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明細書 :X線診断支援装置、プログラム及び記録媒体

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第4797173号 (P4797173)
登録日 平成23年8月12日(2011.8.12)
発行日 平成23年10月19日(2011.10.19)
発明の名称または考案の名称 X線診断支援装置、プログラム及び記録媒体
国際特許分類 A61B   6/00        (2006.01)
FI A61B 6/00 350C
A61B 6/00 360Z
A61B 6/00 370
請求項の数または発明の数 6
全頁数 15
出願番号 特願2007-522243 (P2007-522243)
出願日 平成18年6月13日(2006.6.13)
国際出願番号 PCT/JP2006/311847
国際公開番号 WO2006/137294
国際公開日 平成18年12月28日(2006.12.28)
優先権出願番号 2005180758
優先日 平成17年6月21日(2005.6.21)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成21年6月9日(2009.6.9)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504160781
【氏名又は名称】国立大学法人金沢大学
発明者または考案者 【氏名】真田 茂
【氏名】田中 利恵
個別代理人の代理人 【識別番号】100147485、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 憲司
【識別番号】100072051、【弁理士】、【氏名又は名称】杉村 興作
【識別番号】100114292、【弁理士】、【氏名又は名称】来間 清志
【識別番号】100134005、【弁理士】、【氏名又は名称】澤田 達也
【識別番号】100143568、【弁理士】、【氏名又は名称】英 貢
審査官 【審査官】井上 香緒梨
参考文献・文献 特開2005-20719(JP,A)
国際公開第2004/044612(WO,A2)
特開2005-151099(JP,A)
特開2002-306483(JP,A)
調査した分野 A61B 6/00
特許請求の範囲 【請求項1】
診断部位の一連の動作のX線動画像が格納された動画像格納部と、
前記診断部位のX線静止画像が格納された静止画像格納部と、
前記動画像格納部から動画像を読み出し、該動画像に基づいて前記診断部位に関する機能を示す動態情報を生成する動画像処理部と、
前記静止画像格納部から静止画像を読み出し、該静止画像から前記診断部位に関する新たな画像を生成する静止画像処理部と、
前記動画像処理部により生成された動態情報と、前記動画像及び前記静止画像処理部により生成された新たな画像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示する統合部とを備えたことを特徴とするX線診断支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線診断支援装置において、
前記動画像格納部に格納されたX線動画像を、胸部の後面から撮影し、吸気から呼気までの一連の呼吸動作を示す胸部X線動画像とし、
前記静止画像格納部に格納されたX線静止画像を、胸部のスライス面を示すCT画像とし、
前記動画像処理部は、胸部X線動画像の各フレームについて横隔膜の位置を計測し、該横隔膜の位置から最大吸気のフレーム及び最大呼気のフレームを特定し、予め設定された胸部のエリア毎に、前記最大吸気のフレームと最大呼気のフレームとの間のピクセル差分値を算出して換気情報とし、該換気情報を動態情報として生成し、
前記静止画像処理部は、CT画像に基づいて胸部の後面から見たレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも一つを新たな画像として生成することを特徴とするX線診断支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載のX線診断支援装置において、
前記動画像格納部に格納されたX線動画像を、胸部の後面から撮影し、吸気から呼気までの一連の呼吸動作を示す胸部X線動画像とし、
前記静止画像格納部に格納されたX線静止画像を、胸部のスライス面を示すCT画像とし、
前記動画像処理部は、胸部X線動画像の各フレームについて横隔膜の位置を計測し、予め設定された胸部のエリア毎に、胸部X線動画像の各フレームについて、時系列の前後におけるフレーム間のピクセル差分値を算出して換気情報とし、該換気情報を動態情報として生成し、
