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明細書 :連続X線画像スクリーニング検査装置、プログラム及び記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5093727号 (P5093727)
登録日 平成24年9月28日(2012.9.28)
発行日 平成24年12月12日(2012.12.12)
発明の名称または考案の名称 連続X線画像スクリーニング検査装置、プログラム及び記録媒体
国際特許分類 A61B   6/00        (2006.01)
FI A61B 6/00 350Z
A61B 6/00 330A
A61B 6/00 360A
請求項の数または発明の数 19
全頁数 33
出願番号 特願2007-553014 (P2007-553014)
出願日 平成19年1月5日(2007.1.5)
国際出願番号 PCT/JP2007/050367
国際公開番号 WO2007/078012
国際公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
優先権出願番号 2006000587
2006172760
優先日 平成18年1月5日(2006.1.5)
平成18年6月22日(2006.6.22)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
審査請求日 平成21年11月16日(2009.11.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】真田 茂
【氏名】田中 利恵
【氏名】岡崎 宣夫
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100143568、【弁理士】、【氏名又は名称】英 貢
【識別番号】100149700、【弁理士】、【氏名又は名称】高梨 玲子
審査官 【審査官】安田 明央
参考文献・文献 特開平06-165035(JP,A)
特開平06-237924(JP,A)
国際公開第2004/093684(WO,A1)
調査した分野 A61B 6/00-6/14
特許請求の範囲 【請求項1】
被検者のX線動画像を入力し、該X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査装置であって、
前記X線動画像を構成する複数のフレームが格納される画像格納部と、
該画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出し、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する解析部とを備え、
前記解析部は、さらに、フレーム毎に、ピクセル値に基づいて肺野領域と心臓との間の境界部位を検出し、該境界部位の変動量を心壁移動量として算出する心壁移動量解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレームに基づいて心拍位相との時間的関係の血流情報を生成することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
さらに、前記被験者の心電図が格納される心電図格納部を備え、
前記解析部は、画像格納部からフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、前記読み出したフレームに基づいて心電図との時間的関係の血流情報を生成することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項4】
請求項3に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、肺野領域、肺野領域を分割した領域、及びオペレータにより指定された関心領域のうちのいずれかの領域の平均ピクセル値を算出し、該領域毎の平均ピクセル値及び前記読み出した心電図を、時系列に同期させた情報として生成する局所肺血流解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項5】
請求項3に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、縦隔部内における所定領域の平均ピクセル値を算出する局所心血流解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項6】
請求項4に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記局所肺血流解析手段は、さらに、前記心電図から1心拍を認識し、1心拍の各フレームの平均ピクセル値からピクセル変化率を算出し、該算出したピクセル変化率を前記領域毎に比較することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項7】
請求項4に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記局所肺血流解析手段は、さらに、前記心電図のR波が発生してから平均ピクセル値が最小となる時点までの遅延時間、平均ピクセル値が最小となる時点以降の立ち上がり角度、及び平均ピクセル値の最大値と最小値との間の差のうちの少なくとも一つの情報を算出することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項8】
請求項4に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、該特定したフレームと1心拍における他のフレームとの間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項9】
請求項4に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、時間的に隣り合うフレーム間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項10】
被検者のX線動画像を入力し、該X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査装置であって、
前記X線動画像を構成する複数のフレームが格納される画像格納部と、
該画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出し、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する解析部とを備え、
さらに、前記被験者の心電図が格納される心電図格納部を備え、
前記解析部は、前記画像格納部からフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、前記読み出したフレームに基づいて心電図との時間的関係の血流情報を生成し、
前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、肺野領域、肺野領域を分割した領域、及びオペレータにより指定された関心領域のうちのいずれかの領域の平均ピクセル値を算出し、該領域毎の平均ピクセル値及び前記読み出した心電図を、時系列に同期させた情報として生成する局所肺血流解析手段と、
前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、該心電図に基づいて、1心拍におけるフレーム毎のピクセル値の最大値及び最小値から平均値を画素毎に算出し、前記ピクセル値と算出した平均値との差を算出し、該ピクセル値との差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項11】
被検者のX線動画像を入力し、該X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査装置であって、
前記X線動画像を構成する複数のフレームが格納される画像格納部と、
該画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出し、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する解析部とを備え、
