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明細書 :発電プラント

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2015-081593 (P2015-081593A)
公開日 平成27年4月27日(2015.4.27)
発明の名称または考案の名称 発電プラント
国際特許分類 F01K  23/04        (2006.01)
F01D  17/00        (2006.01)
FI F01K 23/04
F01D 17/00 N
F01D 17/00 P
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 15
出願番号 特願2013-221368 (P2013-221368)
出願日 平成25年10月24日(2013.10.24)
発明者または考案者 【氏名】三宅 晴輔
【氏名】池上 康之
出願人 【識別番号】000156938
【氏名又は名称】関西電力株式会社
【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100067828、【弁理士】、【氏名又は名称】小谷 悦司
【識別番号】100115381、【弁理士】、【氏名又は名称】小谷 昌崇
【識別番号】100127797、【弁理士】、【氏名又は名称】平田 晴洋
審査請求 未請求
テーマコード 3G071
3G081
Fターム 3G071AA01
3G071AB01
3G071BA07
3G071BA10
3G071BA32
3G071DA05
3G071FA03
3G071FA06
3G071HA03
3G071HA05
3G081BA01
3G081BA02
3G081BB10
3G081BC02
3G081DA03
要約 【課題】発電システムと、この発電システムの廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システムとが組み合わされた発電プラントにおいて、冷却用の海水の取水及び利用の態様を最適化する。
【解決手段】発電プラントGは、発電システム1と、その廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システム2と、冷却水クーラー3とを含む。発電システム1の復水器13、廃熱発電システム2の凝縮器23、及び冷却水クーラー3には、冷却用の海水として若深層水冷却系統7より、海水面より20m~200mの下層範囲である若深層において取水された海水が供給される。供給量制御部4は、発電システム1の蒸気循環系統102内の圧力を所定範囲内に維持するために、復水器13を経由する海水の流量を調整する第1制御と、廃熱循環系統6内における冷却水の温度を所定範囲内に維持するために、冷却水クーラー3の熱交換部31を経由する海水の流量を調整する第2制御と、を実行する。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
蒸気タービン、復水器及び加熱源と、これらを通して水乃至は蒸気を循環させる蒸気循環系統とを備えた発電システムと、
前記発電システムの廃熱を利用して発電を行うシステムであって、廃熱タービン、蒸発器及び凝縮器を備えた廃熱発電システムと、
熱交換部を備えた熱媒クーラーと、
熱媒の循環系統であって、前記蒸気タービンの動作によって発生された熱の廃熱を回収する熱回収部と、前記蒸発器及び前記熱交換部において熱を放出する熱放出部とを含む廃熱循環系統と、
海水面より20m~200mの下層範囲である若深層において海水を取水し、前記復水器、前記凝縮器及び前記熱交換部を経由して前記海水を排水する若深層水冷却系統と、
前記廃熱循環系統の前記熱媒及び前記若深層水冷却系統の前記海水の流量を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記蒸気循環系統内の圧力を所定範囲内に維持するために、前記若深層水冷却系統の前記復水器を経由する前記海水の流量を調整する第1制御と、
前記廃熱循環系統内における前記熱媒の温度を所定範囲内に維持するために、少なくとも前記若深層水冷却系統の前記熱交換部を経由する前記海水の流量を調整する第2制御と、のうちの少なくとも一方を実行する発電プラント。
【請求項2】
請求項1に記載の発電プラントにおいて、
前記制御手段は、前記第1制御及び前記第2制御の双方を実行する、発電プラント。
【請求項3】
請求項1に記載の発電プラントにおいて、
前記復水器に導入される冷却水温度が、一定の温度範囲内に制限される、発電プラント。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電プラントにおいて、
前記蒸気循環系統の、前記蒸気タービンの出口側に配置される圧力センサをさらに備え、
前記制御手段の前記第1制御は、前記圧力センサの検出値が所定の基準値より低い場合には、前記復水器を経由する海水の流量を所定の基準流量に対して減少させ、前記検出値が前記基準値より高い場合には、前記海水の流量を前記基準流量に対して増加させる制御である、発電プラント。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の発電プラントにおいて、
前記廃熱循環系統は、前記蒸発器を経由する蒸発器配管と、前記熱交換部を経由する熱交換部配管と、前記蒸発器配管と前記熱交換部配管との上流側合流部と前記熱回収部とを繋ぐ往路配管と、前記蒸発器配管と前記熱交換部配管との下流側合流部と前記熱回収部とを繋ぐ復路配管とを含み、
前記復路配管に配置され、前記熱媒の温度を検出する温度センサをさらに備え、
前記制御手段の前記第2制御は、前記温度センサの検出値が所定の基準温度より高い場合に、前記熱交換部を経由する海水の流量を所定の基準流量に対して増加させる制御を含む、発電プラント。
【請求項6】
請求項5に記載の発電プラントにおいて、
前記廃熱循環系統は、前記上流側合流部と前記下流側合流部とを直結する短絡配管をさらに備え、
前記制御手段の前記第2制御は、前記温度センサの検出値が所定の基準温度より低い場合に、前記短絡配管を通過する前記熱媒の流量を増加させる制御を含む、発電プラント。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば火力発電設備のような発電システムと、この発電システムの廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システムとが組み合わされた発電プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
火力発電設備のような発電システムを備える発電プラントにおいては、エネルギー利用効率を向上させることが求められる。その一つの手段として、発電システムで発生する廃熱を回収し、他のシステムの動作エネルギーとして利用することが挙げられる。特許文献1には、蒸気タービンの軸受に供給されるタービン油や、発電機をケーシング内で冷却する発電機冷却器の廃熱を、復水系統において利用する技術が開示されている。一般に、タービン油等の熱は、冷却水(熱媒)の循環系統によって回収され、前記冷却水のクーラーによって熱廃棄(廃熱)されているが、特許文献1の技術によれば、前記廃熱の利用によりエネルギー利用効率を向上させることができる。
【0003】
また、前記廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システムを備えた発電プラントも知られている。前記廃熱発電システムは、低沸点の液体を作動媒体とする蒸発・凝縮サイクルと、蒸気状態の前記作動媒体によって回転される廃熱タービンとを備える。前記タービン油の廃熱等は、前記作動媒体を蒸発させるために利用される。このような発電プラントによれば、本来の発電システムと、廃熱発電システムとによって発電が行われるので、発電量を増加させることができる。
【先行技術文献】
【0004】

