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明細書 :知覚閾値測定装置、知覚閾値測定方法及び知覚閾値測定プログラム

発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2016-140637 (P2016-140637A)
公開日 平成28年8月8日(2016.8.8)
発明の名称または考案の名称 知覚閾値測定装置、知覚閾値測定方法及び知覚閾値測定プログラム
国際特許分類 A61B   5/16        (2006.01)
FI A61B 5/16 300B
請求項の数または発明の数 6
出願形態 OL
全頁数 38
出願番号 特願2015-019826 (P2015-019826)
出願日 平成27年2月4日(2015.2.4)
発明者または考案者 【氏名】川野 常夫
【氏名】福井 裕
出願人 【識別番号】503420833
【氏名又は名称】学校法人常翔学園
個別代理人の代理人 【識別番号】100115749、【弁理士】、【氏名又は名称】谷川 英和
【識別番号】100115369、【弁理士】、【氏名又は名称】仙波 司
審査請求 未請求
テーマコード 4C038
Fターム 4C038PP01
4C038PR02
要約 【課題】被検者の虚偽的な回答や恣意的な回答を排除して高い精度で知覚閾値(フリッカー値)を測定する。
【解決手段】制御部4は暫定知覚閾値測定と信頼性判定測定を行なう。制御部4は暫定知覚閾値測定で複数のLED21を1Hzピッチで相互に周波数を異ならせて点滅させ、被検者Pに点滅が弁別可能な上限の周波数fを有するLED21を回答させる。制御部4は信頼性判定測定で複数のLED21を左右に2つのグループに分け、第1のグループ(左側のグループ)のLED21は(f-1)の周波数で点滅させ、第2のグループ(右側のグループ)のLED21は被検者Pが点滅を弁別できない周波数(>50Hz)で点滅させて被検者Pに暫定知覚閾値測定と同様の回答をさせる。制御部4は信頼性判定測定で第1のグループの第2のグループとの境界に配置されたLED21が回答された場合に周波数fを知覚閾値として出力し、それ以外は再測定をする。
【選択図】図1
特許請求の範囲 【請求項1】
複数の刺激子を配列してなる刺激子列を有し、その刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を当該刺激の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者の知覚器に与え、当該被検者に刺激強度の変化を弁別できない刺激子の隣に配列された刺激強度の変化を弁別できる境界の刺激子を回答させ、その境界の刺激子に基づいて、前記被検者が刺激強度の変化を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置において、
隣り合う刺激子の刺激の変化に関するパラメータ値が前記複数の刺激子の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第1の刺激発生手段と、
前記第1の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、
前記刺激子列内の任意の刺激子を設定する刺激子設定手段と、
前記複数の刺激子の配列方向において前記刺激子設定手段が設定した刺激子と当該刺激子よりも一方側に配列された複数の刺激子とを第1のグループとし、前記刺激子設定手段が設定した刺激子よりも他方側に配列された複数の刺激子を第2のグループとするように前記複数の刺激子を二分し、前記第1のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別できない領域にある所定の値とする第2の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第2の刺激発生手段と、
前記第2の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、
前記判定手段が信頼性有りと判定した場合、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする、知覚閾値測定装置。
【請求項2】
複数の光源を配列してなる光源列を有し、その光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者の視覚器に与え、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置において、
隣り合う光源の明滅に関するパラメータ値が前記複数の光源の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第1の明滅光発生手段と、
前記第1の発光条件で明滅光を発生させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、
前記光源列内の任意の光源を設定する光源設定手段と、
前記複数の光源の配列方向において前記光源設定手段が設定した光源と当該光源よりも一方側に配列された複数の光源とを第1のグループとし、前記光源設定手段が設定した光源よりも他方側に配列された複数の光源を第2のグループとするように前記複数の光源を二分し、前記第1のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段の算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別できない領域にある所定の値とする第2の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第2の明滅光発生手段と、
前記第2の発光条件で明滅光を発生させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、
前記判定手段が信頼性有りと判定した場合、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする、知覚閾値測定装置。
【請求項3】
前記明滅の変化パラメータは、明滅周波数であり、
前記第1、第2の明滅光発生手段は、前記光源列の光源数よりも少ない複数の光源を1組とし、前記光源列から配列方向に1組単位で一部の光源を順番に抽出して各組の光源を明滅させる、請求項2に記載の知覚閾値測定装置。
【請求項4】
前記判定手段が信頼性有り判定した場合、前記光源列を前記第2の明滅光発生手段で明滅発光させて前記被検者に前記境界の光源に関する回答を行わせる処理を再度行う再測定手段をさらに備え、
前記出力手段は、前記判定手段が前記再測定手段による再測定での前記被検者の回答に信頼性があると判定した場合に、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する、請求項2又は3に記載の知覚閾値測定装置。
【請求項5】
配列された複数の光源を有する光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者に見せ、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定方法であって、
隣り合う光源の明滅に関するパラメータ値が前記複数の光源の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第1のステップと、
前記第1のステップで明滅光を発生させた光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する第2のステップと、
前記光源列内の任意の光源を設定する第3のステップと、
前記複数の光源の配列方向において前記第3のステップで設定した光源と当該光源よりも一方側に配列された複数の光源とを第1のグループとし、前記第3のステップで設定した光源よりも他方側に配列された複数の光源を第2のグループとするように前記複数の光源を二分し、前記第1のグループに対する明滅に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別でき、かつ、前記第1のステップで算出し知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する明滅に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別できない領域にある所定の値とする第2の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第4のステップと、
前記第2の発光条件で明滅光を発光させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する第5のステップと、
前記第5のステップで信頼性有りと判定された場合、前記第2のステップで算出した知覚閾値を出力する第6のステップと、
を備えたことを特徴とする、知覚閾値測定方法。
【請求項6】
複数の光源を配列してなる光源列を有し、その光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者に見せ、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置を制御するコンピュータに実行させる知覚閾値測定プログラムであって、
前記コンピュータを、
隣り合う刺激子の刺激の変化に関するパラメータ値が前記複数の刺激子の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第1の刺激発生手段と、
前記第1の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、
前記刺激子列内の任意の刺激子を設定する刺激子設定手段と、
前記複数の刺激子の配列方向において前記刺激子設定手段が設定した刺激子と当該刺激子よりも一方側に配列された複数の刺激子とを第1のグループとし、前記刺激子設定手段が設定した刺激子よりも他方側に配列された複数の刺激子を第2のグループとするように前記複数の刺激子を二分し、前記第1のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別できない領域にある所定の値とする第2の刺激発生条件で前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第2の刺激発生手段と、
前記第2の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、
前記判定手段が信頼性有りと判定した場合に、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、
して機能させるための知覚閾値測定プログラム。
発明の詳細な説明 【技術分野】
【0001】
本発明は、被検者の知覚器に断続的な刺激を与え、被検者が刺激の断続を弁別できる発生頻度の上限値(以下、「知覚閾値」という。)を測定する知覚閾値測定装置、知覚閾値測定方法及び知覚閾値測定プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、知覚閾値の測定として、被検者に高速で点滅する光を見せ、その光の点滅周波数を減少変化させた時に点滅感覚が発生する周波数閾値(点滅を弁別することができる点滅周波数の上限側の閾値。視覚閾値)を測定することが知られている。この視覚閾値の測定は、フリッカー値測定、CFF(Critical Fusion Frequency)値測定などと呼ばれている。
【0003】
フリッカー値は、精神的疲労若しくは身体的疲労の蓄積とともに減少する傾向があることが知られている。このため、フリッカー値は、人の精神的疲労や身体的疲労の度合いを定量的に評価するための評価値として利用され、フリッカー値測定器も商品化されている。
【0004】
従来のフリッカー値測定器は、一般に、LEDなどの光源を1個有し、その光源の点滅周波数を増加若しくは減少させて被検者に点滅が弁別可能な限界の点滅周波数(視覚閾値)を回答させることによってフリッカー値を測定している。
【0005】
また、特許文献1には、液晶ディスプレイやCRTなどのリフレッシュレートが一定の表示装置を用いてフリッカー値測定を可能にする方法が提案されている。この方法は、液晶ディスプレイに、丸形の画像を所定の周期で当画像の「明」と「暗」の輝度差(コントラスト)を変化させるように表示させ、その画像を見た被検者にチラツキを感じるようになる時点を回答させ、その回答時の画像の輝度差を用いてフリッカー値を求める方法である。この方法は、点滅光の点滅周期が一定であっても「明」と「暗」の輝度差によっては被検者がチラツキを感じる場合があるという特性に基づき、画像の輝度差とフリッカー値との相関関係を用いて、被検者がチラツキを感じる限界の画像のコントラストからフリッカー値を求めるものである。
【0006】
また、従来のフリッカー測定器や特許文献1に記載のフリッカー値測定方法は、被検者に見せる光源が1個であるため、測定に比較的長い時間を要するという欠点があるので、非特許文献1には、光源を一列に配列した複数個のLEDからなる光源列で構成し、各LEDの点滅周波数が配列方向に単調に増加若しくは減少するように、点滅周波数を相互に異ならせて各LEDを同時に点滅させる方法が提案されている。
【0007】
この方法では、被検者に光源列の点滅発光を見せ、点滅が弁別できないLEDと隣り合った点滅が弁別できるLEDを被検者に回答させ、そのLEDの点滅周波数をフリッカー値(視覚閾値)として出力する。
【先行技術文献】
【0008】