さらに、前記被験者の心電図が格納される心電図格納部を備え、
前記解析部は、前記画像格納部からフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、前記読み出したフレームに基づいて心電図との時間的関係の血流情報を生成し、
前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、肺野領域、肺野領域を分割した領域、及びオペレータにより指定された関心領域のうちのいずれかの領域の平均ピクセル値を算出し、該領域毎の平均ピクセル値及び前記読み出した心電図を、時系列に同期させた情報として生成する局所肺血流解析手段と、
前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、1心拍におけるMIP画像を生成し、該MIP画像と前記特定したフレームの画像との間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流分布画像を生成する肺血流分布解析手段を有することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項12】
請求項に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
さらに、X線の検出タイミングを示すX線パルス波形が格納されるパルス波形格納部を備え、
前記肺血流分布解析手段は、前記パルス波形格納部からX線パルス波形を読み出し、R波に対応するフレームを、X線パルス波形に基づいて特定することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項13】
請求項1に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、読み出したフレームの肺領域のピクセル値を算出し、該ピクセル値に基づいて、心拍位相におけるR波に対応するフレームを決定し、肺血流情報を生成することを特徴とする特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項14】
請求項1に記載の連続X線画像スクリーニング検査装置において、
前記解析部は、読み出したフレームから心壁移動量を算出し、該心壁移動量に基づいて、心拍位相におけるR波に対応するフレームを決定し、肺血流情報を生成することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項15】
被検者のX線動画像を入力し、該X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査装置であって、
前記X線動画像を構成する複数のフレームが格納される画像格納部と、
該画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出し、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する解析部と、
前記被験者の心電図が格納される心電図格納部とを備え、
前記解析部は、前記画像格納部からフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、前記読み出したフレームに基づいて心電図との時間的関係の血流情報を生成し、
前記解析部はさらに、前記画像格納部から複数のフレームを、前記心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、縦隔部内における所定領域の平均ピクセル値を算出する局所心血流解析手段と、
前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、該特定したフレームと1心拍における他のフレームとの間のピクセル値の差を算出し、該ピクセルの差を用いて心血流動態画像を生成する心血流動態解析手段と、
前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、1心拍におけるMIP画像を生成し、該MIP画像と前記特定したフレーム画像との間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて心血流分布画像を生成する心血流分布画像を生成する心血流分布解析手段とを有し、
前記局所心血流解析手段は、さらに、前記心電図から1心拍を認識し、1心拍の各フレームの平均ピクセル値からピクセル変化率を算出し、該算出したピクセル変化率を前記領域毎に比較することを特徴とする連続X線画像スクリーニング検査装置。
【請求項16】
被検者のX線動画像を構成する複数のフレームが格納された画像格納部を備えた装置により、前記X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査プログラムであって、前記装置を構成するコンピュータに、
前記画像格納部からフレームを読み出す処理(1)と、
該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出する処理(2)と、
心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する処理(3)と、
フレーム毎に、ピクセル値に基づいて肺野領域と心臓との間の境界部位を検出し、該境界部位の変動量を心壁移動量として算出する心壁移動量解析処理(4)と、
を実行させる連続X線画像スクリーニング検査プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の連続X線画像スクリーニング検査プログラムにおいて、前記コンピュータに、
前記(2)及び(3)の処理の代わりに、
前記読み出したフレームに基づいて心拍位相を推定する処理(2)’と、
該推定した心拍位相及び前記読み出したフレームから血流情報を生成する処理(3)’とを実行させる連続X線画像スクリーニング検査プログラム。
【請求項18】
請求項16に記載の連続X線画像スクリーニング検査プログラムにおいて、
被検者の心電図が格納された心電図格納部を備えた装置を構成するコンピュータに、
前記心電図格納部から心電図を読み出す処理()と、
該読み出した心電図に基づいて心拍位相を推定する処理()と、
該推定した心拍位相及び前記読み出したフレームから血流情報を生成する処理()とを実行させる連続X線画像スクリーニング検査プログラム。
【請求項19】
請求項16に記載の連続X線画像スクリーニング検査プログラムを記録した記録媒体。
発明の詳細な説明
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、日本国特許出願2006-587号(2006年1月5日出願)及び日本国特許出願2006-172760号(2006年6月22日)の優先権を要求し、参照によってこれらの出願を本明細書に合体させるものである。
技術分野
本発明は、X線動画像及び心電図を用いてコンピュータ解析を行い、肺血流や心血流等の血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、肺塞栓症とは、塞栓子が静脈血流に乗って運ばれことにより、肺動脈(静脈血の酸素化のために肺に送る血管)を閉塞する肺循環障害をいう。例えば、肺塞栓症の一つであるエコノミー症候群は、座席に同じ姿勢で座った状態を長時間維持することにより、膝の裏周辺の静脈血が流れ難くなり、血の固まりである塞栓子ができて、肺塞栓症に至る疾患である。このような肺塞栓症は、塞栓子が肺動脈を閉塞することから、肺血流に異常を来してしまう。
この肺塞栓症を診断するには、心電図、血液検査、胸部レントゲンまたは心臓超音波検査等が行われ、これらの検査は、鑑別診断及び診断の傍証として有用である。しかしながら、これらの検査では肺塞栓症の診断の決め手としては十分ではない。そこで、肺血流シンチグラフィー検査または肺血管造影検査が行われる。
肺血流シンチグラフィー検査は、静脈血管注射した薬が肺に集まる性質を利用し、薬から放出されるX線を検出することにより、肺血流の状態を画像化する。具体的には、薬の粒子が肺毛細血管に一時的に塞栓となって留まり、血流がない場合はその粒子が欠損するという性質を利用して、肺血流の分布を得る。また、肺血管造影検査は、カテーテルを挿入後、右房・左心室・肺動脈で造影剤を注入し、肺血流をX線で撮影することにより、肺血流の状態を画像化する。
