TOP > 国内特許検索 > グラフェン・ダイヤモンド積層体 > 明細書

明細書 :グラフェン・ダイヤモンド積層体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5681959号 (P5681959)
公開番号 特開2012-121751 (P2012-121751A)
登録日 平成27年1月23日(2015.1.23)
発行日 平成27年3月11日(2015.3.11)
公開日 平成24年6月28日(2012.6.28)
発明の名称または考案の名称 グラフェン・ダイヤモンド積層体
国際特許分類 C01B  31/02        (2006.01)
C01B  31/06        (2006.01)
C30B  29/64        (2006.01)
C30B  29/02        (2006.01)
C30B   1/02        (2006.01)
FI C01B 31/02 101Z
C01B 31/06 Z
C30B 29/64
C30B 29/02
C30B 1/02
請求項の数または発明の数 2
全頁数 8
出願番号 特願2010-272963 (P2010-272963)
出願日 平成22年12月7日(2010.12.7)
審査請求日 平成25年12月5日(2013.12.5)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
発明者または考案者 【氏名】徳田 規夫
【氏名】猪熊 孝夫
【氏名】福井 真
【氏名】山崎 聡
【氏名】竹内 大輔
【氏名】牧野 俊晴
個別代理人の代理人 【識別番号】100114074、【弁理士】、【氏名又は名称】大谷 嘉一
審査官 【審査官】山口 俊樹
参考文献・文献 米国特許出願公開第2009/0169919(US,A1)
国際公開第2010/001686(WO,A1)
特表2013-538274(JP,A)
特開2010-251599(JP,A)
特開2009-062247(JP,A)
米国特許出願公開第2009/0297854(US,A1)
米国特許出願公開第2004/0253820(US,A1)
特開平03-268477(JP,A)
米国特許出願公開第2007/0102111(US,A1)
調査した分野 C01B31/00-31/36
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
特許請求の範囲 【請求項1】
{111}、{110}及び{100}のうちのいずれかの結晶面が表面に原子的平坦に形成されたダイヤモンド基板を10-1Torr以下の真空下、又は不活性ガス環境下でアニーリング処理をすることで当該ダイヤモンド基板の表面にグラフェンを相転移により形成することを特徴とするグラフェン・ダイヤモンド積層体の製造方法。
【請求項2】
{111}、{110}及び{100}のうちのいずれかの結晶面が表面に原子的平坦に形成されたステップテラス構造のダイヤモンド基板を10-1Torr以下の真空下、又は不活性ガス環境下でアニーリング処理をすることで当該ダイヤモンド基板上の前記ステップ端に沿って、グラフェンのリボン状のナノリボン膜を相転移により形成することを特徴とするグラフェン・ダイヤモンド積層体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明はダイヤモンド基板上にグラフェンを形成した新規基盤材料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで各種デバイスの基盤材料として、シリコンが広く使用されてきている。
しかし、近年、CMOS技術の高度化により、シリコンLSIの微細化に限界が見え始めていること、デバイスの省エネ化にはシリコン以上の性能が要求されるパワーデバイスに対するニーズ、さらには、生体との親和性の高いホワイトデバイスの実現等の要求があり、シリコンに替わる基盤材料の開発が望まれている。
本出願に係る発明者のうち徳田 規夫らのグループは、ダイヤモンドが他の半導体材料であるSi,GaAs,SiC,GaN等に比較して非常に優れた物性を有していることに着目し、これまでに原子的平坦面を有するダイヤモンド基板(特許文献1)や表面にステップテラス構造を有するダイヤモンド基板(特許文献2)を提案している。
一方、近年、グラフェンが上記他の半導体材料に比較して高い熱伝導率と大きいヤング率を有することに着目され、グラフェンの研究も盛んに行われている(非特許文献1)。
グラフェンは、その高い柔軟性、透明性、量子効果等からバイオセンサーやガスセンサーへの応用が期待されているものの、基本的にバンドギャップがゼロであり、電子デバイスへの応用にはバンドギャップの形成方法とその制御が課題となっている。
非特許文献2にグラフェンの幅がグラフェン骨格の数倍程度に形成したグラフェンナノリボンにすることで、このグラフェンにバンドギャップを形成できることが記載されている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特許第4446065号公報
【特許文献2】特開2010-251599号公報
【0004】