【特許文献1】特開2004-36535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発電プラントにおいて、復水器用の冷却水、上記クーラー用の冷却水には海水が専ら用いられている。この冷却用の海水を、どの様にして取水し、また、前記発電システム及び前記廃熱発電システムに分配するかは、発電プラントの運用コストや効率に影響を与えることになる。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題に鑑みて、発電システムと、この発電システムの廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システムとが組み合わされた発電プラントにおいて、冷却用の海水の取水及び利用の態様を最適化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面に係る発電プラントは、蒸気タービン、復水器及び加熱源と、これらを通して水乃至は蒸気を循環させる蒸気循環系統とを備えた発電システムと、前記発電システムの廃熱を利用して発電を行うシステムであって、廃熱タービン、蒸発器及び凝縮器を備えた廃熱発電システムと、熱交換部を備えた熱媒クーラーと、熱媒の循環系統であって、前記蒸気タービンの動作によって発生された熱の廃熱を回収する熱回収部と、前記蒸発器及び前記熱交換部において熱を放出する熱放出部とを含む廃熱循環系統と、海水面より20m~200mの下層範囲である若深層において海水を取水し、前記復水器、前記凝縮器及び前記熱交換部を経由して前記海水を排水する若深層水冷却系統と、前記廃熱循環系統の前記熱媒及び前記若深層水冷却系統の前記海水の流量を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記蒸気循環系統内の圧力を所定範囲内に維持するために、前記若深層水冷却系統の前記復水器を経由する前記海水の流量を調整する第1制御と、前記廃熱循環系統内における前記熱媒の温度を所定範囲内に維持するために、少なくとも前記若深層水冷却系統の前記熱交換部を経由する前記海水の流量を調整する第2制御と、のうちの少なくとも一方を実行する。好ましくは、前記制御手段は、前記第1制御及び前記第2制御の双方を実行する。
【0008】
この構成によれば、水質が良くクラゲ類や貝類などの海生生物がほとんど生息していない若深層から海水を取水する若深層水冷却系統を備えるので、発電プラントへの海生生物の侵入や付着を抑止することができる。また、前記制御手段が前記第1制御を行うことによって、前記蒸気循環系統内の圧力を所定範囲内に維持することができ、これにより前記復水器の真空効率を高いレベルに維持することができる。さらに、前記制御手段が前記第2制御を行うことによって、前記熱媒の温度が所定範囲内に維持されるので、前記熱媒の冷却効率を上げることができる。これに加えて、前記海水の使用量が、前記復水器において前記蒸気循環系統内の圧力を所定範囲内に維持するに足りる量、並びに、前記熱交換部において前記熱媒の温度を所定範囲内に維持するに足りる量に規制されるので、前記海水の使用量(取水量)を最小限に抑制できる。従って、上述の若深層からの取水のメリットを享受しつつ、設備運用費等を抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記発電システムは、前記復水器に導入される冷却水温度が、一定の温度範囲内に制限されることが望ましい。
【0010】
通常、前記復水器に導入される冷却水は、海水面近くの海水である。このため、季節により冷却水の水温が変化し、この水温変化が復水器の真空効率に影響を与えている。若深層の海水温は、海水面近くの海水温よりも低く、温度範囲は季節を通して一定である。従って、前記発電システムとして、復水器の真空効率に影響を与えない海水温を有する若深層領域から海水を取水することで、当該発電プラントの高効率化を図ることができる。
【0011】
上記構成において、前記蒸気循環系統の、前記蒸気タービンの出口側に配置される圧力センサをさらに備え、前記制御手段の前記第1制御は、前記圧力センサの検出値が所定の基準値より低い場合には、前記復水器を経由する海水の流量を所定の基準流量に対して減少させ、前記検出値が前記基準値より高い場合には、前記海水の流量を前記基準流量に対して増加させる制御であることが望ましい。
【0012】
この構成によれば、前記蒸気循環系統の真空度を前記圧力センサにてモニターし、そのモニター結果に基づいて、前記復水器を経由する前記海水の流量の適正化を図ることができる。
【0013】
上記構成において、前記廃熱循環系統は、前記蒸発器を経由する蒸発器配管と、前記熱交換部を経由する熱交換部配管と、前記蒸発器配管と前記熱交換部配管との上流側合流部と前記熱回収部とを繋ぐ往路配管と、前記蒸発器配管と前記熱交換部配管との下流側合流部と前記熱回収部とを繋ぐ復路配管とを含み、前記復路配管に配置され、前記熱媒の温度を検出する温度センサをさらに備え、前記制御手段の前記第2制御は、前記温度センサの検出値が所定の基準温度より高い場合に、前記熱交換部を経由する海水の流量を所定の基準流量に対して増加させる制御を含むことが望ましい。
【0014】
この構成によれば、前記復路配管における前記熱媒の温度を温度センサにてモニターし、そのモニター結果に基づいて、前記熱交換部を経由する海水の流量の適正化を図ることができる。
【0015】
上記構成において、前記廃熱循環系統は、前記上流側合流部と前記下流側合流部とを直結する短絡配管をさらに備え、前記制御手段の前記第2制御は、前記温度センサの検出値が所定の基準温度より低い場合に、前記短絡配管を通過する前記熱媒の流量を増加させる制御を含むことが望ましい。
【0016】
この構成によれば、前記熱媒の流通経路として前記短絡配管がさらに具備されるので、前記廃熱循環系統内において前記熱媒の温度を所定範囲内に維持する制御が行い易くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、発電システムと、この発電システムの廃熱を利用して発電を行う廃熱発電システムとが組み合わされた発電プラントにおいて、冷却用の海水の取水及び利用の態様を最適化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る発電プラントの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】若深層水の概念を示す図である。
【図3】図1に示す供給量制御部の機能ブロック図である。
【図4】供給量制御部の動作を示すフローチャートである。
【図5】復水器海水流量制御のフローチャートである。
【図6】廃熱循環系統冷却水温度制御のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態につき詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る発電プラントGの構成を概略的に示すブロック図である。発電プラントGは、後記で説明する若深層水を冷却系統における冷却用海水として用いた発電プラントであって、発電システム1、廃熱発電システム2、冷却水クーラー3(熱媒クーラー)、供給量制御部4(制御手段)、調整部5、廃熱循環系統6及び若深層水冷却系統7を備えている。

