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明細書 :液晶性ポリアミノウレタン、その製造中間体、およびそれらの製造方法

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第5998403号 (P5998403)
公開番号 特開2013-245321 (P2013-245321A)
登録日 平成28年9月9日(2016.9.9)
発行日 平成28年9月28日(2016.9.28)
公開日 平成25年12月9日(2013.12.9)
発明の名称または考案の名称 液晶性ポリアミノウレタン、その製造中間体、およびそれらの製造方法
国際特許分類 C08G  18/38        (2006.01)
C07C 245/08        (2006.01)
C07D 295/08        (2006.01)
FI C08G 18/38 019
C07C 245/08 CSP
C07D 295/08
請求項の数または発明の数 4
全頁数 23
出願番号 特願2012-121366 (P2012-121366)
出願日 平成24年5月28日(2012.5.28)
新規性喪失の例外の表示 特許法第30条第2項適用 高分子学会予稿集,第61巻,第1号[2012],第721頁、発行日平成24年5月15日
審査請求日 平成27年2月16日(2015.2.16)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】304028726
【氏名又は名称】国立大学法人 大分大学
発明者または考案者 【氏名】氏家 誠司
【氏名】那谷 雅則
個別代理人の代理人 【識別番号】100080160、【弁理士】、【氏名又は名称】松尾 憲一郎
【識別番号】100149205、【弁理士】、【氏名又は名称】市川 泰央
審査官 【審査官】久保田 英樹
参考文献・文献 米国特許第03170909(US,A)
米国特許第03743580(US,A)
特開昭62-286036(JP,A)
特開平07-258369(JP,A)
特開平03-218338(JP,A)
特開平01-238565(JP,A)
米国特許第05395910(US,A)
調査した分野 C08G 18/00- 18/87
C07C 245/00-245/24
C07D 295/00-295/32
CAplus(STN)
REGISTRY(STN)
特許請求の範囲 【請求項1】
下記式(1)
【化1】
JP0005998403B2_000058t.gif
(式中、R1は
【化2】
JP0005998403B2_000059t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化3】
JP0005998403B2_000060t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化4】
JP0005998403B2_000061t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化5】
JP0005998403B2_000062t.gif
のいずれかの基を表し、R5は
【化6】
JP0005998403B2_000063t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタン。
【請求項2】
下記式(2)
【化7】
JP0005998403B2_000064t.gif
(式中、R1は
【化8】
JP0005998403B2_000065t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化9】
JP0005998403B2_000066t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化10】
JP0005998403B2_000067t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化11】
JP0005998403B2_000068t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物。
【請求項3】
2つの1,4-フェニレン基がアゾ基もしくはビニレン基で連結されるとともに、α-ヒドロキシアルキレンエーテル基、及びω-ハロゲン化アルキレンエーテル基を有するハロゲン基含有化合物と、
片末端にアルコール性ヒドロキシル基を有する第2級アミンと
を反応させて下記式(2)
【化12】
JP0005998403B2_000069t.gif
(式中、R1は
【化13】
JP0005998403B2_000070t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化14】
JP0005998403B2_000071t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化15】
JP0005998403B2_000072t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化16】
JP0005998403B2_000073t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物とし、ジイソシアナートと重合させることにより下記式(1)
【化17】
JP0005998403B2_000074t.gif
で示される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタンを製造する方法。
【請求項4】
2つの1,4-フェニレン基がアゾ基もしくはビニレン基で連結されるとともに、α-ヒドロキシアルキレンエーテル基、及びω-ハロゲン化アルキレンエーテル基を有するハロゲン基含有化合物と、
片末端にアルコール性ヒドロキシル基を有する第2級アミンと
を反応させて下記式(2)
【化18】
JP0005998403B2_000075t.gif
(式中、R1は
【化19】
JP0005998403B2_000076t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化20】
JP0005998403B2_000077t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化21】
JP0005998403B2_000078t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化22】
JP0005998403B2_000079t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物を製造する方法。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶性ポリアミノウレタン、その製造中間体、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶性高分子は、その高い配向性を利用して、高性能材料や高機能性材料への応用がなされてきた。特に、主鎖型サーモトロピック液晶性高分子の工業的な応用については数多くの提案(例えば、特許文献1)がなされている。
【先行技術文献】
【0003】

