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明細書 :Cリング型ベルト式クラッチ。

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5499416号 (P5499416)
公開番号 特開2011-163543 (P2011-163543A)
登録日 平成26年3月20日(2014.3.20)
発行日 平成26年5月21日(2014.5.21)
公開日 平成23年8月25日(2011.8.25)
発明の名称または考案の名称 Cリング型ベルト式クラッチ。
国際特許分類 F16D  41/20        (2006.01)
FI F16D 41/20 A
請求項の数または発明の数 2
全頁数 6
出願番号 特願2010-030399 (P2010-030399)
出願日 平成22年2月15日(2010.2.15)
審査請求日 平成24年9月11日(2012.9.11)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】今戸啓二
審査官 【審査官】小川 克久
参考文献・文献 実開昭55-015460(JP,U)
実開昭61-182424(JP,U)
実開平04-096630(JP,U)
特開2001-146117(JP,A)
調査した分野 F16D 41/20
特許請求の範囲 【請求項1】
原動軸に固定したパワーリング内の中央部に従動軸を位置させ、パワーリング周面と従動軸外周面間に回転伝達巻きベルトを、同巻きベルトの巻内に摩擦Cリングを各々配置し、前記回転伝達ベルトはその先端部を摩擦Cリングの一端に接続し後端部をパワーリングに連結し、摩擦Cリングは内周面長を前記従動軸の外周面長さより短くし且つ巻きベルトの巻締めにより従動軸の外周面に沿って密着すると共に巻きベルトの巻締開放により離間可能にし、前記従動軸のパワーリング外の外周部に、その軸方向に平行移動して摩擦Cリングの側面に当接離間可能なスライダーを設け、前記スライダーが前記摩擦Cリングの側面に当接すると前記巻きベルトが巻締することを特徴とするCリング型ベルト式クラッチ。
【請求項2】

「原動軸に固定したパワーリング内の中央部に従動軸を位置させ、パワーリング周面と従動軸外周面間に回転伝達巻きベルトを、同巻きベルトの巻内に摩擦Cリングを各々配置し、前記回転伝達ベルトは先端部を摩擦Cリングに接続し、後部側を複数に分岐してその各分岐端部をパワーリングに所定間隔を置いて連結し、前記摩擦Cリングは内周面長を前記従動軸の外周面長さより短くし且つ巻きベルトの巻締めにより従動軸の外周面に沿って密着すると共に巻きベルトの巻締開放により離間可能にし、前記従動軸のパワーリング外の外周部に、その軸方向に平行移動して摩擦Cリングの側面に当接離間可能なスライダーを設け、前記スライダーが前記摩擦Cリングの側面に当接すると前記巻きベルトが巻締することを特徴とするCリング型ベルト式クラッチ。


発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、Cリング型ベルト式クラッチに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルト式クラッチは一般にエンドレスベルトを原動軸に装着した駆動プーリと従動軸に装着した従動プーリにルーズにかけて、このプーリ間に進退プーリを設けてルーズ状のベルトにテンションを与えて従動プーリを回転させ、そのテンション解除によりもとのルーズ状に戻して従動プーリの回転を停止させるものがほとんどであり、構造的に複雑で且つベルトの緊張・弛緩による摩耗損傷が激しく早期に損傷し交換を余儀なくされるものが多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、構造的に簡易堅牢で且つベルトの緊張・弛緩による摩耗損傷を防止しその寿命を長期にわたって維持するCリング型ベルト式クラッチを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記目的を満足するCリング型ベルト式クラッチであり、その特徴とするところは、次の(1)~(2)にある。
【0005】
(1)、原動軸に固定したパワーリング内の中央部に従動軸を位置させ、
パワーリング内周面と従動軸外周面間に回転伝達巻きベルトと同巻きベルトの巻内に摩擦Cリングを配置し、
前記回転伝達ベルトの先端部は摩擦Cリングに接続し、前記回転伝達ベルトの後端部をパワーリングに連結し、
