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明細書 :有機化合物触媒体とその製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-209799 (P2016-209799A)
公開日 平成28年12月15日(2016.12.15)
発明の名称または考案の名称 有機化合物触媒体とその製造方法
国際特許分類 B01J  31/02        (2006.01)
B01J  37/02        (2006.01)
H01M   4/90        (2006.01)
H01M   4/88        (2006.01)
B01J  37/34        (2006.01)
FI B01J 31/02 ZNMM
B01J 37/02 101Z
H01M 4/90 Y
H01M 4/88 K
B01J 37/34
請求項の数または発明の数 16
出願形態 OL
全頁数 21
出願番号 特願2015-094303 (P2015-094303)
出願日 平成27年5月1日(2015.5.1)
発明者または考案者 【氏名】齋藤 永宏
【氏名】橋見 一生
【氏名】西脇 祐太
【氏名】許 容康
【氏名】上野 智永
【氏名】ブラテスク・マリア
出願人 【識別番号】500254354
【氏名又は名称】公益財団法人科学技術交流財団
【識別番号】504139662
【氏名又は名称】国立大学法人名古屋大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100117606、【弁理士】、【氏名又は名称】安部 誠
【識別番号】100136423、【弁理士】、【氏名又は名称】大井 道子
審査請求 未請求
テーマコード 4G169
5H018
Fターム 4G169AA03
4G169BA08A
4G169BA08B
4G169BA21A
4G169BA21B
4G169BA29A
4G169BA29B
4G169BE37A
4G169BE37B
4G169CC32
4G169DA05
4G169EA03X
4G169EB19
4G169FB14
4G169FB58
5H018AA06
5H018EE08
5H018EE16
要約 【課題】白金触媒の代替触媒等として有用な、新規な有機化合物触媒体とその簡便な製造方法を提供する。
【解決手段】ここに開示される技術は、新規な有機化合物触媒体を提供する。かかる有機化合物触媒体は、化学構造に、2つ以上のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ以上5つ以下含むフェノールまたはフェノール誘導体が、導電性炭素材料に担持されてなることを特徴とする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
化学構造に1つ以上5つ以下のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むフェノールまたはフェノール誘導体が、
導電性炭素材料に担持されてなる、有機化合物触媒体。
【請求項2】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、2つまたは3つの前記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含む、請求項1に記載の有機化合物触媒体。
【請求項3】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、前記フェノール性ヒドロキシ基を2つ備え、該2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位に配位している芳香環を少なくとも1つ含む、請求項2に記載の有機化合物触媒体。
【請求項4】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、第1~第3の3つの前記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含み、
前記第1および第2ヒドロキシ基は、前記芳香環のオルト位に配位しており、
前記第3ヒドロキシ基は、前記第1または第2ヒドロキシ基のオルト位に配位している、請求項2に記載の有機化合物触媒体。
【請求項5】
前記フェノールまたはフェノール誘導体は、
さらに、置換基として、前記フェノール性ヒドロキシ基以外の化学官能基を少なくとも1つ備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体。
【請求項6】
前記フェノール誘導体は、天然物からの抽出物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体。
【請求項7】
前記導電性炭素材料は、カーボンナノチューブ、カーボンブラックおよびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1~6のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体。
【請求項8】
固体高分子形燃料電池の触媒として用いられる、
請求項1~7のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体。
【請求項9】
化学構造に、1つ以上5つ以下のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むフェノールまたはフェノール誘導体を用意すること、
導電性炭素材料を用意すること、
前記フェノールまたはフェノール誘導体と前記導電性炭素材料とを接触させて、前記フェノールまたはフェノール誘導体が前記導電性炭素材料に担持されてなる有機化合物触媒体を得ること、
を含む、有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項10】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、2つまたは3つの前記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含む、請求項9に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項11】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、前記フェノール性ヒドロキシ基を2つ備え、該2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位に配位している芳香環を少なくとも1つ含む、請求項10に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項12】
前記フェノール誘導体は、
化学構造に、第1~第3の3つの前記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含み、
前記第1および第2ヒドロキシ基は、前記芳香環のオルト位に配位しており、
前記第3ヒドロキシ基は、前記第1または第2ヒドロキシ基のオルト位に配位している、請求項10に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項13】
前記フェノールまたはフェノール誘導体は、
さらに、前記フェノール性ヒドロキシ基以外の置換基を少なくとも1つ備える、請求項9~12のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項14】
前記フェノール誘導体は、天然物からの抽出物である、請求項9~13のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項15】
前記導電性炭素材料は、カーボンナノチューブ、カーボンブラックおよびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項9~14のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
【請求項16】
前記有機化合物触媒体は、前記フェノール誘導体を含有するフェノール誘導体含有液に、前記導電性炭素材料を分散して撹拌することで得る、請求項9~15のいずれか1項に記載の有機化合物触媒体の製造方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、有機化合物触媒体とその製造方法に関する。より詳細には、酸素還元反応(ORR)活性を示す有機化合物触媒体とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、高いエネルギー変換効率に加えて、排ガスがクリーンであることから、環境負荷の少ない新しい電源として注目を集めている。この燃料電池は、使われる電解質の種類によって様々な方式に分類され、なかでもプロトン導電性の固体高分子電解質膜を使用する固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell:PEFC、以下、単に「PEFC」と記す。)は、小型軽量化が可能で、100℃以下という低い温度で動作すること等から、電気自動車や携帯機器等用の電源あるいは電気と熱を併給(コジェネレーション)する家庭用据え置き用電源等として実用化が進められている。
【0003】
PEFCは、一般的にアノードと、カソードと、アノードとカソードとの間に配される高分子電解質膜とを含む、膜-電極接合体によって構成されている。そしてPEFCのアノードには、主として燃料として用いられる水素を酸化する水素酸化反応(Hydrogen Oxidation Reaction:HOR)を促進させる触媒が備えられ、カソードには、酸化剤を還元する酸素還元反応(Oxygen Reduction Reaction:ORR)を促進させる触媒が備えられている。ここで、反応速度の遅いカソードには、高いORR活性を示す白金触媒が広く一般に使用されているが、白金触媒は価格が高いことや、PEFCに使用した場合の耐久性が低いこと等から、白金触媒に代わる新たな触媒が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
白金代替触媒の一つとして、白金を使用しない、鉄やコバルト等の金属ポルフィリンおよびフタロシアニンに代表される遷移金属錯体や、Mo4.2Ru1.8Se等に代表されるカルコゲン化合物等の非白金酸素還元触媒等について、研究が重ねられている。また、近年では、白金を用いず、安価で容易に調達できる異種元素含有カーボン触媒等に代表されるカーボン系触媒が注目を集め、その開発が進められてもいる。しかしながら、これらの化合物は未だ研究段階にあり、潜在的に、新規な酸化還元触媒の創出が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みて創出されたものであり、白金触媒の代替触媒等として有用な、新規な有機化合物触媒体とその簡便な製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この出願は、上記の課題を解決するものとして、有機化合物触媒体を提供する。この有機化合物触媒体は、化学構造に、1つ以上5つ以下のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むフェノールまたはフェノール誘導体が、導電性炭素材料に担持されてなることを特徴としている。かかる構成のフェノールまたはフェノール誘導体と導電性炭素材料との複合体は、詳細な機構は明らかではないが、酸素還元活性を示し得る。このことは、これまでに知られていない新たな発見であり、ここに開示される技術により新規な酸素還元触媒が提供される。
【0007】
ここに開示される有機化合物触媒体の好ましい一態様において、上記フェノール誘導体は、化学構造に、2つまたは3つの上記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むことを特徴としている。このようなフェノール誘導体は、例えば、化学構造に、上記フェノール性ヒドロキシ基を2つ備え、該2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位に配位している芳香環を少なくとも1つ含む態様であることが好ましい。あるいは、化学構造に、第1~第3の3つの上記フェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含み、上記第1および第2ヒドロキシ基は、上記芳香環のオルト位に配位しており、上記第3ヒドロキシ基は、上記第1または第2ヒドロキシ基のオルト位に配位している態様であることが好ましい。
このような構成によると、フェノール誘導体が安定して導電性炭素材料に担持され得ると考えられ、安定して高い酸素還元活性を示す有機化合物触媒体が提供される。
【0008】
ここに開示される有機化合物触媒体の好ましい一態様において、上記フェノールまたはフェノール誘導体は、さらに、置換基として、上記フェノール性ヒドロキシ基以外の化学官能基を少なくとも1つ備えることを特徴としている。このような有機化合物触媒体は、例えば、当該他の化学官能基がフェノール性ヒドロキシ基と同様の働きを担って安定した酸素還元活性を示し得るために好ましい。
【0009】
ここに開示される有機化合物触媒体の好ましい一態様において、上記フェノールまたはフェノール誘導体は、天然物からの抽出物であることを特徴としている。天然物からの抽出物であるフェノール誘導体は、その化学構造を明確に特定し得ない場合があるものの、例えば単環構造の単純なフェノールまたはフェノール誘導体に比較して多様な酸素還元活性を示し得るために好ましく用いることができる。
【0010】
ここに開示される有機化合物触媒体の好ましい一態様において、上記導電性炭素材料は、カーボンナノチューブ、カーボンブラックおよびグラフェンからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴としている。これらの導電性炭素材料は、少なくとも一つの寸法がナノスケールであるいわゆるナノカーボン材料であり、そのグラフェン構造や量子効果に基づく優れた電子特性を利用できるために好ましい。
【0011】
以上の有機化合物触媒体は、フェノール性ヒドロキシ基を備えるフェノールまたはフェノール誘導体を、導電性炭素材料に担持させるという、極めて簡便な手法により実現され得る。このようなフェノール誘導体に基づく酸化還元ORR反応の発現は、これまでに知られていない全く新しい有機化合物触媒体の発見と言える。かかるORR反応の発現機構については明らかではないものの、フェノールまたはフェノール誘導体の有する抗酸化作用や、フェノール性ヒドロキシ基に基づくヒドロキシルラジカル等の活性酸素,フリーラジカルの作用等が、良好な電子伝導性を備える導電性炭素材料と組み合わせられることにより、ORR反応性が良好に発現されると考えられる。
【0012】
以上のここに開示される技術によると、ORR活性を示す新規な有機化合物触媒体が提供される。かかる有機化合物触媒体は、例えば、固体高分子形燃料電池用のカソード用触媒として好適に用いることができる。かかる観点において、ここに開示される技術は、例えば、上記の有機化合物触媒体を電極の触媒材料として用いたPEFCをも提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】各例に係る有機化合物触媒体のサイクリックボルタモグラムを例示した図である。
【図2A】グラフェンシートとカテコール分子との構造を模式的に示した図である。
【図2B】カテコール分子がグラフェンシートに結合する様子をシミュレーションした結果である。
【図2C】カテキン分子がグラフェンシートに結合する様子をシミュレーションした結果である。
【図3】他の例に係る有機化合物触媒体のサイクリックボルタモグラムを例示した図である。
【図4A】例1,5および6のジヒドロキシベンゼンが導電性炭素材料に結合する様子を例示した図である。
【図4B】例8のトリヒドロキシベンゼンが導電性炭素材料に結合する様子を例示した図である。
【図5】他の例に係る有機化合物触媒体のサイクリックボルタモグラムを例示した図である。
【図6】他の例に係る有機化合物触媒体のサイクリックボルタモグラムを例示した図である。
【図7】他の例に係る有機化合物触媒体のサイクリックボルタモグラムを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の有機化合物触媒体とその製造方法について説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書および図面に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、本明細書において、範囲を示す「X~Y」との表現は、「X以上Y以下」を意味する。

