、アミノポリカルボン酸が例として挙げられる。
アミノポリカルボン酸からなるキレート剤の例としては、EDTA(Ethylenediamine-N,N,N’,N’-tetraacetic acid),IDS(Iminodisuccinate),HIDA[N-(2-Hydroxyethyl)iminodiacetic acid],NTA(Nitrilotriacetic acid),DTPA(Diethylenetriamino-N,N,N’,N”,N”-pentaacetic acid),HIDS(Hydroxyiminodisucinic acid),IDA(Iminodiacetic acid),EDDS[(S,S)-Ethylenediamine-N,N’-disuccinic acid],MGDA(Methylglycine-N,N-diacetic acid),GLDA[N,N-Bis(carboxymethyl)-L-glutamic acid]等が挙げられる。
なお、HIDS,IDA,EDDS,MGDA及びGLDAは、生分解性キレート剤である。
【0007】
本発明におけるアンミン錯体形成補助剤の例としては、アンモニア及びアミン類が挙げられ、安価である点ではアンモニアが好ましい。
【0008】
本発明におけるアルカリ種は、pH10.0以上好ましくはpH12.0以上に水溶液を調整できるものであれば制限がない。
例えば、NaOH,KOH,CaOH等が挙げられるが、安価である点ではNaOHが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明における有害な重金属の除去方法にあっては、水溶性キレート剤を用いることでpH10.0~13.0程度の水溶液からなる温和な条件下で鋳物廃砂を洗浄するだけで、この鋳物廃砂中の有害な重金属を除去できるのでプラント化が容易である。
また、本発明においては、アンモニア等のアンミン錯体形成補助剤を少量加えるとさらに高い除去効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】キレート剤の有無によるアルカリ濃度に対する金属の抽出率の比較を示す。
【図2】キレート剤の種類による有害金属の除去率を示す。
【図3】アンモニアの添加有無による有害金属の除去率の変化を示す。
【図4】除去試験に供した鋳物廃砂の成分表を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
鋳物廃砂に含まれる有害金属の除去例を以下具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。

【0012】
有害重金属の除去試験として、銅合金の金属製品を鋳造した後の鋳物廃砂を用いた。
鋳物廃砂の成分をマイクロ波加熱分解/ICP-AES法及びEDXRF分析法を用いて分析した結果を図4の表に示す。
また、廃砂の表面を蛍光X線分析装置を備えた電界放出型走査型電子顕微鏡にて観察したところ、Pbは砂表面を覆うダスト状の物質に局在し、Cu,Snは砂とは独立した比較的大きな粒子として認められた。
図4の成分分析結果及び廃砂の表面観察からSi,Alは主に砂の成分であり、重金属Zn,Cu,Pb,Snのうち、Znは砂を構成する成分である。
このことから、湿式洗浄による除去評価をCu,Pb,Snの3つの成分にて行った。

【0013】
まず、Cu,Pbに関してキレート剤の有無におけるOH濃度と抽出率について調査した。
鋳物廃砂0.5gを、キレート剤として50mmol/lになるようにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)を添加したもの、及び添加しないそれぞれの水5mlの洗浄液に混合した。
アルカリ性は、NaOHを用いて調整した。
洗浄は、25℃,24hr,180rpmの震とう条件にて実施した。
洗浄後は、ガラス繊維濾紙にて吸引濾過固液分離した。
濾液中のCuとPbの金属量をICP発光分析により求めた。
その結果を図1のグラフに示す。
[EDTA]=0mmol/lの左グラフと[EDTA]=50mmol/lの右のグラフを比較すると、キレート剤EDTAの存在により弱いアルカリ性にてCu,Pbのいずれも高い抽出率を示した。
これにより、[OH]=1.0×10-4mol/lのpH10.0以上あればよく、好ましくはpH12.0以上さらに好ましくは[OH]=0.1~0.4mol/lの範囲で充分であった。

【0014】
次に[NaOH]=0.2mol/lのアルカリ性水溶液に各種アミノポリカルボン酸[APCs]=50mmol/lになるようにキレート剤を添加した5mlの洗浄液に鋳物廃砂0.5gを混合し、25℃,24hr,180rpmの震とう条件にて洗浄した。
その後に25℃,30min,3000rpmの遠心分離し、吸引濾過した。
濾液をICP発光分析した。
各種キレート剤によるCu,Pb,Snの除去率(%)を図2のグラフに示す。
なお、グラフ中Ctrlはコントロールの意味であり、キレート剤を添加しなかったものである。
この結果から、Cuはキレート剤DTPA,HIDS,EDDSで80%以上の除去率を示し、EDTAでは60%以上の67.9%の除去率であった。
Pbはキレート剤EDTA,DTPA,HIDSで60%以上の除去率を示した。
SnはIDA以外のキレート剤にて60%以上の除去率を示した。

【0015】
次にアンモニアの添加の有無による影響を調査した。
5mlの水に[EDTA]=50mmol/l,[NaOH]=0.2mol/l,[NH]=0,0.3mol/lになるように添加調整し、0.5gの鋳物廃砂を混合し、25℃,24hr,180rpm震とう後に、25℃,30min,3000rpm遠心分離し、その後に濾液を吸引濾過した。
上記の洗浄を3回繰り返した。
ICP発光分析により金属の除去率を求めた結果を図3のグラフに示す。
Cu,Pb,Snのいずれにおいてもアンモニアの添加により除去率が向上している。
Cuにて説明すると、アンモニアを添加しなかった場合に3回の洗浄で除去率85.3%であったものが、アンモニア0.3mol/l添加にてほぼ100%の除去率に向上した。
1回の洗浄結果を見ると、Cu,Pb,Snのいずれもアンモニアの添加により除去率が向上しているのが分かる。
アンモニアを添加した3回の洗浄にてCu,Snは、ほぼ100%除去でき、Pbは約90%の除去率であった。

【0016】
本発明において、キレート剤の添加量,アンモニアの添加量ともに除去する金属の量により適宜選定されるが、キレート剤の添加量は金属のモル当量の2~5倍程度がよい。
アンモニアはアンミン錯体形成補助剤として作用し、0.001mol/l以上で添加効果が認められ、0.01~5mol/lの範囲が実用的である。
図面
【図4】
0
【図1】
1
【図2】
2
【図3】
3