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明細書 :スルホニル基を含む非イオン性高分子からなる電着塗料組成物

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2017-025176 (P2017-025176A)
公開日 平成29年2月2日(2017.2.2)
発明の名称または考案の名称 スルホニル基を含む非イオン性高分子からなる電着塗料組成物
国際特許分類 C09D 181/06        (2006.01)
C09D   5/44        (2006.01)
C09D 141/00        (2006.01)
C09D 179/00        (2006.01)
FI C09D 181/06
C09D 5/44 B
C09D 141/00
C09D 179/00
請求項の数または発明の数 9
出願形態 OL
全頁数 10
出願番号 特願2015-143721 (P2015-143721)
出願日 平成27年7月21日(2015.7.21)
発明者または考案者 【氏名】高須 昭則
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4J038
Fターム 4J038CG141
4J038CH261
4J038DJ011
4J038DK011
4J038MA07
4J038MA10
4J038MA14
4J038NA03
4J038PA04
4J038PB07
要約 【課題】防錆とカラー塗装工程を兼ねる電着塗料組成物の提供。
【解決手段】主鎖または側鎖にスルホニル基を有する高分子を用いる、カチオン型、アニオン型の電着塗装の欠点を同時に克服する電着塗料組成物。前記高分子が、ポリ(エステル-スルホン)又は、側鎖にスルホニル基を有するポリメタクリレートなどのビニルポリマー或いはポリオキサゾリンである、電着塗料組成物。
【効果】非イオン性(中性)高分子においては、色は透明~白色であり、かつ塗膜は中性であるために鉄を錆びさせる心配も無い。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
一般式(1)で表されるスルホニル基を含む非イオン性の高分子を含む電着塗料組成物。
【化1】
JP2017025176A_000003t.gif

【請求項2】
前記高分子が一般式(2)で表されるポリ(エステル-スルホン)である請求項1に記載の電着塗料組成物。
【化2】
JP2017025176A_000004t.gif

【請求項3】
前記高分子が一般式(3)で表されるポリメタクリレートなどのビニルポリマーである請求項1に記載の電着塗料組成物。
【化3】
JP2017025176A_000005t.gif

【請求項4】
前記高分子が一般式(4)で表されるポリオキサゾリンである請求項1に記載の電着塗料組成物。
【化4】
JP2017025176A_000006t.gif

【請求項5】
前記高分子の数平均分子量が3000以上であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3または請求項4記載の電着塗料組成物。
【請求項6】
前記高分子を含む分散液が、アルコールおよび水などのプロトン性溶媒を含むことを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の電着塗料組成物。
【請求項7】
前記分散液の良溶媒/貧溶媒の質量比が3/1~1/3であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の電着塗料組成物。
【請求項8】
前記高分子と、分散液中の良溶媒と貧溶媒を加えた質量比が3/1000~12/1000であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6または請求項7に記載の電着塗料組成物。
【請求項9】
顔料と非イオン性高分子との質量比が1/1~1/50であることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5、請求項6、請求項7または請求項8記載の電着塗料組成物。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スルホニル基を含む非イオン性(中性)高分子からなる分散安定性に優れる電着塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の防錆を主目的として広く使用されている電着塗装は原理上、塗膜の色や被塗物の材質に大きな制限がある。長年、この欠点を当たり前の様に許容してきた点に技術革新に繋がる盲点がある。電着塗装において、下塗りのカチオン型電着塗装は黒色のため、その後、まずカラーのベースとなる白~グレー系の中塗りと、カラー・耐候用途の上塗り工程が必要であった。中塗り・上塗り工程においては、下塗り塗膜があるために被塗物に通電されず、電着塗装は行えなかった(特許文献1参照)。一方、アニオン型電着塗装においては、塗膜が透明で耐候性が高いという利点があるが、原理上、塗膜自身が酸性であるため、被塗物の材質において大部分を占める鉄は錆び、防錆用途としては使えないことが問題となっていた(特許文献2参照)。
【0003】
本願発明者は独自手法により合成した『ポリ(エステル-スルホン)などスルホニル基を含む非イオン性の高分子』が電気泳動する事実を発見した(非特許文献1-4参照)。これを用いた、非イオン性(中性)の電着塗料組成物は、従来の電着塗装の宿命的欠点を克服し、防錆とカラー塗装工程を兼ねる革新的な電着塗装技術を開発する余地が出てきた。
【0004】
本願発明者はすでに、チオール-エンクリック反応と酸化反応を経由して合成したポリ(エステル-スルホン)(数平均分子量1万~5万)がジメチルホルムアミド(DMF)などの非プロトン性極性溶媒とアルコールからなる分散液にて電気泳動することを見出した(非特許文献1、2参照)。また、側鎖にスルホニル基を有するポリアクリレート(非特許文献3参照)やポリオキサゾリン(非特許文献4参照)も同条件で電気泳動することを見出した。
【0005】
本発明の非イオン性(中性)高分子においては、色は透明~白色であり、かつ非イオン性故に塗膜は中性であるために鉄を錆びさせる心配も無い。つまりカチオン型、アニオン型の電着塗装の欠点を同時に克服する技術である点に優位性がある。
【先行技術文献】
【0006】