【0015】
ここに開示される有機化合物触媒体は、本質的に、化学構造に1つ以上5つ以下のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むフェノールまたはフェノール誘導体が、導電性炭素材料に担持されることで構成されている。ここでフェノールまたはフェノール誘導体と導電性炭素材料とは、特別な処理を施さない限りにおいて、互いが不可分一体的に固定されていればその形態に特に制限はない。例えば、フェノール誘導体と導電性炭素材料とは、共有結合等により化学的に結合されていてもよいし、静電引力や吸着等の作用により物理的結合されていてもよい。なお、本発明の目的を損なわない範囲において、フェノール誘導体と導電性炭素材料とは、その一部がバインダ(結着剤)等の他の材料を介して一体化されていても良い。この場合のバインダは、プロトン導電性または電子伝導性等の導電性を備える材料からなることが好ましい。

【0016】
必ずしもこれに限定されるものではないが、このような有機化合物触媒体は、ここに開示される有機化合物触媒体の製造方法により好適に製造することができる。かかる製造方法は、下記の工程S1~S4を含むことを特徴としている。
(S1)化学構造に、1つ以上5つ以下のフェノール性ヒドロキシ基を備える芳香環を少なくとも1つ含むフェノールまたはフェノール誘導体を用意すること。
(S2)導電性炭素材料を用意すること、
(S3)上記のフェノール誘導体と導電性炭素材料とを接触させて、フェノール誘導体が導電性炭素材料に担持されてなる有機化合物触媒体を得ること。

