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明細書 :糖誘導体またはその塩、それらを用いた抗菌剤または抗菌活性増強剤、およびこれらを合成する試薬、試薬を用いたこれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-053152 (P2016-053152A)
公開日 平成28年4月14日(2016.4.14)
発明の名称または考案の名称 糖誘導体またはその塩、それらを用いた抗菌剤または抗菌活性増強剤、およびこれらを合成する試薬、試薬を用いたこれらの製造方法
国際特許分類 C08B  37/16        (2006.01)
A61K  31/724       (2006.01)
A61P  31/04        (2006.01)
FI C08B 37/16
A61K 31/724
A61P 31/04
請求項の数または発明の数 14
出願形態 OL
全頁数 27
出願番号 特願2015-144064 (P2015-144064)
出願日 平成27年7月21日(2015.7.21)
優先権出願番号 2014151515
2014181267
優先日 平成26年7月25日(2014.7.25)
平成26年9月5日(2014.9.5)
優先権主張国 日本国(JP)
日本国(JP)
発明者または考案者 【氏名】山村 初雄
【氏名】宮川 淳
出願人 【識別番号】304021277
【氏名又は名称】国立大学法人 名古屋工業大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C086
4C090
Fターム 4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086EA22
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZB35
4C090AA02
4C090AA09
4C090BA10
4C090BB62
4C090BB72
4C090BB77
4C090BB94
4C090BB99
4C090DA23
要約 【課題】合成が容易で、安価に大量合成が可能な化合物、その抗菌剤及び他の抗菌剤の活性を増強する物質、更にそれらを合成するための試薬と製造方法を提供する。
【解決手段】下記式で示される抗菌または抗菌活性増強作用のある誘導体又はその塩。
JP2016053152A_000036t.gif
(Rはアミノ酸由来又はC2以上のアミノアルキル基の、アミノ基を含む構造;R及びRはH又はアシル基;Rは少なくとも1つのアミノ基を持つアミノ酸を含むことが好ましく、それをリジンとする;R及びRはアセチル基、イソブチリル基又はブチリル基;nは2以上の整数)
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
下記の化1の一般式で示される、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体又はその塩である。
【化1】
JP2016053152A_000029t.gif

(式中のRは、アミノ酸由来のまたは炭素数2個以上のアミノアルキル基の、アミノ基を含む構造を示し、式中のR、Rは水素またはアシル基を示す。式中のR、Rは同一でも良いし、異なっても良い。式中のnは2以上の整数を示す。)
【請求項2】
下記の化2の一般式で示される請求項1に記載の糖誘導体又はその塩。
【化2】
JP2016053152A_000030t.gif

(式中のRはアルキレン基を示し、RはNHにアミド結合したアミノ酸を示す。)
【請求項3】
、Rは炭素数が2~4個であるアシル基であることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩。
【請求項4】
前記一般式中の単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗菌剤または抗菌活性増強剤。
【請求項6】
下記の化3の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬。
【化3】
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(式中のRはアルキレン基を示し、RはNHにアミド結合したアミノ酸を示す。R中のアミノ酸のアミノ基は脱保護可能な置換基に結合してよい。)
【請求項7】
請求項6に記載の試薬と、下記の化4の一般式で示される糖のアジ化物とを反応させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の製造方法。
【化4】
JP2016053152A_000032t.gif

(式中のR、Rは水素またはアシル基を示す。式中のR、Rは同一でも良いし、異なっても良い。式中のnは2以上の整数を示す。)
【請求項8】
下記の化12の一般式で示される、抗菌作用のある請求項1に記載の糖誘導体又はその塩。ここで、トリアゾール環の窒素は単糖の一級水酸基と置換している。Rは炭素数2個以上のアルキル基であり、芳香族環を含んで良い。一級アミノ基(NH)はR中の、トリアゾール環に隣接する炭素から末端の炭素、までのいずれかに結合する。nは2以上の整数を示す。
【化12】
JP2016053152A_000033t.gif

(Rは炭素数2個以上のアルキル基を示し、芳香族環を含んで良い。一級アミノ基(NH)はR中の、トリアゾール環に隣接する炭素から末端の炭素、までのいずれかに結合する。nは2以上の整数を示す。)
【請求項9】
は炭素数が2~9個であるアルキル基であることを特徴とする請求項8に記載の糖誘導体又はその塩。
【請求項10】
NHは、2-アミノフェニルエチル基、2-アミノフェニルプロピル基、2-アミノシクロヘキシルエチル基、2-アミノ-n—ヘプチル基、または7-アミノ-n—ヘプチル基であることであることを特徴とする請求項8乃至9のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩。
【請求項11】
前記一般式中の単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩。
【請求項12】
請求項8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗菌剤。
【請求項13】
下記の化13の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、請求項1または8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬。
【化13】
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(式中のRは炭素数2個以上のアルキル基を示し、芳香族環を含んで良い。式中の一級アミノ基(NH)はR中の、エチニル基に隣接する炭素から末端の炭素までのいずれか、に結合する。式中の一級アミノ基は脱保護可能な置換基に結合して良い。)
【請求項14】
請求項13に記載の試薬と、下記の化4の一般式で示される糖のアジ化物とを反応させることを特徴とする請求項1または8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の製造方法。
【化4】
JP2016053152A_000035t.gif

(式中のR、Rは水素またはアシル基を示す。式中のR、Rは同一でも良いし、異なっても良い。式中のnは2以上の整数を示す。)
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、糖誘導体またはその塩、それを用いた抗菌剤または抗菌活性増強剤、およびこれらの合成試薬、合成試薬を用いた糖誘導体またはその塩、それを用いた抗菌剤または抗菌活性増強剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ペニシリンの発見以来、様々な抗生物質や合成抗菌薬が開発され、感染症治療のために使用されてきた。しかし、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に代表される既存の抗菌薬に対して耐性を持つ多剤耐性菌が深刻なまでに増加し、新たな抗菌薬の発展が渇望されている。
【0003】
一般に薬剤耐性が起こりにくい抗菌物質として、ポリミキシンBなどの膜作動型機構により抗菌性を示す物質が存在する。しかし、これらは複雑な構造を有する天然物であり、単離したり、人工合成したりすることは困難である。このため、人工的な抗菌性物質を合成することも行われており、特異な化学構造を有するシクロデキストリンを化学修飾して抗菌剤として用いることが行われている(例えば特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】国際公開番号WO2006/075580(特許5098015号)
【特許文献2】国際公開番号WO2006/083678
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
抗菌作用のメカニズムが詳細には解明されていないことが多く、人工的な抗菌性物質を合成しようとしても、どのような化学構造としたらよいのかが分からないという問題がある。こうした人工的な抗菌性物質の問題ゆえに、抗菌剤は天然物から得られた抗菌物質と類似の化合物を合成し、その抗菌活性を調べることが主流とされていた。
また、たとえ人工的な抗菌性物質を見出したとしても、複雑な合成プロセスが必要であって技術的な困難性を有するのでは、製造コストが高騰化するという問題がある。さらには、ペプチドからなる抗菌剤ではアミノ酸配列を変化させることで二次構造も変化してしまう可能性が高く、その場合、細菌の細胞膜との相互作用に影響を生じ、抗菌性を消失すると考えられる。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、抗菌性に優れ、少ないプロセスのために合成が容易で安価に大量合成が可能な化合物を一般式で特定し、その化合物を用いた抗菌剤及び他の抗菌剤の活性を増強する物質を提供し、それらを合成するための試薬と製造方法を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための手段として、まず抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩を一般式で提供する。さらに、この糖誘導体またはその塩を合成する試薬を一般式で提供する。これにより合成プロセスを明確にし、少ないプロセスとする。これにより、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩を、合成が容易で安価に大量合成が可能な生産方法を提供する。
発明1は、下記の化1の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体又はその塩である。ここで、単糖の一級水酸基にはアミノ基を含む構造(R)を結合したトリアゾールが置換している。このアミノ基を含む構造は例えばアミノ酸由来であり、または炭素数2個以上のアミノアルキル部を含む基である。R、Rは水素またはアシル基であり、単糖の二級水酸基の水素原子と置換している。R、Rは同一でも良いし、異なっても良い。nは2以上の整数を示す。
【化1】
JP2016053152A_000002t.gif

