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明細書 :咀嚼認識装置、咀嚼認識方法及び咀嚼認識のためのプログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-093050 (P2015-093050A)
公開日 平成27年5月18日(2015.5.18)
発明の名称または考案の名称 咀嚼認識装置、咀嚼認識方法及び咀嚼認識のためのプログラム
国際特許分類 A61B   5/11        (2006.01)
A61C  19/04        (2006.01)
FI A61B 5/10 310J
A61C 19/04 Z
請求項の数または発明の数 5
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2013-234116 (P2013-234116)
出願日 平成25年11月12日(2013.11.12)
発明者または考案者 【氏名】谷口 和弘
【氏名】宮崎 雷蔵
【氏名】千秋 輝
【氏名】岡島 正純
【氏名】岩城 敏
出願人 【識別番号】510108951
【氏名又は名称】公立大学法人広島市立大学
審査請求 未請求
テーマコード 4C052
Fターム 4C052AA20
4C052NN07
4C052NN16
4C052NN17
要約 【課題】ヒトの外耳に装着して、外耳道の咀嚼に伴う変形を検知して咀嚼動作を認識する咀嚼認識装置、咀嚼認識方法及び咀嚼認識のためのプログラムを提供する。
【解決手段】外耳に装着され、その形状変化を検知するセンサ部と、検知信号に基づいて咀嚼を認識する認識部とを備える咀嚼認識装置であって、認識部は、検知信号入力手段と、基準値設定手段と、基準値設定後これに連続して第1基準回数計測された複数個の比較値を得る比較値設定手段と、基準値と比較値を比較し電位差信号を得る比較手段と、電位差信号のうち所定電位差以上の電位差信号の数が第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定手段と、電位信号のうち所定電位差以上の電位差信号の数が、第2基準回数以上存在すると判定された回数が、第3基準回数内において第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定手段と、咀嚼認識手段と有する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
外耳に装着され、その形状変化を距離の変化として検知し、検知信号を出力するセンサ部と、該センサ部からの前記検知信号に基づいて咀嚼を認識する認識部とを備える咀嚼認識装置であって、
前記認識部は、
前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力手段と、
該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定手段と、
前記検知信号入力手段からの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定手段と、
前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較手段と、
前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定手段と、
該第1判定手段により、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定手段と、
該第2判定手段により前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識手段と、
を備える咀嚼認識装置
【請求項2】
前記センサ部が、光学式センサ又は音響センサを含むことを特徴とする請求項1記載の咀嚼認識装置
【請求項3】
前記光学式センサは、反射型フォトセンサ又はFBG型光ファイバセンサであり、前記音響式センサは超音波式距離センサであることを特徴とする請求項2記載の咀嚼認識装置
【請求項4】
外耳に装着されるセンサ部にて、外耳の形状変化に対応する検知信号を得、該検知信号に基づいて咀嚼を認識する咀嚼認識方法であって、
前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力ステップと、
該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定ステップと、
前記検知信号入力ステップからの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定ステップと、
前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較ステップと、
前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定ステップと、
該第1判定ステップにより、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定ステップと、
該第2判定ステップにより前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識ステップと、
を含む咀嚼認識方法
【請求項5】
外耳に装着されるセンサ部にて、外耳の形状変化に対応する検知信号を得、該検知信号に基づいて、コンピュータに以下のステップを実行させ、咀嚼認識を行うためのプログラム
前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力ステップ、
該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定ステップ、
前記検知信号入力ステップからの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定ステップ、
前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較ステップ、
前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定ステップ、
該第1判定ステップにより、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定ステップ、
該第2判定ステップにより前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識ステップ。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の咀嚼状態を自動的に認識する咀嚼認識装置、咀嚼認識方法及び咀嚼認識のためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体に装着してハンズフリー操作を可能とするウェアラブルコンピュータの開発が様々な方面で行われている。本発明者らは、先に、ヒト(使用者)の外耳、具体的には外耳道に装着して使用者の様々な生体信号を得るウェアラブルコンピュータに関する発明をし、特許出願した(特許文献1)。この公報には、ウェアラブルコンピュータ用に好適な入力デバイスが開示されている。すなわち、外部の出力デバイスに制御命令を出力するための入力デバイスであって、使用者の外耳に装着され、外耳道の形状変化を検知するセンサ部と、このセンサ部からの検知信号に基づいて、外部の出力デバイスを制御する制御部とを備えたものである。
【0003】
この入力デバイスによれば、センサ部が外耳道に装着されるので、外部光等の外乱要因を極力排除した環境下で、外耳道の形状変化を検知することができ、その結果、センサ部から信頼性の高い検知信号が安定して得られ、得られた検知信号に基づいて、外部の出力デバイスを高精度に制御することが可能となる。
【0004】
外耳道に装着される前記ウェアラブルコンピュータによれば、使用者の食事における咀嚼状態を認識することができる。外耳道に装着して咀嚼を計数、認識等する技術に関しては、例えば、咀嚼の際、あごの動きに伴って外耳道の筋肉が動くことに着目し、外耳道内の圧力変化を圧力センサにて検知する技術が知られている(特許文献2)。咀嚼に伴う外耳道の動きを検知する圧力センサとして、微圧センサ、圧電センサ、押圧センサを用いることも知られている(特許文献3)。また咀嚼を検知するセンサとして、張力検出センサ、筋電圧検出センサを使用することも知られている(特許文献4)。