【特許文献1】特開2010-088862号公報
【0009】

【非特許文献1】北川貴博、福井裕、川野常夫:「点滅周波数の異なる多点LEDによるフリッカー値測定器の開発」,平成25年度日本人間工学関西支部大会講演論文集,pp.77-80(2013)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
知覚閾値の測定方法は、被検者の知覚器に断続的な刺激を与え、その刺激の断続が弁別できなくなる上限の刺激の発生頻度(知覚閾値)を被検者に回答させる方法であるので、被検者が意図的に虚偽の回答をしたり、恣意的な回答(気まぐれな回答)をしたりした場合は、測定結果の信頼性が低下するという問題がある。
【0011】
例えば、フリッカー値測定器を疲労度測定に用いた場合、被検者によっては測定結果が低いフリッカー値となるのを望まない被検者もあり、実際に弁別できる刺激の発生頻度の上限値よりも高い発生頻度を意図的に回答する場合がある。また、被検者自身が刺激の発生頻度の上限値を明確に弁別できず、適当に回答する場合もある。
【0012】
従来のフリッカー値測定方法は、被検者が知覚閾値を正直に回答するとの前提でフリッカー値測定を行っているので、被検者が意図的に虚偽の回答をした場合や恣意的な回答をした場合は、測定結果の信頼性が低下するという問題があった。
【0013】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、被検者の虚偽的回答や恣意的回答を排除して高い精度で知覚閾値を測定することができる知覚閾値測定装置、知覚閾値測定方法及び知覚閾値測定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第一の発明の知覚閾値測定装置は、複数の刺激子を配列してなる刺激子列を有し、その刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を当該刺激の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者の知覚器に与え、当該被検者に刺激強度の変化を弁別できない刺激子の隣に配列された刺激強度の変化を弁別できる境界の刺激子を回答させ、その境界の刺激子に基づいて、前記被検者が刺激強度の変化を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置において、隣り合う刺激子の刺激の変化に関するパラメータ値が前記複数の刺激子の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第1の刺激発生手段と、前記第1の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、前記刺激子列内の任意の刺激子を設定する刺激子設定手段と、前記複数の刺激子の配列方向において前記刺激子設定手段が設定した刺激子と当該刺激子よりも一方側に配列された複数の刺激子とを第1のグループとし、前記刺激子設定手段が設定した刺激子よりも他方側に配列された複数の刺激子を第2のグループとするように前記複数の刺激子を二分し、前記第1のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別できない領域にある所定の値とする第2の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第2の刺激発生手段と、前記第2の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、前記判定手段が信頼性有りと判定した場合、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする知覚閾値測定装置である。
【0015】
第二の発明の知覚閾値測定装置は、複数の光源を配列してなる光源列を有し、その光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者の視覚器に与え、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置において、隣り合う光源の明滅の変化パラメータの値が前記複数の光源の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第1の明滅光発生手段と、前記第1の発光条件で明滅光を発生させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、前記光源列内の任意の光源を設定する光源設定手段と、前記複数の光源の配列方向において前記光源設定手段が設定した光源と当該光源よりも一方側に配列された複数の光源とを第1のグループとし、前記光源設定手段が設定した光源よりも他方側に配列された複数の光源を第2のグループとするように前記複数の光源を二分し、前記第1のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段の算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別できない領域にある所定の値とする第2の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第2の明滅光発生手段と、前記第2の発光条件で明滅光を発生させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、前記判定手段が信頼性有りと判定した場合、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする知覚閾値測定装置である。
【0016】
第三の発明の知覚閾値測定装置は、第二の発明の知覚閾値測定装置において、前記明滅の変化パラメータは、明滅周波数であり、前記第1、第2の明滅光発生手段は、前記光源列の光源数よりも少ない複数の光源を1組とし、前記光源列から配列方向に1組単位で一部の光源を順番に抽出して各組の光源を明滅させることを特徴とする知覚閾値測定装置である。
【0017】
第四の発明の知覚閾値測定装置は、第二または第三の発明の知覚閾値測定装置において、前記判定手段が信頼性有り判定した場合、前記光源列を前記第2の明滅光発生手段で明滅発光させて前記被検者に前記境界の光源に関する回答を行わせる処理を再度行う再測定手段をさらに備え、前記出力手段は、前記判定手段が前記再測定手段による再測定での前記被検者の回答に信頼性があると判定した場合に、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力することを特徴とする知覚閾値測定装置である。
【0018】
第五の発明の知覚閾値測定方法は、配列された複数の光源を有する光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者に見せ、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定方法であって、隣り合う光源の明滅の変化に関するパラメータ値が前記複数の光源の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第1のステップと、前記第1のステップで明滅光を発生させた光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する第2のステップと、前記光源列内の任意の光源を設定する第3のステップと、前記複数の光源の配列方向において前記第3のステップで設定した光源と当該光源よりも一方側に配列された複数の光源とを第1のグループとし、前記第3のステップで設定した光源よりも他方側に配列された複数の光源を第2のグループとするように前記複数の光源を二分し、前記第1のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別でき、かつ、前記第1のステップで算出し知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する明滅の変化に関するパラメータ値を前記被検者が明滅を弁別できない領域にある所定の値とする第2の発光条件で、前記光源列の各光源から明滅光を発生させる第4のステップと、前記第2の発光条件で明滅光を発光させた前記光源列に対する前記被検者の前記境界の光源に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する第5のステップと、前記第5のステップで信頼性有りと判定された場合、前記第2のステップで算出した知覚閾値を出力する第6のステップと、を備えたことを特徴とする知覚閾値測定方法である。
【0019】
第六の発明の知覚閾値測定プログラムは、複数の光源を配列してなる光源列を有し、その光源列の各光源から発光強度が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者に見せ、当該被検者に明滅を弁別できない光源の隣に配列された明滅を弁別できる境界の光源を回答させ、その境界の光源に基づいて、前記被検者が明滅を弁別できる前記パラメータ値の閾値を知覚閾値として測定する知覚閾値測定装置を制御するコンピュータに実行させる知覚閾値測定プログラムであって、前記コンピュータを、隣り合う刺激子の刺激の変化に関するパラメータ値が前記複数の刺激子の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の刺激発生条件で、前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第1の刺激発生手段と、前記第1の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第1の回答に基づいて、前記知覚閾値を算出する知覚閾値算出手段と、前記刺激子列内の任意の刺激子を設定する刺激子設定手段と、前記複数の刺激子の配列方向において前記刺激子設定手段が設定した刺激子と当該刺激子よりも一方側に配列された複数の刺激子とを第1のグループとし、前記刺激子設定手段が設定した刺激子よりも他方側に配列された複数の刺激子を第2のグループとするように前記複数の刺激子を二分し、前記第1のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、前記第2のグループに対する刺激の変化に関するパラメータ値を前記被検者が刺激強度の変化を弁別できない領域にある所定の値とする第2の刺激発生条件で前記刺激子列の各刺激子から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させる第2の刺激発生手段と、前記第2の刺激発生条件で刺激を発生させた前記刺激子列に対する前記被検者の前記境界の刺激子に関する第2の回答に基づいて、前記第1の回答の信頼性を判定する判定手段と、前記判定手段が信頼性有りと判定した場合に、前記知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値を出力する出力手段と、して機能させるための知覚閾値測定プログラムである。
【発明の効果】
【0020】
本発明による閾値測定装置によれば、隣り合う刺激子の刺激の変化に関するパラメータ値が複数の刺激子の配列方向に単調増加又は単調減少するという第1の刺激発生条件で刺激子列の各刺激子列から刺激強度が交互に変化する刺激を発生させて被検者に刺激強度の変化を弁別できない刺激子の隣に配列された刺激強度の変化を弁別できる境界の刺激子に関する第1の回答をさせ、第1の回答に基づいて、被検者が刺激強度の変化を弁別できるパラメータ値の閾値が知覚閾値として算出される。
【0021】
次に、刺激子列内の任意の刺激子を設定し、当該刺激子を含む第1のグループの刺激子に対する刺激の変化に関するパラメータ値を被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、知覚閾値算出手段が算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値とし、第2のグループの刺激子に対する刺激の変化に関するパラメータ値を被検者が刺激強度の変化を弁別できない領域にある所定の値とする第2の刺激発生条件で断続的な刺激を発生させて被検者に境界の刺激子に関する第2の回答をさせる。
【0022】
そして、被検者の第2の回答に基づいて、第1の回答の信頼性が判定され、信頼性有りと判定された場合に第1の回答で算出した知覚閾値が測定結果として出力される。
【0023】
本発明による閾値測定装置によれば、第1の回答後に刺激子列の刺激発生条件を変更して被検者に第2の回答を行わせ、その第2の回答に基づいて、第1の回答の信頼性を判定するので、被検者の虚偽的な回答や恣意的な回答を排除して高い精度で知覚閾値を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る知覚閾値測定装置のブロック構成図
【図2】同知覚閾値測定装置のフリッカー値測定におけるドライブ信号とLEDへの通電との関係を示す図
【図3】同知覚閾値測定装置における知覚閾値測定の処理手順の第1実施例を示すフローチャート
【図4】図3に示すフローチャートのステップS108以降の処理手順を示すフローチャート
【図5】同知覚閾値測定の処理手順の第1実施例において11個のLED21を第1の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャート
【図6】同知覚閾値測定の処理手順の第1実施例において11個のLED21を第2の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャート
【図7】同第1実施例に係る知覚閾値測定の暫定知覚閾値測定における11個のLEDの点滅周波数の一例を示す図
【図8】同第1実施例に係る知覚閾値測定の信頼性判定測定における11個のLEDの点滅周波数の一例を示す図
【図9】同第1実施例に係る知覚閾値測定の処理手順の変形例を示すフローチャート
【図10】同暫定知覚閾値測定における第1の発光条件での明滅制御の変形例を示すフローチャート
【図11】同信頼性判定測定における第2の発光条件での明滅制御の変形例を示すフローチャート
【図12】同暫定知覚閾値測定における11個のLEDを3個単位で順番に点滅させる場合の点滅周波数の一例を示す図
【図13】同知覚閾値測定装置における知覚閾値測定の処理手順の第2実施例を示すフローチャート
【図14】図13に示すフローチャートのステップS612以降の処理手順を示すフローチャート
【図15】同第2実施例に係る知覚閾値測定の処理手順において11個のLED21を第1の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャート
【図16】同第2実施例に係る知覚閾値測定の処理手順において11個のLED21を第2の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャート
【図17】同第2実施例に係る知覚閾値測定の暫定知覚閾値測定における11個のLEDの点滅周波数の一例を示す図
【図18】同第2実施例に係る知覚閾値測定の信頼性判定測定における11個のLEDの点滅周波数の一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る知覚閾値測定装置の実施の形態について、図面を参照して説明する。

【0026】
図1は、知覚閾値測定装置1の構成を示すブロック図である。

【0027】
知覚閾値測定装置1は、被検者Pの視覚器(目)に明滅する光刺激を与え、当該被検者Pにその光刺激の明滅を弁別することができる点滅周波数の上限値(以下、「視覚閾値」という。)を回答させることによって被検者Pのフリッカー値CFFを測定する装置である。

【0028】
知覚閾値測定装置1は、被検者Pに対して視覚器への光刺激(光源の明るさ若しくは輝度)が周期的に変化する光刺激(以下、「明滅光」という。)を発生する明滅光発生部2と、明滅光発生部2に発光動作を行わせる光源駆動部3と、光源駆動部3の動作を制御するとともに、入力装置5によって被検者Pから入力される操作信号に基づいて、フリッカー値CFFを測定し、その測定結果を表示装置6に出力する制御を行う制御部4と、を含む。

【0029】
明滅光発生部2は、所定の間隔で横一列に配列された複数個の光源21で構成される。図1では、11個の光源21を横一列に配列しており、各配列位置には被検者Pから見て左側から1,2,3,…11の符号が付されている。これらの符号は、光源21の位置を示すとともに、光源21の識別子として機能する。以下の説明では、光源21の位置番号が増加する方向(図1では、右方向)を配列方向として説明する。なお、配列は配列の方向性が明らかであればよく、水平な直線状に限らず、円環状、任意の曲線状であってもよい。

【0030】
光源21には、例えば、赤色光を発光するLED(light emitting diode)が使用されている。なお、発光色は赤色に限定されず、他の発光色であってもよい。また、光源21は、LEDなどの半導体発光素子に限定されず、電球などの発光素子であってもよい。

【0031】
以下の説明では、光源(LED)を代表する場合は、「LED21」と表記し、個々の光源(LED)を示す場合は、「LED21」(添え字nは、LED21の識別子を示す。本実施の形態では、n=1,2,3,…11。)と表記する。

【0032】
フリッカー値CFFは、例えば、労働科学分野において視覚機能が疲労によって低下することを定量的に評価するための評価値として用いられるものである。フリッカー値測定は、人の視覚器が明滅を弁別することができる明滅周波数と明滅を弁別することができない明滅周波数の上限側の境界を含む所定の周波数範囲で行われる。人の視覚閾値は、通常、30[Hz]~50[Hz]の範囲にあると言われているので、本実施の形態におけるフリッカー値測定では、この範囲を含む所定の周波数範囲で行われる。

【0033】
本実施の形態におけるフリッカー値測定では、互いに異なる明滅周波数で同時に明滅する複数個のLED21を被検者Pに見せ、その複数個のLED21の中から明滅が弁別できないLED21の隣に配列された明滅が弁別できるLED21を被検者Pに回答させ、そのLED21から被検者Pの視覚閾値を算出する。明滅周波数は、LED21の明滅の変化に関するパラメータ値に相当するものである。

【0034】
通常、人は1[Hz]よりも小さい明滅周波数の差を弁別することができない場合が多いので、本実施の形態では、11個のLED21の明滅周波数を配列方向に1[Hz]ピッチで変化させ、1[Hz]の精度で被検者Pのフリッカー値CFFを測定するようにしている。

【0035】
なお、11個のLED21の明滅周波数の差は、1[Hz]に限定されるものではない。また、フリッカー値の測定精度は、周波数のピッチにより決まるため、測定の目的に応じて適宜設定すればよい。

【0036】
明滅光発生部2のLED21の個数は11個に限定されるものではなく、10個以下であってもよく、12個以上であってもよい。被検者Pに30[Hz]~50[Hz]で点滅する21個のLED21を見せる場合、明滅光発生部2のLED21の個数を11個にした場合は11個のLED21~2111をそれぞれ30,31,30,…40[Hz]で点滅させる状態とそれぞれ40,41,40,…50[Hz]で点滅させる状態の2つの状態を被検者Pに見せればよい。

【0037】
しかし、LED21の個数を11個よりも少なくすると、被検者Pに見せる明滅光発生部2の点滅状態が3つ以上になるので、LED21の個数を少なくするほど測定時間が長くなる。その一方、LED21の個数を21個にすると、被検者Pに見せる明滅光発生部2の点滅状態が1つにできるが、被検者PにはLED21の個数が多すぎて、点滅が弁別できるLED21と点滅が弁別できないLED21の境界を見つけることが難しくなる。従って、好ましくは、明滅光発生部2のLED21の個数は、11個~15個程度に設定するのがよい。

【0038】
11個のLED21~2111は、図示省略の横長長方形状のパネルの背面に、例えば、15mmの間隔で固定されている。パネルのLED21の取り付け位置には小孔(例えば、直径3mmの小孔)が穿設されており、各小孔の前面には透過光量を調整するためのフィルタが取り付けられている。そして、LED21の発する光がその小孔から被検者P側に放射されるようになっている。

【0039】
明滅光発生部2は、被検者Pの正面であって、当該被検者Pの目から所定の距離D(例えば、水平距離で30~50[cm]の距離)だけ離れた位置に、中央のLED21が被検者Pの正面にくるように配置される。

