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明細書 :機能材料およびその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-073952 (P2015-073952A)
公開日 平成27年4月20日(2015.4.20)
発明の名称または考案の名称 機能材料およびその製造方法
国際特許分類 B01J  19/00        (2006.01)
B01J   3/06        (2006.01)
C01G  49/08        (2006.01)
C01G  49/06        (2006.01)
C01G   9/02        (2006.01)
C01G   3/00        (2006.01)
C01G  29/00        (2006.01)
C30B  33/04        (2006.01)
FI B01J 19/00 D
B01J 3/06 A
C01G 49/08 Z
C01G 49/06 Z
C01G 9/02 A
C01G 9/02 Z
C01G 3/00
C01G 29/00
C30B 33/04
請求項の数または発明の数 10
出願形態 OL
全頁数 20
出願番号 特願2013-212251 (P2013-212251)
出願日 平成25年10月9日(2013.10.9)
発明者または考案者 【氏名】真下 茂
【氏名】緒方 裕大
【氏名】吉朝 朗
出願人 【識別番号】504159235
【氏名又は名称】国立大学法人 熊本大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001357、【氏名又は名称】特許業務法人つばさ国際特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 4G002
4G047
4G048
4G075
4G077
Fターム 4G002AA03
4G002AA04
4G002AB01
4G047AA02
4G047AB04
4G048AA03
4G048AB03
4G048AD07
4G075AA22
4G075BB10
4G075CA72
4G075DA02
4G075DA18
4G075EB01
4G075ED01
4G077AA03
4G077AA04
4G077BB07
4G077BB10
4G077BC41
4G077BC58
4G077FJ02
4G077FK16
要約 【課題】従来の方法では製造の困難であった機能材料も製造することの可能な機能材料の製造方法およびその製造方法によって製造された機能材料を提供する。
【解決手段】薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させる。相転移とは、構造相転移および電子相転移を含む概念である。
【選択図】図2B
特許請求の範囲 【請求項1】
薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、前記化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させる
ことを特徴とする機能材料の製造方法。
【請求項2】
前記化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、前記化合物固相材料を構造相転移もしくは電子相転移させる
ことを特徴とする請求項1に記載の機能材料の製造方法。
【請求項3】
前記化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、前記化合物固相材料の結晶構造の対称性を下げる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の機能材料の製造方法。
【請求項4】
前記化合物固相材料は、共有結合化合物、イオン結合化合物、金属間化合物、または有機化合物である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の機能材料の製造方法。
【請求項5】
前記化合物固相材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ホウ化物、遷移元素化合物、希土類元素化合物、化合物半導体、強相関化合物、超伝導体、強磁性体、強誘電体、または有機化合物である
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の機能材料の製造方法。
【請求項6】
前記高重力場処理において、前記化合物固相材料を、一の軸を中心として高速回転することの可能なロータ内に設置したのち、前記ロータを高速回転させ、その高速回転によって発生する遠心力を重力として、前記化合物固相材料に対して印加する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の機能材料の製造方法。
【請求項7】
前記高重力場処理において、常温よりも高い温度であって、かつ前記化合物固相材料が固相状態を保つことの可能な温度以下の温度範囲内で、5万g(g=9.8m/s)以上の重力加速度を、前記化合物固相材料に対して印加する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機能材料の製造方法。
【請求項8】
前記高重力場処理において、常温で、5万g(g=9.8m/s)以上の重力加速度を、前記化合物固相材料に対して印加する
ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の機能材料の製造方法。
【請求項9】
薄膜状、板状もしくはバルク状の機能材料であって、
前記機能材料は、薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、前記化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させたものである
ことを特徴とする機能材料。
【請求項10】
前記化合物固相材料は、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、金属ホウ化物、遷移元素化合物、希土類元素化合物、化合物半導体、強相関化合物、超伝導体、強磁性体、強誘電体、または有機化合物である
ことを特徴とする請求項9に記載の機能材料。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、高重力場処理を施すことにより形成された機能材料およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物質の相転移は温度、圧力の変化によって生じる。例えば、炭素は高温高圧下でダイヤモンドに相転移し、クエンチするので、炭素からダイヤモンドを生産することができる(特許文献1参照)。この他、磁場下では構造を変えることは難しいが、スピンを揃えて強い磁石を作ることもできる。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-066302号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来の方法では製造の困難であった機能材料も製造することの可能な機能材料の製造方法およびその製造方法によって製造された機能材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の機能材料の製造方法は、薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させるものである。化合物固相材料は、例えば、共有結合化合物、イオン結合化合物、金属間化合物、または有機化合物である。
【0006】
本発明の機能材料は、薄膜状、板状もしくはバルク状の機能材料である。この機能材料は、薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させたものである。