【0017】
なお、上記工程S1とS2とは、特に順不同に実施することができる。また、工程S3は、工程S1およびS2の後の任意のタイミングで実施することができる。以下、各工程について詳しく説明するとともに、ここに開示される有機化合物触媒体についても併せて説明を行う。

【0018】
[S1:フェノール誘導体の用意]
工程S1では、有機化合物触媒体の原料であるフェノールまたはフェノール誘導体を用意する。
フェノール誘導体としては、芳香環(環状不飽和有機化合物)の1つ以上5つ以下の水素原子がヒドロキシ基で置換された化合物とその誘導体を特に制限なく対象とすることができる。なお、本明細書では、ヒドロキシ基(-OH)のうち、芳香環(典型的にはベンゼン環)に結合したヒドロキシ基を特にフェノール性ヒドロキシ基という場合がある。また、芳香環にフェノール性ヒドロキシ基が1つまたは2つ以上結合した化学構造を、フェノール構造等という場合がある。
かかるフェノール誘導体において、フェノール性ヒドロキシ基が結合されている芳香環は、炭化水素のみで構成された芳香族炭化水素であっても良いし、環構造に炭素以外の元素を含むものを複素芳香族化合物であってもよい。特に制限されるものではないが、芳香環は芳香族炭化水素であることが好ましい。また、芳香環は、1つのベンゼン環にヒドロキシ基が配位した単環芳香族炭化水素であっても良いし、複数(例えば2個)のベンゼン環が1辺を共有して縮環した構造(例えばナフタレン環)に代表される多環芳香族炭化水素であっても良い。

【0019】
フェノールおよびフェノール誘導体は、市販のものを入手して用いても良いし、原料から調製して用意しても良い。例えば、フェノールを調製する場合は、コールタール等からフェノール成分を分離する方法や、ベンゼンから合成する方法などを採用することができる。また、フェノール誘導体は、植物等に多く含まれ得る。したがって、かかるフェノール誘導体は、天然物からの抽出物であってフェノール誘導体以外の物質をも含む形態であっても良いし、かかる抽出物等から単離・精製された精製物を用いても良い。あるいは、フェノール誘導体は、化合物等から合成された合成物を用いても良い。なお、天然物からの抽出物のような、化学構造が特定されていない化学物質が含まれる場合であっても、フェノール誘導体を含む限りにおいて有機化合物触媒体の原料として機能し得る。

【0020】
このようなフェノールまたはフェノール誘導体として最も単純な化学構造(分子構造)を有するものは、ベンゼンの1つの水素原子が1つのフェノール性ヒドロキシ基と置換したフェノール(COH)である。かかるフェノールは、1価フェノールとも呼ばれる。
1価フェノールの誘導体であって、比較的単純な化学構造を有するものとして、例えば、クレゾール(C(OH)CH),サリチル酸(C(OH)COOH),ピクリン酸(C(OH)(NO、2,4,6-トリニトロフェノール),ナフトール(C10OH)等を例示することができる。例えば、クレゾールやナフトールなどには官能基の配位する位置関係の違いにより、構造異性体が存在する。ここに開示されるフェノール誘導体が異性体を有する化合物である場合は、いずれの化学構造を有するものであっても良い。

【0021】
また、フェノール誘導体として最も単純な化学構造を有するのは、ベンゼン環に2つのフェノール性ヒドロキシ基が配位したベンゼンジオール(C;ジヒドロキシベンゼン等ともいう)であり、2価フェノールとも呼ばれる。このベンゼンジオールは、図4Aに示されるように、ベンゼン環に2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位で配位するカテコール(1,2-ベンゼンジオール)と、メタ位で配位するレゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)、パラ位で配位するヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)の3種類の異性体が存在する。上述のように、フェノール誘導体が異性体を有する化合物である場合は、いずれの化学構造を有するものであっても良い(以下同じ)。

【0022】
また、フェノール誘導体として比較的単純な化学構造を有するものに、ベンゼン環に3つから5つのフェノール性ヒドロキシ基が配位した、3価~5価のフェノールが挙げられる。3価フェノールとしては、ベンゼンの1,2,3位の水素がヒドロキシル基に置換したピロガロール(1,2,3-トリヒドロキシベンゼン)や、ベンゼンの1,2,4位の水素がヒドロキシル基に置換したトリヒドロキシベンゼン(1,2,4-トリヒドロキシベンゼン)、ベンゼンの1,3,5位の水素がヒドロキシル基に置換したフロログルシノール(1,3,5-トリヒドロキシベンゼン)が挙げられる。4価フェノールとしては、テトラヒドロベンゼン(1,2,3,4-テトラヒドロベンゼン、1,2,3,5-テトラヒドロベンゼン)が挙げられる。5価フェノールとしては、ペンタヒドロキシベンゼンが挙げられる。

【0023】
なお、6価フェノールについては、必ずしもここに開示される有機化合物触媒体の原料としての使用が否定されるものではない。しかしながら、6価フェノールは、室温やPEFCの運転温度(例えば60℃~100℃)で不安定な物質であることや、現在のところ導電性炭素材料への安定した担持が難しいこと等から、本発明においてはフェノール誘導体として含まないようにしている。

【0024】
以上のフェノール誘導体は、上記のとおり2価から5価のフェノールの単体がフェノール誘導体を構成していても良いし、化学構造の少なくとも一部に上記の1価から5価のフェノール構造が含まれたフェノール誘導体であっても良い。
フェノール誘導体の少なくとも一部の化学構造に1価から5価のフェノール構造を有する化合物としては、典型的には、各種の天然または合成のフェノール誘導体を考慮することができる。特に、化学構造に2つ以上のフェノール性ヒドロキシ基を持つ植物成分は、総称してポリフェノール類とも呼ばれ、ここに開示されるフェノール誘導体として好ましい。天然のフェノール誘導体には確認されているだけでも5,000種を超えるためその全てについて説明することは不可能であるが、代表的なものとして、例えば下記のものを例示することができる。

【0025】
ポリフェノールとしては、フェニルカルボン酸系ポリフェノール,リグナン系ポリフェノール,クルクミン系ポリフェノール,クルマリン系ポリフェノール,フラボノイド系ポリフェノール等が挙げられる。なかでも、代表的なポリフェノールであるフラボノイド系ポリフェノールとしては、具体的には、例えば、ワイン,茶,リンゴ,ブルーベリー等に含まれるカテキン類;ブドウの実皮,ムラサキイモ,ブルーベリー,シソ等の赤紫色の色素成分であるアントシアニン類;カテキンが酸化重合することで形成され、茶,赤ワイン,柿,バナナ等に含まれる渋味成分であるタンニン;フラボノイドと呼ばれる化合物群の骨格(フラバン骨格)を有するフラバンのポリフェノール;ビタミン様物質であるルチン;等が挙げられる。なお、上記のフェノール誘導体には、さらに多くの化合物が含まれ得る。