発明2は、化2の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した抗菌または抗菌活性増強作用のある発明1に記載の糖誘導体又はその塩である。ここで、Rはアルキレン基であり、RはNHにアミド結合したアミノ酸を示す。
【化2】
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発明3は、R、Rは炭素数が2~4個であるアシル基であることを特徴とする発明1乃至2のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩である。
発明4は、単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩である。
発明5は、発明1乃至4のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗菌剤または抗菌活性増強剤である。
発明6は、化3の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、発明1乃至4のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬である。ただし、Rはアルキレン基を示し、RはNHにアミド結合したアミノ酸を示す。R中のアミノ酸のアミノ基は脱保護可能な置換基に結合してよい。
【化3】
JP2016053152A_000004t.gif

発明7は、化4の一般式で示される単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物と、上記の化3の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする発明1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の製造方法である。
【化4】
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化4の一般式中のアジド基は単糖の一級水酸基と置換している。
発明8は、化12の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した抗菌作用のある発明1に記載の糖誘導体又はその塩である。ここで、トリアゾール環の窒素は単糖の一級水酸基と置換している。Rは炭素数2個以上のアルキル基であり、芳香族環を含んで良い。一級アミノ基(NH)はR中の、トリアゾール環に隣接する炭素から末端の炭素、までのいずれかに結合する。nは2以上の整数を示す。
【化12】
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発明9は、Rは炭素数が2~9個であるアルキル基であることを特徴とする発明8に記載の糖誘導体又はその塩である。
発明10は、RNHは、2-アミノフェニルエチル基、2-アミノフェニルプロピル基、2-アミノシクロヘキシルエチル基、2-アミノ-n—ヘプチル基、または7-アミノ-n—ヘプチル基であることであることを特徴とする発明8乃至9のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩である。
発明11は、上記の一般式中の単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする発明8乃至10のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩である。
発明12は、発明8乃至11のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗菌剤である。
発明13は、化13の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、発明1または8乃至11のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬である。ただしRは炭素数2個以上のアルキル基を示し、芳香族環を含んで良い。一級アミノ基(NH)はR中の、エチニル基に隣接する炭素から末端の炭素までのいずれか、に結合する。また、一級アミノ基は脱保護可能な置換基に結合して良い。
【化13】
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発明14は、上記の化4の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物と、上記の化13の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする請求項1または8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の製造方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、抗菌性に優れ、少ないプロセスのために合成が容易で安価に大量合成が可能な化合物を一般式で特定し、その化合物を用いた抗菌剤及び他の抗菌剤の活性を増強する物質を提供し、それらを合成するための試薬と製造方法を提供することを解決すべき目的としている。
上記課題を解決するための手段として、まず抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩を一般式で提供する。さらに、この糖誘導体またはその塩を合成する試薬を一般式で提供する。これにより合成プロセスを明確にし、少ないプロセスとする。これにより、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩を、合成が容易で安価に大量合成が可能な生産方法を提供する。
発明1によれば、一級水酸基にアミノ基を含む構造を結合したトリアゾール環が置換および二級水酸基上の水素または置換基を持つ単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した糖誘導体又はその塩を、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩として、化1の一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明2によれば、アミノ酸の結合した構造を含む置換トリアゾールが一級水酸基に置換したことを特徴とする発明1に記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩として、化2の一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明3によれば、二級水酸基上のR、Rは炭素数が2~4個であるアシル基であることを特徴とする発明1乃至2のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩として一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明4によれば、単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする発明1乃至3のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体またはその塩として一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明5によれば、発明1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩である抗菌性に優れ、少ないプロセスのために合成が容易で安価に大量合成が可能な化合物を有効成分として含有する抗菌剤または抗菌活性増強剤が提供できる効果がある。
発明6によれば、化4の一般式で示される単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物との反応により、発明1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を合成するための容易で安価に大量合成を可能にする、化3の一般式で示される末端アルキンである試薬を提供できる効果がある。
発明7によれば、化4の一般式で示される単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物と化3の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする発明1乃至4のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の、容易で安価に大量合成を可能にする製造方法が提供できる効果がある。
発明8によれば、一級アミノ基(NH)を含む炭素数2個以上のアルキル基Rを結合したトリアゾールが一級水酸基と置換していることを特徴とする発明8に記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌作用のある糖誘導体又はその塩として、化12の一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明9によれば、 R8は炭素数が2~9個であるアルキル基であることを特徴とする発明1または8に記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌作用のある糖誘導体又はその塩として一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明10によれば、R8 NH2が2-アミノフェニルエチル基、2-アミノフェニルプロピル基、2-アミノシクロヘキシルエチル基、2-アミノ-n—ヘプチル基、または7-アミノ-n—ヘプチル基であることであることを特徴とする発明1または8乃至9のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌作用のある糖誘導体又はその塩として一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明11によれば、単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする発明1または8乃至10のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を、抗菌作用のある糖誘導体又はその塩として一般式で提供し、合成プロセスを明確にし、少ないプロセスで合成可能にする効果がある。
発明12によれば、請求項1または8乃至11のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩である抗菌性に優れ、少ないプロセスのために合成が容易で安価に大量合成が可能な化合物を有効成分として含有する抗菌剤が提供できる効果がある。
発明13によれば、化4の一般式で示される単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物との反応により、発明1または8乃至11のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩を合成するための容易で安価に大量合成を可能にする、
化13の一般式で示される末端アルキンである試薬を提供できる効果がある。
発明14によれば、化4の一般式で示される単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結した糖のアジ化物と化13の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする発明1または8乃至11のいずれか1つに記載の糖誘導体又はその塩の、容易で安価に大量合成を可能にする製造方法が提供できる効果がある。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。

【0010】
まず本発明者は、以下に示すシクロデキストリンの化学構造に着目し、これが新たな抗菌物質に利用できるのではないかと発想し、次のような分子設計を考えた。

【0011】
シクロデキストリンは単糖であるグルコースが環状に連なった約1ナノメータの直径を持つ環状糖質である。グルコースの数が7個のものは、βシクロデキストリンと呼ばれている(化5参照)。シクロデキストリンのグルコースの6位に存在する第一級水酸基は環状構造の一方の開口部に、2位と3位に存在する第二級水酸基は他方の開口部に配向している。また、上記それぞれの水酸基は反応性に違いがあり、選択的に化学修飾をすることが可能である。

【0012】
【化5】
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【0013】
環状糖質であるシクロデキストリンには、それを構成するグルコースの数が異なる類縁体があり、グルコースの数が5個以上のものが知られている。また、グルコースは2つ以上が鎖状に連なり、オリゴ糖~多糖を形成する。これにはアミロースに代表されるグルカンが含まれる。さらに、グルコースの異性体である単糖が連なった多糖があり、マンノースを繰り返し構造とするマンナンなどがある。これらもまた同様に、その繰り返し構造である単糖の上に反応性の異なる水酸基を持つため、選択的に化学修飾をすることが可能である。

【0014】
細菌に抗菌性を示すペプチドであるポリミキシンBの構造を化6に示す。これは天然に存在する環状ペプチドである。ポリミキシンBは細菌の膜構造を傷害して抗菌性を示す。それを可能にする要因である構造的な特徴として、陽イオン性アミノ基を持つアミノ酸を複数個有することが挙げられる。

