TOP > 国内特許検索 > ダイヤモンドの表面処理方法 > 明細書

明細書 :ダイヤモンドの表面処理方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5948578号 (P5948578)
公開番号 特開2013-166677 (P2013-166677A)
登録日 平成28年6月17日(2016.6.17)
発行日 平成28年7月6日(2016.7.6)
公開日 平成25年8月29日(2013.8.29)
発明の名称または考案の名称 ダイヤモンドの表面処理方法
国際特許分類 C30B  29/04        (2006.01)
C30B  33/12        (2006.01)
FI C30B 29/04 V
C30B 33/12
請求項の数または発明の数 3
全頁数 5
出願番号 特願2012-032198 (P2012-032198)
出願日 平成24年2月16日(2012.2.16)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第1項適用 1.刊行物名 :「2011年(平成23年)秋季 第72回応用物理学会学術講演会 公式ガイドブック」 発行日 :平成23年8月29日 発行者 :公益社団法人 応用物理学会 公開のタイトル:「ダイヤモンド熱酸化時の表面トポグラフィーIII」 2.刊行物名 :「平成23年度 第25回ダイヤモンドシンポジウム講演要旨集」 発行日 :平成23年12月7日 発行者 :一般社団法人 ニューダイヤモンドフォーラム 公開のタイトル:「ウェット酸化によるダイヤモンド(111)表面の酸化終端」
審査請求日 平成27年2月13日(2015.2.13)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】徳田 規夫
【氏名】猪熊 孝夫
【氏名】福井 真
【氏名】神谷 昇吾
【氏名】山崎 聡
【氏名】竹内 大輔
【氏名】牧野 俊晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】宮崎 園子
参考文献・文献 特開平01-246116(JP,A)
特開平10-081588(JP,A)
調査した分野 C30B 29/04
C30B 33/12
特許請求の範囲 【請求項1】
不活性ガス中のO濃度0.01~30%及び水素源物質としてHO濃度がO濃度の2倍以上であり、300~1200℃の温度にて酸化処理することを特徴とするダイヤモンドの表面処理方法。
【請求項2】
ダイヤモンドの表面を平坦化するものであることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドの表面処理方法。
【請求項3】
ダイヤモンドの表面を酸素終端化処理するものであることを特徴とする請求項1記載のダイヤモンドの表面処理方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はダイヤモンドの凹凸表面を平坦化する方法及びダイヤモンドの表面を酸素終端表面にする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドは各種デバイスの基板材料等の半導体材料として、従来のSi,GaAs,SiC,GaN等に比較して優れた物性を有している。
しかし、ダイヤモンドは物質の中で最も硬い分類に属し、化学的にも安定性が高いために表面の平坦化が難しかった。
特許文献1は、ダイヤモンドの表面にこのダイヤモンドと異なる材料からなる平坦な被膜を形成した後に、被膜との双方をエッチングし得る条件でドライエッチングする平坦化方法を開示する。
しかし、同公報に開示する方法は工程が複雑であり、処理費用も高価になる。
【0003】
また、マイクロ波プラズマCVD法等を用いて、エピタキシャル成長させた人工ダイヤモンド等の場合に、そのままでは表面が水素終端表面になっている。
水素によって終端化されているダイヤモンドと、酸素によって終端化されているダイヤモンドとでは電気特性等に大きな差があり、表面の絶縁化が必要な場合には水素終端表面を酸素終端表面に置換する必要があった。
そこで、従来はHNO:HSO=1:3の混酸を約290℃前後に加熱した水溶液に浸漬する方法が行われていたが、混酸の取扱いやその後の洗浄が大変であった。
また、混酸処理ではダイヤモンド表面を平坦化することはできない。
特許文献2は、希ガスをスパッタリングしてダイヤモンド表面を希ガス終端化処理した後に酸素終端化処理する方法を開示する。