【0026】
例えば、カテキン類で代表的なカテキンは、下記一般式(1)で表される化学構造を有するエピカテキン(EC)である。また、他の主要なカテキン類には、このエピカテキンのヒドロキシ体であるエピガロカテキン(EGC)や、その没食子酸エステルであるエピカテキンガレート(ECg)およびエピガロカテキンガレート(EGCg)を骨格として有する化合物が挙げられ、いずれもここに開示されるフェノール誘導体として好適に用いることができる。これらは、式(1)のB環(一番右側のベンゼン環部分)のカテコール構造に基づき、好適な酸素還元性を発現し得ると考えられる。

【0027】
【化1】
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【0028】
さらに、例えば、アントシアニン類で代表的なアントシアニンは、下記一般式(2)で表される化学構造を骨格として有する。式中、R~Rは、ベンゼン環に配位する化学官能基を示し、R~Rは、それぞれが独立して、水素(H),ヒドロキシ基(OH),メトキシ基(OCH)のいずれかから選択され得る。ただし、R~Rのうちのいずれか1つ以上、あるいは、R~Rのうちのうちのいずれか1つ以上は、ヒドロキシ基である。

【0029】
このような化学構造を有するアントシアニンは、赤,青,紫を示す水溶性の色素成分であるアントシアンのうち、アントシアニジンがアグリコンとして、糖や糖鎖と結びついた配糖体成分である。アントシアニジンのB環(式2における一番右側のベンゼン環部分)に配位するヒドロキシ基の数により、ペラルゴジニン(ヒドロキシ基が1つ)、シアニジン(同2つ)、デルフィニジン(同3つ)の3系統に分類される。また、A~C環に配位する官能基の組み合わせにより、オーランチニジン、ルテオリニジン、ペオニジン、マルビジン、ペチュニジン、ヨーロピニジン、ロシニジンが含まれ得る。これらの化合物のいずれも、ここに開示されるフェノール誘導体として好適に用いることができる。アントシアニン類が導電性炭素材料に良好に担持され得る場合(例えば、化学構造に、フェノール構造を2つ以上備える場合等)には、少なくとも1つのフェノール構造のB環は、1価のフェノール構造であるペラルゴジニンであることが好ましい。また、例えば、化学構造に、フェノール構造を1つのみ備える場合には、B環がカテコール構造のシアニジンであることが好ましい。

【0030】
【化2】
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【0031】
以上の例示から明らかなように、分子構造中に1~5価のフェノール構造を有する限りにおいて、各種のポリフェノールをここに開示されるフェノール誘導体として好適に用いることができる。したがって、例えば、上記のカテキン類やアントシアニン類において、1~5価のフェノール構造を備える限り、芳香環は他の置換基を有していても良い。かかる置換基としては、任意の有機官能基であってよく、例えば、一例として、炭化水素基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲノ基、ケイ素含有官能基、硫黄含有官能基、窒素含有官能基、リン含有官能基が挙げられる。より好ましくは、例えば、炭素数1~10の直鎖,分岐又は環状のアルキル基,ビニル基,アリール基等に代表される炭化水素基、ヒドロキシ基、アルデヒド基、カルボキシル基、カルボニル基、フルオロ基,クロロ基,ブロモ基等のハロゲノ基であり得る。

【0032】
また、上記に例示したポリフェノール誘導体を示す一般式(1)~(2)は、当該ポリフェノール誘導体の特徴的な骨格構造を示す構造単位を例示したものであり得る。したがって、ここに開示される技術は、上記一般式で示されるようなポリフェノール誘導体に特徴的な骨格構造を有する化合物のモノマー,オリゴマー,ポリマーであってよい。さらには、ポリフェノール誘導体に特徴的な骨格構造を少なくとも一部に含む任意の化合物であってよい。また、フェノール誘導体は、例えば上記に例示した化合物のうち、いずれか1種の化合物を単独で含んでいても良いし、2種以上を組み合わせて含んでいても良い。

【0033】
[S2:導電性炭素材料の用意]
工程S2では、導電性炭素材料を用意する。導電性炭素材料としては、電子伝導性を有する炭素質材料を特に制限なく使用することができる。導電性炭素材料としては、典型的には、炭素六員環からなるグラファイト構造や、縮合ベンゼン環を含む疑似グラファイト構造を有する材料であることが好ましい。このような材料としては、天然黒鉛等のグラファイト材料、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイル、カーボンナノファイバー等のカーボンナノ材料や、アセチレンブラック、ケッチェンブラックア、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラックなどが挙げられる。中でもより好ましくは、少なくとも一の寸法がナノメートルオーダー(例えば500nm以下)であるナノ材料である。これらは、例えば、上記のカーボンナノ材料や各種のカーボンブラックであり得る。特に、疑似グラファイト構造を有する一次粒子が凝集して二次粒子を構成し、微細なストラクチャ構造を発達させているケッチェンブラックを用いることが好ましい。

【0034】
なお、これらの導電性炭素材料は、フェノール誘導体の担持性を向上させる目的等で、表面処理が施されていても良い。かかる表面処理の内容は特に制限されず、例えば、疎水化処理や、各種の界面活性剤等による化学的処理等を含むことができる。

【0035】
[S3:有機化合物触媒体の製造]
工程S3では、上記で用意したフェノール誘導体と、導電性炭素材料とを接触させることで、フェノール誘導体が導電性炭素材料に担持されてなる有機化合物触媒体を製造する。
ここで、有機化合物触媒体におけるフェノール誘導体と導電性炭素材料との割合は特に制限されない。導電性炭素材料にフェノール誘導体が極少量でも担持されることで、フェノール誘導体が酸素還元反応に対する活性を発現し得て、ここに開示される有機化合物触媒体として機能し得る。かかる観点から、有機化合物触媒体(フェノール誘導体と導電性炭素材料との合計)に占めるフェノール誘導体の割合は、100質量%未満であってよく、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が特に好ましく、例えば、60質量%以下とすることができる。しかしながら、フェノール誘導体の割合が少なすぎると有機化合物触媒体の触媒活性が十分に得られない虞があるために好ましくない。フェノール誘導体の化学構造に占めるフェノール構造の割合は、対象とする化合物によって異なるために一概には言えないが、例えば、有機化合物触媒体(フェノール誘導体と導電性炭素材料との合計)に占めるフェノール誘導体の割合は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が特に好ましい。例えば、有機化合物触媒体に占めるフェノール誘導体の割合は、30質量%以上70質量%以下であることが好ましく、40質量%以上60質量%以下であることが特に好ましい。

