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明細書 :操作支援装置

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 特許公報(B2)
特許番号 特許第6086440号 (P6086440)
公開番号 特開2014-166321 (P2014-166321A)
登録日 平成29年2月10日(2017.2.10)
発行日 平成29年3月1日(2017.3.1)
公開日 平成26年9月11日(2014.9.11)
発明の名称または考案の名称 操作支援装置
国際特許分類 A61G   5/10        (2006.01)
A61G   7/05        (2006.01)
H04M   1/02        (2006.01)
H04M   1/12        (2006.01)
FI A61G 5/10 713
A61G 7/05
H04M 1/02 C
H04M 1/12
請求項の数または発明の数 10
全頁数 24
出願番号 特願2013-267443 (P2013-267443)
出願日 平成25年12月25日(2013.12.25)
優先権出願番号 2013017392
優先日 平成25年1月31日(2013.1.31)
優先権主張国 日本国(JP)
審査請求日 平成27年11月25日(2015.11.25)
特許権者または実用新案権者 【識別番号】504209655
【氏名又は名称】国立大学法人佐賀大学
発明者または考案者 【氏名】佐藤 和也
【氏名】青▲崎▼ 史哉
【氏名】藤瀬 想太郎
個別代理人の代理人 【識別番号】100099508、【弁理士】、【氏名又は名称】加藤 久
【識別番号】100093285、【弁理士】、【氏名又は名称】久保山 隆
審査官 【審査官】山口 賢一
参考文献・文献 特開平06-285118(JP,A)
特開2005-088095(JP,A)
特開2007-110335(JP,A)
国際公開第2012/104895(WO,A1)
米国特許出願公開第2007/0095582(US,A1)
調査した分野 A61G 5/10
A61G 7/05
H04M 1/02
H04M 1/12
特許請求の範囲 【請求項1】
利用者が使用する携帯電話であり、無線通信する機能を有する携帯電話を保持するロボットアームと、
前記ロボットアームの動作を制御するアーム制御部と
前記携帯電話にて前記利用者の操作を要求するイベントが発生したときに、前記携帯電話から送信された無線信号をイベント情報として受信して前記アーム制御部へ通知する無線通信部とを備え、
前記携帯電話が電話着信をイベント情報として送信したときに、前記アーム制御部が、前記無線通信部からの電話着信を示すイベント情報に応じて、前記ロボットアームを動作させて、前記ロボットアームに保持された前記携帯電話を、前記利用者の側方に位置させた初期状態から、前記利用者が前記携帯電話へのオフフック操作する前方となる位置まで移動させることを特徴とする操作支援装置。
【請求項2】
前記利用者が前記携帯電話を操作することを前記アーム制御部へ通知するための操作部を備え、
前記アーム制御部は、前記操作部からの通知に応じて、前記ロボットアームに保持された前記携帯電話を、前記初期状態から前記利用者の前方に位置させる請求項1記載の操作支援装置。
【請求項3】
前記ロボットアームは、
前記利用者の身長方向に沿って延びるベースリンクと、
前記ベースリンクの長さ方向に沿った軸線を中心にして、前記ベースリンクを軸回転させる基端駆動部と、
前記携帯電話を保持する保持部と、
前記ベースリンクの回動に伴って前記保持部を移動させる中間リンクと、
前記中間リンクを前記ベースリンク側に倒伏した状態から前記ベースリンクに対して起立する方向に回動する中間関節部とを、少なくとも備えている請求項1または2記載の操作支援装置。
【請求項4】
前記ロボットアームは、前記中間関節部より先部が、前記ベースリンク側に倒伏した状態である初期状態であり、
前記アーム制御部は、前記中間関節部により、前記初期状態から、前記中間関節部より先部を前記ベースリンクに対して起立した状態に、前記中間関節部を中心に回動させた後に、前記基端駆動部により前記ベースリンクの長さ方向に沿った軸線を中心にして前記ベースリンクを軸回転させて、前記保持部に保持された前記携帯電話を、前記利用者の前方に位置させる請求項記載の操作支援装置。
【請求項5】
前記ロボットアームは、前記中間関節部より先部が、前記利用者の前方に沿った方向を回動範囲として、前記ベースリンクから回動する請求項記載の操作支援装置。
【請求項6】
前記中間リンクの先端で、前記保持部の傾斜角度を位置決めする先端関節部を備えた請求項からのいずれかの項に記載の操作支援装置。
【請求項7】
前記ロボットアームは、
前記利用者の側方となる位置から前方に沿って延びるベースリンクと、
前記携帯電話を保持する保持部と、
前記ベースリンクの先端部にて、前記携帯電話の表示画面を上方に向けた状態に前記保持部が保持する前記携帯電話を、前記利用者の前方へ、前記保持部を水平に回動させて位置させる中間関節部とを備えた請求項1記載の操作支援装置。
【請求項8】
前記ベースリンクは、鞘部材と、前記鞘部材に差し込まれた棹部材とから形成されている請求項記載の操作支援装置。
【請求項9】
前記ロボットアームは、前記携帯電話の表示画面が横向きの状態が初期状態であり、
記鞘部材と前記棹部材とが延びた状態で、前記ベースリンクの長さ方向に沿った軸線を中心として、前記保持部によって保持された前記携帯電話の表示画面が上方へ向くように、前記ベースリンクを90度軸回転させると、前記アーム制御部は、前記携帯電話を前記利用者の前方に位置させために、前記ベースリンクの先端部の前記中間関節部に、前記保持部が水平に90度回動するよう指示する請求項記載の操作支援装置。
【請求項10】
前記初期状態のときに、前記携帯電話の長さ方向が前記利用者の前方に沿った方向に向いており、
前記ロボットアームは、前記携帯電話の表示画面が上方へ向いた状態で、前記中間関節部により前記保持部が水平に回動され、前記携帯電話が前記利用者の前方に位置して、前記携帯電話の長さ方向が前記利用者の側方に沿った方向へ向くと、前記保持部を90度回動させて、前記携帯電話の表示画面に表示される文字や画像が利用者に向いた適正方向にする先端関節部を備えた請求項記載の操作支援装置。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者や被介護者、被支援者など、他からの援助が必要な利用者(以下、障害者等と称す。)が携帯端末装置を操作するときに援助する操作支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
障害者等は、普段の生活にも支障が生じることがある。家庭での作業において、ロボットアームを使用して、作業を支援する装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の「ロボットアームの制御装置及び制御方法、ロボットアームの制御装置を有するロボット、ロボットアームの制御プログラム、集積電子回路」には、ロボットアームを使用して、重たい鍋などの器具を人と協働して運搬するロボットシステムや、鍋の中の具材をかき混ぜる作業、又は、キッチンの作業台の汚れをふき取る作業を行うロボットシステムが記載されている。
このロボットシステムは、動作するロボットアームを停止した際に、人が邪魔にならない位置に簡単にロボットアームを退避させることができ、さらに、退避させた際に人が誤って柔らかい素材をつぶすこと又は熱湯などを落下させる危険性のない、安全で簡単に操作できるロボット制御を可能とするものである。
