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明細書 :磁気特性測定センサー及び同センサーを用いた磁気特性測定方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5576840号 (P5576840)
公開番号 特開2013-050390 (P2013-050390A)
登録日 平成26年7月11日(2014.7.11)
発行日 平成26年8月20日(2014.8.20)
公開日 平成25年3月14日(2013.3.14)
発明の名称または考案の名称 磁気特性測定センサー及び同センサーを用いた磁気特性測定方法
国際特許分類 G01R  33/12        (2006.01)
FI G01R 33/12 M
請求項の数または発明の数 2
全頁数 9
出願番号 特願2011-188653 (P2011-188653)
出願日 平成23年8月31日(2011.8.31)
審査請求日 平成24年11月29日(2012.11.29)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】中畑 和
【氏名】バルトッシュ ボルコヴスキー
【氏名】榎園 正人
個別代理人の代理人 【識別番号】100114661、【弁理士】、【氏名又は名称】内野 美洋
審査官 【審査官】荒井 誠
参考文献・文献 実公昭49-042213(JP,Y1)
特開平08-338864(JP,A)
特開昭62-187268(JP,A)
調査した分野 G01R 33/12-33/18
特許請求の範囲 【請求項1】
永久磁石の外周に装着して磁気特性を測定するための磁気特性測定センサーにおいて、
永久磁石の試験片(2)を挿通させる中空部(9)を形成し外周部の中央部の円周方向にコイル溝(10)を形成した円筒状でセラミック製の内側ホルダー(7)を備え、前記内側ホルダー(7)のコイル溝(10)に、永久磁石の磁束密度を測定するためのBコイル(4)と、前記Bコイル(4)の外周に絶縁シート(11)を介して永久磁石の磁界強度の測定に用いるHコイル(5)とを巻回し、前記内側ホルダー(7)を挿通して収容する中空部(12)を形成し外周部の中央部の円周方向にコイル溝(13)を形成した円筒状でセラミック製の外側ホルダー(8)を備え、前記外側ホルダー(8)のコイル溝(13)に永久磁石の磁化の測定に用いるMコイルを巻回し、前記Mコイル(6)の外周に絶縁シート(14)を配置し、前記Bコイル(4)と前記Hコイル(5)と前記Mコイル(6)とは互いに同軸状に巻回し且つ前記Bコイル(4)と前記Hコイル(5)は巻数を同一にすると共に、前記Bコイル(4)と前記Mコイル(6)を直列に接続し且つ巻数及び断面積との積を同一にして、永久磁石の磁束密度と磁界強度と磁化とを測定することを特徴とする磁気特性測定センサー。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気特性測定センサーを永久磁石の試験片2の伸延方向の中央部の外周に装着し、前記磁気特性測定センサーの前記Bコイル(4)の誘導電圧を積分して磁束密度を測定し、前記Bコイル(4)と前記Mコイル(6)を直列に接続し経時的に測定した電圧を積分した値から磁化を測定し、前記Bコイル(4)と前記Hコイル(5)の各々で経時的に測定した電圧の差を積分した値から磁界強度を測定することを特徴とする磁気特性測定方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石の磁気特性を測定するための磁気特性測定センサー及び同センサーを用いた磁気特性測定方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石は、磁束密度や磁界強度や磁化をパラメーターとして用いて磁気特性が評価される。そして、永久磁石の磁気特性を測定する方法としては、日本工業規格に「永久磁石試験方法」として規格されている(非特許文献1参照。)。
【0003】
この日本工業規格で定められた「永久磁石試験方法」によれば、測定対象となる永久磁石と電磁石とで閉磁気回路を構成し、磁束密度を測定するためのBコイルと磁気分極の測定に用いるJコイルと磁界強度を測定するHセンサーとを用いて、永久磁石の磁気特性を測定する。
【0004】
ここで、永久磁石の磁束密度は、永久磁石の周囲にBコイルを巻回し、Bコイルの誘導電圧を積分することで測定する。また、永久磁石の磁化(磁気分極)は、永久磁石の周囲にJコイルを巻回するとともに永久磁石の周囲に巻回していないBコイルをJコイルに互いに電気的に打ち消し合うように接続することでBコイルを空隙補償コイルとして用い、Jコイルの誘導電圧を積分することで測定する。また、磁界強度は、永久磁石の側方近傍にフラットサーチコイルや磁気ポテンショメーターやホールプローブなどのHセンサーを配置して測定する。
【先行技術文献】
【0005】
<nplcit num="1"> <text>日本工業規格 JIS C2501 「永久磁石試験方法」</text></nplcit>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記した日本工業規格で定められた「永久磁石試験方法」では、永久磁石の磁界強度や磁化の測定において必ずしも測定誤差が十分小さいものとは言えず、永久磁石の磁界強度や磁化といった磁気特性を正確に評価することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴とするところは、次の(1)~(2)の通りである。
(1) 永久磁石の外周に装着して磁気特性を測定するための磁気特性測定センサーにおいて、
永久磁石の試験片2を挿通させる中空部9を形成し外周部の中央部の円周方向にコイル溝10を形成した円筒状でセラミック製の内側ホルダー7を備え、前記内側ホルダー7のコイル溝10に、永久磁石の磁束密度を測定するためのBコイル4と、前記Bコイル4の外周に絶縁シート11を介して永久磁石の磁界強度の測定に用いるHコイル5とを巻回し、前記内側ホルダー7を挿通して収容する中空部12を形成し外周部の中央部の円周方向にコイル溝13を形成した円筒状でセラミック製の外側ホルダー8を備え、前記外側ホルダー8のコイル溝13に永久磁石の磁化の測定に用いるMコイル6を巻回し、前記Mコイルの外周に絶縁シート14を配置し、前記Bコイル4と前記Hコイル5と前記Mコイル6とは互いに同軸状に巻回し且つ前記Bコイル4と前記Hコイル5は巻数を同一にすると共に前記Bコイル4と前記Mコイル6の巻数及び断面積との積を同一にして、永久磁石の磁束密度と磁界強度と磁化とを測定することを特徴とする磁気特性測定センサー。
(2) 前記(1)に記載の磁気特性測定センサーを永久磁石の試験片2の伸延方向の中央部の外周に装着し、前記磁気特性測定センサーの前記Bコイル4の誘導電圧を積分して磁束密度を測定し、前記Bコイル4と前記Mコイル6を直列に接続し経時的に測定した電圧を積分した値から磁化を測定し、前記Bコイル4と前記Hコイル5の各々で経時的に測定した電圧の差を積分した値から磁界強度を測定することを特徴とする磁気特性測定方法。

