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明細書 :高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を有効成分とする経口投与型酸化ストレス疾患の処置剤

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-078163 (P2015-078163A)
公開日 平成27年4月23日(2015.4.23)
発明の名称または考案の名称 高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を有効成分とする経口投与型酸化ストレス疾患の処置剤
国際特許分類 A61K  31/787       (2006.01)
A61P   9/00        (2006.01)
A61P   9/10        (2006.01)
A61P  39/06        (2006.01)
FI A61K 31/787
A61P 9/00
A61P 9/10 101
A61P 39/06
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 13
出願番号 特願2013-217433 (P2013-217433)
出願日 平成25年10月18日(2013.10.18)
発明者または考案者 【氏名】長崎 幸夫
【氏名】吉冨 徹
【氏名】島野 仁
【氏名】松坂 賢
【氏名】唐沢 直義
【氏名】岩淵 大輝
出願人 【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110000741、【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086FA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA22
4C086MA52
4C086NA07
4C086NA14
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZC37
要約 【課題】動脈硬化を効果的に処置できる製薬学的製剤の提供。
【解決手段】pHに応答性を示さない高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を経口投与するための有効成分とする酸化ストレスに媒介される循環器疾患の処置用製剤。
【選択図】図7
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式Iで表される高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を経口投与するための有効成分として含む酸化ストレスに媒介される循環器疾患の予防または治療用製剤:
【化1】
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式中、Aは、非置換または置換C-C12アルキルを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基または式RCH-の基を表し、ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表し、
は、結合または連結基を表し、
は、-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)を表し、qは0または1の整数であり、
Xは、Xの総数であるnの少なくとも50%が2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル及び2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基を表し、Xが前記残基以外である場合には、-L-Xがメチル、ハロゲン化メチルまたはヒドロキシメチル基であり、
mは、15~10,000の整数を表し、そして
nは、3~3,000の整数を表す。
【請求項2】
の連結基が(CHS、(CHS(CH、(CHNH、-(CHNH(CH、(CHNHCO、(CHNHCO(CH、(CHNHC(=S)NH、(CHNHC(=S)NH(CH、(CHNHC(=O)NH、(CHNHC(=O)NH(CH、(CHOCO、(CHOCO(CH、(CHO、(CHO(CH、(CHからなる群より選ばれ、ここでc及びdは独立して1~5の整数である、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
Xが、次式
【化2】
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で表され、R’がメチル基を表す、請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
酸化ストレスに媒介される疾患が動脈硬化症である、請求項1~3のいずれかに記載の製剤。
【請求項5】
式Iで表される高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物が、高分子ミセル粒子の形態にある、請求項1~4のいずれかに記載の製剤。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
近年、不規則な生活習慣・老化・社会的ストレスなどにより生体内で過剰に活性酸素種(ROS)が産生し、動脈硬化症や糖尿病などのようなさまざまな慢性疾病やアルツハイマーやパーキンソン病などの難治性疾患をあたえるが明らかとなってきた。低分子抗酸化剤を用いた慢性疾患の予防や治療について検討がなされているものの、高濃度の低分子抗酸化剤は投与後に身体全体に広がり副作用をおよぼす。特に細胞内やそのミトコンドリア内に進入し、電子伝達系などの生体に必須な酸化還元反応を阻害するため、強い毒性があった。また、腎排出や代謝が早いため、生体内での有効濃度を上げにくい問題があった。
