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明細書 :ポリマー碍子用外被ゴム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-101601 (P2015-101601A)
公開日 平成27年6月4日(2015.6.4)
発明の名称または考案の名称 ポリマー碍子用外被ゴム
国際特許分類 C08L  21/00        (2006.01)
H01B   3/46        (2006.01)
C08K   3/22        (2006.01)
FI C08L 21/00
H01B 3/46 D
C08K 3/22
請求項の数または発明の数 3
出願形態 OL
全頁数 7
出願番号 特願2013-240865 (P2013-240865)
出願日 平成25年11月21日(2013.11.21)
発明者または考案者 【氏名】匹田 政幸
【氏名】小迫 雅裕
【氏名】近藤 高徳
【氏名】井上 亮
出願人 【識別番号】000004064
【氏名又は名称】日本碍子株式会社
【識別番号】504174135
【氏名又は名称】国立大学法人九州工業大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100085523、【弁理士】、【氏名又は名称】山本 文夫
【識別番号】100078101、【弁理士】、【氏名又は名称】綿貫 達雄
【識別番号】100154461、【弁理士】、【氏名又は名称】関根 由布
審査請求 未請求
テーマコード 4J002
5G305
Fターム 4J002CP031
4J002DE146
4J002FD016
4J002FD126
4J002GM00
4J002GQ01
5G305AA14
5G305AB01
5G305AB15
5G305AB36
5G305BA13
5G305BA22
5G305CA47
5G305CC02
5G305CC03
5G305CC20
5G305CD02
5G305CD20
5G305DA12
要約 【課題】ポリマー碍子として必要な高電圧電気絶縁特性および機械的特性を具備する外被ゴムを、高電圧電気絶縁特性の向上に資する添加剤の添加量を、従来の3質量%より更に低減させて、かつ、超音波撹拌等、特殊な追加設備を用いることなく、製造する技術を提供すること。
【解決手段】ゴム組成物に、高電圧電気絶縁特性の向上に資する添加剤を添加して得られたポリマー碍子用外被ゴムであって、前記添加剤を、セラミックスの水和物を100nm以下に粉砕して得た微粉末とし、その添加量を、ポリマー碍子用外被ゴムの全原料中、0.5~2.5質量%とした。
【選択図】なし
特許請求の範囲 【請求項1】
ゴム組成物に、高電圧電気絶縁特性の向上に資する添加剤を添加して得られたポリマー碍子用外被ゴムであって、
前記添加剤が、セラミックスの水和物を100nm以下に粉砕して得た微粉末であって、
その添加量が、ポリマー碍子用外被ゴムの全原料中、0.5~2.5質量%である
ことを特徴とするポリマー碍子用外被ゴム。
【請求項2】
前記セラミックスが、酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項1記載のポリマー碍子用外被ゴム。
【請求項3】
前記セラミックスの水和物が、Al・HOであることを特徴とする請求項1記載のポリマー碍子用外被ゴム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー碍子用外被ゴムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ポリマー碍子は、ガラス繊維強化プラスチック(FRP)等よりなる絶縁ロッドと、絶縁ロッドの外周にモールド成形された外被ゴムと、絶縁ロッドの両端部に、かしめ固定された把持金具から構成され、軽量でかつ高い強度を有するため、これらの特性が要求される各種用途に使用されている。
【0003】
ポリマー碍子を構成する外被ゴムは、耐トラッキング性、耐アーク性、耐エロージョン性等の高電圧電気絶縁特性に優れたものであることが求められ、この高電圧電気絶縁特性の向上に資する各種の添加剤が検討されている。
【0004】
例えば、多量のアルミニウム水酸化物を添加材として使用する技術(特許文献1)や、ナノサイズのシリカ(SiO)を添加材として使用する技術(非特許文献1、2)が開示されている。
【0005】
特許文献1の技術は、ゴム組成物100重量部に対し、粒径7~50μmと粒径0.1~7μmのアルミニウム水酸化物を併用して、100~900重量部添加することにより、耐トラッキング性、耐アーク性、耐エロージョン性等の高電圧電気絶縁特性の向上を図るものであるが、一方で、多量のアルミニウム水酸化物の添加により、ゴムの粘度が低下したり、加硫後のゴムの引き裂き強度が低下するなど、ゴムの機械的特性が低下するという問題があった。
【0006】
非特許文献1、2は、本発明者らの研究に基づくものであり、粒径7nmもしくは40nmのシリカ(SiO)を添加することにより、ゴムの高電圧電気絶縁特性および機械的特性の双方の向上が実現されているデータを開示している。しかし、前記サイズのシリカは、一般的な自転公転式ミキサーによる撹拌だけでは、ゴム中に十分に分散させることができず、超音波撹拌を追加する必要があり、従来設備での製造ができないという問題があった。
【0007】
また、ポリマー碍子の外被ゴム製造工程における添加剤の添加量は、原料コストの観点からより少なくすることが好ましいのに対し、非特許文献1、2の技術において、ポリマー碍子として必要な高電圧電気絶縁特性および機械的特性を具備するためには、前記サイズのシリカ(SiO)の添加量を、少なくとも、3~5質量%とすることが求められるのに対し、更なる添加量の削減はできないという問題があった。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特許3360264号公報
【0009】

