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明細書 :スイッチング電源装置の制御装置および電源システム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-076951 (P2015-076951A)
公開日 平成27年4月20日(2015.4.20)
発明の名称または考案の名称 スイッチング電源装置の制御装置および電源システム
国際特許分類 H02M   3/155       (2006.01)
FI H02M 3/155 P
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 14
出願番号 特願2013-210919 (P2013-210919)
出願日 平成25年10月8日(2013.10.8)
発明者または考案者 【氏名】呉 ジュ
【氏名】山口 哲二
【氏名】小林 春夫
出願人 【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
個別代理人の代理人 【識別番号】110001243、【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
審査請求 未請求
テーマコード 5H730
Fターム 5H730AA04
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730FD01
5H730FD51
5H730FF02
5H730FG05
要約 【課題】スイッチング電源装置のフィードバック回路にフィードフォワード回路を追加し、負荷変動を検出し、パルス幅変調信号PWMのパルス幅変調をおこなう。
【解決手段】本発明のスイッチング電源装置の制御装置は、出力電圧をフィードバックしてパルス幅変調信号を生成するフィードバック回路と、直流電源に直列接続され、パルス幅変調信号に応じて駆動するスイッチング素子と、スイッチング素子の駆動に応じて、直流電源からの入力電圧が充電される単一のインダクタとを含み、制御装置は、単一のインダクタと直列接続された出力キャパシタの電流を異なる期間積分する2つの積分回路と、各積分回路の出力を比較して鋸歯状波信号を生成する鋸歯状波発生回路とを含み、フィードバック回路は、鋸歯状波信号と、出力電圧のフィードバック電圧とを比較してパルス幅変調信号のデューティーを可変するように構成されていることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
スイッチング電源装置の制御装置であって、
前記スイッチング電源装置は、
出力電圧をフィードバックしてパルス幅変調信号を生成するフィードバック回路と、
直流電源に直列接続され、前記パルス幅変調信号に応じて駆動するスイッチング素子と、
前記スイッチング素子の駆動に応じて、前記直流電源からの入力電圧が充電される単一のインダクタと、
を含み、
前記制御装置は、
前記単一のインダクタと直列接続された出力キャパシタの電流を異なる期間積分する2つの積分回路と、
前記各積分回路の出力を比較して鋸歯状波信号を生成する鋸歯状波発生回路と、
を含み、
前記フィードバック回路は、前記鋸歯状波信号と、前記出力電圧のフィードバック電圧とを比較して前記パルス幅変調信号のデューティー比を可変するように構成されている
ことを特徴とするスイッチング電源装置の制御装置。
【請求項2】
前記2つの積分回路は、
前記出力キャパシタの電流を電圧信号に変換し、
前記変換された電圧信号にDCバイアスを加算し、
前記DCバイアスが加算された電圧信号を、カレントミラー回路を介して積分キャパシタにチャージすることにより積分を行うことを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置の制御装置。
【請求項3】
前記2つの積分回路の異なる積分期間は、前記鋸歯状波信号の1周期分の期間、及び、複数の周期にわたる期間であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスイッチング電源装置の制御装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスイッチング電源装置の制御装置と、前記スイッチング電源装置とを備えたことを特徴とする電源システム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング電源装置の制御装置に関し、より詳細には、単一のインダクタを使用することによりPWM制御を行うスイッチング電源装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器を含む電子機器の普及に伴い、電子機器への電源供給を行う電源装置への技術要求と市場規模が年々高まっている。このような状況下において、従来、インダクタを流れる電流に応じて、出力電圧の変動を抑えるようにしたスイッチング電源装置が知られている(特許文献1、図1参照)。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2005-51927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のスイッチング電源装置は、PWM制御に応じた出力電圧を提供することができるものの、PWM制御の高速応答を十分に行うことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するためのスイッチング電源装置の制御装置は、出力電圧をフィードバックしてパルス幅変調信号を生成するフィードバック回路と、直流電源に直列接続され、前記パルス幅変調信号に応じて駆動するスイッチング素子と、前記スイッチング素子の駆動に応じて、前記直流電源からの入力電圧が充電される単一のインダクタとを含み、前記制御装置は、前記単一のインダクタと直列接続された出力キャパシタの電流を異なる期間積分する2つの積分回路と、前記各積分回路の出力を比較して鋸歯状波信号を生成する鋸歯状波発生回路とを含み、前記フィードバック回路は、前記鋸歯状波信号と、前記出力電圧のフィードバック電圧とを比較して前記パルス幅変調信号のデューティー比を可変するように構成されている。
【0006】
ここで、前記2つの積分回路は、前記出力キャパシタの電流を電圧信号に変換し、前記変換された電圧信号にDCバイアスを加算し、前記DCバイアスが加算された電圧信号を、カレントミラー回路を介して積分キャパシタにチャージすることにより積分を行うようにしてもよい。
【0007】
また、前記2つの積分回路の異なる積分期間は、前記鋸歯状波信号の1周期分の期間、及び、複数の周期にわたる期間としてもよい。
【0008】
また、このような課題を解決するための電源システムは、前記スイッチング電源装置の制御装置と、前記スイッチング電源装置とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、過渡応答に優れた出力キャパシタに流れる電流を検出して鋸歯状波の振幅を制御するため、PWM制御の高速応答を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源装置を含むシステム全体の概略を示す構成図である。
【図2】図1のフィードバック回路の構成例を示す図である
【図3】図1のフィードフォワード回路の概略を示す概念図である。
【図4】1期間積分器の構成例を示す図である。
【図5】n期間積分器の構成例を示す図である。
【図6】鋸波発生回路の構成例を示す図である。
【図7】1期間積分器のタイミングチャートを示す図である。
【図8】n期間積分器のタイミングチャートを示す図である。
【図9】鋸歯状波発生回路と、フィードバック回路への入力及びパルス幅変調信号PWMの出力のタイミングチャートを示す図である。
【図10】第2実施形態にかかるスイッチング電源装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の第1実施形態について詳細に説明する。