前記静止画像処理部は、CT画像に基づいて胸部の後面から見たレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも前記レイサム画像を含む新たな画像を生成し、該生成したレイサム画像について横隔膜の位置を計測し、
前記統合部は、静止画像処理部により計測された横隔膜の位置と、動画像処理部により各フレームについて計測された横隔膜の位置とを比較し、両位置が一致する動画像のフレームを特定し、動画像処理部により生成された動態情報と、前記動画像、前記特定した動画像のフレーム、静止画像処理部により生成されたレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示することを特徴とするX線診断支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線診断支援装置において、
前記統合部は、特定した動画像のフレームと、静止画像処理部により生成されたレイサム画像とを、シフト及び回転させながら、各位置におけるピクセル差分値を算出し、該ピクセル差分値の絶対値の総和が最も小さいシフト及び回転位置を求め、該位置をマッチングした位置に決定し、該マッチング位置により、前記動態情報と形態情報とを統合して画面に表示することを特徴とするX線診断支援装置。
【請求項5】
診断部位の一連の動作のX線動画像が格納された動画像格納部と、前記診断部位のX線静止画像が格納された静止画像格納部とを備え、前記X線動画像及び静止画像を用いて診断を支援するX線診断支援装置が実行するプログラムであって、該X線診断支援装置を構成するコンピュータに、
前記動画像格納部から動画像を読み出し、該動画像に基づいて前記診断部位に関する機能を示す動態情報を生成する処理と、
前記静止画像格納部から静止画像を読み出し、該静止画像から前記診断部位に関する新たな画像を生成する処理と、
前記生成された動態情報と、動画像及び新たな画像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示する処理とを実行させるX線診断支援プログラム。
【請求項6】
請求項5に記載のX線診断支援プログラムを記録した記録媒体。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、CT(Computed Tomography)画像及びX線動画像を用いてコンピュータ解析を行い、動態画像診断のための情報を得るX線診断支援技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸器系疾患の罹患率が世界的に上昇する傾向にあり、特に、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の罹患率が高い状況にある。この慢性閉塞性肺疾患は、大気汚染や喫煙が主な原因の肺気腫や慢性気管支炎等の疾患であり、高齢者に多く発症している。このため、呼吸器系疾患の罹患率の上昇に伴い、胸部の疾患に関する定量的な機能評価を簡便に繰り返して行う方法が必要とされている。
【0003】
一般に、呼吸器系疾患の機能評価は、肺機能検査により行われる。この肺機能検査は、体内に酸素を取り入れ、体外に二酸化炭素を排出する基本的な機能を評価するために、換気、ガスと血流の分布、拡散等が正常に行われているか否かを、定性的及び定量的に検査するものである。しかしながら、肺機能検査では、局所的にまたは左右の肺を別々に検査することができず、最大努力呼吸でないと正確な検査ができないという問題があった。また、受検者には、検査のために多大な体力が必要になるという負担もあった。
【0004】
このような肺機能検査の問題を解決し、受検者に与える負担を軽減するために、肺機能を局所的に定量評価するX線診断装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。このX線診断装置は、胸部をX線撮影して得た静止画像を記憶手段に記憶し、この静止画像における胸部の任意の部位、濃度値の計算方法、及び結果の表示方法が設定されると、その設定された部位のピクセル値(濃度値)に基づいて濃度に関する解析処理を行い、その解析処理結果を画面に表示する。また、X線診断装置は、胸部をX線撮影して得た時系列のフレームの静止画像を記憶手段に記憶し、この静止画像における胸部の任意の部位、濃度値の計算方法、解析対象のフレーム、及び結果の表示方法が設定されると、その設定された部位のピクセル値に基づいて、フレーム間の濃度に関する解析処理を時系列に行い、その解析処理結果を画面に表示する。このような静止画像の解析処理、及び動画像の解析処理により、読影や診断のために必要な情報を表示するようにしたから、人間の目に頼ることのない診断を実現することができ、読影医によって診断結果がばらつく可能性が低くなる。また、X線診断により得た画像に関する様々な処理技術が開示されている(例えば、特許文献2~4を参照。)
【0005】