【0036】
また、フェノール誘導体と導電性炭素材料との接触の手法は特に制限されず、例えば、湿式混合法、乾式混合法および気相化学修飾法等を利用した公知の各種の手法により実現することができる。これらの手法は、例えば、用いるフェノール誘導体および導電性炭素材料の性状に合わせて、フェノール誘導体を導電性炭素材料に担持し得る手法を適宜選択することができる。

【0037】
例えば、導電性炭素材料としてカーボンブラック等のナノ炭素質材料を用いる場合、カーボンブラックの表面性状に起因して、フェノール誘導体はカーボンブラックの表面に好適に吸着され得る。したがって、例えば、予めフェノール誘導体を適切な溶媒に溶解させることでフェノール誘導体溶液を調製しておき、かかるフェノール誘導体溶液中にカーボンブラックを分散させることで、フェノール誘導体をカーボンブラックの表面に担持させることができる。なお、フェノール誘導体が、植物の抽出液等の中に含まれる場合は、かかる抽出液中に導電性炭素材料を分散させればよい。
このとき、カーボンブラック等の導電性炭素材料の分散には、各種の混合、撹拌手段を利用して、フェノール誘導体溶液中に導電性炭素材料を分散性および均一性を高めて分散させることが好ましい。かかる分散および混合は、例えば、超音波撹拌機、回転式ミキサー、ホモジナイザー等の従来公知の種々の混合、撹拌装置を適宜採用して実施することができる。なお、例えば、超音波撹拌機を使用して混合を行う場合、超音波の照射条件は、おおよその目安として、周波数25~40kHz、出力100~240Wとすることが例示される。例えばこのようにして、有機化合物触媒体を得ることができる。

【0038】
なお、本発明者らは、有機化合物触媒体において、フェノール誘導体と導電性炭素材料との組み合わせによっては、フェノール誘導体が導電性炭素材料に水素結合より担持されていると考えている。このことは、非経験的分子軌道法に基づき、計算レベルb3LYP/6-31gで行ったシミュレーション結果により支持されている。
例えば、フェノールの単体が導電性炭素材料に担持される場合、フェノールのフェノール性ヒドロキシ基と、当該ヒドロキシ基の隣(6位)の水素とが、導電性炭素材料との結合に寄与するものと考えられる。そして結合に寄与するフェノール性ヒドロキシ基が酸素還元反応の活性点となり、有機化合物触媒体にORR活性が付与されるものと考えられる。

【0039】
また、フェノール誘導体が2価フェノールである場合は、例えば図2Bに示されるように、フェノール誘導体に配位する2つ以上のフェノール性ヒドロキシ基のうち、1つのフェノール性ヒドロキシ基が導電性炭素材料(例えば、グラフェン構造)との結合に関与し、当該フェノール性ヒドロキシ基の隣(6位)の水素がグラフェンと結合(水素結合)して、グラフェン構造にベンゼン環平面が略垂直となる姿勢で結合するものと予想される。すると、結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基は、例えば、カテコールの場合、ベンゼン環の2位に配位し、グラフェン構造から離れながらもより近い位置に安定して存在することになる。

【0040】
本発明者らは、フェノール誘導体が2価フェノールである場合は、この結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基が、酸素還元反応に関する触媒作用を発現する活性点となると予想している。そして、カテコール(1,2-ベンゼンジオール)を用いて得られる有機化合物触媒体の酸素還元反応が、1価フェノールを用いた場合に次いで優れていることから、かかる結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基が、グラフェン構造から離れた場所でありながら、グラフェン構造にできる限り近い位置に存在した場合に、触媒性能が安定して良好に発現されると考えている。

【0041】
このようなフェノール誘導体の担持形態と触媒性能の態様との関係については、後述の実施例において詳細に説明するが、フェノールまたはフェノール誘導体の化学構造を適切に選択することで、その触媒性能をある程度制御することができる。例えば、フェノール誘導体として異性体を用いた場合、その化学構造により得られる有機化合物触媒体の触媒性能が変化され得る。

【0042】
例えば、比較的高い電位から酸素還元活性が発現され得る有機化合物触媒体を得るには、例えば、フェノール誘導体として、フェノールまたは1価フェノールの誘導体を用いることが好ましい。ORRの活性点たるフェノール性ヒドロキシ基が導電性炭素材料との結合に寄与することで、高いORR活性が実現されると考えられる。
また、比較的高い電位から安定して酸素還元活性が発現され得る有機化合物触媒体を得るには、2価から5価のフェノール誘導体を用いることが好ましい。詳細は定かではないが、活性点となり得るフェノール性ヒドロキシ基が導電性炭素材料との結合に寄与していな場合は、フェノール誘導体と導電性炭素材料との結合が安定する傾向が見られるために好ましい。より好ましくは例えば、化学構造に、フェノール性ヒドロキシ基を2つ備える2価フェノールであって、該2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位に配位している芳香環を少なくとも1つ含む化合物を用いるようにすると良い。このようなフェノール誘導体は、例えば、カテコールまたはカテコール構造を含むフェノール誘導体である。この場合、導電性炭素材料との結合に寄与しないフェノール性ヒドロキシ基は、導電性炭素材料のグラフェン構造からの距離が近くなり、安定して導電性炭素材料に担持されることとなる。そのため、例えば、0.58V近傍と、白金担持触媒よりも高い電位から酸素還元活性を発現することができる。

【0043】
なお、フェノール誘導体として、3価フェノールまたはその誘導体を用いる場合は、以下のような化合物であると、比較的還元電位の高い有機化合物触媒体を得ることができる。すなわち、例えば、3つのフェノール性ヒドロキシ基を、第1ヒドロキシ基、第2ヒドロキシ基および第3ヒドロキシ基とした場合、第1および第2ヒドロキシ基は、芳香環のオルト位に配位しており、第3ヒドロキシ基は、第1または第2ヒドロキシ基のオルト位に配位している化合物である。このようなフェノール誘導体としては、例えば、ピロガロールが挙げられる。この場合、ピロガロールの異性体である、トリヒドロキシベンゼン,やフロログルシノールを用いた場合に比べて、より高い還元電位を有する有機化合物触媒体が実現され得る。ただし、ピロガロールを用いた有機化合物触媒体は、還元電位は高いものの、電流密度においてはトリヒドロキシベンゼンやフロログルシノールを用いた有機化合物触媒体よりも小さな値となる傾向が見られた。したがって、所望の触媒用途に応じて担持させるフェノール誘導体を選択することができる。