【0015】
【化6】
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【0016】
そこで、本発明者は細菌への抗菌性を実現するべく、シクロデキストリン上に陽イオン性アミノ基を持つアミノ酸を複数個集積させることを考えた。

【0017】
アミノ酸の集積については、シクロデキストリン上に導入したアジド基を利用してクリックケミストリーで導入する方法を検討した。クリックケミストリーとは、以下のような特徴を有する反応のことである。
(1)汎用性が高い
(2)高効率、高収率
(3)副生成物を生じない
(4)立体特異的である
(5)精製が容易である
(6)出発物質と試薬が手に入れやすい。

【0018】
クリックケミストリーとして最も一般的なものとされているのがHuisgen反応である(化7参照)。この反応は、アジドと末端アルキンがトリアゾール環を形成する反応である。銅を触媒にすることで1,4-二置換体が選択的に形成し、かつ反応は大幅に加速する。また、アジドとアルキンは互いの間でのみ穏やかに反応し、そして標準的な反応条件でよく用いられる求核剤、求電子剤および溶媒に対して安定である。生成するトリアゾール環も安定な官能基である。このような特徴からHuisgen反応は広い分野で利用されている。

【0019】
【化7】
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【0020】
本発明者らは、このHuisgen反応を利用し、シクロデキストリンにアミノメチル基を導入した化合物が抗菌剤として機能することを見出し、既に特許出願を行っている(特開2013-177477)。

【0021】
さらに、発明者らは、Huisgen反応を利用し、シクロデキストリンにアルキルアミノ基およびアリールアミノ基を導入した化合物の合成にも成功し、この化合物が抗菌剤として機能することを見出し、既に特許出願を行っている(特開2014-111562)。

【0022】
発明者らは、Huisgen反応を利用し、例えばペプチドの構成成分であるアミノ酸由来の、アミノ基を含む構造をシクロデキストリンに導入した化合物の合成に成功し、この化合物が抗菌剤および他の抗菌剤の活性を増強する物質として機能することを見出し、本発明を完成するに至った。

【0023】
ここではシクロデキストリンから少ないプロセスで抗菌剤が容易に合成でき、数十段階以上のプロセスが必要な抗菌ペプチド合成に比べて著しく優れている。

【0024】
[発明1~7の実施形態]
発明1は化1の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した、抗菌または抗菌活性増強作用のある糖誘導体又はその塩である。ここで、単糖の一級水酸基にはアミノ基を含む構造(R)を結合したトリアゾール環が置換している。このアミノ基を含む構造は例えばアミノ酸由来であり、または炭素数2個以上のアミノアルキル基である。R、Rは水素またはアシル基であり、単糖の二級水酸基の水素原子と置換している。R、Rは同一でも良いし、異なっても良い。nは2以上の整数を示す。

【0025】
【化1】
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【0026】
また、発明2は化2の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した抗菌または抗菌活性増強作用のある、発明1に記載の糖誘導体又はその塩である。ここで、単糖の一級水酸基を置換したアミノ基を含む構造について、Rはアルキレン基、RはNHにアミド結合したアミノ酸とすることで一般式をさらに特定し、合成プロセスをより明確にしている。

【0027】
【化2】
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【0028】
ここで、Rはメチレン基とすることが好ましい。

【0029】
は少なくとも一つのアミノ基を持つアミノ酸である。Rはリジンであることが好ましい。

【0030】
、Rは炭素数が2~4個であるアシル基であることが好ましい。これは発明3の糖誘導体又はその塩を示す。R、Rはアセチル基、2-メチルプロパノイル基、n-ブタノイル基であることが好ましい。

【0031】
nは実際に存在するオリゴ糖又は多糖を構成する数とする。例えば、1000以下とすることができる。nは5~50とすることが好ましい。

【0032】
本発明の化合物としては、単糖がグルコース、マンノース、フルクトース、またはガラクトースに代表される炭素6個からなるヘキソースである糖誘導体又はその塩が挙げられる。

【0033】
また、本発明の化合物としては、単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖誘導体又はその塩が挙げられる。これは発明4の糖誘導体又はその塩を示す。より具体的には、nが7であり、グルコースが環状に連結したオリゴ糖の誘導体又はその塩が挙げられる。

【0034】
また、本発明の抗菌剤及び抗菌活性増強剤は、上記した糖誘導体又はその塩を有効成分として含有することを特徴とする。ここで「有効成分として含有する」には、糖誘導体又はその塩が抗菌剤及び抗菌活性増強剤の構造全体を構成する場合に限らず、抗菌剤及び抗菌活性増強剤の構造の一部を構成する場合も含まれる。これは発明5の抗菌剤または抗菌活性増強剤を示す。

【0035】
また、本発明は、化3の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、抗菌剤及び抗菌活性増強剤を合成するための試薬である。Rは炭素数2個以上の炭化水素基で、かつRは水素または脱保護可能な置換基。または、Rはアルキレン基でかつRはNHにアミド結合したアミノ酸を示し、R中のアミノ酸のアミノ基は脱保護可能な置換基に結合してよい。これは発明5の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬を示す。

【0036】
【化3】
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【0037】
ここで、Rはメチレン基とすることが好ましい。Rは少なくとも一つのアミノ基を持つアミノ酸である。Rのアミノ基の結合する脱保護可能な置換基は第三ブトキシカルボニル基であることが好ましい。Rはリジンであることが好ましい。

【0038】
化4の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結したオリゴ糖又は多糖のアジ化物と、化3の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする発明1~4の糖誘導体又はその塩の製造方法。なお、この製造方法においては、上記反応後に、必要に応じて、脱保護を行ってもよい。これは発明7記載の糖誘導体又はその塩の製造方法を示す。
【化4】
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(一般式中のアジド基は単糖の一級水酸基と置換している。また、R、R、nについては、化1または2の糖誘導体と同じである。)

【0039】
<分子設計>
本発明の抗菌物質を合成するにあたっては、以下のコンセプトにより分子設計を行った。

【0040】
ペプチドが細菌膜を傷害して細菌への抗菌性を実現するためには、アミノ基を持つアミノ酸が複数個存在することが重要になる。そこでシクロデキストリン上にアミノ基を集積させる。そのためにシクロデキストリンのグルコース部分にトリアゾール部を介してアミノ酸等のアミノ基を含む構造を連結することで、親水性でかつ陽イオン性部分を構成する。細菌膜を傷害する際には、この部分がまず細菌膜の陰イオン性リン酸部と結合することで細菌膜を傷害する。これに加えて疎水性部がある場合には細菌膜の脂肪鎖と相互作用する。

【0041】
このようにアミノ酸等のアミノ基を含む構造を、トリアゾール部を介して導入したグルコースを複数個含むことが、シクロデキストリン誘導体が抗菌物質として機能するために重要である。したがって同様にグルコースが鎖状に連なって形成された、オリゴ糖又は多糖グルカンにおいて、そのグルコース部に同様にアミノ酸等のアミノ基を含む構造を導入すれば抗菌性を現すと考えられる。これが発明4の糖誘導体又はその塩とその作用である。

【0042】
さらに、グルコースの異性体にはマンノースに代表される単糖ヘキソースがある。これらはグルコースと同じ数の炭素と水酸基を持ち、同様の親水性を持つ。そして、それが連なったオリゴ糖~多糖が存在し、代表としてマンナンがある。これらもまた、その繰り返し構造である単糖の上に同様にしてアミノ酸等のアミノ基を含む構造を導入すれば抗菌性を現すと考えられる。これが発明1乃至3の糖誘導体又はその塩とその作用である。