【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、永久磁石の磁気特性を測定するための磁気特性測定センサーにおいて、永久磁石の磁束密度を測定するためのBコイルと、永久磁石の磁界強度の測定に用いるHコイル及び永久磁石の磁化の測定に用いるMコイルとを、永久磁石の周囲に同軸に巻回することにより、永久磁石の磁気特性を測定するにあたって永久磁石の磁界強度や磁化の測定誤差を小さくすることができ、永久磁石の磁気特性を従来よりも正確に評価することができる。

【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る磁気特性測定センサーを示す正面断面図。
【図2】同側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明に係る磁気特性測定センサー及び同センサーを用いた磁気特性測定方法の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。

【0014】
図1に示すように、磁気特性測定センサー1は、所定長さの円柱状に形成した永久磁石の試験片2を挿通させたホルダー3にBコイル4とHコイル5とMコイル6とを巻回している。ここで、Bコイル4は、試験片2の磁束密度を測定するためのコイルであり、Hコイル5は、Bコイル4とともに用いて試験片2の磁界強度を測定するためのコイルであり、Mコイル6は、Bコイル4とともに用いて試験片2の磁化を測定するためのコイルである。

【0015】
ホルダー3は、試験片2を挿通させた円筒状の内側ホルダー7と、内側ホルダー7の外周に装着した円筒状の外側ホルダー8とで構成している。

【0016】
内側ホルダー7は、試験片2を挿通させるために試験片2の径の寸法公差を考慮した内径の中空部9を形成するとともに、外周部にコイル溝10を円周方向に向けて形成している。コイル溝10には、Bコイル4を巻回するとともに、Bコイル4の外周部にHコイル5を絶縁シート11を介して巻回している。これにより、Hコイル5は、試験片2の周囲において試験片2に対してBコイル4と同軸、かつ、同心円上に配置されている。また、Hコイル5は、巻数がBコイル4と同一となるようにしている。