ところで、従来、X線照射によって被検体の断層像(CT画像)を得るX線CT装置が利用されている。このX線CT装置は、被検体にX線を照射し、臓器、血液、灰白質等の人体組織のX線吸収率の差を検出器により検出し、これをコンピュータ処理して再構成することにより、検査部位の断層面(スライス面)の画像を得るものである。このようにして得られたCT画像に基づいて、医師は患者の病状等を精度高く診断することができる。
【0006】
また、従来、被検体の胸部をスクリーニング検査する装置の開発が行われている。例えば、FPD(Flat Panel Detector)は、X線を電気信号に変換することにより画像を得る機器であり、画像を直接デジタル化する平面検出器を使用した撮影機器である。このFPDを使用することにより、画像の確認、濃度調整及び幾何学的調整を行い、安定した動画像を得ることができる。例えば、吸気から呼気までの一連の呼吸動作の動画像を得て、肺尖部から横隔膜までの距離を計測して動画像を解析処理し、その結果を読影や診断のために必要な情報として表示することができる。しかしながら、FPDを使用して得た動画像を読影するには、呼吸生理学の知識が必要である。
【0007】
〔特許文献1〕特開平7-194583号公報
〔特許文献2〕特開平5-7579号公報
〔特許文献3〕特開平4-134568号公報
〔特許文献4〕特開昭64-17631号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このような状況の下で、X線CT装置により得られたCT画像や動画像の形態情報と、動画像を解析処理して得られた動態情報とを関連付け、例えば胸部に関する形態情報と呼吸性動態情報とを重ね合わせた新たな情報とし、この重ね合わせた情報を読影や診断のために利用することが望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、被検体である肺等の機能について局所的な定量評価を行い、読影や診断のために有効に利用できる評価結果を得ることが可能なX線診断支援装置、プログラム及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によるX線診断支援装置は、診断部位の一連の動作のX線動画像が格納された動画像格納部と、前記診断部位のX線静止画像が格納された静止画像格納部と、前記動画像格納部から動画像を読み出し、該動画像に基づいて前記診断部位に関する機能を示す動態情報を生成する動画像処理部と、前記静止画像格納部から静止画像を読み出し、該静止画像から前記診断部位に関する新たな画像を生成する静止画像処理部と、前記動画像処理部により生成された動態情報と、前記動画像及び前記静止画像処理部により生成された新たな画像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示する統合部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
ここで、形態情報とは、例えば、血管や気管支の太さや分布、心臓の大きさや位置、横隔膜の位置や形、骨の浸潤や骨折、肺の性質、異常物(癌、水、異物、カビ、空気の塊等)の存在を認識できる静止画像または動画像に関する情報をいう。また、動態情報とは、動画像を解析処理して得られる生態の機能情報であり、例えば、血管や気管支の拡散または収縮、心臓の拍動、横隔膜の動きまたは可動領域、肺の換気、異常物の可動性に関する情報をいう。この動態情報には、呼吸性動態情報及び心拍動静動態情報等がある。
【0012】
また、本発明によるX線診断支援装置は、前記動画像格納部に格納されたX線動画像を、胸部の後面から撮影し、吸気から呼気までの一連の呼吸動作を示す胸部X線動画像とし、前記静止画像格納部に格納されたX線静止画像を、胸部のスライス面を示すCT画像とし、前記動画像処理部が、胸部X線動画像の各フレームについて横隔膜の位置を計測し、該横隔膜の位置から最大吸気のフレーム及び最大呼気のフレームを特定し、予め設定された胸部のエリア毎に、前記最大吸気のフレームと最大呼気のフレームとの間のピクセル差分値を算出して換気情報とし、該換気情報を動態情報として生成し、前記静止画像処理部が、CT画像に基づいて胸部の後面から見たレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも一つを新たな画像として生成することを特徴とする。
【0013】
