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明細書 :微生物燃料電池

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-122615 (P2016-122615A)
公開日 平成28年7月7日(2016.7.7)
発明の名称または考案の名称 微生物燃料電池
国際特許分類 H01M   8/16        (2006.01)
FI H01M 8/16
請求項の数または発明の数 2
出願形態 OL
全頁数 11
出願番号 特願2014-262963 (P2014-262963)
出願日 平成26年12月25日(2014.12.25)
発明者または考案者 【氏名】冨永 昌人
【氏名】森村 茂
出願人 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
【識別番号】100182567、【弁理士】、【氏名又は名称】遠坂 啓太
【識別番号】100195327、【弁理士】、【氏名又は名称】森 博
審査請求 未請求
要約 【課題】湿泥中に存在する微生物を利用して発電する微生物燃料電池を提供する。
【解決手段】アノード電極と前記アノード電極に電気的に接続されるカソード電極とを備える微生物燃料電池であって、前記アノード電極が有機物を分解して電子を産生する微生物を含む湿泥の内部に配置され、前記湿泥に含まれる微生物によって産生された電子をアノード電極で回収することにより発電する微生物燃料電池。当該微生物燃料電池は、湿泥中の有機物を当該湿泥に含まれる微生物が分解することで発生する電子を外部回路に取り出すことによって発電することができる、いわゆる「泥の電池」として使用できる。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
アノード電極と前記アノード電極に電気的に接続されるカソード電極とを備える微生物燃料電池であって、前記アノード電極が有機物を分解して電子を産生する微生物を含む湿泥の内部に配置され、前記湿泥に含まれる微生物によって産生された電子をアノード電極で回収し、当該電子によりカソード電極において酸素を還元することによって発電することを特徴とする微生物燃料電池。
【請求項2】
前記カソード電極が前記湿泥の外部の酸素含有雰囲気に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の微生物燃料電池。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物を利用して発電する微生物燃料電池に関する。特に湿泥中に存在する微生物を利用して発電する微生物燃料電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微生物燃料電池は、生物分解性基質で利用できるエネルギーの一部を電気へと変換するために微生物を触媒様に使用する燃料電池である。微生物燃料電池として、一方の電極(アノード電極)に有機物を分解して発生した電子を利用して、他方の電極(カソード電極)で酸素を還元することにより発電を行う燃料電池であり、微生物の有機物分解の代謝反応から電子を外部回路に取り出すことにより、微生物を触媒とした有機物の化学エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる。
【0003】
従来より、微生物燃料電池として、微生物を担持したアノード電極を使用した燃料電池(例えば、特許文献1参照)、有機物を分解する微生物を収容する第1の槽と、プロトン透過膜を介して該第1の槽に隣接する第2の槽とを備え、各槽には電極が配設された構成の燃料電池(例えば、特許文献2,3参照)等が報告されている。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2013-239292号公報
【特許文献2】特開2012-142250号公報
【特許文献3】特開2013-84597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の微生物電池は、いずれの構造もアノード(酸化反応極)槽は嫌気的雰囲気を保つために、不活性ガスをパージして嫌気雰囲気下にする必要がある。また、アノード槽に酸素混入時には出力が低下する問題があった。また、高出力を得るために電極に特定の電流発生菌(代表的な菌としてシュワネラ属やジオバクター属)を固定化したり、発電に適した状態とするために、燃料となる有機物を含む原料に水分を添加して懸濁液化することなどが必要なため、高コスト化しているのが実状である。
【0006】
一方、高い出力を必要としない用途(例えば、有機物処理を兼ねた発電)も存在するため、装置構成がシンプルで低コストである微生物電池が望まれていた。
かかる状況下、本発明の目的は、湿泥中に存在する微生物を利用して発電する微生物燃料電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、下記の発明が上記目的に合致することを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の発明に係るものである。
<1> アノード電極と前記アノード電極に電気的に接続されるカソード電極とを備える微生物燃料電池であって、前記アノード電極が有機物を分解して電子を産生する微生物を含む湿泥の内部に配置され、前記湿泥に含まれる微生物によって産生された電子をアノード電極で回収し、当該電子によりカソード電極において酸素を還元することによって発電する微生物燃料電池。
<2> 前記カソード電極が前記湿泥の外部の酸素含有雰囲気に配置されている前記<1>に記載の微生物燃料電池。
【発明の効果】
【0009】
本発明の微生物燃料電池によれば、湿泥中の有機物を当該湿泥に含まれる微生物が分解することで発生する電子を外部回路に取り出すことによって発電することができる。また、それと同時に嫌気的な泥中の汚れを好気的分解と同じ仕組みで微生物により分解し浄化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の微生物燃料電池の概念図である。
【図2】本発明の微生物燃料電池に使用できる電極の一例の製造方法を示す図である。
【図3】本発明の微生物燃料電池の好適な実施形態の一例を示す概念図である。
【図4】有明海干潟で採取した湿泥を用いた発電結果である。
【図5】有明海干潟での発電試験(発電量)の結果である。
【図6】有明海干潟での発電試験(経時変化)の結果である。
【図7】インドネシア・スラバヤ市近郊の干潟での発電結果である。
【図8】各種の湿泥を用いた発電試験の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について例示物等を示して詳細に説明するが、本発明は以下の例示物等に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変更して実施できる。