しかしながら、肺血流シンチグラフィー検査及び肺血管造影検査では、静脈血管注射をしたり、カテーテルを用いて造影剤を注入したりする必要があるため、被検者は、検査のために多大な体力が必要になるという負担があった。このため、被検者に検査のための負担を強いることなく、肺血流の状態を画像化する手法が望まれている。
ところで、肺血流等を画像化すると共に定量的に測定するための、X線によるコンピュータ化放射線技術の研究開発が行われている。このX線によるコンピュータ化放射線技術は、X線を吸収する働きのある安定キセノン、酸素及びヘリウムを被検者へ供給し、患部をX線で撮影することにより患部の画像化及び定量化を実現するものである(特許文献1を参照)。また、常に肺動脈を観察できる超音波エコーセンサーを用いて、肺動脈血速度を持続的に測定し、当該速度の低下を感知することにより、肺動脈の血栓または塞栓の存在を警告する技術も開示されている(特許文献2を参照)。
しかしながら、特許文献1の技術では、X線を吸収する働きのある安定キセノン等を被検者へ供給する必要があるため、患部の画像化等を実現するには簡便ではなく、しかも被検者への負担が大きいという問題があった。また、特許文献2の技術では、超音波エコーセンサーを用いているに過ぎないため、肺動脈の血栓等の診断のために十分な情報を得ることができなかった。
【特許文献1】
特開平5-279268号公報
【特許文献2】
特開2003-235846号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、肺血流や心血流等の血流に異常を来す原因である肺塞栓症や心臓疾患等の検査において、被検者に多大な負担を与えることなく、かつ、これらの疾患の診断のために有効利用できる情報を簡便に生成することが可能な連続X線画像スクリーニング検査装置、プログラム及び記録媒体を提供することにある。
課題を解決するための手段
【0004】
本発明による連続X線画像スクリーニング検査装置は、被検者のX線動画像を入力し、該X線動画像を用いて血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査装置であって、前記X線動画像を構成する複数のフレームが格納される画像格納部と、該画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出し、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を血流情報として生成する解析部とを備え、前記解析部は、さらに、フレーム毎に、ピクセル値に基づいて肺野領域と心臓との間の境界部位を検出し、該境界部位の変動量を心壁移動量として算出する心壁移動量解析手段を有することを特徴とする。
また、前記解析部は、画像格納部からフレームを読み出し、該読み出したフレームに基づいて心拍位相との時間的関係の血流情報を生成することが好適である。
また、本発明による連続X線画像スクリーニング検査装置は、さらに、前記被検者の心電図が格納される心電図格納部を備え、前記解析部は、画像格納部からフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、前記読み出したフレームに基づいて心電図との時間的関係の血流情報を生成することを特徴とする。
この場合、前記解析部は、画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、肺野領域、肺野領域を分割した領域、及びオペレータにより指定された関心領域のうちのいずれかの領域の平均ピクセル値を算出し、該領域毎の平均ピクセル値及び前記読み出した心電図を、時系列に同期させた情報として生成する局所肺血流解析手段を有することが好適である。
また、前記解析部は、画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したフレーム毎に、縦隔部内における所定領域の平均ピクセル値を算出する局所心血流解析手段を有することが好適である。
また、前記局所肺血流解析手段は、さらに、前記心電図から1心拍を認識し、1心拍の各フレームの平均ピクセル値からピクセル変化率を算出し、該算出したピクセル変化率を前記領域毎に比較することが好適である。
また、前記局所肺血流解析手段は、さらに、前記心電図のR波が発生してから平均ピクセル値が最小となる時点までの遅延時間、平均ピクセル値が最小となる時点以降の立ち上がり角度、及び平均ピクセル値の最大値と最小値との間の差のうちの少なくとも一つの情報を算出することが好適である
また、前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、該特定したフレームと1心拍における他のフレームとの間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することが好適である。
また、前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、時間的に隣り合うフレーム間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することが好適である。
また、前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、該心電図に基づいて、1心拍におけるフレーム毎のピクセル値の最大値及び最小値から平均値を画素毎に算出し、前記ピクセル値と算出した平均値との差を算出し、該ピクセル値との差を用いて肺血流動態画像を生成する肺血流動態解析手段を有することを特徴とする。
また、前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、1心拍におけるMIP画像を生成し、該MIP画像と前記特定したフレームの画像との間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて肺血流分布画像を生成する肺血流分布解析手段を有することが好適である。
また、連続X線画像スクリーニング検査装置は、さらに、X線の検出タイミングを示すX線パルス波形が格納されるパルス波形格納部を備え、前記肺血流動態解析手段は、前記パルス波形格納部からX線パルス波形を読み出し、R波に対応するフレームを、X線パルス波形に基づいて特定することを特徴とする。
また、前記解析部は、読み出したフレームの肺領域のピクセル値を算出し、該ピクセル値に基づいて、心拍位相におけるR波に対応するフレームを決定し、肺血流情報を生成することが好適である。
また、前記解析部は、読み出したフレームから心壁移動量を算出し、該心壁移動量に基づいて、心拍位相におけるR波に対応するフレームを決定し、肺血流情報を生成することが好適である。
また、前記解析部は、さらに、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、該特定したフレームと1心拍における他のフレームとの間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて心血流動態画像を生成する心血流動態解析手段と、前記画像格納部から複数のフレームを、心電図格納部から心電図をそれぞれ読み出し、心電図からR波が発生したタイミングを特定し、R波に対応するフレームを特定し、1心拍におけるMIP画像を生成し、該MIP画像と前記特定したフレームの画像との間のピクセル値の差を算出し、該ピクセル値の差を用いて心血流分布画像を生成する心血流分布解析手段とを有し、前記局所心血流解析手段は、さらに、前記心電図から1心拍を認識し、1心拍の各フレームの平均ピクセル値からピクセル変化率を算出し、該算出したピクセル変化率を前記領域毎に比較することを特徴とする。
また、本発明による連続X線画像スクリーニング検査プログラムは、被検者のX線動画像を構成する複数のフレームが格納された画像格納部を備えた装置により、前記X線動画像を用いて肺血流を評価するための情報を生成する連続X線画像スクリーニング検査プログラムであって、前記装置を構成するコンピュータに、前記画像格納部からフレームを読み出す処理(1)と、該読み出したフレーム毎に所定範囲内のピクセル値を算出する処理(2)と、心拍動により変化する該算出したピクセル値の時間的変化量を肺血流情報として生成する処理(3)と、フレーム毎に、ピクセル値に基づいて肺野領域と心臓との間の境界部位を検出し、該境界部位の変動量を心壁移動量として算出する心壁移動量解析処理(4)とを実行させることを特徴とする。