【0020】
発電システム1は、汽力発電方式の設備を備えた商用電力の発電設備である。発電システム1としては、例えば、石油火力発電、石炭火力発電、或いはLNG火力発電の設備を備えた発電システムを例示できる。発電システム1は、概略的な設備構成として、ボイラー10(加熱源)、蒸気発生器11、蒸気タービン12、復水器13、給水ポンプ14、機器冷却器15、燃焼ガス通路101及び蒸気循環系統102を備えている。

【0021】
蒸気循環系統102は、純水が封入され、蒸気発生器11、蒸気タービン12、復水器13及び給水ポンプ14を通して水乃至は蒸気を循環させる、閉鎖された循環管路である。ボイラー10は、石油、石炭、LNG等を燃料として高温燃焼ガスを生成し、燃焼ガス通路101に供給する。燃焼ガス通路101と蒸気循環系統102とは、蒸気発生器11において熱交換を行い、給水ポンプ14により蒸気循環系統102を通して蒸気発生器11に送水される水は、前記熱交換によって蒸気に変換される。この蒸気は蒸気タービン12の羽根部に供給され、蒸気タービン12が回転軸の軸回りに回転される。蒸気タービン12の回転軸には図略の発電機ローターの回転軸が連結されており、蒸気タービン12の回転に伴う発電機ローターの回転により、電力が発生される。蒸気循環系統102は、蒸気タービン12の下流側において復水器13に導入されている。復水器13において蒸気循環系統102内の蒸気と冷却水(本実施形態では若深層水)とが熱交換され、前記蒸気は水に変換される。

【0022】
蒸気循環系統102の、蒸気タービン12の出口側(下流側)には、蒸気循環系統102内の圧力を検出する圧力センサ41が配置されている。蒸気タービン12の動作効率は、蒸気循環系統102における蒸気タービン12の入口側(上流側)と出口側(復水器13)との圧力差が大きい程、良好となる傾向がある。従って、蒸気循環系統102内の圧力、特に復水器13の真空度がどの程度であるかが、発電システム1のシステム効率に大きな影響を与える。圧力センサ41は、蒸気循環系統102(復水器13)内の圧力が適正範囲に維持されているか否かをモニターするために配置されている。