【特許文献1】特開2014-80637公報
【特許文献2】特開2013-234257公報
【0007】

【非特許文献1】Nagao, Y.; Takasu, A.; Boccaccini, A. R. Macromolecules 2012, 45, 3326-3334.
【非特許文献2】Fukuoka, T.; Takasu, A. RSC Advances2014, 31, 15983-15994.
【非特許文献3】Hayashi, T.; Takasu, A. Polym. Chem. 2015, 6, 4336-4342.
【非特許文献4】Kameyama, T.; Takasu, A. Biomacromolecules 2015, 16, 1259-1266.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであり、電気化学的安定性、分散安定性に優れた非イオン性(中性)の電着塗料組成物を提供することを目的とする。また、ポリエステルベースの高分子を用いることにより、下塗りと中塗りの工程を同時に行うことができ、省エネ効果も期待できる。さらに、塗料が中性であり、塗装設備の腐食、損傷を大幅に抑制できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、スルホニル基を含む非イオン性(中性)高分子を電着塗料に応用する技術であり、顔料と非イオン性高分子との混合体、もしくは高分子単体を電着塗料とするものである。
【0010】
上記、顔料は酸化チタンやカーボンブラックを含むのが好ましい。
【0011】
本発明において用いられるポリ(エステル-スルホン)は特に制限はなく、合成されたポリマーまたは化合物に主結合としてスルホニル基が含まれていればよく、スルホニル基以外の結合が含まれることを除外するものではない。このポリエステルは、ジチオールとジカルボン酸のジアルキニル化合物により生成すれば、芳香族、脂肪族またはこれらの混合のいずれでもよい。このポリ(エステル-スルホン)の数平均分子量(Mn)は、実用的には5000以上、特に10000以上であることが望ましい。
【0012】
このスルホニル基を有するポリエステルの合成に用いるジチオール、ジカルボン酸誘導体については特に制限はないが、1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオール、1,6-へキサンジチオール、デカメチレンジチオール、ネオペンチルジチオール、1,4-シクロへキサンジチオール、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フタル酸などやこれらの無水物、例えば、無水コハク酸、無水アジピン酸を用いてもよい。また、複数種のこれらを用いてもよい。
【0013】
本発明において用いられるポリメタクリレートは特に制限はなく、合成されたポリマーまたは化合物に主結合としてスルホニル基が含まれていればよく、スルホニル基以外の結合が含まれることを除外するものではない。このポリメタクリレートは、付加重合により生成すれば、芳香族、脂肪族またはこれらの混合のいずれでもよく、他のビニルモノマーとの共重合体である場合も含む。このポリメタクリレートの数平均分子量(Mn)は、実用的には5000以上、特に7000以上であることが望ましい。
【0014】
本発明において用いられるポリオキサゾリンは特に制限はなく、合成されたポリマーまたは化合物に主結合としてスルホニル基が含まれていればよく、スルホニル基以外の結合が含まれることを除外するものではない。このポリオキサゾリンは、2-オキサゾリン類の開環重合により生成すれば、芳香族、脂肪族またはこれらの混合のいずれでもよい。このポリオキサゾリンの数平均分子量(Mn)は、実用的には3000以上、特に8000以上であることが望ましい。
【0015】
本発明の分散液に使用される溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、水、アセトニトリル、特にアルコール類(メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)、プロパノール、ブタノール(n-BuOH)、ペンタノール、ヘキサノール)などや多価のアルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンを用いてもよい。また、複数種のこれらを用いてもよい。
【0016】
本発明は、上記の電着塗料組成物を用いて、各種電極基板をコーティングする技術である。スルホニル基を含む高分子の使用量は、生成する組成物に対して、5重量%以下であることが望ましい。塗料と顔料の投入量は、ほぼ化学量論比とすることが好ましい。重合においては、上記の成分以外に溶媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、結晶核剤を適宜使用してもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電着塗料組成物は、溶媒の条件により長時間静置させた場合であっても沈殿物が少ない。そのため、電着塗料組成物の貯蔵および電着塗装における電着槽の常時撹拌を必要とせず、撹拌を省略、または断続的に撹拌するだけでよい。これにより、電着塗装における塗装コストを大幅に削減することができる。さらに、溶媒の種類によっては一旦沈降した顔料が強固に凝集しないという特徴がある。そのため、顔料が一旦沈降した場合であっても、沈降した顔料を容易に再分散させることができる。加えて、顔料(例えば、酸化チタン顔料)濃度が高い場合であっても分散安定性に優れるという特徴も有している。
【0018】
本発明に係る電着塗料組成物である非イオン性(中性)高分子は、色は透明~白色であり、かつ非イオン性故に塗膜は中性であるために鉄を錆びさせる心配も無い。つまり、上記のようなカチオン型、アニオン型の電着塗装の欠点を同時に克服する技術である点に優位性がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明では、電着装置はいかなるものであってもよいが、分散液の貧溶媒として水およびアルコールなどのプロトン性溶媒を用いることが適している。

