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明細書 :光位相変調信号受信装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2014-138258 (P2014-138258A)
公開日 平成26年7月28日(2014.7.28)
発明の名称または考案の名称 光位相変調信号受信装置
国際特許分類 H04B  10/63        (2013.01)
FI H04B 9/00 630
請求項の数または発明の数 4
出願形態 OL
全頁数 12
出願番号 特願2013-005620 (P2013-005620)
出願日 平成25年1月16日(2013.1.16)
発明者または考案者 【氏名】古賀 正文
【氏名】水鳥 明
出願人 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
個別代理人の代理人 【識別番号】100099759、【弁理士】、【氏名又は名称】青木 篤
【識別番号】100092624、【弁理士】、【氏名又は名称】鶴田 準一
【識別番号】100122965、【弁理士】、【氏名又は名称】水谷 好男
【識別番号】100141162、【弁理士】、【氏名又は名称】森 啓
審査請求 未請求
テーマコード 5K102
Fターム 5K102AA15
5K102AA61
5K102AH13
5K102AH14
5K102AH17
5K102AH24
5K102AH27
5K102MA02
5K102MB03
5K102MC23
5K102MD01
5K102MD03
5K102MH03
5K102MH14
5K102MH27
5K102RD01
5K102RD05
5K102RD11
要約 【課題】遅延回路のような素子の増加を伴わない簡易な回路にし、しかも調整を容易にして位相誤差を精度よく検出する光位相変調信号受信装置を提供する。
【解決手段】90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信回路において、ホモダイン位相同期検波方式による復調回路を備え、2つの直交搬送波に対する同期検波信号前置増幅器が差動信号を出力し、2つの直交搬送波成分の和と差を処理する回路において、差動入力を有する識別回路、または振幅制限型高利得増幅器(リミティングアンプ)を備え、2つの直交成分正極信号が当該識別回路差動入力部へ入力されることにより成分差に対する識別判定を行い、2つの成分中いずれか一方の正極と他方の負極信号が当該識別回路差動入力部へ入力されることにより成分和に対する識別判定を実行し、それぞれの差動出力を排他的論理和(Ex-OR)によって乗算処理を行う回路を備える。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置に設けられ、ホモダイン位相同期検波方式による復調を行う光位相変調信号受信装置において、当該装置は、オプティカル90°ハイブリッド回路と、当該ハイブリッド回路からの2つの直交搬送波に対する信号(Q-arm、I-arm)を差動出力として出力する同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)と、前記同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの前記差動出力(Q-arm、I-arm)を入力してその和と差を算出する第一演算回路(B)と、前記同期検波信号前置増幅器(A1、A2)からの前記差動出力(Q-arm、I-arm)を入力してその差を算出する第二演算回路(C)とを備え、
前記第一演算回路(B)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力Q-armの正極成分Qと前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(Q-arm)の負極成分(-I)を入力しその成分和に対する大小の識別判定する第一識別回路(B1)を有し、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力(Q-arm)の正極成分(Q)と前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(Q-arm)の正極成分(I)とを入力しその成分差に対する大小の識別を判定する第二識別回路(B2)を有し、前記第一識別回路(B1)と第二識別回路(B2)からの各判定出力信号(X、Y)を入力して乗算処理し排他的論理和(XY)を算出する第一排他的論理和回路(B3)を有し、
前記第二演算回路(C)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力Q-armの正極成分(Q)と負極成分(-Q)を入力しその成分差(Q)を算出すると共にデータ信号(DATA1)を出力する第三識別回路(C1)を有し、前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(I-arm)の正極成分(I)と負極成分(-I)を入力しその成分差(I)を算出すると共にデータ信号(DATA2)を出力する第四識別回路(C2)を有し、前記第三識別回路(C1)と第四識別回路(C2)からの各判定出力信号(Q、I)を入力して乗算処理し排他的論理和(Z)を算出する第二排他的論理和回路(C3)を有し、
前記第一排他的論理和回路(B3)からの排他的論理和(XY)と第二排他的論理和回路(C3)からの排他的論理和(Z)とを入力して乗算処理し排他的論理和(XYZ)を算出する第三排他的論理和回路(D)を設け、
前記第三論理和回路出力によって半導体レーザを制御して局発光を求めることを特徴とする、光位相変調信号受信装置。
【請求項2】