また、前記(2)及び(3)の処理の代わりに、前記読み出したフレームに基づいて心拍位相を推定する処理(2)’と、該推定した心拍位相及び前記読み出したフレームから肺血流情報を生成する処理(3)’とを実行させることが好適である。
また、被検者の心電図が格納された心電図格納部を備えた装置を構成するコンピュータに、前記心電図格納部から心電図を読み出す処理()と、該読み出した心電図に基づいて心拍位相を推定する処理()と、該推定した心拍位相及び前記読み出したフレームから肺血流情報を生成する処理()とを実行させることが好適である。
発明の効果
本発明によれば、肺血流や心血流等の血流に異常を来す原因である肺塞栓症や心臓疾患等の検査において、被検者に多大な負担を与えることなく、かつ、これらの疾患の診断のために有効利用できる情報を簡便に生成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施の形態による連続X線画像スクリーニング検査装置1を含む全体システムの構成を示す概略図である。
第2図は、連続X線画像スクリーニング検査装置1の機能構成を示すブロック図である。
第3図は、解析部40の機能構成を示すブロック図である。
第4図は、解析部40の処理を示すフローチャート図である。
第5図は、局所肺血流解析手段41による解析結果例を示す図である。
第6図は、局所肺血流解析手段41により解析された局所肺血流情報を示す図である。
第7図は、心壁移動量解析手段42により解析された心壁移動量を示す図である。
第8図は、局所肺血流解析手段41により解析された局所肺血流情報、及び心壁移動量解析手段42により解析された心壁移動量を示す図である。
第9図は、図4に示したフローチャート図のステップ407の処理を示す図である。
第10図は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成するコンピュータアルゴリズムである。
第11図は、肺血流動態解析手段43により解析された肺血流動態画像を示す図である。
第12図は、肺血流分布解析手段44により肺血流分布画像を作成するコンピュータアルゴリズムである。
第13図は、肺血流分布解析手段44により解析された肺血流分布画像を示す第1の図である。
第14図は、肺血流分布解析手段44により解析された肺血流分布画像を示す第2の図である。
第15図は、心電図を説明するための図である。
第16図は、肺の平均ピクセル値に基づいて基準フレームを決定する手法を示す図である。
第17図は、心壁移動量に基づいて基準フレームを決定する手法を示す図である。
第18図は、局所心血流解析手段により解析される縦隔部を示す図である。
第19図は、局所心血流解析手段により解析された縦隔部の血流動態情報を示す図である。
第20図は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成する他のコンピュータアルゴリズムである。
第21図は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成する他のコンピュータアルゴリズムである。
【符号の説明】
【0007】
連続X線画像スクリーニング検査装置
2 X線検出器
3 X線発生装置
4 X線管球
5 心電図記録装置
10 CPU
11 HD
12 ROM
13 RAM
14,15,16 I/F
17 表示器
18 マウス
19 キーボード
21 胸部X線動画像格納部
22 X線パルス波形格納部
23 心電図格納部
30 制御部
40 解析部
41 局所肺血流解析手段
42 心壁移動量解析手段
43 肺血流動態解析手段
44 肺血流分布解析手段
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
〔本発明の概要〕
まず、本発明の概要について説明する。本発明は、胸部X線動画像における肺内及び縦隔部のピクセル値(画素値)が、心拍動により変化する性質を利用したものである。つまり、ピクセル値が心拍動による肺血流や心血流等の血流に応じて増減することに着目し、このピクセル値の変化情報を肺血流や心血流等の血流の情報とみなして、肺塞栓症や心臓疾患等の診断のために有効利用するものである。胸部X線動画像はX線検出器から得ることができ、心拍の位相情報は心電図記録装置から得ることができる。また、心電図により心室収縮期及び心室拡張期の心臓動態が認識されるから、心室収縮期における心臓から肺への血流増加(肺血流や心血流等の血流の増加)により、当該肺血流や心血流等の血流の増加に伴う胸部X線動画像のピクセル値の変化等の情報を精度良く得ることができる。また、ピクセル値または心壁動態から心拍位相を推定することが可能である。したがって、ピクセル値または心壁動態から推定した心拍位相情報を心電図の代わりに用いても、目的とする肺血流や心血流等の血流情報を得ることができる。詳細については後述する。
図15は、心電図を説明するための図である。図中、縦軸は心拍電流、横軸は時間を示す。この心電図は、心臓の筋肉が活動した際に生じる微弱な活動電流(心拍電流)の変化を、体表面の特定部位において記録した曲線であり、心臓の動態を追跡するものである。図中、上部に突出した波形部分(R波)が周期的に現れており、この周期が心拍に相当する。1心拍は、R波、S波、T波、P波及びQ波から成り、心電図は、これらが時間的に連続して繰り返される曲線となる。心室収縮期は、R波、S波及びT波までの期間をいい、血液は心臓から肺へ流れる。また、心室拡張期は、T波の後からP波及びQ波までの期間をいい、血液は肺から心臓へ流れる。
ここで、図15に示した心室収縮期において血液が心臓から肺へ流れると(肺血流が増加すると)、胸部X線動画像における肺野内のピクセル値が増加する。これは、肺血流の存在により、X線が透過し難くなり、その透過率が低下するからである。ここで、ピクセル値をP、X線検出器により検出されるX線量(X線検出器への入射線量)をNとすると、以下の関係となる。これは、心血流の場合も同様である。
P∝1/logN ・・・(1)
本発明はこのような性質に着目したものであり、その特徴は、心拍動性変化を反映した胸部X線動画像のピクセル値を定量化することにより、肺局所における肺血流や縦隔局所における心血流等の血流を評価し、当該定量化した情報を肺塞栓症や心臓疾患等の診断のために有効利用することにある。これにより、例えば、ピクセル値の増加が他の肺局所または縦隔局所に比べて少ない局所を判断することができ、肺塞栓症等の診断のための有用な情報として利用することができる。
〔構成〕
図1は、本発明の実施の形態による連続X線画像スクリーニング検査装置1を含む全体システムの構成を示す概略図である。このシステムは、連続X線画像スクリーニング検査装置1、X線検出器2、X線発生装置3、X線管球4、及び心電図記録装置5により構成される。連続X線画像スクリーニング検査装置1の内部構成はハードウェア資源を表している。連続X線画像スクリーニング検査装置1は、プログラムに従って各処理を実行するCPU10、各処理を実行するためのプログラムやデータ、胸部X線動画像、X線パルス波形及び心電図が格納されるHD11、OS等のシステムプログラムやシステムデータが格納されているROM12、プログラムやデータ等を一時的に格納するRAM13、X線検出器2及びX線発生装置3との間の情報の入出力を中継するI/F14、心電図記録装置5との間の情報の入出力を中継するI/F15、胸部X線動画像、X線パルス波形、心電図及び解析結果等を画面に表示する表示器17、オペレータの操作を入力するマウス18、キーボード19、並びに、表示器17等を中継するI/F16を備えている。