【0023】
蒸気タービン12の動作効率は、復水器13の真空度が上がるほど上昇するものの、真空度が一定値に至ると頭打ちとなる。これは、真空度を高くしようとする程、復水器13において熱交換部の面積を大きくしたり、冷却水量を多くしたりする必要が生じ、設備費や運転コストが増大するからである。従って、徒に真空度を上昇させる必要はない。なお、前記真空度は、温度によって変化する。ここでは、復水器13において冷却水となる海水の温度によって、復水器13の真空度が変化し得る。冷却水の温度が高くなると前記真空度は低下傾向となり、冷却水の温度が低くなると前記真空度が上昇傾向となる。このため、蒸気循環系統102(復水器13)の真空度(圧力)を適正範囲に維持することができるように、復水器13へ導入する海水の水温を選ぶことが望ましい。

【0024】
機器冷却器15は、発電システム1に備えられている各種機器(上述の蒸気タービン12、発電機を含む)の冷却を行わせるために配置されている。例えば、蒸気タービン12の軸受に供給されるタービン油の冷却が、この機器冷却器15内において行われる。この他、給水ポンプ14や燃料の押し込みファン等の軸受油、発電機をケーシング内において冷却する水素ガス等の冷却も、機器冷却器15内において行われる。換言すると、機器冷却器15は、蒸気タービン12の動作によって発生された熱の廃熱、ひいては、発電システム1の機器動作によって発生された熱の廃熱を回収するための機器である。後述する廃熱循環系統6によって、機器冷却器15にて回収された廃熱は廃熱発電システム2に移送され、発電のための熱源として活用される。

【0025】
廃熱発電システム2は、発電システム1の廃熱を利用して発電を行うシステムであって、蒸発器21、廃熱タービン22、凝縮器23、循環ポンプ24及び作動媒体循環系統25を備える。作動媒体循環系統25は、蒸発器21、廃熱タービン22及び凝縮器23を順次通過する閉鎖された循環管路である。作動媒体循環系統25には、気化温度が30℃程度の低沸点の作動媒体、例えばフロンが封入されており、当該作動媒体は循環ポンプ24によって作動媒体循環系統25の内部を循環する。

【0026】
蒸発器21において作動媒体は、熱を与えられて蒸気に変換される。その熱源は、機器冷却器15で回収された発電システム1の廃熱である。この蒸気は廃熱タービン22の羽根部に供給され、廃熱タービン22が回転軸の軸回りに回転される。廃熱タービン22の回転軸には図略の発電機ローターの回転軸が連結されている。その後、蒸気状態の作動媒体は、廃熱タービン22の下流側に配置されている凝縮器23に導入され、冷却されることによって液体状態に変換される。その冷熱源は、若深層水である。

【0027】
廃熱循環系統6は、冷却水(熱媒)の循環系統であって、廃熱を回収する熱回収部と、回収した熱を放熱する熱放出部とを含む。冷却水クーラー3は、廃熱循環系統6内を循環する冷却水を冷却する熱交換部31を備える。当該熱交換部31における冷熱源は、若深層水である。廃熱循環系統6の前記熱回収部は発電システム1の機器冷却器15に、前記熱放出部は廃熱発電システム2の蒸発器21及び冷却水クーラー3にそれぞれ配置される。

【0028】
詳述すると、廃熱循環系統6は、蒸発器21を経由する蒸発器配管61と、冷却水クーラー3の熱交換部31を経由する熱交換部配管62と、いずれの機器をも経由しない短絡配管63とを含む。蒸発器配管61、熱交換部配管62及び短絡配管63はパラレルに配置される配管であって、これら配管の上流側及び下流側において互いに合流している。図1において、これら合流部を、上流側合流部601及び下流側合流部602として表している。さらに廃熱循環系統6は、上流側合流部601と機器冷却器15とを繋ぐ往路配管64と、下流側合流部602と機器冷却器15とを繋ぐ復路配管65とを含む。

【0029】
機器冷却器15内には、廃熱循環系統6の熱回収部6Aが配置されている。熱回収部6Aの下流側に往路配管64の上流端が接続され、熱回収部6Aの上流側に復路配管65の下流端が接続されている。蒸発器配管61には第1熱放出部6B1が、熱交換部配管62には第2熱放出部6B2が各々備えられている。第1熱放出部6B1は蒸発器21内に配置され、第2熱放出部6B2は冷却水クーラー3内に配置されている。往路配管64の途中には冷却水循環ポンプ66が設けられている。冷却水循環ポンプ66の駆動によって、冷却水が廃熱循環系統6の内部を循環する。

【0030】
廃熱循環系統6の内部を循環する冷却水は、熱回収部6Aにおいて、機器冷却器15において発電システム1の各種機器の廃熱と熱交換し、60℃程度まで昇温する。昇温された冷却水は、冷却水循環ポンプ66によって下流側へ移送され、第1熱放出部6B1及び第2熱放出部6B2に向かう。第1熱放出部6B1において、昇温された冷却水は作動媒体循環系統25の作動媒体と熱交換し、当該作動媒体を蒸気に変換する。第2熱放出部6B2において、昇温された冷却水は若深層水と熱交換し、冷却される。これら熱交換によって降温された冷却水は、復路配管65を通して熱回収部6Aへ向かう。