【0012】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるスイッチング電源装置110を含む電源システム(以下、単に「システム」という。)100全体の概略例を示す図である。図1に示すように、システム100は、PWM制御に応じた直流電圧Vを出力するスイッチング電源装置110と、スイッチング電源装置110の出力電圧Vをフィードバックしてパルス幅変調信号PWMを生成するフィードバック回路200と、スイッチング電源装置110内の出力キャパシタ116の電流からの過渡応答分を利用してPWM制御のための鋸歯状波のピーク値に反映させるフィードフォワード回路(制御装置)300とを備える。

【0013】
スイッチング電源装置110は、直流電源111と、直流電源111の正極側に直列接続され、パルス幅変調信号PWMに応じて駆動するスイッチング素子112と、スイッチング素子112に直列接続され、スイッチング素子112の駆動に応じて、直流電源111からの入力電圧が充電されるインダクタ113とを備える。また、スイッチング電源装置110は、インダクタ113に直列接続され、直流電源111から電源供給される負荷114と、インダクタ113に直列接続され、負荷電流変動時に負荷114に電力を供給する出力キャパシタ116とを備える。

【0014】
さらに、スイッチング電源装置110は、直流電源111と出力キャパシタ116にそれぞれ並列に接続されたダイオード115を備える。なお、負荷114と出力キャパシタ116の一端はともに接地される。

【0015】
スイッチング電源装置110は、単一インダクタ型単一出力のDC/DC変換装置である。

【0016】
この実施形態のシステム100では、後述する鋸歯状波の1周期(1スイッチング期間)を基準として、PWM制御が行うようになっている。

【0017】
フィードバック回路200は、スイッチング電源装置110の負荷114のインダクタ側から電圧を検出し、スイッチング素子112を制御するパルス幅変調信号PWMを発生する。フィードフォワード回路300は、スイッチング電源装置110の出力キャパシタ116のインダクタ113側から電流を検出し、フィードフォワード回路に対し、検出した電流に基づく鋸歯状波を提供する。

【0018】
DC/DC変換回路110のスイッチング素子112は、フィードバック回路200からのパルス幅変調信号PWMのデューティー比に基づいて、スイッチングを行う。

【0019】
図2は、フィードバック回路200の構成例を示す図である。図2に示すように、フィードバック回路200は、スイッチング電源装置110の出力電圧と基準電圧201との差を増幅するエラーアンプ202からの出力Vと、フィードフォワード回路300からの鋸歯状波Vsawとを比較してパルス幅変調信号PWMを出力するコンパレータ203とを備える。

【0020】
スイッチング電源装置110からの出力電圧はエラーアンプ202に入力されて、基準電圧Vrefからの差に対応する差信号がコンパレータ203に入力される。そして、フィードフォワード回路300からの鋸歯状波Vsawとエラーアンプ202からの差信号Vとを比較することにより、パルス幅変調信号PWMのパルス幅を変調する。