【非特許文献1】家近泰,「グラフェンの高速トランジスタ応用への注目と課題」,Science & Technology Trends May 2010,P.29-42
【非特許文献2】Young-Woo Son 他,Energy Gaps in Graphene Nanoribbons,The American Physical Society 2006,216803
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、単結晶ダイヤモンド基板上にグラフェンを積層又はグラフェンナノリボンを形成する方法及びそれにより得られたグラフェン・ダイヤモンド積層体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るグラフェン・ダイヤモンド積層体は、ダイヤモンド基板上にグラフェンを積層した、又はダイヤモンド基板上にグラフェンのナノリボン膜を有することを特徴とする。
【0007】
ダイヤモンドとグラフェンは図1に模式的に示すように結晶構造が近い同素体であることから、ダイヤモンド基板の表面が原子的に平坦であれば欠陥の少ないグラフェンとダイヤモンドの積層体が後述する方法により得られる。
【0008】
本発明に係るグラフェン・ダイヤモンド積層体の製造方法は、{111}、{110}及び{100}のうちのいずれかの結晶面が表面に原子的平坦に形成されたダイヤモンド基板を10-1Torr以下の真空下、又は不活性ガス環境下でアニーリング処理をすることで当該ダイヤモンド基板の表面にグラフェンを相転移により形成することを特徴とする。
本発明に係る方法は、ダイヤモンド基板の表面が原子的に平坦であればダイヤモンド基板の製造方法に制限はないが、表面に{111}、{110}及び{100}のいずれかの結晶面が平坦に形成されたダイヤモンド基板は特許文献1に示された方法を取り込むことで原子的平坦性に優れた表面が得られる。
【0009】
また、ダイヤモンド基板の上にグラフェンナノリボンを形成する方法としては、結晶{111}、{110}及び{100}のうちのいずれかが表面に原子的平坦に形成されたダイヤモンド基板の表面にステップテラス構造を形成し、10-1Torr以下の真空下、又は不活性ガス環境下でアニーリング処理をすることで当該ダイヤモンド基板上の前記ステップ端に沿ってグラフェンのナノリボン膜を相転移により形成することもできる。
ここでステップテラス構造を形成する方法として特許文献2に示された方法を取り込むことができる。

【0010】
本発明に用いるアニーリング処理条件としては、10-1Torr以下の真空下又は不活性ガス下で、800~1400℃の範囲、好ましくは850~1400℃の範囲で実施するとよい。
なお、不活性ガス下の環境下では酸素濃度が1ppm以下であるのが好ましい。
ここで、酸素濃度にはOの他にCO、CO等の酸素原子を含むガスのO換算濃度も含まれる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るグラフェン・ダイヤモンド積層体は、表面が原子的に平坦な単結晶のダイヤモンド基板を用いたことにより、その後の真空アニーリング又は不活性ガス環境下のアニーリングにて欠陥の少ないグラフェンをダイヤモンド基板上に相転移により形成することができる。
また、ダイヤモンド基板上にステップテラス構造を形成し、真空アニーリング又は不活性ガス環境下でアニーリングすると、ステップ端に沿ってグラフェンナノリボンが形成される。
グラフェンのリボン幅がグラフェン骨格の1~10倍程度のアームチェア型構造であれば、非特許文献2に記載されているようにバンドギャップが出現する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】ダイヤモンドとグラフェンの結晶構造を示す。
【図2】本発明を用いて製作したグラフェン・ダイヤモンド積層体のラマンスペクトルと光学顕微鏡像を示す。
【図3】本発明を用いて製作したグラフェン・ダイヤモンド積層体の断面TEM像を示す。
【図4】本発明に係るグラフェンナノリボンの顕微鏡像を示す。
【図5】グラフェンナノリボンのラマンスペクトルを示す。
【図6】グラフェンナノリボン形成の模式図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る積層体の製造例を以下説明するが、本発明の趣旨の範囲にて適宜変更が可能である。

【0014】
特許文献1(特許第4446065号公報)に記載の方法に基づいてメサ構造のダイヤモンド基板を製作する。
次にマイクロ波プラズマCVDを用いて、炭素源ガス濃度を0.001~0.2%の範囲にて適宜調整し、エピタキシャル成長機構でメサ上面に結晶構造{111}、{110}又は{100}の原子的に平坦な表面を形成した。
10-5Torr以下の真空下で、1100℃×10min.のアニーリングを実施した。
なお、10-1Torr以下の真空下でよいが好ましくは10-3Torr以下であり、本実施例は10-5Torr以下の真空下で実施した。
図2に上記の方法で作製された試験片のラマンスペクトル分析チャートと光学顕微鏡像を示す。
光学顕微鏡像(a)はアニーリング処理前で(b)はアニーリング処理後を示す。
ラマンスペクトルからアニーリング処理によりグラフェンが形成されているのが分かり、また、チャートにはグラフェンの格子欠陥に基づくピークが認められないことから、格子欠陥の少ないグラフェンであることが確認できた。
また、図3に示すように断面をTEMにて観察したところ、3層のグラフェンが形成されていた。

【0015】
次に特許文献2(特開2010-251599号公報)に記載されている方法にて、ダイヤモンド{111}のバイレイヤーの単原子ステップ(0.21nm)又はそのn段原子ステップを有し、テラス表面が原子的に平坦であるステップテラス構造をダイヤモンド表面に形成し、10-5Torr以下、1000℃×10min.アニーリング処理した。
その顕微鏡写真を図4に示し、ラマンスペクトルチャートを図5に示す。
これにより、ダイヤモンドのテラス構造のステップ端に沿ってグラフェンが形成されていることが分かる。
なお、これを模式的に示すと図6のようになる。
【産業上の利用可能性】
【0016】
本発明に係るグラフェン・ダイヤモンド積層体は、グラフェンが100,000cm/Vs以上の高い電子移動度と1500GPa程度の大きいヤング率を有し、室温でバリステック伝導等を示すことから透明電極、超高速・高周波デバイス、各種電子デバイスへの応用が期待される。
また、バイオセンサー、ガスセンサー等の応用も期待される。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5