【0007】
本発明の機能材料およびその製造方法では、化合物固相材料に対して高重力場処理が施される。これにより、例えば、原子には選択的かつ直接的に、原子量の大きさの違いによって、異なるボディフォース(体積力)が印加される。圧力場下では、アンビルなどによる外からの応力均衡によって状態方程式に従って格子間がそのまま縮む。一方、加速度(重力)場下では、各原子に選択的に直接かかるボデーホォースによって重い原子は加速度方向に平均より強い力を受け、多かれ少なかれ原子が変位した一次元の特異な歪、分極状態の結晶状態が実現する。高重力場下で原子の変位によって結晶構造の変化が起こることが期待されるが、そのような現象は発見されていないし、応用もされていない。これまで、圧力や温度を変化させて結晶構造を変える現象は一般的に知られ、工業的にも応用されてきたが、高重力場下の構造相転移は見出されていなかった。
【0008】
本発明の機能材料およびその製造方法では、化合物固相材料に対する高重力場処理によって、1軸的な原子の変位、格子の歪みが起こり、結晶構造が変化、あるいは相転移が起こる。従って、この変化は結晶の対称性を下げる効果をもたらすことになる。
【0009】
化合物固相材料が構造変化もしくは相転移を起こすと、例えば、材料の結晶構造、さらに電子構造が変化し、それに伴って、半導体特性、光物性、磁性、超伝導特性、誘電特性が変化する。具体的には、半導体では、バンドギャプを変えたり、ダイオード、トランジスタ、サイリスタなどの性能を向上させたり、光ダイオード、半導体レーザの機能周波数を変えたりすることが期待される。磁性では、スピン、磁区構造を変えたり、保持力、残留磁化、透磁率などを向上させたりすることが期待される。誘電体では、原子の変位によって、インピーダンスが変化したり、抗電界、残留分極、電気容量や圧電性、焦電性などが向上したりすることが期待される。超伝導特性では、臨界温度、高磁場、臨界電流などを向上させたりすることが期待される。
【0010】
また、高重力場処理において、例えば、常温よりも高い温度であって、かつ化合物固相材料が固相状態を保つことの可能な温度以下の温度範囲内で、少なくとも5万g(g=9.8m/s)以上の重力加速度を、化合物固相材料に対して印加することが好ましい。これにより、化合物固相材料に構造変化もしくは相転移を生じさせることが容易となる。また、上記重力加速度については、10万g以上であることがより好ましい。これにより、多くの種類の化合物固相材料に対して、ボディフォースを印加することが可能となる。なお、化合物固相材料の種類によっては、高重力場処理において、常温で、少なくとも5万g(g=9.8m/s)以上、好ましくは10万g以上の重力加速度を、化合物固相材料に対して印加することにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させることも可能である。ここで、化合物固相材料の形状や大きさによっては、化合物固相材料全体に印加される重力加速度が均一でない場合がある。重力加速度は半径に比例するからである。この場合、上記で例示した重力加速度とは、化合物固相材料に印加される最大の重力加速度を指すものとする。
【0011】
また、高重力場処理において、化合物固相材料を、一の軸を中心として高速回転することの可能なロータ内に設置したのち、ロータを高速回転させ、その高速回転によって発生する遠心力を重力として、化合物固相材料に対して印加することが可能である。このとき、ロータ内に、回転軸との関係で平行または所定の角度だけ傾いた平面を複数設け、各平面を、化合物固相材料を設置(固定)する設置面(固定面)として用いることも可能である。これにより、化合物固相材料に対して、その表面と直交もしくは交差する方向に容易に重力をかけることが可能となる。また、上記ロータ内に多くの化合物固相材料を設置(固定)することができるので、機能材料を一度に大量に生産することも可能である。
【0012】
また、上記したようなロータを用いた場合には、高重力場処理において、接触加熱、輻射加熱またはレーザ加熱によって加熱されたロータを介して、化合物固相材料を加熱することも可能である。また、上記したようなロータを用いるか否かに拘わらず、高重力場処理において、接触加熱、輻射加熱またはレーザ加熱によって、化合物固相材料を直接、加熱することも可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の機能材料およびその製造方法によれば、化合物固相材料に対して高重力場処理を行うことにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させるようにしたので、従来の方法で製造可能な機能材料だけでなく、従来の方法では製造の困難であった機能材料も製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1A】本発明の一実施の形態に係る製造方法に用いられる高重力場発生装置の断面構成の一例を表す図である。
【図1B】図1の高重力場発生装置のA-A矢視方向の断面構成の一例を表す図である。
【図2A】試料としてマグネタイト(Fe)を用いたときの、実験前の単結晶構造解析結果を表す図である。
【図2B】試料としてマグネタイト(Fe)を用いたときの、実験後の単結晶構造解析結果を表す図である。
【図3】試料としてマグネタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のc軸方向(重力印加方向はc軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図4】試料としてマグネタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のa軸方向(重力印加方向はc軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図5】試料としてマグネタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のラマン分光測定結果を表す図である。
【図6】試料として[0001]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のc軸方向(重力印加方向はc軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図7】試料として[0001]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のa軸方向(重力印加方向はc軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図8】試料として[11-20]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のc軸方向(重力印加方向はa軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図9】試料として[11-20]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)を用いたときの、実験後と実験前のa軸方向(重力印加方向はa軸方向)の磁気特性の測定結果を表す図である。
【図10】試料としてGaSbを用いたときの、実験後と実験前のXRD回折分析結果を表す図である。
【図11】試料としてZnOを用いたときの、実験後と実験前のXRD回折分析結果を表す図である。
【図12】試料としてZnOを用いたときの、実験後と実験前のXRD回折分析結果を表す図である。
【図13】試料としてBiTiOを用いたときの、単位格子を表す図である。
【図14】図13の単位格子をb軸方向から観察した簡略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。