しかし、スパッタリングの際にダイヤモンド表面がエッチングされる問題がある。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開平7-41388号公報
【特許文献2】特開2006-10359号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ダイヤモンド表面を簡単で安全な方法で平坦化又は酸素終端化処理できる方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るダイヤモンドの表面処理方法は、水素源物質の存在下、300~1200℃の温度にて酸化処理することを特徴とする。
ここで、水素源物質とは、反応系において水素原子等を供与する物質をいい、代表例としてはHO,H等が挙げられる。
また、酸化処理は酸素源の存在下で酸化できれば、必ずしも酸素による酸化である必要はない。
300~1200℃の範囲に加熱するのは反応時間を考慮したものであり、300℃未満では実質的な反応が進行せず、大気圧下等で反応させる場合に300~1200℃、好ましくは400~800℃の範囲がよい。
【0007】
反応条件は不活性ガス雰囲気下で行われ、不活性ガス中のO濃度0.01~30%及びHO濃度がO濃度の2倍以上の条件下で酸化処理するのが好ましい。
本明細書で濃度とは、全て体積%を意味する。
本発明で、HO濃度がO濃度の2倍以上の条件としたのは、水素(水素原子)の量を酸素の量に対して当量以上に十分に確保する趣旨であり、不活性ガス中のO濃度は好ましくは、0.1~10%、さらに好ましくは0.5~5%の範囲である。
【0008】
本発明に係る方法で、ダイヤモンドの表面処理を行うと凹凸のあるダイヤモンドの表面が平坦化される。
また、水素終端表面にあったものは酸素終端表面に置換することができる。
【発明の効果】
【0009】
ダイヤモンド表面を酸素のみで終端化処理すると、2つの炭素原子と1つの酸素原子にてSP結合をしているものと推定され、その表面構造に歪みが生じている。
これに対して本発明は、HO等の水素源物質を混合したのでダイヤモンド表面が「-OH」で置換されると推定され、SP結合による歪みが生じることなく平坦化するものと思われる。
なお、水酸基で終端化した表面は、その後に酸素終端化する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るダイヤモンドの表面処理に用いる装置の構成例を示す。
【図2】ダイヤモンド表面の光学顕微鏡写真を示し、(a)は処理前、(b)は処理後である。
【図3】ダイヤモンド表面のAFM像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るダイヤモンドの表面処理方法の実施例を具体的に説明するが、本実施例に限定されるものではない。
マイクロ波プラズマCVDを用いて、結晶構造{1 1 1}のダイヤモンド薄膜を高圧高温下で形成した。
そのサンプルの表面の光学顕微鏡写真を図2(a)に示す。
表面は、RMS値で35nm程度の凹凸があるものを試験サンプルに用いた。
なお、本発明が適用されるダイヤモンドの結晶構造に限定はない。
このようにエピタキシャル成長させたダイヤモンドの表面は、水素終端表面になっている。

【0012】
上記にて得られた試料サンプルを図1に示す実験装置にて表面処理した。
実験に用いた表面処理装置は、20~30℃の常温雰囲気下において密閉水槽中にアルゴン又は窒素ガス等の不活性ガスと約2%の酸素ガスを混合した混合ガスを水中に吹き込み、バブリングした。
これにより、O濃度の約2倍程度のHOが含まれた加湿混合ガスが得られた。
一方、上記で製作した表面が荒れた試料を300~1200℃の範囲に加熱が可能な炉に入れ、上記の加湿混合ガスを注入しながら、ダイヤモンドの表面の酸化処理を行った。
本実験では、赤外線加熱方式のアニール炉を用いた。
反応は、大気圧下で約500℃,約30秒間処理した。
このように処理した表面の光学顕微鏡写真を図2(b)に示し、AFM像(原子間力顕微鏡像)を図3に示す。
ダイヤモンドの表面がRMS値16nmに平坦化されていた。
図3より、3×3 μmの領域では、単原子ステップ(0.21nm)と原子的に平坦なテラスが観察された。
原子的に平坦なテラス内のRMS値は0.04nmであった。
また、XPS(X線光電子分光法)にて確認した結果、ダイヤモンドの表面が酸素終端化されていた。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2