【0017】
外側ホルダー8は、内側ホルダー7を挿通させるために中空部12を形成するとともに、外周部にコイル溝13を円周方向に向けて形成している。コイル溝13には、Mコイル6を巻回するとともに、Mコイル6の外周部に絶縁シート14を被覆している。Mコイル6は、巻数と断面積との積がBコイル4と同一となるようにしている。この外側ホルダー8は、コイル溝13を内側ホルダー7のコイル溝10の外周部に位置させており、これにより、Mコイル6は、試験片2の周囲において試験片2に対してBコイル4及びHコイル5と同軸、かつ、同心円上に配置されている。


【0018】
上記磁気特性測定センサー1では、試験片2と各コイル4,5,6とを近接させて配置するとともに、各コイル4,5,6やホルダー3の熱等による変形を防止することで、測定精度をより一層向上させることができる。そのため、上記磁気特性測定センサー1では、ホルダー3(内側ホルダー7、外側ホルダー8)を薄くても強度を確保でき耐熱性に優れたセラミック材で形成し、また、薄くて耐熱性を有する絶縁シート11を介してBコイル4にHコイル5を巻回している。

【0019】
磁気特性測定センサー1は、以上に説明したように構成しており、この磁気特性測定センサー1を用いて試験片2の磁気特性を測定することができる。

【0020】
磁気特性を測定するには、試験片2の伸延方向の略中央部に磁気特性測定センサー1を装着するとともに、日本工業規格で定められた「永久磁石試験方法」と同様に測定対象と試験片2と電磁石とで閉磁気回路を構成し、試験片2の磁束密度や磁化や磁界強度を測定する。

【0021】
磁束密度を測定する場合には、試験片2の周囲に巻回したBコイル4の誘導電圧を積分することで測定できる。

【0022】
磁化を測定する場合には、試験片2の周囲に同軸に巻回したBコイル4とMコイル6とを用い、以下に説明するように、Mコイル6を空隙補償コイルとして利用することで測定できる。


【0023】
まず、それぞれのBコイル4とMコイル6とで得られる磁束密度BB、BMは、磁界強度をH、磁化をM、透磁率をμ0とすると、式1で示される。
【数1】
JP0005576840B2_000002t.gif

【0024】
この式1を、Bコイル4とMコイル6とで得られる磁束φB、φMで表すと、Bコイル4とMコイル6と試験片2の断面積をそれぞれSB、SM、SSとすると、式2に変形できる。
【数2】
JP0005576840B2_000003t.gif

【0025】
そして、Bコイル4とMコイル6とを直列接続したときに計測される電圧eBMは、Bコイル4とMコイル6の巻数をそれぞれNB、NMとすると、式3で示される。この式3に上記式2を代入して展開すると、電圧eBMは、式4に変形できる。
【数3】
JP0005576840B2_000004t.gif

【0026】
ここで、Bコイル4とMコイル6は、巻数と断面積との積が同一(NBB=NMM)であることから、式4は、式5と表せる。
【数4】
JP0005576840B2_000005t.gif

【0027】
したがって、磁化は、式5を積分して変形することで式6を用いて求めることができ、Bコイル4とMコイル6とを直列接続したときに経時的に計測される電圧eBMを積分回路で積分した値から測定することができる。
【数5】
JP0005576840B2_000006t.gif

【0028】
ここで、磁化は、試験片2に巻回していない空隙補償コイルをBコイル4に互いに電気的に打ち消し合うように接続したときに計測される電圧eから式7を用いて測定することもできる。
【数6】
JP0005576840B2_000007t.gif

【0029】
しかしながら、直径10mm、長さ20mmの純度99.99%のニッケル、コバルト、鉄からなる試験片2について実際に測定し、理論値との相対的な誤差を算出したところ、式6を用いた場合には、各試験片2について1.3%、2.74%、1.52%であったのに対して、式7を用いた場合には、各試験片2について16.1%、17.2%、14.7%となった。