【0040】
光源駆動部3は、11個のLED21~2111に対応して11個のLEDドライバ31(添え字nは、LEDドライバ31の識別子を示す。本実施の形態では、n=1,2,3,…11。)を有している。LEDドライバ31は、例えば、Gravitech社のArduino Nano v3.1などのドライバーキットを用いることができる。また、テキサス・インスツルメンツ社のTLC5940NTなどのLEDドライバを用いることができる。なお、以下の説明では、LEDドライバを代表する場合は、「LEDドライバ31」と表記し、個々のLEDドライバを示す場合は、「LEDドライバ31」と表記する。

【0041】
光源駆動部3は、制御部4に接続されている。光源駆動部3内の各LEDドライバ31は、制御部4から入力されるドライブ信号S(添え字nは、n番目のLEDドライバ31に対応することを示す。本実施の形態では、n=1,2,3,…11。)によってLED21への通電を制御する。

【0042】
ドライブ信号Sは、デューティ比が50%の周波数f(添え字nは、n番目のLEDドライバ31に対応することを示す。本実施の形態では、n=1,2,3,…11。)を有するパルス信号である。LEDドライバ31は、例えば、図2に示すように、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に通電して当該LED21を発光させ(「ON」状態にし)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を消光させる(「OFF」状態にする)。これにより、各LED21は、周波数fで点滅発光をする。

【0043】
なお、LEDドライバ31は、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21の通電量を最大にし、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21の通電量を最小にして、当該LED21を明滅発光させるようにしてもよい。また、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21に通電して当該LED21を発光させ、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を消光させようにしてもよい。

【0044】
以下の説明では、点滅発光も含めてLED21が明状態と暗状態を交互に繰り返す発光を「明滅発光」と称し、その発光制御を「明滅制御」と称する。

【0045】
制御部4は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、IF(Interface)及びCPU(Central Processing Unit)を含むマイクロコンピュータで構成される。ROMには、フリッカー値CFFを測定するための知覚閾値測定プログラムが記憶されている。RAMは、CPUがROMに記憶された知覚閾値測定プログラムを実行する際の作業用の記憶領域や知覚閾値測定プログラムの実行に必要なデータや知覚閾値測定プログラムの実行によって得られたデータの一時記憶用の記憶領域を提供する。

【0046】
CPUは、後述するフローチャートに従って測定プログラムを実行し、この実行中に入力装置5から入力される被検者の操作信号に基づいて、被検者のフリッカー値CFFの測定を行い、その測定結果を表示装置6に出力する。

【0047】
なお、制御部4は、FPGA(field-programmable gatearray)などのPLD(Programmable Logic Device)で実現してもよい。

【0048】
入力装置5は、制御部4にフリッカー値測定に必要なデータの入力をしたり、フリッカー値測定時に被検者Pが視覚閾値に関する回答の操作信号を入力したりする装置である。入力装置5は、制御部4に接続されている。入力装置5は、主としてキーボードやマウスなどの入力デバイスで構成されるが、同一の機能を果たすものであれば、タッチパネル、音声入力装置などの他の入力デバイスであってもよい。

【0049】
タッチパネルの場合、表示装置6の表示画面にタッチパネル(入力装置5)が設けられるので、図1の構成では、表示装置6が入力装置5を兼用した構成となる。

【0050】
表示装置6は、フリッカー値測定に関する表示や測定結果などを表示する装置である。表示装置6は、制御部4に接続されている。表示装置6は、主として液晶ディスプレイで構成されるが、同一の機能を果たすものであれば、例えば、CRTなどの他の出力デバイスであってもよい。また、本実施形態では、出力態様をディスプレイによる表示としているが、音声出力、記録紙への印字出力、他の端末装置(例えば、スマートフォンなどの携帯端末)へのデータ転送などであってもよい。

【0051】
IFは、光源駆動部3、入力装置5および表示装置6をそれぞれ制御部4に接続するためのインターフェースである。

【0052】
次に、知覚閾値測定装置1によるフリッカー値測定の概要を説明する。

【0053】
知覚閾値測定装置1は、2段階の測定を順番に行って被検者Pのフリッカー値CFFを求める。第1段階の測定は、従来のフリッカー値測定に相当するものであり、第1段階の測定は、第1段階の測定における被検者Pの回答の信頼性を判定するための測定である。

【0054】
被検者Pの回答の信頼性判定とは、第1段階の測定では、後述するように、第1の発光条件で11個のLED21~LED2111を明滅発光させ、被検者Pに明滅が弁別できるLED21であって、明滅が弁別できないLED21に隣接しているLED21を回答させるので、その回答が被検者Pの虚偽的な回答や気まぐれな回答(恣意的に回答)でないか否か、すなわち、被検者Pが正直に回答しているか否かの判定である。

【0055】
被検者Pが虚偽的な回答若しくは恣意的な回答をした場合は、その回答に基づいて算出したフリッカー値CFFは被検者Pの正しいフリッカー値CFFを示しているとは言えないので、本実施の形態では第2段階の測定で被検者Pが正直に回答しているか否かを判定する。

【0056】
第1段階の測定の回答で得られる視覚閾値は確定前の暫定的な視覚閾値であるから、以下の説明では、第1段階の測定を「暫定知覚閾値測定」と称する。また、暫定知覚閾値測定の回答に基づく判定は、被検者Pの回答が信頼できるか否かの判定であるから、以下の説明では、第2段階の測定を「信頼性判定測定」と称する。

【0057】
暫定知覚閾値測定における明滅光発生部2の明滅周波数の範囲を下限周波数f(例えば、f=30[Hz])~上限周波数f(例えば、f=50[Hz])とすると、被検者Pが回答したLED21の明滅周波数f(f≦f≦f。以下、この明滅周波数を「暫定閾値f」という。)は、仮のフリッカー値CFFとなる。仮のフリッカー値CFFとは、信頼性判定測定で被検者Pの回答が信用できないと判定されたときには再測定をする場合があるという意味である。従って、暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値fは、信頼性判定測定で被検者Pの回答に信頼性があると判定されたときにフリッカー値CFF(=f)として確定する。

【0058】
暫定知覚閾値測定における第1の発光条件は、明滅周波数がLED21の配列方向に所定の周波数ピッチΔfで単調増加又は単調減少するように、11個のLED21~LED2111を互いに異なる明滅周波数で同時に明滅させるという条件である。なお、11個のLED21の明滅周波数は、必ずしも所定の周波数ピッチΔfで変化させる必要はない。隣接するLED21同士の明滅周波数の差は弁別用の所定の範囲内にあればよく、例えば0.8Hz、1.2Hz、1.0Hzのよう隣接するLED21同士の明滅周波数の差が厳密に一定ではなくとも差が一定範囲内で単調増加等するものであってもよい。

【0059】
本実施例では、LED21の明滅周波数f(添え字nは、識別子nのLED21の明滅周波数であることを示す。本実施の形態では、n=1,2,3,…11。)とすると、f=f+(n-1)×Δf若しくはf=f-(11-n)×Δfである。周波数ピッチΔfは、隣り合うLED21同士の明滅周波数の周波数差で、被検者Pのフリッカー値CFFの測定精度を決定するものであるが、上述したように、人が明滅を弁別できる点滅周波数の差は、通常、1[Hz]程度であるので、本実施の形態の暫定知覚閾値測定では、後述するように、周波数ピッチΔfを1[Hz]に設定している。

【0060】
また、この設定では、LED21~LED2111をそれぞれ30~40[Hz]で明滅させた場合に被検者Pが全てのLED21~LED2111の明滅を判別できた場合は、LED21~LED2111の明滅周波数をそれぞれ40~50[Hz]にシフトする必要がある。

【0061】
そこで、本実施の形態の暫定知覚閾値測定では、明滅周波数fの式をf=f+(n-1)×Δf+SF(SFは明滅周波数のシフト量)とし、最初の明滅制御では、SF=0に設定してLED21~LED2111をそれぞれ30~40[Hz]で明滅させ、被検者Pが全てのLED21~LED2111の明滅を判別でき、明滅周波数をシフトさせる操作をした場合には、SF=10に設定して、LED21~LED2111の明滅周波数をそれぞれ40~50[Hz]にするようにしている。

【0062】
暫定知覚閾値測定は、1回だけ行うようにしてもよいが、暫定知覚閾値測定をm回(m>1)行って、各測定の暫定閾値fr1,fr2,…frm(添え字のmは、測定の順番を示す。)の平均値fave=(fr1+fr2+…frm)/mを暫定閾値fとしてもよい。

【0063】
暫定知覚閾値測定を1回だけ行う場合、LED21,LED21,LED21,…LED2111をそれぞれ30[Hz],31[Hz],32[Hz],…40[Hz]で明滅させたときに、被検者Pが、例えば、LED21からLED21までは明滅が弁別できたが、LED21からLED2111までは明滅が弁別できなかったとする。

【0064】
被検者Pは、LED21からLED21の内、LED21の隣に配列されているLED21を正直に回答する場合もあれば、例えば、LED21を意図的に虚偽回答したり、気まぐれにLED21を回答したりする場合もある。いずれの場合も暫定知覚閾値測定で被検者Pが回答したLED21の明滅周波数fが暫定閾値fとなる。例えば、被検者PがLED21の虚偽回答をした場合、暫定閾値fは、f=f=36[Hz]となる。

【0065】
一方、暫定知覚閾値測定を2回行い、例えば、被検者Pが1回目でLED21を回答し、2回目でLED21を回答した場合は、LED21の明滅周波数fとLED21の明滅周波数fの平均値fave=(f+f)/2=(34+35)/2=34.5[Hz]が暫定閾値fとなる。

【0066】
信頼性判定測定では、第2の発光条件で11個のLED21~LED2111を発光させ、暫定知覚閾値測定と同様に、被検者Pに明滅が弁別できるLED21であって、明滅が弁別できないLED21の隣に配列されているLED21を回答させる。

【0067】
信頼性判定測定における第2の発光条件は、明滅光発生部2内の任意のLED21s(3≦s≦9)を設定し、11個のLED21を、LED21を含むそのLED21よりも一方側(本実施の形態ではLED21よりも上流側)に配列されたLED21~LED21の第1のグループとLED21よりも他方側(本実施の形態ではLED21よりも下流側)に配列されたLED21s+1~LED2111の第2のグループに分け、第1のグループのLED21(添え字jは、第1のグループ内のLED21を識別する番号。i=1,2,…s。)の明滅周波数fG1を(f-Δf)[Hz]に設定し、第2のグループのLED21(添え字iは、第2のグループ内のLED21を識別する番号。j=s+1,s+2,…11。)の明滅周波数を被検者Pが明滅を弁別できない周波数領域の所定の明滅周波数fG2に設定して明滅発光させるという条件である。

【0068】
明滅周波数fG2は、例えば、暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値より+5[Hz]以上の領域、好ましくは+10[Hz]以上の領域、さらに好ましくは+20[Hz]以上の領域の周波数に設定しても良く、又は、人が通常弁別できない領域の明滅周波数として50[Hz]よりも大きい領域の明滅周波数等を設定してもよい。

【0069】
第1のグループの明滅周波数fG1の設定式(f-Δf)は、本発明の、被検者が刺激強度の変化を弁別でき、かつ、第1の回答で算出した知覚閾値よりも所定量だけ異なる値を設定する式に相当する。Δfは、所定量に相当するものであるが、本実施の形態では、第1の発光条件における周波数ピッチΔfに合わせている。所定量は、周波数ピッチΔfに限定されるものではなく、周波数ピッチΔfとは異なる値にしてもよい。フリッカー値の測定精度は、周波数ピッチΔfにより決まるため、測定の目的に応じて適宜設定すればよい。第2のグループの明滅周波数fG2は、例えば、20≦Δf[Hz]として、fG2=fG1+Δfの演算式により設定することができる。

【0070】
LED21の設定方法は、予め位置番号t(例えば、中央位置のt=6)を設定していてもよく、LED21の位置番号3~9の中からランダムに位置番号tを選定するようにしてもよい。

【0071】
例えば、暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値fが33[Hz]で、ランダムに選定された位置番号tが「6」で、Δf=1[Hz]、Δf=20[Hz]の場合、信頼性判定測定では、第1のグループの明滅周波数fG1は、(f-Δf)=33-1=32[Hz]となり、LED21~LED21は、32[Hz]で明滅される。また、第2のグループの明滅周波数fG2は、(fG1+Δf)=32+20=52[Hz]となり、LED21~LED2111は、52[Hz]で明滅される。

【0072】
信頼性判定測定でも、暫定知覚閾値測定と同様に、被検者Pに明滅が弁別できるLED21であって、明滅が弁別できないLED21の隣に配列されているLED21を回答させる。信頼性判定測定では、被検者Pが回答したLED21の位置番号sに基いて、被検者Pの回答の信頼性が判定される。