【特許文献1】特開2002-363266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、それら応用例のほとんどは液晶性ポリエステルを利用した耐熱性樹脂や、高強度・高弾性率繊維としての利用が主であり、応答性を考慮した材料の開発は行われておらず、100℃以下で応答できる液晶性高分子の提案はなされていない。
【0005】
側鎖型液晶性高分子であれば、比較的自由な運動が可能な側鎖に機能性官能基を導入することができる。また、側鎖型液晶性高分子は主鎖型液晶性高分子に比べ、相対的に重合度が小さくなる。従って、側鎖型液晶性高分子の場合は、応答性を有する液晶性高分子とすることは容易である。しかしながら主鎖型液晶性高分子の場合、機能性官能基を導入しても自由な運動が制限される上、重合度が高く固い樹脂となりやすいため、100℃以下における応答性を付与することは困難であった。
【0006】
本発明の目的は、100℃以下、更には室温においても応答可能な新規な液晶性高分子、特に、主鎖型サーモトロピック液晶性高分子である液晶性ポリアミノウレタンを提供することにある。また、当該液晶性ポリアミノウレタンを製造するために有効な製造中間体を提供する。更に、当該液晶性ポリアミノウレタン、およびその製造中間体を製造する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記式(1)
【化1】
JP0005998403B2_000002t.gif
(式中、R
【化2】
JP0005998403B2_000003t.gif

のいずれかの基を表し、R
【化3】
JP0005998403B2_000004t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化4】
JP0005998403B2_000005t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化5】
JP0005998403B2_000006t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化6】
JP0005998403B2_000007t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタンを提供する。
【0008】
本発明はさらに、本発明の液晶性ポリアミノウレタンの製造中間体として有用な、下記式(2)
【化7】
JP0005998403B2_000008t.gif
(式中、R
【化8】
JP0005998403B2_000009t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化9】
JP0005998403B2_000010t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化10】
JP0005998403B2_000011t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化11】
JP0005998403B2_000012t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物を提供する。
【0009】
本発明はさらに、2つの1,4-フェニレン基がアゾ基もしくはビニレン基で連結されるとともに、α-ヒドロキシアルキレンエーテル基、及びω-ハロゲン化アルキレンエーテル基を有するハロゲン基含有化合物と、片末端にアルコール性ヒドロキシル基を有する第2級アミンとを反応させて下記式(2)
【化12】
JP0005998403B2_000013t.gif
(式中、R1は
【化13】
JP0005998403B2_000014t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化14】
JP0005998403B2_000015t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化15】
JP0005998403B2_000016t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化16】
JP0005998403B2_000017t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物とし、ジイソシアナートと重合させることにより下記式(1)
【化17】
JP0005998403B2_000018t.gif
で示される繰り返し単位を有する液晶性ポリアミノウレタンを製造する方法を提供する。
【0010】
本発明はさらに、2つの1,4-フェニレン基がアゾ基もしくはビニレン基で連結されるとともに、α-ヒドロキシアルキレンエーテル基、及びω-ハロゲン化アルキレンエーテル基を有するハロゲン基含有化合物と、片末端にアルコール性ヒドロキシル基を有する第2級アミンとを反応させて下記式(2)
【化18】
JP0005998403B2_000019t.gif
(式中、R1は
【化19】
JP0005998403B2_000020t.gif
のいずれかの基を表し、R2は
【化20】
JP0005998403B2_000021t.gif
のいずれかの基を表し、R3は
【化21】
JP0005998403B2_000022t.gif
のいずれかの基を表し、R4は
【化22】
JP0005998403B2_000023t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)
で示されるジオール化合物を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、100℃以下、更には室温においても応答可能な主鎖型の液晶性ポリアミノウレタンとすることができる。また、本発明の製造中間体であるジオール化合物によれば、ジイソシアナートと重合させることにより、100℃以下、更には室温においても応答可能な主鎖型の液晶性ポリアミノウレタンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】LCPU-A、高分子Aおよび高分子BのDSC曲線。
【図2】LCPU-B、LCPU-Cおよび高分子CのDSC曲線。
【図3】高分子DのDSC曲線。
【図4】分子量が異なるLCPU-AのDSC曲線。
【図5】LCPU-Aの転位温度の分子量依存性を示す図。
【図6】LCPU-Aの転位エンタルピーおよび転位エントロピーの分子量依存性を示す図。
【図7】実施例および比較例に係る化合物の偏光顕微鏡写真。
【図8】液晶紡糸したLCPU-BのX線回折チャート(昇温過程)。
【図9】直交ニコル下でのLCPU-Bの紡糸試料の偏光顕微鏡写真。
【図10】紫外線照射時間経過に対する紡糸試料(LCPU-B)の曲がり角度を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。