【0004】
健常者だけでなく、障害者等にとっても携帯電話は利便性が高い。しかし、障害者等にとって、携帯電話が遠くに置いてあった場合には、着信時に携帯電話を取りに行って着信操作するのは困難である。このようなときに、着信を知らせると共に、携帯電話を運んでくれるロボットが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献2の「ロボットコミュニケーションシステム」には、携帯電話とロボット装置とがIrDA(Infrared Data Association)規格等の赤外線通信機能やブルートゥース(Bluetooth)(登録商標)規格等の無線通信機能を用いて通信を行って諸動作を行わせるためのアクションコマンドデータ並びにメッセージデータの送受信を行うことが記載されている。
【0006】
また、携帯電話を使用してロボットを操作するものが知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
特許文献3の「無線通信システム、携帯電話機用プログラム、ロボット装置、並びに、ロボット装置用プログラム」には、携帯電話機からロボット装置に対して、ロボット装置における処理の制御を行うための信号又はデータを供給することが記載されている。
【0007】
特許文献4の「聴導ロボット」には、携帯電話への電話・メール等の着信など、通知すべきイベントの発生を検知したときに、ライトからフラッシュのような閃光を発し、その通知内容を文字表示板に表示し、更に、自走用車輪駆動部を駆動して視聴障害者の傍まで自走させることが記載されている。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】国際公開第2009/004772号パンフレット
【特許文献2】特開2007-044798号公報
【特許文献3】特開2004-174642号公報
【特許文献4】特開2008-119374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載のロボットシステムでは、人と協働するものであり、障害者等が携帯端末装置を操作したいときに、携帯端末装置の移動を制御することには使用できない。
また、特許文献2に記載のロボットコミュニケーションシステムと、特許文献3に記載のロボット装置とは、携帯電話を単にリモコンとして使用するものであり、携帯電話を携帯端末装置として障害者等が操作したいときに使用できるものではない。
更に、特許文献4に記載の聴導ロボットは、携帯電話への電話・メール等の着信時に携帯電話を搬送するまではしてくれるが、携帯電話を操作したいときは、障害者等が携帯電話を取り上げなければならず、四肢麻痺者などは携帯電話を取り上げることが困難であるため、操作することができない。
【0010】
そこで本発明は、利用者が携帯端末装置を操作したいときに、利用者の操作しやすい位置まで携帯端末装置を移動させることで、携帯端末装置の利便性を享受することができる操作支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の操作支援装置は、利用者が使用する携帯端末装置を保持するロボットアームと、前記ロボットアームの動作を制御するアーム制御部とを備え、前記アーム制御部は、前記携帯端末装置の操作時に、前記ロボットアームを動作させて、前記携帯端末装置を、前記利用者の操作範囲の外側に待機させた位置から、前記利用者の操作範囲内に位置させることを特徴とする。
【0012】
本発明の操作支援装置によれば、アーム制御部が、携帯端末装置の操作時に、ロボットアームを動作させて、携帯端末装置を、利用者の操作範囲の外側に待機させた位置から、利用者の操作範囲内に位置させるので、利用者が携帯端末装置を操作したいときに、利用者の操作しやすい位置まで携帯端末装置を移動させることができる。ここで、利用者の操作範囲とは、利用者によって、携帯端末装置の表示を視認しながら、操作可能な範囲を言い、通常は利用者の前方であって、膝上から胸部までの範囲を指す。
【0013】
前記ロボットアームは、初期状態が、前記携帯端末装置を利用者の側方に位置させており、前記アーム制御部は、前記初期状態から、前記携帯端末装置の操作時に、前記ロボットアームを動作させて、前記携帯端末装置を利用者の前方に位置させるものであるのが望ましい。初期状態として利用者の側方に携帯端末装置を位置させたロボットアームを、アーム制御部が、利用者の前方に位置させるため、携帯端末装置の操作に支障がある利用者であっても、携帯端末装置を操作することができる。
【0014】
前記携帯端末装置は、前記利用者の操作を要求するイベントが発生したときに、前記アーム制御部にイベント情報を無線信号により送信するイベント発生通知部を備え、前記イベント発生通知部からのイベント情報を受信して前記アーム制御部に通知する無線通信部が設けられ、前記アーム制御部は、前記無線通信部が受信したイベント情報に応じて、前記ロボットアームに保持された前記携帯端末装置を、操作範囲に位置させるのが望ましい。
携帯端末装置がイベント発生通知部を備えているため、携帯端末装置から無線通信部を介して受信したイベント情報に応じて、アーム制御部が、ロボットアームに保持された前記携帯端末装置を、操作範囲に位置させることができる。従って、利用者が指示しなくても、自動的にロボットアームが携帯端末装置を移動させるので、高い利便性を図ることができる。
【0015】
前記携帯端末装置は、無線通信する機能を備えた携帯電話であり、前記イベント発生通知部は、前記携帯電話への電話着信をイベント情報として送信する機能を備え、前記アーム制御部は、前記無線通信部からの電話着信を示すイベント情報に応じて、前記携帯電話のオフフック操作を前記利用者にさせるために、前記ロボットアームに保持された前記携帯電話を、操作範囲に位置させるのが望ましい。
携帯端末装置が無線通信する機能を備えた携帯電話とすることで、電話着信時に自動的に携帯電話を利用者の操作範囲に移動させることができる。従って、利用者は簡単に通話することができる。
【0016】
前記利用者が前記携帯端末装置を操作することを前記アーム制御部へ通知するための操作部を備え、前記アーム制御部は、前記操作部からの通知に応じて、前記ロボットアームに保持された前記携帯端末装置を、操作範囲に位置させるのが望ましい。
操作部を操作すれば、携帯端末装置が利用者の操作範囲内に移動するので、利用者が携帯端末装置を能動的に使用することができる。
【0017】
前記ロボットアームは、前記利用者の身長方向に沿って配置されたベースリンクと、前記ベースリンクを軸線回りに回動する基端駆動部と、前記携帯端末装置を保持する保持部と、前記ベースリンクの回動に伴って前記保持部を移動させる中間リンクと、前記中間リンクを前記ベースリンク側に倒伏した状態から前記ベースリンクに対して起立する方向に回動する中間関節部とを、少なくとも備えているのが望ましい。
ロボットアームを、少なくとも、ベースリンク、基端駆動部、保持部、中間リンク、中間関節部から構成することができる。
【0018】
前記ロボットアームは、前記中間関節部より先部が、前記ベースリンク側に倒伏した状態である初期状態であり、前記アーム制御部は、前記中間関節部により、前記初期状態から、前記中間関節部より先部を前記ベースリンクに対して起立した状態に、前記中間関節部を中心に回動させた後に、前記基端駆動部により前記ベースリンクを軸線回りに回動させて、前記保持部に保持された前記携帯端末装置を、前記利用者の操作範囲内に位置させるのが望ましい。