【0073】
具体的には、信頼性判定測定における被検者Pの回答した位置番号sが位置番号tに一致していれば、被検者Pの回答は信頼性が有ると判定される。

【0074】
例えば、上記の例で、被検者Pが暫定知覚閾値測定で正直に回答しているとすれば、その回答に基づいて設定した明滅周波数fG1=32[Hz]、明滅周波数fG2=52[Hz]の第2の発光条件で明滅光発生部2を明滅させた信頼性判定測定では、被検者Pは第1のグループのLED21~LED21の明滅は弁別できるが、第2のグループのLED21~LED2111の明滅は弁別できないはずである。

【0075】
信頼性判定測定で、被検者Pが明滅を弁別できないLED21の隣に配列されている明滅を弁別できるLED21の位置番号sを正直に回答した場合、その位置番号sは、第1のグループ内の第2のグループとの境界に位置するLED21の位置番号tとなるはずであるから、s=tであれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は信頼性が有ると推定することができる。

【0076】
一方、暫定知覚閾値測定で、被検者Pが虚偽の回答をしていた場合、例えば、正しい暫定閾値fが33[Hz]であるのに対して、被検者Pの回答に基づく暫定閾値fが35[Hz]であった場合、その回答に基いて設定される第2の発光条件は、明滅周波数fG1=34[Hz]、明滅周波数fG2=52[Hz]となる。

【0077】
被検者Pは、33[Hz]よりも高い明滅周波数の弁別はできないから、上記の第2の発光条件で明滅光発生部2を明滅させた信頼性判定測定では、被検者Pは11個のLED21~LED2111の明滅を全て弁別できないはずである。従って、被検者Pは、適当な位置番号sを回答することになるから、s≠tであれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は信頼性が無いと推定することができる。

【0078】
被検者Pが位置番号tを選択する確率は1/10であるから、信頼性判定測定で被検者Pが適当に回答した結果がs=tになる場合が1/10の確率で生じる。そこで、本実施の形態では、暫定知覚閾値測定を2回繰り返し、信頼性有りの判定の精度を高めるようにしている。暫定知覚閾値測定を2回繰り返した場合、2回連続してs=tになる確率は1/100に減少するから、暫定知覚閾値測定で被検者Pが正しい暫定閾値fよりも高い閾値f(f<f<50)を虚偽的に回答した場合を高い確率で排除することができる。

【0079】
なお、暫定知覚閾値測定で、被検者Pが正しい暫定閾値fよりも低い閾値f(30<f<f)を回答していた場合は、信頼性判定測定で被検者Pが正直に回答したときは、s=tとなり、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は信頼性が有ると推定される。

【0080】
従って、信頼性判定測定を2回繰り返し、いずれか一方でs≠tになれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は信頼性が無いと判定され、いずれもs=tとなったときに、信頼性判定測定で被検者Pの回答は信頼性があると判定され、暫定知覚閾値測定で得られた閾値fがフリッカー値CFFとして確定することになる。

【0081】
また、視覚閾値測定では、通常、被検者Pは暫定閾値fが可級的に高くなるように回答する傾向があり、被検者Pが意図的若しくは恣意的(気まぐれ)に正しい暫定閾値fよりも小さい閾値fを回答することは少ないと考えられる。また、視覚閾値測定を疲労度の測定に用いた場合、被検者Pは、自己の回答態度によって測定結果が正しいフリッカー値CFFより小さい値になったときには、再測定をする可能性が高いと考えられる。

【0082】
従って、視覚閾値測定では、被検者Pが明滅を弁別できないLED21r+1の隣に配列された明滅が弁別できるLED21に対して、LED21よりも明滅周波数の低いLED21を回答する場合はLED21よりも明滅周波数の高いLED21を回答する場合よりも、測定値結果が不真正となる問題は少ないと考えられる。

【0083】
上記説明は、光源としてLEDを搭載する装置を用いて説明したが、スマートフォンや携帯端末を用いた場合は、図1に示した知覚閾値測定装置1の機能の全て(明滅光発生部2(光源)、光源駆動部3、制御部4、入力装置5、表示装置6)を1端末に搭載することが可能となる。

【0084】
次に、図3~図8を用いて、知覚閾値測定装置1における知覚閾値測定の処理手順について、説明する。

【0085】
図3,図4は、知覚閾値測定装置1における知覚閾値測定の第1実施例の処理手順を示すメインフローチャートである。図5は、同知覚閾値測定において、11個のLED21を第1の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャートであり、図6は、同知覚閾値測定において、11個のLED21を第2の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャートである。

【0086】
図3,図4に示すフローチャートは、暫定知覚閾値測定を行う処理手順(ステップS101~S104と図5に示す「第1の発光条件での明滅制御」)と、信頼性判定測定により判定を行う処理手順(ステップS105~S116と図6に示す「第2の発光条件での明滅制御」)と、判定結果を出力する処理手順(ステップS117~S119)で構成される。

【0087】
以下の説明では、被検者Pは、11個のLED21~LED2111の発光状態を見て、明滅が弁別できるLED21と明滅が弁別できないLED21r+1とが隣り合う2個のLED21のうち、明滅が弁別できるLED21の位置番号(識別子)r(1≦r≦11)を、入力装置5を用いて回答するものとする。また、被検者Pは、11個のLED21~LED2111の全てについて、明滅が弁別できる場合は、入力装置5を操作して11個のLED21~LED2111の明滅周波数を全体的に10[Hz]だけ上昇方向にシフトさせて、30[Hz]~50[Hz]の範囲で明滅が弁別できるLED21の位置番号rを回答するものとする。

【0088】
入力装置5による被検者Pの回答の操作方法としては、例えば、キーボードを用いる場合、テンキーによって位置番号rや明滅周波数のシフト指令を入力させるとよい。この場合、1~11の番号以外の任意の番号を明滅周波数のシフト指令に割り当てるとよい。また、キーボードの任意の11個のキーを11個のLED21~LED2111に対応付け、明滅が弁別できるLED21に対応付けられたキーを操作させる方法でもよい。例えば、「1」~「9」のキーを位置番号1~9に割り当て、「/」、「*」のキーをそれぞれ位置番号10,11に割り当て、「0」のキーを明滅周波数のシフト指令に割り当てるようにしてもよい。

【0089】
また、表示装置6の表示画面に入力装置5としてタッチパネルが設けられる場合、例えば、表示装置6の表示画面にテンキーの画像を表示し、被検者Pにテンキーの画像をタッチさせて位置番号rを回答させてもよく、表示装置6の表示画面に明滅光発生部2の画像(11個のLED21~LED2111が横一列に配列された画像)と明滅周波数のシフト指令の操作ボタンの画像とを表示し、被検者Pに明滅が弁別できるLED21の画像若しくは明滅周波数のシフト指令の操作ボタンの画像をタッチさせて位置番号r若しくは全て明滅が弁別可能である回答をさせるようにしてもよい。

【0090】
なお、被検者Pの回答方法として、被検者Pに明滅が弁別できないLED21r+1の識別番号r+1を回答させるようにしてもよく、各LED21について、それぞれ明滅が弁別できるか否かを回答させるようにしてもよい。

【0091】
まず、制御部4は、知覚閾値測定開始の待機状態(S101:Nによるループ処理)で、入力装置5から知覚閾値測定の開始ボタンの操作信号が入力されると(S101:Y)、ステップS102に移行し、知覚閾値測定処理における暫定知覚閾値測定(S102~S104の処理)を開始する。

【0092】
ステップS102に移行すると、制御部4は、図5に示す処理手順に従って、入力装置5により予め設定されている第1の発光条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。この明滅光発生部2の明滅発光処理は、暫定知覚閾値測定(フリッカー値CFFの暫定的な明滅閾値fの測定)のための処理である。

【0093】
第1の発光条件での明滅光発生部2の明滅制御では、制御部4は、まず、被検者Pが入力装置5のシフトキーを操作しているか否かを判別する(S201)。暫定知覚閾値測定を開始したときには、被検者Pがシフトキーを操作することはなく、ステップS201では「N」となるので、ステップS202に移行する。

【0094】
ステップS202に移行すると、例えば、予め入力装置5から明滅周波数範囲の下限周波数fと上限周波数f、周波数ピッチΔf、明滅光発生部2のLED21の総数n、明滅周波数のシフト量SFがそれぞれ30[Hz]、50[Hz]、1[Hz]、11[個]、10[Hz]で入力されている場合、制御部4は、第1の発光条件として、f=30[Hz]、Δf=1[Hz]、n=11[個]、SF=0[Hz]に設定する。

【0095】
そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f+(n-1)×Δf+SF=29+n[Hz]を演算し(S204)、その周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S205)。

【0096】
LEDドライバ31は、制御部4からドライブ信号Sが入力されると、図2に示したように、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を周波数fで点滅させる。これにより、11個のLED21~LED2111は、図7(a),(b)に示すように、それぞれ30[Hz]、31[Hz]、32[Hz]、…40[Hz]の周波数で点滅する(S206)。

【0097】
なお、図7(a)は、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111の配列図に、各LED21の明滅周波数fを記載したものであり、同図(b)は、横軸に11個のLED21~LED2111の位置番号を示し、縦軸に各LED21の明滅周波数fをプロットして11個のLED21~LED2111の明滅周波数f~f11の変化状態が視覚的に分かるようにした図である。

【0098】
暫定知覚閾値測定の開始後に被検者Pが入力装置5のシフトキーを操作した場合には、ステップS201で「Y」となるので、ステップS203に移行する。

【0099】
ステップS203に移行すると、制御部4は、第1の発光条件として、f=30[Hz]、Δf=1[Hz]、n=11[個]、SF=10[Hz]に設定する。そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f+(n-1)×Δf+SF=39+n[Hz]を演算し(S204)、その周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S205)。すなわち、制御部4は、光源駆動部3のLEDドライバ31,31,31,…3111に対してそれぞれ40[Hz]、41[Hz]、42[Hz]、…50[Hz]の周波数を有するドライブ信号S,S1,S2,…S11を出力し、11個のLED21~LED2111をそれぞれ40[Hz]、41[Hz]、42[Hz]、…50[Hz]の周波数で点滅させる(S206)。

【0100】
制御部4は、明滅光発生部2を第1の発光条件で明滅発光させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機する(S103)。入力装置5から被検者Pの回答が入力されなければ(S103:N)、ステップS102に戻り、被検者Pの回答が入力されると(S103:Y)、ステップS104に移行する。

【0101】
ステップS102に戻った場合は、図5の処理手順でステップS201からステップS203に移行するので、11個のLED21~2111の明滅周波数f~f11が全て10[Hz]上昇するように変更されて暫定知覚閾値測定が継続される。

【0102】
ステップS104に移行すると、制御部4は、入力装置5から入力された被検者Pの回答から暫定閾値fを算出する。制御部4は、例えば、入力装置5からLED21の位置番号rが回答されると、f=f+(r-1)×Δf+SF=30+(r-1)(SF=0の場合)又は40+(r-1)(SF=10の場合)を演算することにより、暫定閾値fを算出する。

【0103】
例えば、SF=0の第1の発光条件で、入力装置5から入力された被検者PのLED21の位置番号rが「4」であった場合、制御部4は、f=30+(4-1)を演算して暫定閾値f=33[Hz]を得る。

【0104】
暫定知覚閾値測定で、被検者Pが正直に暫定閾値fを回答していれば、図7(b)に示すように、明滅周波数が33[Hz]以下の領域は、被検者PがLED21の明滅を弁別できる領域(明滅弁別可能領域)となり、明滅周波数が33[Hz]よりも大きい領域は、被検者PがLED21の明滅を弁別できない領域(明滅弁別不能領域)となる。

【0105】
なお、人の視覚機能上、例えば、明滅周波数が50[Hz]よりも大きい周波数領域では明滅を弁別できないとすると、51[Hz]以上の周波数領域は、完全な明滅弁別不能領域となり、34[Hz]~50[Hz]は、被検者Pに固有の明滅弁別不能領域となる。

【0106】
制御部4は、暫定閾値fを算出すると、信頼性判定測定による判定処理の回数をカウントするカウンタkを「1」に設定した後(S105)、ステップS106に移行し、信頼性判定測定による判定処理を開始する。

【0107】
ステップS106に移行すると、制御部4は、図6に示す処理手順に従って、入力装置5により予め設定されている第2の発光条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。この明滅光発生部2の発光処理は、信頼性判定測定のための発光処理である。

【0108】
第2の発光条件での明滅光発生部2の明滅制御では、制御部4は、「3」から「9」の位置番号の中からランダムに1個の位置番号t(3≦t≦9)を選択する(S301)。続いて、制御部4は、第1のグループのLED21(「1」から「t」の位置番号のLED21~LED21)に対する明滅周波数fG1を(f-Δf)に設定し、第2のグループのLED21(「t+1」から「11」の位置番号のLED21t+1~LED2111)に対する明滅周波数fG2を(f-Δf)+Δfに設定する(S302)。