90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置において使用され、ホモダイン位相同期検波方式による復調機能を備える光位相変調信号受信装置において、当該装置は、オプティカル90°ハイブリッド回路に入力される信号光の位相誤差を補正するために、
前記オプティカル90°ハイブリッド回路の出力に結合される差動出力型の第一、第第二の同期検波信号前置増幅器であって、前記第一の同期検波信号前置増幅器はQ-armの正極成分Q及び負極成分-Qを出力し、前記第二の同期検波信号前置増幅器はI-armの正極成分I及び負極成分-Iを出力する、第一、第二の同期検波信号前置増幅器と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器に接続される、差動入力型の第一の識別回路と、
前記第二の同期検波信号前置増幅器に接続される、差動入力型の第二の識別回路と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Qと前記第二の同期検波信号前置増幅器出力の負極成分-Iを入力とする、差動入力型の第三の識別回路と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Qと前記第二の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Iを入力とする、差動入力型の第四の識別回路と、
前記第一の識別回路と第二の識別回路の出力が入力される第一の排他的論理和回路と、
前記第三及び第四の識別回路の出力が入力される第二の排他的論理和回路と、
前記第一及び第二の排他的論理和回路出力が入力される第三の排他的論理和回路と、を備え、
前記第三の排他的論理和出力を位相誤差として検出することを特徴とする、光位相変調信号受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、検出された前記位相誤差を示す信号は、ループフィルタを介して半導体レーザ装置に入力され、局発光として前記オプティカル90°ハイブリッド回路に入力されることを特徴とする、光位相変調信号受信装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の装置において、前記第一乃至第四の識別回路は、リミティングアンプまたはコンパレータであることを特徴とする、光位相変調信号受信装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、光位相変調信号受信装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光通信において位相変調信号を受信するには局発光(Local光)を受信信号光と同じ周波数にした上で位相同期する必要がある。そのためには受信信号光と局発光との位相誤差を検出しなければならない。位相変調方式では信号が位相として伝送されているため信号に依存しない位相誤差の検出にはCOSTAS回路やDecision-driven回路などが用いられる。
【0003】
図2は非特許文献1に紹介のCOSTASループに、Decision-driven回路を組み合わせたQPSK受信用光PLLである。この光通信での光位相変調信号受信装置は、電圧制御発信器(VCO)を半導体レーザ光源に置き換え、ここと受信部から低域通過フィルタ(LPF)までの破線部分を光90度ハイブリッド回路とフォトダイオード(PD)に置きかえることで構成している。他の構成要素には加算器、減算器、排他的論理和、識別回路がある。
【0004】
前記の回路構成ではデータの復調も兼ねており、位相がロックした状態ではI-arm、Q-armからの信号を識別回路で識別することで復調信号DATA1、DATA2を得ることができる。従って、識別回路後の信号は2値化されているからその乗算は排他的論理和(ExOR)としても等価である。一方、位相誤差の検出にはアナログ加算・減算回路が必要である。
【0005】
即ち、図2の光位相変調信号受信装置は、90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置に使用されるものであって、ホモダイン位相同期検波方式による復調機能と位相誤差調整機能を実現するために、2つの直交搬送波に対する電気信号(Q-arm、I-arm)を出力する同期検波信号前置増幅器(A1、A2)と、前記同期検波信号前置増幅器(A1、A2)からの前記電気信号(Q-arm、I-arm)をフイルタ(F1、F2)を介して入力しその和を算出する加算器(Ad)と差を算出する減算器(Su)と、加算器(Ad)と減算器(Su)からの成分値を入力して乗算し排他的論理和(G)を算出する排他的論理和回路(L1)と、前記同期検波信号前置増幅器(A1、A2)からの前記差動信号(Q-arm、I-arm)を入力してA/D変換しその差を算出する共にデータ信号(DATA1、DATA2)を出力する判定回路(M1、M2)と、判定回路(M1、M2)からの成分信号(Q、I)を入力して乗算し排他的論理和(H)を出力する排他的論理和回路(L2))と、前記排他的論理和回路(L1)からの排他的論理和(H)と排他的論理和回路(L2)からの排他的論理和(G)とを入力して乗算処理し排他的論理和を算出しこの乗算値に比例したsinεを求めこれに基いて位相誤差ε(phase error)を求め、ループフィルタ(loop filter)を介して半導体レーザ (LD)にフィードバックする排他的論理和回路(L3)を設けたものである。ここで、判定回路(M1、M2)は受信信号を復調するためのものであり、一方、加算回路(Ad)、減算回路(Su)及び排他的論理和(L1、L2、L3)は受信信号における位相誤差を検出するための回路である。
【先行技術文献】
【0006】