アーム制御部がロボットアームを動作させることで、操作範囲の外側に待機させた携帯端末装置を操作範囲内へ移動させることができる。
【0019】
前記ロボットアームは、前記中間関節部より先部が、前記利用者の前方に沿った方向を回動範囲として、前記ベースリンクから回動するのが望ましい。中間関節部より先部が前記ベースリンクの前方を回動範囲として回動すると、携帯端末装置を利用者の邪魔にならず操作範囲内に移動させることができる。
【0020】
前記中間リンクの先端で、前記保持部の傾斜角度を位置決めする先端関節部を備えるのが望ましい。先端関節部が、保持部の傾斜角度を位置決めすることで、携帯端末装置を見やすい角度とすることができる。
【0021】
前記ロボットアームは、前記利用者の側方となる位置に、前方に沿って配置されたベースリンクと、前記携帯端末装置を保持する保持部と、前記ベースリンクの先端部にて、前記携帯端末装置の表示画面を上方に向けた状態に前記保持部が保持する前記携帯端末装置を、前記利用者の操作範囲内へ、前記保持部を水平に回動させて位置させる中間関節部とを備えているのが望ましい。
利用者の側方であれば、ロボットアームが初期状態であっても、携帯端末装置は利用者の邪魔にならない。ベースリンクの先端部にて、携帯端末装置の表示画面を上方に向けた状態に保持部が保持する携帯端末装置を、中間関節部が保持部を水平に回動させて、携帯端末装置を利用者の操作範囲内に位置させる。従って、初期状態で、携帯端末装置が利用者の操作範囲外であっても、上記構成のロボットアームにより、携帯端末装置を操作範囲内に位置させることができる。
【0022】
前記ベースリンクが、鞘部材と、前記鞘部材に差し込まれた棹部材とから形成されていると、初期状態で利用者の側方に位置した携帯端末装置を、水平に回動させて利用者の操作範囲内に位置させる際に、鞘部材または棹部材のいずれか一方を引き伸ばせば、中間関節部が保持部を水平に回動させる携帯端末装置の回動範囲から利用者を外すことができる。
【0023】
前記ロボットアームは、前記携帯端末装置の表示画面が横向きの状態が初期状態であり、前記アーム制御部は、前記鞘部材と前記棹部材とが延びた状態で、前記ベースリンクを軸回転させて、前記携帯端末装置の表示画面が上方へ向くと、前記ベースリンクの先端部の前記中間関節部に前記保持部を水平に回動させて、前記携帯端末装置を前記利用者の操作範囲内に位置させるのが望ましい。
このように、アーム制御部が、ロボットアームを動作させることで、初期状態で携帯端末装置が、利用者の側方に位置していても嵩張らない。また、ベースリンクが軸回転して携帯端末装置の表示画面が上方へ向くと、アーム制御部が中間関節部に保持部を水平に回動させて、携帯端末装置を利用者の操作範囲内に位置させるので、利用者に、携帯端末装置の表示画面が上方へ向いた状態で操作させることができる。
【0024】
前記初期状態のときに、前記携帯端末装置の長さ方向が前記利用者の前方に沿った方向に向いており、前記ロボットアームは、前記携帯端末装置の表示画面が上方へ向いた状態で、前記中間関節部により前記保持部が水平に回動され、前記携帯端末装置が前記利用者の操作範囲内に位置して、前記携帯端末装置の長さ方向が前記利用者の側方に沿った方向へ向くと、前記携帯端末装置を適正方向に回動する先端関節部を備えるのが望ましい。
携帯端末装置が縦長であるときに、携帯端末装置の長さ方向を利用者の前方に沿った方向に向けていると、ロボットアームのベースリンクと同じ方向となるため、携帯端末装置が利用者の邪魔になり難い。また、先端関節部が、携帯端末装置を適正方向に回動するので、利用者が携帯端末装置を操作するときに、操作しやすい向きに合わせることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の操作支援装置は、利用者が携帯端末装置を操作したいときに、アーム制御部が、利用者の操作しやすい位置まで携帯端末装置を移動させることができるので、携帯端末装置の利便性を享受することができる
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1に係る操作支援装置が車椅子に装着された状態を示す図であり、(A)は車椅子の右側面図、(B)は車椅子の左側面図である。
【図2】図1に示す操作支援装置全体の構成のブロック図である。
【図3】図1に示すロボットアームの初期状態の右側面図である。
【図4】図3に示すロボットアームの初期状態の正面図である。
【図5】図1(A)に示すロボットアームの動作を説明するための図であり、(A)は右側面図、(B)は正面図、(C)は左側面図である。
【図6】図1(A)に示すロボットアームの動作を説明するための平面図、(A)は図5(A)のときの図、図5(B)のときの図である。
【図7】携帯電話を操作状態から通知状態に移動させることを説明するための左側面図であり、(A)は操作状態を示す図、(B)は通話状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る操作支援装置のアーム制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】アーム制御部がロボットアームを制御するときの動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態2に係る操作支援装置がベッドに装着された状態を示す図であり、(A)はベッドの右側面図、(B)はベッドの平面図である。
【図11】本発明の実施の形態3に係る操作支援装置が車椅子に装着された状態を示す車椅子の右側面図である。
【図12】図11に示す操作支援装置のロボットアームの初期状態を示す右側面図である。
【図13】図12に示すロボットアームの左側面図である。
【図14】図12に示すロボットアームの正面図である。
【図15】図11に示す操作支援装置全体の構成のブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態3に係る操作支援装置のアーム制御部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図17】図12に示すロボットアームのベースリンクの棹部材を鞘部材から引き出した状態の右側面図である。
【図18】図14に示すロボットアームの棹部材を軸回転させた状態の正面図である。
【図19】図11に示すロボットアームが水平に回動して、携帯電話を障害者等の前方に位置させた状態の平面図である。
【図20】図19に示す状態のロボットアームの正面図である。
【図21】図20に示すロボットアームの先端関節部が携帯電話を回動させた状態の平面図である。
【図22】図21に示すロボットアームが通話状態で携帯電話を上昇させた状態の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る操作支援装置を図面に基づいて説明する。なお、本明細書では、障害者等の前方を、操作支援装置の前方として説明する。
図1および図2に示す操作支援装置10は、障害者等が使用する車椅子Wに装着されている。操作支援装置10は、車椅子Wの右肘掛け部WRに配置され、携帯端末装置の一例である携帯電話20を保持するロボットアーム30と、車椅子Wの左肘掛け部WLに配置され、ロボットアーム30へ指示するための操作部40と、ロボットアーム30を制御する装置本体50とを備えている。
なお、図1(A)および同図(B)においては、装置本体50と、ロボットアーム30と装置本体50とを接続する電源・通信ケーブルと、操作部40と装置本体50とを接続する通信ケーブルとは、図示していない。