【0020】
電着塗料組成物は、水混和性有機溶剤、界面活性剤、酸化防止剤、および紫外線吸収剤などの常用の塗料用添加剤を含むことができる。

【0021】
本発明に係る電着塗料組成物による被塗物への電着塗装は、周知の方法によって実施することができる。被塗物は、予めリン酸亜鉛処理等の表面処理が施された導体であることが好ましい。導体は、電着塗装に際し陽極になり得るものであれば特に制限はないが、金属基材であることが好ましい。

【0022】
電着塗装の際の印加電圧は大きく変化させてもよく、1ボルト~数百ボルトの範囲であればよい。電流は通常約10アンペア/m~160アンペア/mであり、電着中に減少する傾向にある。

【0023】
(電着塗料組成物)
本発明に係る電着塗料組成物は、スルホニル基を有する高分子、顔料または/および顔料沈降防止剤の混合物である。本電着塗料組成物は電着塗装を包含する概念で用いている。

【0024】
本発明において、上記顔料以外の顔料を併用することができる。この顔料としては、例えば、チタンホワイト、カーボンブラック及びベンガラのような着色顔料、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、リン酸カルシウム、亜リン酸亜鉛、シアン化亜鉛、酸化亜鉛、トリポリリン酸アルミニウム、モリブデン酸亜鉛、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸カルシウム及びリンモリブデン酸アルミニウム、リンモリブデン酸アルミニウム亜鉛のような防錆顔料、などが挙げられる。必要に応じて、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロー、ベンズイミダゾロンイエロー、キナクリドンレッド、モノアゾレッド、ポリアゾレッド、またはベリレンレッドなどの有機顔料を用いてもよい。例えば、着色顔料である酸化チタンを用いることによって、白色性が高く隠蔽力の高い電着塗膜を得ることができる。さらに、防錆顔料であるリン酸アルミニウムまたはモリブデン酸カルシウムなどを用いることによって、塗膜の防錆性を向上させた塗膜物性に優れる電着塗膜を得ることができる。なお、防錆顔料については、含有量が顔料の1/10程度であるため、沈殿形成にはほとんど関与しないと考えられる。