【0012】
本発明の微生物燃料電池は、アノード電極と前記アノード電極に電気的に接続されるカソード電極とを備える微生物燃料電池であって、前記アノード電極が有機物を分解して電子を産生する微生物を含む湿泥の内部に配置され、前記湿泥に含まれる微生物によって産生された電子をアノード電極で回収し、当該電子によりカソード電極において酸素を還元することによって発電する微生物燃料電池である。図1に本発明の微生物電池の概念図を示す。

【0013】
微生物のエネルギー獲得のための代謝反応は、電子供与体から電子受容体への電子の流れを伴う多数の酸化還元反応で構成されている。微生物の有機物分解の代謝反応から電子を外部回路に取り出すことにより、微生物を触媒とした有機物の化学エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる。
本発明の微生物燃料電池の特徴は、もともと湿泥に含まれる微生物を触媒として利用し、かつ、湿泥に含まれる有機物を燃料として利用することにある。すなわち、従来の微生物燃料電池と異なり、アノード電極に微生物を固定化したり、燃料である有機物を供給する必要がない。
本発明の微生物燃料電池は、対象なる湿泥の内部にアノード電極を配置し、アノード電極に電気的に接続されるカソード電極を酸化性雰囲気下に配置するというシンプルな構成で発電することができるため、低コストな発電システムとして使用できる。
また、湿泥は酸素透過性が低く、その内部は必然的に嫌気的な雰囲気にあるため、アノード電極の雰囲気を人工的に嫌気的に変える必要性がない。

【0014】
本発明の微生物燃料電池では、もともと湿泥に含まれる微生物が、好気性微生物による有機物の酸化分解と同じような仕組みで、嫌気的環境において有機物を分解することを可能にすると推測される。
好気性微生物が酸素を必要とするのは、人間が酸素を必要とする理由と同じであり、有機物の酸化によりエネルギーを獲得する際に発生した電子を、酸素の還元に使って消費する必要があるためである。すなわち、代謝で発生した電子を体外へ破棄できる環境を整えてあげると、好気的微生物と嫌気的微生物との共生によって泥中の有機物の分解を促進できることになる。
本発明の微生物燃料電池は、1)微生物が有機物を酸化分解し、2)酸化過程で発生した電子をアノード電極で回収し、3) その電子を酸素が存在する環境に配置されたカソード電極まで導き、4) そこで酸素を還元して電子を消費するものである。このようにして、発電と湿泥の浄化を同時に進行させることができる。

【0015】
微生物は、栄養源がある至る所に生息している。低温・高温、高圧・低圧、酸性・アルカリ性などの厳しい条件をクリヤーして生息する微生物がおり、環境適応能力に優れる。湿泥の場合、その湿泥の環境に適した微生物が、泥から栄養源を得て生息している。
本発明の微生物燃料電池は、微生物の有機物分解の代謝反応から電子を外部回路に取り出すことにより、微生物を触媒とした有機物の化学エネルギーから電気エネルギーを取り出すことができる。更に同時に、嫌気的な泥中の汚れを好気的仕組みと同様にして微生物で分解し浄化を促進することも可能である。