【非特許文献1】Seiji Norimatsu, Katsushi Iwashita, and Kazuto Noguchi, ”An 8Gb/s QPSK optical homodyne detection experiment using external-cavity laser diodes,” IEEE photonics tech. lett. , Vol. 4, No. 7, pp.765-767, July 1992.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2の光位相変調信号受信装置において、信号G、HはQ-arm、I-armから同じタイミングで排他的論理和回路(L3)に到達必要があり、これらの条件を満足した時、信号光と局発光との位相誤差εに対し信号G、Hの乗算結果はsinεに比例したものとなる。しかし、信号Hは判定回路(M1、M2)と排他的論理和回路(L2)を経てくるのに対し、信号(G)は加算器(Ad)あるいは減算器(Su)と排他的論理和回路(L1)を経てきており、経路途中の素子が異なるため少なくともいずれか一方の経路にタイミングを合わせるための遅延回路が必要である。このことは高価な素子の増加と調整の困難さを伴うことになる。
【0008】
本発明は、遅延回路のような素子の増加を伴わない簡易な回路にし、しかも調整を容易にして位相誤差を精度よく検出する光位相変調信号受信装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決する本発明の第一の態様は、次の(1)のとおりである。
(1).90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置に設けられ、ホモダイン位相同期検波方式による復調回路(図1に示に示す回路全体)に、2つの直交搬送波に対する差動信号(Q-arm、I-arm)を出力する同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)と、前記同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの前記差動信号(Q-arm、I-arm)を入力してその和と差を算出する第一演算回路(B)と、前記同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの前記差動信号(Q-arm、I-arm)を入力してその差を算出する第二演算回路(C)とを備えた光位相変調信号受信装置において、
前記第一演算回路(B)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動信号Q-armの正極成分Qと前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動信号(Q-arm)の負極成分(I(-))を入力しその成分和に対する大小の識別判定する第一識別回路(B1)を有し且つ、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動信号(Q-arm)の正極成分(Q)と前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動信号(Q-arm)の正極成分(I)とを入力しその成分差に対する大小の識別を判定する第二識別回路(B2)を有し更に、前記第一識別回路(B1)と第二識別回路(B2)からの各判定出力信号(X、Y)を入力して乗算処理し排他的論理和(XY)を算出する第一排他的論理和回路(B3)を有し、
前記第二演算回路(C)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動信号Q-armの正極成分(Q)と負極成分(Q(-))を入力しその成分差(Q)を算出すると共にデータ信号(DATA1)を出力する第三識別回路(C1)を有し且つ、前記同期検波信号前置増幅器(A2)からの差動信号(I-arm)の正極成分(I)と負極成分(I(-))を入力しその成分差(I)を算出すると共にデータ信号(DATA2)を出力する第四識別回路(C2)を有し更に、前記第三識別回路(C1)と第四識別回路(C2)からの各判定出力信号(Q、I)を入力して乗算処理し排他的論理和(Z)を算出する第二排他的論理和回路(C3)を有し、
前記第一排他的論理和回路(B3)からの排他的論理和(XY)と第二排他的論理和回路(C3)からの排他的論理和(Z)とを入力して乗算処理し排他的論理和(XYZ)を算出しこの乗算値に比例したsinεを求めこれに基づいて位相誤差εを求め、loop filterを介して(LD)にフィードバックする第三排他的論理和回路(D)を設けたことを特徴とする光位相変調信号受信装置。
【0010】
本発明の第二の態様では、90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置において使用され、ホモダイン位相同期検波方式による復調機能を備える光位相変調信号受信装置において、当該装置は、オプティカル90°ハイブリッド回路に入力される信号光の位相誤差を補正するために、
前記オプティカル90°ハイブリッド回路の出力に結合される差動出力型の第一、第第二の同期検波信号前置増幅器であって、前記第一の同期検波信号前置増幅器はQ-armの正極成分Q及び負極成分-Qを出力し、前記第二の同期検波信号前置増幅器はI-armの正極成分I及び負極成分-Iを出力する、第一、第二の同期検波信号前置増幅器と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器に接続される、差動入力型の第一の識別回路と、
前記第二の同期検波信号前置増幅器に接続される、差動入力型の第二の識別回路と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Qと前記第二の同期検波信号前置増幅器出力の負極成分-Iを入力とする、差動入力型の第三の識別回路と、
前記第一の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Qと前記第二の同期検波信号前置増幅器出力の正極成分Iを入力とする、差動入力型の第四の識別回路と、
前記第一の識別回路と第二の識別回路の出力が入力される第一の排他的論理和回路と、
前記第三及び第四の識別回路の出力が入力される第二の排他的論理和回路と、
前記第一及び第二の排他的論理和回路出力が入力される第三の排他的論理和回路と、を備え、
前記第三の排他的論理和出力を位相誤差として検出することを特徴とする、光位相変調信号受信装置、を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の光位相変調信号受信装置は、前記回路構成により、I-armまたはQ-armから信号Q、Q(-)、I、I(-)の各々が乗算され第三排他的論理和回路(D)に至るまでの全ての経路上の素子を一つの識別回路と一つの排他的論理和回路にして配線だけを同じ長さにするだけで第三排他的論理和回路(D)への信号の入力タイミングを一致させるので、一度配線長を調節するだけで第三排他的論理和回路(D)での位相誤差を精度良く検出できるものである。
【0012】
本発明の光位相変調信号受信装置の回路構成であれば全ての経路での信号が通過する素子数と種類が等しくなるため結線長だけを正確にすることでQPSK信号の受信が可能となる。
【0013】
また、局発光の位相を主光源光にロックさせることにより、光通信における基地局での受信は容易になり、ディジタルコヒーレント技術は長距離伝送による分散等による波形歪みを補正すればよく、その負荷を軽減できる。従って、本発明による光位相変調信号受信装置を用いることで光コヒーレント通信の実現に繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の光位相変調信号受信装置の1実施例回路を示す。
【図2】従来の光位相変調信号受信装置例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明を実施するための装置について図1と共に詳細に説明する。