【0021】
ここで、コンパレータ203からは差信号Vが鋸歯状波Vsawより大きい場合はHIGHが出力され、差信号Vが鋸歯状波Vsawより小さい場合はLOWが出力される。スイッチング電源装置110のスイッチング素子112は、HIGHの信号により閉状態となり、LOWの信号により開状態となる。

【0022】
図3は、フィードフォワード回路300の構成例を示す図である。図3に示すように、フィードフォワード回路300は、スイッチング電源装置110の出力キャパシタ116に流れる電流を検出し、電圧に変換するカレントセンサ310を備える。

【0023】
また、フィードフォワード回路300は、カレントセンサ310から出力した電圧を1のスイッチング期間で鋸歯状波制御信号Vconに変換する1期間積分器(第1の積分回路)400と、カレントセンサ310から出力した電圧をnスイッチング期間ごとに追跡し(nは2以上の整数)、制御値を補償する電圧信号ΔVを出力するn期間積分器(第2の積分回路)500とを備える。

【0024】
さらに、フィードフォワード回路300は、1期間積分器400からの鋸歯状波制御信号Vconと、n期間積分器500からの電圧信号ΔVとを加算して制御信号V´conを出力する加算器320と、加算器320からの信号を基に、パルス幅変調信号PWMを制御する鋸歯状波Vsawを発生する鋸歯発生回路600とを備える。

【0025】
図4は、1期間積分器400の構成例を示す図である。図4に示すように、1期間積分器400は、カレントセンサ310からの電圧信号をVbias(本実施形態において、例えば、5Vとする)のバイアスとともに出力する加算器410と、加算器410からの電圧を積分キャパシタ401にチャージさせるためのカレントミラー回路420とを備える。また、カレントミラー回路420の一方の出力(ゲート・ドレイン接続側)が負荷403に接続され、他方の出力が積分キャパシタ401に接続され、積分キャパシタ401は、スイッチング素子402と並列に接続される。さらに、1期間積分器400は、積分キャパシタ401にチャージされた電圧により鋸歯発生回路600を制御する信号を出力するためのサンプリングホルダ430を備える。

【0026】
サンプリングホルダ430は、積分キャパシタ401のチャージ電圧をバッファするOPアンプ431と、スイッチング素子432と、OPアンプ431からの電圧をチャージするサンプリングキャパシタ433と、サンプリングキャパシタ433の電圧をバッファするOPアンプ434とを備える。

【0027】
スイッチング素子402は、1スイッチング期間ごとにクロック信号CLK1が送信されることにより一時的に閉状態になるため、積分キャパシタ401のチャージ電圧は、1スイッチング期間ごとにリセットされる。またスイッチング素子432は、1スイッチング期間の終了時にクロック信号CLK1´が送信されることにより一時的に閉状態になるため、サンプリングキャパシタのチャージ電圧も、1スイッチング期間ごとにリセットされる。

【0028】
図5は、n期間積分器500を示す回路構成図である。図5に示すように、n期間積分器500は、カレントセンサ310からの電圧信号をVbiasのバイアスとともに出力する加算器510と、加算器510からの電圧を、各積分キャパシタ501-1~501-nにチャージするための多連出力型カレントミラー回路520とを備える。また、n期間積分器500のカレントミラー回路520の一方の出力(ゲート・ドレイン接続側)が負荷503に接続され、その他の出力が、それぞれ積分キャパシタ501-1~501-nに接続され、積分キャパシタ501-1~501-nには、スイッチング素子502-1~502-nが並列に接続される。さらに、n期間積分器500は、バッファ531-1~531-nを介して出力される積分キャパシタ501-1~501-nからの電圧により出力キャパシタ116のチャージバランスを判断するための比較信号VSHを出力するためのサンプリングホルダ530と、サンプリングホルダ530からの比較信号VSHとしきい値を比較するコンパレータ540と、セレクタ550を備える。

【0029】
スイッチング素子502-1は、nスイッチング期間ごとにクロック信号CLK1が送信されることにより一時的に閉状態になるため、積分キャパシタ501-1のチャージ電圧は、n期間ごとにリセットされる。スイッチング素子502-1へのクロック信号CLK1の送信から1スイッチング期間を経過した後、今度はスイッチング素子502-2にクロック信号CLK2が送信される。スイッチング素子502-2においてもnスイッチング期間ごとにクロック信号CLK2が送信され、積分キャパシタ501-2のチャージ電圧をn期間ごとにリセットする。同様に各スイッチング素子502-3~nについても同様にクロック信号を送信され、スイッチング素子502-nへのクロック信号の送信から1スイッチング期間後、再度スイッチング素子502-1にクロック信号を送信される。