【0014】
本発明の液晶性ポリアミノウレタンは、主鎖にアミノ基およびベンゼン環を介した屈曲部、光応答性のメソゲンコア、ウレタン結合、柔軟性を有するメチレン鎖を有する主鎖型サーモトロピック液晶性高分子である。本発明の液晶性ポリアミノウレタンは、柔軟な性質を有するウレタンに液晶性を付与した高分子である。本発明の液晶性ポリアミノウレタンは、次の式(1)で表される繰り返し単位を有する。

【0015】
【化23】
JP0005998403B2_000024t.gif
(式中、R
【化24】
JP0005998403B2_000025t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化25】
JP0005998403B2_000026t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化26】
JP0005998403B2_000027t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化27】
JP0005998403B2_000028t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化28】
JP0005998403B2_000029t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)

【0016】
式(1)中、Rを柔軟性のある官能基とすることにより、液晶性ポリアミノウレタンの応答温度を低下させることができる。

【0017】
式(1)中、Rをアミノ基を有する構造としたのは、イオン化や水素結合による他の分子との複合化や架橋化構造の導入を可能とするためである。更に、アミノ基による屈曲構造を導入することにより、液晶性ポリアミノウレタンの応答温度を低下させることができる。

【0018】
なお、式(1)中、Rをアルキルアミン構造をもつ第三級アミンあるいはそのイオン化物とすることもできる。

【0019】
式(1)中、Rがアルキル鎖の場合は、柔軟鎖としてアゾベンゼン(メソゲン基)の配向を容易にし、転移温度が低下する。式(1)中、Rが芳香環が導入されているキシリレンの場合は、アゾベンゼンと連結することによって擬メソゲン基的な役割をもち、クランクシャフト運動のため転移温度を適度に低下させる効果がある。

【0020】
式(1)中、Rをアゾ基またはビニレン基とすることにより、光応答性を有する液晶性ポリアミノウレタンとすることができる。

【0021】
式(1)中、Rに屈曲部を導入することにより、液晶性ポリアミノウレタンの応答温度を低下させることができる。また、Rに屈曲部を導入することにより、液晶性ポリアミノウレタンの再配向性を向上させ、液晶紡糸などの加工性をもたせることができる。

【0022】
以上のように、分子中に柔軟な構造、および屈曲構造を導入することにより、100℃以下での応答が可能な液晶性ポリアミノウレタンとすることができる。

【0023】
以上のような官能基を導入して柔軟性や屈曲部を有する高分子とすれば、高分子間の水素結合が減少するため、通常は結晶状態となる条件下においても部分的に非晶状態の箇所が増加し、主鎖型でありながら低温においても応答可能となるものと考えられる。

【0024】
特に、上記式(1)におけるxおよびzを6以上の整数とすることにより、30℃以下でも応答可能な液晶性ポリアミノウレタンとすることができる。

【0025】
なお、上記式(1)におけるxおよびzは6とするのが好ましい。xおよびzの数が少なくなると液晶性ポリアミノウレタンの重合度が上がらず、また、多くなると溶媒への溶解性が低下して収率が下がるためである。

【0026】
本発明による液晶性ポリアミノウレタンは熱可塑性と液晶性を有しており、繊維化、樹脂化およびフィルム化等の成形加工を容易に行うことが可能である。さらに、一般的な主鎖型液晶性高分子と異なり溶媒に対する溶解性が高く、テトラヒドロフラン(THF)等の汎用溶媒に溶解するため、さまざまなものの表面に塗布することが可能である。

【0027】
また、本発明による液晶性ポリアミノウレタンを紡糸することにより、光応答性を有する繊維構造体に加工することができる。すなわち、当該光応答性の繊維構造体は、室温で紫外可視光線照射によって可逆的に変形させることが可能である。

【0028】
本発明による液晶性ポリアミノウレタンは、ω-ハロゲン化アルキル基を有する化合物とアミンとを反応させて下記式で表されるジオール化合物(2)とした後、ジイソシアナートと重合反応させることにより製造することができる。

【0029】
【化29】
JP0005998403B2_000030t.gif

(式中、R
【化30】
JP0005998403B2_000031t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化31】
JP0005998403B2_000032t.gif

のいずれかの基を表し、R
【化32】
JP0005998403B2_000033t.gif
のいずれかの基を表し、R
【化33】
JP0005998403B2_000034t.gif
のいずれかの基を表す。xは2~12の整数、yは2~6の整数、zは2~12の整数を表す。)