1.実施の形態
2.実施例


【0016】
<1.実施の形態>
図1Aは、本発明の一実施の形態に係る機能材料の製造方法に用いられる高重力場発生装置の断面構成の一例を表したものである。図1Bは、図1Aの高重力場発生装置のA-A矢視方向の断面構成の一例を表したものである。

【0017】
[高重力場発生装置]
まず、高重力場発生装置について説明する。高重力場を発生させる装置としては、例えば、高温かつ重力加速度、最大100万g以上の高重力場を長時間安定的に発生させることができる高重力場発生装置(特開2003-103199号公報,特開平9-290178号公報参照)を用いることができる。この高重力場発生装置は、板状試料用に好適に適用可能なものであり、例えば、一の軸AXを中心として長時間安定的に高速回転することの可能なロータ10と、ロータ10を、軸AXを中心として高速回転させる駆動部(図示せず)とを備えている。ロータ10は、軸AXと直交する面内において軸AXを中心として点対称の形状となっており、例えば、図1Aに示したような釣鐘状の形状となっている。ロータ10の底面には、ロータ10内に設けられた内部空間10Bとロータ10の外部空間とを連通する開口10Aが設けられている。内部空間10Bは、例えば、図1A、図1Bに示したように、軸AXと平行な平坦面(設置面10C)を複数有する多面体の側面によって囲まれている。この内部空間10Bは、さらに、軸AXと直交するかまたは設置面10Cと鋭角で交差する平坦面を有する底面10Dと、底面10Dおよび開口10Aと所定の間隙を介して対向する上面10Eとによって囲まれており、多角柱状の空間となっている。設置面10Cは、試料20を設置する面であり、ロータ10を回転させた際に試料20に対して印加される遠心力の向きを規定する役割を有している。また、底面10Dは、試料20を設置面10Cに設置した際に、ロータ10の停止時や回転時に、試料20が設置面10Cから脱落したり、滑って外部に飛び出したりするのを防ぐ役割を有している。従って、この高重力場発生装置は、内部空間10Bの所定の位置に試料20を設置(固定)し、ロータ10を、軸AXを中心軸として高速回転させることにより、試料20に対して所定の方向(例えば、軸AXと直交もしくは交差する方向)に遠心力を印加する機能を有している。なお、図1Aには、底面10Dが軸AXと直交する平坦面を有している場合が例示されているが、底面10Dが設置面10Cと鋭角で交差する平坦面を有していてもよい。また、例えば、底面10Dに、試料20が設置面10Cから脱落したり、滑って飛び出したりするのを積極的に防止する突起などの構造物が設けられていてもよい。また、例えば、試料20を収容するカプセルが設置面10Cに設けられていてもよい。