【0005】
しかしながら、特許文献1には、表情の変化、例えば目を開く又は閉じる、舌を左右へ動かす等について検知信号が波形で示されているが、咀嚼動作については、これを判定、認識する技術について記載されていない。
【0006】
また、特許文献2~4の装置は、ウェアラブルコンピュータの入力デバイスとして使用することを意図していない。仮に、ウェアラブルコンピュータの入力デバイスとして使用したとしても、これらの装置は、何れも外耳道内の圧力変化を検知するセンサを使用しているため、使用環境(外耳道のサイズ、外耳道の形状、装着状態等)の違いによって検知結果にバラツキが発生し易い。そのため、確実な操作が求められるウェアラブルコンピュータの入力デバイスには適さない。
【0007】
また、外耳道内の圧力変化を確実に検知するためには、圧力センサを装着者の外耳道にしっかりと圧入する必要があるが、これは使用者に不快感を与えることになり、長時間の装着は困難である。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】再公表特許WO2010/090175号公報
【特許文献2】特開平7-213510号公報
【特許文献3】特開平11-318862号公報
【特許文献4】特開平7-171136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するものであり、外耳に装着されるウェアラブルコンピュータに使用して好適な、使用者の咀嚼状態を自動的に認識する咀嚼認識装置、咀嚼認識方法及び咀嚼認識のためのプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、外耳に装着され、その形状変化を距離の変化として検知し、検知信号を出力するセンサ部と、該センサ部からの前記検知信号に基づいて咀嚼を認識する認識部とを備える咀嚼認識装置であって、前記認識部は、前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力手段と、該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定手段と、前記検知信号入力手段からの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定手段と、前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較手段と、前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定手段と、該第1判定手段により、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定手段と、該第2判定手段により前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識手段と、を備えてなるものである。
【0011】
本発明にあっては、前記センサ部を、光学式センサ又は音響センサとすることができる。
【0012】
また本発明にあっては、前記光学式センサを、反射型フォトセンサ又はFBG型光ファイバセンサとし、前記音響式センサを超音波式距離センサとすることができる。
【0013】
本発明は、外耳に装着されるセンサ部にて、外耳の形状変化に対応する検知信号を得、該検知信号に基づいて咀嚼を認識する咀嚼認識方法であって、前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力ステップと、該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定ステップと、前記検知信号入力ステップからの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定ステップと、前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較ステップと、前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定ステップと、該第1判定ステップにより、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定ステップと、
該第2判定ステップにより前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識ステップと、を含むものである。
【0014】
また本発明は、外耳に装着されるセンサ部にて、外耳の形状変化に対応する検知信号を得、該検知信号に基づいて、コンピュータにて実行される、咀嚼認識を行うためのプログラムであって、前記センサ部からの検知信号が入力する検知信号入力ステップ、該検知信号入力手段からの前記検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定ステップ、前記検知信号入力ステップからの前記検知信号が入力されるとともに、前記基準値設定後、所定時間間隔を経て前記検知信号より比較値を得る比較値設定ステップ、前記基準値と前記比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較ステップ、前記比較値設定に続き、前記所定時間間隔を経て前記検知信号より2番目の比較値を得て前記基準値と比較し、両者の電位差信号を得、係る比較値設定及び前記基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定ステップ、該第1判定ステップにより、前記第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、前記第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定ステップ、該第2判定ステップにより前記第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識ステップ、を含むものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、装置が外耳、具体的には外耳道に装着され、外耳道の形状変化に対応する検知信号を利用するものであるから、外部の光や音などの影響を受けず、正確な検知信号を得ることができ、したがって咀嚼認識を高精度で行なうことができる。
【0016】
また本発明は、検知信号の任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定手段と、基準値設定後、これに連続して所定時間間隔であらかじめ設定された複数の比較値を検知信号より得る比較値設定手段とを設け、基準値と比較値を比較して、基準値と比較値の差が所定値以上あるかどうかを判定し、さらにこの判定結果を複数回確認することで咀嚼認識を行うものである。それゆえ、基準値、比較値、その差の電圧値、その発生回数を適切に選ぶことにより、精度の高い咀嚼認識を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る咀嚼認識装置の構成を示すブロック図である。
【図2】外耳挿入型とした咀嚼認識装置の外観及び装着状態を示す図である。
【図3】本発明に係る咀嚼認識方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】フローチャートを更に詳細に説明するためのフローチャートである。
【図5】検知信号を示す波形図である。
【図6】検知信号を示す波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態に係る咀嚼認識装置について説明する。
図1において、1は外耳、具体的にはその外耳道に装着され、その形状変化を距離の変化として検知し、検知信号を出力するセンサ部であり、光学式センサ又は音響センサを使用することができる。具体的には、光学式センサは、反射型フォトセンサ又はFBG型光ファイバセンサを、また音響式センサは超音波式距離センサを使用することができる。光学式センサとして、LED等の発光素子と、フォトトランジスタ、フォトダイオード、CCD等の受光素子が挙げられる。なおLEDとして赤外線LEDを使用する場合は、発信する赤外線の波長として、人体を透過しない波長のものを選択する必要がある。