【0028】
携帯電話20は、表示画面に設けられたタッチパネルをタップしたり、フリックしたりして、電話機能、インターネット機能、アプリケーション機能を操作するスマーフォンである。携帯電話20は、無線信号により通信する無線通信部21と、電話機能を実現する電話制御部22と、インターネット機能を実現するネットワーク制御部23と、イベント発生通知部24とを備えている。
無線通信部21は、電話制御部22とネットワーク制御部23とを電話会社の基地局や中継局と通信する機能と、近接した通信相手と通信する機能とを備えている。本実施の形態1では、携帯電話20と装置本体50との間の通信として、Bluetooth(登録商標)を使用している。
ネットワーク制御部23としては、サイト閲覧機能や電子メール機能を、無線通信部21を介してネットワークと通信することで実現している。
イベント発生通知部24は、アプリケーションの一つとしてイベント通知プログラムをインストールして動作させることで機能を実現させている。イベント発生通知部24は、電話制御部22からの着信、オフフック、オンフックの各イベントが発生したときに、イベント情報として、無線通信部21を介して装置本体50へ通知する機能を備えている。

【0029】
図3および図4に示すように、ロボットアーム30は、複数の関節を有する多関節型で、取付部材37を介在させて、右肘掛け部WRに取り付けられている。ロボットアーム30は、ベースリンク31と、基端駆動部32と、中間関節部33と、中間リンク34と、先端関節部35と、保持部36とを備えている。
ベースリンク31は、利用者である障害者等の身長方向に沿って配置され、基端駆動部32に立設されている。
基端駆動部32は、ベースリンク31を、軸線回りに回転させることができる。
中間関節部33は、ベースリンク31の先端に固定接続され、中間リンク34を下方に向けたベースリンク31側に倒伏した状態の位置と、ベースリンク31と直交する方向となる位置までの間を回動させることができる。

【0030】
中間リンク34は、本実施の形態1では第1中間リンク34aと、第2中間リンク34bと、その間で第2中間リンク34bの回動角度を制御する補助関節部34cとを備えている。
第1中間リンク34aは、基端部が中間関節部33に接続され、中間関節部33によりベースリンク31に対する回動角度が調整され、先端部が補助関節部34cに固定接続されている。第2中間リンク34bは、基端部が補助関節部34cに接続され、補助関節部34cにより第1中間リンク34aに対する回動角度が調整され、先端部が先端関節部35に固定接続されている。補助関節部34cは、第1中間リンク34aと第2中間リンク34bとの成す角度が180°となる状態から第2中間リンク34bを回動させることができる。

【0031】
先端関節部35は、中間リンク34の先端に固定接続され、中間リンク34に対して90°の角度に接続された保持部36の傾斜角度を位置決めするために、保持部36を回動させることができる。
保持部36は、携帯電話20を固定保持することができる。
操作部40は、障害者等が操作して、操作支援装置10の操作開始、操作終了を、イベント情報として装置本体50へ通知するノンロックのトグルスイッチである。

【0032】
装置本体50は、携帯電話20と無線信号により通信する無線通信部51と、ロボットアーム30に対して制御信号を送信して各関節の回動角度を制御するアーム制御部52とを備えている。
無線通信部51は、携帯電話20と通信するために、Bluetoothとしての機能を備えている。アーム制御部52は、携帯電話20と操作部40とからのイベント情報に応じて、予め設定され、アーム制御部52内に格納されたシーケンス情報に基づいて、ロボットアーム30の各関節の回動を制御する。

【0033】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る操作支援装置10の動作および使用状態について、更に図5から図9に基づいて説明する。
まず、装置本体50のアーム制御部52は、イベント発生がない状態では、待機状態であり、ロボットアーム30は図3および図4に示す初期状態である。アーム制御部52はイベント発生を待つ(ステップS10)。

【0034】
この初期状態では、携帯電話20が、障害者等の太腿付近にあり、表示画面が横向きの状態であるため、障害者等の操作範囲S(図1(A)および図6(A)参照)の外側に待機させた位置となる。初期状態では、中間関節部33より先部がベースリンク31側に直線状に重なるように倒伏しており、かつ薄板状の携帯電話20が障害者等の太腿に沿って配置されているため、携帯電話20が待機状態であるが腿や膝の動きの邪魔にならない。

【0035】
携帯電話20に電話着信があると、図2に示す電話制御部22からイベント発生通知部24へ電話着信が通知される。イベント発生通知部24は、電話着信を、イベント発生を示すイベント情報として、無線通信部21を介して装置本体50へ送信する(ステップS20)。
装置本体50では、アーム制御部52が、イベント情報を、無線通信部51を介して受信する。アーム制御部52では、イベント情報を解析して、解析結果が電話着信であれば(ステップS30)、電話着信に対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS40)。
アーム制御部52は、このシーケンス情報に基づいて、障害者等にオフフック操作させるため、ロボットアーム30の基端駆動部32、中間関節部33、補助関節部34c、先端関節部35を動作させる(ステップS50)。

【0036】
アーム制御部52は、まず、図5(A)および図6(A)に示すように、中間関節部33を動作させ、中間関節部33を中心に、障害者等の前方に沿った方向を回動範囲として、中間関節部33より先部を90°回動させて、ベースリンク31に対して起立させ、水平状態とする(図9のステップS310)。この状態では、携帯電話20は長さ方向が上下方向に沿った状態である。従って、中間関節部33より先部を起こすときに、ベースリンク31の前方を回動範囲とすることで、太腿や膝に当たることなく引き起こすことができる。そうすることで、障害者等だけでなく、障害者等(車椅子)の傍に介護者や通行人が位置していても携帯電話20が当たることなく、携帯電話20をベースリンク31に対して起立させることができる。