【0016】
本発明における「湿泥」は、イオン伝導性を有する程度の水分を含む泥であって、かつ、微生物にとって栄養分となる有機物を含むものを意味する。すなわち、「湿泥」であっても、滅菌され、微生物が存在しないものは、本発明における「湿泥」からは除外される。

【0017】
本発明の微生物燃料電池は、湿泥の状態を制御する必要がなく、従来の微生物燃料電池のように密閉型セル構造を必要としないため、オープンセル型の電池とすることができる。そのため、本発明の微生物燃料電池は、汚泥処理施設に限定されずに、屋外の泥(家畜排泄物、水産養殖場の汚泥堆積物、干潟、河川敷の汚泥、ダム底の汚泥)にも適応可能である。
また、本発明の微生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極といった最小限の構成でよいため、低コストでの発電と浄化が可能である。湿泥の状態によって発電量は異なるが、どのようなタイプの湿泥でも原則的に発電可能である。

【0018】
本発明の微生物燃料電池では、アノード電極を配置する湿泥中に生息する細胞外電子伝達能を有する微生物がそのままの状態で使用される。すなわち、もともと湿泥に生息している微生物を微生物燃料電池の触媒として用いるため、微生物のコストも不要である。
使用される湿泥中の微生物は、有機物を分解し電子をアノード電極に直接的にもしくは間接的に放出する細胞外電子伝達能を有する微生物であればよく、偏性嫌気性菌、通性嫌気性菌、微好気性細菌、耐酸素性細菌のいずれもが使用可能である。

【0019】
以下、本発明の微生物燃料電池におけるアノード電極、カソード電極について、詳細に説明する。なお、アノード電極とカソード電極の区別をする必要がない場合には、これらを併せて「電極」と称す場合がある。

【0020】
アノード電極としては、従来公知の微生物燃料電池におけるアノード電極と同様のものが原則使用可能である。
一方で、アノード電極は、有機物を分解して電子を産生する微生物を含む湿泥の内部に配置され、微生物による有機物の分解により発生する電子を回収する。そのため、アノード電極には、電子伝導性と共に、湿泥の内部の環境における耐久性があることが求められる。そのため、アノード電極を埋設する湿泥の環境、目的とする発電出力、発電期間、電極のコストなどを考慮して、適宜好適な電極を選択すればよい。

【0021】
アノード電極として、例えば、カーボン系電極、白金、チタンの非腐食性金属等を使用することができる。高効率に微生物による有機物の分解により発生する電子を回収できるように単位重量あたりの表面積が大きい電極であることが好ましい。
アノード電極として基材電極に、導電性微粒子を担持したものであってもよく、導電性微粒子を有することにより、微生物からアノード電極へ電子を伝達することを促進することができる。

【0022】
図2にアノード電極として好適な一例となる電極の製造方法を示す。当該アノード電極は、耐腐食性の高いチタンを集電基材電極とし、これに多孔質カーボン粉末を加圧加熱により固定化して電極としたものである。加圧加熱により固定化されたカーボンベースの電極は、電子伝導性が高く、表面積が大きいため、電極性能に優れる。また、当該電極を構成するチタンとカーボンは化学的安定性に優れるため、湿泥の環境下においても溶出することがなく、環境負荷も小さい。また、カーボンは微生物との親和性も高いという利点もある。

【0023】
なお、上述のとおり、本発明の微生物燃料電池は、もともと湿泥に含まれる微生物を利用して、湿泥に含まれる有機物を微生物が分解により発生する電子をアノード電極で回収して発電するものであり、微生物を固定化していない非修飾の電極を使用できることに特徴のひとつがあるが、より電極の機能性(例えば、出力や耐久性)を高めるために修飾電極を使用してもよい。
このような修飾電極として、例えば、湿泥に含まれる微生物と異なる微生物を固定化した電極、メディエーターを固定化した電極等が挙げられる。