【0043】
そして、上記のいずれか1項に記載のオリゴ糖~多糖の誘導体又はその塩を有効成分として含有するものは抗菌剤および抗菌活性増強剤となる。これは発明5の抗菌剤または抗菌活性増強剤を示す。ここで「有効成分として含有する」には、オリゴ糖~多糖の誘導体又はその塩が抗菌剤および抗菌活性増強剤の構造全体を構成する場合に限らず、構造の一部を構成する場合も含まれる。

【0044】
上記のアミノ酸等のアミノ基を含む構造の導入については、シクロデキストリン上に形成したアジド基を化学変換することで導入する方法を検討した。この化学変換法としては、クリック反応として最も一般的なHuisgen反応を採用した(前述した化7に示す反応式を参照されたい)。この反応は、アジドと末端アルキンがトリアゾール環を形成する反応である。銅を触媒にすることで1,4-二置換体が選択的に形成し、かつ反応は大幅に加速する。また、アジドとアルキンは互いの間でのみ穏やかに反応し、そして標準的な反応条件でよく用いられる求核剤、求電子剤および溶媒に対して安定である。これは発明6記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬とそれを使用した発明7記載の製造法の効果である。

【0045】
[発明1~7の実施例]
化8に示す実施例1~4のシクロデキストリン誘導体(a)~(d)を合成した。以下、合成法について詳細に記載する。

【0046】
【化8】
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【0047】
(実施例1)
化8の(a)に示すシクロデキストリン誘導体(a)の合成
(Boc-Lys(Boc)-プロパルギルアミドの合成)
Boc-Lys(Boc)-OH 1.03 g(1.95×10-3 mol)を塩化メチレン40.0 mLに溶解させ、そこにWSCD・HCl 419 mg (2.18×10-3 mol)、HOBT 292 mg(2.16×10-3 mol)、プロパルギルアミン162 mg (2.94×10-3 mol)を加え、DIPEA 0.2 mLを加えて、室温で41時間撹拌した。溶媒を減圧留去し、酢酸エチルを加え、5% クエン酸水溶液、5% 炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、残渣を塩化メチレに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製し、目的物 (448 mg, 59.9 %) を得た。これは発明6の試薬を合成できることを示す。

【0048】
TLC : Rf=0.40(CH2Cl2/CH3OH =9/1(v/v))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) :δ=6.54(1H, bs, NHCH2C≡C), 5.14(1H, bs, NHBoc), 4.62(1H, bs, NHBoc), 4.05(1H, CHCH2CH2CH2CH(NH)CO), 4.04(2H, NHCH2C≡C), 3.11(2H, q, CH2CH2NH), 2.23(1H, t, CH≡CCH2), 1.81-1.90(1H, CHCH2CH2CH2CH2NH), 1.60-1.68(1H,CHCH2CH2CH2CH2NH), 1.48-1.53(2H, CHCH2CH2CH2CH2NH), 1.44-1.45(18H, C(CH3)3), 1.36-1.42(2H, CHCH2CH2CH2CH2NH)

【0049】
(アセチル化アジ化βシクロデキストリン[2]の合成)

【0050】
【化9】
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【0051】
化9に示すようにアセチル化アジ化βシクロデキストリン[2]を合成するために、アジ化シクロデキストリン[1] 103 mg(7.85×10-5 mol)をピリジン3 mLに溶解し、ジメチルアミノピリジン24.7 mg(2.20×10-4 mol)、無水酢酸0.83 mL(8.78×10-3 mol)を加え、室温で5時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止させた後、溶媒を減圧留去し、塩化メチレンを加え、1 M塩酸、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄を行った。溶媒を減圧蒸留で留去し、得られた残渣を順相シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。目的物を含む画分を減圧留去した後、真空乾燥して生成物[2] (120 mg, 80.4 %) を得た。これは発明7記載のアジ化物が合成できることを示す。また、発明3記載のアシル基を導入できることを示す。

【0052】
TLC : Rf=0.60(CH2Cl2/CH3OH =9:1(v/v))
1H NMR(400 MHz, CDCl3) :δ=5.30(7H, H-3), 5.19(7H, H-1), 4.82(7H, H-2), 4.01-4.04(7H, H-5), 3.70-3.77(14H, H-4, H-6a), 3.60-3.65(7H, H-6b), 2.09-2.06(42H, CH3CO)

【0053】
(アセチル化オクタアジ化βシクロデキストリン[2]を用いたクリック反応)
化9に示すアセチル化オクタアジ化βシクロデキストリン[2] 64.4 mg (3.39×10-5 mol)をDMSO 2.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物9.9 mg (3.97×10-5mol)を水0.2 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム96.1 mg (4.85×10-4 mo)を水0.2 mLに溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、Boc-Lys(Boc)-プロパルギルアミド185 mg (4.82×10-4 mol)をDMSO 2.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製した。目的物を含む画分の溶媒を減圧留去し、生成物(107 mg, 2.34×10-5 mol, 69.3%) を得た。これは発明7記載の反応により、発明1乃至4記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0054】
TLC : Rf=0.44 (CH2Cl2/CH3OH =9:1(v/v), レゾルシノール発色)
1H NMR(400 MHz, CDCl3) :δ=7.70(14H, CH-triazole, NHCO), 5.73(7H, H-1), 5.36-5.34(14H, H3-CD, CHNH-Boc), 5.03(7H, CH2NH-Boc), 4.77(14H, H-2, H-6), 4.46(14H, H-5, H-6), 4.31(14H, COCH(NH)CH2, CH2NHCO), 4.13(7H, CH2NHCO), 3.60(7H, H-4), 3.03(14H, CH2NH-Boc), 2.08(21H, CH3CO ), 2.03(21H, CH3CO ), 1.75(7H, CHCH2CH2 CH2CH2NH), 1.58(7H, CHCH2CH2CH2CH2NH), 1.42-1.39(154H, CHCH2CH2CH2CH2NH, (CH3)3C)

【0055】
(第三ブトキシカルボニル基の脱保護)
段落0053に示すクリック反応生成物45.3 mg(9.98×10-6 mol)にトリフルオロ酢酸2mL を加えて溶解させた。その後、30分攪拌し、減圧留去により実施例1のシクロデキストリン誘導体(a)のトリフルオロ酢酸塩47.2 mg (収率100 %)を得た。これは発明1乃至4記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0056】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=9.03(7H, s, CH-triazole), 8.25(21H, s, COCH(NH3)CH), 7.91(21H, s, CH2CH2CH2CH2NH3), 5.44(7H, s, H-1), 5.33(7H, t, J= 8.8 Hz, 16.0 Hz, H-3), 4.62-4.60(21H, H-2, H-6), 4.42(14H, H-5, CH2NHCO), 4.16(14H, d, J=12.8 Hz, CH2NHCO), 3.77(7H, COCH(NH3)CH2), 3.61(7H, H-4) 2.75(14H, bd, CH2CH2CH2CH2NH3), 2.00(42H, d, COCH3), 1.69(14H, bs, CH2CH2CH2CH2NH3), 1.53(14H, bs, CH2CH2CH2CH2NH3 ), 1.34(14H, d, CH2CH2CH2CH2NH3)

【0057】
(実施例2)
化8(b)に示すシクロデキストリン誘導体(b)の合成
(イソブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[3]の合成)

【0058】
【化10】
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【0059】
化10で示すようにイソブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[3]を合成するために、アジ化シクロデキストリン[1] 584 mg(4.46×10-4 mol)をピリジン10 mLに溶解し、ジメチルアミノピリジン143 mg(1.28×10-3 mol)、無水イソ酪酸8.3 mL(5.01×10-2 mol)を加え、室温で5時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止させた後、溶媒を減圧留去し、塩化メチレンを加え、1 M塩酸、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄を行った。溶媒を減圧蒸留で留去し、得られた残渣を順相シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。目的物を含む画分を減圧留去した後、真空乾燥して生成物[3] (886 mg, 86.7 %) を得た。これは発明7記載のアジ化物が合成できることを示す。