【0031】
廃熱循環系統6の復路配管65には、廃熱循環系統6の内部を循環する冷却水(熱媒)の温度を測定する温度センサ42が配置されている。前記冷却水が廃熱発電システム2を通過し復路配管65に至った状態において、当該冷却水の温度が高すぎると、機器冷却器15において回収できる熱量が低下してしまい、発電システム1に対する冷却性能が低下する。一方、当該冷却水の温度が一定値を下回っているということは、冷却水クーラー3において過剰に冷却水をクーリングしていることになる。つまり、若深層水を過剰に使用していることになり、望ましくない。温度センサ42は、廃熱循環系統6の復路配管65内の冷却水が、適正な温度に維持されているか否かをモニターするために配置されている。

【0032】
若深層水冷却系統7は、若深層水を冷却媒体として発電システム1、廃熱発電システム2及び冷却水クーラー3に供給する系統である。若深層水冷却系統7は、海水面より20m~200mの下層範囲である若深層において海水(若深層水)を取水し、発電システム1の復水器13、廃熱発電システム2の凝縮器23及び冷却水クーラー3の熱交換部31を経由して前記海水を排水する。

【0033】
若深層水冷却系統7は、取水配管71、復水器配管72、クーラー配管73、凝縮器配管74、放水配管75及び若深層水ポンプ76を含む。取水配管71は、若深層から海水を取水するための配管である。復水器配管72は、取水配管71の下流端から、復水器13を経由して、放水配管75の上流端に至る配管である。クーラー配管73は、取水配管71の下流端から、冷却水クーラー3を経由して、放水配管75の上流端に至る配管である。凝縮器配管74は、冷却水クーラー3よりも上流側においてクーラー配管73から分岐し、凝縮器23を経由して、冷却水クーラー3よりも下流側においてクーラー配管73に合流する配管である。放水配管75は、各配管において熱交換した若深層水を海に戻すための配管である。若深層水ポンプ76は、取水配管71の上流端から若深層水を取水し、若深層水冷却系統7内において若深層水を移送させ、放水配管75の下流端から若深層水を放水させる移送力を発生する。

【0034】
復水器配管72を流れる若深層水は、復水器13において蒸気循環系統102を流れる蒸気と熱交換し、前記蒸気を水に復水させる。クーラー配管73は、冷却水クーラー3の内部に上述の熱交換部31を備え、クーラー配管73を流れる若深層水は、熱交換部31において熱交換部配管62(第2熱放出部6B2)を流れる冷却水と熱交換し、前記冷却水の温度を下降させる。凝縮器配管74を流れる若深層水は、凝縮器23において作動媒体循環系統25を流れる蒸気状態の作動媒体と熱交換し、前記作動媒体を液体に変換させる。

【0035】
図2は、若深層水の概念を示す図である。一般に、深層水とは、海水面よりも200m以上深い領域に存在する海水を指し、太陽光が届かず、また、表層の海水と混ざらない深さにある海水と定義されている。海水面から深さ20m以内に存在する海水は、太陽光が良く届き、風や波の影響を受ける表層水と言うことができる。若深層水は、これら深層水と表層水との間に存在する海水と定義される。すなわち、風や波の影響を受けない水深20mから、太陽光が海中に届く限界の水深200mまでの間に存在する海水を若深層水と定義し、本発明においてはこの若深層水を発電プラントGの冷却水として利用する。この若深層水は水質が良く、またクラゲ類や貝類などの海生生物がほとんど生息していないので、発電プラントへの海生生物の侵入や付着を抑止することができる。

【0036】
若深層水の海水温は、復水器真空度を年間を通して適正範囲とする温度帯域(たとえば18℃以下の一定の温度範囲)を含んでいるため、当該若深層領域から所望の温度帯域の海水を取水することができる。この所望の温度帯域の水温の若深層水が、若深層水冷却系統7によって復水器13に供給され、蒸気循環系統102内の蒸気と熱交換する。発電システム1は、当該水温の冷却水が与えられたときに、復水器13の真空度が適正範囲となり、蒸気タービン12の効率が最適化されるように設定されている。つまり、用いられている復水器13の構造及び性能を前提として、蒸気循環系統102における蒸気タービン12の入口側の圧力と出口側の圧力とが、復水器13に前記温度帯域の冷却水が与えられたときに最適化されるように、発電システム1が設定されている。従って、若深層水の供給により、発電システム1の発電効率を最大化することが可能となっている。

【0037】
復水器13で熱交換を終えた若深層水の水温は、概ね25℃~30℃程度となる。この程度の水温であれば、海の表層の水温との温度差が少なく、表層へ放水することができる。このため本実施形態では、図2に示すように、若深層水冷却系統7の取水配管71の取水口は若深層に配置する一方で、放水配管75の放水口は表層に配置している。このように、若深層水を用いることで、発電プラントにおいて問題となる温排水処理対策が実質的に不要、若しくは大幅に低減できる利点がある。

【0038】
調整部5は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7バルブ50、51,52,53,54,55,56を備え、若深層水冷却系統7を流れる若深層水の流量及び流路、廃熱循環系統6を流れる冷却水の流量及び流路を調整する。これらの第1~第7バルブ50~56は、流量調整弁であり、供給量制御部4によって開閉、並びに開度(流量)が制御される。