【0030】
スイッチング素子532-1~532-nについても同様に、n期間のサイクルでクロック信号CLK1´~CLKn´が送信される。

【0031】
セレクタ550は、コンパレータ540の出力がHレベルのときに、正又は負の値の補償値ΔVを出力する。コンパレータ540の出力がLレベルのときに、補償値ΔVとして0を出力する。

【0032】
図6は、鋸歯状波発生回路600の構成例を示す図である。図6に示すように、鋸歯状波発生回路600は、電源601と、電源601に接続されたカレントミラー回路610とを備える。また、鋸歯発生回路600は、ドレインに鋸歯状波発生回路600のカレントミラー回路610の一方の出力(ゲート・ドレイン接続側)が接続され、ゲートが加算器320に接続されるトランジスタ602と、トランジスタ602に接続される抵抗605と、カレントミラー回路610の他方の出力に接続された鋸歯キャパシタ603とを備える。さらに、鋸歯発生回路600は、鋸歯キャパシタ603と並列に接続されたスイッチング素子604とを備える。

【0033】
図7は、1期間積分器400のタイミングチャートを示す図である。

【0034】
まず、出力キャパシタ116の電流Iが、カレントセンサ310により検出され、検出した電流Iが、電圧Vi_cに変換される。次に、加算器410において、電圧Vi_cをVbias=5Vのバイアスで送信するために、Vi_cに5Vが加算される。加算された電圧Vi_c+5Vは、カレントミラー回路420を介して積分キャパシタ401にチャージされる。

【0035】
スイッチング素子402は、各スイッチング期間の開始時にクロック信号CLK1が送信され、この信号により一時的に閉状態になり、積分キャパシタ401にチャージした電流を放出し、リセットする(キャパシタの電位差がなくなる)。スイッチング素子402が開状態になると、電圧Vi_c+5Vが積分キャパシタ401にチャージされる。そして1スイッチング期間を経過すると、再度スイッチング素子402にクロック信号CLK1が送信され、再度閉状態になり、電圧V1が放出される。

【0036】
ここで、カレントミラーの伝送率をRCSとして設定し、R=R=Rとすると、積分キャパシタにチャージされる電圧Vの1のスイッチング期間の終了時における電圧(ピーク電圧)VI_peakは、

【0037】
【数1】
JP2015076951A_000003t.gif

【0038】
となる。ここでTは、1のスイッチング期間である。

【0039】
サンプリングホルダ430は、スイッチング期間ごとのピーク電圧を、制御信号Vconとして出力する。

【0040】
積分キャパシタ401のチャージ電圧Vは、OPアンプ431によりバッファされる。ここで、スイッチング期間T末期にスイッチング素子432が閉状態になることにより、ピーク電圧VI_peakは、サンプリングキャパシタ433にチャージされる。サンプリングキャパシタ433のチャージ電圧となるVI_peakは、OPアンプ434によりバッファされてスイッチング期間ごとに制御信号Vconとして出力される。

【0041】
このとき、図7に示すように、負荷114へ流れる電流が突然増えた場合、ピーク電圧VI_peakは小さくなる。これは、突然の負荷変動が生じた場合、インダクタ113に流れる電流は急には上昇せず、その代わりに出力キャパシタ116から負荷114に電流を供給するため、出力キャパシタ116に流れる電流Iの値が下降する。これにより、電圧Vi_cが一時的に下降する。そのため、積分キャパシタ401の電圧Vも小さくなる。

【0042】
負荷変動の情報は、サンプリングホルダ430においてピーク電圧VI_peakとして表現される。

【0043】
図8は、n期間積分器500のタイミングチャートを示す図である。

【0044】
図7に示すように、1期間積分器400において、積分は1スイッチング期間分しか行っていない。この積分回路は急激な負荷変動を感知することはできるが、チャージバランスは1期間分のみ考慮される。しかし過渡応答の間においては、チャージバランスは複数のスイッチング期間を考慮しなければならない。したがって、n期間において積分を行うn期間積分器が必要になってくる。n期間積分器は急激な負荷変動を感知することはできないが、鋸歯状波信号の制御値を補償するのに使用され、過渡応答時に出力電圧を調整する。