【0060】
TLC : Rf=0.58(ヘキサン/酢酸エチル=3:1(v/v), レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, CDCl3) :δ= 5.28(7H, H-3), 5.09(7H, H-1), 4.86(7H, H-2), 4.02(7H, H-5), 3.81(7H, H-4), 3.77(7H, H-6a), 3.63(7H, H-6b), 2.48-2.60(14H, OCH(CH3)2), 1.09-1.20(84H, OCH(CH3)2)

【0061】
(イソブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[3]を用いたクリック反応)
化10に示すイソブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[3] 30.5 mg (1.33×10-5 mol)をアセトン 3.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物2.7 mg (1.06×10-5 mol)を水0.4 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム26.3 mg (1.33×10-4 mo)を水0.4 mLに溶解させたものを加えた。これを先ほどのアセトン溶液に加え、その後、Boc-Lys(Boc)-プロパルギルアミド50.5 mg (1.33×10-4 mol)をDMSO 2.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製した。目的物を含む画分の溶媒を減圧留去し、生成物(45.3 mg, 9.10×10-5 mol, 68.4%) を得た。これは発明7記載の反応により、発明1乃至4記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0062】
TLC : Rf=0.63 (CH2Cl2/CH3OH =9:1(v/v), レゾルシノール発色)
元素分析: Calcd. for C231H378N42O77 +4H2O: C 54.96, H 7.71, N 11.65. Found: C 55.30, H 7.79, N 11.07

【0063】
(第三ブトキシカルボニル基の脱保護)
段落0061に示すクリック反応生成物20.1 mg(4.04×10-6 mol)にトリフルオロ酢酸2mL を加えて溶解させた。その後、30分攪拌し、減圧留去により実施例2のシクロデキストリン誘導体(b)のトリフルオロ酢酸塩20.9 mg (収率100 %)を得た。これは発明1乃至4記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0064】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=9.01(7H, s, CH-triazole), 8.25(21H, s, α-NH3 ), 7.90(21H, s, δ-NH3), 5.34-3.20(H-1~6), 4.44-4.42(14H, CH2NHCO), 4.21-4.12(14H, CH2NHCO), 3.66(7H, COCH(NH3)CH2), 2.75(14H, CH2CH2CH2CH2NH3 ), 2.46-2.44(14H, COCH(CH3)2), 1.68(14H, bs, CH2CH2CH2CH2NH3), 1.53(14H, CH2CH2CH2CH2NH3), 1.33(14H, CH2CH2CH2CH2NH3), 1.04-0.97(12H, COCH(CH3)2)

【0065】
(実施例3)
化8(c)に示すシクロデキストリンシクロデキストリン誘導体(c)の合成
(ブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[4]の合成)

【0066】
【化11】
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【0067】
化11で示すようにブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[4]を合成するために、アジ化シクロデキストリン[1] 550 mg(4.19×10-4 mol)をピリジン10 mLに溶解し、ジメチルアミノピリジン132 mg(1.17×10-3 mol)、無水酪酸8.7 mL(4.70×10-2 mol)を加え、室温で5時間撹拌した。メタノールを加えて反応を停止させた後、溶媒を減圧留去し、塩化メチレンを加え、1 M塩酸、5%炭酸水素ナトリウム水溶液、水で洗浄を行った。溶媒を減圧蒸留で留去し、得られた残渣を順相シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル)にて精製した。目的物を含む画分を減圧留去した後、真空乾燥して生成物[4] (779 mg, 81.0 %) を得た。これは発明7記載のアジ化物が合成できることを示す。

【0068】
TLC : Rf=0.58 (ヘキサン/酢酸エチル =3/1 (v/v))
1H NMR (400 MHz, CDCl3) :δ= 5.30(7H, H-3), 5.08(7H, H-1), 4.82(7H, H-2), 4.00-4.04(7H, H-5), 3.76-3.71(14H, H-4 , H-6a), 3.63 (7H, H-6b), 2.15-2.39(28H, CH2CH2CH3), 1.57-1.65(28H, CH2CH2CH3), 0.90-0.97(42H, CH2CH2CH3)

【0069】
(ブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[4]を用いたクリック反応)
化11に示すブタノイル化アジ化βシクロデキストリン[4] 61.1 mg (2.67×10-5 mol)をアセトン1.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物4.7 mg (1.88×10-5mol)を水0.2 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム46.3 mg (2.34×10-4 mol)を水0.2 mLに溶解させたものを加えた。これを先ほどのアセトン溶液に加え、その後、Boc-Lys(Boc)-プロパルギルアミド 89.5 mg (2.33×10-4 mol)をDMSO 1.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(80 oC)下で10分撹拌した。溶媒を減圧留去した後、酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製した。目的物を含む画分の溶媒を減圧留去し、目的物である白色固体 (97.0 mg, 73.1 %) を得た。これは発明7記載の反応により、発明1乃至4記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0070】
TLC : Rf=0.63 (CH2Cl2/CH3OH =9:1(v/v)
元素分析: Calcd. for C231H378N42O77 +8H2O: C 54.19, H 7.74, N 11.49. Found: C 54.45, H 7.57, N 11.20

【0071】
(第三ブトキシカルボニル基の脱保護)
段落0069に示すクリック反応生成物44.5 mg(8.94×10-6 mol)にトリフルオロ酢酸2mL を加えて溶解させた。その後、30分攪拌し、減圧留去により実施例3のシクロデキストリン誘導体(c)のトリフルオロ酢酸塩46.2 mg (収率100 %)を得た。これは発明1乃至4記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0072】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=9.02(7H, s, CH-triazole), 8.25(21H, s, α-NH3 (e)), 7.91(21H, s, δ-NH3), 5.43-5.40(14H, H-1, H-3), 4.66-4.58(21H, H-2, H-6), 4.54-4.44(14H, H-5, CH2NHCO), 4.14(7H, bd, CH2NHCO), 3.77(7H, COCH(NH3)CH2 (d)), 3.60(7H, H-4), 2.75(14H, CH2CH2CH2CH2NH3), 2.34-2.08(COCH2CH2CH3), 1.69(14H, bs, CH2CH2CH2CH2NH3 ), 1.53-1.48(42H, CH2CH2CH2CH2NH3, COCH2CH2CH3 ), 1.36-1.33(14H, CH2CH2CH2CH2NH3 ), 0.87-0.85(42H, COCH2CH2CH3)

【0073】
(実施例4)
化8(d)に示すシクロデキストリン誘導体(d)の合成
(アセチル化オクタアジ化βシクロデキストリン[2]を用いたクリック反応生成物のアセチル基と第三ブトキシカルボニル基の脱保護)
段落0053に示すアセチル化オクタアジ化βシクロデキストリン[2]を用いたクリック反応生成物31.6 mg(6.90×10-6 mol)をメタノール(2mL)に溶解し、これに28%ナトリウムメトキシド(20μL)桑手手5.5時間撹拌した。その後、陽イオン交換樹脂を加えて中和し、溶媒を減圧留去した。得られた中間体(23.0mg)にトリフルオロ酢酸2mL を加えて溶解させた。その後、3.5時間攪拌し、減圧留去により実施例4のシクロデキストリン誘導体(d)のトリフルオロ酢酸塩21.8 mg (収率76.5 %(二段階)を得た。これは発明1乃至4記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0074】
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=8.93(7H, CH2NHCO), 8.24(21H, COCH(NH3)), 7.89(21H, CH2CH2CH2CH2NH3), 7.79 (7H, CH-triazole), 5.09(7H, H-1), 4.54-4.51(7H, H-6), 4.37-4.34 (7H, H-6), 4.21-4.15(14H, CH2NHCO), 4.08-4.03 (7H, H-5), 3.73(14H, COCH(NH3)CH2, H-3), 3.36(14H, H-2,4), 2.75(14H, CH2NH3), 1.69(14H, CH2CH2CH2CH2NH3), 1.45(14H, CH2CH2CH2CH2NH3 ), 1.32(14H, CH2CH2CH2CH2NH3