【0019】
2は、センサ部1から入力される検知信号に基づいて咀嚼を認識する認識部である。この認識部2において、3は、センサ部1からの検知信号を入力し、次段以降の回路部分で処理する電位信号に変換し検知信号αとして出力する検知信号入力手段、4は、検知信号入力手段3からの検知信号αの任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定手段、5は、検知信号入力手段3からの検知信号αが入力するとともに、基準値設定手段4による基準値設定後、これに連続して所定時間間隔であらかじめ設定された複数個の比較値を前記検知信号より得る比較値設定手段である。

【0020】
ここで、本実施形態では比較値設定手段5における比較値の計数回数(第1基準回数)は12回に設定され、基準値計測後、等時間間隔、例えば50ms間隔で計測される。比較値設定手段5は、比較値計測を計数するカウンタを備え、計数回数が12に設定される。一般的に1回の咀嚼動作は成人男性で約0.5秒前後であり、50ms間隔で12回計測すれば、1回分の咀嚼動作のほぼ全体が計測できるからである。1回の咀嚼動作の時間は、年齢、性差によって異なるから、使用者の年齢等に対応して、この計数回数及び計数時間間隔を適宜変更することができる。

【0021】
6は、基準値設定手段4により設定された基準値と、比較値設定手段5により計測されて得られた比較値を順次比較し、所定の第1基準回数(本実施形態では12回)、電位位差信号を得る比較手段である。7は、12個の電位差信号のうち、咀嚼動作時に得られる強い咬合力に対応して設定された所定電位差以上の電位差信号の数が、これもまた咀嚼動作時に得られる強い咬合力に対応して予め設定された所定の第2基準回数(本実施形態では8回に設定)以上存在するかどうかを判定する第1判定手段である。本実施形態の場合、12個(第1基準回数)の比較値のうち、8回(第2基準回数)以上所定電位差以上の電位差信号が得られた場合に、咀嚼動作に必要な咬合力が得られていると判定した。8回より少ないときは、咬合力が弱く、咀嚼ではない(例えば会話)可能性が高いのである。なお咀嚼動作は人によって早くかむ人、ゆっくりとかむ人等個人差があるから、上記8/12の回数は咀嚼動作が続いていることを示す信号であって、咀嚼回数に一致しているわけではない。