【0025】
一般に、電着塗料組成物における顔料は、顔料とスルホニル基を含む高分子の樹脂固形分との質量比は1/10ほどの割合で電着塗料組成物に含有される。これに対して、本発明に係る電着塗料組成物は、顔料とバインダー樹脂の樹脂固形分との質量比が1/1~1/50、顔料濃度が非常に高い電着塗料組成物においても、良好な分散安定性、および再分散性を確保することができるという特徴を有している。このように、顔料濃度が高い電着塗料組成物を用いることにより、極めて高い耐食性を有する、顔料分散安定性に優れた電着塗料組成物を調製できるという利点がある。なお、顔料成分が少ないほど沈降量が減少するため高い再分散性が得られる傾向にあるが、耐食性や塗装作業性も低下してしまう傾向にある。このため、再分散性と耐食性、塗装作業性とを両立させるために、質量比を上記範囲とすることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明に係る電着塗料組成物の化学構造を示す図であり、a-gは1H NMRの帰属を示す。
【図2】図2は、合成したポリ(エステル-スルホン)の電着前後の1H NMR (プロトン核磁気共鳴)スペクトルを示す図である。上図は想定するポリ(エステル-スルホン)の構造を示し、a-gは1H NMRの帰属を示す。
【図3】図3は、本発明に係る電着塗料組成物の生成工程における化学構造を示す図である。
【図4】図4は、本発明に係る電着塗料組成物を使用して電着塗装した状態を示す図であり、左側が陰極、右側が陽極、を示す。

【実施例1】
【0027】
以下、実施例にてポリ(エステル-スルホン)を用いた場合について詳説するが、本発明を限定することを意図するものではない。
本実施例では、アルコールとして3-ブテン-1-オール(東京化成工業社製)を用い、ジカルボン酸としてメチルコハク酸(東京化成工業社製)、ジチオールとして1,4-ブタンジチオール(和光純薬工業社製)を用いた。触媒としてはトリフルオロメタンスルホン酸スカンジウム(東京化成工業社製、以下「Sc(OTf)3」と略す。) を用いた。また、EPD(Electrophoretic Deposition:電気泳動)の際に良溶媒としてN,N-ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製、以下「DMF」と略す。)、N,N-ジメチルアセトアミド(関東化学株式会社製、以下「DMAc」と略す。)、ジメチルスルホキシド(和光純薬工業社製、以下「DMSO」と略す。)、貧溶媒としてn-ブタノール(和光純薬工業社製、以下「n-BuOH」と略す。)、エタノール(和光純薬工業社製、以下「EtOH」と略す。)、メタノール(和光純薬工業社製、以下「MeOH」と略す。)を用いた。
【0028】
(ポリ(エステル-スルホン)の合成)
メチルコハク酸と3-ブテン-1-オールを減圧下で縮合させ、モノマーであるBis(butenyl) methylsuccinate (以下「BEM」と略す。)を合成した(収率55%)。モノマーの構造は1H NMR(プロトン核磁気共鳴)によって確認した。その後、BEMと1,4-ブタンジチオールを用いてチオール・エンクリック反応によりポリ(エステル-スルフィド)を合成した(収率97%)。また、このポリマーをDMF中でオキソン酸化させることにより目的のポリ(エステル-スルホン)を得た(収率60%, Mn=2.2×104、図3参照)。合成したポリマーはそれぞれ1H NMRとFT-IR(フーリエ変換赤外分光法)により構造を確認した。
【0029】
(ポリ(エステル-スルホン)の電着挙動)
得られたポリ(エステル-スルホン)を良溶媒であるN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かし、そこに貧溶媒を滴下しポリマーの分散液を得た。貧溶媒として用いたのはn-ブタノール(n-BuOH)、メタノール(MeOH)、エタノール(EtOH)であり、溶媒の混合比を変えて分散液を調製した。この調整は、室温にて行った。ただし、室温にて溶解しない場合には約65℃の熱を加え、良溶媒にポリ(エステル-スルホン)を溶かし、その後室温まで冷し、貧溶媒を滴下して分散液を調整する。
得られた分散液にステンレス板を挿し込み電場を印加してEPDを行ったところ、すべての系でポリ(エステル-スルホン)がAnode選択的に電気泳動した(表1参照)。
この際、極板間の距離は6.5mm~7.5mmとすることが望ましく、印加する電圧は、ポリ(エステル-スルホン)により異なるため、10~250V程度の範囲で行う。
また、それぞれのゼータ電位の値とEPDの結果を比較し、電気泳動に与える影響を考察した。その結果、アルコールの種類によりゼータ電位、堆積量、初期電流値が変化することがわかった(表1参照)。特にDMF/MeOH=2/2(v/v)におけるサンプルでAnodeへの堆積量が多く、厚い膜を得ることができた(図4参照)。
また、生成された高分子と顔料との混合率は1:1としており、6:20である場合に、厚い膜を得ることができた。
また、良溶媒としてジメチルスルホキシド(DMSO)、ジメチルアセトアミド(DMAc)を用いて同様にEPDを行ったが、全てのサンプルにおいてAnode選択性を示した。しかし、良溶媒の種類によっては堆積膜にひびが入り易いなどの変化があった(表1中の試料12参照)ため、その原因を今後検討する必要がある。
【0030】
【表1】
JP2017025176A_000002t.gif

