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明細書 :ダイヤモンド基板及びその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-120610 (P2015-120610A)
公開日 平成27年7月2日(2015.7.2)
発明の名称または考案の名称 ダイヤモンド基板及びその製造方法
国際特許分類 C30B  29/04        (2006.01)
FI C30B 29/04 Q
C30B 29/04 P
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2013-263859 (P2013-263859)
出願日 平成25年12月20日(2013.12.20)
発明者または考案者 【氏名】徳田 規夫
【氏名】猪熊 孝夫
【氏名】森本 隆介
【氏名】北條 大介
出願人 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査請求 未請求
テーマコード 4G077
Fターム 4G077AA03
4G077BA03
4G077DB07
4G077DB16
4G077ED01
4G077ED06
4G077EE04
4G077EE05
4G077EG11
4G077TA04
4G077TK04
4G077TK10
要約 【課題】大面積化が可能で製造が容易な高配向又は単結晶のダイヤモンド基板およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてエピタキシャル成長させて得られ、高配向または単結晶である単結晶ダイヤモンド基板。単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてホモエピタキシャル成長させるステップと、その後にヘテロエピタキシャル成長させるステップを有するダイヤモンド基板の製造方法。また、前記単結晶シリコン基材の上に種結晶としてのナノダイヤモンド結晶が入り込む孔状若しくは溝状のエッチピットが形成されていることが好ましい。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてエピタキシャル成長させて得られ、高配向または単結晶であることを特徴とするダイヤモンド基板。
【請求項2】
単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてホモエピタキシャル成長させるステップと、その後にヘテロエピタキシャル成長させるステップを有することを特徴とするダイヤモンド基板の製造方法。
【請求項3】
前記単結晶シリコン基材の上にエッチピットが形成されていることを特徴とする請求項2記載のダイヤモンド基板の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は高配向又は単結晶のダイヤモンド基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは5.47eVのワイドバンドギャップを有し、絶縁破壊電界強度が10MV/cmと非常に高い。
また、優れた熱伝導率を有することから高速電子デバイスとして有望視されている。
従来の高温高圧法による単結晶ダイヤモンドは結晶性が高いものの大面積化が困難であった。
非特許文献1には、単結晶のMgO基材上に単結晶イリジウムをヘテロエピタキシャル成長させ、この上にCVD法でヘテロエピタキシャル成長させた単結晶ダイヤモンドが記載されている。
しかし、同文献に開示する方法ではMgOとイリジウム単結晶を介したダイヤモンドとの間で熱膨張係数が異なり、格子ミスマッチもあり、歪みが生じやすくダイヤモンドが湾曲したり、割れが生じるために大面積化が困難であった。
本願の発明者の1人である徳田規夫らのグループは、グラファイト層が形成された種基材の上、Ir膜、Pt膜、Rh膜のいずれかを形成し、その上に単結晶ダイヤモンドを成長させた発明を提案している(特許文献1)。
グラファイト層は非特許文献1のMgO基材を用いた場合に比較して、ダイヤモンドとの間に発生する応力が小さく結晶ダイヤモンドに割れが生じるのを抑えることができる。
本発明はさらに安価に大面積化できるようにしたものである。
【先行技術文献】
【0003】