【0075】
(評価)
上記のようにして合成した実施例1~4のシクロデキストリン誘導体(a)~(d)の抗菌性を最小発育濃度(MIC)で評価した。評価にはグラム陽性菌として枯草菌、グラム陰性菌として大腸菌を使用した。

【0076】
評価方法は以下の通りである。 すなわち、細菌は一般細菌用乾燥ブイヨンあるいは大腸菌はポリペプトンを加えた最小塩培地で培養し、対数増殖期の状態のものを使用した。最小発育濃度は、Muller Hinton培地、菌液、各濃度の試験化合物溶液を、37℃で20時間、培養することにより、試験化合物がその細菌の生育を阻止した最小濃度とした。なお初期の菌濃度は1x10 細胞/mLとした。
最小発育濃度(MIC)で評価の結果を表1に示す。

【0077】
【表1】
JP2016053152A_000019t.gif

【0078】
一般に最小発育濃度が1000μg/mLを上回る場合には、その物質には抗菌性はないと判断され、10~1000μg/mLの場合には中程度、10μg/mL以下では強力な抗菌性ありとされる。上記表1に示すように、実施例1~4の化合物は、いずれも中程度の抗菌性を示した。これは、発明4記載の抗菌剤としての作用を示す。

【0079】
さらに、実施例1~4の化合物について他の抗菌物質の活性増強について検討した(表2)。既存の抗菌物質の中には、細菌膜が物理的障壁となり、本来の抗菌性を発揮できないものが存在する。特に、細胞質膜に加えて外膜を擁するグラム陰性菌についてこれによる薬剤耐性が顕著である。それゆえ細菌膜を傷害して物理的障壁を排除できる膜傷害性物質と抗菌物質とを併用すれば抗菌性がより増強される、さらには抗菌性がなかったものが有効になる、と合理的に推定できる。ここではグラム陰性菌について効果が弱いと一般的にされるノボビオシンおよびエリスロマイシンを用いた。細菌として大腸菌を用いて試験を行った。ノボビオシンの単独での最小発育濃度は128μg/mLであり、エリスロマイシンのそれは64μg/mLである。これに対し、実施例1~4のシクロデキストリン誘導体併用投与下でのノボビオシンまたはエリスロマイシンの大腸菌に対する最小発育濃度は著しく低下し、顕著な抗菌活性を示した。特に、実施例1のシクロデキストリン誘導体(a)、実施例3のシクロデキストリン誘導体(c)および実施例4のシクロデキストリン誘導体(d)はノボビオシンの最小発育濃度を10μg/mL未満とし、ノボビオシンに強力な抗菌性を現せしめた。以上は実施例1~4のシクロデキストリン誘導体が細菌膜を傷害して膜透過性を増大させた結果であり、これらシクロデキストリン誘導体の顕著な細菌膜傷害性を示している。これは、発明5記載の抗菌活性増強剤としての作用を示す。

【0080】
【表2】
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【0081】
[発明8~14の実施形態]
発明8は、化12の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状又は環状に連結した抗菌作用のある発明1に記載の糖誘導体又はその塩である。ここで、トリアゾール環の窒素は単糖の一級水酸基と置換している。Rは炭素数2個以上のアルキル基であり、一級アミノ基(NH)はR中の、トリアゾール環に隣接する炭素から末端の炭素までのいずれか、に結合する。nは2以上の整数を示す。これにより一般式をさらに特定し、合成プロセスをより明確にしている。


【0082】
【化12】
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【0083】
には芳香族環を含んでよい。

【0084】
発明9は、Rは炭素数が2~9個であるアルキル基であることを特徴とする発明8に記載の糖誘導体又はその塩である。

【0085】
発明10は、Rがフェニルエチル基、フェニルプロピル基、シクロヘキシルエチル基、またはn—ヘプチル基であることであることを特徴とする発明8乃至9のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩である。

【0086】
NHは、2-アミノフェニルエチル基、2-アミノフェニルプロピル基、2-アミノシクロヘキシルエチル基、2-アミノ-n—ヘプチル基、または7-アミノ-n—ヘプチル基であることが好ましい。

【0087】
nは実際に存在するオリゴ糖又は多糖を構成する数とする。例えば、1000以下とすることができる。nは5~50とすることが好ましい。

【0088】
本発明の化合物としては、単糖がグルコース、マンノース、フルクトース、またはガラクトースに代表される炭素6個からなるヘキソースである糖誘導体又はその塩が挙げられる。

【0089】
発明11は、単糖がグルコースであり、このグルコースが環状に連結したオリゴ糖であることを特徴とする発明8乃至10のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩である。

【0090】
より具体的には、nが7であり、グルコースが環状に連結したオリゴ糖の誘導体又はその塩が挙げられる。

【0091】
発明12は、発明8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を有効成分として含有する抗菌剤である。ここで「有効成分として含有する」には、糖誘導体又はその塩が抗菌剤の構造全体を構成する場合に限らず、抗菌剤の構造の一部を構成する場合も含まれる。

【0092】
発明13は、化13の一般式で示される末端アルキンであることを特徴とする、発明1または8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬である。ただし、Rは炭素数2個以上のアルキル基を示し、芳香族環を含んで良い。一級アミノ基(NH)はR中の、エチニル基に隣接する炭素から末端の炭素までのいずれか、に結合する。また、一級アミノ基は脱保護可能な置換基に結合してよい。
【化13】
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【0093】
ここで、Rは炭素数が2~9個とすることが好ましい。Rには芳香族環を含んでよい。

【0094】
がフェニルエチル基、フェニルプロピル基、シクロヘキシルエチル基、またはn—ヘプチル基であることが好ましい。

【0095】
NHが、2-アミノフェニルエチル基、2-アミノフェニルプロピル基、2-アミノシクロヘキシルエチル基、2-アミノ-n—ヘプチル基または7-アミノ-n—ヘプチル基であることが好ましい。

【0096】
アミノ基に結合する脱保護可能な置換基は第三ブトキシカルボニル基であることが好ましい。

【0097】
発明14は、上記の化4の一般式で示される、単糖がグリコシド結合で鎖状または環状に連結したオリゴ糖又は多糖のアジ化物と、上記の化13の一般式で示される末端アルキンとを反応させることを特徴とする発明1または8乃至11のいずれか1項に記載の糖誘導体又はその塩の製造方法である。なお、この製造方法においては、上記反応後に、必要に応じて、脱保護を行ってもよい。

【0098】
<分子設計>
本発明の抗菌物質を合成するにあたっては、以下のコンセプトにより分子設計を行った。

【0099】
細菌膜を傷害する際には、陽イオン性のアミノ基がまず細菌膜の陰イオン性リン酸部と結合する。そのためにシクロデキストリンのグルコース部分にトリアゾール環を介して一級アミノ基を持つアルキル基を連結する。ここで一級アミノ基は二級および三級アミノ基よりも立体傷害が小さいために、細菌膜のリン酸部と優れた相互作用ができる。さらにアルキル基は疎水性の細菌膜の脂肪鎖と相互作用し、細菌膜を傷害して細菌への抗菌性を実現する。これが発明11に記載の糖誘導体又はその塩とその作用である。