【0024】
湿泥中において、アノード電極を配置する位置は、原理的にはカソード電極との電位差が発生すればよく、カソード電極が配置される雰囲気より酸素濃度が低い環境であればよい。但し、単一電池構造(アノード電極とカソード電極の1組のペア)の実用的な電圧(例えば、~0.5V)を得るためには、アノード電極は嫌気的雰囲気であることが必要である。泥中は酸素が透過しにくく、また湿泥の表面層近傍の微生物によって酸素が消費される。そのため、湿泥の数cm下は酸素が届かなく、実質的な嫌気的雰囲気である。湿泥の状態にもよるが、実質的な嫌気的雰囲気となるのは、通常、5cm程度である。
また、そのままでは酸素が拡散して嫌気的雰囲気となっていない深さであっても、不活性ガスでバブリングしたり、湿泥の表面に酸素非透過のフィルムを貼付したりすることにより、酸素濃度を低減させれば、実用的な電圧(例えば、~0.5V)での発電は可能である。
また、干潟などの泥砂によって電極が研磨される場合は、アノード電極の周りを円柱状のもので仕切りを設置することで、横側の泥砂の動きを抑制し、アノード電極の研磨を抑制することが可能である。

【0025】
カソード電極は、アノード電極と電気的に接続され、アノード電極から外部回路を介して供給された電子により、酸素を還元して水を生成する。カソード電極は酸素が存在する溶液中もしくは気液界面に配置される。
カソード電極として、例えば、カーボン系電極、白金、チタンの非腐食性金属等を使用することができる。高効率に微生物による有機物の分解により発生する電子を回収できるように単位重量あたりの電極表面積が大きい電極であることが好ましい。
酸素還元の反応場を多くするため、カソード電極は高面積の電極であることが好ましい。また、酸素還元の触媒活性を高めるために、金属触媒微粒子(例えば、白金微粒子やパラジウム微粒子)が担持された電極が好適な電極のひとつとして挙げられる。

【0026】
本発明の微生物燃料電池の好適な態様のひとつは、カソード電極が前記湿泥の外部の酸素含有雰囲気に配置されている構成である。その代表的な構成は、図1に示すようにアノード電極を湿泥内部に配置し、カソード電極を湿泥表面に接するように配置する構成である。このように、アノード電極、カソード電極及び両電極を接続する導線という非常にシンプルな構成で、湿泥中の有機物を分解して、湿泥を浄化しつつ、発電を行うことができる。

【0027】
また、本発明の微生物燃料電池において、より効率的に発電を行う場合には、アノード電極とカソード電極における酸素濃度差を大きくし、抵抗を低減させるためにアノード電極とカソード電極の距離を短くする構成を採用することが好ましい。

【0028】
このような構成を有する本発明の微生物燃料電池の一態様として、図3に模式図を示すセル構成を有する微生物燃料電池が挙げられる。
図3に示す微生物燃料電池は、アノード電極とカソード電極以外に、アノード電極、カソード電極の接触を防ぐ隔膜(セパレータ)と、ガス非透過性の二重チューブ状容器から構成される。二重チューブ状容器のうち、内側のチューブ状容器には電解質溶液(例えば、NaCl溶液)が蓄えられ、その中にカソード電極が配置される。また、外側のチューブ状容器には不活性ガスが流通できるように設計されており、必要に応じて不活性ガスを供給できる構成である。

【0029】
図3において、アノード電極とカソード電極とはセパレータを介して、アノード電極は湿泥中に配置され、カソード電極は容器内の電解質溶液(NaCl溶液)中に配置される。セパレータは、カチオン交換膜等のプロトン(H+)を選択的に透過するように構成され、例えば、水素燃料電池などのセパレータとして用いられるナフィオン膜などが挙げられる。また多少の酸素透過性の膜であっても速いプロトン移動が期待できるアラミド不織紙や和紙なども挙げられる。より電気抵抗を減らすためには、アノード電極とカソード電極とをセパレータに接するように配置することが好ましい。
図3に示すようにカソード電極が配置される内側のチューブ状容器は開放されており、空気中の酸素が溶存して供給される。なお、電解質溶液にはバブリングにより強制的に酸素供給してもよい。