【0037】
次に、アーム制御部52は、基端駆動部32を動作させ、図5(B)および図6(B)に示すように、ベースリンク31を中心に、障害者等の前方を向くベースリンク31より先部を、障害者等の方向へ90°回動させて、携帯電話20を障害者等の胸前へ移動させ、障害者等の操作範囲S内に位置させる(ステップS320)。このときの携帯電話20は、表示画面が垂直状態であり、障害者等に対向した状態である。

【0038】
本実施の形態1では、ステップS310の中間関節部33より先部を90°起こす動作(図5(A)参照)を行なった後に、ステップS320のベースリンク31より先部を障害者等の方向へ90°回動させる動作(図5(B)参照)を行なっているが、反対としてもよい。しかし、先にステップS320の動作を行った後にステップS310の動作を行うと、携帯電話20が太腿や膝、または腕の動作の支障になるおそれがあるため、本実施の形態1のような動作とするのが望ましい。

【0039】
この状態でも、携帯電話20は障害者等の前にあり、障害者等によるオフフック操作できる状態であり、通話可能な状態である。しかし、携帯電話20の表示画面が垂直状態であり、障害者等に対向した状態であるため、オフフック操作はしにくい。そこで、アーム制御部52は、表示画面への操作を容易とするために、携帯電話20を傾斜させる。

【0040】
アーム制御部52は、先端関節部35を動作させ、保持部36を中間リンク34の軸線を中心として垂直方向から水平方向に向けて回動させて、図5(C)に示すように、表示画面が障害者等に対向した状態の携帯電話20の上部を障害者等から離間させる方向に傾斜させて操作状態とする(ステップS330)。操作状態では、障害者等に携帯電話20の表示画面を見やすく、操作しやすい傾斜角度となっている。

【0041】
アーム制御部52は、ステップS50でのロボットアーム30の動作が完了すると、ステップS10へ戻りイベントの発生待ちをする。

【0042】
障害者等は、携帯電話20への電話着信を受け、携帯電話20の表示画面に表示された電話のオフフックボタンをタップすることで、オフフックを携帯電話20の電話制御部22に指示する。

【0043】
オフフックの通知に基づいて電話制御部22は、オフフックされたことを、電話制御部22からイベント発生通知部24へ通知する。
イベント発生通知部24は、オフフックを示すイベント情報を、無線通信部21を介して装置本体50へ送信する(ステップS20)。

【0044】
装置本体50では、アーム制御部52が無線通信部51を介してオフフックを示すイベント情報を受信する。アーム制御部52では、イベント情報を解析して、解析結果がオフフックであれば(ステップS60)、オフフックに対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS70)。アーム制御部52は、ロボットアーム30を動作させる(ステップS80)。

【0045】
操作状態でも携帯電話20は障害者等の前にあり、通話可能な状態である。しかし、より通話しやすい状態とするために、アーム制御部52は、図7(A)に示すような操作状態の携帯電話20を、先端関節部35を動作させて保持部36を回動させて携帯電話20を起こし、図7(B)に示すような通話状態とする(ステップS340)。携帯電話20を起こすことで、携帯電話20のスピーカが障害者等に近くなり、通話しやすい状態とすることができる。

【0046】
このように、初期状態として障害者等の側方に携帯電話20を位置させたロボットアーム30を、アーム制御部52が、携帯電話20への通話着信時に、ロボットアーム30を動作させて、携帯電話20を、障害者等の操作範囲の外側に待機させた位置から、障害者等の操作範囲S内である障害者等の前方に位置させるので、携帯電話20の操作に支障がある障害者等であっても、簡単にオフフックすることができ、通話することができる。従って、障害者等は、携帯電話20の利便性を享受することができる。
また、電話着信時に操作部40を操作しなくても、自動的にロボットアーム30が携帯電話20を操作範囲S内に移動させるので、高い利便性を図ることができる。

【0047】
アーム制御部52は、ステップS80でのロボットアーム30の動作が完了すると、ステップS10へ戻りイベントの発生待ちをする。
通話が終了すると、障害者等は、携帯電話20の表示画面に表示された電話のオンフックボタンをタップすることで、オンフックを図2に示す携帯電話20の電話制御部22に指示する。

【0048】
オンフックの通知に基づいて電話制御部22は、オンフックされたことを、電話制御部22からイベント発生通知部24へ通知する。
イベント発生通知部24は、オンフックを示すイベント情報を、無線通信部21を介して装置本体50へ送信する(ステップS20)。

【0049】
装置本体50では、アーム制御部52が無線通信部51を介してオンフックを示すイベント情報を受信する。アーム制御部52では、イベント情報を解析して、解析結果がオンフックであれば(ステップS90)、オンフックに対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS100)。アーム制御部52は、ロボットアーム30の先端関節部35を動作させる(ステップS110)。
このとき、アーム制御部52がステップS330で動作させて操作状態から通話状態とした先端関節部35の回動を反対方向に回動させ、元の状態に復帰させて操作状態としてもよいし、ステップS310からステップS330までと、ステップS340とにて初期状態から通話状態とした動作を、反対に動作させて、初期状態に復帰させてもよい。

【0050】
通話状態(図7(B)に示す状態)から操作状態(図7(A)に示す状態)に復帰させるのであれば、障害者等は引き続いて携帯電話20を操作することができる。
通話状態(図7(B)に示す状態)から初期状態(図3および図4に示す状態)に復帰させるのであれば、通話終了後に携帯電話20を障害者等の動作に支障がない状態とすることができる。

【0051】
次に、メール着信について説明する。なお、ロボットアーム30は初期状態とする。
携帯電話20にメール着信があると、図2に示すネットワーク制御部23からイベント発生通知部24へメール着信が通知される。イベント発生通知部24は、メール着信を、イベント発生を示すイベント情報として、無線通信部21を介して装置本体50へ送信する(ステップS20)。
装置本体50では、アーム制御部52が、イベント情報を、無線通信部51を介して受信する。アーム制御部52では、イベント情報を解析して、解析結果がメール着信であれば(ステップS120)、メール着信に対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS130)。
アーム制御部52は、このシーケンス情報に基づいて、ロボットアーム30の基端駆動部32、中間関節部33、補助関節部34c、先端関節部35を動作させる(ステップS140)。

【0052】
メール着信の際に障害者等が行う携帯電話20の表示画面への操作は、電話着信の際にオフフックする動作と同じであるため、メール着信のシーケンス情報は、電話着信のシーケンス情報と同じとしている。従って、アーム制御部52は、図9に示すステップS310からステップS330までの動作をロボットアーム30へ指示して、ロボットアーム30を初期状態から操作状態とする。
これにより、メール着信によっても、携帯電話20を操作しやすい位置まで移動させることができるので、携帯電話20の利便性を享受することができる。