また、本発明によるX線診断支援装置は、前記動画像格納部に格納されたX線動画像を、胸部の後面から撮影し、吸気から呼気までの一連の呼吸動作を示す胸部X線動画像とし、前記静止画像格納部に格納されたX線静止画像を、胸部のスライス面を示すCT画像とし、前記動画像処理部が、胸部X線動画像の各フレームについて横隔膜の位置を計測し、予め設定された胸部のエリア毎に、胸部X線動画像の各フレームについて、時系列の前後におけるフレーム間のピクセル差分値を算出して換気情報とし、該換気情報を動態情報として生成し、前記静止画像処理部が、CT画像に基づいて胸部の後面から見たレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも前記レイサム画像を含む新たな画像を生成し、該生成したレイサム画像について横隔膜の位置を計測し、前記統合部が、静止画像処理部により計測された横隔膜の位置と、動画像処理部により各フレームについて計測された横隔膜の位置とを比較し、両位置が一致する動画像のフレームを特定し、動画像処理部により生成された動態情報と、前記動画像、前記特定した動画像のフレーム、静止画像処理部により生成されたレイサム画像、コロナル像、及びサジタル像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示することを特徴とする。
【0014】
また、本発明によるX線診断支援装置は、前記統合部が、特定した動画像のフレームと、静止画像処理部により生成されたレイサム画像とを、シフト及び回転させながら、各位置におけるピクセル差分値を算出し、該ピクセル差分値の絶対値の総和が最も小さいシフト及び回転位置を求め、該位置をマッチングした位置に決定し、該マッチング位置により、前記動態情報と形態情報とを統合して画面に表示することを特徴とする。
【0015】
また、本発明によるX線診断支援プログラムは、診断部位の一連の動作のX線動画像が格納された動画像格納部と、前記診断部位のX線静止画像が格納された静止画像格納部とを備え、前記X線動画像及び静止画像を用いて診断を支援するX線診断支援装置が実行するプログラムであって、該X線診断支援装置を構成するコンピュータに、前記動画像格納部から動画像を読み出し、該動画像に基づいて前記診断部位に関する機能を示す動態情報を生成する処理と、前記静止画像格納部から静止画像を読み出し、該静止画像から前記診断部位に関する新たな画像を生成する処理と、前記生成された動態情報と、動画像及び新たな画像のうちの少なくとも一つの形態情報とを統合し、該統合した情報を画面に表示する処理とを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被検体である肺等の機能の局所的な定量評価を行い、例えば、X線CT装置により得られたCT画像である形態情報と、動画像を解析処理して得られた換気に関する動態情報とを関連付けることができるから、胸部に関する形態情報と動態情報とを統合した新たな情報を、読影や診断のために有効に利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態によるX線診断支援装置を含む全体システムの構成を示す概略図である。
【図2】X線診断支援装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】X線診断支援装置の動作を示すフローチャート図である。
【図4】表示器に表示された画面の一例を示す図である。
【図5】吸気から呼気までの一連の呼吸動作における肺尖部から横隔膜までの距離を示すグラフである。
【図6】換気情報を重ね合わせたコロナル像の表示例を示す図である。
【図7】換気情報の表示例を示す図である。
【符号の説明】
【0018】
1 X線診断支援装置
2 X線動画像装置
3 X線CT装置
11 CPU
12 RAM
13 ROM
14 HD
15,16 I/F
17 表示器
18 マウス
19 キーボード
21 動画像格納部
22 CT画像格納部
23 動画像処理部
24 CT画像処理部
25 統合部
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
〔構成〕
図1は、本発明の実施の形態によるX線診断支援装置を含む全体システムの構成を示す概略図である。このシステムは、X線診断支援装置1、X線動画像装置2、及びX線CT装置3を備えており、X線診断支援装置1の内部構成はハードウェア資源を表している。このX線診断支援装置1は、プログラムに従って各処理を実行するCPU11、プログラムやデータを一時的に格納するRAM12、OS等のシステムプログラムやシステムデータが格納されているROM13、各処理を実行するためのプログラムやデータ、動画像及びCT画像が格納されるHD14、X線動画像装置2及びX線CT装置3との間の情報の入出力を中継するI/F15、動画像及びCT画像等を画面に表示する表示器17、オペレータの操作を入力するマウス18、キーボード19、及び、表示器17等を中継するI/F16を備えている。CPU11は、I/F15を介してX線動画像装置2及びX線CT装置3からそれぞれ動画像及びCT画像を入力し、HD14に格納する。また、CPU11は、各処理を実行するためのプログラム及びデータをHD14から読み出してRAM12に格納し、プログラムに従って、I/F16を介してオペレータによるマウス18及びキーボード19の操作により、HD14から動画像及びCT画像を読み出し、各処理を実行し、実行結果をI/F16を介して表示器17に表示する。