前記摩擦Cリングは内周面長を前記従動軸の外周面長より短くし、巻きベルトの巻締めにより従動軸の外周面に沿って密着し、巻きベルトの巻締開放により離間可能にし、
前記従動軸のパワーリング外の外周部にその軸方向に平行移動して摩擦Cリングの側面に当接離間可能なスライダーを設けた
ことを特徴とするCリング型ベルト式クラッチ。
【0006】
(2)、原動軸に固定したパワーリング内の中央部に従動軸を位置させ、
パワーリング周面と従動軸外周面間に回転伝達巻きベルトを、同巻きベルトの巻内に摩擦Cリングを各々配置し、
前記回転伝達ベルトはその先端部を摩擦Cリングに接続し後部側を複数に分岐してその各分岐端部をパワーリングに所定間隔を置いて連結し、
前記摩擦Cリングは内周面長を前記従動軸の外周面長より短くし且つ巻きベルトの巻締めにより従動軸の外周面に沿って密着すると共に巻きベルトの巻締開放により離間可能にし、
前記従動軸のパワーリング外の外周部にその軸方向に平行移動して摩擦Cリングの側面に当接離間可能にしたスライダーを設けた
ことを特徴とするCリング型ベルト式クラッチ。
【発明の効果】
【0007】
本発明のCリング型ベルト式クラッチは、上記構成の如くコンパクトで簡易堅牢な構造にすることができる。
本発明のCリング型ベルト式クラッチは、トリガ-ピンをC型をした開口部を有する前記摩擦Cリングに置換したものである。回転伝達ベルトの先端は摩擦Cリングに連結している。クラッチを連結する場合は,トリガ-ピンと同様にスライダ-を摩擦Cリングの側面に軽く接触させる。すると摩擦Cリングは、従動軸と同じ回転速度になろうとして瞬時に低速化し,その分、回転伝達ベルトを外周面に巻き付けて自己巻締め上げ状態になり摩擦Cリングは弾性変形する。これで摩擦Cリングの開口部は小さくなり、摩擦Cリングの内周面は従動軸の外周面に強く摩擦結合してトルクは従動軸に伝達される。パワ-リングの回転速度が従動軸の回転速度より遅くなれば、ベルト張力は消滅して、摩擦Cリングは弾性力のために開口部は広がり,クラッチが切断された状態になる。
この作用によりトルクを伝える摩擦部は、従動軸外周面と摩擦Cリング内周面との面接触部になるので、回転伝達ベルトは、摩擦Cリングの巻締め・巻解除の際の緊張・弛緩力を受けるのみで摩耗による損傷は殆ど無く回転伝達ベルトの寿命を長期にわたって維持できる。また回転伝達ベルトのパワ-リングと接合する後部側を複数に分岐して、その各分岐端部をパワーリング内周部に所定間隔を置いて連結することにより、パワ-リングと従動軸の軸芯間にオフセットがある場合でも、軸芯オフセットに伴う従動軸の軸速度の変動が平滑化されて高位に安定したトルク伝導が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施例1の概略を示す斜視説明図である。
【図2】実施例1の要部の側断面説明図(1)でありクラッチを切った状態を示し、(1)の矢視A-Aからの切断面説明図(2)を示す。
【図3】実施例1の要部の側断面説明図(1)でありクラッチを入れた状態を示し、(1)の矢視B-Bからの切断面説明図(2)を示す。
【図4】本発明の実施例2の要部の切断面説明図であり、クラッチを切った状態を(1)に示し、クラッチを入れた状態を(2)に示す。
【図5】本発明の実施例1と実施例2における従動軸の一回転中の軸の角度変化を示すグラフ。

【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明を実施するための最良の形態は以下に示す実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0010】
実施例1のCリング型ベルト式クラッチを、図1、図2(1)、(2)及び図3(1)、(2)に示す。
図1は本発明の実施例1の概略を示す斜視説明図であり、図2(1)は、実施例1の要部の側断面説明図でありクラッチを切った状態を示し、図2(2)は、図2(1)の矢視A-Aからの切断面説明図を示す。
図3(1)は、図2の状態からクラッチを入れた状態の側断面説明図であり、図3(2)は、図3(1)の矢視B-Bからの切断面説明図を示す。
図1~図3において、実施例1のCリング型ベルト式クラッチは、原動軸100と従動軸200間に、原動軸100と一体的に連結した筒状のパワーリング300と、回転伝達巻きベルト400と、ベルト400幅より大きい幅にした摩擦Cリング500と、スライダー600とからなる。
【0011】
回転伝達巻きベルト400は、パワーリング300の周面と摩擦Cリング500の外周面との間に配置し、先端部401は摩擦Cリング500の外周面に接続し後端部402をパワーリング300の周面に連結する。