【0016】
図1に、本発明の一実施形態に係る光位相変調信号受信装置を示す。本装置は、90°位相の異なる2つの直交搬送波成分を変調して送受信を行うQPSK送受信装置において使用されるものであり、ホモダイン位相同期検波方式による復調機能と受信信号における位相誤差を検出してフィードバックする機能を実現するために、オプティカル90°ハイブリッド回路と、2つの直交搬送波に対する電気信号(Q-arm、I-arm)を出力する第一、第二の同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)と、前記同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの前記信号(Q-arm、I-arm)を入力してその和と差を算出する第一演算回路(B)と、前記同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの前記差動信号(Q-arm、I-arm)を入力してその差を算出する第二演算回路(C)と、第三排他的論理和回路(D)を備える。

【0017】
本発明の同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)はそれぞれ、オプティカル90°ハイブリッド回路からの光出力を光電変換するフォトダイオード(PD)と、このフォトダイオード出力Q-arm、I-armを、差動出力(+Q、-Qと+I、-I)として取り出す、差動出力型の増幅器(リニアアンプ)を備えている。

【0018】
前記第一演算回路(B)は、第一識別回路(B1)と第二識別回路(B2)と 第一排他的論理和回路(B3)を有する。第一識別回路(B1)と第二識別回路(B2)は、同期検波信号前置増幅器(AA1、AA2)からの4つの信号(+Q、-Qと+I、-I)から差動入力型識別回路によりDATA1ではQ-(-Q)=2Q、DATA2では同様に2Iに比例した信号を符号化(例えば+1、-1に量子化)した結果を得る。

【0019】
第一識別回路(B1)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力Q-armの正極成分Qと前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(Q-arm)の負極成分(-I)を入力しA/D変換しその成分和に対する大小の識別を判定する。

【0020】
第二識別回路(B2)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力(Q-arm)の正極成分(Q)と前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(Q-arm)の正極成分(I)とを入力しA/D変換しその成分差に対する大小の識別を判定する。

【0021】
第一排他的論理和回路(B3)は、前記第一識別回路(B1)と第二識別回路(B2)からの各判定出力信号(X、Y)を入力して乗算処理し排他的論理和(XY)を算出する。判定出力信号(X)はQ-Iを、判定出力信号YではQ-(-I)=Q+Iを符号化した結果が得られる。

【0022】
前記第二演算回路(C)は、第三識別回路(C1)と第四識別回路(C2)と第二排他的論理和回路(C3)とを備える。

【0023】
第三識別回路(C1)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA1)からの差動出力Q-armの正極成分(Q)と負極成分(-Q)を入力しA/D変換しその成分差(Q)を算出すると共にデータ信号(DATA1)を出力する。