【0020】
図2は、図1に示したX線診断支援装置1の機能構成を示すブロック図である。このX線診断支援装置1は、動画像格納部21、CT画像格納部22、動画像処理部23、CT画像処理部24、及び、統合部25を備えている。動画像格納部21には、前述したFPD等のX線動画像装置2により撮影された胸部X線動画像が格納されている。胸部X線動画像は、吸気から呼気までの一連の呼吸動作における動画像であり、受検者毎に格納されている。CT画像格納部22には、X線CT装置3により撮影された胸部のCT画像が格納されている。CT画像は、胸部の各部を水平にスライスした静止画像であり、受検者毎に格納されている。ここで、動画像格納部21及びCT画像格納部22は、図1におけるHD14に相当する。
【0021】
動画像処理部23は、オペレータの操作により、動画像格納部21から動画像を読み出し、横隔膜の位置を計測して移動量を求め、最大吸気時及び最大呼気時の動画像のフレームを特定してこれらのフレームのピクセル値の差であるピクセル差分値や、フレーム間のピクセル差分値を用いて、分割した胸部エリア毎に相対的な換気情報(換気量)を求める。また、オペレータの操作により、動画像格納部21から読み出した動画像、及び、計測した横隔膜の位置情報を画面に表示する。
【0022】
CT画像処理部24は、オペレータの操作により、CT画像格納部22からCT画像を読み出し、読み出したCT画像間で線形補間を行い、等方的なCTデータを作成し、そこから、表示のためのMPR(Multi Planer Reconstruction)画像(コロナル像(胸部を前面から見た断層像)やサジタル像(胸部を側面から見た断層像)、及びX線写真のようなDRR(Digital Reconstruction Radiographs:レイサム(Ray Sum)画像)を作成し、このレイサム画像から横隔膜の位置を計測する。また、オペレータの操作により、CT画像格納部22から読み出したCT画像、及び、作成したコロナル像及びサジタル像を画面に表示する。
【0023】
統合部25は、CT画像と呼吸レベルが一致する動画像のフレームを特定し、その後、CT画像と呼吸レベルが一致する動画像のフレームと、CT画像から作成されたレイサム画像との間で位置合わせを行う。また、統合部25は、動画像処理部23から、胸部を分割したエリア情報を示す胸部分割情報及び胸部エリア毎の相対的な換気情報を入力し、当該エリア毎の換気情報をコロナル像及び動画像に重ね合わせる。また、統合部25は、オペレータの操作により、換気情報を重ね合わせたコロナル像及び動画像を表示する。
【0024】
〔動作〕
次に、図1及び図2に示したX線診断支援装置1の動作について説明する。図3は、X線診断支援装置1の動作を示すフローチャート図である。図3に示すように、X線診断支援装置1は、胸部X線動画像及びCT画像を読み出し、前処理を行い、動画像とCT画像との間の位置合わせ、動画像の動態解析、重ね合わせの一連の処理を行う。以下、具体的に説明する。動画像格納部21には、胸部X線動画像が、1344×1344ピクセルの画像サイズ(解像度)、0.32mm/ピクセル、12ビット/4096の階調にて、時系列に30フレーム分格納されているものとする。CT画像格納部22には、512×512ピクセルの画像サイズ、0.64mm/ピクセル、16ビット/65536の階調にて、スライス厚5mmのCT画像が66枚分格納されているものとする。
【0025】
動画像処理部23は、動画像格納部21から前記30フレーム分の動画像を読み出す(ステップ301)。そして、CT画像の画像サイズに合わせるために、1344×1344ピクセルの画像サイズを512×512ピクセルの画像サイズに調整し、30フレーム分の当該サイズの動画像を作成する(ステップ302)。
【0026】
CT画像処理部24は、CT画像格納部22から前記66枚分のCT画像を読み出す(ステップ303)。そして、5mmのスライス厚の2枚のCT画像に対して、線形補間により画像データのボクセル化を行う(ステップ304)。具体的には、前記2枚のCT画像を用いて、1スライスのCT画像を7.8125スライスのCT画像に補間する。つまり、読み出した512ピクセル×512ピクセル×66スライス(枚)のCT画像をそれぞれ補間することにより、512ピクセル×512ピクセル×512スライス(枚)のCT画像を生成する。この場合、全体で、327.68mm×327.68mm×327.68mmのサイズである。そして、CT画像処理部24は、内挿補間したCT画像を用いて、MPR表示のためのコロナル像及びサジタル像を作成すると共に、DRR(レイサム画像)を作成する(ステップ305)。この場合、コロナル像、サジタル像及びレイサム画像は、それぞれ512×512ピクセルの画像サイズ及び0.64mm/ピクセルの画像となる。