【0018】
この高重力場発生装置は、試料20に対し、少なくとも1万g(g=9.8m/s)以上の重力加速度を印加することが可能であり、10万g、100万g程度の重力加速度を印加することも可能である。つまり、この高重力場発生装置は、試料20に含まれる各原子に対して遠心力を印加できるようになっている。また、この高重力場発生装置は、図1Bに示したように、ロータ10の各設置面10Cに試料20を設置(固定)することができるので、機能材料を一度に大量に生産することも可能となっている。

【0019】
また、この高重力場発生装置は、図示しないが、ロータおよび試料20の少なくとも一方を、回転時および非回転時のいずれの場合においても加熱(例えば、接触加熱、輻射加熱、レーザ加熱など)することの可能なヒータを備えている。ヒータは、試料20の再結晶温度以上であって、かつ試料20が固相状態を保つことの可能な温度以下の温度範囲内で試料20を加熱するようになっている。ここで、ロータ自身がヒータによって直接、加熱されるようになっている場合には、ロータは、ロータの熱を試料20に伝達することの可能な材料(例えば、インコネル(高温に強い材料)などの鉄鋼材料、Ti(チタン)-6Al(アルミニウム)-4V(バナジウム)合金など)によって構成されている。上述のカプセルも、ロータと同様の材料、または、SUS304などによって構成されている。また、試料20そのものがヒータによって直接、加熱されるようになっている場合には、ロータは、ヒータから発せられたエネルギーが試料20に直接、伝達されるような機構を備えている。なお、このロータは、ヒータの他に、ロータおよび試料20の少なくとも一方を冷却するクーラなどを備えていてもよい。

【0020】
[試料]
次に、試料について説明する。試料は、高重力場発生装置を高速回転させることによって発生する遠心力を利用して構造変化を起こさせる被加工対象物である。なお、試料は、上記に例示した高重力場発生装置によって遠心力が印加されてもよいし、上記に例示した高重力場発生装置とは異なる装置によって遠心力が印加されてもよい。試料は、薄膜状、板状もしくはバルク状の化合物固相材料である。試料は、単一の化合物固相材料であってもよいし、複数種類の化合物固相材料が互いに重ね合わされたものであってもよいし、非加工対象物の上に化合物固相材料が積層されたものであってもよい。ここで、「単一」とは、化合物固相材料全体の構造が均一もしくは概ね均一であることを指している。従って、単一の化合物固相材料は、構造の互いに異なる2種類の化合物固相材料同士が貼り合わされたものではない。「非加工対象物」とは、化合物固相材料に対して重力場処理をしている際に重力場処理によって構造変化もしくは相転移しないものを指している。

【0021】
化合物固相材料は、共有結合化合物、イオン結合化合物、金属間化合物、または有機化合物である。共有結合化合物とは、共有結合のみからなる物質だけでなく、共有結合にイオン結合が加わった物質も含む概念である。イオン結合化合物とは、イオン結合によって形成される結晶を指す。金属間化合物とは、複数の金属元素が一定の比率で結合した化合物を指す。なお、金属間化合物には、半金属や窒素、硫黄などの非金属元素を構成元素とするものも含まれる。有機化合物とは、炭素を含む化合物を指す。

【0022】
化合物固相材料は、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属硫化物、または、金属ホウ化物などである。化合物固相材料は、例えば、遷移元素化合物、または、希土類元素化合物などであってもよい。

【0023】
化合物固相材料は、例えば、化合物半導体であってもよい。化合物半導体には、例えば、III-V族化合物半導体、またはII-VI族化合物半がある。III-V族化合物半導体には、例えば、BN、AlN、GaN、InN、BP、AlP、GaP、InP、AlAs、GaAs、InAs、InSb、GaSb、AlSb、InGaAs、GaInNAsなどがある。II-VI族化合物半導体には、例えば、ZnO、CdO、ZnS、CdS、ZnSe、CdSe、ZnTe、CdTe、CdZnTe、CdSSe、CdMnTeなどがある。

【0024】
化合物固相材料は、例えば、強相関化合物であってもよい。強相関化合物には、例えば、銅酸化物超伝導体、酸化物巨大磁気抵抗物質などの強相関物質、ペロブスカイト酸化物、鉄系酸化物超伝導体(LnOMPn(Ln=ランタン系元素、M=遷移金属、Pn=P、AsまたはSb)系化合物)、またはスクッテルダイト型化合物がある。