【0024】
第四識別回路(C2)は、前記同期検波信号前置増幅器(AA2)からの差動出力(I-arm)の正極成分(I)と負極成分(-I)を入力しA/D変換しその成分差(I)を算出すると共にデータ信号(DATA2)を出力する。

【0025】
第二排他的論理和回路(C3)は、前記第三識別回路(C1)と第四識別回路(C2)からの各判定出力信号(Q、I)を入力して乗算処理し排他的論理和(Z)を算出する。

【0026】
第三排他的論理和回路(D)は、前記第一排他的論理和回路(B3)からの排他的論理和(XY)と第二排他的論理和回路(C3)からの排他的論理和(Z)とを入力して乗算処理し排他的論理和(XYZ)を算出し、この乗算値に比例したsinεを求めこれに基いて位相誤差εを求め、これを、ループフィルタ(loop filter)を介して発光ダイオード(LD)に入力して光信号に変換したのち、Local光(局発光)としてオプティカル90°ハイブリッド回路にフィードバックする。

【0027】
而して、Q+IとQ-Iのいずれかは位相誤差をεとした時のsinεまたは-sinεとなっているので、第三排他的論理和回路(D)は、前記第一排他的論理和回路(B3)からのDATA1とDATA2の排他的論理和(Z) と、第一排他的論理和回路(B3)からの排他的論理和により常に+sinεを量子化した結果すなわち位相誤差の符号情報を得る。

【0028】
上記が成り立つのは、位相誤差が-π<ε<πの範囲にあるときである。ループフィルタに送られる信号は位相誤差εに比例したものではなく、位相誤差を識別した結果すなわち正か負かの符号情報である。従って、ループフィルタへ入力される信号はビットごとの誤差の符号信号となり、数GHzオーダーの高速かつ数百ミリボルトの振幅であるが、一般的なラグ・リードフィルタに完全積分機能・位相補償機能を持たせることにより半導体レーザ光の位相制御信号として充分使える。

【0029】
前記各識別回路は前述のように入力信号間の大小関係を比較判断する回路であり、例えば差動入力型のリミティングアンプ(振幅制限型高利得増幅器)又はコンパレータ(比較増幅器)を用いて当該入力のアナログ信号を0/1のディジタル信号に変換して前記Q、I、X、Yを生成する。これで前記各排他的論理和回路は、信号データに依存しない位相誤差を生成する。

【0030】
ループフィルタ(loop filter)は、第三排他的論理和回路(D)からの位相誤差信号εをLDの光周波数を制御する信号に変換する。

【0031】
以上の回路構成により、前述した従来回路構成で必要であったアナログ信号の加減算回路は、本発明の装置では必要なくなり、ループフィルタへの各径路が、一つの識別回路と二つの排他的論理和回路となるため経路長を等しく調節するだけで、第三排他的論理和回路(D)への信号の入力タイミングが一致して、第三排他的論理和回路(D)での位相誤差を精度良く検出できるものである。

【0032】
なお、図1では、リミティングアンプB1、B2、C1、C2の負極出力は必ずしも第一または第二排他的論理和回路B3、C3に接続する必要はなく、また、第一排他的論理和回路B3の正極出力、第二排他的論理和回路C3の負極出力を第三の排他的論理和回路Dの負極出力に接続する必要はないが、これらを接続することによって、信号のS/N比を改善することができる。

【0033】
次に公知であるが参考に位相誤差を算出する論理を以下に紹介する。
<変調側>
PPG1=data1
PPG2=data2
data*の0、1によってπの位相差を与え、さらにdata1、2によってπ/2の位相差を与えている。

【0034】
いま、入力光をcos(wt+0)とし、
Arm1ではdata1により(1/√2)cos(wt+θ1)
Arm2ではdata2により(1/√2)cos(wt+θ2)
これらを合波する際にπ/2を与えるので出力光は
(1/√2){cos(wt+θ1)+sin(wt+θ2)}
=(1/√2){coswt*cosθ1-sinwt*sinθ1+sinwt*cosθ2+coswt*sinθ2
(where θ1、θ2=0orπ)
=(1/√2){coswt*cosθ1+sinwt*cosθ2
となる。

【0035】
伝送データが0のときθ=0、1のときθ=πとすれば
(data1、data2)=(0、0)のとき(1/√2){+coswt+sinwt} = sin(wt+π/4) = cos(wt-π/4)
(data1、data2)=(0、1)のとき(1/√2){+coswt-sinwt} = sin(wt+3π/4)= cos(wt+π/4)
(data1、data2)=(1、0)のとき(1/√2){-coswt+sinwt} = sin(wt-π/4) = cos(wt-3π/4)
(data1、data2)=(1、1)のとき(1/√2){-coswt-sinwt} = sin(wt-3π/4)= cos(wt+3π/4)