【0044】
さらに、フェノール誘導体としては、1つの分子構造に、異なる2つ以上のフェノール構造(フェノール性ヒドロキシ基を有する芳香環構造)を有する化合物を用いることも好適である。この場合、2以上のフェノール構造は、互いに同一であっても良いし、異なっていても良い。例えば、フェノール構造における価数が同一であってもいし、異なっていても良い。これにより、有機化合物触媒体の酸素還元反応の活性点を増大することができると考えられる。

【0045】
なお、このような化合物の一例としては、下記一般式(3)で示されるシソニンが挙げられる。シソニンは、化学構造に1価のフェノール構造と、2価のフェノール構造とを併せ持っている。また、芳香環とは異なる環状構造にヒドロキシル基を有している。このような構造に基づき、シソニンを用いた有機化合物触媒体は、高い還元電位が得られるとともに、フェノール誘導体と導電性炭素材料との結合が安定すると考えられるために好ましい。また、活性点が増大されて比較的広い電位範囲に亘って酸素還元活性を示し得る。このことは、例えば、CV測定における酸素還元ピークが大きく(高く)ブロードに出現することにより確認することができる。

【0046】
【化3】
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【0047】
以上詳しく説明したとおり、本発明は、高いORR活性を備える新規な有機化合物触媒体を提供する。かかる触媒活性の発現の機構は明らかではないが、新規な特性を有する触媒物質の創製あるいは触媒設計の可能性を含むものである。

【0048】
次に、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。

【0049】
<実施形態1>
(例1)
フェノール誘導体として粉末状のピロカテコール(Sigma Aldrich 社製、1,2-ジヒドロキシベンゼン,>99%)を用意した。また、導電性炭素担体としてケッチェンブラック(KB;ケッチェン・ブラック・インターナショナル株式会社製、ケッチェンブラックEC-600JD)を用意した。
純水100mLに、ピロカテコール100mgを溶解したのち、KB100mgを加え、この分散液に超音波を照射することで分散液を撹拌した。超音波の照射条件は、出力:100W,周波数:38kHz,時間:30分間とした。これにより、分散液中のピロカテコールは少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後の分散液を濾過し、100℃で純水を乾燥させて、例1の試料を得た。

【0050】
(例2)
フェノール誘導体含有液として、100mLの赤ワイン(株式会社アルプス製、あずさワイン プレミアム、ぶどう:コンコード種、酸化防止剤無添加)を用意した。このフェノール誘導体含有液(赤ワイン)に、上記例1と同じKBを100mg加え、超音波を照射することで、このフェノール誘導体含有液中にKBを分散させた。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。これにより、フェノール誘導体含有液中の成分の少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後のKB分散フェノール誘導体含有液を濾過し、100℃で乾燥させることで、例2の試料を得た。

【0051】
(例3)
日本茶の茶葉(株式会社嘉木園製、国産煎茶(抹茶入り))5gを、約90℃,200mLの沸騰水に浸漬し、茶葉成分を抽出した後、ろ過することで、フェノール誘導体含有液(緑茶)を用意した。そして室温まで冷却させたフェノール誘導体含有液(緑茶)100mLに、上記例1と同じKB100mgを加え、超音波を照射することで、このフェノール誘導体含有液中にKBを分散させた。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。これにより、フェノール誘導体含有液中の成分の少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後のKB分散フェノール誘導体含有液を濾過し、100℃で乾燥させることで、例3の試料を得た。

【0052】
<CV測定>
例1~3の試料について、三電極電気化学セルを用いたCV測定を行うことにより、電気化学的特性の評価を行った。このCV測定では、酸性溶液中の溶存酸素の還元反応に関する触媒作用を評価した。まず、上記で用意した例1~3の試料20mgと、バインダとしての5%ナフィオン(登録商標)溶液150μLと、分散媒としてのエタノール2.0mLを混合し、超音波にて30分間ほど撹拌することで、触媒ペーストを調製した。次いで、この触媒ペーストをグラッシーカーボン電極の表面に20μL滴下して乾燥させることで触媒層を形成し、例1~3の測定用触媒電極(作用極)とした。

【0053】
三電極電気化学セルの構成は以下のとおりとした。
作用極 :例1~3の測定用触媒電極
参照極 :Ag/AgCl(飽和KCl)
対極 :Pt
電解液:0.5M硫酸水溶液(1N,HSO・aq)

【0054】
具体的には、25℃に保持された0.5M硫酸水溶液中に上記作用電極を浸漬し、対極として白金電極、参照極として飽和KCl溶液に浸漬させた銀塩化銀電極を用いて、三電極式電気化学セルを構築した。そしてこの電気化学セルをポテンショスタットに接続して、サイクリックボルタンメトリー(CV)測定を行った。測定は、電解質溶液中に酸素ガスを30分間以上バブリングさせて酸素を飽和させた後、掃引速度100mV/sec、掃引範囲-0.2~1.2Vで掃引行い、50サイクル目の掃引を行ったときの電流と電位とを100msごとに記録した。その結果をサイクリックボルタモグラムとして図1に示した。

【0055】
図1に示されるように、例1~3の全ての試料について、比較的広い電位範囲(-0.1~1.1V)に亘って電流が観測され、特に還元方向の電位0.55~0.6Vの範囲に明瞭な還元ピークが観測されることが確認できた。すなわち、例1~3の全ての試料は、酸素還元触媒として安定して機能し得ることが確認された。
具体的なデータは示していないが、例2の赤ワインに代えて白ワインを用いて同様に試料を作成し、CV測定を行ったところ、電流は観測されなかった。このことから、例2の赤ワインに関する還元反応の触媒作用は、赤ワインに含まれる色素であるアントシアニン(アントシアニジン誘導体であり得る)に由来すると考えることができる。

【0056】
また、具体的なデータは示さないが、例3の緑茶とは異なる茶葉およびペットボトル入り茶飲料(例えば、株式会社伊藤園製、お~いお茶 濃い茶)について同様に試料を作成し、CV測定を行ったところ、それぞれ例3とほぼ同一形状の掃引曲線が得られた。緑茶を始めとする、ほうじ茶,紅茶,麦茶,番茶,ウーロン茶等の茶には、茶の渋み成分であり、フラボノイドの1種であるカテキン(C1514)が含まれることが知られている。このことから、茶葉の還元反応の触媒作用は、茶葉に含まれるカテキンに由来すると考えることができる。

【0057】
そして、例2および例3の掃引曲線において最も明瞭な還元ピークは、例1のピロカテコールについて見られる特徴的な還元ピークと重畳していた。また、アントシアニンのうちのシアニジンおよびデルフィニジンと、カテキンには、カテコール構造(1,2-ジヒドロキシベンゼン構造)が共通して含まれている。これらのことから、例1~3の試料について確認された酸素還元反応は、カテコール構造によるものと考えることができる。