【0053】
電話着信やメール着信のように、突然にイベントが発生することの他に、障害者等が、能動的に携帯電話20を操作したい場合がある。このときには、障害者等は操作部40を操作する。

【0054】
障害者等が操作部40を操作すると、ロボットアーム30が初期状態であるときには操作開始を示しており、操作部40から、直接、アーム制御部52へ操作開始が通知される(ステップS150)。
操作部40からイベント情報を受けたアーム制御部52では、イベント情報を解析して、解析結果が操作開始であれば(ステップS160)、操作開始に対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS170)。
アーム制御部52は、このシーケンス情報に基づいて、ロボットアーム30の基端駆動部32、中間関節部33、補助関節部34c、先端関節部35を動作させる(ステップS180)。

【0055】
例えば、ブラウザを使用したサイトの閲覧や着信済の電子メールの閲覧の際に障害者等が行う携帯電話20の表示画面への操作は、電話着信の際と同じ動作であるため、操作開始のシーケンス情報は、電話着信のシーケンス情報と同じとしている。従って、アーム制御部52は、図9に示すステップS310からステップS330の動作をロボットアーム30へ指示して、ロボットアーム30を初期状態から操作状態とする。
これにより、インターネットにアクセスを行いたい場合でも、携帯電話20を操作しやすい位置まで移動させることができる。従って、操作部40を操作すれば、携帯電話20が障害者等の操作範囲S内に移動するので、障害者等が携帯電話を能動的に使用することができる。

【0056】
障害者等が携帯電話20の操作を終了したいとき、再度、操作部40を操作する(ステップS150)。ロボットアーム30が操作状態にあるときには、操作部40からの通知は、操作終了を示している。操作部40からの通知を操作終了として受信したアーム制御部52は、イベント情報を解析して、解析結果が操作終了であれば(ステップS190)、操作開始に対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS200)。
アーム制御部52は、このシーケンス情報に基づいて、ロボットアーム30の基端駆動部32、中間関節部33、補助関節部34c、先端関節部35を動作させる(ステップS210)。

【0057】
操作終了は、操作状態から初期状態に戻る動作(電話着信のときと反対の動作)となるため、操作終了のシーケンス情報は、電話着信のシーケンス情報を反対とした情報としている。従って、アーム制御部52は、図9に示すステップS330からステップS310までの反対の動作をロボットアーム30へ指示して、ロボットアーム30を操作状態から初期状態とする。

【0058】
このように、携帯電話20の操作が終了したときでも、携帯電話20を障害者等の邪魔にならない初期状態に位置させることができる。

【0059】
この他にも、例えば、図2には図示していないが携帯電話20に内蔵されたカメラ機能を操作して撮像することができる。このときには、障害者等は、操作部40を操作して初期状態のロボットアーム30を操作状態とした後に、表示画面のカメラのアイコンをタップすることで、カメラ機能を起動する。この起動によりカメラ制御部からイベント発生通知部24へ撮像開始が通知される。
イベント発生通知部24から装置本体50のアーム制御部52へイベント情報である撮像開始が通知されると、アーム制御部52は、ステップS310とステップS320を行なって、垂直状態のままの携帯電話20を障害者等の胸前に位置させた撮像状態とすることができる。そうすることで、携帯電話20の背面に配置されたカメラのレンズが前方を向き、障害者等は、表示画面のシャッターボタンをタップすることで、撮像することができる。

【0060】
なお、本実施の形態1では、ロボットアーム30が右肘掛け部WRに配置され、操作部40が左肘掛け部WLに配置されているが、反対としてもよい。その場合には、ロボットアーム30は、障害者等を中心として線対称の動作をさせるようにする。

【0061】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る操作支援装置を図面に基づいて説明する。本実施の形態2に係る操作支援装置は、障害者等がベッドに横たわった状態で携帯電話を操作することを支援するものである。なお、図10においては、実施の形態1と同じ操作支援装置10を使用しているため、同符号を付して各部の構成の説明は省略する。

【0062】
図10(A)および図10(B)に示すように、操作支援装置10は、ベッドBの右手摺部BRに、ロボットアーム30が取付部材38により取り付けられていると共に、操作部40が取り付けられている。この取付部材38は、ロボットアーム30のベースリンク31が水平状態となるようにロボットアーム30を取り付けるものである。
ロボットアーム30がベッドBに、ベースリンク31が水平状態となるように配置されていることで、中間関節部33より先部が水平方向から垂直方向に、ベースリンク31に対して起立させ、そして、ロボットアーム30の先端部が、ベッドの端部から中央部に向かって、中間関節部33を中心として回動することで、初期状態から操作状態および通話状態とすることができる。
このように本実施の形態2に係る操作支援装置10によれば、障害者等がベッドに横たわった状態でも、実施の形態1と同様に、手軽に携帯電話20を使用することができる。従って、障害者等は、携帯電話20の高い利便性を享受することができる。

【0063】
なお、本実施の形態1,2では、携帯端末装置を携帯電話20を例に説明したが、電話機能を備えていない端末装置、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)やiPad(登録商標)のようなタブレット端末などとしてもよい。

【0064】
また、本実施の形態1,2では、中間関節部33をベースリンク31に対して90°の角度に動作させているが、障害者等の体格、座高の高さ、ロボットアーム30の取り付け位置に応じて、鋭角としたり、鈍角としたりしてもよい。そのときには、第1中間リンク34aと第2中間リンク34bとの間の補助関節部34cを使って保持部36に保持された携帯電話20の長さ方向の角度を障害者等から見て真っ直ぐになるように調整するのが望ましい。

【0065】
また、中間関節部33をベースリンク31に対して90°の角度とした場合でも、障害者等の体格、座高の高さ、ロボットアーム30の取り付け位置に応じて、補助関節部34cによる第2中間リンク34bの回動角度を調整して、携帯電話20の位置を障害者等に取って最適な位置とするようにしてもよい。

【0066】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る操作支援装置を図面に基づいて説明する。なお、図11から図22においては、図1から図10に示す構成と同じものは同符号を付して説明を省略する。
図11に示す操作支援装置11は、障害者等が使用する車椅子Wに装着されている。操作支援装置11は、車椅子Wの右肘掛け部WRに配置され、携帯端末装置の一例である携帯電話20を保持するロボットアーム60と、ロボットアーム60を制御する装置本体70(図15参照)とを備えている。

【0067】
図12および図13に示すように、ロボットアーム60は、複数の関節を有する多関節型である。ロボットアーム60は、右肘掛け部WRと兼用するベースリンク61と、中間関節部63と、中間リンク64と、先端関節部65と、保持部66とを備えている。