【0025】
化合物固相材料は、例えば、超伝導体であってもよい。超伝導体には、例えば、銅酸化物超伝導体、または鉄系酸化物超伝導体などがある。銅酸化物超伝導体には、例えば、La1-xSrCuOなどのLa系、YBaCu7-xなどのY系、BiSrCaCu10などのBi系、TlBaCan-1CuO2n+4などのTl系、HgBaCan-1CuO2n+4+δなどのHg系がある。また、鉄系酸化物超伝導体には、例えば、La(O1-x)FeAs(ランタン、酸素、フッ素、鉄、ヒ素)などがある。

【0026】
化合物固相材料は、例えば、強磁性体であってもよい。強磁性体磁石には、例えば、アルニコ磁石、フェライト磁石、サマリウムコバルト磁石、鉄-クロム-コバルト磁石、マンガンアルミ磁石、ネオジム磁石、サマリウム-鉄-窒素磁石などがある。

【0027】
化合物固相材料は、例えば、強誘電体であってもよい。強誘電体には、例えば、ペロブスカイト酸化物、ペロブスカイトデリバティブ型、擬イルメナイト酸化物、タングステン・ブロンズ型、バイクロア型、ビスマス層状型などがある。強誘電体のペロブスカイト酸化物には、例えば、BaTiO、PbTiO、FeBiOなどがある。強誘電体のペロブスカイトデリバティブ型には、例えば、RMn(R=Tb,Y,Er,Tm,Yb,Hoなど)がある。強誘電体の擬イルメナイト酸化物には、例えば、LiNbO、LiTaO、NaxWOなどがある。強誘電体のタングステン・ブロンズ型には、例えば、PbNb、BaNaNb15などがある。強誘電体のバイクロア型には、例えば、CdNb、PbNbなどがある。強誘電体のビスマス層状型には、例えば、SrBiTa、BiTi12などがある。

【0028】
化合物固相材料は、例えば、強磁性、強誘電性、強弾性などの性質を複数有するマルチフェロイック材料であってもよい。マルチフェロイック材料には、例えば、ペロブスカイト構造のFeBiOや、六方賞マンガン酸化物のRMnO(R=Y,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Scなど)、フッ化物のBaMF(M=Mn,Fe,Co,Niなど)、らせん磁気秩序関連のRMn(R=Tb,Dyなど)、CuFeO、Ni、CuO、または(Ba,Sr)ZnFe1222などがある。

【0029】
[高重力場処理]
次に、遠心力を重力として試料に印加する高重力場処理について説明する。ここで、試料は、比重相当量の小さな原子と、比重相当量の大きな原子とによって構成されているものとする。まず、試料をロータに配置(固定)する。次に、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加する。このようにして、試料に対して高重力場処理を行っているとき、遠心力の方向は、例えば、試料の接触面と交差(または直交)する方向を向いている。また、重力加速度は、少なくとも5万g(g=9.8m/s )以上であることが必要であり、10万g以上であることが好ましい。これにより、高重力場下では、圧力場下において原子の種類に関係なく均等に圧力を受ける場合とは異なり、原子には選択的かつ直接的に、原子量の大きさの違いによって、異なるボディフォース(体積力)が印加される。

【0030】
ここで、化合物固相材料の形状や大きさによっては、化合物固相材料全体に印加される重力加速度が均一でない場合がある。この場合、上記で例示した重力加速度とは、化合物固相材料に印加される最大の重力加速度を差すものとする。なお、本明細書に例示された重力加速度は、全て、化合物固相材料に印加される最大の重力加速度を指すものとする。

【0031】
圧力場下では、アンビルなどによる外からの応力均衡によって状態方程式に従って格子間がそのまま縮む。一方、加速度(重力)場下では、各原子に選択的に直接かかるボデーホォースによって重い原子は加速度方向に平均より強い力を受け、多かれ少なかれ原子が変位した一次元の特異な歪、分極状態の結晶状態が実現する。高重力場下で原子の変位によって結晶構造の変化が起こることが期待されるが、そのような現象は発見されていないし、応用もされていない。これまで、圧力や温度を変化させて結晶構造を変える現象は一般的に知られ、工業的にも応用されてきたが、高重力場下の構造相転移は見出されていなかった。

【0032】
試料に対する高重力場処理によって、1軸的な原子の変位、格子の歪みが起こり、結晶構造が変化、あるいは相転移が起こる。従って、この変化は結晶の対称性を下げる効果をもたらすことになる。