CPU10は、X線管球4がX線を曝射するためのタイミング信号をI/F14を介してX線発生装置3へ出力し、X線検出器2からI/F14を介して胸部X線動画像を入力し、HD11に格納する。また、I/F14がX線情報をX線検出器2から入力してX線パルス波形を生成すると、CPU10は、当該X線パルス波形を入力し、HD11に格納する。また、CPU10は、I/F15を介して心電図記録装置5から心電図を入力し、HD11に格納する。また、CPU10は、各処理を実行するためのプログラム及びデータをHD11またはROM12から読み出し、RAM13に格納する。そして、RAM13に格納されたプログラムに従って、オペレータによるマウス18及びキーボード19の操作により、I/F14を介してX線検出器2及びX線発生装置3を制御する。また、HD11から胸部X線動画像等を読み出し、各解析処理を実行し、胸部X線動画像及びその解析結果等をI/F16を介して表示器17に表示する。
X線検出器2は、X線を検出することにより胸部X線動画像及びX線情報を生成し、当該胸部X線動画像及びX線情報を連続X線画像スクリーニング検査装置1へ出力する。例えば、被検者に対し5秒間の検査が行われると、X線検出器2は、5秒間で30フレームの胸部X線動画像を生成すると共に、連続X線画像スクリーニング検査装置1のI/F14により30個のパルスから成るX線パルス波形が生成されるように、X線情報を生成する。このX線検出器2は、X線を電気信号に変換して画像を得る機器であり、画像を直接デジタル化する平面検出器を使用した撮像機器である。例えばFPD(Flat Panel Detector)が用いられ、従来のI.I.-X線TVシステムのような透視装置に比べ、X線に対する感度が高く、撮像視野が広く、かつ画像に歪みがないため、鮮明で安定した動画像を得ることができる。
尚、被検者に対し4秒間の検査を行い、X線検出器2が、4秒間で24フレームの胸部X線動画像を生成すると共に、連続X線画像スクリーニング検査装置1のI/F14により24個のパルスから成るX線パルス波形が生成されるように、必要なX線情報を生成するようにしてもよい。この場合、1画面に4秒間の波形を表示するオシロスコープを用いたときには、前記X線パルス波形を1画面に表示することができる点で好都合である。
X線発生装置3は、タイミング信号を連続X線画像スクリーニング検査装置1から入力し、当該タイミングでX線管球4にX線を曝射させる。このタイミング信号によるX線の曝射により、X線検出器2において、胸部X線動画像が生成される。また、心電図記録装置5は、前述の5秒間の検査中における心電図を記録し、当該心電図を連続X線画像スクリーニング検査装置1へ出力する。
ここで、X線検出器2により生成される胸部X線動画像、連続X線画像スクリーニング検査装置1のI/F14により生成されるX線パルス波形、X線発生装置3へ出力されるタイミング信号、及び、心電図記録装置5により生成される心電図は、それぞれ同期している。したがって、胸部X線動画像、X線パルス波形及び心電図は、同期した時間情報と共にHD11に格納される。
図2は、図1に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1の機能構成を示すブロック図である。この連続X線画像スクリーニング検査装置1は、胸部X線動画像格納部21、X線パルス波形格納部22、心電図格納部23、制御部30、及び解析部40を備えている。胸部X線動画像格納部21には、前述したX線検出器2により生成された胸部X線動画像が格納されている。胸部X線動画像は、5秒間の検査における30フレームの画像を1セットとし、被検者毎に格納されているものとする。ここで、胸部X線動画像は、必ずしも5秒間/30フレームを1セットとする必要はなく、細かな時間間隔で生成された時系列画像であればよい。また、X線パルス波形格納部22には、前述したI/F14により生成されたX線パルス波形も格納されている。X線パルス波形は、5秒間の検査における30のパルスを有し、被検者毎に格納されているものとする。また、心電図格納部23には、前述した心電図記録装置5により記録された心電図が格納されている。心電図は、5秒間の検査における心臓動態波形であり、被検者毎に格納されているものとする。
ここで、胸部X線動画像格納部21に格納された胸部X線動画像、X線パルス波形格納部22に格納されたX線パルス波形、及び心電図格納部23に格納された心電図は、前述したように同期した情報である。また、胸部X線動画像格納部21、X線パルス波形格納部22及び心電図格納部23は、図1に示したHD11に相当する。
制御部30は、オペレータの操作により、被検者の検査を開始する。具体的には、X線検出器2に対し胸部X線動画像を、I/F14に対しX線パルス波形をそれぞれ生成させ、心電図記録装置5に対し心電図を記録させる。この場合、制御部30は、X線管球4にX線を曝射させるためのタイミング信号をX線発生装置3へ出力する。ここで、5秒間の検査において30フレームの胸部X線動画像を生成する場合には、166msec毎にタイミング信号を出力する。制御部30は、被検者の検査が終了すると、検査結果である胸部X線動画像をX線検出器2から入力し、胸部X線動画像格納部21に格納する。また、X線パルス波形をI/F14から入力し、X線パルス波形格納部22に格納する。ここで、5秒間の検査において30フレームの胸部X線動画像が生成された場合には、X線パルス波形は166msec毎のパルスとなる。さらに、制御部30は、心電図を心電図記録装置5から入力し、心電図格納部23に格納する。このように、制御部30は、被検者毎に、胸部X線動画像、X線パルス波形及び心電図を胸部X線動画像格納部21、X線パルス波形格納部22及び心電図格納部23にそれぞれ格納する。
解析部40は、オペレータの操作により、指定された被検者毎に、胸部X線動画像格納部21から胸部X線動画像を、X線パルス波形格納部22からX線パルス波形を、心電図格納部23から心電図をそれぞれ読み出し、これらの同期した情報に基づいて、心拍動性変化を反映した胸部X線動画像のピクセル値を定量化し、画面に表示する。これにより、肺局所における肺血流が評価され、肺塞栓症や心臓疾患等の診断のために有効利用されることになる。
図3は、図2に示した解析部40の機能構成を示すブロック図である。この解析部40は、局所肺血流解析手段41、心壁移動量解析手段42、肺血流動態解析手段43、及び肺血流分布解析手段44を備えている。また、図4は、図3に示す解析部40の各手段の処理を示すフローチャート図である。以下、これらの手段の動作について詳細に説明する。
〔動作〕
まず、局所肺血流解析手段41の動作について説明する。局所肺血流解析手段41は、肺野領域を認識し(ステップ401)、一連の心拍に対するピクセル値の変化(肺血流の増減)を解析する(ステップ402,403)。以下、具体的に説明する。局所肺血流解析手段41による第1の平均ピクセル値算出手法は、胸部X線動画像の各フレームにおいて、肺毎に平均ピクセル値を算出する処理である。局所肺血流解析手段41は、オペレータの操作により、胸部X線動画像格納部21から胸部X線動画像を読み出し、読み出した胸部X線動画像について、ピクセル値が大きく変化する境界を検出し、肺野領域を認識する。そして、肺毎に(右肺及び左肺について)、その肺野領域内の平均ピクセル値を算出する。これをフレーム毎に繰り返し、肺毎の平均ピクセル値を算出する。
局所肺血流解析手段41による第2の平均ピクセル値算出手法は、各フレームにおいて、肺野領域を分割した領域(分割領域)毎に平均ピクセル値を算出する処理である。局所肺血流解析手段41は、オペレータの操作により、胸部X線動画像格納部21から胸部X線動画像を読み出し、読み出した胸部X線動画像について、ピクセル値が大きく変化する境界を検出し、肺野領域を認識する。そして、オペレータの操作に従って、前記認識した左右の肺野領域を複数の領域に分割し、当該分割領域毎に平均ピクセル値を算出する。これをフレーム毎に繰り返し、分割領域毎の平均ピクセル値を算出する。
局所肺血流解析手段41による第3の平均ピクセル値算出手法は、各フレームにおいて、任意に指定された測定部位(関心領域(ROI))毎に平均ピクセル値を算出する処理である。局所肺血流解析手段41は、オペレータの操作により、胸部X線動画像格納部21から胸部X線動画像を読み出す。そして、オペレータのマウスクリック等の操作により指定された関心領域毎に平均ピクセル値を算出する。これをフレーム毎に繰り返し、関心領域毎の平均ピクセル値を算出する。
また、局所肺血流解析手段41は、第1の平均ピクセル算出手法では肺野領域毎(肺毎)に、第2の平均ピクセル算出手法では分割領域毎に、第3の平均ピックセル算出手法では関心領域毎に、それぞれ1心拍における平均ピクセル値の変化量を算出し、当該変化量及び階調数を用いてピクセル変化率を算出する。このピクセル変化量は、肺血流量の相対値を示し、ピクセル変化率は、以下の(2)式により算出される。