【0030】
このことから、上記磁気特性測定センサー1のように試験片2の周囲に同軸に巻回したBコイル4とMコイル6とを用いて測定することにより、測定誤差を小さくできることが示された。


【0031】
また、試験片2の端部近傍では反磁界の影響を大きく受けるために、測定誤差が大きくなるおそれがある。そこで、直径10mm、純度99.99%の長さ4mm、10mm、20mm、30mmの試験片2について伸延方向の中央部に磁気特性測定センサー1を装着して実際に測定し、理論値との相対的な誤差を算出したところ、各試験片2について26.7%、7.6%、1.1%、0.9%となった。

【0032】
このことから、上記磁気特性測定センサー1を試験片2に装着する場合には、反磁界の影響が無くなるように試験片2の端部から磁気特性測定センサー1をなるべく離して装着する必要があり、長さ20mm以上の試験片2の伸延方向の中央部に装着することが望ましい。

【0033】
以上のようにして磁化を精度良く測定することができるため、上記磁束密度と磁化とを用いて式8に示される関係式から磁界強度を算出することができる。
【数7】
JP0005576840B2_000008t.gif

【0034】
また、磁界強度は、試験片2の周囲に同軸に巻回したBコイル4とHコイル5とを用い、以下に説明するように、Hコイル5を空隙補償コイルとして利用することで測定することもできる。


【0035】
まず、それぞれのBコイル4とHコイル5とで得られる磁束密度BB、BHは、磁界強度をH、磁化をM、透磁率をμ0とすると、式9で示される。
【数8】
JP0005576840B2_000009t.gif

【0036】
この式9を、Bコイル4とHコイル5とで得られる磁束ΦB、ΦHで表すと、Bコイル4とHコイル5と試験片2の断面積をそれぞれSB、SH、SSとし、Bコイル4とHコイル5の巻数をそれぞれNB、NHとすると、式10に変形できる。
【数9】
JP0005576840B2_000010t.gif

【0037】
そして、Hコイル5とBコイル4とでそれぞれ計測される電圧eH、eBの差は、式11で示される。この式11に上記式10を代入して展開すると、電圧eH、eBの差は、式12に変形できる。
【数10】
JP0005576840B2_000011t.gif

【0038】
ここで、Bコイル4とHコイル5は、巻数が同一(NB=NH)であることから、式12は、式13と表せる。
【数11】
JP0005576840B2_000012t.gif

【0039】
したがって、磁界強度は、式13を積分して変形することで式14を用いて求めることができ、Hコイル5とBコイル4とでそれぞれ経時的に計測される電圧eH、eBの差を積分回路で積分した値から測定することができる。
【数12】
JP0005576840B2_000013t.gif

【0040】
以上に説明したように、本発明では、試験片2の磁気特性を測定する磁気特性測定センサー1において、磁束密度を測定するためのBコイル4と、Bコイル4とともに用いて磁界強度を測定するためのHコイル5と、Bコイル4とともに用いて磁化を測定するためのMコイル6とを、試験片2の周囲に同軸に巻回している。

【0041】
そのため、本発明では、試験片2の磁気特性を測定するにあたって磁界強度や磁化の測定誤差を小さくすることができ、試験片2の磁気特性を従来よりも正確に評価することができる。

【0042】
特に、本発明では、Hコイル5又はMコイル6とBコイル4とを試験片2の周囲に同軸上、かつ、同心円上に配置することで、磁気特性測定センサー1及び同センサー1を用いた測定システムの小型化を図ることもできる。

【0043】
また、本発明では、Hコイル5の巻数をBコイル4の巻数と同一とし、或いは、Mコイル6の断面積と巻数との積をBコイル4の断面積と巻数との積と同一とすることで、経時的に計測される電圧を積分回路で積分することで磁界強度や磁化を容易に測定することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 磁気特性測定センサー 2 試験片
3 ホルダー 4 Bコイル
5 Hコイル 6 Mコイル
7 内側ホルダー 8 外側ホルダー
9 中空部 10 コイル溝
11 絶縁シート 12 中空部
13 コイル溝 14 絶縁シート
図面
【図1】
0
【図2】
1