【0031】
なお、DMF/貧溶媒の(v/v)を、生成が容易である3/1~1/3とした。この比率外であると、生成が困難となる。
また、貧溶媒そのものが、アルコールおよび水のプロトン溶媒である。
また、非イオン性高分子と良溶媒+貧溶媒の質量比は6/1000であり、条件によっては2倍の12/1000あるいは半分の3/1000濃度とすることは自由である。
また、一般式2(化2)、図1、図3において、「n」は20~120程度、一般式3(化3)において、「n」は25~100程度、一般式4(化4)において、「n」は30~45程度である。
【0032】
本発明に係る電着塗料組成物は、長時間静置させた場合であっても安定であった。また、電着後のサンプルを回収し、1H NMRスペクトルを測定したところ、構造に変化がなく、電気化学安定性にも優れるという特徴も有している。
【0033】
上記、本例は、顔料である酸化チタン存在下でも同様の実験結果が得られており、下塗りと中塗りを1工程とすることが可能であると判断できる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明に係る電着塗料組成物は、長時間静置させた場合であっても沈殿物が少ない。そのため、電着塗料組成物の貯蔵における常時撹拌、および電着塗装における電着槽の常時撹拌を必要とせず、撹拌の省略、または断続的に撹拌するだけでよい。これにより、電着塗装における電気使用量などの塗装コスト、電気使用に基づくCO排出量を、大幅に削減することができる。本発明に係る電着塗料組成物の非イオン性(中性)高分子は、色は透明~白色であり、かつ非イオン性故に塗膜は中性であるため、下塗りと中塗りを同時に行うことができ、塗装設備を錆びさせる心配も無い。つまり、カチオン型、アニオン型の電着塗装の欠点を同時に克服する技術である点に優位性がある。また、主鎖中に硫黄が含まれているが、細胞毒性が低く、バイオマテリアルとして有用であることが確認できた。
このため、酸化チタンと複合膜化技術(白色電着塗料、セルフクリーニング膜の形成、色素増感太陽電池の光電極の形成)、電気泳動方式の電子ペーパー技術、生体活性ガラスとの複合化の技術(骨・歯再生促進のためのインプラント)への応用


H2O




DMSO




DMF


も可能である。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3