変化率(%)=(平均ピクセル値の変化量/階調数)×100 ・・・(2)
これにより、肺血流量を領域毎に比較することができる。この場合、肺塞栓の箇所には肺血流がないため、肺血流量を示す平均ピクセル値の変化量及び変化率は低下することが予想される。したがって、肺塞栓症の診断のために有効利用できる情報を得ることができる。
また、局所肺血流解析手段41は、ステップ403において、オペレータの操作により、X線パルス波形格納部22からX線パルス波形を、心電図格納部23から心電図をそれぞれ読み出す。そして、前述した手法によりそれぞれ算出した平均ピクセル値、X線パルス波形及び心電図を用いて、肺血流を示す平均ピクセル値の変動を解析すると共に、当該平均ピクセル値と心電図との間の時間的関係を解析する。
図5は、局所肺血流解析手段41により解析された平均ピクセル値と心電図との間の時間的関係の結果を示す図である。上部は平均ピクセル値のグラフを、下部は心電図を示す。局所肺血流解析手段41は、心電図におけるR波の時点と、平均ピクセル値の最小値の時点との間の時間差(R波からの遅延時間)を算出する。このR波からの遅延時間により、肺血流の巡り速度を認識することができる。また、平均ピクセル値の最小値の時点からの立ち上がり角度を算出する。この立ち上がり角度により、肺血流の増加速度を認識することができる。また、平均ピクセル値の最小値と最大値との間の差(変化量)を算出する。さらに、局所肺血流解析手段41は、肺毎、分割領域毎及び関心領域毎に、前述したR波からの遅延時間、立ち上がり角度、及び平均ピクセル値の最小値と最大値との差(変化量)を算出する(図示せず)。これにより、これらの情報を領域間で比較することができる。
局所肺血流解析手段41は、解析により得た局所肺血流情報を画面に表示する。図6は、局所肺血流解析手段41により解析された局所肺血流情報を示す画面イメージ図である。図6において、グラフの横軸は時間軸を、画面上部の縦軸は平均ピクセル値を示す。画面右上部には、オペレータの操作により指定された関心領域の平均ピクセル値がフレーム毎にグラフとして表示され、その下部には、時間軸に合わせた心電図及びX線パルス波形が表示されている。また、画面左上部には、胸部X線動画像における関心領域が黒丸で表示され、その下部には、関心領域における平均ピクセル値の比較結果が表示されている。左肺動脈の変動が最も大きい関心領域のピクセル変動量が90であり、変化率が2.2%であること等が表示されている。図6から、関心領域の各平均ピクセル値は、X線パルス波形のパルスを生じた時間に対応しており、図15に示した心電図において、心臓から肺へ流れる肺血流が増加する心室収縮期には平均ピクセル値が上昇し、肺血流が減少する心室拡張期には平均ピクセル値が下降していることがわかる。同様に、局所肺血流解析手段41は、肺毎の平均ピクセル値のグラフ、または分割領域毎の平均ピクセル値のグラフを表示する。また、局所肺血流解析手段41は、解析により得た局所肺血流情報として、図5に示した図を画面に表示する。
次に、心壁移動量解析手段42の動作について説明する。心壁移動量解析手段42は、胸部X線動画像に基づいて肺野領域の境界となる心壁の部位を求め、心壁移動量を解析する(ステップ404)。具体的には、心壁移動量解析手段42は、オペレータの操作により指定された左心室及び右心室付近の部位において、肺野領域との境界であってピクセル値が大きく変化する部位を自動検出し、その部位の変化量を心壁移動量として算出する。これをフレーム毎に算出する。そして、心壁移動量解析手段42は、指定領域毎に、フレーム毎の心壁移動量を表示する。
図7は、心壁移動量解析手段42により解析された心壁移動量を示す画面イメージ図である。尚、図7に示すように、心壁移動量を、関心領域毎の平均ピクセル値と共に表示するようにしてもよいし、心壁移動量のみを表示するようにしてもよい。図7において、グラフの横軸は時間軸を、画面上部の縦軸は平均ピクセル値を示す。画面右下部には、オペレータの操作により指定された部位の心壁移動量がフレーム毎のグラフとして表示されている。心壁移動量は、図15に示した心電図において、心室収縮期には収縮方向に、心室拡張期には拡張方向にそれぞれ変化していることがわかる。
尚、解析部40は、局所肺血流解析手段41により解析された局所肺血流情報と、心壁移動量解析手段42により解析された心壁移動量とを同一画面に表示するようにしてもよい。図8は、局所肺血流情報及び心壁移動量を示す画面イメージ図である。この図は、図6及び図7を同一画面に表示した場合を示しているので、詳細な説明は省略する。
次に、肺血流動態解析手段43の動作について説明する。肺血流動態解析手段43は、胸部X線動画像の1心拍のフレームからR波が起きる直前(心室が拡張する直前)のフレームを決定し、当該フレームと他のフレームとの間のピクセル値の差から、肺血流動態画像を作成する。具体的には、肺血流動態解析手段43は、オペレータの操作により、X線パルス波形格納部22からX線パルス波形を、心電図格納部23から心電図をそれぞれ読み出し、読み出したX線パルス波形について、X線が曝射された時間(横軸の値)を決定する(ステップ405)。また、読み出した心電図について、R波が起きた時間(横軸の値)を決定する(ステップ406)。そして、R波が起きる直前のフレーム番号を決定する(ステップ407)。ここで、R波が起きる直前のフレームを基準フレームという。尚、以下の説明では、R波が起きる直前のフレームを基準フレームとするが、必ずしも直前のフレームである必要はなく、心電図におけるR波のタイミングのフレームまたはそのタイミングに近いフレームであればよい。つまり、心電図におけてR波が発生した時の状況が反映されたフレーム(R波に対応するフレーム)であればよい。
図9は、図4に示したフローチャート図のステップ407の処理を説明するための図である。図9の右図は、左図に示す心電図及びX線パルス波形の一部を拡大したものであり、その上部は心電図を、下部はX線パルス波形を示す。この心電図において、波形が上方向に突出する箇所がR波であり、X線パルス波形において、波形が上方向に突出する箇所が、X線が曝射されたタイミングである。ここで、R波をそれぞれR1,R2とし、X線パルス波形のパルスをそれぞれa,b,c,d,e,fとする。また、X線パルス波形のパルスa~fのタイミングで撮影した胸部X線動画像のフレーム番号をそれぞれFa,Fb,Fc,Fd,Fe,Ffとする(図示せず)。図9より、R1波が起きる直前のパルスはbであり、R2波が起きる直前のパルスはfであるから、肺血流動態解析手段43は、心室拡張期のフレーム番号として、フレーム番号Fb,Ffを決定する。尚、肺血流動態解析手段43は、ステップ405において、X線パルス波形が下方向に突出する曝射タイミングの時間(パルスa~f等のタイミング時間)を決定する。また、ステップ406において、心電図の波形が上方向に突出するR波(R1,R2等)の時間を決定する。
図4に戻って、肺血流動態解析手段43は、読み出した胸部X線動画像のうちの基準フレームの画像と、1心拍における他のフレームの画像との間のピクセル値の差を、以下の(3)式により画素単位に計算し、肺血流動態画像を作成する(ステップ408,409)。
PVflow(n)=f(n)-f(n’) ・・・(3)
ここで、PVflowは肺血流動態画像を作成するための関数、nはフレーム番号(0<n<30)、f(n)はフレーム番号nにおける胸部X線動画像、n’はその心拍における基準フレーム番号、f(n’)はフレーム番号n’における胸部X線動画像を示す。図9において、肺血流動態画像は、基準フレームであるフレーム番号Fbの画像と、フレーム番号Fc,Fd,Fe,Ffの画像との間のピクセル値の差に基づいて作成される。そして、ピクセル値の差がプラス(平均ピクセル値が増加=X線透過性が減少=肺血流が増加)の場合は暖色で、ピクセル値の差がマイナス(平均ピクセル値が減少=X線透過性が増加=肺血流が減少)の場合は寒色で表し、かつその差の大きさに合わせた濃淡で肺血流動態画像を表し、当該肺血流動態画像と共に、心電図及びX線パルス波形を画面に表示する(ステップ409)。