【0100】
このように一級アミノ基を持つアルキル基を、トリアゾール環を介して導入したグルコースを複数個含むことが、シクロデキストリン誘導体が抗菌物質として機能するために重要である。したがって同様にグルコースが鎖状に連なって形成された、オリゴ糖又は多糖グルカンにおいて、そのグルコース部に同様にアミノ酸を導入すれば抗菌性を現すと考えられる。

【0101】
さらに、グルコースの異性体にはマンノースに代表される単糖ヘキソースがある。これらはグルコースと同じ数の炭素と水酸基を持ち、同様の親水性を持つ。そして、それが連なったオリゴ糖~多糖が存在し、代表としてマンナンがある。これらもまた、その繰り返し構造である単糖の上に同様にして一級アミノ基を持つアルキル基を導入すれば抗菌性を現すと考えられる。これらが発明8乃至10の糖誘導体又はその塩とその作用である。

【0102】
そして、上記のいずれか1項に記載のオリゴ糖~多糖の誘導体又はその塩を有効成分として含有するものは抗菌剤となる。これは発明12の抗菌剤を示す。ここで「有効成分として含有する」には、オリゴ糖~多糖の誘導体又はその塩が抗菌剤の構造全体を構成する場合に限らず、構造の一部を構成する場合も含まれる。

【0103】
上記の一級アミノ基を持つアルキル基の導入については、シクロデキストリン上に形成したアジド基を化学変換することで導入する方法を検討した。この化学変換法としては、クリック反応として最も一般的なHuisgen反応を採用した(前述した化7に示す反応式を参照されたい)。この反応は、アジドと末端アルキンがトリアゾール環を形成する反応である。銅を触媒にすることで1,4-二置換体が選択的に形成し、かつ反応は大幅に加速する。また、アジドとアルキンは互いの間でのみ穏やかに反応し、そして標準的な反応条件でよく用いられる求核剤、求電子剤および溶媒に対して安定である。これは発明13記載の糖誘導体又はその塩を合成するための試薬とそれを使用した発明14記載の製造法の効果である。

【0104】
[発明8~14の実施例]
以下の化14に示す実施例5~9のシクロデキストリン誘導体(e)~(i)を合成した。以下、合成法について詳細に記載する。

【0105】
【化14】
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【0106】
(実施例5)
化14の(e)に示すシクロデキストリン誘導体(e)の合成
ヘプタ(2,3-O-アセチル化-6-アジ化)βシクロデキストリン81.3 mg (4.28×10-5 mol)をDMSO 2.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物7.00 mg (2.80×10-5 mol)を水0.4 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム69.2 mg (3.49×10-4 mol)を水0.4 mL に溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、3-Bocアミノ-4-フェニルブタ-1-イン44.5 mg (1.75×10-4 mol)をDMSO 2.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製してクリック反応生成物127.8 mg (3.53×10-5 mol, 82.6%)を得た。これは、発明13記載の試薬を使用した発明14の製造法により、発明1または8乃至10記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0107】
段落0106に示すクリック反応生成物118.2 mg (3.27×10-5 mol) をメタノール3 mLに溶かした。その後、28 %ナトリウムメトキシド-メタノール溶液20 μLを加え、室温で4.0時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を加え、ろ過した後に、メタノールを減圧留去 ( 40℃ ) してアセチル基を脱保護した中間体85.4 mg (2.82×10-5 mol, 86.3%) を得た。

【0108】
段落0107に示す中間体75.4 mg (2.49×10-5 mol) にトリフルオロ酢酸3.0 mLを加え、室温で6.0時間撹拌した。減圧留去し凍結乾燥にて白色粉末72.5 mg (2.41×10-5 mol, 96.8%) を得た。これは発明1または8乃至10記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0109】
TLC : Rf=0.62 (アンモニア水/水/1-プロパノール/酢酸エチル=3/2/7/7(v/v/v/v) 、レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=2.93 [7H, CH2], 3.08-3.35 [21H, CH2, H4-CD, H2-CD], 3.66 [7H, H3-CD],4.00 [7H, H5-CD], 4.51 [14H, H6-CD], 4.73 [7H, -CH-NH2], 4.92 [7H, H1-CD], 5.90 6.08 [14H, OH-CD], 7.07-7-22 [35H, benzene], 7.82 [7H, triazole], 8.63 [21H, NH2, TFA]

【0110】
(実施例6)
化14の(f)に示すシクロデキストリン誘導体(f)の合成
ヘプタ(2,3-O-アセチル化-6-アジ化)βシクロデキストリン190 mg (1.00×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物17.5 mg (7.01×10-5 mol)を水1.0 mL に溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム173 mg (8.75×10-4 mol)を水1.0 mLに溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、3-Bocアミノ-5-フェニルペンタ-1-イン230 mg (8.86×10-4 mol)をDMSO5.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製してクリック反応生成物270 mg (7.27×10-5 mol, 72.7%)を得た。これは、発明13記載の試薬を使用した発明14の製造法により、発明1または8乃至10記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0111】
段落0100に示すクリック反応生成物159 mg (4.28×10-5 mol) をメタノール3 mLに溶かした。その後、28 %ナトリウムメトキシド-メタノール溶液20 μLを加え、室温で6.0時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を加え、ろ過した後に、メタノールを減圧留去してアセチル基を脱保護した中間体129 mg (4.13×10-5 mol, 96.4%) を得た。

【0112】
段落0111に示す中間体80.0 mg (2.56×10-5 mol)にトリフルオロ酢酸3.0 mLを加え、室温で6.0時間撹拌した。減圧留去し凍結乾燥にて白色粉末72.0 mg (2.32×10-5 mol, 90.7%)を得た。これは発明1または8乃至10記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0113】
TLC : Rf=0.65 (アンモニア水/水/1-プロパノール/酢酸エチル=3/2/7/7(v/v/v/v) 、レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6 ) : δ 2.16 [14H, CH2-CH2-benzene], 2.50 [14H, CH2-CH2-benzene], 3.15 [7H, H4-CD],3.27 [7H, H2-CD], 3.77 [7H, t, J=8.8 Hz, H3-CD], 4.18 [7H, H5-CD], 4.36 [7H, -CH-NH2], 4.67 [14H, H6-CD], 5.09 [7H, H1-CD], 5.96 6.07 [14H, OH-CD], 7.07-7.25 [35H, benzene], 8.15 [7H, s, triazole], 8.55 [21H, NH2, TFA]

【0114】
(実施例7)
化14の(g)に示すシクロデキストリン誘導体(g)の合成
ヘプタ(2,3-O-アセチル化-6-アジ化)βシクロデキストリン190 mg (1.00×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物17.5 mg (7.01×10-5 mol)を水1 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム173 mg (8.75×10-4 mol)を水1 mL に溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、3-Bocアミノ-4-シクロヘキシルブタ-1—イン219 mg (8.73×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製してクリック反応生成物300 mg (8.20×10-5 mol, 82.0%)を得た。これは、発明13記載の試薬を使用した発明14の製造法により、発明1または8乃至10記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0115】
段落0114に示すクリック反応生成物210 mg (5.74×10-5 mol)をメタノール5 mLに溶かした。その後、28 %ナトリウムメトキシド-メタノール溶液30 μLを加え、室温で4.0時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を加え、ろ過した後に、メタノールを減圧留去してアセチル基を脱保護した中間体161 mg (5.24×10-5 mol, 91.4%)を得た。