【0068】
ベースリンク61は、右肘掛け部WRと兼用することで、利用者である障害者等の側方となる位置に、前方に沿って配置されている。
ベースリンク61は、鞘部材61aと、鞘部材61aに差し込まれた棹部材61bとから形成されている。鞘部材61aは円筒形状に形成されている。棹部材61bは、鞘部材61aの空洞部分に嵌り軸回転する棒状に形成されている。棹部材61bの先端部には、障害者等が、棹部材61bを鞘部材61aから押し出し、軸回転させるためのレバー61cが設けられている。

【0069】
レバー61cは、棹部材61bを引き出しやすいように、基端部を中心として、後方への傾斜状態から前方への傾斜状態へと移動させることができる。
鞘部材61aには、棹部材61bが引き出されて、先端側からみて反時計回りに90度軸回転したことを検出するための検出部61d(図12および図13では図示せず。図14参照)が設けられている。
棹部材61bの先端部には、レバー61cの取り付け位置とは反対側に、中間関節部63が設けられている。
中間関節部63は、ベースリンク61の棹部材61bの先端部に固定接続され、初期状態では中間リンク64より先部を後方に向けている。

【0070】
中間リンク64は、本実施の形態3では第1中間リンク64aと、第2中間リンク64bと、第3中間リンク64cと、その間で、第2中間リンク64bの回動角度を制御する第1補助関節部64dと、第3中間リンク64cの回動角度を制御する第2補助関節部64eとを備えている。
第1中間リンク64aは、基端部が中間関節部63に接続され、中間関節部63によりベースリンク61に対する回動角度が調整され、先端部が第1補助関節部64dに固定接続されている。第2中間リンク64bは、基端部が第1補助関節部64dに接続され、第1補助関節部64dにより第1中間リンク64aに対する回動角度が調整され、先端部が第2補助関節部64e固定接続されている。第3中間リンク64cは、基端部が第2補助関節部64eに接続され、第2補助関節部64eにより第2中間リンク64bに対する回動角度が調整され、先端部が先端関節部65に固定接続されている。
第1補助関節部64dは、第1中間リンク64aと第2中間リンク64bとの成す角度が180°となる状態から第2中間リンク64bを回動させることができる。
第2補助関節部64eは、第2中間リンク64bと第3中間リンク64cとの成す角度が180°となる状態から第3中間リンク64cを回動させることができる。

【0071】
先端関節部65は、中間リンク64の先端に固定接続され、中間リンク64に対して保持部66を90度の角度で回動させることができる。
保持部66は、携帯電話20を固定保持することができる。

【0072】
図15に示すように、装置本体70は、アーム制御部71を備えている。アーム制御部71は、ベースリンク61の検出部61dからの信号を契機に、ロボットアーム60を動作させ、携帯電話20を初期状態から障害者等の前方に位置させる。また、アーム制御部71は、携帯電話20のオフフックを示す無線信号を無線通信部51から入力すると、これを契機に、ロボットアーム60を動作させ、携帯電話20を通話しやすい障害者等の胸元まで上昇させる。更に、アーム制御部71は、携帯電話20のオンフックを示す無線信号を無線通信部51から入力すると、これを契機に、ロボットアーム60を動作させて、携帯電話20を初期状態へ戻す。

【0073】
以上のように構成された本発明の実施の形態3に係る操作支援装置11の動作および使用状態を図面に基づいて説明する。
まず、図11から図14に示すように、初期状態では、ベースリンク61は、鞘部材61aに棹部材61bが差し込まれた状態である。
この初期状態では、携帯電話20が障害者等の側方で、かつ中間関節部63より先部が右肘掛け部WRの下方に位置していることから、携帯電話20も右肘掛け部WRの下方に位置している。この初期状態では、携帯電話20が、障害者等の側方となる位置の太腿付近にあり、表示画面25が横向きの状態であるため、障害者等の操作範囲の外側に待機させた位置であるため、携帯電話20が腿や膝の動きの邪魔にならない。

【0074】
図16に示すように、まず、装置本体70のアーム制御部71は、イベント発生がない状態では、待機状態であり、ロボットアーム60は図11から図14に示す初期状態である。アーム制御部71はイベント発生を待って待機している(ステップS410)。

【0075】
携帯電話20に電話着信があると、障害者等は、図17に示すように、レバー61cを押し、ベースリンク61の棹部材61bを鞘部材61aから引き出して延ばす。そして、図18に示すように、レバー61cを体の外側へ90度軸回転(正面から見て反時計回り)させる。
障害者等によるこの棹部材61bの軸回転により、中間関節部63より先部と携帯電話20とが、右肘掛け部WRの下方となる位置から起き上がり、携帯電話20の表示画面25が上方を向いた状態となる。
図18に示すように、検出部61dが、棹部材61bの90度の軸回転を検出すると、装置本体70へ検出した旨の信号を出力する(ステップS420)。

【0076】
装置本体70では、アーム制御部71が、イベント情報を、無線通信部51を介して受信する。アーム制御部71では、イベント情報を解析して、解析結果が棹部材61bの90度の軸回転の検出であれば(ステップS430)、動作開始に対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS440)。
アーム制御部71は、このシーケンス情報に基づいて、障害者等にオフフック操作させるため、ロボットアーム60の中間関節部63、第1補助関節部64d、第2補助関節部64eと、先端関節部65を動作させる(ステップS450)。

【0077】
アーム制御部71は、まず、図19および図20に示すように、中間関節部63を動作させ、中間関節部63を中心に、中間関節部63より先部を水平に90度回動させ、携帯電話20を障害者等の側方から前方に位置させる。
初期状態で障害者等の側方に位置した携帯電話20を、水平に回動させて障害者等の操作範囲S内に位置させる際に、鞘部材61aから棹部材61bを引き伸ばすことで、携帯電話20が障害者等から離れるため、中間関節部63が保持部66を水平に回動させる携帯電話20の回動範囲から障害者等を外すことができる。
しかし、中間関節部63を中心に、中間関節部63より先部を水平に90度回動させた状態では、まだ、携帯電話20は、表示画面25が横向きである。

【0078】
次に、アーム制御部71は、図21に示すように、先端関節部65に対して、先端関節部65の軸部65aを中心に保持部66を90度回動させて、携帯電話20の表示画面25に表示される文字や画像が障害者等に向いた適正な方向に携帯電話20を向ける。