摩擦Cリング500は、開口部を有するC型で回転伝達巻きベルト400と従動軸200外周面間に配置し、内周面長を前記従動軸の外周面長より短くして、巻きベルトの巻締めにより従動軸の外周面に沿って弾性変形することで強く密着して摩擦結合し、巻きベルトの巻締開放により弾性力にて離間可能にしてある。
スライダ-600は前記従動軸200のパワーリング300外の外周部に、その軸方向にのみ平行移動可能に設け図示していないがソレノイド機構やピストンシリンダー機構等の適宜なスライド駆動装置により摩擦Cリング500の側面に当接・離間可能にしてある。
【0012】
以上の構成により、図2(1)、(2)のクラッチを切った状態からクラッチを入れる(連結する)場合は,図3(1)、(2)に示す如く、スライド駆動装置によりスライダ-600を摩擦Cリング500の側面に軽く接触させる。すると摩擦Cリング500は、従動軸200と同じ回転速度になろうとして瞬時に低速化し,その分、回転伝達ベルト400を外周面に巻き付けて自己巻締め上げ状態になり摩擦Cリングは従動軸を締め付けるように弾性変形する。これで摩擦Cリング500の開口部は小さくなって摩擦Cリングの内周面を従動軸200の外周面に強く密着して摩擦接合されることでトルクを従動軸200に伝達し従動軸200を回転させる。クラッチの接合が一旦完了すれば、スライダ-600を摩擦Cリング500から離間させてもベルト張力の作用している限りクラッチが切れることはない。一方、パワ-リングの回転速度が従動軸の回転速度より遅くなれば、ベルト張力は消滅して、図2(1)、(2)に示す如く、摩擦Cリング500は弾性力により開口部が広がり復元して摩擦Cリング500と従動軸200との摩擦接合は解除されて、クラッチが切れた状態になる。
【実施例2】
【0013】
実施例2のCリング型ベルト式クラッチを図4(1)、(2)に示す。図4(1)はクラッチを切った状態を示し、図4(2)はクラッチが接合された状態を示す。
図4(1)、(2)において、実施例2のCリング型ベルト式クラッチは、前記実施例1の回転伝達ベルト400を変形した例であり、共通構成部分は同一符号を付してそれらの説明は省略する。
実施例2のCリング型ベルト式クラッチにおける回転伝達ベルト400は、先端部401を摩擦Cリング500の外周面に接続し、後部側を複数に分岐して本例は双尾型に分岐してその各分岐端部402a、402bをパワーリング300の外周部に、ここでは180度の間隔を置いて連結する。
これで、パワ-リング300と従動軸200の軸芯間にオフセットがある場合でも、軸芯オフセットに伴う従動軸200の軸速度の変動が平滑化されて高位に安定したトルク伝導が可能になる。
【0014】
図5に実施例2の双尾型の回転伝達ベルト400と実施例1の単尾型の回転伝達ベルト400による従動軸200の一回転中の従動軸の角度変化を示す。これは従動軸直径30mm、パワ-リング300の外径89mm、軸芯オフセットは8mmとかなり大きなオフセットで実験した結果を示しており、通常の軸継ぎ手では接合することはまず不可能である。一方、このような状態でも本発明のベルト式クラッチではトルク伝達可能であり、本例の双尾型の回転伝達ベルト400を使った場合の従動軸200の回転角度の変化曲線Wは、実施例1での単尾型の回転伝達ベルト400による従動軸200の回転角度の変化曲線Sと比較して、回転速度が一定であることを示す一点鎖線からの偏差の小さくなっていることが分かる。尚、従動軸200の回転角度を時間で微分した回転角速度で比較しても同様な評価結果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明のCリング型ベルト式クラッチは、上記構成の如くコンパクトで簡易堅牢な構造であり、ベルトの緊張・弛緩による摩耗損傷を防止しその寿命を長期にわたって維持するもので、あらゆるベルト式駆動伝達装置に適用することができ、この種の産業に貢献すること多大なものがある。
【符号の説明】
【0016】
100:原動軸
200:従動軸
300:パワーリング
400:回転伝達巻きベルト
401:ベルト先端部
402、402a、402b:ベルト後端部
500:摩擦Cリング
600:スライダー
図面
【図1】
0
【図2】
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【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4