【0030】
また、この重合反応は室温にて非加熱で行うことが可能であるため、安く、簡単なプロセスで液晶性ポリアミノウレタンを合成できる。

【0031】
[液晶性ポリアミノウレタンの製造]
以下、本発明による液晶性ポリアミノウレタンの具体例について説明する。なお、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。

【0032】
まず、本発明の液晶性ポリアミノウレタンを製造するための製造中間体となるジオール化合物の例について説明する。なお、下記ジオール化合物には、後述の比較例に記載の化合物の製造中間体も含まれている。

【0033】
[ジオール化合物Aの合成]
200mlビーカーに6-(4-アミノフェノキシ)ヘキサノール(4.6g,22.0mmol)および塩酸(10ml)を入れ、塩酸塩とした。別のビーカーでNaNO(1.61g,23.3mmol)を少量の水に溶かした溶液を用意した。それら二つの溶液を遮光しながら氷で5℃に冷却した。二つの溶液を混合し、ジアゾニウム塩とした。ポリ容器にフェノール(2.2g,23.5mmol)、水酸化ナトリウム(1.0g,23.4mmol)、および少量の水を入れ、均一にした後、氷を入れて冷却した。そこに合成したジアゾニウム塩を少しずつ加え、反応溶液のpHを8-9程度に保つように、水酸化ナトリウム水溶液を加えた。その後室温で1時間撹拌を行い、塩酸で酸性化し、沈殿した粗成生物をろ別した。粗生成物をデシケータで減圧乾燥し、2-プロパノールで再結晶し、下記化合物(3)を得た。化合物(3)の収量は2.4gであり、収率は35.0%であった。

【0034】
【化34】
JP0005998403B2_000035t.gif

【0035】
次に、500mlナスフラスコに1,6-ジブロモヘキサン(4.9g,20.2mmol)、KCO(1.5g,10.9mmol)、およびアセトン(150ml)を入れた。それをオイルバスを用いて70℃で熱しながら、化合物(3)(4-[4-(6-ヒドロキシヘキシルオキシ)フェニルアゾ]フェノール)(2.4g,7.6mmol)のアセトン(150ml)溶液を滴下し、19時間還流した。還流後、ガラスフィルターにセライトを敷き詰め、その上から還流した反応溶液をそそぎ、塩の大半を取り除いた。留出した溶液からエバポレーターを用いてアセトンを留去した。残留した固形物をクロロホルムに溶かし、水洗し、硫酸マグネシウムで脱水した。再度エバポレーターで溶媒を減圧留去し、生成物をメタノールとアセトンの混合溶媒で再結晶した。析出した生成物をろ別し、化合物(4)を得た。化合物(4)の収量は2.4gであり、収率は67.0%であった。

【0036】
【化35】
JP0005998403B2_000036t.gif

【0037】
次に、100mlナスフラスコに化合物(4)(6.4g,13.1mmol)、2-メチルアミノエタノール(2.7g,34.1mmol)、DIPEA[N,N-diisopropylamine](2.6g,19.7mmol)、およびアセトニトリル100mlを入れ、乾燥窒素で反応系を満たしながら、オイルバスを用いて、70℃で15時間還流した。還流後、薄層クロマトグラフィーにより反応が終結しているのを確認した。その後、エバポレーターを用いて、アセトニトリルを留去し、粗生成物を得た。この粗生成物をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて水洗した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水し、ろ別後、ろ液からエバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。得られた粗生成物を少量のクロロホルムに溶解し、冷却したヘキサンを加え生成物を再沈殿した。生成物をろ別し、次式(5)で示されるジオール化合物Aを得た。ジオール化合物Aの収量は4.5gであり、収率は70.6%であった。

【0038】
【化36】
JP0005998403B2_000037t.gif

【0039】
[ジオール化合物Bの合成]
500mlナスフラスコに化合物(3)(10.0g,31.8mmol)、α,α’-ジクロロキシレン(17.04,95.4mmol)、KCO(5.71g,41.3mmol)およびアセトン(300ml)を入れた。反応溶液を約23時間還流した後、エバポレーターでアセトンを留去した。固体をクロロホルムに溶解させ、水およびアルカリ水で洗浄した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで脱水した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液をエバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。粗生成物をアセトンを用いて再結晶した。析出した固体をろ別し、化合物(6)を得た。化合物(6)の収量は8.7gであり、収率は60.1%であった。