図10は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成するコンピュータアルゴリズムである。図10において、グラフの横軸は時間軸を示し、上から心電図、X線パルス波形、胸部X線動画像、及び、ピクセル値の差を濃淡色で表した肺血流動態画像が表示されている。肺血流動態画像は、基準フレームとフレームa,b,c,d,e及び次の心拍の基準フレームとの間のピクセル値の差に基づいてそれぞれ作成され、基準フレームが更新されると、更新後の基準フレームとフレームa’,b’等との間のピクセル値の差に基づいてそれぞれ作成される。図15に示したように心電図から心室収縮期及び心室拡張期を認識できるから、各時期における肺血流動態画像のピクセル変化量、すなわち肺血流の増減度合いを画素単位で認識することができる。
また、図11は、肺血流動態解析手段43により解析された肺血流動態画像を示す画面イメージ図である。図11において、右側には心電図が表示され、左側には胸部X線動画像及び肺血流動態画像が表示されている。心電図上の縦のスクロールバー(図示せず)を時間軸に沿って移動させることにより、肺血流動態画像表示部には、基準フレームと、スクロールバーが時間軸に交差する箇所のフレームとの間のピクセル値の差から作成された肺血流動態画像が表示される。
次に、肺血流分布解析手段44の動作について説明する。肺血流分布解析手段44は、1心拍における胸部X線動画像の各フレームから最大値投影(MIP)画像を作成し、MIP画像と基準フレームの画像との間のピクセル値の差から、肺血流分布画像を作成する。具体的には、肺血流分布解析手段44は、まず、肺血流動態解析手段43におけるステップ405,406,407と同様の処理を行う。すなわち、オペレータの操作により、X線パルス波形格納部22からX線パルス波形を、心電図格納部23から心電図をそれぞれ読み出し、X線パルス波形について、X線が曝射された時間を決定し(ステップ405)。心電図について、R波が起きた時間を決定し(ステップ406)、そして、基準フレームの番号を決定する(ステップ407)。
肺血流分布解析手段44は、胸部X線動画像格納部21から読み出した胸部X線動画像の各フレーム、及びステップ405~407において決定した基準フレームに基づいて、1心拍毎のMIP画像を作成する(ステップ410)。具体的には、1心拍毎の各フレームにおいて、画素毎に時間軸方向に最大値を投影し、1枚のMIP画像を作成する。図9においては、基準フレーム番号はFb,Ffだから、Fbの基準フレームを含む心拍におけるMIP画像は、基準フレーム番号Fbから次の基準フレーム番号Ffの一つ前のフレーム番号Feまでのフレームの画像(フレーム番号Fb,Fc,Fd,Feの胸部X線動画像)に基づいて作成される。
次に、肺血流分布解析手段44は、1心拍毎に、ステップ410において作成したMIP画像と基準フレームの画像との間のピクセル値の差を、以下の(4)式により、画素毎に算出する(ステップ411)。ここで、1心拍は、基準フレームから次の基準フレームまでをいうものとする。
PVdis(n’)=MIP(n’)-f(n”) ・・・(4)
ここで、PVdisは肺血流分布画像を作成するための関数、n’は心室拡張期の通し番号(0<n’<心室拡張期の回数)、MIPはMIP画像を作成するための関数、n”はその心拍における基準フレーム番号、f(n”)はn”番目の胸部X線動画像を示す。図9においては、フレームFb,Fc,Fd,Feにおける肺血流分布画像は、その心拍におけるMIP画像と、その心拍における基準フレーム(フレーム番号Fbの胸部X線動画像)との間のピクセル値の差に基づいて作成される。
そして、肺血流差分布解析手段44は、ステップ411において作成した肺血流分布画像に対し、肺血流をカラー表示した静止画像を作成する(ステップ412)。この場合、算出した差に応じてカラーの濃淡を付け、差が大きい場合は濃く、差が小さい場合は淡く表示する。
図12は、肺血流分布解析手段44により肺血流分布画像を作成するコンピュータアルゴリズムである。図12において、グラフの横軸は時間軸を示し、上から心電図、X線パルス波形、胸部X線動画像、MIP画像、及び、ピクセル値の差を濃淡色で表した肺血流分布画像が表示されている。MIP画像は、基準フレーム及びフレームa~eから作成される。また、肺血流分布画像は、MIP画像と基準フレームの画像との間のピクセル値の差に基づいてそれぞれ作成される。また、基準フレームが更新されると、MIP画像が更新後の基準フレーム及びフレームa’~e’から作成され、肺血流分布画像がそのMIP画像及び基準フレームから作成される。
図13は、肺血流分布解析手段44により解析された第1の肺血流分布画像を示す画面イメージ図である。この図は、図12に示したグラフの時間軸を拡張し、心拍毎の肺血流分布画像を時系列に表示したものである。また、図14は、肺血流分布解析手段44により解析された第2の肺血流分布画像を示す画面イメージ図である。この図は、図11に示した画面イメージ図に加えて、1心拍目から5心拍目までの肺血流分布画像を表示したものである。図12~14によれば、肺血流分布画像から総血流を認識することができ、これは肺血流シンチグラフィに相当する。これにより、1心拍毎の総血流を評価することができる。例えば、肺血流が少ない箇所は、ピクセル値の差分の値が小さいため淡く表示され、肺血流が少ない箇所は、カラー表示が欠損することが予想される。したがって、肺血流分布解析手段44により、肺塞栓症の診断のために有効利用できる情報を得ることができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び意図を逸脱しない限り、種々変形が可能である。例えば、図1及び図2に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1は、1台のコンピュータにより構成されるが、複数のコンピュータにより構成されるようにしてもよい。例えば、胸部X線動画像格納部21、X線パルス波形格納部22及び心電図格納部23の各種情報を備えた情報格納用機器、制御部30を備えた制御用機器、並びに、解析部40を備えた解析用機器により構成され、それぞれネットワークにより接続されるようにしてもよい。
また、図1及び図2に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1において、制御部30が、心電図記録装置5から心電図を入力して心電図格納部23に格納し、解析部40が、心電図格納部23から心電図を読み出してR波が起きた時間を決定し、基準フレームを決定するようにした。この場合、連続X線画像スクリーニング検査装置1は、基準フレームを決定するために、心電図を用いなくてもよい。具体的には、連続X線画像スクリーニング検査装置1は、肺の平均ピクセル値に基づいてR波が起きた時間を決定し、基準フレームを決定するようにしてもよいし、心壁移動量に基づいてR波が起きた時間を決定し、基準フレームを決定するようにしてもよい。
図16は、肺の平均ピクセル値に基づいて基準フレームを決定する手法を示す図である。肺のピクセル値と心拍位相との間には高い相関性があり、この性質を利用することにより心拍位相を推定し、R波が起きた時間を決定することができる。図16に示すように、肺の平均ピクセル値が最小値から最大値へ変化する期間が心室収縮期に相当し、最大値から最小値へ変化する期間が心室拡張期に相当する。したがって、肺の平均ピクセル値の最小値となる時間がR波が起きる時間であることから、連続X線画像スクリーニング検査装置1は、平均ピクセル値の最小値となる時間の直前のフレームを、基準フレームとして決定することができる。
図17は、心壁移動量に基づいて基準フレームを決定する手法を示す図である。心壁移動量から心拍位相を推定し、R波が起きた時間を決定することができる。図17に示すように、心壁移動量において、心臓が拡張する方向を+、収縮する方向を-とすると、心壁移動量が最大値から最小値へ変化する期間が心室収縮期に相当し、最小値から最大値へ変化する期間が心室拡張期に相当する。したがって、心壁移動量が最大値となる時間がR波が起きる時間であることから、連続X線画像スクリーニング検査装置1は、心壁移動量の最大値となる時間の直前のフレームを、基準フレームとして決定することができる。