【0030】
また、上述のように外側のチューブ状容器には不活性ガスが流通できるように設計されており、湿泥表面から湿泥内部へ酸素が供給することを防ぐことができる。そのため、そのままでは湿泥表面から酸素が拡散して嫌気的雰囲気ならない湿泥の深さ(例えば、5cm未満)にアノード電極を配置した場合であっても、不活性ガスが流通により嫌気性雰囲気とすることができるので、実用的な電圧(例えば、~0.5V)での発電が可能となる。

【0031】
以上、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。

【0032】
本発明の微生物燃料電池は、例えば以下に用いることもできる。
(1)下水汚泥処理:下水汚泥処理に必要とされる電力の補助電源
(2)環境モニター:土壌の状態によって発電量が変化することを利用した環境センサ。自立発電型であるため、発電した電気を無線送信機の電源に使用できて広域の環境を自動でモニターできる。
(3)ヘドロの浄化促進と発電:川底やダム底や養殖池底、海底などのヘドロ底にアノード電極を設置することで、酸素が届かなくて分解が促進されない泥中の有機沈殿物を分解し、なおかつ電力を得る。
(4)メタン発酵後の汚泥からの発電:メタン発酵後の汚泥からでも、さらに発電が可能であることを確認している。
(5)土壌改質:栄養過多の土壌に設置することで、酸素が届きにくい泥中の過多の栄養分の除去を促進する。
(6)ロボットの電源:小型ロボットの動力源として用いる。
【実施例】
【0033】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
有明海干潟の湿泥5mL程度を50mLのサンプル瓶に採取し、図3に準じる構成を有する微生物燃料電池セルを使用して発電試験を行った。なお、アノード電極を埋設した深さは1cm、測定温度は20℃である。発電結果を図4に示す。最大電圧は0.32Vであり、見かけの電極面積1m2あたりに換算した最大電力は約600mWであった。
【実施例】
【0035】
使用したアノード電極、カソード電極及びセパレータは以下の通りである。
(アノード電極)
多孔質炭素としてのケッチンブラック(1300m2/g)を0.05gならびにバインダーとしての1.5gのポリビニリデンフロライドを30mLのN-メチル-2-ピロリジノンに分散して作製したカーボンペーストを、10mm×10mmのチタンメッシュ(100メッシュ/インチ、厚さ0.1mm)の両面に塗布後、図2に示す方法で電極とした。塗布後のチタンメッシュの重量を除いた乾燥重量は5~8mgであった。
(カソード電極)
カソード電極もアノード電極と同じように作製した。
(セパレータ)
アラミド不織紙を用いた。
【実施例】
【0036】
(比較例)
加熱滅菌処理(90℃を2回)を施した湿泥を用いて、上記実施例と同一の電極配置、同一の条件で発電を試みたところ、全く発電しなかった。
実施例の湿泥には、特別の微生物を添加していないため、本発明の微生物燃料電池における発電には、採取した湿泥にもともと生息している微生物が触媒として機能していることが確認された。
【実施例】
【0037】
(実施例2)
有明海干潟に以下のアノード電極、カソード電極を設置して、オープンセル型の発電試験をおこなった。結果を図5に示す。なお、アノード電極は、干潟泥表面から25cmの深さに設置し、測定の間、そのままの状態とした。また、泥砂によりアノード電極が研磨されることによる劣化を防ぐために、直径30cm程度の円柱状プラスチック(上下の空いている状態)でアノード電極周辺を囲った(図5、「囲い有」)。また、囲いがない場合についても測定した(図5、「囲い無」)。カソード電極は、測定の都度(約2週間に一度の測定)、干潟上の海水に設置した。
図5の測定時は、気温は25℃であった。最大電圧は約0.35Vであり、見かけの電極面積1m2あたりに換算した最大電力は350~500mWであった。