【0058】
そこで、図2Aに示すようなグラフェンシートに、(例1)ピロカテコール(1,2-ジヒドロキシベンゼン)が担持されるときの結合形態(担持形態)を、非経験的分子軌道法にて計算レベルb3LYP/6-31gまで計算することでシミュレートした。その結果得られたカテコールとグラフェンシートとの結合の様子を図2Bに示した。
カテコールは、ベンゼン環に2つのフェノール性ヒドロキシ基がオルト位で配位する。シミュレーションの結果から、2つのフェノール性ヒドロキシ基のうちの1つがグラフェンとの結合に関与し、当該フェノール性ヒドロキシ基の隣(6位)の水素がグラフェンと結合(水素結合)して、グラフェンシートにベンゼン環平面が略垂直となる姿勢で結合することが予想された。

【0059】
また、同様にして、グラフェンシートに(例3)カテキンが担持されたときの結合形態をシミュレートし、その結果を図2Cに示した。その結果、カテキンなどの比較的分子量の大きい化合物は分子が屈曲して、複数の部位(カテキンは2箇所)でグラフェンシートに担持される(結合する)ことが推測された。すなわち、フェノール誘導体が、分子量(カテキン:C1514の場合は290.27)の大きい化合物であると、分子の形状に自由度がもたらされて、複数の位置にて安定して導電性炭素材料に担持されると考えられる。また、フェノール誘導体と導電性炭素材料との結合部位が増えることで、ORR活性に寄与する部位が増えて、活性が高まることが予想される。

【0060】
<実施形態2>
下記表1に示すように、(例4)フェノール(和光純薬工業(株)製、フェノール試薬)と、(例5)ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、試薬特級),(例6)レゾルシノール(和光純薬工業(株)製、試薬特級),(例7)ピロガロール(和光純薬工業(株)製、試薬特級),(例8)トリヒドロキシベンゼン(和光純薬工業(株)製、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン),(例9)フロログルシノール(東京化成工業(株)製、1,3,5-トリヒドロキシベンゼン無水物、>99.0%)および(例10)ヘキサヒドロキシベンゼン(東京化成工業(株)製、>98.0%)の6種のフェノール誘導体を用意した。また、導電性炭素担体として、上記例1と同様のケッチェンブラック(KB)を用意した。

【0061】
そして純水100mLに、上記のフェノールまたはフェノール誘導体を100mg溶解したのち、KB100mgを加え、この分散液に超音波を照射することで分散液を撹拌した。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。超音波撹拌後の分散液を濾過し、100℃で純水を乾燥させて、例4~10の試料を得た。

【0062】
そして各例の試料について、上記実施形態1と同様の条件でCV測定を行った。その結果、還元ピークが観測された試料については、還元電位を表1に示した。なお、参考のために、例1のピロカテコールを用いた試料についての結果と、(例10)炭素担持白金触媒(20%Pt/C)についての結果も併せて表1に示した。この炭素担持白金触媒は、高表面積グラファイトカーボンを担体とし、これに20質量%の白金ナノ粒子を担持させた電極触媒材料(Sigma-Aldrich社製、Platinum on graphitized carbon extent of labeling: 20 wt. % loading)として汎用されている触媒である。

【0063】
【表1】
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【0064】
CV測定の結果、例10のヘキサヒドロキシベンゼンを用いた試料については、CV測定の当初に還元ピークが見られたものの、この還元ピークは測定開始直後に消失してしまった。このことから、フェノールおよびその誘導体のうちでも、ベンゼン環にフェノール性ヒドロキシ基が6個配位した化合物を用いた試料については、フェノール誘導体の担持形態または触媒性能が安定性に欠けることが確認された。

【0065】
なお、例4のフェノールを用いた試料については、CV測定の当初に0.66Vという極めて高い電位に還元ピークが見られた。しかしながら、本実施形態において、この還元ピークは約5サイクル目で消失してしまった。なお、後述の実施形態4との比較から、フェノール誘導体として、1つのフェノール性ヒドロキシ基が配位したベンゼン環を1つだけ有する化合物(ここではフェノール)を用いた試料については、良好なORR活性が発現され得るものの、フェノール誘導体の担持の安定性に課題があると考えられる。

【0066】
例5~10のフェノール誘導体を用いた試料については、例6,7,9について、やや小さめのピークが見られたものの、例5のヒドロキノンおよび例8のトリヒドロキシルベンゼンを使用した試料については、明瞭な還元ピークが確認された。例5および例8と、例1および例11の試料についての50サイクル目のサイクリックボルタモグラムを図3に示した。図3に示されるように、これらの試料は、例11の20%Pt/Cに匹敵する大きなピークが得られ、例1,5および8の試料については、酸素還元反応の触媒機能が安定して発現されることが確認された。特に、例1のカテコールを用いた試料については、例11の20%Pt/Cを上回る電位にピークが見られ、触媒性能に優れることが確認された。

【0067】
以上の結果と、実施形態1におけるシミュレーション結果とから、フェノール誘導体を導電性炭素材料に担持させたとき、フェノール誘導体の化学構造と、かかる誘導体の導電性炭素材料への担持形態により、発現される触媒性能に変化が見られることが予想された。
例えば、図2Bおよび図4Aに示されるように、カテコールは、2つのフェノール性ヒドロキシ基のうち、1つ目がグラフェンとの結合に関与し、結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基は、ベンゼン環の2位に配位して、グラフェンシートから離れながらもより近い位置に安定して存在することになる。本発明者らのシミュレーションの検討結果からは、結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基が、グラフェンシートから離れた場所でありながら、グラフェンシートにできる限り近い位置に存在した場合に、触媒性能が安定して良好に発現されると考えられる。

【0068】
これに対し、ジヒドロキシベンゼンには、図4Aに示すように、オルト体の(例1)カテコール以外に、パラ体の(例5)ヒドロキノン(1,4-ベンゼンジオール)、および、メタ体の(例6)レゾルシノール(1,3-ベンゼンジオール)の3種類の異性体が存在する。
ここで、パラ体の(例5)ヒドロキノンについては、結合に寄与しない2つ目のフェノール性ヒドロキシ基がグラフェンシートから離れてしまうが、グラフェンシートからの距離が一定で安定して存在することになる。そのため、還元電位は、(例1)カテコールよりもやや低くなるが、比較的高い値を維持し得ると考えられる。
しかしながら、メタ体の(例6)レゾルシノールについては、結合に寄与しない2つ目のヒドロキシ基がグラフェンシートに対して近い場合(還元電位が高い)と遠い場合(還元電位が低い)の2種が存在し、還元電位は全体として低い方へとシフトすると考えられる。また、グラフェンシートに対する結合形態が安定しないことも考えられる。そのため、本実施形態において、(例6)レゾルシノールの還元電位は3つの異性体の中で最も低い値となってしまったと考えられる。