【0040】
【化37】
JP0005998403B2_000038t.gif

【0041】
次に、100mlナスフラスコに化合物(6)(1.3g,2.9mmol)、2-メチルアミノエタノール(0.6g,7.5mmol)、DIPEA[N,N-diisopropylamine](0.6g,4.3mmol)、およびアセトニトリル75.0mlを入れ、乾燥窒素で反応系を満たし、オイルバスを用いて、70℃で15時間還流した。還流後、薄層クロマトグラフィーにより反応が終結しているのを確認した。その後、エバポレーターを用いて、アセトニトリルを留去した。クロロホルムに溶解させ、有機相を蒸留水で洗浄した。有機相を抽出し、硫酸マグネシウムで有機相を脱水した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からエバポレーターを用いてクロロホルムを留去した。粗結晶を少量のクロロホルムに溶かし、冷却したヘキサンを加え生成物を再沈殿した。溶液を吸引ろ過し、得られた生成物をデシケータで乾燥させた。乾燥させた生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、次式(7)で示されるジオール化合物Bを得た。ジオール化合物Bの収量は1.2gであり、収率は79.4%であった。

【0042】
【化38】
JP0005998403B2_000039t.gif

【0043】
[ジオール化合物Cの合成]
200mlナスフラスコに化合物(6)(1.0g,2.2mmol)、1-(2-(2-(ヒドロキシ)エトキシ)エチル)ピペラジン(1.0g,5.7mmol)、DIPEA[N,N-diisopropylamine](0.4g,1.3mmol)、アセトニトリル70mlを入れた。その溶液を窒素条件下、70℃で6時間還流した。反応終了後、アセトニトリルをエバポレーターを用いて留去した。粗結晶をクロロホルムに溶解させ蒸留水で洗浄し、クロロホルム溶液に硫酸マグネシウムを加え、乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からクロロホルムをエバポレーターを用いて留去し、次式(8)で示されるジオール化合物Cを得た。ジオール化合物Cの収量は0.8gであり、収率は63.4%であった。

【0044】
【化39】
JP0005998403B2_000040t.gif

【0045】
[ジオール化合物Dの合成]
ナス型フラスコに、6-(4-(4-(6-ブロモヘキシルオキシ)フェニルアゾ)フェノキシ)ヘキサノール(2.06g,4.9mmol)、1,2-メチルアミノエタノール(0.98g,13mmol)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(0.97g,7.4mmol)、およびアセトニトリル45mlを入れ、オイルバスで加熱しながら10時間撹拌還流した。溶媒をエバポレーターを用いて留去し、粗結晶をクロロホルムに溶解させ、分液ロートを用いて食塩水および蒸留水で洗浄した。クロロホルム溶液を硫酸マグネシウムで乾燥後、クロロホルムをエバポレーターを用いて留去し、粗結晶を2-プロパノールで再結晶し、析出した生成物をろ別し、次式(9)で示されるジオール化合物Dを得た。ジオール化合物Dの収量は1.38gであり、収率は68.2%であった。

【0046】
【化40】
JP0005998403B2_000041t.gif

【0047】
[ジオール化合物Eの合成]
ナス型フラスコに、化合物(4)(2.41g,5.7mmol)、1-[2-(2-ヒドロキシ)エチル]ピペラジン(2.65g,15mmol)、N,N’-ジイソプロピルエチルアミン(1.14g,8.6mmol)、およびアセトニトリル45mlを入れ、オイルバスで加熱しながら10時間撹拌還流した。アセトニトリルをエバポレーターを用いて留去し、次式(10)で示されるジオール化合物Eを得た。ジオール化合物Eの収量は1.85gであり、収率は63.2%であった。

【0048】
【化41】
JP0005998403B2_000042t.gif

【0049】
[ジオール化合物Fの合成]
500mlナスフラスコに化合物(3)(9.6g,19.0mmol)、α,α’-ジクロロキシレン(10.0,57.1mmol)、KCO(7.9g,28.6mmol)、およびアセトン(170ml)を入れ、70℃で約23時間還流した。還流後、エバポレーターでアセトンを留去した。粗生成物をクロロホルムに溶解させ、水およびアルカリ水で洗浄した。硫酸マグネシウムでクロロホルム溶液を脱水した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からクロロホルムをエバポレーターを用いて留去した。残留した固体をアセトンを用いて再結晶した。析出した生成物をろ別し、化合物(11)を得た。化合物(11)の収量は4.3gであり、収率は47.9%であった。