【0039】
第1バルブ50は、若深層水冷却系統7の復水器配管72に配置され、復水器13に供給する若深層水の流量を調整する。なお、第1バルブ50は、若深層水ポンプ76の下流側であって、復水器配管72とクーラー配管73との分岐部の上流側に配置されていても良い。第2バルブ51は、クーラー配管73に配置され、冷却水クーラー3及び凝縮器23に供給する若深層水の流量を調整する。なお、クーラー配管73には、第2バルブ51と並列にブースターポンプ57及び第3バルブ52が取り付けられている。第4バルブ53は、廃熱循環系統6の熱交換部配管62に配置され、冷却水クーラー3(第2熱放出部6B2)を通過する冷却水の流量を調整する。第5バルブ54は、短絡配管63に配置され、当該短絡配管63を通過する冷却水の流量を調整する。第6バルブ55は、蒸発器配管61に配置され、蒸発器21(第1熱放出部6B1)を通過する冷却水の流量を調整する。第7バルブ56は、クーラー配管73における、凝縮器配管74の分岐部よりも下流であって冷却水クーラー3よりも上流に配置され、冷却水クーラー3(熱交換部31)を通過する若深層水の流量を調整する。

【0040】
供給量制御部4は、第1~第7バルブ50~56、若深層水ポンプ76及びブースターポンプ57の動作を制御することで、蒸気循環系統102内の圧力を所定範囲内に維持するために、若深層水冷却系統7の復水器13を経由する若深層水の流量を調整する第1制御と、廃熱循環系統6内における冷却水の温度を所定範囲内に維持するために、冷却水クーラー3の熱交換部31を経由する若深層水の流量を調整する第2制御とを実行する。この第2制御の際、供給量制御部4は、廃熱循環系統6における冷却水の流量制御も行う。

【0041】
図3は、供給量制御部4の機能ブロック図である。供給量制御部4は、パーソナルコンピュータ等からなる演算装置であり、所定のプログラムが実行されることで、流量制御部43、真空度判定部44、温度判定部45、ポンプ制御部46及び基準データ記憶部47を機能的に備えるように動作する。

【0042】
流量制御部43は、第1~第7バルブ50~56の開閉、並びに開度(流量)を制御することで、若深層水冷却系統7を流れる若深層水の流量及び流路、廃熱循環系統6を流れる冷却水の流量及び流路を調整する。真空度判定部44は、圧力センサ41の検出値に基づいて、蒸気循環系統102における蒸気タービン12の出口側の真空度(復水器13の真空度)が、所定の基準値の範囲にあるか否かを判定する。温度判定部45は、温度センサ42の検出値に基づいて、廃熱循環系統6における下流側合流部602の付近の冷却水温度が所定の基準温度の範囲にあるか否かを判定する。ポンプ制御部46は、若深層水ポンプ76の駆動を制御することで、若深層水冷却系統7を流れる若深層の総量を調整する。さらにポンプ制御部46は、必要に応じてブースターポンプ57の駆動を制御することで、廃熱循環系統6内における冷却水、及び冷却水クーラー3の熱交換部31を経由する若深層水の流量を調整する。

【0043】
基準データ記憶部47は、発電プラントGの特性により定められる上述の真空度の基準値、基準温度、及びこれらの許容基準範囲を記憶する。この他、基準データ記憶部47は、復水器13、凝縮器23及び熱交換部31に流す若深層水の基準流量を記憶する。

【0044】
流量制御部43は、圧力センサ41の検出値が所定の基準値より低いと真空度判定部44が判定した場合には、復水器13を経由する若深層水の流量を前記基準流量に対して減少させる。一方、圧力センサ41の検出値が前記基準値より高いと真空度判定部44が判定した場合には、若深層水の流量を前記基準流量に対して増加させる(第1制御)。

【0045】
また、流量制御部43は、温度センサ42の検出値が所定の基準温度より高いと温度判定部45が判定した場合に、冷却水クーラー3の熱交換部31に若深層水を通水させる、若しくは若深層水の流量を所定の基準流量に対して増加させる制御を行う。これに対し、流量制御部43は、温度センサ42の検出値が所定の基準温度より低いと温度判定部45が判定した場合に、短絡配管63を通過する冷却水の流量を増加させる制御を行う(第2制御)。

【0046】
続いて、供給量制御部4による若深層水冷却系統7における若深層水(海水)の流量制御動作、及び、廃熱循環系統6における冷却水の流量制御動作について、図4~図6に例示するフローチャートに基づいて説明する。通常運転状態において、第1バルブ50は、復水器13に基準流量の海水が供給されるように開度が調整されている。冷却水クーラー3は、通常運転状態においては第4バルブ53及び第7バルブ56が最低開度で運転されているものとする。また、廃熱循環系統6の冷却水の温度調整は、第5バルブ54と第6バルブ55との開度バランスによって、基準温度に維持されているものとする。

【0047】
図4を参照して、供給量制御部4は、所定のサンプリング周期(例えば1分~10分毎)が到来すると(ステップS1でYES)、圧力センサ41から検出値、つまり、蒸気循環系統102における蒸気タービン12の出口側の真空度(復水器13の真空度)の値を取得する(ステップS2)。続いて真空度判定部44が、この検出値と、基準データ記憶部47に記憶されている基準値とを比較し、当該検出値が基準値と合致しているか否か、乃至は、所定の基準範囲にあるか否かを判定する(ステップS3)。