【0002】
このような問題点は、例えば、低分子抗酸化剤ともいえる環状ニトロキシドラジカルを両親媒性高分子の疎水性領域と共有結合させて形成した高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物により解決できる(特許文献1参照)。また、当該高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物は水性媒体(水、緩衝化水溶液、生理食塩水、水混和姓有機溶媒、等)中での自己組織化により環状ニトロキシドラジカル結合セグメントがコア領域を占め、一方で親水性セグメントがシェル領域を占める、所謂、高分子ミセル様ナノ粒子を形成し、水性媒体に可溶化乃至均質に分散できる。特許文献1では、このような性質を利用して専ら注射剤(静脈内、動脈内注入剤)、局所投与剤(脳内埋包剤を含む)に調剤することが想定されている。
【0003】
一方、高分子ニトロキシドラジカル化合物、例えば、ポリエチレングリコール-b-ポリ(環状ニトロキシドラジカル共有結合スチレン)から調製したナノ粒子は、デキストラン硫酸(DDS)用いて誘発される潰瘍性大腸炎モデルマウスに投与したとき、DDSによりもたらされる下痢・下血・体重減少スコア、また、潰瘍性大腸炎障害を低分子環状ニトロキシドラジカル化合物に比べて有意に軽減し、また、より強く抑制することが公表されている(特許文献2)。さらに、特許公報2には、上記共有結合がイミノ結合(-NH-)を介するものと、エーテル結合(-O-)を介するものに由来するナノ粒子では、前者(N-RNPともいう)に比べ後者(O-RNPともいう)は潰瘍性大腸炎に対しより高い効果を有することが記載されている。これは、経口投与により消化管におけるpH低下により前者のナノ粒子に比べて後者のナノ粒子が崩壊または解離に対してより強い抵抗性を示すため血中に取り込まれることなく消化管に滞留することによるものと理解される。
【0004】
逆に、N-RNPは、それを経口投与したとき、酸性pH条件下で当該ナノ粒子が崩壊し、高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物が血流中に移行でき、血流中に長期間滞留でき、こうして、がん、炎症部位、酸化ストレス障害部位にデリバリーされ、関節炎、アルツハイマー、動脈硬化が治療できる旨公表されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【0005】

【特許文献1】WO 2009/133647
【特許文献2】特開2012-111700公報
【特許文献3】特開2013-159560公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、N-RNPの静脈内投与により脳梗塞、心筋梗塞等の処置(具体的に
は予防または治療)ができるとことが記載されている。しかし、かような投与は、低分子環状ニトロキシドラジカルに比べて有意に低いとはいえ、認識でき得る程度の血圧変動をもたらす。一方、特許文献3によれば、pHに依存して崩壊しないO-RNP(またはRNP-O)は全く血中に取り込まれないものの、pHに依存して崩壊するN-RNPは効果的に血中に取り込まれ、所期の薬効を示すことが記載されているとともに、動脈硬化モデルマウスに経口投与したとき毒性がないことも記載されている。しかし、可能であるなら、さらに安全に経口投与できる製剤の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、経口投与により全く血中に取り込まれないとされ、消化管に局在すると考えられるO-RNPを動脈硬化モデルマウスに経口投与すると、意外にも、動脈硬化のような循環器系慢性疾患に効果を示すことを見出した。上述のとおりO-RNPが血中に取り込まれないか、或は極めて取り込まれ難いのであれば、それはN-RNPより一層安全に使用できるであろう。
【0008】
したがって、本発明は、下記式Iで表される高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物を経口投与するための有効成分として含む酸化ストレスに媒介される疾患の予防または治療用製剤を提供する。
【0009】
【化1】
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【0010】
式中、Aは、非置換または置換C-C12アルキルを表し、置換されている場合の置換基は、ホルミル基または式RCH-の基を表し、ここで、R及びRは独立して、C-CアルコキシまたはRとRは一緒になって-OCHCHO-、-O(CHO-もしくは-O(CHO-を表し、
は、結合または連結基を表し、
は、-C1-6アルキレン-O-(C1-6アルキレン)を表し、qは0または1の整数であり、
Xは、Xの総数であるnの少なくとも50%が2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル-4-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリジン-1-オキシル-3-イル、2,2,5,5-テトラメチルピロリン-1-オキシル-3-イル及び2,4,4-トリメチル-1,3-オキサゾリジン-3-オキシル-2-イル、2,4,4-トリメチル-1,3-チアゾリジン-3-オキシル-2-イル及び2,4,4-トリメチル-イミダゾリンジン-3-オキシル-2-イルからなる群より選ばれる環状ニトロキシドラジカル化合物の残基を表し、Xが前記残基以外である場合には、-L-Xがメチル、ハロゲン化メチルまたはヒドロキシメチル基であり、
mは、15~10,000の整数を表し、そして
nは、3~3,000の整数を表す。
【0011】