【0033】
試料の構造変化が進行すると、試料が相転移を起こす。つまり、試料に対して高重力場処理を行うことにより、試料を相転移させることができる。ここで、相転移とは、構造相転移および電子相転移を含む概念である。構造相転移とは、結晶構造が変化することを指す。電子相転移とは、結晶を構成する原子中における電子スピンが変化することを指し、例えば、常磁性から強磁性もしくは反強磁性へ、またはその逆に強磁性もしくは反強磁性から常磁性へと転移することを指す。電子相転移には、例えば、モット転移が含まれる。モット転移とは、モット絶縁体 (Mott-insulator)から金属へ転移することを指す。

【0034】
電子相転移は、例えば、電子同士または格子とのクーロン相互作用によって電子が局在したり、フェルミ準位に寄与したりして金属絶縁体転移や超伝導転移を引き起こすことを指している。これらはモット転移とも呼ばれる。また、電子相転移では、電子スピンの状態も変化して磁性の変化ももたらし得る。この転移は構造相転移を伴うこともある。

【0035】
化合物固相材料が構造変化もしくは相転移を起こすと、例えば、材料の結晶構造、さらに電子構造が変化し、それに伴って、半導体特性、光物性、磁性、超伝導特性、誘電特性が変化する。具体的には、半導体では、バンドギャプを変えたり、ダイオード、トランジスタ、サイリスタなどの性能を向上させたり、光ダイオード、半導体レーザの機能周波数を変えたりすることが期待される。磁性では、スピン、磁区構造を変えたり、保持力、残留磁化、透磁率などを向上させたりすることが期待される。誘電体では、原子の変位によって、インピーダンスが変化したり、抗電界、残留分極、電気容量や圧電性、焦電性などが向上したりすることが期待される。超伝導特性では、臨界温度、高磁場、臨界電流などを向上させたりすることが期待される。従って、これまで製造が困難であった機能材料を提供することが可能になる。

【0036】
なお、上述の高重力場処理に伴って、試料を加熱または冷却することが好ましい。例えば、試料の温度が、常温よりも高い温度であって、かつ試料が固相状態を保つことの可能な温度以下の温度範囲内となるように、試料を加熱することが好ましい。また、試料の温度は、試料の再結晶温度に近い温度であってもよいし、試料の融点温度に近い温度であってもよい。試料の加熱は、ヒータによる直接的な加熱であってもよいし、ヒータによって温められたロータを介した間接的な加熱であってもよい。

【0037】
さらに、高重力場処理において、少なくとも5万g(g=9.8m/s )以上の重力加速度を、試料に対して印加することが好ましい。これにより、試料に構造変化もしくは相転移を生じさせることが容易となる。また、上記重力加速度については、10万g以上であることがより好ましい。これにより、多くの種類の試料に対して、ボディフォースを印加することが可能となる。なお、化合物固相材料の種類によっては、高重力場処理において、常温で、少なくとも5万g(g=9.8m/s)以上、好ましくは10万g以上の重力加速度を、化合物固相材料に対して印加することにより、化合物固相材料を構造変化もしくは相転移させることも可能である。

【0038】
また、高重力場処理において、試料を、一の軸を中心として高速回転することの可能なロータ内に設置したのち、ロータを高速回転させ、その高速回転によって発生する遠心力を重力として、化合物固相材料に対して印加することが可能である。このとき、ロータ内に、回転軸との関係で平行または所定の角度だけ傾いた平面を複数設け、各平面を、試料を設置(固定)する設置面(固定面)として用いることも可能である。これにより、試料に対して、その表面と直交もしくは交差する方向に容易に重力をかけることが可能となる。また、上記ロータ内に多くの試料を設置(固定)することができるので、機能材料を一度に大量に生産することも可能である。

【0039】
また、上記したようなロータを用いた場合には、高重力場処理において、接触加熱、輻射加熱またはレーザ加熱によって加熱されたロータを介して、試料を加熱することも可能である。また、上記したようなロータを用いるか否かに拘わらず、高重力場処理において、接触加熱、輻射加熱またはレーザ加熱によって、試料を直接、加熱することも可能である。

【0040】
このように、本実施の形態の機能材料の製造方法では、試料に対して高重力場処理が施される。これにより、原子には選択的かつ直接的に、原子量の大きさの違いによって、異なるボディフォース(体積力)が印加され、試料に構造変化や、相転移が生じる。その結果、試料に対して所定の機能を持たせることができる。以上のことから、本実施の形態では、従来の方法で製造可能な機能材料だけでなく、従来の方法では製造の困難であった機能材料をも製造することが可能である。