【非特許文献1】2012年 電気学会誘電・絶縁材料研究会 DEI-12-104
【非特許文献2】2013 IEEE International Conference on Solid Dielectrics POST-02:19
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は前記の問題を解決し、ポリマー碍子として必要な高電圧電気絶縁特性および機械的特性を具備する外被ゴムを、高電圧電気絶縁特性の向上に資する添加剤の添加量を、従来の3質量%より更に低減させて、かつ、超音波撹拌等、特殊な追加設備を用いることなく、製造する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた本発明のポリマー碍子用外被ゴムは、ゴム組成物に、高電圧電気絶縁特性の向上に資する添加剤を添加して得られたポリマー碍子用外被ゴムであって、前記添加剤が、セラミックスの水和物を100nm以下に粉砕して得た微粉末であって、その添加量が、ポリマー碍子用外被ゴムの全原料中、0.5~2.5質量%未満であることを特徴とするものである。なお、本明細書における添加剤の粒径は、「レーザー回折法」を用いた粒度分布測定により求めた値とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のポリマー碍子用外被ゴムであって、前記セラミックスが、酸化アルミニウムであることを特徴とするものである。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1記載のポリマー碍子用外被ゴムであって、前記セラミックスの水和物が、Al・HOであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ポリマー碍子用外被ゴムの添加剤として、セラミックスの水和物を100nm以下に粉砕して得た微粉末を使用している。このように、セラミックスの水和物を、ナノサイズにした添加剤は、ポリマー碍子用外被ゴムの全原料中への分散性に優れるため、超音波撹拌等、特殊な追加設備を用いることなく、一般的な自転公転式ミキサーによる撹拌により、全原料中に分散させることができる。
【0015】
更に、このように、セラミックスの水和物を、ナノサイズにした添加剤は、ゴム組成物との間に、非常に大きな界面領域を有するため、0.5質量%(非特許文献1、2において、ベストモード値として開示された添加量の1/6)程度の極微量な添加量によって、ポリマー碍子用外被ゴムに、従来の非特許文献1、2と同等の高電圧電気絶縁特性を具備させることができるとともに、従来の非特許文献1、2よりもすぐれた機械的特性を具備させることができる。その詳細なメカニズムは解明されていないが、本発明者らは、これらの効果は、ナノサイズの粒子や結晶水とベースゴムとの界面領域増大によって、界面領域で働く相互作用が、より強く発現するようになったことに起因するものと推測している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。

【0017】
本実施形態では、ベースゴムとして、付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)を使用し、添加剤として、ベーマイト(Al・HO)を100nm以下に粉砕して得た微粉末(大明化学工業製または関東電化工業製)を使用した。添加剤の撹拌は、自転公転式ミキサーのみを使用して行った。