【0022】
比較値設定手段5、比較手段6及び第1判定手段7にて、第1判定部8が構成される。すなわち、検知信号の任意の時間の電位信号が基準値として設定されたのち、これに続く所定時間経過後に検知信号より比較値電位信号が計測され、基準値と比較値との電位差が計測される。さらにこの比較値計測に続いて所定時間経過後に2番目の比較値が計測され、同様に基準値とこの比較値との電位差が計測される。かかる処理が順次繰り返され、第1基準回数(12回)に達したとき終了する。さらに12回の計測値のうち、同様に繰り返し計数された所定電位差以上の計測値が第2基準回数に達したとき終了する。第1及び第2基準回数がともに満たされたとき、第1判定部8は咀嚼動作が続いていると判定するのである。

【0023】
9は、第1判定手段7により、比較値である12個の電位信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、8回(第2基準回数)以上存在すると判定された回数(咀嚼動作が継続していると判定された回数)が、所定回数(第3基準回数)例えば8回のうち、これもまた所定回数(第4基準回数)例えば6回以上存在するかどうかを判定する第2判定手段である。この第2判定手段9は、第1判定手段7からの信号入力回数(第3基準回数)と、第4基準回数を計数するカウンタを備え、第3基準回数が8に達し、同時にその8回のうち、第4基準回数が6回存在するに至ったとき、出力信号を発生する。

【0024】
第1判定手段7から条件を満たした一つの信号が第2判定手段9に入力すると、12番目の比較値計測後、所定時間経過後に再度検知信号より電位信号が検知され、2番目の基準値が設定される。以後、前述の1回目の基準値設定後と同様に、所定時間経過後に検知信号の電位が計測され比較値として設定される。この比較値は基準値と比較され、両者の電位差信号が得られる。この処理が順次12回繰り返され、そのうち8回所定電位差以上の比較値が計測されたとき、第1判定手段より、2つ目の判定信号が出力され、第2判定手段9に入力する。

【0025】
このようにして第1判定部8にて処理され、第2判定手段9に信号が入力されるたびに、第2判定手段9と第1判定部との間で、新たな基準値設定とこれに続く比較値設定が行われ、同様の処理が繰り返されていく。これらの処理を行なう第1判定部8と第2判定手段9により第2判定部11が構成される。

【0026】
10は、この第2判定手段9の信号を受けて、これを咀嚼と認識する咀嚼認識手段である。第2判定手段9からの出力信号が8個(第3基準回数)存在することにより、咀嚼動作が続いていることが確認され、このうち6回(第4基準回数)分の変化があることを確認することにより、咀嚼動作と判断するのである。第3基準回数を8回、第4基準回数を6回に設定したのは、咀嚼動作と推定されるほど強い咬合動作が8回の計測期間中に6回発生すれば咀嚼動作が行われていると判定できるとしたものである。この判定条件は、実際の咀嚼動作に一致したが、さらに精度を上げるために、変更することも可能である。

【0027】
会話においても口は開閉し、咬合力が発生するが、これは咀嚼時の咬合力に比較して弱く、また咀嚼動作ほど連続して発生することも少ないため、咀嚼動作と会話動作との差を明確に行うことができる。検知信号入力手段3、基準値設定手段4、第1判定部8及び第2判定手段9とにより、第2判定部11が構成される。この第2判定部11は、強い咬合力が検知されて咀嚼動作と判定された回数が、咀嚼動作のもう一つの条件である連続性の条件を満たした場合に、咀嚼動作が行われていると判定する作用をなすものである。