【0109】
例えば、暫定閾値fが33[Hz]で、Δfが20[Hz]に設定され、ランダムに選定された位置番号tが「6」の場合、制御部4は、LED21~LED21に対する明滅周波数f,f,…fを(f-Δf)=(33-1)=32[Hz]に設定し、LED21~LED2111に対する明滅周波数f,f,…f11を(f-Δf)+Δf=(32-1)+20=52[Hz]に設定する。

【0110】
そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S303)。

【0111】
LEDドライバ31は、制御部4からドライブ信号Sが入力されると、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を周波数fで点滅させる(図2参照)。これにより、11個のLED21~LED2111は、図8に示すように、位置番号1~6の6個のLED21~LED21(第1のグループのLED21)は全て32[Hz]の周波数で点滅し、位置番号7~11の5個のLED21~LED2111(第2のグループのLED21)は全て52[Hz]の周波数で点滅する。

【0112】
なお、図8(a)は、図7(a)と同様、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111の配列図に、各LED21の明滅周波数fを記載したものであり、同図(b)は、図7(b)と同様、横軸に11個のLED21~LED2111の位置番号を示し、縦軸に各LED21の明滅周波数fをプロットして11個のLED21~LED2111の明滅周波数f~f11の変化状態が視覚的に分かるようにした図である。

【0113】
制御部4は、明滅光発生部2を第2の発光条件で明滅発光させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機する(S107)。入力装置5から被検者Pの回答が入力されると(S107:Y)、制御部4は、暫定閾値fが予め設定された閾値fthよりも小さいか否かを判別する(S108)。

【0114】
閾値fthは、暫定閾値fの大きさによって判定方法を変えるための閾値である。図7の例の場合、暫定知覚閾値測定では、隣接するLED21同士の明滅周波数の差Δfを1[Hz]としているので、暫定閾値fが高い場合は、被検者Pが正直に回答していたとしても1[Hz]程度の揺らぎが生じ得る可能性がある。そのため、第1実施例では、暫定閾値fが高い周波領領域にある場合は、後述するように、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答が虚偽的若しくは恣意的な回答であるか否かの判定基準を緩くするようにしている。閾値fthは、40[Hz]よりも高い周波数に設定され、図7,図8の例では、一例として43[Hz]に設定している。なお、周波数ピッチΔfは、所定の測定精度が得られるように適宜設定してよい。

【0115】
制御部4は、ステップS108の判別でf<fthであれば(S108:Y)、信頼性判定測定で被検者Pが回答したLED21の位置番号sが第2の発光条件でランダムに選定したLED21の位置番号t(第1のグループ内の第2のグループとの境界に位置するLED21の位置番号)と一致しているか否かを判別する(S109)。

【0116】
制御部4は、s=tであれば(S109:Y)、カウンタkの値が「2」になっているか否かを判別し(S110)、k=2でなければ(S110:N)、カウンタkの値を「1」だけインクリメントして(S111)、ステップS106に戻り、再度、信頼性判定測定を行う。

【0117】
そして、制御部4は、2回目の信頼性判定測定でもs=tであれば(S109:Y)、ステップS109からステップS112に移行し、暫定閾値fをフリッカー値CFFに設定した後、ステップS117に移行して表示装置6にフリッカー値CFF(=f)を表示する。一方、制御部4は、2回の信頼性判定測定のいずれかでs=tでないと判別した場合(S109:N)、ステップS118に移行し、表示装置6に再測定の表示を行う。

【0118】
例えば、図7,図8の例で、被検者Pが2回の信頼性判定測定でいずれも「6」の位置番号を回答した場合、制御部4は、暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値f=33[Hz]をフリッカー値CFFに設定し、表示装置6に、例えば、「フリッカー値CFF=33[Hz]」などの表示態様で測定結果の表示を行う。また、被検者Pが2回の信頼性判定測定のうちいずれかで「6」以外の位置番号を回答した場合、制御部4は、表示装置6に、例えば、[測定エラー 再度、測定して下さい。」などの表示態様で再測定のメッセージを表示する。

【0119】
制御部4は、ステップS108の判別でfth≦fであれば(S108:N)、ステップS113に移行し、信頼性判定測定で被検者Pが回答したLED21の位置番号sが(t-Δf)≦s≦(t+Δf)を満たすか否かを判別する。この判別は、被検者Pの回答した位置番号sが一致する範囲を位置番号tの両側の位置番号(t-1)、(t+1)まで広げて、判別基準をステップS108の判別基準よりも緩くしたものである。

【0120】
制御部4は、(t-Δf)≦s≦(t+Δf)を満たさない場合(S113:N)、ステップS118に移行し、表示装置6に再測定の表示を行う。

【0121】
一方、制御部4は、(t-Δf)≦s≦(t+Δf)を満たす場合(S113:Y)、ステップS114に移行し、上述したステップS110~S112,S117,S118の処理と同様の処理を行う。

【0122】
すなわち、制御部4は、カウンタkの値が「2」になっているか否かを判別し(S114)、k=2でなければ(S114:N)、カウンタkの値を「1」だけインクリメントして(S116)、ステップS106に戻り、再度、信頼性判定測定を行う。そして、制御部4は、2回目の信頼性判定測定でも(t-Δf)≦s≦(t+Δf)を満たす場合(S113:Y)、ステップS114からステップS115に移行し、暫定閾値fをフリッカー値CFFに設定した後、ステップS119に移行して表示装置6にフリッカー値CFF(=f)を表示する。

【0123】
例えば、図7,図8の例で、暫定閾値fが44[Hz]であった場合、制御部4は、2回の信頼性判定測定で被検者Pが回答した位置番号sがいずれも5≦s≦7を満たす場合は、暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値f=44[Hz]をフリッカー値CFFに設定し、表示装置6に、例えば、「フリッカー値CFF=44[Hz]」などの表示態様で測定結果の表示を行う。また、制御部4は、2回の信頼性判定測定うち、いずれかで5≦s≦7を満たさない場合は、表示装置6に、例えば、[測定エラー 再度、測定して下さい。」などの表示態様で再測定のメッセージを表示する。

【0124】
出願人が20歳代から60歳代の被検者16人について、第1実施例に係る知覚閾値測定方法の測定精度の確認試験を行なったところ、全ての被検者について、正しいフリッカー値CFFを測定できることが確認できた。

【0125】
この確認試験では、各被検者について、[正直な回答」、「虚偽の回答」、[気まぐれな回答」を行う3種類の試験を行い、測定結果の精度と測定時間の確認を行なった。測定結果の精度では、「虚偽の回答」及び[気まぐれな回答」の試験で全ての被検者の回答に対して再測定の判定を出すことができ、「正直な回答」の試験で全ての被検者の回答に対して正しいフリッカー値CFFを出力させることができた。

【0126】
また、測定時間の確認では、16人の被検者の(平均値±標準偏差)の測定時間が42±16[秒]で、従来のフリッカー値測定器による測定時間よりも短時間で測定できることが分かった。

【0127】
以上のように、第1実施例の知覚閾値測定処理によれば、第1の発光条件で明滅させた11個のLED21を被検者Pに見せて通常のフリッカー値測定(暫定知覚閾値測定)を行った後、第1の発光条件とは異なる第2の発光条件で明滅させた11個のLED21を被検者Pに見せて被検者Pの回答の信頼性を判定する測定(信頼性判定測定)を行い、その判定で被検者Pの回答の信頼性がある場合に暫定知覚閾値測定で得られた暫定閾値fをフリッカー値CFFとして出力するようにしているので、高い精度でフリッカー値CFFを測定することができる。

【0128】
また、第2の発光条件では、任意のLED21s(3≦s≦9)を設定し、LED21を含むそのLED21よりも上流側に配列されたLED21~LED21の第1のグループとLED21よりも下流側に配列されたLED21s+1~LED2111の第2のグループに分け、第1のグループのLED21の明滅周波数fG1を(f-Δf)[Hz]に設定し、第2のグループのLED21の明滅周波数を人が通常明滅を弁別できない周波数領域の所定の明滅周波数fG2に設定して明滅発光させるので、暫定知覚閾値測定において被検者Pが明滅を弁別できない明滅周波数を有するLED21を虚偽回答した場合、信頼性判定測定でその虚偽回答を高い精度で排除することができる。特に、信頼性判定測定を2回繰り返しているので、暫定知覚閾値測定における被検者Pの虚偽回答をほぼ確実に排除することができる。

【0129】
また、暫定知覚閾値測定で被検者Pが回答した暫定閾値fが閾値fth以上の高周波領域にある場合は、信頼性判定測定における被検者Pの回答の判定基準を暫定閾値fが閾値fthよりも小さい周波数領域にある場合よりも緩くしているので、被検者Pの視覚能力の差異に基づく測定精度のばらつきを低減することができる。

【0130】
ところで、上記の第1実施例では、11個のLED211~2111を同時に明滅させるようにしているが、同時に明滅しているLED21の個数が多いと、例えば、被検者Pが視覚能力の低下した高齢者などでは、明滅を弁別できるLED21と明滅を弁別できないLED21の境界を判別することが難しいということがある。

【0131】
そこで、予め設定した隣り合うM個(M<11)を1組として、11個のLED211~2111を組単位で順番に明滅発光させるように、第1の発光条件での明滅制御と第2の発光条件での明滅制御を変形してもよい。被検者Pが注視するLED21に対して左右の隣接するLED21を同時に明滅させれば、被検者Pは、両側のLED21と注視するLED21とを比較して当該LED21の明滅の弁別の可否が比較的容易に判別できると考えられるから、1組のLED21の個数Mは3個にするとよい。

【0132】
以下、第1の発光条件と第2の発光条件を上記のように変形した場合の知覚閾値測定の処理手順について、図9~図11のフローチャートを用いて説明する。

【0133】
以下の説明では、主として第1の発光条件と第2の発光条件を変形した場合の変更点について説明し、共通の内容については説明を省略する。また、明滅発光させるM個のLED21の組の変更は、入力装置5からの被検者Pの操作信号に基づいて行うものとする。

【0134】
図9は、第1の発光条件と第2の発光条件を組単位で順番に発光させる内容に変更した場合のメインのフローチャートである。

【0135】
図9は、図5の第1の発光条件での明滅制御と図6の第2の発光条件の明滅制御のフローチャートをそれぞれ図10、図11のフローチャートに変更したことに伴い、図3,図4のフローチャートを一部変更したものである。その変更内容は、ステップS103(被検者Pの回答の有無の判断処理)およびステップS107(被検者Pの回答の有無の判断処理)を削除しただけであり、主要な処理内容に変更はないので、以下ではその説明を省略する。

【0136】
図10は、暫定知覚閾値測定における第1の発光条件での明滅制御の変形例を示すフローチャートである。

【0137】
図9に示す出力手順で、制御部4は、ステップS102に移行すると、図10に示す処理手順で11個のLED21~2111を明滅発光させる。

【0138】
まず、制御部4は、f=30[Hz]、Δf=1[Hz]、n=11[個]に設定する(S401)。そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f+(n-1)×Δf=29+n[Hz]を設定する(S402)。

【0139】
続いて、制御部4は、組単位の発光回数をカウントするカウンタjを「1」に設定するとともに、1組のLED21の個数hを「M」に設定する(S403)。例えば、入力装置5から予め1組のLED21の個数Mとして「3」が入力されている場合、制御部4は、h=3に設定する。

【0140】
続いて、制御部4は、位置番号がjから(j+M-1)までのLEDドライバ31(n=j,j+1,…j+M-1)に対して、周波数がfでデューティ比が50%のドライブ信号S=29+n(n=j,j+1,…j+M-1)を光源駆動部3に出力する(S404)。

【0141】
LEDドライバ31~31j+M-1は、制御部4からドライブ信号S,Sj+1,…Sj+M-1が入力されると、ドライブ信号S~Sj+M-1がハイレベルのときにLED21~21j+M-1に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号S~Sj+M-1がローレベルのときにLED21~21j+M-1への通電を停止して、M個のLED21~21j+M-1をそれぞれ周波数f、fj+1、…fj+M-1で点滅させる。これにより、M個のLED21~LED21j+M-1は、それぞれf[Hz]、fj+1[Hz]、…fj+M-1[Hz]の周波数で点滅する(S405)。

【0142】
例えば、M=3とすると、発光開始時は、j=1、h=3であるから、制御部4は、3個のLEDドライバ31~LEDドライバ31に対して、それぞれ30[Hz]のドライブ信号S、31[Hz]のドライブ信号S、32[Hz]のドライブ信号Sを出力する。これにより、図12(a)に示すように、位置番号1~3の3個のLED21~LED21がそれぞれ30[Hz]、31[Hz]、32[Hz]の周波数で点滅する