【0069】
なお、ベンゼン環に3つのフェノール性ヒドロキシ基が配位したトリヒドロキシベンゼンには、(例8)1,2,4-トリヒドロキシベンゼンと、(参考)1,2,3-トリヒドロキシベンゼンとの2種類の異性体が存在する。
そしてこのうち、(例8)1,2,4-トリヒドロキシベンゼンについては、0.39Vの比較的高い還元電位が得られた。1,2,4-トリヒドロキシベンゼンは、グラフェンシートとの結合に寄与しない2つ目および3つ目のフェノール性ヒドロキシ基が、図4Bに示した3通りに配位し得る。詳細なメカニズムは不明であるが、結合に寄与しないフェノール性ヒドロキシ基の存在形態が幾通りかある場合は、フェノール誘導体の結合形態に選択性が現れ、例えば、還元電位が低い担持パターンが優位になることや、フェノール誘導体の結合安定性がより良い担持パターンが選択的に採用されること等も予想される。本実施形態において、(例8)1,2,4-トリヒドロキシベンゼンを用いた有機化合物触媒体の還元電位は、(例5)ヒドロキノンよりは低くなるが、(例6)レゾルシノールよりは高い値を維持し得ることが確認された。

【0070】
<実施形態3>
フェノール誘導体として、例5で使用したヒドロキノンにメチル基が1つ配位した構造のメチルヒドロキノン(和光純薬工業(株)製、98.0+%)と、導電性炭素材料として、例1と同様のKBとを用意した。そして純水100mLに、メチルヒドロキノン100mgを溶解したのち、KB100mgを加え、この分散液に超音波を照射することで分散液を撹拌した。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。これにより、メチルヒドロキノンの少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後の分散液を濾過し、室温で乾燥させて、例12の試料を得た。

【0071】
例12の試料について上記実施形態1と同様にCV測定を行った。その結果、例12の試料について得られた50サイクル目のサイクリックボルタモグラムを図5に示した。
図5に示されるように、掃引曲線の0.35V近傍に還元ピークが明瞭に観測されることが確認された。この還元電位は、例5のヒドロキノンについて得られた還元電位(0.44V)よりもやや低いものの、10mA/cm以上の高い電流密度が得られることが確認された。このことから、メチルヒドロキノンを用いた例12の試料も、安定して酸素還元触媒として機能し得ることが確認された。また、メチルヒドロキノンの化学構造は、例8で使用した1,2,4-トリヒドロキシベンゼンの一つのフェノール性ヒドロキシ基がメチル基に置き換わったものであり、還元ピーク電位は例8と近い位置に観測された。
例えば、例1,5,8,12の比較から、ヒドロキシ基およびその他の官能基の数と配位関係により還元電位が決定されると考えられる。また、2つ以上のフェノール性ヒドロキシ基を有するフェノール誘導体(例えば、フェノール単環構造の誘導体)については、一部のヒドロキシ基をメチル基等のヒドロキシ基以外の官能基に置き換えても、触媒性能に大きな悪影響を及ぼすことはないものと考えられる。また例えば、フェノール誘導体に配位させる官能基とその位置によっては、電流密度を増大させる効果が得られることが確認された。

【0072】
<実施形態4>
(例13)
赤シソの葉5gを煮出すことで、赤シソの成分(典型的には、シソニン)が抽出された赤紫色のフェノール誘導体含有液を100mL用意した。このフェノール誘導体含有液に、上記例1と同じKB100mgを加え、超音波を照射することで、このフェノール誘導体含有液中にKBを分散させた。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。これにより、フェノール誘導体含有液中の赤シソ成分の少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後のKB分散フェノール誘導体含有液を濾過し、室温で乾燥させることで、例13の試料を得た。

【0073】
(例14)
金時豆20gを煮ることで、金時豆の成分(典型的には、アントシアニン)が抽出された赤紫色のフェノール誘導体含有液(煮汁)を100mL用意した。このフェノール誘導体含有液に、上記例1と同じKB100mgを加え、超音波を照射することで、このフェノール誘導体含有液中にKBを分散させた。超音波の照射条件は、上記例1と同様とした。これにより、フェノール誘導体含有液中の金時豆成分の少なくとも一部がKBに担持されたと考えられる。超音波撹拌後のKB分散フェノール誘導体含有液を濾過し、室温で乾燥させることで、例14の試料を得た。
(例15)
黒豆を20g煮ることで、黒色の煮汁を100mL用意した。その他は例14と同様にして、KBに黒豆成分が担持された例15の試料を得た。

【0074】
例13~15の試料について上記実施形態1と同様にCV測定を行った。その結果得られた50サイクル目のサイクリックボルタモグラムを、例13の試料について図6に、例14および15の試料については図7に示した。
図6に示されるように、例13の試料については、掃引曲線の0.5~0.6V近傍にブロードな還元ピークが明瞭に観測されることが確認された。赤シソには、シソニンとよばれるアントシアニン系の赤色色素が含まれており、このシソニンは化学構造に1価と2価の異なる価数のフェノール基を有している。また、芳香環ではない環状構造にもヒドロキシ基を有しており、触媒作用を発現する化学構造の密度が高いと考えられる。そのため、還元ピークがブロードになり、面積の広い還元ピークが得られるものと考えられる。

【0075】
図7に示されるように、例14の試料についても、掃引曲線の0.5~0.6V近傍に還元ピークが明瞭に観測されることが確認された。赤紫色が鮮やかなことから赤いんげんとも呼ばれる金時豆には、アントシアニン系の色素のうち、ペラルゴニジン赤色色素が多く含まれている。ペラルゴニジンは1価のフェノール構造を有している。例15の試料についても、例14と同様の位置に小さな還元ピークが認められた。黒豆の黒色色素は、アントシアニン系の色素のうち、pH7~8で紫色、pH>11で青色に呈色するシアニジン-3-グルコシドが多く含まれる。シアニジンはカテコール(2価フェノール)構造を有している。これらの化学構造は良く似ていると考えられるが、赤色を呈するペラルゴニジン赤色色素やその化学構造の安定性に基づき、例14の試料については安定して高い酸素還元触媒性能を示し得ると考えられる。

【0076】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれ得る。
図面
【図1】
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【図2B】
1
【図3】
2
【図4A】
3
【図4B】
4
【図5】
5
【図6】
6
【図7】
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【図2A】
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【図2C】
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