【0028】
図2は、センサ部1を外耳の外耳道12に装着した状態を示す。センサ部1には、1対のLEDとフォトトランジスタからなる検知センサ13が設けられており、LEDから発せられた光が外耳道12、又はその一部である鼓膜14に当たって反射し、フォトトランジスタにて受光される。これにより反射部位までの距離の信号が得られる。外耳下方に顎関節が位置することから、咀嚼あるいは会話による下顎の動きの影響を受けて、外耳道12は、その形状を変え、これが距離信号に反映されるのである。なお検知センサとして、LEDとフォトトランジスタの対を使用したときは、検知信号のノイズを減らし検知精度を上げることができる。また、同様に検知精度を上げるためセンサ対を複数個設けることもできる。

【0029】
15は、検知センサ13の周囲を囲む弾性部材で、光信号の発信、受信部分は開口状態特許庁されている。弾性部材15は、センサ部1を外耳道12に挿入、装着したとき、外耳道12の表面に弾性変形して密接する。これにより、外部光の進入を防いでノイズを減らすとともに、センサ部1を装着した際の違和感をやわらげることができる。

【0030】
次に、実施形態に係る咀嚼認識装置の動作を、図3を参照してステップS1~S7順に説明する。
S1:センサ部1にて得られた検知信号αを認識部2に入力する検知信号入力ステップ。
S2:ステップS1からの検知信号αの任意の一点の電位を基準値として設定する基準値設定ステップ。
S3:検知信号αを入力するとともに、基準値設定後、所定時間間隔を経て検知信号αより比較値を得る比較値設定ステップ。
S4:基準値と比較値を比較し、両者の電位差信号を得る比較ステップ。
S5:比較値設定に続き、所定時間間隔を経て検知信号αより2番目の比較値を得て基準値と比較し、両者の電位差信号を得、比較値設定及び基準値との比較処理を複数回実施し、その実施回数が所定の第1基準回数に達し、かつその実施回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号を有する回数が、所定の第2基準回数以上存在するかどうかを判定する第1判定ステップ。
S6:第1判定ステップS5により、第1基準回数の電位差信号のうち、所定電位差以上の電位差信号の数が、第2基準回数以上存在すると判定された回数が、所定の第3基準回数内において所定の第4基準回数以上存在するかどうかを判定する第2判定ステップ。
S7:第2判定ステップS6により第4基準回数以上存在すると判定されたとき、これを咀嚼と認識する咀嚼認識ステップ。

【0031】
前述の各ステップからなる咀嚼認識方法を、第4図を参照して具体的にステップ順に詳述する。
S101:第2判定手段9の計数回数を0にリセットする。
S102:第2判定部11による以下の第2判定処理を行う(S103~S114)。
S103:第1判定手段7の計数回数を0にリセットする。
S104:センサ部1にて得られた検知信号αを認識部2に入力する。
S105:検知信号αの任意の一点の電位を基準値として設定する。
S106:第1判定部8による以下の第1判定処理を行う(S107~S111)。
S107:所定時間間隔を経てセンサ部1にて得られた検知信号αを認識部2に入力し、検知信号αを比較値として設定する。
S108:基準値と比較値の差の絶対値を電位差信号に設定する。
S109:電位差信号が所定電位以上か否かを判定する。
S110:電位差信号が所定電位より大きいとき、第1判定手段7の計数回数に「1」を足す。
S111:かかる処理を第1基準回数(本実施形態の場合12回)繰り返す。ステップS109において、電位差信号が所定電位に達していないと判定されたときもこのステップに移る。第1判定部8による第1判定処理が終了。
S112:第1判定手段7の計数回数が第2基準回数(本実施形態の場合8回)以上か否かを判定する。
S113: 第1判定手段7の計数回数が第2基準回数以上と判定されたとき、第2判定手段9の計数回数に「1」を足す。
S114: かかる処理を第3基準回数(本実施形態の場合8回)繰り返す。ステップS112において、第1判定手段7の計数回数が第2基準回数に達していないと判定されたときもこのステップに移る。第2判定部11による第2判定処理が終了。
S115:第2判定手段9の計数回数が第4基準回数(本実施形態の場合6回)以上か否かを判定する。
S116: 第2判定手段9の計数回数が、第4基準回数以上と判定されたとき、「咀嚼である」と判定し、第4基準回数に達していないと判定されたとき、「咀嚼ではない」と判定する。