【0027】
動画像処理部23は、ステップ302により作成された全フレームの動画像について、肺野領域を認識する(ステップ306)。また、CT画像処理部24は、閾値処理により、肺野領域を認識する(ステップ306)。具体的には、CT画像処理部24は、空気のCT値を閾値として設定し、各ピクセルにおけるCT値と閾値とを比較し、CT値が閾値以下のピクセルを抽出し、その抽出したピクセルの領域を肺野領域として認識する。
【0028】
動画像処理部23は、ステップ302により作成された全フレームの動画像について、肺尖部及び横隔膜の位置を検出し、肺尖部から横隔膜までの距離を算出する(ステップ307)。また、CT画像処理部24は、ステップ305により作成されたレイサム画像について、肺尖部及び横隔膜の位置を検出し、肺尖部から横隔膜までの距離を算出する(ステップ307)。具体的には、動画像処理部23は1フレーム目の動画像について、CT画像処理部24はレイサム画像について、ピクセル値に基づき、その値が大きく変化する境界を検出し、肺野領域の上部において肺尖部の座標(位置)を決定し、肺野領域の下部において横隔膜の座標を決定する。そして、動画像処理部23は、1フレーム目の動画像から決定した肺尖部の座標の周辺を関心領域(ROI)として設定すると共に、同様に横隔膜の座標の周辺を関心領域として設定し、2フレーム目以降の動画像について、その関心領域に対して追跡し、ピクセル値が大きく変化する境界を検出し、肺尖部及び横隔膜の座標をそれぞれ決定する。
【0029】
統合部25は、ステップ307において算出した肺尖部から横隔膜までの距離を動画像処理部23及びCT画像処理部24から入力し、レイサム画像における当該距離と動画像の各フレームにおける距離とを比較し、距離が等しいフレームを特定する(ステップ308)。すなわち、CT画像の呼吸レベルと動画像の呼吸レベルとが一致するフレームを、複数のフレームから特定する。
【0030】
統合部25は、レイサム画像をCT画像処理部24から入力し、特定した動画像のフレームとレイサム画像との間で位置合わせを行う(ステップ309)。具体的には、入力した特定フレームとレイサム画像とを少しずつシフト及び回転させながら、各ピクセルにおける両画像のピクセル値の差分を算出し、この差分値の絶対値の総和が最も小さいシフト及び回転位置を求める。この位置を、両画像がマッチングした位置に決定する。つまり、統合部25は、以下の数式のRを、両画像を少しずつシフト及び回転させてそれぞれ求め、Rが最小となるシフト及び回転位置をマッチング位置に決定する。
【数1】
JP0004797173B2_000002t.gif

ここで、Rはピクセル差分値の絶対値の総和、F(x,y)は動画像の特定フレーム、G(x,y)はレイサム画像、Rotationは回転関数(入力は画像及び回転角度、出力は回転された画像)、xは横方向の座標(0<x<M)、yは縦方向の座標(0<y<N)、Mは横方向の画像サイズ(単位はピクセル)、Nは縦方向の画像サイズ(単位はピクセル)、dxは横方向のシフト量(0<dx<10,単位はピクセル)、dyは縦方向のシフト量(0<dy<10,単位はピクセル)、drは回転量(0<dr<5,単位はdeg)とする。
【0031】
尚、統合部25は、入力したフレーム及びレイサム画像の512×512ピクセルの画像サイズを、それぞれ128×128ピクセルの画像サイズに縮小し、この縮小したフレームとレイサム画像とを用いて、マッチング位置を決定するようにしてもよい。これにより、マッチング位置を決定するための時間を短縮することができる。
【0032】
動画像処理部23は、ステップ308において特定した動画像のフレームについて、左肺野領域及び右肺野領域に対してx軸方向に水平なエリア毎に所定の数だけ分割する(ステップ310)。ここで、肺機能における生態上の追従精度の観点からすると、左右の肺野領域に対してそれぞれ8分割するのが好適である。
【0033】
動画像処理部23は、ステップ310において分割したエリア毎に、ピクセル値の平均を算出し、時系列に隣り合う動画像のフレーム間のピクセル値の差分をそれぞれ算出する。また、最大吸気時のピクセル値と最大呼気時のピクセル値との差分も算出する(ステップ311)。具体的には、動画像処理部23は、時系列の動画像フレームにおいて、第1のフレームと第2のフレームとの間のピクセル差分値(ピクセル値の平均の差分値)、第2フレームと第3フレームとの間のピクセル差分値、・・・をそれぞれエリア毎に算出する。また、動画像処理部23は、ステップ307において算出した全ての動画像フレームの肺尖部から横隔膜までの距離から、その距離が最大となるフレームを特定すると共に、その距離が最小となるフレームを特定する。ここで、距離が最大のフレームは、最大吸気時の形態を示し、距離が最小のフレームは、最大呼気時の形態を示している。そして、動画像処理部23は、最大吸気時のフレームのピクセル値と、最大呼気時のフレームのピクセル値との差分であるピクセル差分値をエリア毎に算出する。ここで、動画像処理部23が算出したピクセル差分値は、換気情報となる。