【0050】
【化42】
JP0005998403B2_000043t.gif

【0051】
次に、100mlナスフラスコに化合物(11)(3.0g,6.6mmol)、2-メチルアミノエタノール(1.2g,17.2mmol)、DIPEA[N,N’-diisopropylamine](1.3g,9.9mmol)、およびアセトニトリル100mlを入れ、乾燥窒素下70℃で15時間還流した。溶媒をエバポレーターを用いて留去し、粗結晶をクロロホルムに溶解させ蒸留水で洗浄した。クロロホルム相を硫酸マグネシウムを加え乾燥した。硫酸マグネシウムをろ別し、ろ液からクロロホルムをエバポレーターを用いて留去し、次式(12)で示されるジオール化合物Fを得た。ジオール化合物Fの収量は2.2gであり、収率は64.6%であった。

【0052】
【化43】
JP0005998403B2_000044t.gif

【0053】
[ジオール化合物Gの合成]
300mlナスフラスコに化合物(3)(8.0g,25.4mmol)、6-クロロ-1-ヘキサノール(4.3g,30.5mmol)、NaH(1.1g,25.4mmol)、およびDMF(80ml)を入れた。還流塔にナスフラスコを装着し、系内を窒素置換して還流した。約24時間還流し、反応溶液をクロロホルムに溶解し、水およびアルカリ水で洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムによって脱水し、硫酸マグネシウムをろ過して取り除いた。有機相を減圧留去し、次式(13)で示されるジオール化合物Gを得た。ジオール化合物Gの収量は1.1gであり、収率は10.0%であった。

【0054】
【化44】
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【0055】
[ジオール化合物とジイソシアナートとの共重合]
得られたジオール化合物とジイソシアナートとを共重合し、下記実施例で示される液晶性ポリアミノウレタン、および比較例で示される高分子を得た。

【0056】
[実施例1]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコを室温になるまで静置した後、モル比1:1のジオール化合物Aおよび2,4-ジイソシアン酸トリレンと、撹拌子を入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え、試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(14)で示される液晶性ポリアミノウレタンA(LCPU-A)を得た。

【0057】
【化45】
JP0005998403B2_000046t.gif

【0058】
[実施例2]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温まで静置し、モル比1:1のジオール化合物Bおよび2,4-ジイソシアン酸トリレンと、撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え,試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(15)で示される液晶性ポリアミノウレタンB(LCPU-B)を得た。

【0059】
【化46】
JP0005998403B2_000047t.gif

【0060】
[実施例3]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温まで静置し、モル比1:1のジオール化合物Cおよび2,4-ジイソシアン酸トリレンと、撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え、試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(16)で示される液晶性ポリアミノウレタンC(LCPU-C)を得た。

【0061】
【化47】
JP0005998403B2_000048t.gif

【0062】
[実施例4]
ナス型フラスコに、ジオール化合物D(0.50g,1.20mmol)、2,4-ジイソシアン酸トリレン(0.21g,1.20mmol)、DBTDL2滴、および1-メチル-2-ピロリドン(6ml)を入れ、オイルバスで加熱しながら10時間撹拌還流した。撹拌後、メタノールに滴下して沈殿させ、次式(17)で示される液晶性ポリアミノウレタンD(LCPU-D)を得た。

【0063】
【化48】
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【0064】
[実施例5]
ナス型フラスコに、ジオール化合物E(0.30g,0.584mmol)、2,4-ジイソシアン酸トリレン(0.104g,0.584mmol)、DBTDL2滴、および1-メチル-2-ピロリドン(1.5ml)を入れ、オイルバスで加熱しながら8時間撹拌還流し、その後10時間室温で撹拌した。撹拌後、メタノールに滴下して沈殿させ、次式(18)で示される液晶性ポリアミノウレタンE(LCPU-E)を得た。

【0065】
【化49】
JP0005998403B2_000050t.gif

【0066】
[比較例1]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温になるまで静置し、ジオール化合物A(1.0g,2.12mmol)、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナートビフェニル(0.56g,2.12mmol)、および撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え,試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後,反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(19)で示される高分子Aを得た。

【0067】
【化50】
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【0068】
[比較例2]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温まで静置し、モル比1:1のジオール化合物Aおよびヘキサメチレンジイソシアナートと、撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え,試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(20)で示される高分子Bを得た。

【0069】
【化51】
JP0005998403B2_000052t.gif

【0070】
[比較例3]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温まで静置し、モル比1:1のジオール化合物Fおよび2,4-ジイソシアン酸トリレンと、撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え、試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(21)で示される高分子Cを得た。