【0143】
なお、図12(a)~(d)は、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111の配列図に各LED21の明滅周波数fを記載したものであり、11個のLED21~LED2111が3個単位で明滅するLED21が順番にシフトする様子を示したものである。LED21を示す丸図形の内、斜線を付しているものが明滅発光をしている。

【0144】
制御部4は、3個単位でLED21を明滅させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機し(S406)、被検者Pの回答があれば(S406:Y)、図9のステップS105に移行し、被検者Pの回答がなければ(S406:N)、ステップS407に移行する。

【0145】
ステップS407に移行すると、制御部4は、入力装置5から被検者PによるM個のLED21の組をシフトさせる方向キーの操作信号が入力されたか否かを判別し、入力装置5から操作信号が入力されていなければ(S406:N)、ステップS406に戻り、入力装置5から操作信号が入力されると(S406:Y)、制御部4は、さらに被検者Pの操作が右方向シフトの操作であるか、左方向シフトの操作であるかを判断する(S408)。

【0146】
制御部4は、被検者Pが右方向シフトの操作をしている場合(S408:Y)、カウンタjを「1]だけインクリメントした後(S409)、カウンタjの値が(n-M)より大きいか否かを判別する(S410)。この判別は、M個の組が11個のLED21の列の右端に来たか否かの判別である。

【0147】
制御部4は、(n-(M-1))<jでなければ(S410:N)、ステップS404に戻り、(n-(M-1))<jであれば(S410:Y)、カウンタjの値を(n-(M-1))に固定して(S411)、ステップS404に戻る。

【0148】
一方、制御部4は、被検者Pが左方向シフトの操作をしている場合(S408:N)、カウンタjを「1]だけデクリメントした後(S412)、カウンタjの値が「1」より小さいか否かを判別する(S413)。この判別は、M個の組が11個のLED21の列の左端に来たか否かの判別である。

【0149】
制御部4は、j<1でなければ(S413:N)、ステップS404に戻り、j<であれば(S413:Y)、カウンタjの値を「1」に固定して(S414)、ステップS404に戻る。

【0150】
例えば、M=3の場合、測定開始時は、図12(a)に示すように、位置番号1~3の3個のLED21~LED21が明滅発光するが、被検者Pがこれら全ての明滅が弁別でき、右方向シフトの操作をすると、明滅発光する3個の組は、図12(b)に示すように、位置番号2~4の3個のLED21~LED21に移動する。以下、被検者Pが右方向シフトの操作をする毎に、明滅発光する3個の組はLED21が1個ずつ右側にシフトし、右端の位置番号9~11の3個のLED21~LED2111に到ると、被検者Pが右方向シフトの操作をしても明滅する3個のLED21は、LED21~LED2111に固定される。

【0151】
逆に、右端の3個のLED21~LED2111が明滅している状態で、被検者Pが左方向シフトの操作をすると、その操作をする毎に、明滅発光する3個の組はLED21が1個ずつ左側にシフトし、左端の位置番号1~3の3個のLED21~LED21に到ると、被検者Pが左方向シフトの操作をしても明滅する3個のLED21は、LED21~LED21に固定される。

【0152】
図11は、暫定知覚閾値測定における第2の発光条件での明滅制御の変形例を示すフローチャートである。

【0153】
図9に示す出力手順で、制御部4は、ステップS106に移行すると、図11に示す処理手順で11個のLED211~2111を明滅発光させる。

【0154】
図11に示す処理手順は、図10に示す処理手順に対して、ステップS501とステップS502の処理内容が異なるのみで、ステップS503~S514の各処理内容は、上述したステップS403~S414の各処理内容と同一である。従って、ステップS503~SS514の各処理内容の説明は簡略して説明する。

【0155】
制御部4は、「3」から「9」の位置番号の中からランダムに1個の位置番号t(3≦t≦9)を選択する(S501)。続いて、制御部4は、「1」から「t」の位置番号のLED21~LED21(第1のグループのLED21)に対する明滅周波数f,f,…fを(f-Δf)に設定し、「t+1」から「11」の位置番号のLED21t+1~LED2111(第2のグループのLED21)に対する明滅周波数ft+1,ft+2,…f11を(f-Δf)+Δfに設定して(S502)、ステップS503に移行する。

【0156】
例えば、Δfが20[Hz]に設定されており、暫定閾値fが33[Hz]で、ランダムに選定された位置番号tが「6」の場合、制御部4は、LED21~LED21に対する明滅周波数f,f,…fをfG1=(f-Δf)=(33-1)=32[Hz]に設定し、LED21~LED2111に対する明滅周波数f,f,…f11をfG2=(f-Δf)+Δf=(33-1)+20=52[Hz]に設定する(図8の例参照)。

【0157】
ステップS503に移行すると、制御部4は、LED21の列の左端の互いに隣り合うM個のLED21を明滅発光させる(S504)。そして、制御部4は、被検者Pの右方向シフト若しくは左方向シフトの操作に応じて、明滅するM個のLED21の組をLED1個ずつ操作方向にシフトし、いずれかのM個のLED21の組で被検者Pが弁別不能なLED21の隣に配列されている弁別可能なLED21の位置番号sを回答すると、図9のステップS108に移行する。

【0158】
なお、図10,図11のフローチャートでは、明滅発光するM個のLED21のシフトを被検者Pにシフト操作によって行なうようにしているが、各組のLED21の明滅発光を所定の時間Tだけ行なった後、自動的にM個のLED21の組をシフトさせるようにしてもよい。

【0159】
次に、図13~図17を用いて、知覚閾値測定装置1における知覚閾値測定の第2実施例の処理手順について、説明する。

【0160】
図13,図14は、知覚閾値測定の第2実施例の処理手順を示すメインフローチャートである。図15は、同知覚閾値測定において、11個のLED21を第1の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャートであり、図16は、同知覚閾値測定において、11個のLED21を第2の発光条件で明滅発光させる処理手順を示すフローチャートである。

【0161】
図13,図14に示すフローチャートは、暫定知覚閾値測定を行う処理手順(ステップS601~S606と図15に示す「第1の発光条件での明滅制御」)と、信頼性判定測定により判定を行う処理手順(ステップS608~S617と図16に示す「第2の発光条件での明滅制御」)と、判定結果を出力する処理手順(ステップS618,S619)で構成される。なお、第2実施例では、暫定知覚閾値測定を2回行い、各暫定知覚閾値測定で得られる暫定閾値f,f(fは、1回目の暫定知覚閾値測定における暫定閾値、fは、2回目の暫定知覚閾値測定における暫定閾値)の平均値fave=(f+f)/2を暫定知覚閾値測定の暫定閾値fとするようにしている。

【0162】
暫定知覚閾値測定と信頼性判定測定における被検者Pの回答方法は、第1実施例の場合と同様であり、被検者Pのシフトキーの操作によって11個のLED21~LED2111の明滅周波数を10[Hz]だけ上昇するように全体的にシフトさせることも第1実施例の場合と同様である。

【0163】
まず、制御部4は、知覚閾値測定開始の待機状態(S601:Nによるループ処理)で、入力装置5から知覚閾値測定の開始ボタンの操作信号が入力されると(S601:Y)、ステップS602に移行し、知覚閾値測定処理における1回目の暫定知覚閾値測定(S602~S607の処理)を開始する。

【0164】
ステップS602に移行すると、制御部4は、暫定知覚閾値測定の回数をカウントするカウンタpの値を「1」に設定する。続いて、制御部4は、図15に示す処理手順に従って、入力装置5により予め設定されている第1の発光条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。

【0165】
第1の発光条件での明滅光発生部2の明滅制御では、制御部4は、まず、カウンタpが「2」になっているか否かを判別する(S701)。制御部4は、p=1であれば(S701:N)、ステップS702に移行し、p=2であれば(S701:Y)、ステップS703に移行する。

【0166】
制御部4は、ステップS702に移行すると、被検者Pが入力装置5のシフトキーを操作しているか否かを判別する。1回目の暫定知覚閾値測定を開始したときには、被検者Pがシフトキーを操作することはなく、ステップS702では「N」となるので、ステップS703に移行する。

【0167】
ステップS703に移行すると、例えば、予め入力装置5から明滅周波数範囲の下限周波数fと上限周波数f、周波数ピッチΔf、明滅光発生部2のLED21の総数n、明滅周波数のシフト量SFがそれぞれ30[Hz]、50[Hz]、1[Hz]、11[個]、10[Hz]で入力されている場合、制御部4は、1回目の暫定知覚閾値測定における第1の発光条件として、f=30[Hz]、Δf=1[Hz]、n=11[個]、SF=0[Hz]に設定する。

【0168】
そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f+(n-1)×Δf+SF=29+n[Hz]を演算し(S706)、その周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S707)。

【0169】
LEDドライバ31は、制御部4からドライブ信号Sが入力されると、図2に示したように、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を周波数fで点滅させる。これにより、11個のLED21~LED2111は、図7(a),(b)に示したように、それぞれ30[Hz]、31[Hz]、32[Hz]、…40[Hz]の周波数で点滅する(S708)。

【0170】
1回目の暫定知覚閾値測定の開始後に被検者Pがシフトキーを操作した場合には、ステップS702で「Y」となるので、ステップS704に移行する。

【0171】
ステップS704に移行すると、制御部4は、1回目の暫定知覚閾値測定における第1の発光条件として、f=30[Hz]、Δf=1[Hz]、n=11[個]、SF=10[Hz]に設定する。そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f+(n-1)×Δf+SF=39+n[Hz]を演算し(S706)、その周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S707)。すなわち、制御部4は、光源駆動部3のLEDドライバ31,31,31,…3111に対してそれぞれ40[Hz]、41[Hz]、42[Hz]、…50[Hz]の周波数を有するドライブ信号S,S,S,…S11を出力し、11個のLED21~LED2111をそれぞれ40[Hz]、41[Hz]、42[Hz]、…50[Hz]の周波数で点滅させる(S708)。

【0172】
制御部4は、明滅光発生部2を1回目の第1の発光条件で明滅発光させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機する(S604)。入力装置5から被検者Pの回答が入力されなければ(S604:N)、ステップS603に戻り、被検者Pの回答が入力されると(S604:Y)、ステップS605に移行する。

【0173】
ステップS603に戻る場合は、被検者Pの回答待ちの状態であるので、11個のLED21~LED2111は、それぞれ30[Hz]、31[Hz]、32[Hz]、…40[Hz]の周波数で点滅が継続される。被検者Pの回答待ちの状態で、入力装置5からシフトキーの操作信号が入力されると(S702:Y)、ステップS704に移行し、制御部4は、11個のLED21~2111の明滅周波数f~f11を全て10[Hz]上昇するように変更して被検者Pから回答が入力されるのを待機する(S604)。

【0174】
1回目の暫定知覚閾値測定で被検者Pから回答が有り、ステップS605に移行すると、制御部4は、カウンタpの値を「1」だけインクリメントした後、入力装置5から入力された被検者Pの回答から1回目の暫定閾値fを算出する(S606)。制御部4は、例えば、入力装置5からLED21の位置番号uが回答されると、f=f+(u-1)×Δf+SF=30+(u-1)(SF=0の場合)又は40+(u-1)(SF=10の場合)を演算することにより、1回目の暫定閾値fを算出する。

【0175】
例えば、SF=0の第1の発光条件で、入力装置5から入力された被検者PのLED21の位置番号uが「4」であった場合、制御部4は、f=30+(4-1)を演算して1回目の暫定閾値f=33[Hz]を得る。

【0176】
制御部4は、1回目の暫定閾値fr1を算出すると、カウンタpが「2」を超えているか否かを判別し(S607)、p≦2であれば(S607:N)、ステップS603に戻り、2<pであれば(S607:Y)、ステップS608に移行する。

【0177】
制御部4は、ステップS603に戻ると、2回目の暫定知覚閾値測定の処理を行なう。まず、制御部4は、2回目の第1の明滅発生条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。

【0178】
制御部4は、ステップ607からステップS603に戻ってステップS701に移行すると、p=2であるので、ステップS701からステップS705に移行し、2回目の第1の明滅発生条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。

【0179】
ステップS705に移行すると、制御部4は、2回目の暫定知覚閾値測定における第1の発光条件として、f=30-Δf[Hz],Δf=1[Hz]、n=11[個]、SF=0[Hz]に設定する。2回目の第1の明滅発生条件は、1回目の第1の明滅発生条件に対して、11個のLED21~2111の明滅周波数f~f11を全体的に所定の周波数だけ減少方向にシフトしたものである。Δfは、明滅周波数f~f11を全体的に減少させるための周波数シフト量である。