【0045】
出力キャパシタ116の電流Iが、カレントセンサ310により検出され、検出した電流Iが、電圧Vi_cに変換され、加算器410において、電圧Vi_cをVbias=5Vのバイアスで送信するために、Vi_cに5Vが加算されるのは、1期間積分器400と同様である。

【0046】
加算された電圧Vi_c+5Vは、カレントミラー回路520を介して積分キャパシタ501-1にチャージされる。ここで、スイッチング素子502-1は、各スイッチング期間の開始時にクロック信号CLK1が送信され、この信号により一時的に閉状態になり、積分キャパシタ501-1にチャージした電流を放出し、リセットする(キャパシタの電位差がなくなる)。

【0047】
スイッチング素子502-1には、nスイッチング期間のサイクルでCLK1が送信されるため、nスイッチング期間におけるチャージバランスを追跡することができる。

【0048】
nスイッチング期間の積分キャパシタ501-1へのチャージ電圧VSHは、コンパレータ540においてしきい値(しきい値電圧V)と比較される。しきい値電圧Vがチャージ電圧VSHより大きい場合は、出力キャパシタ116のチャージバランスが電流放出に偏っているため、加算器320において、1期間積分器400からの出力電圧Vconに補償電圧ΔVが加算され、電圧信号V´conとして鋸歯発生回路600に送信される。

【0049】
一方でしきい値電圧Vがチャージ電圧VSHより小さい場合は、出力キャパシタ116のチャージバランスが均衡に近い状態であるため、出力電圧Vconに補償値ΔVは加算されず、V´con=Vconとして、鋸歯発生回路600に出力される。

【0050】
また、各スイッチング素子502-1~502-nは1スイッチング期間ごとにクロック信号CLK1~CLKnが送信される。したがってスイッチング期間ごとに、nスイッチング期間前のチャージバランスを追跡して、補償値Vconを加算することが可能となる。

【0051】
なお、補償値ΔVは、負荷の電流が大きくなる場合は負の値であり、負荷の電流が小さくなる場合は正の値である。補償値ΔVの絶対値は動作条件により任意の値に設定することができ、負荷変動が大きくなるか小さくなるかは図示しない判定回路によって判定してもよい。

【0052】
図9は、鋸歯状波発生回路600と、フィードバック回路200への入力及びパルス幅変調信号PWMの出力のタイミングチャートを示す図である。

【0053】
鋸歯状波発生回路600は、スイッチング素子604OFFの期間、電源601から鋸歯キャパシタ603に電流がチャージされる。電源601の電圧VDDは、トランジスタ602のゲートにかかる電圧V´conによって調整されるため、鋸歯状波のピーク電圧(振幅)は電圧V´conに比例した大きさになる。スイッチング素子が閉状態になると鋸歯キャパシタは放電され、電圧が0に戻る。その後、スイッチング素子604が開状態になると再び鋸歯キャパシタ603においてチャージが始まる。このようにして鋸歯発生回路600は鋸歯状波Vsawを発生する。

【0054】
鋸歯状波の電圧信号Vsawは、コンパレータ203の反転入力端子に入力される。また、負荷電圧Vと参照電源Vrefとの誤差信号Vは、コンパレータ203の非反転入力端子に入力される。ここで、VがVsawよりも大きい場合は、コンパレータ203はHIGHを出力し、VがVsawよりも低い場合はLOWを出力する。この出力がパルス幅変調信号PWMとなり、スイッチング素子112を制御する。HIGHによりスイッチング素子112は閉状態になり、直流電源111からインダクタ113を介して電流が負荷114に送られる。一方でLOWによりスイッチング素子112は開状態になり直流電源111からの電流の供給は停止する。

【0055】
このように、本実施形態のシステム100では、出力キャパシタ116の電流に応じてPWM制御のための鋸歯状波のピーク値に反映させ、鋸歯状波の傾きを変える。ここで、PWM周期は一定であるため、鋸歯状波の傾きが変わることにより、パルス幅変調信号PWMのデューティー比を変更することができる。この場合、出力キャパシタ116は過渡応答性に優れるため、システム100におけるPWM制御の高速応答が可能になる。

【0056】
本実施形態のシステム100では、負荷電流が大きくなると、出力キャパシタ116に流れる電流が減少するため、図7に示すように、VI_peakが降下するため、鋸歯状波発生回路600の制御電圧V´conは下降する。鋸歯状波のピーク電圧(振幅)は電圧V´conに比例した大きさになるため、このとき、鋸歯状波のピーク電圧(振幅)が小さくなり、鋸歯状波の傾きが小さくなる。