【0071】
【化52】
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【0072】
[比較例4]
100mlナスフラスコをガスバーナーで加熱しながらオイルポンプで減圧してナスフラスコ内の水分を除去し、乾燥した。ナスフラスコが室温まで静置し、モル比1:1のジオール化合物Gおよび2,4-ジイソシアン酸トリエンと、撹拌子をナスフラスコに入れた。ナスフラスコに3方コックを取り付け、減圧して30分ほど原料を乾燥させた。窒素を充填し、ナスフラスコ内を常圧に戻した。シリンジでN-メチルピロリドン(10ml)を加え,試料をすべて溶解させた。シリンジでDBTDL(ジブチルスズジラウラート)を2滴加え、70℃で10時間撹拌した後、反応溶液を室温まで冷却した。三方コックを取り外し、撹拌しながらメタノールで再沈殿した。沈殿物をブフナーロートを用いてろ別し、次式(22)で示される高分子Dを得た。

【0073】
【化53】
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【0074】
[キャラクタリゼーション]
以上の方法により得られたLCPU-A~E、および高分子A~Dのキャラクタリゼーションを行った。

【0075】
DSC測定は、(株)島津製作所製の示差操作熱量計(DSC-60Qi)を用いて測定した。測定条件として、加熱炉内を窒素条件にし、10℃/minで昇降温して測定を行った。

【0076】
偏光顕微鏡観察は、ホットステージシステム(メトラートレドFP90-FP82HT)を装備した(株)ニコン製の偏光顕微鏡(エクリプスLV100POL)を用いた。

【0077】
化合物の分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって求めた。GPC測定装置は、カラムオーブン(CTO-20A)、示差屈折率検出器(RID-10A)、送液ユニット(LC-20AD)から構成される。測定条件は、溶液濃度1mg/ml、流量1.0mlおよび温度40℃とした。

【0078】
液晶性ポリアミノウレタンをネマチック相の温度域までホットステージで加熱してネマチック相の状態とし、ピンセットでつまみ上方へ引きのばして紡糸試料を作製した。

【0079】
X線回折測定は、(株)島津製作所製のXRD-6100を用いた。X線回折測定の走査速度は4.0°/minで、加熱および冷却しながら測定した。

【0080】
紡糸試料への紫外線照射は、HAYASHI製のLA-V300UVを用いた。紫外線照射強度は300~450nmとした。紫外線照射は室温(18℃)で行った。

【0081】
[熱的性質]
DSC測定の結果を図1~4、および表1,2に示す。LCPU-Aの転位温度の分子量依存性を図5に示す。LCPU-Aの転位エンタルピーおよび転位エントロピーの分子量依存性を図6に示す。なお、図中、kは固体、Nはネマチック相、Iは等方相、Tgはガラス転位点を示す。

【0082】
【表1】
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【0083】
【表2】
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【0084】
また、実施例および比較例に係る化合物の偏光顕微鏡写真を図7に示す。図7(a)は高分子Aの昇温時161.0℃、図7(b)は高分子Aの昇温時167.0℃、図7(c)はLCPU-Aの昇温時81.6℃、図7(d)はLCPU-Aの降温時50.0℃、図7(e)はLCPU-Bの降温時140.0℃、図7(f)はLCPU-Cの降温時162.0℃、図7(g)は高分子Dの昇温時120.0℃の偏光顕微鏡写真である。

【0085】
LCPU-A~Eおよび高分子A,Dは液晶を形成した。高分子Bは測定溶媒のテトラヒドロフランに溶解せず、分子量を測定できなかった。LCPU-Aおよび高分子Aはネマチック相を形成した。しかし、高分子Aは、昇温過程でネマチック相から直接分解した。一方、LCPU-Aはエナンチオトロピックのネマチック相を形成した。高分子Bは、加熱しても分解温度まで流動性を示さなかった。LCPU-Aはガラス転移を示し、高分子Aは固体からネマチック相へ転移した。高分子Aは、昇温過程において再結晶化した。高分子Bは120℃付近でブロードな吸熱ピークが観測された。高分子A、高分子BおよびLCPU-Aは全て200℃付近で分解した。アミン構造やウレタン結合は200℃付近で不安定になり分解することがあるため、この分解もアミン部位およびウレタン結合の分解であると考えられる。それらの化合物の中で、LCPU-Aは転移温度が低く、エナンチオトロピックな液晶を示した。これは、高分子Aと比べると、LCPU-Aはイソシアナート部位の芳香環が一つ少なく、折れ曲がった構造をもつためであると考えられる。また、LCPU-Aのネマチック-等方相転移エンタルピーおよび転移エンタルピーは、高分子Aの値とほぼ変わらない値であった。LCPU-Aのネマチック相は、比較的高い秩序をもつと示唆される。