また、図1及び図2に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1において、解析部40の局所肺血流解析部41、肺血流動態解析部43及び肺血流分布解析部44は、肺血流を対象にして解析処理を行うようにしたが、心血流を対象にして解析を行うようにしてもよい。ここで、局所肺血流解析部41、肺血流動態解析部43及び肺血流分布解析部44は、それぞれ局所心血流解析部、心血流動態解析部及び心血流分布解析部となる。
この場合、局所心血流解析手段は、縦隔部におけるピクセル値の変化を解析する。ここで、縦隔部とは、左右の肺の中間に位置し、肺と同様に肋骨や胸郭等によって囲まれた部分をいう。具体的には、心臓を構成する心室、心房、心筋及び心隔、並びに、接続のある上大静脈、下大静脈及び大動脈等の大血管系、さらに、リンパ節等をいう。
図18は、局所心血流解析手段により解析される縦隔部を示す図である。図18(1)は、心臓の構成を示す図であり、図18(2)は、胸部X線動画像の1フレームにおいて、各部の位置を示す図である。心室拡張及び収縮に伴い、房室弁、大動脈弁及び肺動脈弁が開閉し、左心室圧、左心房圧、右心室圧及び右心房圧が変化することにより、後述のように、心拍出量等の心臓の血流動態情報を得ることができる。
図19は、局所心血流解析手段により解析された縦隔部の血流動態情報を示す図である。図19において、(1)は大動脈、左心室、左心房の各圧力、(2)は大動脈の血流速、(3)は左心室の容積、(4)は心音、(5)は心電図、(6)は心臓における各所の平均ピクセル値をそれぞれ示している。横軸は時間を示す。局所肺血流解析手段41による心臓における各所の平均ピクセル値算出手法は、胸部X線動画像の各フレームにおいて、オペレータの操作により指定された大動脈弓、肺動脈、左心室等の測定部位(関心領域(ROI))毎に平均ピクセル値を算出する処理である。具体的には、局所肺血流解析手段41は、オペレータの操作により胸部X線動画像格納部21から胸部X線動画像を読み出す。そして、第1のフレームにおいて、オペレータのマウスクリック等の操作により指定された大動脈弓等の関心領域毎に平均ピクセル値を算出する。第2のフレーム以降においては、第1フレームと同じ関心領域で平均ピクセル値を算出し、図19(6)に示すピクセル値のグラフを画面に表示する。
次に、図19(1)~(5)により、心臓の1心拍の動作について説明する。まず、房室弁が閉になると、心音(4)はS1の波形となり、心電図(5)はR波が生じる。そして、心室収縮期に入ると、心室は収縮し始めて左心室の圧力(1)が急激に上昇し、大動脈弁が開になる。この間、心室容積(3)は一定を維持する。大動脈弁が開になると、心室容積(3)が小さくなり、大動脈血流速(2)が大きくなる。これに伴い、大動脈弓・肺動脈のピクセル値(6)が上昇し、心室のピクセル値(6)が下降する。そして、大動脈血流速(2)が下がり始めると、左心室圧(1)も下がり、大動脈弁が閉になる。そして、心室拡張期に入ると、心室は拡張し始めて左心室の圧力(1)が急激に低下し、心音(4)はS2の波形となる。この間、心室容積(3)は一定を維持する。そして、房室弁が開となると、心室容積(3)は急激に増加する。これに伴い、心室のピクセル値(6)が上昇し、心房・肺静脈のピクセル値(6)が下降する。
このように、(6)に示した心臓の各所におけるピクセル値は、(1)~(5)の心臓の1心拍の動作を反映した変化として現れる。このピクセル値の変化と血流の変化との間には高い関連がある。例えば、(6)に示したピクセル値の変化量が低下している部分は血流が低下しているまたは血流がない部分であると判断することができ、肺塞栓症や心臓疾患等の診断のための有用な情報として利用することができる。また、その術中及び術後の管理のための有用な情報として利用することもできる。
また、図1及び図2に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1において、制御部30の肺血流動態解析手段43は、R波が起きる直前のフレームを基準フレームとして、当該基準フレームと他のフレームとの間のピクセル値の差から、肺血流動態画像を作成するようにしたが、隣り合うフレーム間のピクセル値の差から、肺血流動態画像を作成するようにしてもよい。同様に、心血流動態解析手段が、隣り合うフレーム間のピクセル値の差から、心血流動態画像を作成するようにしてもよい。
図20は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成する他のコンピュータアルゴリズムである。図20において、グラフの横軸は時間軸を示し、上から心電図、X線パルス波形、胸部X線動画像、及び、ピクセル値の差を濃淡色で表した肺血流動態画像が表示されている。肺血流動態画像は、隣り合うフレームa,b、フレームb,c、フレームc,d、フレームd,e、フレームe,f間のピクセル値の差に基づいてそれぞれ作成される。図15に示したように心電図から心室収縮期及び心室拡張期を認識できるから、各時期における肺血流動態画像のピクセル変化量、すなわち肺血流の増減度合いを画素単位で認識することができる。
また、図1及び図2に示した連続X線画像スクリーニング検査装置1において、制御部30の肺血流動態解析手段43は、画素毎に算出した1心拍におけるピクセル値の平均値と、画素毎に算出した1心拍における他のフレームのピクセル値との差から、肺血流動態画像を作成するようにしてもよい。心血流動態解析手段においても同様である。
図21は、肺血流動態解析手段43により肺血流動態画像を作成する他のコンピュータアルゴリズムである。図21において、グラフの横軸は時間軸を示し、上から心電図、X線パルス波形、ある1画素におけるピクセル値の変化が示されている。肺血流動態解析手段43は、1心拍において、画素毎にピクセル値の最大値及び最小値を抽出し、最大値及び最小値から平均値を算出する。そして、その平均値と他のフレームのピクセル値との差を算出し、その差を用いて肺血流動態画像を作成する。このような処理を心拍単位に行う。
尚、連続X線画像スクリーニング検査装置1は、図1に示したように、CPU10、RAM13等の揮発性の記憶媒体、ROM12等の不揮発性の記憶媒体、マウス18やキーボード19、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示器17、及び外部のX線検出器2、X線発生装置3及び心電図記録装置5と通信をするためのインタフェースI/F14,15を備えたコンピュータによって構成される。連続X線画像スクリーニング検査装置1に備えた制御部30及び解析部40の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPU10に実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスクHD11等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。
また、このような連続X線画像スクリーニング検査装置1は、健康診断等のスクリーニング検査、心疾患患者のフォローアップ検査、核医学検査等における精密検査の代替検査等の分野で利用される。また、例えばエコノミー症候群の検査のために、空港の診療所に設置することもできる。
図面
【図1】
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【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
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【図9】
5
【図19】
6
【図21】
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【図6】
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【図7】
9
【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
15
【図15】
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【図16】
17
【図17】
18
【図18】
19
【図20】
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