また、好適な態様では、上記式中のLの連結基が(CHS、(CHS(CH、(CHNH、-(CHNH(CH、(CHNHCO、(CHNHCO(CH、(CHNHC(=S)NH、(CHNHC(=S)NH(CH、(CHNHC(=O)NH、(CHNHC(=O)NH(CH、(CHOCO、(CHOCO(CH、(CHO、(CHO(CH、(CHからなる群より選ばれ、ここでc及びdは独立して1~5の整数である。
【0012】
また別の好適な態様では、上記式中のXが、次式
【0013】
【化2】
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【0014】
で表され、R’がメチル基を表す、部分または残基である。
【0015】
また、別の好適な態様では、酸化ストレスに媒介される疾患が動脈硬化症である。
【発明の効果】
【0016】
上記に加え、本発明者等は、最近、RNPの経口投与により腸内細菌の正常化をはかることに成功し、報告した(Journal of Gastroenterology,印刷中)。一方近年、腸内細菌と全身疾患の相関が大きくクローズアプされてきている(Valentina Tremaroli,Fredrik Bauckhed,“Functional interactions between the gut microbiota and host metabolism”,Nature,Vol.489,Sept.13,2013,;文藝春秋、5月号「腸内細菌が寿命を決める」、武藤徹一郎、辨野義己、鳥越俊太郎)。
【0017】
従来、低分子抗酸化剤を用いた酸化ストレス疾患治療・予防が行われてきたものの、その殆どは体内に吸収されて薬効を発揮するものの,同時に副作用を生じていた。してみると、理論により拘束されるものでないが、本発明では消化管、特に腸内粘膜に局在し、腸内細菌の制御により、慢性の循環器疾患を処置することのできる新規の製薬学的製剤を提供するものであり、副作用を抑制し、安全で安心な新しい経口投与製剤が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明で使用する高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物が形成するナノ粒子(O-RNPまたはRNP)と比較ナノ粒子(N-RNPまたはRNP)の概念図。
【図2】O-RNPとN-RNPの経口投与後の血中ESRシグナル強度を示すグラフ。O-RNPとN-RNPをそれぞれ1200mg/kgの濃度でモデル動物に投与した後、示された各時間に採血を行い、その電子スピン共鳴(ESR)スペクトルを測定した結果である。
【図3】放射線同位体125Iで標識化したO-RNPとN-RNPとを用いた経口投与後の体内動態を示すグラフ。一定時間ごとに胃、小腸、盲腸、大腸、肝臓、血液を摘出し、その放射線量をガンマカウンターによって測定した結果である。
【図4】LDLR欠損マウスへのウエスタンダイエット負荷単独(WTD群)および前記負荷に加えRNP経口投与後の動物(WTD/RNP-O)群の体重推移を表すグラフ。
【図5】図4のWTD群およびWTD/RNP-O群における白色脂肪重量(n=9~10)の測定結果を表すグラフ。
【図6】図5の白色脂肪重量に代え肝臓の重量(n=9~10)の測定結果を表すグラフ。
【図7】RNP経口投与による動脈硬化治療効果を表す図(大動脈のSUDAN IV染色図)に変わる写真および大動脈全長の動脈病変の形成データを表すグラフ。

【0019】
<発明の詳細な記述>
本発明の理解を容易にするために、本発明で使用する典型的な化合物および比較化合物を例に、図1に示す概念図、また図2~図3に示すデータ(これらの図は、特許文献3の図1~3を採録する)を参照しながら説明する。本発明者等が、水性媒体(水、緩衝化した水、生理食塩水、水混和性有機溶媒含有水溶液、等)中でpHの変化に応答して崩壊するナノ粒子と崩壊しないナノ粒子を作製し、この2つのナノ粒子を経口投与すると、図2および図3に示すようにpH崩壊型ナノ粒子(N-RNP)(比較例)は効果的に血中に取り込まれるものの、pHで崩壊しない本発明の有効成分たるナノ粒子(O-RNP)は実質的に血中に取り込まれない。それにもかかわらず、本発明で有効成分として用いられるO-RNPは、後述するように酸化ストレスに媒介される循環器系疾患に効能を有する。このような循環器系疾患の典型例として、動脈硬化症を例に挙げ本発明をより具体的に説明するが、一旦、O-RNPが経口投与により動脈硬化症を予防または治療できることが確認できれば、特許文献1等で、静脈注入によりO-RNPまたはN-RNPが効能を有することが示された他の循環器系疾患もO-RNPの経口投与により処置できることが確認されたのと同然であろう。
【0020】
したがって、本発明にいう、酸化ストレスに媒介される循環器系疾患には、動脈硬化症、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、糖尿病、がん、老化等が包含される。
【0021】
本発明に関して、動脈硬化症の語は当該技術分野で常用されている意味で用いられているが、一般に、動脈硬化によって引き起こされる病態を意味し、ここで、動脈硬化は動脈が肥厚し硬化した状態を意味する。本発明に関して、動脈硬化症と動脈硬化は互換可能なものして使用される場合もある。
【0022】
本発明に関して、予防または治療用製剤とは、広く動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトを対象として使用するための製薬学的製剤を意味する。
【0023】
本発明でより好適に使用できる、高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物は、式IのXが、独立して、Xの総数であるnの少なくとも50%、好ましくは70%以上、より好ましくは85%以上、最も好ましくは95%以上または100%であるものであり、mは、15~10,000の、好ましくは20~5,000の、より好ましくは20~1,000の、最も好ましくは20~500の整数であり、かつ、nは、独立して、3~1,000、好ましくは、3~500、より好ましくは3~100の整数である、ものを挙げることができる。