【0057】
また、本実施形態のシステム100では、負荷電流上昇により、鋸歯状波Vsawの振幅が小さくなる、すなわち鋸歯状波の傾きが小さくなった場合、1スイッチング期間におけるHIGHのデューティー比が大きくなり、その分スイッチング素子112の閉状態が長くなり、直流電源111から負荷114に電流がより長い時間供給される。

【0058】
ここで、Vの値も上昇するが、鋸歯状波Vsawの振幅が小さくなるため、フィードバック回路のみを使用する場合よりもより長い時間HIGHを出力することができ、直流電源111から電流を供給する時間をより長くすることができる。さらに、フィードフォワード回路300は、出力キャパシタ116に流れる電流Iを検出するため、フィードバック回路が出力電圧Vの変化を検出するよりも早く電流の変化を検出することができ、鋸歯状波Vsawの振幅もすばやく制御することができる。

【0059】
このように、短時間で負荷変動を検出し、さらにパルス幅変調信号PWMのデューティー比を制御することができるため、PWM制御の高速応答が可能になる。

【0060】
[第2実施形態]
本実施形態のスイッチング電源装置1010は、単一インダクタを使用することにより2つの出力を得るようにしたDC/DC変換装置とした点が第1実施形態と異なる。以下、この実施形態のスイッチング電源装置1010について説明する。

【0061】
図10は、第2実施形態にかかるスイッチング電源装置1010を含むシステム1000を示す構成図である。

【0062】
図10に示すように、スイッチング電源装置1010では、直流電源1011から出力される直流電流が2つの負荷1022、1032に供給され、単一インダクタを使用した二出力のDC/DC変換装置が実現される。

【0063】
図10において、システム1000は、図1に示したシステム100と同様に、直流電源1011が、スイッチング素子1012を介してインダクタ1013に接続されている。

【0064】
一方、図1に示すシステム100と異なり、システム1000は、インダクタ1013からの配線を分岐させ、第1の出力側(サブコンバータ1020)に出力キャパシタ1021と、負荷1022とを備える。また、システム1000は、第2の出力側(サブコンバータ1030)に出力キャパシタ1031と、負荷1032とを備える。

【0065】
インダクタ1013とサブコンバータ1030との間にはスイッチング素子1033が挿入され、スイッチング素子1033とスイッチング素子1012とにより各サブコンバータの出力電圧が制御される。

【0066】
また、システム1000は、システム100と同様にフィードバック回路1200及びフィードフォワード回路1300を備える。

【0067】
フィードバック回路1200は、サブコンバータ1020からの出力電圧Vout1と参照電源Vref1との誤差ΔV、及びサブコンバータ1030からの出力電圧Vout2と参照電源Vref2との誤差ΔVをコンパレータ1203で比較してSELスイッチ1205により選択して鋸歯状波と比較するためのコンパレータ1206に入力し、また、コンパレータ1203からの出力をフリップフロップ回路1204に入力し、フリップフロップ回路1204からの出力信号によりスイッチング素子1033を制御する点が、図1及び2に記載のフィードバック回路200と異なる。

【0068】
フィードフォワード回路1300は、サブコンバータ1020の出力キャパシタ1021に流れる電流Ic1およびサブコンバータ1030の出力キャパシタ1031に流れる電流Ic2を検出し、加算器1301において加算してカレントセンサ1302に入力する点を除いて、図1及び3に示したフィードフォワード回路300と同様である。

【0069】
このように構成することにより、このシステム1000でも、第1実施形態と同様に、PWM制御の高速応答が実現できる。

【0070】
また、システム1000についても、フィードフォワード回路を介して鋸歯状波の振幅を制御することにより制御遅延を防止することができる。これにより、過渡応答を防止し、一方の負荷の負荷変動による他方の負荷への影響(クロスレギュレーション)の防止につながる。
【符号の説明】
【0071】
100 電源システム
110 スイッチング電源装置
111 直流電源
112、402、502-1~502-n スイッチング素子
113 インダクタ
114 負荷
116 出力キャパシタ
200 フィードバック回路
202、 エラーアンプ
431、433、434 OPアンプ
203、540 コンパレータ
300 フィードフォワード回路
310 カレントセンサ
400 1期間積分器
401、501-1~501-n 積分キャパシタ
410 加算器
420、520 カレントミラー回路
500 n期間積分器
600 鋸歯状波発生回路
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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