【0034】
統合部25は、胸部分割情報、エリア毎のフレーム間ピクセル差分値、及び最大吸気/呼気時ピクセル差分値を動画像処理部23から入力し、エリア毎のフレーム間ピクセル差分値に応じた濃淡色を動画像に重ね合わせて表示し、また、エリア毎の最大吸気/呼気時ピクセル差分値に応じた濃淡色をコロナル像及び動画像に重ね合わせて表示する(ステップ312)。画面表示の詳細については後述する。
【0035】
〔画面表示〕
図4は、図1に示した表示器17に表示される画面の一例を示す図である。この画面は、オペレータがマウス18やキーボード19を操作することにより表示される。図4において、画面左上の領域401にはCT画像、画面中央上の領域402には動画像、画面左下の領域403にはコロナル像、その右隣の領域404にはサジタル像、その右隣の領域405には領域402と同じ動画像、その右隣の領域406には肺尖部から横隔膜までの距離を示すグラフ、画面右側にはオペレータによる操作領域407~409が表示される。以下、オペレータの操作から画面表示までの動作について説明する。
【0036】
まず、オペレータが領域407のホルダーまたはファイルを選択し、領域409の「Open images」ボタンを押下すると、動画像がHD14(動画像格納部21)から読み出され、領域402,405に表示される。この動画像は、吸気から呼気までの一連の呼吸動作の画像である。同様に、オペレータが領域407において同じ受検者のホルダーまたはファイルを選択し、領域409の「Open CT」ボタンを押下すると、CT画像がHD14(CT画像格納部22)から読み出され、領域401に表示される。領域408には、x軸方向の画像サイズ、y軸方向の画像サイズ、ピクセルサイズ、スライス厚、階調ビット数が設定及び表示される。
【0037】
オペレータが領域409の「Lung area」ボタンを押下すると、動画像の肺野認識が行われるとともに、動画像における横隔膜の位置を計測して移動量が求められ、動画像の各フレームにおける肺尖部から横隔膜までの距離のグラフが領域406に表示される。この場合、オペレータが領域406の下部のスクロールバーを左右に操作すると、スクロールバーの位置に対応した動画像のフレームが領域402,405に表示される。すなわち、オペレータがこのスクロールバーを左端から右端まで移動させると、領域402,405には吸気から呼気までの一連の呼吸動作の動画像が表示される。
【0038】
図5は、図4に示した領域406を拡大したグラフであり、吸気から呼気までの一連の呼吸動作における肺尖部から横隔膜までの距離を示している。○(丸)印の特性は右の肺における前記距離であり、×(バツ)印は左の肺における前記距離である。
【0039】
図4に戻って、オペレータが領域409の「Isotropic data」ボタンを押下すると、CT画像のボクセル化が行われ、コロナル像、サジタル像及びレイサム画像が作成され、コロナル像が領域403に、サジタル像が領域404にそれぞれ表示される。尚、この段階では、領域403,405には、換気情報が重ね合わせ表示されていない。また、レイサム画像は画面には表示されない。この場合、オペレータが領域401の下部のスクロールバーを左右に操作すると、スクロールバーの位置に対応したサジタル像が領域404に表示される。また、オペレータが領域401の右部のスクロールバーを上下に操作すると、スクロールバーの位置に対応したコロナル像が領域403に表示される。また、オペレータが領域404の右部のスクロールバーを上下に操作すると、領域403,404においてスクロールバーの位置に対応したCT画像(アキシャル画像)が領域401に表示される。また、レイサム画像における肺尖部から横隔膜までの距離が計測される。
【0040】
オペレータが領域409の「Registration」のボタンを押下すると、動画像の各フレームにおける肺尖部から横隔膜までの距離と、レイサム画像における肺尖部から横隔膜までの距離とを用いて呼吸レベルが一致する動画像のフレームが特定され、そのフレームが領域402,405に表示される。そして、該画像間で位置合わせが行なわれる。また、領域406のスクロールバーの位置は、その特定フレームに対応した位置となる。尚、この段階では、領域403,405には、換気情報が重ね合わせ表示されていない。
【0041】
オペレータが領域409の「Ventilation」ボタンを押下すると、胸部エリア毎の最大吸気/呼気時のピクセル差分値が換気情報として、領域403のコロナル像及び領域405の動画像の特定フレームに重ね合わせて表示される。また、胸部エリア毎のフレーム間ピクセル差分値が換気情報として、領域405の動画像に重ね合わせて表示される。この場合、オペレータが領域406の下部のスクロールバーを左右に操作すると、スクロールバーの位置に対応した動画像が領域405に表示されると共に、フレーム間ピクセル差分値の換気情報が重ね合わせて表示される。この領域405の動画像により、吸気及び呼気状態を把握することができる。