【0018】
付加反応硬化型の液状シリコーンゴム組成物とは、下記の(イ)~(ハ)を主成分とする高電圧電気絶縁体用シリコーンゴム組成物である。
(イ)平均組成式が、R1aSiO(4-a)/2で示され、1分子中に少なくとも平均2個以上のアルケニル基を有するオルガノポリシロキサン100重量部。(式中R1は置換又は非置換の一価炭化水素基であり、R1の0.01~20モル%はアルケニル基である。aは1.9~2.4の正数である。)
(ロ)平均組成式が、R2bcSiO(4-b-c)/2で示され、常温で液体のオルガノハイドロジェンポリシロキサン0.1~100重量部。(式中R2は炭素数1~10の置換又は非置換の一価炭化水素基でり、bは0.7~2.1、好ましくは1~2、cは0.002~1、好ましくは0.01~0.5で、かつb+cは0.8~3、好ましくは1.5~2.6を満足する正数である。)
(ハ)触媒量(1~100ppm)の付加反応触媒

【0019】
ベーマイト(Al・HO)としては、具体的には、平均粒径(メジアン径)70nmで、板状の結晶構造を有するものと、平均粒径(メジアン径)100nmで、斜方晶状の結晶構造を有するものの2種類を使用した。

【0020】
本発明のポリマー碍子用外被ゴムの成形方法は、混合物の粘度により自由に選択することができ、注入成形、圧縮成形、射出成形、押し出し成形、トランスファー成形等いずれの方法を採用しても良い。その硬化条件は、通常80~200℃で3分~3時間加熱することができる。
【実施例】
【0021】
添加剤を添加しないベースゴムのみからなるサンプル(比較例1)と、下記の表1のように添加剤を添加したサンプル(実施例1~5、比較例2~7)を作成し、耐トラッキング特性試験(IEC60587に準拠、試験条件:4.5kV,6時間)と、耐アーク特性試験(JIS K6911に準拠)と、機械特性試験(JIS K6251に準拠)を行った。なお、比較例2,3は添加剤のサイズをμサイズとしたもの、比較例4,5は添加剤の種類を、結晶水を有さない無水シリカとしたものである。
【実施例】
【0022】
【表1】
JP2015101601A_000002t.gif
【実施例】
【0023】
(耐トラッキング特性および耐エロージョン特性)
比較例1,3,4は何れも、上記試験条件をクリアすることができず、エロージョン深さ6mm(=試料貫通)、エロージョン長さ25mm以上であった。実施例1~5および比較例2,5,6,7は、何れも、上記試験条件をクリアし、平均エロージョン深さ1.5mm、平均エロージョン長さ5~6mmに抑制された。
(耐アーク特性)
比較例1では200秒、比較例3では300秒であったのに対し、実施例1~5および比較例2,4,5,6,7では、何れも、検出上限である420秒以上と、比較例に対し大幅な向上が確認された。
(機械的特性)
JIS K6251の引き裂き強度試験において、実施例1~5では、何れも、比較例1に対し、引き裂き強度の向上が確認された。一方、比較例2~4および比較例7の引き裂き強度は、比較例1に比して、ほぼ同等か若干低下しており、引き裂き強度の向上効果は認められなかった。
【実施例】
【0024】
以上より、
・添加剤をセラミックスの水和物を100nm以下に粉砕して得た微粉末とし、その添加量を、0.5~2.5質量%とすることにより、ポリマー碍子用外被ゴムに、従来技術(非特許文献1、2)と同等の高電圧電気絶縁特性を具備させることができるとともに、前記従来技術よりもすぐれた機械的特性を具備させることができることが確認された。
・添加剤をμサイズにした場合、添加剤の大量添加によって、ポリマー碍子に必要とされる高電圧電気絶縁特性を具備させることができるが、添加剤の大量添加によって、機械的特性が低下することが確認された。
・添加剤の種類を無水シリカとした場合、ポリマー碍子に必要とされる高電圧電気絶縁特性を具備させるためには、添加剤の添加量を3質量%以上とすることが必要であることが確認された。