【0079】
このように、ベースリンク61の先端部にて、携帯電話20の表示画面25を上方に向けた状態に保持部66が保持する携帯電話20を、中間関節部63が保持部66を水平に回動させて、携帯電話20を障害者等の操作範囲S内に位置させているため、初期状態で、携帯電話20が利用者の操作範囲外であっても、ロボットアーム30は、携帯電話20を操作範囲S内に位置させることができる。

【0080】
障害者等は、携帯電話20への電話着信を受け、携帯電話20の表示画面25に表示された電話のオフフックボタンをタップすることで、オフフックを携帯電話20の電話制御部22(図15参照)に指示する。

【0081】
オフフックの通知に基づいて電話制御部22は、オフフックされたことを、電話制御部22からイベント発生通知部24へ通知する。
イベント発生通知部24は、オフフックを示すイベント情報を、無線通信部21を介して装置本体70へ送信する(ステップS460)。

【0082】
装置本体70では、アーム制御部71が無線通信部51を介してオフフックを示すイベント情報を受信する。アーム制御部71では、イベント情報を受信したことを受け(ステップS410)、イベント情報を解析する。解析結果がオフフックであれば(ステップS470)、オフフックに対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS480)。そして、アーム制御部71は、オフフックに対応するシーケンス情報に基づいてロボットアーム30を動作させる(ステップS490)。

【0083】
操作状態でも携帯電話20は障害者等の前にあり、通話可能な状態である。しかし、より通話しやすい状態とするために、アーム制御部71は、図22に示すような操作状態の携帯電話20を、第1補助関節部64dおよび第2補助関節部64eを動作させて保持部66を上昇させて、携帯電話20を持ち上げ、ロボットアーム60を通話状態とする。
携帯電話20の上昇は、第1補助関節部64dが、第2中間リンク64bを登り傾斜となるように第2中間リンク64bの基端部を中心に先端部を回動させて上昇させるだけでなく、第2補助関節部64eが第3中間リンク64cを、第2中間リンク64bの基端部を中心に先先端部を下降させて、保持部66の傾きが変化しないようにしている。そうすることで、ロボットアーム60は、携帯電話20の水平を維持したまま、携帯電話20を元の位置から上昇させることができる。従って、障害者等が通話しやすいように携帯電話20を顔に近づけることができる。

【0084】
アーム制御部71は、ステップS490でのロボットアーム30の動作が完了すると、ステップS410へ戻りイベントの発生待ちをする。
通話が終了すると、障害者等は、携帯電話20の表示画面25に表示された電話のオンフックボタンをタップすることで、オンフックを図15に示す携帯電話20の電話制御部22に指示する。

【0085】
オンフックの通知に基づいて電話制御部22は、オンフックされたことを、電話制御部22からイベント発生通知部24へ通知する。
イベント発生通知部24は、オンフックを示すイベント情報を、無線通信部21を介して装置本体70へ送信する(ステップS460)。

【0086】
装置本体70では、アーム制御部71が無線通信部51を介してオンフックを示すイベント情報を受信する。装置本体70では、アーム制御部71が無線通信部51を介してオンフックを示すイベント情報を受信する。アーム制御部71では、イベント情報を受信したことを受け(ステップS410)、イベント情報を解析する。解析結果がオンフックであれば(ステップS500)、オンフックに対応するシーケンス情報を読み出す(ステップS510)。アーム制御部71は、オンフックに対応するシーケンス情報に基づいてロボットアーム30を動作させる(ステップS520)。

【0087】
アーム制御部71は、ステップS490でのロボットアーム60の動作およびステップS450でのロボットアーム60の動作のそれぞれの手順を反対に動作させることで、図17に示す状態までロボットアーム60を戻すことができる。

【0088】
このように、初期状態として障害者等の側方に携帯電話20を位置させたロボットアーム60を、ベースリンク61の棹部材61bが引き出されたことを契機に、アーム制御部71が、ロボットアーム30を動作させて、携帯電話20を、障害者等の操作範囲の外側に待機させた位置から、障害者等の操作範囲S内である障害者等の前方に位置させるので、携帯電話20の操作に支障がある障害者等であっても、携帯電話20を操作することができる。従って、障害者等は、携帯電話20の利便性を享受することができる。

【0089】
図11および図12に示すように、ロボットアーム60は、携帯電話20の表示画面25が横向きの状態が初期状態としているため、利用者の側方に位置していても嵩張らない。また、図18および図19に示すように、ベースリンク61の棹部材61bを軸回転させて、携帯電話20の表示画面25が上方へ向くと、ベースリンク61の先端部の中間関節部63に保持部66を水平に回動させて、携帯電話20を障害者等の操作範囲S内に位置させているため、障害者等に、携帯電話20の表示画面25が上方へ向いた状態で操作させることができる。

【0090】
本実施の形態3に係る操作支援装置11のロボットアーム60では、ベースリンク61の伸縮について、棹部材61bが鞘部材61aから引き出されて延びているが、反対に、棹部材の先端部に中間関節部63およびレバー61cを設け、棹部材を棹部材から引き出されるようにしてもよい。その場合、検出部61dは、鞘部材の軸回転を検出するように構成する。

【0091】
また、本実施の形態3に係る操作支援装置11では、手動で、ベースリンク61の棹部材61bを引き出し、軸回転させているが、棹部材61bに、例えば、ラックとピニオンから構成される基端駆動部を設けると共に、棹部材61bを軸回転させる、例えば、モータを設け、アーム制御部が携帯電話20への電話着信を受けると、図19および図20に示す状態までロボットアーム60を制御するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の操作支援装置は、携帯端末装置を把持して操作することが困難な障害者等が携帯端末装置を操作する際に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0093】
10,11 操作支援装置
20 携帯電話
21 無線通信部
22 電話制御部
23 ネットワーク制御部
24 イベント発生通知部
25 表示画面
30 ロボットアーム
31 ベースリンク
32 基端駆動部
33 中間関節部
34 中間リンク
34a 第1中間リンク
34b 第2中間リンク
34c 補助関節部
35 先端関節部
36 保持部
37,38 取付部材
40 操作部
50 装置本体
51 無線通信部
52 アーム制御部
60 ロボットアーム
61 ベースリンク
61a 鞘部材
61b 棹部材
61c レバー
61d 検出部
63 中間関節部
64 中間リンク
64a 第1中間リンク
64b 第2中間リンク
64c 第3中間リンク
64d 第1補助関節部
64e 第2補助関節部
65 先端関節部
65a 軸部
66 保持部
70 装置本体
71 アーム制御部
W 車椅子
WR 右肘掛け部
WL 左肘掛け部
B ベッド
BR 右手摺部
S 操作範囲
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
11
【図13】
12
【図14】
13
【図15】
14
【図16】
15
【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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