【0036】
ゆえに
(data1、data2)={(00)(0、1)、(1、0)、(1、1)}={-π/4、+π/4、-3π/4、+3π/4}=θ(data1、data2)
である。

【0037】
<受信側>
S=cos(wt+θ):信号光
L=cos(wt+ε):局発光
S+L=cos(wt+θ)+cos(wt+ε)= 2cos(wt+(θ+ε)/2)cos((θ-ε)/2)
S-L=cos(wt+θ)-cos(wt+ε)=-2sin(wt+(θ+ε)/2)sin((θ-ε)/2)
S+jL=cos(wt+θ)-sin(wt+ε)= 2cos(wt+(θ+ε+π/2)/2)cos((θ-ε-π/2)/2)
S-jL=cos(wt+θ)+sin(wt+ε)= 2cos(wt+(θ+ε-π/2)/2)cos((θ-ε+π/2)/2)
exp(jA)+j*exp(jB)=exp(jA)+exp{j(B+π/2)}
A=wt+(θ+ε)/2、B=(θ-ε)/2
2cosAcosB=cos(A+B)+cos(A-B)、2sinAsinB=cos(A-B)-cos(A+B)
さらにPDによる2乗検波で((1+cos2A)/2=cosAcosA、(1-cos2A)/2=sinAsinA)
S+L= 2cos(wt+(θ+ε)/2)cos((θ-ε)/2) : 1+ cos(θ-ε)
S-L=-2sin(wt+(θ+ε)/2)sin((θ-ε)/2) : 1-cos(θ-ε)
S+jL= 2cos(wt+(θ+ε+π/2)/2)cos((θ-ε-π/2)/2) ; 1+sin(θ-ε)
S-jL= 2cos(wt+(θ+ε-π/2)/2)cos((θ-ε+π/2)/2) : 1-sin(θ-ε)
さらに差動であるから
I=2cos(θ-ε)
Q=2sin(θ-ε)
ゆえにI-armはcosθすなわちdata1を表し
Q-armはsinθすなわちdata2を表す。

【0038】
<decision driven回路>
・dd回路はdataを復号化するとともに位相誤差εを検出する。さらにループフィルタを経て局発光を制御することで安定にホモダイン検波が実現できる。ただしデータであるθに依存せずεのみに依存する形にする。
・識別回路(decision circuit)はアナログ信号を2値にディジタル化する。(式では[]を使用する)
(実際にはリミテッド回路あるいはコンパレータ)
【数1】
JP2014138258A_000003t.gif

【0039】
【表1】
JP2014138258A_000004t.gif
【数2】
JP2014138258A_000005t.gif

【0040】
<送信側>
(data1、data2)={(0、0)(0、1)、(1、0)、(1、1)}={-π/4、+π/4、-3π/4、+3π/4}=θ(data1、data2)
<受信側>
I=2cos(θ-ε)
Q=2sin(θ-ε)
ERROR出力はどうなる?
【数3】
JP2014138258A_000006t.gif

【0041】
常に 4θ=π であるから
ERROR=[sin(4ε)]
となり+/-が誤差εにより決まる。
具体的には
(0、0)のときθ=-π/4
I=2cos(-π/4-ε)=√2(cosε-sinε)
Q=2sin(-π/4-ε)=√2(-cosε-sinε)
I+Q=-2√2(sinε)
I-Q=+2√2(cosε)
より
【数4】
JP2014138258A_000007t.gif

【0042】
【表2】
JP2014138258A_000008t.gif
つまり、ERRORからはデータに依存せずにsinεに従った出力が得られる。また、εの絶対値が充分に小さいとき(|ε|≪1)、sinε≒εが成り立つ。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の光位相変調信号受信装置は、前述した優れた作用効果を有するため、光通信産業及びその関連産業において、大いに活用され貢献すること多大なものがある。
【符号の説明】
【0044】
AA1、AA2 同期検波信号前置増幅器
B 第一演算回路
C 第二演算回路
B1 第一識別回路
B2 第二識別回路
B3 第一排他的論理和回路
C1 第三識別回路
C2 第四識別回路
C3 第二排他的論理和回路
D 第三排他的論理和回路
図面
【図1】
0
【図2】
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