【0041】
また、本実施の形態の機能材料の製造方法を用いて高重力場処理の施された試料は、半導体素子、磁性素子、超伝導素子、または誘電素子などに用いられ得る。半導体素子には、例えば、ダイオード、トランジスタ、サイリスタ、光ダイオード、半導体レーザなどがある。磁性素子には、例えば、磁石、磁気ヘッド、磁気メモリなどがある。超伝導素子には、超伝導線、超伝導量子干渉素子(SQUID素子)、トンネル素子などがある。誘電素子には、例えば、焦電体、圧電体、コンデンサ、強誘電体メモリなどがある。

【0042】
<2.実施例>
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。なお、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。

【0043】
(実施例1)
試料として、[001]方向に揃えられたマグネタイト(Fe)の単結晶試料を用意した。実験では、熊本大学にあるエアタービン型の超遠心機(特開2003-103199号公報,特開平9-290178号公報参照)を使用した。上記のエアタービン型の超遠心機は、100時間以上において高温で最大100万G(1G=9.8m/s)以上の重力場を発生させることができるものである。なお、他の実施例においても、上記のエアタービン型の超遠心機を使用した。また、板状の試料を、回転中心からおおよそ35mm離れた箇所に取り付けた。試料の底面がロータの半径方向と垂直な方向となるように板状の試料を置いた。他の実施例においても同様である。

【0044】
試料を、ロータによって発生する重力場が[001]方向と平行となるように、ロータの内部空間内に配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度10万rpm、最大加速度約37万Gで、24時間、回転した。

【0045】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてX線回折を実施し、このデータを元にShelex-97を用いて単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を図2A、図2Bと、表1に示した。通常のマグネタイトの結晶構造は立方晶である。しかし、実験後の試料の結晶構造は正方晶であった。また、結晶構造の変化に伴い、ラウエグループも通常のFd-3mからI41/amdに変化していた。
【表1】
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【0046】
実験後と実験前の試料に対し、超伝導量子干渉磁束計(Quantum Design MPMS-XL)を用いて磁気特性を測定した。実験温度を130Kとした。実験後と実験前のc軸方向の測定結果を図3および表2の上段に、a軸方向の測定結果を図4および表2の下段に示した。図3、図4において、(A)が実験前の試料の結果であり、(B)が実験後の試料の結果である。重力印加方向はc軸方向である。c軸方向では、残留磁化Mrは、実験前の試料において0.27となっていたのに対し、実験後の試料において0.39に増加していた。また、最大磁化率μmaxは、実験前の試料において0.0018であったのに対して、実験後の試料においては0.0025に増加していた。a軸方向では、残留磁化、最大磁化率μmaxの値は、実験前と実験後で大きな変化はなかったが、ヒステリシスループにおいて実験後の試料では緩やかなカーブが確認された。これらの結果は、重力印加の影響を受けて、結晶構造が正方晶に転移したためだと考えられる。
【表2】
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【0047】
実験前と実験後の試料に対しラマン分光測定を実施した。その測定の結果を図5に示した。図5において、(A)が実験前の試料の結果であり、(B)が実験後の試料の結果である。実験前の試料のラマンスペクトルでは、297,538,668cm-1にピークが見られた。実験後の試料のラマンスペクトルでは、190,299,335,541,665cm-1にピークが見られた。実験後の試料では、新しい2つのピークが現れた。これは、実験後の試料では、結晶構造の対称性が減少し、正方晶になったためだと考えられる。

【0048】
(実施例2)
試料として、[0001]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)の単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[0001]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度10万rpm、最大加速度約37万Gで、24時間、回転した。

【0049】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてX線回折を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を表3に示した。実験後の試料では、[0001]方向の格子定数が、通常のヘマタイトの格子定数よりも小さくなっており、結晶構造が、実験前の試料の結晶構造を[0001]方向に圧縮した構造となっていた。
【表3】
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【0050】
実験後と実験前の試料に対し、超伝導量子干渉磁束計を用いて磁気特性を測定した。実験温度を300Kとした。実験後と実験前のc軸方向(重力印加方向)の測定結果を図6に、a軸方向の測定結果を図7に示した。図6、図7において、(A)が実験前の試料の結果であり、(B)が実験後の試料の結果である。重力印加方向はc軸方向である。c軸方向では、実験前と比べて、実験後では、最大磁化率μmaxが著しく増加していた。a軸方向では、最大磁化率μmaxの値は、実験前と実験後で大きな変化は見られなかった。これらの結果は、重力印加の影響を受けて結晶構造が変形したために、キャント磁性構造にゆがみが生じたためだと考えられる。