【0042】
図6は、図4に示した領域403を拡大した図であり、最大吸気/呼気時のピクセル差分値が換気情報としてコロナル像に重ね合わせて表示されている。図6に示すように、換気情報は、左右の胸部をそれぞれ8等分したエリア毎に表示され、ピクセル差分値が大きさに応じて濃淡で示され、ピクセル差分値が大きいほどエリアの色は濃くなっている。また、図7は、図4に示した領域405を拡大した図であり、最大吸気/呼気時のピクセル差分値が換気情報として動画像の特定フレームに重ね合わせて表示されている。図6と同様に、換気情報は、左右の胸部をそれぞれ8等分したエリア毎に表示され、ピクセル差分値が大きさに応じて濃淡で示され、ピクセル差分値が大きいほどエリアの色は濃くなっている。また、中央の山型の曲線は、中央の縦線を0とした各エリアのピクセル差分値を示しており、左側の曲線は左胸部の差分値であり、右側の曲線は右胸部の差分値である。胸部の下部に近いほど、ピクセル差分値が大きくなっているから、エリアの色は濃くなり、曲線は広がっている。
【0043】
図4及び図6を参照して、オペレータが領域403の下部のボタンを押下することにより、領域403において、オリジナルのコロナル像の表示、または、コロナル像及び最大吸気/呼気時のピクセル差分値(換気情報)の重ね合わせ表示を選択することができる。また、図4及び図7を参照して、領域405の下部のボタンを押下することにより、領域405において、動画像の表示、動画像の特定フレーム及び最大吸気/呼気時のピクセル差分値(換気情報)の重ね合わせ表示、または、動画像及びフレーム間ピクセル差分値の重ね合わせ表示を選択することができる。
【0044】
ここで、図には示してないが、領域405において、胸部エリア毎のフレーム間ピクセル差分値が換気情報として動画像に重ね合わせて表示された場合は、ピクセル差分値がプラスのときは呼気フェーズの色、ピクセル差分値がマイナスのときは吸気フェーズの色に分け、さらに、ピクセル差分値の大きさに応じたその色の濃淡で示される。
【0045】
また、領域409において、オペレータの操作により、画面のコントラスト等の設定や表示、ビットマップ等のデータ保存方式の設定やデータの保存等が行われる。
【0046】
以上のように、本発明の実施の形態によるX線診断支援装置1によれば、統合部25が、分割された胸部エリア毎に、胸部の形態情報と換気情報である呼吸性動態情報とを重ね合わせて画面に表示するようにした。これにより、局所的な定量評価を実現し、読影や診断のために有効に利用できる評価結果を得ることが可能となる。
【0047】
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神及び意図を逸脱しない限り、種々変形が可能である。例えば、前記実施の形態では、胸部におけるピクセル差分値を換気情報として形態情報に重ね合わせたが、部位は胸部に限るものではなく、心臓等であってもよく、また、換気情報に限定するものではなく、他の動態情報、例えば、血管の拡散及び縮小に関する情報であってもよい。
【0048】
また、胸部X線動画像の画像サイズ、階調数、フレーム数等の条件、及びCT画像の画像サイズ、階調数、スライス厚等の条件は、前記実施の形態に示した条件に限定されるものではない。また、動画像処理部23により調整される画像サイズ、及びCT画像処理部24によりボクセル化されるスライス枚数は、前記実施の形態に示した画像サイズ及びスライス枚数に限定されるものではない。また、図4,6,7では、換気情報が、左右の胸部をそれぞれ8等分したエリア毎に表示されているが、8等分のエリアに限定されるものではない。
【0049】
尚、X線診断支援装置1は、図1に示したように、CPU11、RAM12等の揮発性の記憶媒体、ROM13等の不揮発性の記憶媒体、マウス18やキーボード19、ポインティングデバイス等の入力装置、画像やデータを表示する表示器17、及び外部の装置と通信をするためのインタフェースI/F15を備えたコンピュータによって構成される。X線診断支援装置1に備えた動画像処理部23、CT画像処理部24及び統合部25の各機能は、これらの機能を記述したプログラムをCPU11に実行させることによりそれぞれ実現される。また、これらのプログラムは、磁気ディスク(フロッピィーディスク、ハードディスクHD14等)、光ディスク(CD-ROM、DVD等)、半導体メモリ等の記憶媒体に格納して頒布することもできる。

図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図5】
3
【図6】
4
【図7】
5
【図4】
6