【0032】
ここで、図3に示すステップS1は図4に示すステップS104に、以下同様にステップS2はステップS105に、ステップS3はステップS107に、ステップS4はステップS108に、ステップS5はステップS109~S113に、ステップS6はステップS114,115に、ステップS7はステップS116にそれぞれ対応する。

【0033】
次に、図5を参照して、検知信号αの実際の例について説明する。図において縦軸は電圧(電位差)信号を横軸は時間を表す。咀嚼動作の任意の時間において基準値a1を設定し、これに続き50ms間隔で12個の比較値b1~b12信号が検知される。基準値a1及びこれに続く比較値b1~b12信号の検知時間間隔と回数は、通常の咀嚼動作1回分を想定して定めた値である。これを1ループP1で示す。12番目の比較値b12の検知に続き、2回目の基準値a2を設定し、前述と同様に50ms間隔で12回比較値b1~b12信号を検知する。これを2番目のループP2とする。

【0034】
以下同様の基準値設定、比較値検知動作を行なう。ループP1,P2,…は、ほぼ1回の咀嚼動作に対応するが、これには年齢によって差があり、必ずしも特定の個人の咀嚼動作時間感覚に一致するわけではない。しかしながら、咀嚼動作の時間間隔がループP1,P2,…と多少ずれたとしても、得られる基準値及び比較値から、咀嚼動作の判定は可能である。

【0035】
咀嚼動作と判定するための基準値と比較値の設定電位差を15mvとすると、1回目及び2回目のループP1,P2においては、比較値b1~b12信号のち、設定電位差以上の比較値がそれぞれ8個、8個であり、ステップS112の条件を満たしている。他方3回目ループP3においては、比較値b1~b12信号のうち、設定電位差以上の比較値は存在しない。それゆえ、本実施形態によれば、ループP1,P2は咀嚼動作であり、ループP3は咀嚼動作ではない。

【0036】
図6において、縦軸は電圧(電位差)信号を、横軸は時間を示す。検知信号αの判定により、7秒間で10回(ループ1~10)咀嚼動作を行なっていることがわかる。すなわち第3基準回数8回のループP1~P8すべてが「咀嚼である」と判定されている(第4基準回数(6回)以上)。それゆえ、ステップS115の条件が満たされ、「咀嚼である」と判定される。

【0037】
一般成人の咀嚼動作は、前述のような時間間隔でなされる。高齢者では、この間隔は長くなり、かつ比較値電圧信号の差は、小さくなる傾向がある。しかしながら咀嚼動作と判定する電位差、比較値検知回数及びループ回数を調整すれば、正確に咀嚼動作を判定することができる。

【0038】
前述した実施形態では、第1判定部8において、基準値設定、比較値設定、基準値と比較値の比較、両者の電位差計測、その差が所定電位差以上かどうか判定、2番目の比較値設定、基準値と2番目の比較値の比較、両者の電位差計測、その差が所定電位差以上かどうか判定、以後同様の処理を第1基準回数(12回)実施し、そのうち基準値と比較値の電位差が所定の電位差以上あると判定された回数が第2基準回数(8回)に達したかどうか判定、という順序で処理を行ったが、比較値設定は、連続して第1基準回数すなわち12回分所定時間間隔で計測し、これをレジスタ等に記録しておき、これらと基準値とを比較して、所定電位差以上ある回数が何回あるかを判定する方法としてもよい。第2判定部11においても同様に、第3基準回数分を一旦レジスタ等に記録しておき、後で一括処理する方法も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、ヒトが本装置を常時耳に装着しておくことにより、使用者が咀嚼を行ったかどうか、すなわち食事をしたかどうか、いつ食事をしたか、また咀嚼は正常な回数だったかどうか(十分な咀嚼だったかどうか)などの情報を得ることができる。これより使用者の健康管理、安否確認を行なうことができ、高齢者の見守り支援に利用して有用である。
【符号の説明】
【0040】
1 センサ部
2 認識部
3 検知信号入力手段
4 基準値設定手段
5 比較値設定手段
6 比較手段
7 第1判定手段
8 第1判定部
9 第2判定手段
10 咀嚼認識手段
11 第2判定部
12 外耳道
13 検知センサ
14 鼓膜
15 弾性部材
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5