【0024】
-C12アルキルまたはC-Cアルコキシ中のアルキル基は、直鎖または分岐鎖であることができ、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルであることができ、前者はさらに、ヘキシル、デシル、オクチル、ウンデシルであることができる。C1-6アルキレンは、限定されるものではないが、メチレン、1,2-エタンジイル、1,2-プロパンジイル、1,3-プロパンジイル、1,4-ブタンジイル、等の対応するC1-6アルキルのジイル基を挙げることができ
る。
【0025】
このような高分子環状ニトロキシドラジカル化合物は、上記特許文献1に記載されおりそれ自体公知であり、記載されている方法により製造できる。また、特許文献1に記載されているとおり、このような高分子環状ニトロキシドラジカル化合物は水性媒体中で自己組織化され、上述したように、親水性のポリエチレン(PEG)セグメントでシェル領域または表層を形成し、環状ニトロキシドラジカル結合セグメントがコア領域を形成する、所謂、コア-シェル型高分子ミセルであって、DLS測定による平均直径が、一般に、30nm~100nmを有するナノ粒子を形成するものと理解されている。本発明にいう、高分子ミセルまたは高分子ミセル粒子は、かようなナノ粒子を意味する。
【0026】
本発明の製剤では、剤形により、高分子環状ニトロキシドラジカル化合物は、例えば、水性媒体中では、上記のような自己組織化した高分子ミセルの形態で存在することができ、また、液体、ゲルまたは固体製剤では、如何なる状態の当該化合物を含むこともできるが、水性媒体中で一旦、高分子ミセルを形成した後、凍結乾燥等により乾燥したものを含めるのが好ましい。
【0027】
当該製剤は、本発明の目的に沿う限り、当該技術分野で周知の経口製剤に含めることのできる希釈剤、賦形剤、添加剤を含めることができるが、上記凍結乾燥物それ自体であることもできる。本発明の経口投与用製剤が、固形である場合、高分子環状ニトロキシドラジカル化合物を、ショ糖、乳糖、マンニトール、セルロール、トレハロース、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、グリセリド等から選ばれる1種以上の組み合わせで含むことができる。さらに、他の不活性希釈剤、ステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤、パラベン、ソルビン酸、α-トコフェロールのような保存剤、システインのような抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、緩衝剤、甘味料、なども含めることができる。
【0028】
経口投与用液体製剤は、生理学的に許容される、乳剤、シロップ、エリキシル剤、懸濁剤および溶液製剤を包含する。これらの製剤は、一般に使用されている、不活性希釈剤、例えば、水、特に滅菌水、脱イオン水、を含むことができる。このような水溶液には、上述した、糖類や分子量200~100,000程度のポリエチレングリコールを含めることもできる。
【0029】
当該高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物の経口投与での用量は、処置される患者の年齢、重篤度および応答性等に応じて変動するが、一般には、イン ビトロ(in vitro)およびイン ビボ(in vivo)動物モデルで有効であることが確認されるEC50値に基づき、専門医または臨床医が決定できる。限定されるものでないが、一般に、体重1kg当り、0.01μg~1000mg、好ましくは0.1μg~500mg、より好ましくは10μg~100mgであることができる。投与スケジュールもイン
ビボ(in vivo)動物モデル試験の結果を参照に決定できる。
【0030】
<発明を実施するための具体例>
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明をこれらの態様に限定することを意図するものではない。なお、説明を簡潔にするため、高分子化環状ニトロキシドラジカル化合物としては、上記特許文献1(引用することにより、開示事項は、本明細書の内容となる)の製造例3に従い製造されたメトキシPEG-b-PCMS-O-TEMPOから製造例5に従い調製されたナノ粒子(以下、RNPという)を用いた例を中心に説明する。
【0031】
メトキシPEG-b-PCMS-O-TEMPOのMn=9000である。そのうち、PEGの分子量は、5000、PCMS-O-TEMPOの分子量は、4000であった
。RNPの平均経40nmであった。
【0032】
試験例1:RNPの動脈硬化抑制作用の検討
ウエスタンダイエット負荷LDLR(低比重リポ蛋白受容体)欠損マウスモデルの作製と治療効果
LDLR欠損マウス(雄8週齢、WTD群が10匹、WTD/RNP-O群が9匹)にウエスタンダイエット(Western diet)(34%ショ糖、21%脂肪、0.15%コレステロール)負荷した動脈硬化モデル(WTD群)を用い、RNPの動脈硬化に対する作用を検討した。上記の負荷とともに3.125mg/mLのRNPを飲水ボトルにより自由飲水にて投与した(WTD/RNP-O群)。投与から12週間後に体重の推移、白色脂肪重量、肝臓の重量および動脈硬化病変の形成を評価した。それぞれの結果を図4、図5、図6、図7に示す。
【0033】
図4から、WTD/RNP-O群では、WTD群に比較して体重推移に有意差がなく、図5および図6からWTD/RNP-O群では、WTD群に比較して白色脂肪量および肝臓重量に有意差がなく、経口投与によるRNPに毒性は認められなかった。
【0034】
図7から、大動脈全長および大動脈起始部の切片どちらにおいても、RNPOの投与で動脈硬化病変の形成が抑制される傾向が認められる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6