【0086】
高分子Dにアミノ基を加えた構造のLCPU-Aは高分子Dよりも転移温度が低い。すなわち、構造中にアミノ基を加えて屈曲部を導入することにより、より低温域での液晶形成が可能となる。

【0087】
高分子Aは昇温過程で再結晶化し、更に加熱するとシュリーレン組織を形成した。LCPU-Aも同様に、シュリーレン組織を形成し、ネマチック配向はガラス化することにより保持された。

【0088】
LCPU-Aについて分子量依存性を確かめた。LCPU-Aは全てネマチック相を形成した。分子量が21000のLCPU-Aは、するどいネマチック-等方相の吸熱ピークを示した。しかし、それよりも低い分子量のLCPU-Aは、明確なネマチック-等方相転移ピークを示さなかった。LCPU-Aのガラス転移温度は、分子量の増加とともにわずかに上昇した。一方、ネマチック-等方相転移温度は分子量に依存して大きく上昇した。LCPU-Aのネマチック-等方相転移エンタルピー、およびネマチック-等方相転移エントロピーは、分子量が増加するにつれ上昇した。また、高い分子量をもつLCPU-Aは、分子量が5000のLCPU-Aよりもに比べ、異方性配向にもとづく強い複屈折を示した。これらは、分子量増加に伴い、液晶配向が安定化することを示す。

【0089】
LCPU-BおよびLCPU-Cはネマチック相を形成した。高分子Cは液晶相を形成しなかった。これは、高分子Cの2か所の折れ曲がり構造が、分子配向を阻害していると考えられる。LCPU-Bは結晶からネマチック相へ転移する吸熱ピークを示した。高分子Cは、固体-等方相の一つの吸熱ピークのみ示した。LCPU-BおよびLCPU-Cの固体-ネマチック相転移は、ほぼ同じ値であった。LCPU-BおよびLCPU-Cのネマチック相は、類似の熱的安定性を示すと考えられる。

【0090】
[液晶紡糸]
液晶紡糸したLCPU-BのX線回折チャートを図8に示す。紡糸試料は等方相へ転移する温度付近まで小角にするどいピークを示した。これらのピークは、

【0091】
【数1】
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の関係になっているため、液晶紡糸試料において、高分子鎖はヘキサゴナルな配向構造を形成していると考えられる。LCPU-Bは、液晶状態で紡糸するという比較的簡単な手法で、配向体を形成した。

【0092】
直交ニコル下でのLCPU-Bの紡糸試料の偏光顕微鏡写真を図9に示す。LCPU-Bの紡糸試料は、偏光顕微鏡下で消光状態を示した。その状態からステージを反時計方向に回転させると試料は徐々に明るくなり、45度回転させたときに最も明るくなった。さらにステージを回転させて初期状態から90度回転したとき、試料は再び消光した。試料が消光したのは、繊維軸がポラライザーまたはアナライザーと平行または垂直になった位置であった。このことから、LCPU-Bの紡糸試料は繊維軸方向に配向ベクトルをもつと考えられる。

【0093】
[液晶紡糸試料への紫外線照射]
紫外線照射時間経過に対する紡糸試料(LCPU-B)の曲がり角度を図10に示す。紡糸試料は、室温で光応答可能で、紫外線を照射によって変形した。紡糸試料に紫外線を照射してから3分程までは急激に曲がり、紫外線照射から8分程で繊維の曲がり角度は最大値をとった。紡糸試料のこのような光応答性を利用し、マイクロレベルの光応答用モーターベルトやアクチュエータへの応用が期待される。

【0094】
[液晶フィルムの作製と光照射]
テトラヒドロフランなどの溶媒にLCPU-Bを溶解させた溶液をガラス基板などにキャストすることで容易にフィルムを作製することができる。このフィルムへの光照射によっても紡糸試料と同様に、紫外線照射方向に折りたたまれるように変形した。このようなフィルムの形状では、光応答を利用したマイクロシャッターや弁などへの応用が期待できる。
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図6】
4
【図8】
5
【図10】
6
【図5】
7
【図7】
8
【図9】
9