【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.Vol.35(1996)pp.L1072-L1074
【0004】
<patcit num="1"> <text>特開2012-1394号公報</text></patcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は大面積化が可能で製造が容易なダイヤモンド基板の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るダイヤモンド基板は、単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてエピタキシャル成長させて得られ、高配向または単結晶であることを特徴とする。
本発明は単結晶シリコン基材の上に、大きさ10nm以下のいわゆるナノダイヤモンドの単結晶を種としてヘテロエピタキシャル成長させた単結晶のダイヤモンド基板を得ることができる点に特徴がある。
単結晶シリコン基材は、シリコンウエハとして大面積のものが比較的に安価に入手できるので本発明に係るダイヤモンド基板は安価に製造でき、シリコン基材を分離するのも容易であり、自立型のダイヤモンド基板を得ることもできる。
【0007】
本発明に係るダイヤモンド基板の製造方法は、単結晶シリコン基材上に大きさ10nm以下の単結晶ダイヤモンドを種結晶としてホモエピタキシャル成長させるステップと、その後にヘテロエピタキシャル成長させるステップを有することを特徴とする。
ここで、前記単結晶シリコン基材の上にエッチピットが形成されているのが好ましい。
エッチピットは孔状のピットでも溝状のピットでもよく、ナノダイヤモンド結晶が種結晶として入り込むものであれば特に制限がない。
【発明の効果】
【0008】
本発明は単結晶シリコン基材の上にナノダイヤモンドの種結晶を分散させることで、高配位又は単結晶のダイヤモンド層をエピタキシャル成長させることができるので大面積化が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)~(c)はシリコン基材のエッチピットにナノダイヤモンド種結晶が入り込みエピタキシャル成長膜を形成する流れを模式的に示す。
【図2】シリコン基材にエッチングによるエッチピットを形成する例を示す。
【図3】エッチピットの結晶学的構造を示す。
【図4】結晶学的に修正される模式図を示す。
【図5】ナノダイヤモンドの結晶構造を示す。
【図6】一次成長膜のAFM像を示す。
【図7】二次成長膜のAFM像を示す。
【図8】面方位測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明において、単結晶シリコン基材の上に大きさ10nm以下のナノ単結晶のダイヤモンドを種結晶としてダイヤモンド膜がエピタキシャル成長する理由を図1~4に基づいて説明する。
図2に模式図を示すように、例えば表面が(100)面からなる単結晶のシリコン基材表面を、必要に応じてマスクをかけエッチング処理すると(111)面が露出したエッチピットが形成される。
図3に四角錐のエッチピットが形成された場合を示し、(111)面に囲まれたエッチピットが存在する。
このようなエッチピットに図5に示したような単結晶のナノダイヤモンドを分散させる。
(111)面で囲まれたエッチピットは格子定数によらずにナノダイヤモンドが入り込むことができる。
また、ナノダイヤモンドに(111)面の成長丘を有する。
これによりエッチピットに異なるオフ角を有していたり、ナノダイヤモンドの成長丘に異なるオフ角を有していても図4に示すように結晶学的に修正されながら成長することができる。
この流れを図1(a)~(c)に模式図として示した。

【0011】
次に実施結果について説明する。
単結晶のシリコン基材の表面に大きさ4~5nmのナノダイヤモンド種結晶(株式会社ナノ炭素研究所製ナノアマンド)を分散させた。
プラズマCVD装置を用いて炭素源ガスとして水素で希釈したメタン濃度0.3%ガスを供給しながら、約32時間エピタキシャル成長させた(第1ステップ)。
成長膜のAFM像(原子間力顕微鏡像)を図6に示す。
ナノダイヤモンド種結晶は元々(100)方向に配高していたのに成長膜表面ではそれ以外の方向への成長が多く見られた。
次に水素ガス希釈のメタン濃度を1%に上げて約24時間追成長させたAFM像を図7に示す(第2ステップ)。
このAFM像から屋根型の<110>方向に成長した結晶が存在していることが分かる。
この点を確認した面方位測定結果を図8に示す。
グラフ中にyで示したSiC(111)のピークが現れていることからCVDにてシリコン表面がエッチングされ、エッチピットが形成されていると推定され、ナノダイヤモンド種結晶によるダイヤモンド膜が第2ステップにて<110>方向に成長しやすくなったものと思われる。
これにより本発明に係る製造方法を用いると、シリコン基材の上に高配位又は単結晶のダイヤモンド膜をヘテロエピタキシャル成長させることができることが明らかになった。

【0012】
本発明においては、プラズマCVDに限定されることなく、各種化学気相成長法を用いることができ、水素で希釈した炭素源ガスもメタンガスに限定されることなく、エタンガスあるいは、これらと一酸化炭素,二酸化炭素,酸素,アルゴン,窒素等の混合ガスを用いてもよい。
本発明において、第1ステップは分散させたナノダイヤモンド種結晶の表面に主にホモエピタキシャル成長させることで連続膜を形成するのが目的であり、第2ステップにてこの連続膜を厚膜化した点に特徴がある。
このような目的に沿って、第1ステップ,第2ステップのCVD条件を各種選定することができる。
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
3
【図5】
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【図6】
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【図7】
6
【図8】
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