また、図6は2013年8月からの電力の経時変化を外気温ならびに干潟泥温度、前日の天気と合わせて示した。なお、測定結果はアノード電極の囲いをつけた場合である。外気温と泥温度が低下すると発電量も低下する傾向を示したものの、年間を通じて発電することが確かめられた。しかしながら、それ以外の発電に影響を及ぼす要因もあることが解った。
【実施例】
【0038】
使用したアノード電極、カソード電極は以下の通りである。なお、セパレータは使用しなかった。
(アノード電極)
多孔質炭素としてのケッチンブラック(1300m2/g)を0.05gならびにバインダーとしての1.5gのポリビニリデンフロライドを30mLのN-メチル-2-ピロリジノンに分散して作製したカーボンペーストを、25mm×100mmのチタンメッシュ(100メッシュ/インチ、厚さ0.1mm)の両面に塗布後、図2に示す方法で電極としたものである。塗布後のチタンメッシュの重量を除いた乾燥重量は0.13~0.20gであった。
(カソード電極)
カソード電極もアノード電極と同じように作製した。
【実施例】
【0039】
(実施例3)
インドネシア・スラバヤ市近郊の干潟に以下のアノード電極、カソード電極を設置して、オープンセル型の発電試験をおこなった。結果を図7に示す。なお、アノード電極は、泥表面から25cmの深さに設置した。カソード電極は、干潟上の海水に設置した。気温は29~31℃であった。最大電圧は0.3V前後であり、見かけの電極面積1m2あたりに換算した最大電力は約600mWであった。有明海干潟での測定結果と同等の発電が得られることが解った。
【実施例】
【0040】
使用したアノード電極、カソード電極は以下の通りである。なお、セパレータは使用しなかった。
(アノード電極)
多孔質炭素としてのケッチンブラック(1300m2/g)を0.05gならびにバインダーとしての1.5gのポリビニリデンフロライドを30mLのN-メチル-2-ピロリジノンに分散して作製したカーボンペーストを、25mm×100mmのチタンメッシュ(100メッシュ/インチ、厚さ0.1mm)の両面に塗布後、図2に示す方法で電極としたものである。塗布後のチタンメッシュの重量を除いた乾燥重量は0.13~0.20gであった。
(カソード電極)
カソード電極もアノード電極と同じように作製した。
【実施例】
【0041】
(実施例4)
干潟の湿泥以外のモデル湿泥を用い、図3に準じる構成を有する微生物燃料電池セルを使用して発電試験を行った。結果を図8に示す。モデル湿泥として、土や動物の排泄物などについても水を加えて泥状で使用した。なお、アノード電極を埋設した深さは、1cm、測定温度は15~20℃である。図8の結果からも解るように、有機物が多量に含まれており微生物が多く生息している泥がより高い発電を示した。このことは、本発明の微生物燃料電池が泥の汚染度を測定する環境測定への応用が可能であることを示す。
【実施例】
【0042】
使用したアノード電極、カソード電極及びセパレータは以下の通りである。
(アノード電極)
多孔質炭素としてのケッチンブラック(1300m2/g)を0.05gならびにバインダーとしての1.5gのポリビニリデンフロライドを30mLのN-メチル-2-ピロリジノンに分散して作製したカーボンペーストを、10mm×10mmのチタンメッシュ(100メッシュ/インチ、厚さ0.1mm)の両面に塗布後、図2に示す方法で電極とした。塗布後のチタンメッシュの重量を除いた乾燥重量は5~8mgであった。
(カソード電極)
カソード電極もアノード電極と同じように作製した。
(セパレータ)
アラミド不織紙を用いた
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の微生物燃料電池は、微生物固定化電極を使用せずとも、湿泥中に存在する微生物を利用して発電することができるので、低コストの発電デバイスであり、例えば、水処理・環境分野(工場廃水、下水汚泥、川底やダム底の汚泥、養殖池底や海底の汚泥、広域環境測定、家畜排泄物の処理、途上国での汚泥処理、バイオマス、地中から吹き出した湿泥)、農業分野(土壌改質)、ロボット分野(エネルギー源)等への応用が期待できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7