【0116】
段落0115に示す中間体123 mg (4.01×10-5 mol)にトリフルオロ酢酸3.0 mLを加え、室温で6.0時間撹拌した。減圧留去し凍結乾燥にて白色粉末119 mg (3.90×10-5 mol, 97.6%)を得た。これは発明1または8乃至10記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0117】
TLC : Rf=0.67 (アンモニア水/水/1-プロパノール/酢酸エチル=3/2/7/7(v/v/v/v) 、レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ=0.85-1.74 [77H, cyclohexyl], 1.76 [14H, -CH2-(cyclohexyl)], 3.09 [7H, t, J=8.8 Hz, H4-CD],3.26 [7H, H2-CD], 3.74 [7H, t, J=8.8 Hz, H3-CD], 4.16 [7H, d, J=9.2 Hz, H5-CD], 4.48 [7H, -CH-NH2], 4.69 [14H, H6-CD], 5.05 [7H, H1-CD], 5.91, 6.03 [14H, OH-CD], 8.12 [7H, s, triazole], 8.45 [21H, NH2, TFA]

【0118】
(実施例8)
化14の(h)に示すシクロデキストリン誘導体(h)の合成
ヘプタ(2,3-O-アセチル化-6-アジ化)βシクロデキストリン190 mg (1.00×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物17.5 mg (7.01×10-5 mol)を水1 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム173 mg (8.75×10-4 mol)を水1 mL に溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、3-Bocアミノ-ノナ-1-イン208 mg (8.70×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製してクリック反応生成物314 mg (8.79×10-5 mol, 87.9%)を得た。これは、発明13記載の試薬を使用した発明14の製造法により、発明1または8乃至10記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0119】
段落0118に示すクリック反応生成物160 mg (4.47×10-5 mol)をメタノール4 mLに溶かした。その後、28 %ナトリウムメトキシド-メタノール溶液30 μLを加え、室温で4.0時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を加え、ろ過した後に、メタノールを減圧留去してアセチル基を脱保護した中間体132 mg (4.42×10-5 mol, 98.9%)を得た。

【0120】
段落0119に示す中間体84.6 mg (2.83×10-5 mol)にトリフルオロ酢酸3.0 mLを加え、室温で7.0時間撹拌した。減圧留去し凍結乾燥にて白色粉末85 mg (2.86×10-5 mol, 101%)を得た。これは発明1または8乃至10記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0121】
TLC : Rf=0.74 (アンモニア水/水/1-プロパノール/酢酸エチル=3/2/7/7(v/v/v/v) 、レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=0.82 [21H, t, J=6.8 Hz, -CH2-(CH2)4-CH3], 1.18 [56H, -CH2-(CH2)4-CH3], 1.82 [14H, -CH2-(CH2)4-CH3], 3.12 [7H, t, J=8.8 Hz, H4-CD],3.26 [7H, H2-CD], 3.73 [7H, t, J=8.8 Hz, H3-CD], 4.12 [7H, d, J=7.2 Hz, H5-CD], 4.35 [7H, -CH-NH2], 4.63 [14H, H6-CD], 5.05 [7H, H1-CD], 5.95 6.09 [14H, OH-CD], 8.10 [7H, s, triazole], 8.46 [21H, NH2, TFA]

【0122】
(実施例9)
化14の(i)に示すシクロデキストリン誘導体(i)の合成
ヘプタ(2,3-O-アセチル化-6-アジ化)βシクロデキストリン190 mg (1.00×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させた。硫酸銅五水和物17.5 mg (7.01×10-5 mol)を水1 mLに溶解させたものに、アスコルビン酸ナトリウム173 mg (8.75×10-4 mol)を水1 mL に溶解させたものを加えた。これを先ほどのDMSO溶液に加え、その後、7-Bocアミノ-ノナ-1-イン208 mg (8.70×10-4 mol)をDMSO 5.0 mLに溶解させたものを加えた。これをマイクロ波加熱(120 oC)下で10分撹拌した。ここに酢酸エチルを加え、5% EDTA二ナトリウム二水和物水溶液で洗浄した。溶媒を減圧留去し、得られた残渣を塩化メチレンに溶解させ、順相シリカゲルクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール)にて精製してクリック反応生成物238 mg (6.66×10-5 mol, 66.6%)を得た。これは、発明13記載の試薬を使用した発明14の製造法により、発明1または8乃至10記載の糖誘導体が製造できることを示す。

【0123】
段落0122に示すクリック反応生成物101 mg (2.83×10-5 mol)をメタノール3 mLに溶かした。その後、28 %ナトリウムメトキシド-メタノール溶液30 μLを加え、室温で8時間攪拌した。陽イオン交換樹脂を加え、ろ過した後に、メタノールを減圧留去してアセチル基を脱保護した中間体80 mg (2.68×10-5 mol, 94.7%)を得た。

【0124】
段落0123に示す中間体50.0 mg (1.67×10-5 mol)にトリフルオロ酢酸3.0 mLを加え、室温で12時間撹拌した。減圧留去し凍結乾燥にて白色粉末57 mg (1.92×10-5 mol, 115%)を得た。これは発明1または8乃至10記載の糖誘導体の塩が製造できることを示す。

【0125】
TLC : Rf=0.08 (アンモニア水/水/1-プロパノール/酢酸エチル=3/2/7/7(v/v/v/v) 、レゾルシノール発色)
1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) : δ=1.13-1.58 [70H, -CH2-CH2-(CH2)4-CH2-NH-], 2.28-2.38, 2.72-2.77 [28H, -CH2-CH2-(CH2)4-CH2-NH-], 3.19-3.28 [14H, H4-CD, H2-CD], 3.69 [7H, H3-CD], 4.00 [7H, H5-CD], 4.18-4.21 [7H, H6a-CD], 4.33-4.41 [7H, H6b-CD], 5.05 [7H, s, H1-CD], 5.92-6.05 [14H, OH-CD], 7.62 [7H, s, H-triazole], 7.77 [21H, NH2, TFA]

【0126】
(評価)
上記のようにして合成した実施例5~9のシクロデキストリン誘導体(e)~(i)の抗菌性を最小発育濃度で評価した。評価にはグラム陽性菌として枯草菌、グラム陰性菌として大腸菌を使用した。

【0127】
評価方法は以下の通りである。 すなわち、細菌は一般細菌用乾燥ブイヨン、あるいは大腸菌はポリペプトンを加えた最小塩培地で培養し、対数増殖期の状態のものを使用した。最小発育濃度は、Muller Hinton培地、菌液、各濃度の試験化合物溶液を、37℃で20時間、培養することにより、試験化合物がその細菌の生育を阻止した最小濃度とした。なお、初期の菌濃度は1x10 細胞/mLとした。 最小発育濃度での評価の結果を表3に示す。

【0128】
【表3】
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【0129】
一般に最小発育濃度が1000μg/mLを上回る場合には、その物質には抗菌性はないと判断される。上記表3に示すように、実施例5~9の化合物は、いずれも数十μg/mL程度の強い抗菌性を示した。これは、発明12記載の抗菌剤としての作用を示す。

【0130】
以上の結果から、βシクロデキストリンにアミノ酸をクリック反応で導入した化合物は、抗菌性を発現する上で有効であることが分かった。また、ここで示された抗菌性はその分子設計から膜傷害機構に起因するものと合理的に推定され、シクロデキストリンを利用して抗菌性を発現する物質を構築する前述の分子設計とその調製方法の有効性を実証している。
そして、ここでは、 シクロデキストリンのグルコース部分にトリアゾール部を介してアミノ酸に例示されるアミノ基を含む構造を連結することで細菌への抗菌性を発現させた。これはグルコースの性質を利用して抗菌物質ができることを示している。それゆえに、シクロデキストリンと同様にグルコースからなるオリゴ糖~多糖にアミノ基を含む構造をクリック反応で導入することで抗菌物質が合成できると考えられる。さらに、グルコースの異性体で同様の性質を持つ単糖からなるオリゴ糖~多糖からも抗菌物質が合成できることを合理的に推論できる。

【0131】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の糖誘導体又はその塩は抗菌剤や抗菌活性増強剤として利用可能である。また、本発明の試薬は、物質に上記の性能を付与する方法に利用可能である。