【0051】
(実施例3)
試料として、[11-20]方向に揃えられたヘマタイト(Fe)の単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[11-20]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度10万rpm、最大加速度約37万Gで、24時間、回転した。

【0052】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてX線回折を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を表4に示した。実験後の試料では、[11-20]方向の格子定数が、通常のヘマタイトの格子定数よりも小さくなっており、結晶構造が、実験前の試料の結晶構造を[[11-20]方向に圧縮した構造となっていた。
【表4】
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【0053】
実験後と実験前の試料に対し、超伝導量子干渉磁束計を用いて磁気特性を測定した。実験温度を300Kとした。実験後と実験前のc軸方向の測定結果を図8に、a軸方向の測定結果を図9に示した。図8、図9において、(A)が実験前の試料の結果であり、(B)が実験後の試料の結果である。重力印加方向はa軸方向である。c軸方向およびa軸方向ともに、実験前と比べて、実験後では、著しい変化を確認できた。これらの結果は、重力印加の影響を受けて結晶構造が変形したために、キャント磁性構造にゆがみが生じたためだと考えられる。

【0054】
(実施例4)
試料として、[001]方向に揃えられたGaSbの単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[001]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度10万rpm、最大加速度約37万Gで、24時間、回転した。

【0055】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてXRD回折分析を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を図10に示した。実験後の試料では、新たなピークが多数見受けられた。これは結晶構造が変化したことを示唆するものである。また、実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてX線回折を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を表5に示した。通常のGaSbの結晶構造は立方晶である。しかし、実験後の試料の結晶構造は斜方晶であった。重力処理により結晶構造が転移したことが分かった。
【表5】
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【0056】
(実施例5)
試料として、[001]方向に揃えられたZnOの単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[001]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度12万rpm、最大加速度約55万Gで、24時間、回転した。

【0057】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてXRD回折分析を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を図11に示した。実験後の試料では、新たなピークが多数見受けられた。これは、結晶構造が変化したことを示唆するものである。

【0058】
(実施例6)
試料として、[001]方向に揃えられたBiSrCaCuOの単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[001]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い400度に加熱し、回転速度12万rpm、最大加速度約55万Gで、24時間、回転した。

【0059】
実験後と実験前の試料に対し、X線回折装置を用いてXRD回折分析を実施し、単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を図12に示した。実験後の試料では、新たなピークが多数見受けられた。これは、結晶構造が変化したことを示唆するものである。

【0060】
(実施例7)
試料として、[001]方向に揃えられたBiTiOの単結晶試料を用意した。試料を、ロータによって発生する重力場が[001]方向と平行となるように、ロータに配置(固定)した。その後、ロータを高速に回転駆動し、その高速回転によって発生する遠心力を重力として試料に印加した。このとき、試料を融点より極めて低い180度に加熱し、回転速度10万rpm、最大加速度約37万Gで、24時間、回転した。

【0061】
実験後と実験前の試料に対し、4軸型単結晶構造解析装置を用いてX線回折を実施し、このデータを元にRADYを用いて単結晶構造解析を行った。これにより得られた単結晶構造解析結果を表6に示した。図13に、実験後の試料の単位格子を示し、図14に、実験後の試料の単位格子をb軸方向から観察した簡略図を示した。表7には、実験前の試料と実験後の試料の原子座標を示し、表8には、実験前の試料と実験後の試料の温度因子を示した。表9には、実験前の試料と実験後の試料の原子間結合距離と結合角度を示した。
【表6】
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【表7】
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【表8】
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【表9】
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【0062】
実験前の試料と実験後の試料の結晶構造はどちらも正方晶であった。しかし、単位格子内において変位が確認された。原子量の一番軽いOイオンが重力とは逆方向に大きく変位し、Tiが僅かに変位している。この変位は、誘電体性能向上へつながるものである。
【符号の説明】
【0063】
10…ロータ、10A…開口、10B…内部空間、10C…設置面、10D…底面、10E…上面、20…試料、AX…軸。
図面
【図1A】
0
【図1B】
1
【図2A】
2
【図2B】
3
【図3】
4
【図4】
5
【図5】
6
【図6】
7
【図7】
8
【図8】
9
【図9】
10
【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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