【0180】
2回目の暫定知覚閾値測定では、被検者Pの暫定閾値fを有するLED21の位置を異ならせるために、明滅周波数f~f11を全体的にΔfだけ減少方向にシフトさせるようにしている。被検者Pの暫定閾値fを有するLED21の位置のシフト量は、明滅光発生部2のLED21の個数nよりも少なくてよいから、Δfの大きさは、数[Hz]である。例えば、第2実施例では、Δf=3[Hz]に設定している。

【0181】
なお、2回目の暫定知覚閾値測定では、明滅周波数f~f11を全体的にΔfだけ減少方向にシフトさせるので、被検者Pのシフトキーの操作による明滅周波数f~f11のシフト処理はしない。

【0182】
制御部4は、2回目の暫定知覚閾値測定における第1の発光条件を設定すると、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数f=f-Δf+(n-1)×Δf+SF=29-3+n[Hz]を演算し(S706)、その周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S707)。

【0183】
LEDドライバ31は、制御部4からドライブ信号Sが入力されると、図2に示したように、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を周波数fで点滅させる。これにより、11個のLED21~LED2111は、図17(a),(b)に示すように、それぞれ27[Hz]、28[Hz]、29[Hz]、…37[Hz]の周波数で点滅する(S708)。

【0184】
なお、図17(a)は、図7(a)と同様、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111の配列図に、各LED21の明滅周波数fを記載したものであり、同図(b)は、図7(b)と同様、横軸に11個のLED21~LED2111の位置番号を示し、縦軸に各LED21の明滅周波数fをプロットして11個のLED21~LED2111の明滅周波数f~f11の変化状態が視覚的に分かるようにした図である。

【0185】
制御部4は、明滅光発生部2を2回目の第1の発光条件で明滅発光させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機する(S604)。入力装置5から被検者Pの回答が入力されなければ(S604:N)、ステップS603に戻り、被検者Pの回答が入力されると(S604:Y)、ステップS605に移行する。

【0186】
ステップS603に戻る場合は、被検者Pの回答待ちの状態であるので、11個のLED21~LED2111は、それぞれ27[Hz]、28[Hz]、29[Hz]、…37[Hz]の周波数で点滅が継続される。

【0187】
2回目の暫定知覚閾値測定で被検者Pから回答が有り、ステップS605に移行すると、制御部4は、入力装置5から入力された被検者Pの回答から2回目の暫定閾値fを算出する(S606)。制御部4は、例えば、入力装置5からLED21の位置番号vが回答されると、f=f+(v-1)×Δf+SF=27+(v-1)(SF=0の場合)又は37+(v-1)(SF=10の場合)を演算することにより、2回目の暫定閾値fを算出する。

【0188】
例えば、SF=0の第1の発光条件で、入力装置5から入力された被検者PのLED21の位置番号vが「8」であった場合、制御部4は、f=27+(8-1)を演算して2回目の暫定閾値f=34[Hz]を得る。

【0189】
制御部4は、2回目の暫定閾値fを算出すると、カウンタpが「2」を超えているか否かを判別する(S607)。2回目の暫定知覚閾値測定が終了すると、p=3となるので、制御部4は、2<pと判別し(S607:Y)、ステップS608に移行する。

【0190】
ステップS608に移行すると、制御部4は、1回目の知覚閾値fと2回目の知覚閾値fの差の大きさ|f-f|が2[Hz]よりも小さいか否かを判定する。制御部4は、2≦|f-f|であれば(S608:N)、ステップS615に移行し、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は「恣意的な回答」であると判定し、表示装置6に再測定の表示をして(S619)、知覚閾値測定を終了する。

【0191】
一方、制御部4は、|f-f|<2であれば(S608:Y)、ステップS609に移行し、信頼性判定測定による判定処理を開始する。

【0192】
ステップS608に移行すると、制御部4は、図16に示す処理手順に従って、入力装置5により予め設定されている第2の発光条件で明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を明滅発光させる。

【0193】
第2の発光条件での明滅光発生部2の明滅制御では、制御部4は、中央の位置番号6のLED21を選択する(S801)。第1実施例では、「3」から「9」の位置番号の中からランダムに1個の位置番号t(3≦t≦9)を選択し、その位置番号tのLED21を選定するようにしていたが、第2実施例では、予め中央のLED21を決めておくことにより処理の簡素化をしている。

【0194】
第2実施例でも、「3」から「9」の位置番号の中からランダムに1個の位置番号t(3≦t≦9)を選択し、その位置番号tのLED21を選定するようにしてもよい。

【0195】
続いて、制御部4は、位置番号6のLED21の明滅周波数fをRound[(f+f)/2]-Δfに設定する。そして、制御部4は、第1のグループ内のLED21(「1」から「5」の位置番号のLED21~LED21)に対する明滅周波数fをf=f-(6-i)×Δfに設定し、第2のグループのLED21(「7」から「11」の位置番号のLED21~LED2111)に対する明滅周波数fをf=f+(j-6)×Δfに設定する(S802)。

【0196】
明滅周波数fの設定値をRound[(f+f)/2]-Δfにしているのは、第1実施例のステップS302における位置番号tのLED21の明滅周波数の設定値を(f-Δf)にしているのと同じ考え方によるものである。第2実施例では、暫定閾値fが2つの暫定閾値f,fの平均値faveで、その値は少数点以下の値となるため、Round関数により整数化処理をした後、周波数ピッチΔfを減算することで、明滅周波数fの設定値が整数になるようにしている。

【0197】
Δfは、第2のグループ内のLED21の明滅周波数fを配列方向に変化させる周波数ピッチである。第2実施例では、周波数ピッチΔfを第1のグループ内のLED21の明滅周波数fを配列方向に変化させる周波数ピッチΔfの数倍の大きさに設定している。例えば、Δf=5[Hz]に設定している。

【0198】
例えば、1回目の暫定閾値fと2回目の暫定閾値fがそれぞれ33[Hz]と34[Hz]で、Δf=1[Hz]の場合、LED21の明滅周波数fはf=Round[(33+34)/2]-1=32[Hz]に設定され、第1のグループ内の他のLED21~LED21の明滅周波数f~fは、それぞれ27[Hz]、28[Hz]、29[Hz]、30[Hz]、31[Hz]に設定される。

【0199】
また、第2のグループ内のLED21~LED2111の明滅周波数f~f11は、それぞれ37[Hz]、42[Hz]、47Hz]、52[Hz]、57[Hz]に設定される。

【0200】
そして、制御部4は、光源駆動部3の各LEDドライバ31(n=1,2,…11)に対して周波数fを有し、デューティ比が50%のドライブ信号S(n=1,2,…11)を光源駆動部3に出力する(S803)。

【0201】
LEDドライバ31は、制御部4からドライブ信号Sが入力されると、ドライブ信号SがハイレベルのときにLED21に所定の電流Iを流し(通電し)、ドライブ信号SがローレベルのときにLED21への通電を停止して当該LED21を周波数fで点滅させる(図2参照)。これにより、11個のLED21~LED2111は、図18に示すように、位置番号1~6の6個のLED21~LED21(第1のグループのLED21)は、それぞれ27[Hz]、28[Hz]、29[Hz]、30[Hz]、31[Hz]の周波数で点滅し、位置番号7~11の5個のLED21~LED2111(第2のグループのLED21)は、それぞれ37[Hz]、42[Hz]、47[Hz]、52[Hz]、57[Hz]の周波数で点滅する。

【0202】
なお、図18(a)は、図7(a)と同様、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111の配列図に、各LED21の明滅周波数fを記載したものであり、同図(b)は、図7(b)と同様、横軸に11個のLED21~LED2111の位置番号を示し、縦軸に各LED21の明滅周波数fをプロットして11個のLED21~LED2111の明滅周波数f~f11の変化状態が視覚的に分かるようにした図である。

【0203】
制御部4は、明滅光発生部2を第2の発光条件で明滅発光させると、入力装置5から被検者Pの回答が入力されるのを待機する(S610)。入力装置5から被検者Pの回答が入力されると(S610:Y)、制御部4は、入力装置5から入力された被検者Pの回答から信頼性判定測定における暫定閾値fを算出する(S611)。制御部4は、例えば、入力装置5からLED21の位置番号sが回答されると、s≦6であるか否かを判断し、s≦6であれば、f=f-(6-s)×1=f-(6-s)(Δf=1,SF=0の場合)又はf-(6-s)+10(Δf=1,SF=10の場合)を演算することにより、暫定閾値fを算出する。また、7≦sであれば、制御部4は、f=f+(s-6)×5(Δf=5,SF=0の場合)又はf+(s-6)×5+10(Δf=5,SF=10の場合)を演算することにより、暫定閾値fを算出する。

【0204】
例えば、図17,図18の例で、被検者Pの回答が「5」の場合、制御部4は、暫定閾値f=32-(6-5)×1=31[Hz]を算出する。また、被検者Pの回答が「7」の場合、制御部4は、暫定閾値f=32+(7-6)×5=37[Hz]を算出する。

【0205】
続いて、制御部4は、信頼性判定測定で算出した暫定閾値fが暫定知覚閾値測定で算出した暫定閾値f=(f+f)/2よりも小さいか否かを判別する(S612)。

【0206】
制御部4は、f<f=(f+f)/2であれば(S612:Y)、さらに暫定閾値fと暫定閾値fとの差(f-f)が「2」よりも小さいか否かを判別する(S613)。この判別は、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21が中央のLED21の左隣のLED21よりも上流側に配置されているか否かの判別である。

【0207】
制御部4は、(f-f)≦2であれば(S613:Y)、すなわち、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21が中央のLED21若しくはその左隣のLED21であれば、ステップS614に移行し、暫定知覚閾値測定で算出した暫定閾値f=(f+f)/2をフリッカー値CFFに設定した後、ステップS618に移行して表示装置6にフリッカー値CFF(=(f+f)/2を表示する。

【0208】
一方、制御部4は、2<(f-f)であれば(S613:Y)、すなわち、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21がLED21よりも左側に配置されていれば、ステップS615に移行し、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は、「恣意的な回答」と判定し、表示装置6に再測定の表示を行う(S619)。

【0209】
図17,図18の例で、信頼性判定測定における被検者Pの回答したLED21が位置番号5又位置番号6であれば、制御部4は、暫定知覚閾値測定で算出した暫定閾値f=32.5[Hz]をフリッカー値CFFに設定し、表示装置6にCFF=32.5[Hz]の表示を行なう。一方、信頼性判定測定における被検者Pの回答したLED21が位置番号1~4のいずれかであれば、制御部4は、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答を「恣意的な回答」と判定し、表示装置6に再測定の表示を行う。

【0210】
また、制御部4は、ステップS612で、f=(f+f)/2≦fであれば(S612:N)、さらに暫定閾値fと暫定閾値fとの差(f-f)が「3」から[9]の間にあるか否かを判別する(S616)。この判別は、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21がLED21又はLED21であるか否かの判別である。

【0211】
制御部4は、3≦(f-f)≦9であれば(S616:Y)、すなわち、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21がLED21,LED21のいずれかであれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は、「虚偽的な回答」と判定し、表示装置6に再測定の表示を行う(S619)。

【0212】
また、制御部4は、3≦(f-f)≦9でなければ(S616:N)すなわち、信頼性判定測定で回答した被検者PのLED21がLED21よりも右側に配置されていれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答は、「恣意的な回答」と判定し(S615)、表示装置6に再測定の表示を行う(S619)。

【0213】
図17,図18の例で、制御部4は、信頼性判定測定における被検者Pの回答したLED21が位置番号7又位置番号8であれば、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答を「虚偽的な回答」と判定し、信頼性判定測定における被検者Pの回答したLED21が位置番号8よりも右側に配置されている場合は、暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答を「恣意的な回答」と判定し、いずれの場合も表示装置6に再測定の表示を行う。

【0214】
出願人が20歳代から30歳代の被検者11人について、第2実施例に係る知覚閾値測定方法の測定精度の確認試験を行なったところ、第2実施例に係る知覚閾値測定方法でも全ての被検者について、正しいフリッカー値CFFを測定できることが確認できた。

【0215】
なお、この確認試験の方法でも、各被検者について、[正直な回答」、「虚偽の回答」、[気まぐれな回答」を行う3種類の試験を行い、測定結果の精度の確認を行なった。測定結果の精度では、「虚偽の回答」及び[気まぐれな回答」の試験で全ての被検者の回答に対して再測定の判定を出すことができ、「正直な回答」の試験で全ての被検者の回答に対して正しいフリッカー値CFFを出力させることができた。

【0216】
以上のように、第2実施例の知覚閾値測定処理においても、暫定知覚閾値測定における被検者Pの恣意的な回答や虚偽的な回答を高い確率で排除でき、高い精度でフリッカー値CFFを測定することができる。