【0048】
前記検出値が基準値乃至は基準範囲ではない場合(ステップS3でNO)、供給量制御部4は、当該検出値を基準値乃至は基準範囲に復帰させるために、復水器海水流量の制御を実施する(ステップS20)。一方、前記検出値が基準値乃至は基準範囲である場合(ステップS3でYES)、温度センサ42から検出値、つまり、廃熱循環系統6における下流側合流部602の付近の冷却水温度の値を取得する(ステップS4)。続いて温度判定部45が、この温度検出値と、基準データ記憶部47に記憶されている基準温度とを比較し、当該温度検出値が基準温度と合致しているか否か、乃至は、基準範囲にあるか否かを判定する(ステップS5)。

【0049】
前記温度検出値が基準温度乃至は基準範囲と合致していない場合(ステップS5でNO)、冷却水温度を基準温度乃至は基準範囲に復帰させるために、廃熱循環系統冷却水温度制御を行う(ステップS30)。

【0050】
図5は、上記ステップS20の復水器海水流量制御(第1制御)の詳細を示すフローチャートである。まず、真空度判定部44は、先のステップS2で取得した圧力データを、図略のメモリに記憶する(ステップS21)。次に真空度判定部44により、前記メモリに記憶された復水器13の真空度が、基準値乃至は基準範囲より高いか否か(大気圧に近いか否か)が判定される(ステップS22)。

【0051】
前記検出値が前記基準値乃至は基準範囲よりも大気圧に近い場合(ステップS22でYES)、流量制御部43は、第1バルブ50の開度を現状よりも大きくする。これにより、復水器13に供給される海水の流量が、所定の基準流量に対して増量される(ステップS24)。従って、復水器13の温度は低下し、復水器13の真空度が絶対真空に近づく方向に変化する。これに対し、前記検出値が前記基準値乃至は基準範囲よりも絶対真空に近い場合(ステップS23でYES)、流量制御部43は、第1バルブ50の開度を現状よりも小さくする。これにより、復水器13に供給される海水の流量が、所定の基準流量に対して減量される(ステップS25)。従って、復水器13の温度は上昇し、復水器13の真空度が大気圧に近づく方向に変化する。

【0052】
次いで、真空度判定部44は、復水器13に供給する海水の流量の増加又は減少を開始させてから所定時間が経過したか否かを確認する(ステップS26)。所定時間の経過後(ステップS26でYES)、真空度判定部44は圧力センサ41の検出値を取得し(ステップS27)、復水器13の真空度が基準値乃至は基準範囲に復帰しているか否かを確認する(ステップS28)。

【0053】
前記真空度が基準値乃至は基準範囲に復帰していない場合(ステップS28でNO)、流量制御部43は、海水の流量の増加又は減少を維持する。処理は、ステップS21に戻り、ステップS27で取得された圧力データが前記メモリに記憶され、ステップS22以下の処理が繰り返される。一方、前記真空度が基準値乃至は基準範囲に復帰した場合(ステップS28でYES)、処理を終える。以上の処理を行うことにより、蒸気循環系統102における蒸気タービン12の出口側の真空度を、許容基準範囲内に維持することができる。

【0054】
図6は、上記ステップS30の廃熱循環系統冷却水温度制御(第2制御)の詳細を示すフローチャートである。温度判定部45は、先のステップS4で取得した温度データを、図略のメモリに記憶する(ステップS301)。次に、温度判定部45により、前記メモリに記憶された温度が、基準値乃至は基準範囲より高いか否かが判定される(ステップS302)。前記温度が基準値乃至は基準範囲よりも高い場合(ステップS302でYES)、流量制御部43は、第5バルブ54が開いているか否かを判定する(ステップS303)。

【0055】
第5バルブ54が開いている場合(ステップS303でYES)、流量制御部43は、第5バルブ54の開度を小さくする(ステップS306)。これにより、短絡配管63を通過する冷却水の流量を少なくし、廃熱循環系統6の下流側合流部602における冷却水の温度を低下させる。一方、第5バルブ54が閉じている場合(ステップS303でNO)、流量制御部43は、第4、第7バルブ53、56の開度を大きくし、冷却水クーラー3に若深層水冷却系統7の海水及び廃熱循環系統6の冷却水の流量を増加させる(ステップS307)。これにより、冷却水クーラー3において前記冷却水が冷却され、下流側合流部602における冷却水の温度が低下する方向に変化する。

【0056】
これに対し、前記温度が前記基準値乃至は基準範囲よりも低い場合(ステップS304でYES)、流量制御部43は、冷却水クーラー3の第4バルブ53及び第7バルブ56が最低開度で運転されているか否かを判定する(ステップS305)。

【0057】
冷却水クーラー3のバルブ53、57が最低開度で運転されている場合(ステップS305でYES)、第5バルブ54の開度を大きくする(ステップS308)。これにより、短絡配管63の冷却水流量を多くし、下流側合流部602における冷却水の温度を上昇させる。