【0217】
また、第2実施例では、信頼性判定測定における第1グループのLED21の明滅周波数の変化は、暫定知覚閾値測定におけるLED21の明滅周波数の変化と同等であるので、被検者Pは暫定知覚閾値測定をしているのか、信頼性判定測定をしているのかを識別することができない。

【0218】
このため、暫定知覚閾値測定と信頼性判定測定の回数や測定の順を変えることで、複数回の測定において、虚偽の回答をするタイミングがわからない為、フリッカー値を低い方(明滅周波数を実際よりも低い方)に見せかけることを防ぐ効果も有する。フリッカー値測定において第1実施例と第2実施例を併用することで、さらに高い精度で虚偽的回答や恣意的回答を排除することも可能となる。

【0219】
上記の実施の形態では、明滅光発生部2の11個のLED21~LED2111を直線状に一列に配列していたが、配列方法は直線状に限定されない。例えば、複数のLED21を円形状若しくは円弧状に配列してもよい。また、複数のLED21の配列は、一列に限定されるものではなく、2列以上であってもよい。

【0220】
上記の実施の形態では、光源としてLEDやランプなどの例について説明したが、液晶ディスプレイやCRT、プロジェクターなどの表示装置を用いて、表示画面上の所定の領域に複数の画像を光源として表示させ、これらの画像の列を光源列としてもよい。また、被検者Pに光源が直接視認されていなくても、間接的に透過や反射光が視認されるものであってもよい。

【0221】
また、上記の実施の形態では、明滅の変化に関するパラメータ値を明滅の周波数としていたが、上記の特開2010-08862号公報や特許第5645190号公報に開示されている明滅の「明」と「暗」の輝度差であってもよい。本発明を同公報等に記載の方法に適用した場合は、表示装置に複数の画像を配列して表示した画像列が光源列となり、明滅の変化に関するパラメータ値は、明滅の「明」と「暗」の輝度差となる。

【0222】
本発明を、表示装置を用いる方法に適用した場合は、知覚閾値測定装置1の構成は、図1において、明滅光発生部2及び光源駆動部3を除去した構成となり、制御部4は、知覚閾値測定装置と信頼性判定測定の際に、例えば、表示装置6の表示画面に11個の光源21~2111に対応する11個の正四角形の画像を所定の間隔で表示させる。11個の画像は、「明」と「暗」が所定の周期で交互に変化する画像である。なお、画像の形状は正四角形に限定されるものではなく、長方形、多角形、円形、楕円形などの任意の形状を採用することができる。

【0223】
また、表示装置に表示させる複数個の画像は、所定の間隔で離散的に配置されていなくてもよい。特許第5645190号公報に示されるように、複数個の四角形を隙間なく一列に配列した構成であってもよい。この構成は、表示画面内の帯状の領域を複数個に分割して各分割領域を複数個の画像に対応させる構成ということができる。

【0224】
この考え方によれば、例えば、表示画面内に円形の領域を設定し、その円形の領域を所定の角度で複数の扇形の領域に分割して各分割領域を複数個の画像に対応させる構成であってもよく、円形の領域を同心状に複数の領域に分割して環状の各分割領域を複数個の画像に対応させる構成であってもよい。また、隙間なく配置した複数個の画像は、両端が開放させていてもよく、両端が接続されていてもよい。円形の領域を複数の扇形の領域に分割する方法は、複数個の扇形の画像の両端を接続した構成に相当し、円形の領域を同心状に複数の領域に分割する方法は、複数個の環状の画像の両端を開放した構成に相当する。

【0225】
制御部4は、暫定知覚閾値測定では、隣り合う画像同士の輝度差が配列方向に所定の変化量で単調増加又は単調減少するという第1の発光条件で11個の画像を同時に表示する。この第1の発光条件は、LED21を用いた場合の第1の発光条件ではLED21同士の「明」と「暗」の輝度差を固定し、「明」と「暗」の周期をLED21同士で異ならせていたのに対し、画像G同士の「明」と「暗」の周期を固定し、「明」と「暗」の輝度差を画像同士で異ならせるようにしたものである。即ち、明滅の変化に関するパラメータ値を「明」と「暗」の輝度差としたものである。

【0226】
LED21を用いた場合と表示装置6を用いた場合では、11個の光源21の発光を「明」と「暗」とが交互に変化するように制御する点は共通し、光源21相互で明滅の変化に関するパラメータ値が異なるだけである。従って、LED21を用いた場合でも表示装置6を用いた場合でも光源列の各光源から発光強度(発光輝度)が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者Pの見せる構成であるということができる。

【0227】
以下、11個の光源21を輝度差が相互に異なるように明滅発光させて知覚閾値を測定する方法を「コントラスト変化法」と称し、光源21の明滅の周波数が相互に異なるように明滅発光させて知覚閾値を測定する方法を「周波数変化法」と称する。

【0228】
例えば、表示装置6の画素の輝度レベルが256階調(最大値256[階調]で白表示、最小値0[階調]で黒表示とする)であるとすると、制御部4は、暫定知覚閾値測定における第1の発光条件では、例えば、11個の画像の「明」の輝度レベルを最大値256とし、隣り合う画像同士の「暗」の輝度レベルを配列方向(位置番号1から11の方向)に所定の変化量ΔE[階調]で異ならせる。

【0229】
例えば、「原田、岩木:モバイル端末を用いた精神的疲労計測システムの開発、モバイル学会誌、Vol.2(2)、pp.69-73(2012)」の論文によれば、輝度差(階調差)とフリッカー値との間に、フリッカー値1[Hz]が階調差1[階調]に相当することが報告されているので、制御部4は、例えば、ΔEを1[階調]に設定して、隣り合う画像同士の「暗」の輝度レベルが配列方向に1[階調]単位で減少するように(輝度差が単調に増加するように)、11個の画像を表示する。

【0230】
被検者Pは、輝度差の異なる11個の画像を見た場合は、チラツキを感じる画像とチラツキを感じない画像が生じるので、暫定知覚閾値測定では、被検者Pにチラツキを感じない画像の隣に配列されたチラツキを感じる画像を第1の回答として回答させる。

【0231】
信頼性判定測定では、第2の発光条件の内容が異なるだけで、光源列の各光源から発光強度(発光輝度)が交互に変化する明滅光を当該明滅の変化に関するパラメータ値を互いに異ならせて被検者の見せる点は暫定知覚閾値測定の場合と同様である。制御部4は、例えば、暫定知覚閾値測定で得られた暫定知覚閾値fに対応する階調差から「暗」の階調が、例えば、226[階調]だったとすると、第1のグループに対しては、例えば、「暗」の諧調を(226-1)=225[階調]とし、第2のグループに対しては、例えば、「暗」の諧調を(226-1)+20=245[階調]とするように第2の発光条件を設定して11個の画像を明滅発光させる。

【0232】
そして、信頼性判定測定では、被検者に第2の発光条件で明滅発光する11個の画像を見せ、チラツキを感じない画像の隣に配列されたチラツキを感じる画像を第2の回答として回答させ、制御部4は、その回答に基づいて、上述した周波数変化法と同様の判定基準で暫定知覚閾値測定における被検者Pの回答の信頼性の判定を行う。

【0233】
以上のように、コントラスト変化法は、周波数変化法に対して光源列の構成と各光源の明滅制御における明滅の変化に関するパラメータが異なるだけで、パラメータを明滅周波数とした周波数変化法の第1,第2実施例と同様の作用、効果を奏することはいうまでもない。

【0234】
尚、明滅の変化に関するパラメータ値が明滅周波数のみの場合の知覚測定装置について付言する。

【0235】
複数の光刺激を発する刺激子を方向性を有するように配列してなる刺激子列を有し、その刺激子列の各刺激子から周波数の異なる光刺激を発することにより、被検者が前記光刺激をチラツキとして感じる刺激子を識別することによりチラツキに対する周波数の閾値を測定するためのフリッカー値検査装置において、刺激子列の各刺激子の周波数が前記刺激子列の配列方向に第1の設定の範囲値内の周波数差で単調増加又は単調減少させるという第1の刺激発生条件を与えるための、各刺激子の周波数を定める第1の刺激発生手段と、前記第1の刺激発生条件において被検者がチラツキを感じる刺激子と感じない刺激子を識別しチラツキを感じる閾値を回答する第1の回答に基づいて、第1の回答に基づく周波数閾値を記憶する第1の周波数閾値記憶手段と、前記第1の周波数閾値よりも第1の設定の範囲値内の周波数が低い光刺激を発する境界刺激子を、少なくとも刺激子列の両端を除く任意の位置に設定する境界刺激子位置設定手段と、前記刺激子列の刺激子の配列方向において前記境界刺激子及びそれよりも上流側に配置された複数の刺激子とを第1のグループとし、前記境界刺激子よりも下流側に配置された複数の刺激子を第2のグループとするように前記刺激子列を分け、前記第1のグループに含まれる複数の刺激子は第1の周波数閾値と同一または前記第1の設定の範囲値内の周波数差の周波数を発生し、前記第2のグループに含まれる複数の刺激子は、第1の周波数閾値に対し更に第1の設定の範囲よりも大きくチラツキを感じない高い周波数を発生する第2の刺激発生条件にて前記刺激列の各刺激子に光刺激を発生させる第2の刺激発生手段と、前記第2の刺激発生条件に対する前記被検者のチラツキを感じる境界の刺激子を回答する第2の回答を記憶する手段と、前記第2の回答の刺激子が、第1グループ内の前記境界刺激子、又は、更にその隣の刺激子である場合には、前記第1の回答の閾値が信頼性有りと判定する判定手段と、前記判定手段が信頼性有りと判定された場合に、第1の回答の閾値を出力する出力手段と、を備えたことを特徴とする、フリッカー値検査装置である。

【0236】
第1の設定の範囲値内の周波数差とは、明滅周波数の差が弁別できる周波数差であれば良く、測定の目的とする精度に応じて適宜設定すればよい。周波数差の範囲が大きすぎれば、測定精度が悪くなる。小さすぎれば弁別ができなくなる。通常、人は1[Hz]よりも小さい明滅周波数の差を弁別することができない場合が多いので、上記実施例では1[Hz]の周波数差にて被検者のフリッカー値を測定するようにしているが、1[Hz]に限定されるものでは無く、0.8[Hz]や1.2[Hz]であってもよい。

【0237】
明滅周波数の差を高精度で弁別可能な被検者の測定をするときは周波数差を0.5[Hz]や0.3[Hz]等に設定をしてもよい。逆に明滅周波数の差の弁別が難しい被検者の測定をするときは周波数差を1.5[Hz]や2.0[Hz]等に設定をしてもよい。

【0238】
刺激子と隣接する刺激子との周波数差は必ずしも同一の周波数差である必要はなく、換言すれば等差数列的に変化する必要は必ずしもなく、隣接する刺激子間の周波数の差、階差、は上記第1の設定の範囲内にあればよい。例えば第1の設定の範囲を0.7[Hz]~1.3[Hz]とした場合においては、配列方向の4つの刺激子において刺激子間の周波数の差が順に0.8[Hz]、1.2[Hz]、1.0[Hz]のように、同一ではなくともよく、第1の設定の範囲値内の周波数差で刺激子の周波数が単調増加又は単調減少するものであればよい。

【0239】
第2のグループに含まれる複数の刺激子における、第1の設定の範囲よりも大きくチラツキを感じない高い周波数とは、明滅周波数を人が通常明滅を弁別できない高い周波数領域にある周波数であり、例えば、第1の周波数閾値より+5[Hz]以上の周波数、好ましくは+10[Hz]以上の周波数、さらに好ましくは+20[Hz]以上の周波数が好ましく、又は、一般的に人がチラツキを弁別できないとされる50[Hz]よりも大きい領域にある周波数としてもよい。他の用語については、先述のとおりである。

【0240】
上記実施の形態では、視覚器に対する刺激について説明したが、本発明は、視覚以外の知覚器に対する刺激についての同様の知覚閾値測定にも適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0241】
以上のように、本発明に係る知覚閾値測定装置は、被検者の恣意的な回答や虚偽的な回答を排除して、高い精度で知覚閾値を測定することができるので、本発明は、例えば、知覚閾値を人の精神的疲労や身体的疲労の疲労度の評価値として利用する疲労度測定の技術分野や、年齢や障害による知覚機能の低下などを定量的に評価する医療測定の技術分野などに広く応用することができる。
【符号の説明】
【0242】
1 知覚閾値測定装置
2 明滅光発生部
21 光源(LED)(刺激子)
3 光源駆動部
31 LEDドライバ
4 制御部
5 入力装置
6 表示装置
P 被検者
図面
【図1】
0
【図2】
1
【図3】
2
【図4】
3
【図5】
4
【図6】
5
【図7】
6
【図8】
7
【図9】
8
【図10】
9
【図11】
10
【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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