【0058】
一方、冷却水クーラー3のバルブ53、57が最低開度で運転されていない場合(ステップS305でNO)、流量制御部43は、第4バルブ53及び第7バルブ56の開度を小さくし、冷却水クーラー3における若深層水冷却系統7の海水及び廃熱循環系統6の冷却水の通水量を減少させる(ステップS309)。これにより、冷却水クーラー3においての前記冷却水の冷却が抑制され、下流側合流部602における冷却水の温度を上昇させる方向に変化させることができる。

【0059】
次いで、温度判定部45は、廃熱循環系統6の下流側合流部602における冷却水の温度制御が所定時間行われたか否かを確認する(ステップS310)。所定時間の経過後(ステップS310でYES)、温度判定部45は温度センサ42の温度検出値を取得し(ステップS311)、廃熱循環系統6の下流側合流部602における冷却水の温度が基準値乃至は基準範囲まで低下しているか否かを確認する(ステップS312)。

【0060】
前記冷却水の温度が基準値乃至は基準範囲に復帰している場合(ステップS312でYES)、処理を終える。一方、前記冷却水の温度が基準値乃至は基準範囲に復帰してない場合(ステップS312でNO)、処理はステップS301に戻り、ステップS311で取得した温度データが前記メモリに記憶され、ステップS302以下の処理が繰り返される。

【0061】
以上説明した通りの、本実施形態に係る発電プラントGによれば、水質が良くクラゲ類や貝類などの海生生物がほとんど生息していない若深層から海水を取水する若深層水冷却系統7を備えるので、発電プラントGへの海生生物の侵入を阻止でき、復水器13及び冷却水クーラー3への海生生物の付着及び繁殖を抑止することができ、これに伴う設備運転費用等を抑制することができる。また、供給量制御部4が前記第1制御を行うことによって、蒸気循環系統102内の圧力を所定範囲内に維持することができ、これにより蒸気タービン12の真空効率を高いレベルに維持することができる。さらに、供給量制御部4が前記第2制御を行うことによって、冷却水の温度が所定範囲内に維持されるので、冷却水の冷却効率を上げることができる。これに加えて、海水の使用量が、復水器13において蒸気循環系統102内の圧力を所定範囲内に維持するに足りる量、並びに、熱交換部31において冷却水の温度を所定範囲内に維持するに足りる量に規制されるので、前記海水の使用量(取水量)を最小限に抑制できる。さらに、若深層水の海水温は表層水よりも相当低く、発電プラントGにて使用後の水温は表層水と大差ないレベルとなるので、廃熱回収後に若深層水を海の表層付近に放水しても差し支えない。つまり、温排水対策が実質的に不要となる。従って、上述の若深層からの取水のメリットを享受しつつ、設備運用費等を抑制することができる。

【0062】
また、若深層水は栄養塩が豊富で、希少金属が含有されている特徴がある。このため、発電プラントGにて使用後の若深層水から前記栄養塩を抽出して漁業に二次利用したり、前記希少金属を回収したりすることで、当該発電システムGの利用性を一層高めることができる。更には、若深層水の温熱又は冷熱を空調に利用することにより、省エネ効果(二酸化炭素削減効果)を図ることができる。

【0063】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図1に示す実施形態では、1台の冷却水クーラー3が使用されている例を示した。一般的な発電プラントにおいては、冷却水クーラー3が複数台備えられている。この場合、複数台の冷却水クーラー3のうちの1台を本実施形態の如く廃熱発電システム2用として用い、残りは発電システム1の廃熱冷却用に用いるようにしても良い。

【0064】
また、上記実施形態では、廃熱循環系統6内を循環する熱媒として冷却水を例示し、熱媒クーラーとして冷却水クーラー3を例示した。冷却水に代えて、廃熱循環系統6の熱媒として冷却オイルや冷却ガスを用い、熱媒クーラーを前記冷却オイルや冷却ガスを若深層水で冷却するものとしても良い。

【0065】
さらに、上記実施形態では、供給量制御部4が、図4のステップS20の復水器海水流量制御(第1制御)と、ステップS30熱循環系統冷却水温度制御(第2制御)との双方を実行する例を示した。これに代えて、供給量制御部4が、上記第1制御又は第2制御の少なくとも一方を実行するように構成しても良い。
【符号の説明】
【0066】
G 発電プラント
1 発電システム
102 蒸気循環系統
10 ボイラー(加熱源)
12 蒸気タービン
13 復水器
2 廃熱発電システム
22 廃熱タービン
23 凝縮器
3 冷却水クーラー(熱媒クーラー)
31 熱交換部
4 供給量制御部(制御手段)
41 圧力センサ
42 温度センサ
5 調整部
6 廃熱循環系統
61 蒸発器配管
62 熱交換部配管
63 短絡配管
64 往路配管
65 復路配管
6A 熱回収部
6B1 熱放出部
6B2 熱放出部
601 上流側合流部
602 下流側合流部
7 若深層水冷却系統
71 取水配管
72 復水器配管
73 クーラー配管
74 凝縮器配管
75 放水配管
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5